JP2005199311A - 磁気特性の板面内平均が優れかつ板面内異方性が極めて小さい無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の板面内平均が優れかつ板面内異方性が極めて小さい無方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 板面内平均の鉄損、磁束密度が優れ、かつ、これら特性の板面内異方性が極めて小さい無方向性電磁鋼板を製造する。
【解決手段】 質量%で、C:0.040%以下、Si:0.05〜3.5%、Mn:3.0%以下、Al:3.5%以下、S:0.015%以下、P:0.25%以下、N:0.040%以下を含む溶鋼を鋳造で厚さ50mm以上の鋼片に凝固させ、圧延温度500℃以上850℃以下の温度域で対数歪で1.0以上の圧延を行い、さらに、圧延温度900℃以上の温度域での圧延が対数歪で3.0以下、スラブ加熱温度が1100℃以下、巻取り温度が750℃以下とする。ここで対数歪は、(圧延前の板厚)/(圧延後の板厚)の自然対数である。
【選択図】 図6

Description

本発明は、モーターやトランス用の鉄芯材料として用いられる、鉄損および磁束密度ともに優れ、かつ板面内の磁気特性の異方性が極めて小さい無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
無方向性電磁鋼板は、重電機器、家電用など各種モーター、変圧器、安定器等の鉄芯材料として広く用いられている。一般的にはエネルギー節減の観点から低鉄損化が、また、電気機器の小型化の観点から一層の高磁束密度化が要求されており、これまでに鉄損や磁束密度の改善を目的とした多くの技術が開示され、成分の最適化、特殊元素の添加、熱延板焼鈍の付与、仕上焼鈍の高温化などが実用化されている。
一方、特に回転機に用いられる場合には回転の滑らかさ、モーター効率、モーター部材として組み込まれる際の応力の影響等の観点から鋼板面内の磁気特性の異方性が小さい鋼板の開発が強く要望されているが、この点での技術開発は十分とは言えない面がある。と、言うのは、無方向性電磁鋼板の磁気特性は一般に鋼板の圧延方向(コイル長手方向、L方向)およびその垂直方向(コイル幅方向、C方向)の平均値で評価されることが多いためである。L方向とC方向の特性を用いる理由は一つには鋼板の板面内異方性を考慮するためではあるが、鋼板の特性はこの二方向に比べ圧延方向と45°の方向(コイル斜め方向、D方向)の特性値が特異なものになる場合が多く、異方性はこのD方向について非常に大きくなる。また、磁気特性の板面内平均値としてリングと呼ばれる円状に切り抜いた試験片で鋼板の磁気特性が評価される場合があるが、この評価においてはモーターとして使用された場合の回転の滑らかさや、部材として受ける応力の影響を見積もることができないため、異方性を含めた評価には不適当で、この特性が高くても板面内の異方性が大きくて実用上の不都合を生じることが指摘されている。厳密にはコイル圧延方向から22.5°や67.5°方向の特性も考慮される場合があるが、一般的にはこれらの方位の特性がL、CまたはD方向と比べ大きな差を示すことは少なく、L,D,C方向の評価がほぼ必要十分な条件と考えられ、面内異方性も含めた鋼板の評価には従来のL、C方向に加えD方向の特性を考慮することが必須となっている。
このような面内異方性は主として鋼板の結晶方位の異方性、集合組織に起因するものであることはよく知られている。このため鋼板の集合組織制御を行う試みが多くなされてきた。基本的には結晶の方位を板面内の各方向に対してランダムとなるように配向させる努力がなされてきた。
特に、板面内の異方性を小さくするには、結晶方位として{110}方位に集積させるよりも{100}方位への集積を高めることが有利になることはよく知られており、このための技術開発が行われている。特に、熱間圧延温度を低くし、変態点を有する材料ではAr3温度以下とし、α域で熱間圧延を行うことで{100}方位への集積が高まる点に注目した開発が多くなされている。
例えば、特許文献1は、α域熱延による歪の蓄積を利用して冷延による歪と合算することで非常に高い冷延率に相当する結晶回転を起こさせ{100}方位を発達させる技術が開示されている。しかし、この技術では有効な効果を得るための熱延温度が狭い範囲に限定されるため、熱延が困難となるばかりでなく、Si、Alといった電磁鋼板において欠くことができない重要な元素の含有量が高い材料では効果が消失してしまい用途が限定され実用化に支障がある。さらには、変態点を有しないSi、Alが高い非変態鋼、一般的な高級電磁鋼板への適用はリジングが発生してしまう問題点も指摘されている。またこの技術では板面内平均特性はそれなりに向上するものの板面内異方性の低減は不十分である。
特許文献2は、技術的には特許文献1と同様の技術と考えられるが、α域熱延前の結晶粒径を粗大にすることや熱延圧下量、潤滑の効果を明確にすることで{100}方位をさらに発達させ、熱延温度の適用可能範囲を広げる技術が開示されている。しかし、この技術でもSi、Mn、Alの含有量が高い材料では効果が消失してしまうばかりか、特許文献1で指摘されている高Si、Al鋼でのリジング発生の問題も解決されておらず、さらにはα域熱延前の結晶粒径を粗大にしたことで低Si鋼においてもリジングまたは結晶模様と呼ばれる鋼板の表面欠陥が発生してしまう場合もあり安定した効果が得にくくなっている。またこの技術でもD方向の特性も考慮すると特許文献1と同様に板面内異方性の低減は不十分で実用におけるメリットが明確にはなり難く実用化が進行していない。
特許文献3には鋳造時に一般的に形成される柱状凝固組織に起因する{100}方位を、熱延、冷延、焼鈍後まで残存させることで{100}方位への集積が高い電磁鋼板を得る技術が開示されている。しかし、この技術では鋳片の{100}方位を消失させないため熱延条件、特に熱延圧下率の上限が非常に低い値に制限されるため鋳片厚さを50mm以下と非常に薄くする必要があり、通常200〜250mmの厚さで製造されている連続鋳造プロセスでの生産性を数分の1に低下させてしまうため実用化が阻まれている。
特許文献4では低温熱延に加え二回冷延焼鈍法を適用することでの{100}方位への集積技術が開示されているが二回冷延焼鈍のコストがネックで実用化されていない。
特許文献5は特許文献3と同様の技術と考えられ、熱延板厚を1mm以下にすることでの{100}方位への集積技術が開示されているが特許文献3と同様に{100}方位を消失させてしまう熱延での過剰な歪、特に鋼板表層での剪断変形に起因する歪を回避するため熱延での高潤滑が必要で、極薄熱延と相俟った熱延コスト、酸洗コストの大幅な上昇がネックとなり実用化されていない。
特開昭60−125325号公報 特開平2−104619号公報 特開平3−260017号公報 特開平4−107216号公報 特開平11−189850号公報
本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、特に特許文献1および特許文献2の従来技術をさらに発展させることで、鋳造工程の生産性を阻害する熱延スラブの極薄化、熱延工程の生産性を阻害する潤滑熱延や、酸洗工程の生産性をも阻害する極薄熱延、冷延焼鈍工程の生産性を阻害する二回冷延焼鈍等を行うことなく、高Si、Al鋼を含めた通常の電磁鋼板すべてに適用可能な技術を提供するもので、板面内平均の特性としては優れた磁気特性を持ちながら、従来の技術では達し得なかった極めて小さな磁気特性の板面内異方性を有する無方向性電磁鋼板を製造する方法を安定して提供するものである。
本発明者らは、磁気特性の板面内異方性が小さい無方向性電磁鋼板の製造方法を見出すべく最適製造条件(特に熱延条件)について検討を行い、低温大圧下熱延技術を適用する際に熱間で付与する歪について静的な量ばかりでなく動的な考慮を加えることで磁気特性の板面内平均特性が大幅に向上するだけでなく、特に磁束密度の板面内異方性が非常に小さくなることに加え、特に従来、低温大圧下熱延技術において一つの壁となっていた高Si、Al鋼に適用しても非常に好ましい効果を得られるようになり、非変態鋼においてもリジング等の欠陥を抑制できることを知見した。また、さらにこのような材料においてスラブ加熱条件の制御により板面内平均の磁気特性をさらに非常に好ましく制御できることを明確にして本発明を完成したものである。
本発明は、熱延温度を単に低くして低温で大圧下を付与するだけでなく、熱延温度範囲に応じ、歪速度や1パスで付与される歪量、さらにパス間時間を圧延による歪の蓄積および結晶回転を考慮して最適化することに特徴がある。本発明の要旨は次のとおりである。
(1) 質量%で、C:0.040%以下、Si:0.05〜3.5%、Mn:3.0%以下、Al:3.5%以下、S:0.015%以下、P:0.25%以下、N:0.040%以下を含む溶鋼を鋳造で厚さ50mm以上の鋼片に凝固させ、500℃以上850℃以下の温度域で対数歪で1.0以上の圧延を行い、さらに酸洗後、圧下率50%以上の冷間圧延を行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。ここで対数歪は、(圧延前の板厚)/(圧延後の板厚)の自然対数である。
(2) (1)の鋼板のうち熱間圧延における900℃以上の温度域での圧延が対数歪で3.0以下かつ500℃以上850℃以下の温度域での圧延による対数歪以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(3) (1)(2)の鋼板のうち熱間圧延における850℃以上900℃以下の温度域での圧延が対数歪で0.5以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(4) (1)〜(3)の鋼板のうち熱間圧延における850℃以下の温度域での圧延について各圧延パスの歪速度の平均が30/s以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(5) (1)〜(4)の鋼板のうち熱間圧延における900℃以上の温度域での圧延について各圧延パスの歪速度の平均が10/s以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(6) (1)〜(5)の鋼板のうち熱間圧延における850℃以下の温度域での圧延について各圧延パスの対数歪の平均が0.2以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(7) (1)〜(6)の鋼板のうち熱間圧延における900℃以上の温度域での圧延について各圧延パスの対数歪の平均が0.5以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(8) (1)〜(7)の鋼板のうち熱間圧延における850℃以下の温度域での圧延について各圧延パス間時間が4.0秒以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(9) (1)〜(8)の鋼板のうち熱間圧延における900℃以上の温度域での圧延について各圧延パス間の時間が10.0秒以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(10) (1)〜(9)の鋼板のうち熱間圧延における900℃以上の温度域での圧延が終了後、850℃以下の温度域での圧延を開始するまでの時間が10秒以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(11) (1)〜(10)の鋼板のうち熱間圧延のスラブ加熱温度が1100℃以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば鉄損値および磁束密度の板面内平均値が良好でかつ板面内異方性が極めて小さい無方向性電磁鋼板が製造できる。
本発明者らは無方向性電磁鋼板の板面内異方性を低減する方法を検討した結果、
(1)質量%で、C:0.040%以下、Si:0.05〜3.5%、Mn:3.0%以下、Al:3.5%以下、S:0.015%以下、P:0.25%以下、N:0.040%以下を含む溶鋼を鋳造で厚さ50mm以上の鋼片に凝固させる、
(2)500℃以上850℃以下の低温域での圧延について、付与する歪量を高歪量、歪速度を高歪速度、複数回にわたり歪を付与する場合の間隔を短くするように制御する、
と言う製造方法により、また好ましくはさらに、
(3)850℃以上900℃以下の中温域での圧延について、付与する歪量を極低歪量に制御する、
(4)900℃以上の高温域での圧延について、付与する歪量を低歪量、歪速度を低歪速度、複数回にわたり歪を付与する場合の間隔を長くするように制御する、
(5)上記の高温域での圧延の終了後、低温域での圧延を開始するまでの時間を一定時間以上とする、
(6)さらには熱間圧延のスラブ加熱温度を1100℃以下とする
と言う製造方法により達成できることを知見した。以下に詳細に説明する。
始めに、本発明鋼の成分をその限定理由とともに説明する。含有量はすべて質量%である。
Cは本発明のように熱間圧延温度が低い材料では、特に結晶方位を好ましく制御し磁束密度を向上させる効果が強く現れるので通常の無方向性電磁鋼板よりやや高めに制御した方が特性向上が期待できるが、過度なC含有は磁気特性を劣化させるので0.040%以下とする。好ましくは0.030〜0.0001%、さらに好ましくは0.020〜0.0005%、さらに好ましくは0.010〜0.0010%、さらに好ましくは0.008〜0.0015%である。
Siは、鋼板の電気抵抗を高め鉄損を低減することがよく知られており、電磁鋼板では当然のごとく添加される元素である。従来の熱延低温大圧下を適用した技術ではSi含有量の上限が非常に低く抑えられていたが本発明における最適化された熱延条件を適用すればこの制限は無用となり、現状の一般的なSi含有量のすべての電磁鋼板への適用が可能となる。磁気特性と通板性の兼ね合いから0.05〜3.5%とする。0.05%未満では良好な磁気特性が得られず、3.5%を超えると脆化のため製造工程での通板性が顕著に劣化する。好ましくは0.3〜3.2%、さらに好ましくは0.5〜3.0%、さらに好ましくは0.8〜2.5%である。
Mnは、Sと反応し硫化物を形成するため本発明では重要な元素である。通常Mnが中途半端に少ない場合には熱間圧延中に微細なMnSが析出し鉄損および磁束密度を著しく劣化させる場合がある。しかし、本発明においては熱間圧延条件を特定の範囲で制御することで、この悪影響を回避する効果も現れることから、Mnの下限は特に設けない。一方、Mnは固溶Mnとして鋼板の電気抵抗を上昇させ鉄損を低減させる効果を有するが、あまりに多量に含有させると材料本来の飽和磁束密度を低下させてしまうため上限を3.0%とする。
Alは、Siと同様、鋼板の電気抵抗を高め鉄損を低減する目的で積極的に添加される。AlもSiと同様に従来技術では上限が低い範囲に制限されていたが、本発明ではこの点での制限は不要である。Alが高くなると鋳造性が顕著に劣化するため3.5%以下とする。下限は特に設ける必要はなく、Al=0%でもよいが、0.01〜0.05%程度の量では微細なAlNを形成し磁気特性、特に鉄損を劣化させる場合があるので注意が必要である。好ましくは0.005%以下および0.1〜3.0%、さらに好ましくは0.003%以下および0.3〜2.5%、さらに好ましくは0.002%以下および0.5〜2.0%、さらに好ましくは0.001%以下および0.7〜1.5%である。
Sは硫化物量に直接関係する。含有S量が多いと熱延条件を適当に制御したとしても析出量が多くなり粒成長性を阻害し特に鉄損を劣化させるため、上限は0.015%とする。なお、鋼板の磁気特性をより高めるためには、0.005%以下とすることが好しく、さらに好ましくは0.003%以下、さらに好ましくは0.002%以下、さらに好ましくは0.001%以下であり、0%でもよい。
Pは、磁気特性にとって好ましくない比較的低温で析出するCuまたはMnの硫化物の析出温度を上昇させる効果を有するので積極的に添加することが可能である。一方、鋼板の硬度を高め、打ち抜き性に強く影響するので、所望の打ち抜き硬度によりその添加量は制限される。また、過剰に含有すると冷延性などが顕著に劣化し鋼板の製造に支障をきたす場合があるので上限を0.25%とする。
Nは、Alを含有する鋼においては含有量が多いと窒化物が多くなり結晶粒成長性を阻害するため0.004%程度以下に低く制御されている。しかし、Al含有量を0.005%程度以下に抑えればこの悪影響は全く考慮する必要はない。むしろCと同様に鋼中に固溶することで結晶方位を好ましくする効果があるため積極的に添加することも可能である。ただし、過剰な添加は磁気時効性の問題や溶鋼からの凝固時に生成するミクロボイドに起因する鋼板欠陥が多発するため上限を0.040%とする。生産性を考慮し好ましくは0.020%以下、さらに好ましくは0.015%以下とする。結晶方位制御の観点からは0.0002%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは0.0005%以上、さらに好ましくは0.001%以上、さらに好ましくは0.0015%以上、さらに好ましくは0.003%以上、さらに好ましくは0.005%以上である。
この他にNi,Cr,Cu,Ca,Mg,REM,Sn,Sb、Ti,Nb,V,Mo等、従来の無方向性電磁鋼板において添加が検討されている元素を想定されている量程度まで添加することは本発明にとって何ら影響を及ぼすものではない。また、不可避的に含有されたこれら元素、さらには他の各種の微量元素が含まれる場合も本発明の効果になんら影響を与えるものではない。言い換えればこれらの元素の影響にあえて言及するまでもなく、本発明で開示している製造工程において何ら問題なく製品を得ることができる。
次に本発明の重要な制限要因である製造条件について説明する。
本発明の無方向性電磁鋼板は、上述した成分からなる溶鋼を鋳造して鋼片とし、熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延し、再結晶焼鈍することで得られる。工程の概略は通常の工程と大きく異なるものではないが、熱延条件は通常の条件とは大きく異なる。
特に、熱延で圧延による歪が付与される温度域が本発明での重要な要件であって、これを発明範囲内に制御することで本発明の効果を得ることができる。
すなわち、熱間での圧延の大きな部分が、500〜850℃の温度範囲で行われる必要がある。この温度域を以下の説明では低温域と呼ぶ。本発明の効果を十分に得るには低温域で付与される歪が対数歪で1.0以上である必要がある。温度範囲が低すぎると圧延が困難となり、高すぎると本発明の効果が消失する。圧延性の観点から温度範囲の下限は好ましくは550℃、さらに好ましくは600℃、さらに好ましくは650℃である。同様に発明の効果の観点から温度範囲の上限は好ましくは820℃、さらに好ましくは780℃、さらに好ましくは750℃である。750℃以下であれば本発明の効果を非常に顕著に得ることが可能となる。この温度域で圧延を行えば極端な低速、軽圧下パススケジュールでない限り加工発熱により好ましい温度域を保つことも可能となる。このような低温度域で付与する歪は好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上、さらに好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3.0以上、さらに好ましくは3.3以上である。この低温域で付与される歪の効果は大まかには先行技術1,2で開示されているような熱延での歪の蓄積によるものと考えて間違いはない。ただし、本発明においては以下で詳述する高温、中温域で付与する歪、また低温域をも含めた歪速度や連続パスにおける回復、再結晶による歪の消失等を考慮することで、この効果をより顕著に得ようとするものである。
本発明ではこの低温域で付与される歪の歪速度、複数回で付与する場合の時間的な間隔が重要な意味を有する。通常は連続的な多パスの圧延で歪が付与されるのでこれを想定して以下に記述する。低温域での圧延について各圧延パスの歪速度の平均が30/s以上である必要がある。これ以下では圧延温度を非常に低温にする必要が生じ圧延性に問題を生じるばかりでなく、トータルの必要歪量も増大し熱延負荷が大きくなる。さらに例えば低歪速度で低温大圧下を行った場合には磁気特性の板面内異方性はそれほど小さくならず、本発明の効果を得られなくなる。好ましくは50/s以上、さらに好ましくは70/s以上、さらに好ましくは100/s以上である。
また、低温域での圧延について各圧延パスの対数歪の平均を0.2以上とする。これは上記と同様に本発明効果の特徴である特性の板面内異方性を小さくするには低温域での歪はできるだけ一気に付与することが好ましいからである。好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.5以上である。
さらに低温域での圧延について各圧延パス間の時間を4.0秒以下とする。これは上記と同様に本発明効果の特徴である特性の板面内異方性を小さくするには低温域での歪はできるだけ一気に付与することが好ましいからである。低温域とは言えこの温度域では圧延直後に回復、再結晶が進行するため本発明が目的とする歪の蓄積が効率的に起きなくなり、特に再結晶が過度に進行する場合には本発明の効果が全く失われてしまう。好ましくは3秒以下、さらに好ましくは2秒以下、さらに好ましくは1秒以下である。
このように低温域での圧延条件を制御することによる板面内異方性低減の効果の発現に関するメカニズムは明確ではないが、低温域で付与される歪の効果は単にマクロな歪量だけではなく、ミクロな回復、再結晶挙動も考慮する必要があることを示唆していると予想される。特に、近年の材料のように極低C、N、S化に加え、TiやCu等のトランプエレメントまでも含めて高純度化された材料では、回復、再結晶挙動が従来材以上に早く起きるようになりこのような考慮が重要になったと思われる。
また、本発明の効果は高温度域での圧延歪を適当量付与することでより顕著となる。つまり900℃以上の温度域で軽圧下することが好ましい。この温度域を以下の説明では高温域と呼ぶ。この温度は好ましくは950℃以上であるが、後述のようにあまりに高温だと問題を生ずる場合があるので注意が必要である。好ましくは1100℃以下、さらに好ましくは1050℃以下である。
この高温域で付与される歪を3.0以下とする。ただし、本発明の効果はあくまでも低温域での大きな歪によって発現するものであるから、高温域での歪が低温域での歪を上回ってはならない。歪量は好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.5以下である。下限は最終製品の異方性をより小さくするとともに特に非変態鋼で問題となるリジングを抑制するため好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上とする。ただし、この好ましい範囲は高温域内での温度や後述の歪速度、パス間時間等にも依存するものである。歪速度は高温域で付与される圧延について各圧延パスの平均で10/s以下とする。好ましくは8以下である。多パスで圧延される場合には各圧延パスの対数歪の平均を0.5以下とする。好ましくは0.3以下である。さらに各パス間時間を10.0秒以上とすることが好ましい。
この高温域で付与する歪の効果は鋳造時に形成される柱状組織に起因する集合組織を破壊し板面内異方性を小さくするとともに、従来技術で問題とされていたリジング、結晶模様といった表面欠陥を回避する効果を有する。このメカニズムは明らかではないが、単に鋳造時の柱状組織を出発点にしたり、低温域での圧延開始前の結晶粒径を粗大化したのでは結晶の選択性が非常に狭くなってしまい{100}方位の中でも特定の板面内方位を持つ方位が優先的に出現してしまうためと考えられる。高温域で適当な歪を付与することで適度な結晶回転と組織の再生成が起き、最終的な方位選択性において磁気特性に好ましくない{111}方位が顕著に減少するとともに、ランダムな{100}が多数成長し、リジングや板面内異方性の改善が図られるものと思われる。ただし、この組織の破壊が過剰となると冷延後、焼鈍時の最終的な再結晶時に{100}方位が生成するための核も消失することになる。このため過剰な歪の蓄積は避ける必要があり、上述のような範囲に制限する必要が生ずる。
定性的には低温域での圧延とは逆に歪をゆっくりと付与することが好ましい。注意を要するのは歪を付与する温度と歪速度、歪量との関係で圧延直後に急速な再結晶が起きる場合があることである。特に温度が高いと再結晶率が短時間に上昇し鋼板の結晶粒が新たな最結晶粒で埋め尽くされてしまうと最終的な冷延、焼鈍時に本発明が目的とする{100}方位への集積が顕著に低下し本発明の効果が失われる場合がある。この現象は再結晶挙動に影響を及ぼす鋼成分等にも強く依存するため温度等を一義的に厳密に限定することは困難ではあるが、当業者であれば数回の試行の後に避けるべき条件を特定することは何ら困難なことではない。
本発明の製造条件の特徴の一つは圧延を避けるべき温度域が存在することである。具体的には850℃以上900℃以下の温度域、以下中温域と呼ぶ、で付与する歪を0.5以下にする必要がある。温度としては好ましくは800℃以上950℃以下、歪としては好ましくは0.3以下、さらに好ましくは0.1以下、可能であれば中温域での圧下はすべきではない。
この理由は明確ではないが、Si、Al含有量が比較的低い変態系の材料ではこの温度域が変態領域であり、少なからず二相領域となっていることと関係していると思われ、また、非変態系の材料でも上述のように高温域で付与される歪の役割と低温域で付与される歪の役割が重畳する温度域であり、歪によるミクロな組織変化が複雑化し本発明が必要とする特定方位の組織の破壊、再結晶核の選択性の拡大、および高歪の蓄積が有効に起きず、これらの制御を無意味にしてしまうことにあると思われる。この温度域は厳密には鋼成分等に影響されるものであるが本発明では本発明内の成分鋼のすべてについて850℃以上950℃以下と限定する。このような加工が好ましくない温度域が存在することから実生産上、この温度域を冷却して過ごす必要が生ずる。
これに対応して、上述の高温域と低温域での歪付与の間に10秒以上の時間を経過させることが好ましい。条件によってはこれ以下の時間で冷却を完了できる場合も考えられるが、上述のように高温域で付与される歪と低温域で付与される歪の発明効果への違いを考慮するとこれが重畳することは好ましくなく、高温域で付与した歪が十分に消失した後に低温域での歪を付与することが好ましい。これに必要な時間として高温域での圧延が終了した後、低温域での圧延を開始するまでの時間を10秒以上とすることが好ましい。
また、熱間圧延時のスラブの加熱温度は1100℃以下とすることが好ましい。これは析出物、特に硫化物、窒化物を粗大化させ無害化し鉄損を低減するのに効果的であるとともに、本発明の特徴である低温圧延に好ましい熱履歴となるからである。つまり、通常の熱延条件のように1100℃以上でスラブを加熱してしまうと本発明で必要な圧延の大部分が低温域で行われるような熱履歴をとろうとすると、加熱炉からスラブを取り出した後、冷却を行う必要が生じ、コスト、生産性を阻害することになるためである。好ましくは1050℃以下、さらに好ましくは1000℃以下とする。
熱延終了後のコイルの巻取り温度は通常、高くすることで磁気特性の向上が図られるが、本発明では巻取り温度を低くしても本発明の効果をより好ましく得ることができる。好ましくは750℃以下、さらに好ましくは700℃以下、さらに好ましくは650℃以下、さらに好ましくは600℃以下、さらに好ましくは550℃以下で、室温程度の巻取りでも本発明の効果は何ら損なわれるものではない。このような低温巻取り材では本発明の特徴である低温での大圧下圧延と相俟って熱延組織は完全な加工組織となる。通常の電磁鋼板ではこのような熱延鋼板での加工組織の残存は磁気特性を顕著に劣化させるものとして避けられるが、本発明ではむしろこのような組織により非常に小さな板面内異方性が発現する。もちろん、高温巻取、熱延板焼鈍等を行っても発明の効果が失われるものではない。
また、上のような現象の発現は付与される歪量に依存するため熱延前の鋼片の厚みがある程度以上必要となる。本発明では熱延前の鋼片の厚さを50mm以上とする。好ましくは100mm以上、さらに好ましくは150mm以上、さらに好ましくは200mm以上である。鋼片の厚さが50mm以下の場合は本発明範囲内の低温大圧下の熱延を行ったとしても、鋳造時の凝固に伴い形成される柱状組織に起因する{100}集合組織が残存し、よく知られているように特定方位の磁束密度は向上するものの、板面内の異方性は非常に大きくなる。この原因は明確ではないが、柱状組織に起因する非常に強い面内異方性を有する{100}方位を破壊するには本発明が特徴とする低温域での歪量が発明範囲内であったとしても十分なものとは言えず、熱延トータルでの大きな歪が必要なためと考えられる。
鋼片の製造工程は特に限定しないが、通常の溶製工程から連続鋳造で製造されることが現状ではコスト面から最良である。
酸洗以降の製造工程は何ら特殊なものである必要はなく、通常の無方向性電磁鋼板の製造方法と同様で本発明の効果を得ることができる。
冷間圧延条件は特に限定されるものではないが、通常の生産工程を考え50%以上とする。メカニズムを考えると冷間圧延でも本発明の熱間圧延の代替になりうる可能性も考えられるが、冷間圧延で対数歪3.0(冷延率95%)以上を付与することは圧延性等を考えると困難となるため、本発明のような熱間域で歪を付与することが工業的には好ましいものと考えられる。何らかの方法によってこれ以上に冷延率が上げられたとしても本発明鋼においては冷間圧延の対数歪は3.0以下にとどめるべきである。と言うのは、これ以上の冷間歪を付与すると本発明の熱間での歪の効果に重畳して逆に{100}方位を弱化し、{100}方位の板面内のランダムさを損ねる場合があるからである。また、例えば熱延の全てを高温域で行った場合でも冷間圧延だけでは本発明鋼ほどの{100}方位の高い集積と板面内のランダムさを両立することは本発明者の検討範囲内では達成できていない。これは熱間での歪と冷間での歪の質の違いに起因するものと思われるが、このことからも本発明のように熱間での回復、再結晶といった速度論的な考慮が重要となったことは妥当であると考えられる。
冷間圧延の後は通常の無方向性電磁鋼板と同様の工程で再結晶焼鈍、皮膜形成等が行われる。これらの条件は本発明の効果に関して特に限定されるものではない。
なお、本発明の製造方法により仕上焼鈍を経て得られた無方向性電磁鋼板は、その後に歪取焼鈍を行ってもその優れた鉄損値および磁束密度を保持する。
また、本発明の効果は焼鈍後の歪の導入を抑えてモーターとして使用される、いわゆるフルプロセス無方向電磁鋼板は勿論、焼鈍後にスキンパス圧延を行いモーター等に組み立て後の熱処理工程での歪誘起粒成長現象を用いて特性の改善を行ういわゆるセミプロセス無方向電磁鋼板にも適用可能である。
さらに、磁気特性の更なる向上、強度、耐食性や疲労特性等の部材としての付加機能、また鋳造成や焼鈍通板性、スクラップ使用など製造工程上の生産等を向上させる目的でSn、W、Mo、Sb、Cr、Ni、Co等の微量元素を添加または不可避的に混入することは本発明の効果を何ら損なうものではない。
0.002%C−0.5%Si−0.5%Mn−0.002%S−0.06%P−0%Al−0.002%N−Fe鋼を溶製し、これを連続鋳造で鋼片となし、熱延条件を表1のように変えて熱間圧延し、板厚2.2mmの熱延板を得た。熱延板を酸洗した後、0.50mmに冷延し、次いで750℃×30秒の連続焼鈍を実施し製品とした。この板より測定用サンプルを切り出し、歪取り焼鈍として750℃×2時間の熱処理を行い得られたサンプルの磁気特性を図1〜4に示す。ここで磁気特性は55mm×55mmの大きさのサンプルでコイルの圧延方向から0°、45°、90°の方向の特性を測定し、それぞれの値
0、X45、X90、に対し、板面内平均は、
(X0+2×X45+X90)/4
により評価し、また板面内異方性は、
(X0−2×X45+X90)/2
により評価した。
本発明熱延条件材での顕著な平均特性の向上と板面内異方性の低減が明確である。
Figure 2005199311
0.002%C−1.6%Si−0.1%Mn−0.001%S−0.02%P−0.2%Al−0.002%N−Fe鋼を溶製し、これを連続鋳造で鋼片となし、スラブ加熱温度を1150℃とし熱延温度域を変えて熱間圧延し、板厚2.3mmの熱延板を得た。熱延板を酸洗した後、0.50mmに冷延し、次いで950℃×30秒の連続焼鈍を実施し製品とした。この板より測定用サンプルを切り出し、歪取り焼鈍として750℃2時間の熱処理を行い得られたサンプルの磁束密度B50を実施例1と同様に測定し、板面内平均および板面内異方性を熱延時の低温域での歪量で整理した結果を図5、6に示す。本発明熱延条件による板面内平均値の向上と顕著な板面内異方性の低減が明確である。
0.002%C−2.1%Si−0.3%Mn−0.001%S−0.06%P−0.3%Al−0.001%N−Fe鋼を溶製し、これを連続鋳造で鋼片となし、スラブ加熱温度を1100℃とし熱延温度域を変えて熱間圧延し、板厚2.0mmの熱延板を得た。熱延板を酸洗した後、0.35mmに冷延し、次いで1050℃×30秒の連続焼鈍を実施し製品とした。この板より得られたサンプルの磁束密度B10を実施例1と同様に測定し、板面内異方性を熱延時の高温域での歪量で整理した結果図7に示す。図中●は「低温域の歪>高温域での歪」であり、○は「低温域の歪<高温域での歪」となったものである。本発明熱延条件による顕著な板面内異方性の低減が明確である。
通常の無方向性電磁鋼板と同程度の0.001〜0.003%C−0.1〜1.5%Mn−0.0003〜0.003%S−0.01〜0.08%P−0.001〜0.003%Nの範囲の成分を有する鋼について、スラブ加熱温度を900℃〜1200℃とし、熱延条件を変えて熱間圧延し、板厚1.8〜3.0mmの熱延板を得た。この熱延板を酸洗した後、0.50mmに冷延し、次いで成分に応じ結晶粒径を60〜100μmの範囲内となるような温度で30秒の連続焼鈍を実施し製品とした。この板より得られたサンプルの磁束密度B10を実施例1と同様に測定し、板面内異方性をSi+Al量で整理した結果を図8に示す。図中●は低温域での歪量、歪速度、パス間時間、各パスの歪量、高温域での歪量、歪速度、パス間時間、各パスの歪量、中温域での歪量、高温域と低温域の歪量の比、高温域から低温域の圧延の間の時間の以上11項目について全て本発明範囲内の場合であり、○は上述の11項目について半数以上が発明範囲外にあるものである。本発明熱延条件の効果が広い範囲の材料に適用できると共に板面内異方性の低減効果が明確である。なお、図中の「*」はリジングがひどく鋼板表面の状態が良好でないことを示す。
表2に示す成分の鋼を溶製し、これを表3、表4(表3のつづき)に示す条件で連鋳スラブとなし、さらに熱間圧延、酸洗、冷延、連続焼鈍し製品とし特性評価した。鋼AについてはB50とW15/50、鋼BについてはB10とW10/400、鋼CについてはB10とW10/2000で評価を行った。この結果から、本発明範囲内にある鋼板は鉄損値および特に磁束密度の板面平均が良好で板面内異方性が極めて小さいことが判り、本発明条件の制御の有効性が明らかである。
Figure 2005199311
Figure 2005199311
Figure 2005199311
熱延条件に対する磁束密度B50のグラフ。 熱延条件に対する鉄損W15/50のグラフ。 熱延条件に対する磁束密度B50の面内異方性のグラフ。 熱延条件に対する鉄損W15/50の面内異方性のグラフ。 低温域での対数歪に対する磁束密度B50のグラフ。 低温域での対数歪に対する磁束密度B50の面内異方性のグラフ。 高温域での対数歪に対する磁束密度B10の面内異方性のグラフ。 Si+Al含有量に対する磁束密度B10の面内異方性のグラフ。

Claims (11)

  1. 質量%で、C:0.040%以下、Si:0.05〜3.5%、Mn:3.0%以下、Al:3.5%以下、S:0.015%以下、P:0.25%以下、N:0.040%以下を含む溶鋼を鋳造で厚さ50mm以上の鋼片に凝固させ、500℃以上850℃以下の温度域で対数歪で1.0以上の圧延を行い、さらに酸洗後、圧下率50%以上の冷間圧延を行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。ここで対数歪は、(圧延前の板厚)/(圧延後の板厚)の自然対数である。
  2. 請求項1の鋼板のうち熱間圧延における900℃以上の温度域での圧延が対数歪で3.0以下かつ500℃以上850℃以下の温度域での圧延による対数歪以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 請求項1、2の鋼板のうち熱間圧延における850℃以上900℃以下の温度域での圧延が対数歪で0.5以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 請求項1〜3の鋼板のうち熱間圧延における850℃以下の温度域での圧延について各圧延パスの歪速度の平均が30/s以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 請求項1〜4の鋼板のうち熱間圧延における900℃以上の温度域での圧延について各圧延パスの歪速度の平均が10/s以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 請求項1〜5の鋼板のうち熱間圧延における850℃以下の温度域での圧延について各圧延パスの対数歪の平均が0.2以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  7. 請求項1〜6の鋼板のうち熱間圧延における900℃以上の温度域での圧延について各圧延パスの対数歪の平均が0.5以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  8. 請求項1〜7の鋼板のうち熱間圧延における850℃以下の温度域での圧延について各圧延パス間時間が4.0秒以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  9. 請求項1〜8の鋼板のうち熱間圧延における900℃以上の温度域での圧延について各圧延パス間の時間が10.0秒以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  10. 請求項1〜9の鋼板のうち熱間圧延における900℃以上の温度域での圧延が終了後、850℃以下の温度域での圧延を開始するまでの時間が10秒以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  11. 請求項1〜10の鋼板のうち熱間圧延のスラブ加熱温度が1100℃以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
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