JP2021083165A - 積層コアおよび回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電磁鋼板の特性を有効に活用したステータコアを構成する。【解決手段】 磁化容易方向230aがティースに位置するように電磁鋼板200を形成する。そして、ステータコア111を構成する複数のティースのうち少なくとも2つのティースに、電磁鋼板200の磁化容易方向230aが少なくとも1つ含まれるように、電磁鋼板200を回し積みする。【選択図】 図1

Description

本発明は、積層コアおよび回転電機に関する。
電動機や発電機等の回転電機に使用されるコアとして積層コアがある。積層コアを製造する際には、電磁鋼板を、積層コアの平面形状に合わせて打ち抜く。そして、このようにして打ち抜かれた複数の電磁鋼板を、相互に隣り合う電磁鋼板の板面が相互に重なり合うように積み重ねる。このように積層コアを製造する際には、電磁鋼板を打ち抜いたり接合したりするため、電磁鋼板内に歪みが付与され、鉄損が増加する。そこで、特許文献1には、誘導加熱により電磁鋼板内の歪みを低減することに関する技術が開示されている。
特開2019−115113号公報
しかしながら、特許文献1には、電磁鋼板の積層の方法については言及されていない。このため、電磁鋼板の特性を有効に活用するように積層コアを構成することができない虞がある。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、電磁鋼板の特性を有効に活用した積層コアを実現することを目的とする。
本発明の積層コアは、複数の電磁鋼板を有する積層コアであって、前記積層コアは、前記複数の電磁鋼板の積層方向に軸を有する形状であり、前記電磁鋼板は、質量%で、C:0.0100%以下、Si:1.50%〜4.00%、sol.Al:0.0001%〜1.0%、S:0.0100%以下、N:0.0100%以下、Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%〜5.00%、Sn:0.000%〜0.400%、Sb:0.000%〜0.400%、P:0.000%〜0.400%、およびMg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、Cdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%〜0.0100%を含有し、Mn含有量(質量%)を[Mn]、Ni含有量(質量%)を[Ni]、Co含有量(質量%)を[Co]、Pt含有量(質量%)を[Pt]、Pb含有量(質量%)を[Pb]、Cu含有量(質量%)を[Cu]、Au含有量(質量%)を[Au]、Si含有量(質量%)を[Si]、sol.Al含有量(質量%)を[sol.Al]としたときに、以下の(A)式を満たし、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、圧延方向のB50をB50L、圧延方向とのなす角度が90°の方向のB50をB50C、圧延方向となす角度のうち小さい方の角度が45°となる2つの方向のB50のうち一方の方向のB50、他方の方向のB50を、それぞれ、B50D1、B50D2としたときに、以下の(B)式且つ(C)式を満たし、{100}<011>のX線ランダム強度比が5以上30未満であり、板厚が0.50mm以下であり、前記複数の電磁鋼板は、磁気特性が最も優れる方向の向きがずれた状態で積層され、前記磁気特性が最も優れる方向は、前記圧延方向となす角度のうち小さい方の角度が45°となる2つの方向であることを特徴とする。
([Mn]+[Ni]+[Co]+[Pt]+[Pb]+[Cu]+[Au])−([Si]+[sol.Al])>0% ・・・(A)
(B50D1+B50D2)/2>1.7T ・・・(B)
(B50D1+B50D2)/2>(B50L+B50C)/2・・・(C)
本発明の回転電機は、積層コアを有することを特徴とする。
本発明によれば、電磁鋼板の特性を有効に活用した積層コアを実現することができる。
回転電機の構成の第1の例を示す図である。 ステータコアを構成する電磁鋼板の圧延方向に対する位置関係の一例を示す図である。 電磁鋼板の圧延方向と磁化容易方向の第1の例を示す図である。 回し積みを行う角度を40°とした場合の電磁鋼板の高さ方向の位置関係の一例を示す図である。 回し積みを行う角度を80°とした場合の電磁鋼板の高さ方向の位置関係の一例を示す図である。 回し積みを行う角度を20°とした場合の電磁鋼板の高さ方向の位置関係の一例を示す図である。 回し積みを行う角度を120°とした場合の電磁鋼板の高さ方向の位置関係の第1の例を示す図である。 回転電機の構成の第2の例を示す図である。 回し積みを行う角度を120°とした場合の電磁鋼板の高さ方向の位置関係の第2の例を示す図である。 電磁鋼板の圧延方向と磁化容易方向の第2の例を示す図である。 回し積みを行う角度を45°とした場合の電磁鋼板の高さ方向(Z軸方向)の位置関係の一例を示す図である。
(積層コアに使用する電磁鋼板)
まず、後述する実施形態の積層コアに使用する電磁鋼板について説明する。
まず、積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板およびその製造方法で用いられる鋼材の化学組成について説明する。以下の説明において、無方向性電磁鋼板または鋼材に含まれる各元素の含有量の単位である「%」は、特に断りがない限り「質量%」を意味する。積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板および鋼材は、フェライト−オーステナイト変態(以下、α−γ変態)が生じ得る化学組成であって、C:0.0100%以下、Si:1.50%〜4.00%、sol.Al:0.0001%〜1.0%、S:0.0100%以下、N:0.0100%以下、Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%〜5.00%、Sn:0.000%〜0.400%、Sb:0.000%〜0.400%、P:0.000%〜0.400%、およびMg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、およびCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%〜0.0100%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する。更に、Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Au、Siおよびsol.Alの含有量が後述する所定の条件を満たす。不純物としては、鉱石やスクラップ等の原材料に含まれるもの、製造工程において含まれるもの、が例示される。
<<C:0.0100%以下>>
Cは、鉄損を高めたり、磁気時効を引き起こしたりする。従って、C含有量は低ければ低いほどよい。このような現象は、C含有量が0.0100%超で顕著である。このため、C含有量は0.0100%以下とする。C含有量の低減は、板面内の全方向における磁気特性の均一な向上にも寄与する。尚、C含有量の下限は特に限定しないが、精錬時の脱炭処理のコストを踏まえ、0.0005%以上とすることが好ましい。
<<Si:1.50%〜4.00%>>
Siは、電気抵抗を増大させて、渦電流損を減少させ、鉄損を低減したり、降伏比を増大させて、鉄心への打ち抜き加工性を向上したりする。Si含有量が1.50%未満では、これらの作用効果を十分に得られない。従って、Si含有量は1.50%以上とする。一方、Si含有量が4.00%超では、磁束密度が低下したり、硬度の過度な上昇により打ち抜き加工性が低下したり、冷間圧延が困難になったりする。従って、Si含有量は4.00%以下とする。
<<sol.Al:0.0001%〜1.0%>>
sol.Alは、電気抵抗を増大させて、渦電流損を減少させ、鉄損を低減する。sol.Alは、飽和磁束密度に対する磁束密度B50の相対的な大きさの向上にも寄与する。ここで、磁束密度B50とは、5000A/mの磁場における磁束密度である。sol.Al含有量が0.0001%未満では、これらの作用効果を十分に得られない。また、Alには製鋼での脱硫促進効果もある。従って、sol.Al含有量は0.0001%以上とする。一方、sol.Al含有量が1.0%超では、磁束密度が低下したり、降伏比を低下させて、打ち抜き加工性を低下させたりする。従って、sol.Al含有量は1.0%以下とする。
<<S:0.0100%以下>>
Sは、必須元素ではなく、例えば鋼中に不純物として含有される。Sは、微細なMnSの析出により、焼鈍における再結晶および結晶粒の成長を阻害する。従って、S含有量は低ければ低いほどよい。このような再結晶および結晶粒成長の阻害による鉄損の増加および磁束密度の低下は、S含有量が0.0100%超で顕著である。このため、S含有量は0.0100%以下とする。尚、S含有量の下限は特に限定しないが、精錬時の脱硫処理のコストを踏まえ、0.0003%以上とすることが好ましい。
<<N:0.0100%以下>>
NはCと同様に、磁気特性を劣化させるので、N含有量は低ければ低いほどよい。したがって、N含有量は0.0100%以下とする。尚、N含有量の下限は特に限定しないが、精錬時の脱窒処理のコストを踏まえ、0.0010%以上とすることが好ましい。
<<Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%〜5.00%>>
これらの元素は、α−γ変態を生じさせるために必要な元素であることから、これらの元素の少なくとも1種を総計で2.50%以上含有させる必要がある。一方で、総計で5.00%を超えると、コスト高となり、磁束密度が低下する場合もある。したがって、これらの元素の少なくとも1種を総計で5.00%以下とする。
また、α−γ変態が生じ得る条件として、更に以下の条件を満たしているものとする。つまり、Mn含有量(質量%)を[Mn]、Ni含有量(質量%)を[Ni]、Co含有量(質量%)を[Co]、Pt含有量(質量%)を[Pt]、Pb含有量(質量%)を[Pb]、Cu含有量(質量%)を[Cu]、Au含有量(質量%)を[Au]、Si含有量(質量%)を[Si]、sol.Al含有量(質量%)を[sol.Al]としたときに、質量%で、以下の(1)式を満たすことが好ましい。
([Mn]+[Ni]+[Co]+[Pt]+[Pb]+[Cu]+[Au])−([Si]+[sol.Al])>0% ・・・(1)
前述の(1)式を満たさない場合には、α−γ変態が生じないため、磁束密度が低くなる。
<<Sn:0.000%〜0.400%、Sb:0.000%〜0.400%、P:0.000%〜0.400%>>
SnやSbは冷間圧延、再結晶後の集合組織を改善して、その磁束密度を向上させる。そのため、これらの元素を必要に応じて含有させてもよいが、過剰に含まれると鋼を脆化させる。したがって、Sn含有量、Sb含有量はいずれも0.400%以下とする。また、Pは再結晶後の鋼板の硬度を確保するために含有させてもよいが、過剰に含まれると鋼の脆化を招く。したがって、P含有量は0.400%以下とする。以上のように磁気特性等のさらなる効果を付与する場合には、0.020%〜0.400%のSn、0.020%〜0.400%のSb、および0.020%〜0.400%のPからなる群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
<<Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、およびCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%〜0.0100%>>
Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、ZnおよびCdは、溶鋼の鋳造時に溶鋼中のSと反応して硫化物若しくは酸硫化物またはこれらの両方の析出物を生成する。以下、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、ZnおよびCdを総称して「粗大析出物生成元素」ということがある。粗大析出物生成元素の析出物の粒径は1μm〜2μm程度であり、MnS、TiN、AlN等の微細析出物の粒径(100nm程度)よりはるかに大きい。このため、これら微細析出物は粗大析出物生成元素の析出物に付着し、中間焼鈍における再結晶および結晶粒の成長を阻害しにくくなる。これらの作用効果を十分に得るためには、これらの元素の総計が0.0005%以上であることが好ましい。但し、これらの元素の総計が0.0100%を超えると、硫化物若しくは酸硫化物またはこれらの両方の総量が過剰となり、中間焼鈍における再結晶および結晶粒の成長が阻害される。従って、粗大析出物生成元素の含有量は総計で0.0100%以下とする。
<<集合組織>>
次に、積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板の集合組織について説明する。製造方法の詳細については後述するが、積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板はα−γ変態が生じ得る化学組成であり、熱間圧延での仕上げ圧延終了直後の急冷によって組織を微細化することによって{100}結晶粒が成長した組織となる。これにより、積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板は{100}<011>方位の集積強度が5〜30となり、圧延方向に対して45°方向の磁束密度B50が特に高くなる。このように特定の方向で磁束密度が高くなるが、全体的に全方向平均で高い磁束密度が得られる。{100}<011>方位の集積強度が5未満になると、磁束密度を低下させる{111}<112>方位の集積強度が高くなり、全体的に磁束密度が低下してしまう。また、{100}<011>方位の集積強度が30を超える製造方法は前述のように熱間圧延板を厚くする必要があり、製造が困難という課題がある。
{100}<011>方位の集積強度は、X線回折法または電子線後方散乱回折(electron backscatter diffraction:EBSD)法により測定することができる。X線および電子線の試料からの反射角等が結晶方位毎に異なるため、ランダム方位試料を基準にしてこの反射強度等で結晶方位強度を求めることができる。積層コアに使用する電磁鋼板の一例として好適な無方向性電磁鋼板の{100}<011>方位の集積強度は、X線ランダム強度比で5〜30となる。このとき、EBSDにより結晶方位を測定し、X線ランダム強度比に換算した値を用いても良い。
<<厚さ>>
次に、積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板の厚さについて説明する。積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板の厚さは、0.50mm以下である。厚さが0.50mm超であると、優れた高周波鉄損を得ることができない。従って、厚さは0.50mm以下とする。
<<磁気特性>>
次に、積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板の磁気特性について説明する。磁気特性を調べる際には、積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板の磁束密度であるB50の値を測定する。製造された無方向性電磁鋼板において、その圧延方向の一方と他方とは区別できない。そのため本実施形態では、圧延方向とはその一方および他方の双方向をいう。圧延方向におけるB50(T)の値をB50L、圧延方向から45°傾いた方向におけるB50(T)の値をB50D1、圧延方向から90°傾いた方向におけるB50(T)の値をB50C、圧延方向から135°傾いた方向におけるB50(T)の値をB50D2とすると、B50D1およびB50D2が最も高く、B50L+B50Cが最も低いという磁束密度の異方性がみられる。尚、(T)は、磁束密度の単位(テスラ)を指す。
ここで、例えば時計回り(反時計回りでもよい)の方向を正の方向とした磁束密度の全方位(0°〜360°)分布を考えた場合、圧延方向を0°(一方向)および180°(他方向)とすると、B50D1は45°および225°のB50値、B50D2は135°および315°のB50値となる。同様に、B50Lは0°および180°のB50値、B50Cは90°および270°のB50値となる。45°のB50値と225°のB50値とは厳密に一致し、135°のB50値と315°のB50値とは厳密に一致する。しかしながら、B50D1とB50D2とは、実際の製造に際して磁気特性を同じにすることが容易でない場合があることから、厳密には一致しない場合がある。同様に、0°のB50値と180°のB50値とは厳密に一致し、90°のB50値と270°のB50値とは厳密に一致する一方で、B50LとB50Cとは厳密には一致しない場合がある。積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板では、B50D1およびB50D2の平均値と、B50LとB50Cの平均値とを用いて、以下の(2)式且つ(3)式を満たす。
(B50D1+B50D2)/2>1.7T ・・・(2)
(B50D1+B50D2)/2>(B50L+B50C)/2・・・(3)
このように、磁束密度を測定すると、(2)式のようにB50D1およびB50D2の平均値が1.7T以上となると共に、(3)式のように磁束密度の高い異方性が確認される。
更に、(1)式を満たすことに加え、以下の(4)式のように、(3)式よりも磁束密度の異方性が高いことが好ましい。
(B50D1+B50D2)/2>1.1×(B50L+B50C)/2・・・(4)
更に、以下の(5)式のように、磁束密度の異方性がより高いことが好ましい。
(B50D1+B50D2)/2>1.2×(B50L+B50C)/2・・・(5)
尚、前記の45°は、理論的な値であり、実際の製造に際しては45°に一致させることが容易でない場合があることから、厳密には45°に一致していないものも含むものとする。このことは、当該0°,90°,135°,180°,225°,270°,315°についても同様である。
磁束密度の測定は、圧延方向に対して45°、0°方向等から55mm角の試料を切り出し,単板磁気測定装置を用いて行うことができる。
<<製造方法>>
次に、積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板の製造方法の一例について説明する。積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板を製造する際には、例えば、熱間圧延、冷間圧延(第1の冷間圧延)、中間焼鈍(第1の焼鈍)、スキンパス圧延(第2の冷間圧延)、仕上焼鈍(第3の焼鈍)、歪取焼鈍(第2の焼鈍)等が行われる。
まず、前述した鋼材を加熱し、熱間圧延を施す。鋼材は、例えば通常の連続鋳造によって製造されるスラブである。熱間圧延の粗圧延および仕上げ圧延はγ域(Ar1以上)の温度で行う。つまり、仕上げ圧延の仕上温度がAr1以上となるように熱間圧延を行う。これにより、その後の冷却によってオーステナイトからフェライトへ変態することにより組織は微細化する。微細化された状態でその後冷間圧延を施すと、張出再結晶(以下、バルジング)が発生しやすく、通常は成長しにくい{100}結晶粒を成長させやすくすることができる。
また、積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板を製造する際には、更に仕上げ圧延の最終パスを通過する際の温度(仕上温度)をAr1以上とする。オーステナイトからフェライトへ変態することによって結晶組織を微細化するようにしている。このように結晶組織を微細化させることによって、その後の冷間圧延、中間焼鈍を経てバルジングを発生させやすくすることができる。
その後、熱間圧延板焼鈍は行わずに巻き取り、酸洗を経て、熱間圧延鋼板に対して冷間圧延を行う。冷間圧延では圧下率を80%〜92%とすることが好ましい。圧下率が80%未満ではバルジングが発生しにくくなり、圧下率が92%超ではその後のバルジングによって{100}結晶粒が成長しやすくなるが、熱間圧延鋼板を厚くしないといけなく、熱間圧延の巻取りが困難になり、操業が困難になりやすくなる。
冷間圧延が終了すると、続いて中間焼鈍を行う。積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板を製造する際には、オーステナイトへ変態しない温度で中間焼鈍を行う。つまり、中間焼鈍の温度をAc1未満とすることが好ましい。このように中間焼鈍を行うことによってバルジングが生じ、{100}結晶粒が成長しやすくなる。また、中間焼鈍の時間は、5秒間〜60秒間とすることが好ましい。
中間焼鈍が終了すると、次にスキンパス圧延を行う。前述したようにバルジングが発生した状態でスキンパス圧延、焼鈍を行うと、バルジングが発生した部分を起点に{100}結晶粒が更に成長する。これはスキンパス圧延により、{100}<011>結晶粒には歪がたまりにくく、{111}<112>結晶粒には歪がたまりやすい性質があり、その後の焼鈍で歪の少ない{100}<011>結晶粒が歪の差を駆動力に{111}<112>結晶粒を蚕食するためである。歪差を駆動力にして発生するこの蚕食現象は歪誘起粒界移動(以下、SIBM)と呼ばれる。スキンパス圧延の圧下率は5%〜25%とすることが好ましい。圧下率が5%未満では歪量が少なすぎるため、この後の焼鈍で歪誘起粒界移動(以下、SIBM)が起きなくなり、{100}<011>結晶粒は大きくならない。一方、圧下率が25%超では歪量が多くなり過ぎ、{111}<112>結晶粒の中から新しい結晶粒が生まれる再結晶核生成(以下Nucleation)が発生する。このNucleationでは殆どの生まれてくる粒が{111}<112>結晶粒のため、磁気特性が悪くなる。
スキンパス圧延を施した後、歪を開放して加工性を向上させるために仕上げ焼鈍を行う。仕上げ焼鈍も同様にオーステナイトへ変態しない温度とし、仕上げ焼鈍の温度をAc1未満とする。このように仕上げ焼鈍を行うことによって、{100}<011>結晶粒が{111}<112>結晶粒を蚕食し、磁気特性を向上させることができる。また、仕上げ焼鈍時に600℃〜Ac1となる時間を1200秒以内とする。この焼鈍時間が短すぎるとスキンパスで入れた歪がほとんど残り、複雑な形状を打ち抜くときに反りが発生する。一方、焼鈍時間が長すぎると結晶粒が粗大になり過ぎ、打ち抜き時にダレが大きくなり、打ち抜き精度が出なくなる。
仕上焼鈍が終了すると、所望の鉄鋼部材とすべく、無方向性電磁鋼板の成形加工等が行われる。そして、無方向性電磁鋼板からなる鉄鋼部材に成形加工等(例えば打ち抜き)により生じた歪等を除去すべく、鉄鋼部材に歪取焼鈍を施す。本実施形態では、Ac1よりも下で、SIBMが発生し、結晶粒径も粗大に出来るようにするため、歪取焼鈍の温度を例えば800℃程度とし、歪取焼鈍の時間を2時間程度とする。
積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板(鉄鋼部材)では、前述の製造方法のうち、主に熱間圧延工程においてAr1以上で仕上げ圧延をすることにより、前記(1)式の高いB50および前記(2)式の優れた異方性が得られる。更に、冷間圧延工程において、圧下率を85%程度にすることで前記(3)式、スキンパス圧延工程において圧下率を10%程度にすることで前記(4)式のより優れた異方性が得られる。
以上のように積層コアに使用する電磁鋼板の一例として、無方向性電磁鋼板からなる鉄鋼部材を製造することができる。
次に、積層コアに使用する電磁鋼板の一例である無方向性電磁鋼板について、実施例を示しながら具体的に説明する。以下に示す実施例は、無方向性電磁鋼板のあくまでも一例にすぎず、無方向性電磁鋼板が下記の例に限定されるものではない。
<<第1の実施例>>
溶鋼を鋳造することにより、以下の表1に示す成分のインゴットを作製した。ここで、式左辺とは、前述の(1)式の左辺の値を表している。その後、作製したインゴットを1150℃まで加熱して熱間圧延を行い、板厚が2.5mmになるように圧延した。そして、仕上げ圧延終了後に水冷し熱間圧延鋼板を巻き取った。この時の仕上げ圧延の最終パスの段階での温度(仕上温度)は830℃であり、すべてAr1より大きい温度だった。尚、γ−α変態が起こらないNo.108については、仕上温度を850℃とした。
次に、熱間圧延鋼板において酸洗によりスケールを除去し、狙いの板厚の1.1倍の板厚(0.055〜0.550mm)になるまで冷間圧延を行った。そして、無酸化雰囲気中で700℃で30秒の中間焼鈍を行った。次いで、狙いの板厚(0.05〜0.50mm)になるまで2回目の冷間圧延(スキンパス圧延)を行った。ただし、{100}<011>強度を制御するため、No.110〜112は冷間圧延の圧下率を80%〜92%、2回目の冷間圧延(スキンパス圧延)の圧下率を5〜25%の範囲で変化させた。また、No.113は熱間圧延板の厚みを7mmにし、冷延圧下率を95%にして、スキンパス圧延は実施しなかった。
次に、磁気特性を調べるために2回目の冷間圧延(スキンパス圧延)の後に800℃で30秒の仕上げ焼鈍を行い、55mm角の試料を剪断加工で作成した後、800℃で2時間の歪取焼鈍を行い、磁束密度B50を測定した。測定試料は55mm角の試料を圧延方向に0°と45°の2種類の方向に採取した。そして、この2種類の試料を測定し、圧延方向に対して0°、45°、90°、135°の磁束密度B50をそれぞれB50L、B50D1、B50C、B50D2とした。
Figure 2021083165
表1中の下線は、本発明の範囲から外れた条件を示している。発明例であるNo.101〜No.107、No.109〜No.111、No.114〜No.116は、いずれも45°方向および全周平均共に磁束密度B50は良好な値であった。一方、比較例であるNo.108はSi濃度が高く、式左辺の値が0以下であり、α−γ変態しない組成であったことから、磁気密度B50はいずれも低かった。比較例であるNo.112は、スキンパス圧延率を低くしたため、{100}<011>強度を5未満であり、磁束密度B50がいずれも低かった。比較例であるNo.113は{100}<011>強度が30以上となり、本発明から外れている。No.113は熱間圧延板の厚みが7mmもあったため、操業しづらいという難点があった。
<<第2の実施例>>
溶鋼を鋳造することにより、以下の表2に示す成分のインゴットを作製した。その後、作製したインゴットを1150℃まで加熱して熱間圧延を行い、板厚が2.5mmになるように圧延した。そして、仕上げ圧延終了後に水冷し熱間圧延鋼板を巻き取った。この時の仕上げ圧延の最終パスの段階での仕上温度は830℃であり、すべてAr1より大きい温度だった。
次に、熱間圧延鋼板において酸洗によりスケールを除去し、板厚が0.385mmになるまで冷間圧延を行った。そして、無酸化雰囲気中で中間焼鈍を行い、再結晶率が85%となるように中間焼鈍の温度を制御した。次いで、板厚が0.35mmになるまで2回目の冷間圧延(スキンパス圧延)を行った。
次に、磁気特性を調べるために2回目の冷間圧延(スキンパス圧延)の後に800℃で30秒の仕上げ焼鈍を行い、55mm角の試料を剪断加工で作成した後、800℃で2時間の歪取焼鈍を行い、磁束密度B50と鉄損W10/400を測定した。磁束密度B50に関しては第1の実施例と同様の手順で測定した。一方で鉄損W10/400は、最大磁束密度が1.0Tになるように400Hzの交流磁場をかけた時に試料に生じるエネルギーロス(W/kg)として測定した。鉄損は圧延方向に対して0°、45°、90°、135°に測定した結果の平均値とした。
Figure 2021083165
Figure 2021083165
No.201〜No.214は全て発明例であり、いずれも磁気特性が良好であった。特に、No.202〜No.204はNo.201、No.205〜No.214よりも磁束密度B50が高く、No.205〜No.214はNo.201〜No.204よりも鉄損W10/400が低かった。
本発明者らは、かかる無方向性電磁鋼板の特性を有効に活用できるようにステータコアを構成するためには、ステータコアの周方向における磁気特性が可及的に均一になることと、均一化した磁気特性が可及的に優れるようにすることとの双方が実現されるように、電磁鋼板を積層することが重要であることを見出した。以下に説明する実施形態のステータコアは、このような着想に基づいてなされたものである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。以下の説明において、特に断りがなければ、電磁鋼板は、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した無方向性電磁鋼板であるものとする。尚、以下の説明では、(積層コアに使用する電磁鋼板)の説明において、圧延方向から45°傾いた方向と、圧延方向から135°傾いた方向を、必要に応じて、圧延方向となす角度のうち小さい方の角度が45°となる2つの方向と総称する。尚、当該45°は、時計回りおよび反時計回りの何れの向きの角度も正の値を有するものとして表記したものである。時計回りの方向を負の方向とし、反時計回りの方向を正の方向とする場合、圧延方向となす角度のうち小さい方の角度が45°となる2つの方向は、圧延方向となす角度のうち絶対値の小さい方の角度が45°、−45°となる2つの方向となる。その他、圧延方向からθ°傾いた方向を、必要に応じて、圧延方向となす角度がθ°の方向と称する。このように、圧延方向からθ°傾いた方向と、圧延方向となす角度がθ°の方向は、同じ意味である。また、以下の説明において、長さ、方向、位置等が厳密に一致する場合の他、発明の主旨を逸脱しない範囲内(例えば、製造工程において生じる誤差の範囲内)で一致する場合も含むものとする。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態を説明する。
図1は、回転電機の構成の一例を示す図である。尚、回転電機は、電動機(モータ)であっても発電機であってもよい。また、各図において、X−Y−Z座標は、各図における向きの関係を示すものである。○の中に●が付されている記号は、紙面の奥側から手前側の向かう方向を示す。○の中に×が付されている記号は、紙面の手前側から奥側に向かう方向を示す。
図1(a)は、回転電機をその上方から見た図(平面図)の一例を示す。図1(b)は、回転電機をその側方(図1(a)の白抜きの矢印線の方向)から見た図(側面図)の一例を示す。
図1(a)において、回転電機100は、ステータ110と、ロータ120と、回転軸130と、を有する。尚、回転電機100は、この他に、ステータ110を固定するケース等、回転電機100が有する公知の構成を有する。
ステータ110は、相対的に回転電機100の外側に配置される。ロータ120は、その外周面がステータ110の内周面と間隔を有して対向するように、相対的に回転電機100の内側に配置される。回転軸130は、その外周面がロータ120の内周面と対向し、且つ、ロータ120に直接または間接的に接続された状態で回転電機100の中心部に配置される。ステータ110とロータ120の軸心Oは回転軸130の軸心Oと一致している。尚、以下の説明では、回転電機100のロータ100が回転する方向を、必要に応じて、周方向と称する。回転電機100の高さ方向(=電磁鋼板の積層方向)を、必要に応じて、高さ方向と称する。高さ方向に垂直な方向であって、軸心Oを通る方向を、必要に応じて、径方向と称する。
ロータ120は、公知のもので実現することができる。ロータ120が、かご形ロータである場合、ロータ120は、ロータコアと、かご形胴体と、エンドリングとを用いて構成される。また、ロータ120が、巻線形ロータである場合、ロータ120は、かご形胴体と、巻線とを用いて構成される。かご形胴体や巻線の代わりに永久磁石を用いてもよい。
ステータ110は、ステータコア111を有する。
ステータコア111は、周方向に延在するヨークと、ヨークの内周側から軸心方向に延在する複数のティースとを有する。複数のティースは、周方向において等間隔で設けられている。図1では、18個のティースがある場合を例に挙げて説明する。ステータコア111には、図示しない巻線が巻き回される。ステータコア111に巻き回される巻線の巻回方法は、分布巻であっても、集中巻であってもよい。
ステータコア111は、図1(a)に示す形に打ち抜かれた複数の電磁鋼板を、図1(a)および図1(b)に示すように、当該複数の電磁鋼板の外縁が合うように積層することにより形成される。これら複数の電磁鋼板の板面には絶縁処理が施されている。複数の電磁鋼板は、例えば、カシメ加工や接着剤を用いることにより固定される。尚、打ち抜きに替えて、例えば、レーザ加工により、図1(a)に示す形に電磁鋼板を加工してもよい。尚、ステータコア111は、周方向において分割されていない。また、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明したように、ステータコア111に対して、歪取焼鈍が行われる。
図2Aは、ステータコア111を構成する電磁鋼板の圧延方向に対する位置関係の一例を示す図である。
図2Aは、ステータコア111を構成する複数の電磁鋼板のうちの1枚を示す。電磁鋼板200は、フープ(母材)を図1(a)に示す形に打ち抜くことにより構成される。このとき、ステータコア111を構成する全ての電磁鋼板200において、当該電磁鋼板200の各ティース(図1(a)に示す例では18個のティース)を構成する領域240a〜240rの、圧延方向210に対する位置関係が、同じになるようにする。
電磁鋼板200の各ティースを構成する領域240a〜240rの、圧延方向に対する位置関係は、例えば、圧延方向210と、電磁鋼板200の各ティースを構成する領域240a〜240rの中心線220a〜220rとのなす角度で表される。
図2Aにおいて、電磁鋼板200のティースを構成する領域240a〜240rの中心線220a〜220rは、電磁鋼板200の板面に平行な方向(高さ方向(Z軸方向)に垂直な方向)に延びる仮想的な直線であって、電磁鋼板200(ステータコア111)の軸心Oと当該ティースを構成する領域240a〜240rの周方向の中心とを通る仮想的な直線である。
図2Aに示す例では、何れのフープ(母材)を打ち抜く場合も、圧延方向210と中心線220a〜220rとのなす角度が同じになるようにする。このようにするには、例えば、フープ(母材)に対する金型の位置関係を一定にして打ち抜き加工を行えばよい。このようにしてフープ(母材)を打ち抜くことにより、ステータコア111を構成する電磁鋼板200が複数得られる。即ち、ステータコア111を構成する電磁鋼板は、全て図2Aに示す電磁鋼板200と同じものになる。
図2Bは、電磁鋼板200の圧延方向210と磁気特性が最も優れる方向の一例を示す図である。以下の説明では、磁気特性が最も優れる方向を、必要に応じて磁化容易方向と称する。
図2Bにおいて、破線の仮想線230a〜230bは、電磁鋼板200の磁化容易方向である。前述したように、圧延方向210となす角度が45°となる2つの方向が磁化容易方向である。尚、前述したように、X軸からY軸に向かう方向(紙面に向かって反時計回りの方向)およびY軸からX軸に向かう方向の何れの方向の角度も正の値の角度であるものとする。また、2つの方向のなす角度は、何れも、当該角度のうち小さい方の角度である。
図2Bに示す例では、磁化容易方向230a、230bが、磁気特性が最も優れる2つの方向である。尚、磁化容易方向230a、230bは、電磁鋼板200に存在する磁化容易方向のうち、軸心Oを通る磁化容易方向である。図1(a)に示す例では、18個のティースが周方向において等間隔に配置される。従って、周方向において間隔をあけて相互に隣り合う位置にある2つのティースの中心線のなす角度(中心角)は、20°(=360÷18)である。尚、ティースの中心線は、ティースの周方向における中心線であって、径方向の延びる軸であり、前述した電磁鋼板200のティースを構成する領域240a〜240rの中心線220a〜220rと同じである。一方、磁化容易方向230a、230bのなす角度は90°である。従って、2つの磁化容易方向230a、230bをティースの中心線に一致させることはできない。そこで、2つの磁化容易方向230a、230bのうち、1つの磁化容易方向230aをティースの中心線に一致させ、残りの1つの磁化容易方向230bをティースの中心線に一致させない。このように本実施形態では、ステータコアのティースの数が4の倍数以外である場合を例に挙げて説明する。
図2Bに示す例では、電磁鋼板200(ステータコア111)の軸心Oを介して相互に対向する位置にティースが存在する。従って、1枚の電磁鋼板200において、磁化容易方向230aが、2つのティースの中心線に一致する。
これに対し、例えば、ティースの数が5である場合には、電磁鋼板(ステータコア)の軸心を介して相互に対向する位置にティースが存在しない。このような場合には、磁化容易方向は、1つのティースの中心線にだけ一致することになる。
以上のように本実施形態では、可及的に多くの磁化容易方向が可及的に多くのティースの中心線に一致するようにすることで、ステータコア111の磁気特性が可及的に優れるものになるようにする。
次に、以上の電磁鋼板200を積層する方法の一例を説明する。本実施形態では、電磁鋼板200を回し積みする。回し積みとは、ステータコア111(電磁鋼板200)の軸心Oを回転軸として一方向に、1枚の電磁鋼板、または、基準となる方向(の向き)を揃えた複数枚の電磁鋼板の単位で、電磁鋼板を、所定の角度で回しながら、電磁鋼板を積層することである。所定の角度は、通常は、一定であるが、一定でなくてもよい。回し積みを行うことにより、複数の電磁鋼板は、磁化容易方向の向きがずれた状態で積層されるようになる。
本実施形態では、以下のようにして回し積みを行う角度を定める。
まず、ティース間角度θsを求める。ティース間角度θsは、周方向において間隔をあけて相互に隣り合う位置にある2つのティースの中心線のなす角度(中心角)であり、以下の(6)式で表される。
θs=360÷Ns×Np ・・・(6)
ここで、Nsは、ステータコアのスロットの数(個)である。スロットは、周方向において間隔をあけて相互に隣り合う位置にある2つのティースの間の領域(空間)であり、巻線が配置される領域である。スロットの数は、ティースの数と同じである。
Npは、ティース間角度θsが正の整数になるまで、1から順に1ずつ増加させる正の整数である。360÷Nsが正の整数である場合には、Npは、初期値(=1)である。一方、360÷Nsが正の整数でない場合、Npは、2以上の整数である。例えば、スロットの数Nsが48である場合、360÷Nsは、7.5(=360÷48)である。この場合、Npは、2になる。また、ティース間角度θsは、15°(=360÷48×2)である。
図1、図2A、および図2Bに示す例では、ティース間角度θsは、20°(=360÷18×1)である。
次に、磁化容易方向間角度θc(°)を求める。磁化容易方向間角度θcは、磁化容易方向に対して、中心線を一致させる2つのティースであって、周方向において最も近い位置関係とする2つのティースの中心線のなす角度(中心角)であり、以下の(7)式で表される。
θc=lcm(90,θs) ・・・(7)
ここで、lcm(a,b)は、aとbとの最小公倍数を示す。(7)式の90は、磁化容易方向230a、230bのなす角度が90°であることに対応する。
図1、図2A、および図2Bに示す例では、磁化容易方向間角度θcは、90°と20°との最小公倍数である180°である。
少なくとも1枚の電磁鋼板の磁化容易方向に対し、中心線が一致するティースの間のスロットの数Nm(個)を求める。少なくとも1枚の電磁鋼板の磁化容易方向に対し、中心線が一致するティースの間のスロットの数Nmは、以下の(8)式で表される。
Nm=Ns÷(360÷θc) ・・・(8)
図1、図2A、および図2Bに示す例では、少なくとも1枚の電磁鋼板の磁化容易方向に対し、中心線が一致するティースの間のスロットの数Nmは、9個(=18÷(360÷180))である。
次に、少なくとも1枚の電磁鋼板の磁化容易方向に対し、中心線が一致するティースの間のスロットの数Nmの約数Ndを求める。
図1、図2A、および図2Bに示す例では、少なくとも1枚の電磁鋼板の磁化容易方向に対し、中心線が一致するティースの間のスロットの数Nmの約数Ndは、9の約数である、1、3、9である。
本実施形態では、この約数Ndに基づいて、回し積みを行う角度θr(°)を求める。
例えば、以下の(9)式により、回し積みを行う角度θr(°)を求める。
θr=360÷Ns×Nc ・・・(9)
Ncは、約数Ndを用いて求められる数である。本実施形態では、1枚ずつ回し積みを行うものとする。この場合、Ncとして、少なくとも1枚の電磁鋼板の磁化容易方向に対し、中心線が一致するティースの間のスロットの数Nmの約数Ndのうち1を上回る最小の値Ndminに1を加算または減算した値(=Ndmin+1またはNdmin−1)を用いることができる。このようにしてNcを定める場合、図1、図2A、および図2Bに示す例では、回し積みを行う角度θrは、40°(=360÷18×(3−1))または80°(=360÷18×(3+1))である。例えば、回し積みに際して電磁鋼板200を回転させる角度の数が少ない場合に、このようにするのが好ましい。
また、少なくとも1枚の電磁鋼板の磁化容易方向に対し、中心線が一致するティースの間のスロットの数Nmの約数Ndの最小値(=1)をNcとしてもよい。この場合、図1、図2A、および図2Bに示す例では、回し積みを行う角度θrは、20°(=360÷18×1)である。例えば、回し積みに際して回転させる電磁鋼板200の数が多い場合には、このようにしてもよい。
図3Aは、回し積みを行う角度θrを40°とした場合の電磁鋼板200の高さ方向(Z軸方向)の位置関係の一例を示す図である。
図3Aにおいて、ティースの先端に示す(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、少なくとも1枚の電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースの位置を示す。
具体的には、1番上(最もZ軸の正の方向側)に配置される電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースは(A)の位置に配置される。上から2番目に配置される電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースは(B)の位置に配置される。同様に、上から3番目、4番目、5番目に配置される電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースは、それぞれ、(C)、(D)、(E)の位置に配置される。上から6番目以降も、上から1番目から5番目までと同様に、電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースは、それぞれ、上から順に(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の位置に配置される。即ち、nを1以上の整数とすると、上からn番目、n+1番目、n+2番目、n+3番目、n+4番目、n+5番目に配置される電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースの位置は、それぞれ、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)である。
図3Bは、回し積みを行う角度θrを80°とした場合の電磁鋼板200の高さ方向(Z軸方向)の位置関係の一例を示す図である。図3Bに示す(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の意味は、図3Aに示す(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の意味と同じである。
図3Cは、回し積みを行う角度θrを20°とした場合の電磁鋼板200の高さ方向(Z軸方向)の位置関係の一例を示す図である。図3Cに示す(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の意味は、図3Aに示す(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の意味と同じである。
図3Dは、回し積みを行う角度θrを120°とした場合の電磁鋼板200の高さ方向(Z軸方向)の位置関係の一例を示す図である。図3Dに示す(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の意味は、図3Aに示す(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の意味と同じである。
以上のように図3A〜図3Dでは、電磁鋼板200の磁化容易方向230aの向きが、5枚の周期で高さ方向(Z軸方向)において変更される場合を例に挙げて示す。
図3A〜図3Dにおいて、位置(A)、(B)、(C)、(D)、(E)にないティースには、当該ティースの中心線と一致する磁化容易方向230aは(1つも)存在しない。
図3A〜図3Dに示す例では、中心線と一致する磁化容易方向230aが(1つも)存在しないティースが存在するようにステータコア111が構成される。
また、図3A〜図3Cに示す例では、少なくとも1枚の電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースの周方向における間隔は等間隔ではない。少なくとも1枚の電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致する2つのティースを、第1のティースおよび第2のティースとする。第1のティースと、周方向の一方向において第1のティースに最も近い位置関係にある第2のティースと、の2つのティースの中心線のなす角度(のうち小さい方の角度)と、第1のティースと、周方向の他方向において第1のティースに最も近い位置関係にある第2のティースと、の2つのティースの中心線のなす角度(のうち小さい方の角度)と、を、第1のティースを異ならせて求めた場合に、当該角度の少なくとも1つは同じでない。
図3A〜図3Cに示す例において、少なくとも1枚の電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースは、位置(A)〜(E)のティースである。
図3Aに示す例では、例えば、位置(A)のティースと、周方向の一方向(紙面に向かって反時計方向)において当該位置(A)のティースに最も近い位置関係にある位置(B)のティースとの2つのティースの周方向における間隔と、位置(A)のティースと、周方向の他方向(紙面に向かって時計回りの方向)において当該位置(A)のティースに最も近い位置関係にある位置(E)のティースとの2つのティースの周方向における間隔と、は同じでない。
図3Bに示す例では、例えば、位置(A)のティースと、周方向の一方向(紙面に向かって反時計方向)において当該位置(A)のティースに最も近い位置関係にある位置(D)のティースとの2つのティースの周方向における間隔と、位置(A)のティースと、周方向の他方向(紙面に向かって時計回りの方向)において当該位置(A)のティースに最も近い位置関係にある位置(C)のティースとの2つのティースの周方向における間隔と、は同じでない。
図3Cに示す例では、例えば、位置(A)のティースと、周方向の一方向(紙面に向かって反時計方向)において当該位置(A)のティースに最も近い位置関係にある位置(A)のティースとの2つのティースの周方向における間隔と、位置(A)のティースと、周方向の他方向(紙面に向かって時計回りの方向)において当該位置(A)のティースに最も近い位置関係にある位置(E)のティースとの2つのティースの周方向における間隔と、は同じでない。
一方、図3Dに示す例では、位置(A)のティースと、位置(B)のティースと、位置(C)のティースの周方向における間隔は等間隔である。具体的に、位置(A)のティースの中心線と、位置(B)のティースの中心線とのなす角度のうち最小の角度と、位置(B)のティースの中心線と、位置(C)のティースの中心線とのなす角度のうち最小の角度と、位置(A)のティースの中心線と、位置(C)のティースの中心線とのなす角度のうち最小の角度は全て同じ(=120°)である。
また、図3A〜図3Cに示す例では、少なくとも1枚の電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致する位置(A)〜(E)のティースはそれぞれ異なるティースである。これに対し、図3Dに示す例では、少なくとも1枚の電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致する位置(A)のティースと、位置(D)のティースは同じティースである。従って、図3A〜図3Cに示す例の方が、図3Dに示す例よりも、電磁鋼板200の磁化容易方向230aを分散して配置することができる。よって、図3A〜図3Cに示す例の方が、図3Dに示す例よりも、ステータコア111の周方向における磁気特性をより均一化することができるので好ましい。従って、例えば、回し積みに際して電磁鋼板200を回転させる角度の数が少ない場合には、(9)式のNcとして、Ndよりも、1、Ndmin+1、またはNdmin−1を用いて、図3A〜図3Cのようにして回し積みするのが好ましい。
また、図3A〜図3Bに示す例の方が、図3Cに示す例よりも、少なくとも1枚の電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースの周方向における間隔を均一化することができる。従って、回し積みに際して電磁鋼板200を回転させる角度の数が少ない場合には、図3A〜図3Bに示す例の方が、図3Cに示す例よりも、ステータコア111の周方向における磁気特性をより均一化することができるのでより好ましい。即ち、回し積みに際して電磁鋼板200を回転させる角度の数が少ない場合には、(9)式のNcとして、1よりも、Ndmin+1またはNdmin−1を用いるのがより好ましい。
以上のようにして回し積みを行う際に、少なくとも1枚の電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースの全てにおいて、当該ティースの中心線に対し、磁化容易方向230aが一致している電磁鋼板200の数は同じであるのが好ましい。ステータコア111の周方向における磁気特性を均一化することができるからである。図3A〜図3Cに示す例では、ステータコア111を構成する電磁鋼板200の数を5の倍数とすれば、このようにすることができる。図3A〜図3Cに示す例において、例えば、ステータコア111を構成する電磁鋼板200の数を100枚とする。この場合、少なくとも1枚の電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致する位置(A)〜(E)のティースの全てにおいて、当該位置(A)〜(E)のティースの中心線に対し、磁化容易方向230aが一致している電磁鋼板200の数は、それぞれ20(=100÷5)になり、同じになる。
[まとめ]
以上のように本実施形態では、ティースの周方向における中心線と磁化容易方向230aとが一致するように電磁鋼板200を形成する。そして、電磁鋼板200を回し積みして、電磁鋼板200の磁化容易方向230aの向きが、高さ方向(Z軸方向)において周期的に変更されるようにする。従って、ステータコア111の周方向における磁気特性が可及的に均一になることと、均一化した磁気特性が可及的に優れるようにすることとの双方が実現されるように、電磁鋼板を積層することが可能になる。ステータコア111の周方向における磁気特性が可及的に均一になることにより、回転電機に発生するコギングを低減することができる。また、均一化した磁気特性が可及的に優れるようになることにより、ステータコイルに流す電流の大きさを小さくしても所望のトルクを発生させることができると共に回転電機(ステータ)の銅損を低減することができる。よって、電磁鋼板の特性を有効に活用したステータコアを構成することができる。
また、本実施形態では、電磁鋼板200を回し積みする際に、少なくとも1枚の電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースの全てにおいて、当該ティースの中心線に一致する磁化容易方向230aの数を同じにする。従って、ステータコア111の周方向における磁気特性をより均一化することができる。
[変形例]
<変形例1>
本実施形態では、2つの磁化容易方向230a、230bのうち、1つの磁化容易方向230aをティースの中心線に一致させ、残りの1つの磁化容易方向230bをティースの中心線に一致させないようにする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、2つの磁化容易方向230a、230bの磁気特性は、理論的には同じであるので、磁化容易方向230a、230bを区別せずに回し積みをしてもよい。即ち、一方の磁化容易方向230aをティースの中心線に一致させ、他方の磁化容易方向230bをティースの中心線に一致させない電磁鋼板と、他方の磁化容易方向230bをティースの中心線に一致させ、一方の磁化容易方向230bをティースの中心線に一致させない電磁鋼板とが混在していてもよい。
<変形例2>
本実施形態では、インナーロータ型の回転電機を例に挙げて説明した。しかしながら、アウターロータ型の回転電機であってもよい。尚、前述したように回転電機は、電動機(モータ)であっても発電機であってもよい。電動機は、直流電動機であっても交流電動機であってもよい。交流電動機は、例えば、同期電動機であっても誘導電動機であってもよい。同期電動機は、例えば、永久磁石界磁型電動機であっても、リラクタンス型電動機であっても、電磁石界磁型電動機(巻線界磁型電動機)であってもよい。また、これら以外の種々の公知の構造も採用可能である。
<変形例3>
本実施形態では、電磁鋼板の磁化容易方向の少なくとも1つが、ティースの中心線の何れかに一致する場合を例に挙げて説明した。このようにすればステータコア111の磁気特性をより高めることができるので好ましい。
しかしながら、磁化容易方向の向きがずれた状態で複数の電磁鋼板が積層されるようにしていれば、必ずしもこのようにする必要はない。このようにする場合、電磁鋼板の磁化容易方向と、ティースの中心線との位置関係を無視して打ち抜き加工をすることができるので、製造工程の負荷を軽減することができる。
<変形例4>
本実施形態では、ステータコアを例に挙げて説明した。しかしながら、電磁鋼板の積層方向に軸を有する形状の積層コアであれば、積層コアは、ステータコアに限定されない。例えば、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板を用いて積層コアを構成し、当該積層コアを、SPMモータ(Surface Permanent Magnet Motor)のロータコアとしてもよい。例えば、インナーロータ型のSPMモータである場合、ロータコアの形状は概ね中空の円筒形状である。従って、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板を、ロータコアの平面形状に合わせて打ち抜いて回し積みを行う場合、回し積みを行う角度には、本実施形態で説明したような制約がない。ただし、回し積みを行う角度は小さい方が好ましい。ロータコアの周方向における磁気特性を均一化することができるからである。尚、ロータコアを構成する場合も、圧延方向に対するロータコアの各部の位置関係が、ロータコアを構成する全ての電磁鋼板において同じになるようにする。また、ロータコアとステータコアの双方に対して、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板を用いて積層コアを適用してもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。複数枚の電磁鋼板200の単位で電磁鋼板200を回し積みする場合にも、第1の実施形態で説明した方法で、電磁鋼板200を回し積みすることができる。しかしながら、複数枚の電磁鋼板200の単位で電磁鋼板200を回し積みする場合には、電磁鋼板200を回転させる角度の数が極端に少なくなる場合がある。例えば、電磁鋼板の基準となる方向の周方向における位置の、高さ方向(Z軸方向)におけるパターンが周期的に繰り返されず、一周期分しかない場合がある。本実施形態では、このような場合について説明する。このように本実施形態と第1の実施形態とは、回し積みの方法の一部が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図3Dに付した符号と同一の符号を付すなどして詳細な説明を省略する。
図4は、回転電機の構成の一例を示す図である。図4は、図1(b)に対応する図であり、回転電機をその側方(図1(a)の白抜きの矢印線の方向)から見た図(側面図)の一例を示す。尚、回転電機をその上方から見た図(平面図)の一例は、図1(a)に示すものと同じである。
本実施形態でも、第1の実施形態で説明した電磁鋼板200を回し積みすることによりステータコア411を構成する。ただし、本実施形態では、基準となる方向(例えば、圧延方向)を揃えた複数枚の電磁鋼板を1つの単位とし、当該複数枚の電磁鋼板ごとに、電磁鋼板200の基準となる方向の周方向における位置を、高さ方向(Z軸方向)において異ならせる。図4に示す例では、基準となる方向を揃えて積層された30枚の電磁鋼板を1つのブロックとし、合計3個のブロック420a、420b、420cを用意する。
そして、高さ方向(Z軸方向)において相互に隣り合う2つのブロック420a〜420b、420b〜420cの電磁鋼板200の磁化容易方向230a、230bの向きが相互に異なるように各ブロック420a〜420cを回し積みする。3つのブロック420a〜420cを回し積みする場合、ステータコア111の周方向における磁気特性を均一化する観点から、高さ方向(Z軸方向)において相互に隣り合う2つのブロック420a〜420b、420b〜420cの、電磁鋼板200の基準となる方向のなす角度のうち小さい方の角度は、同じ(=120°)であるのが好ましい。
図5は、回し積みを行う角度θrを120°とした場合の電磁鋼板200の高さ方向(Z軸方向)の位置関係の一例を示す図である。図5において、ティースの先端に示す(A)、(B)、(C)は、少なくとも1枚の電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースの位置を示す。
具体的には、1番上(最もZ軸の正の方向側)に配置されるブロック420aに含まれる電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースは(A)の位置に配置される。真ん中に配置されるブロック420bに含まれる電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースは(B)の位置に配置される。一番下に配置されるブロック420cに含まれる電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースは(C)の位置に配置される。
以上のようにしてステータコア411を構成する場合の回し積みを行う角度θrは、(9)式において、NcとしてNdminを採用することと等価である。尚、この場合、回し積みを行う角度θrは、電磁鋼板200のそれぞれに個別に定められるもの(電磁鋼板1枚単位の角度)ではなく、ブロック420a〜420c(複数枚の電磁鋼板)毎に定められるものである(同一のブロックに含まれる電磁鋼板200に対する回し積みを行う角度θrは同じである)。また、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明したように、ステータコア411に対して、歪取焼鈍が行われる。
[まとめ]
以上のように本実施形態では、電磁鋼板200の磁化容易方向230aの向きが、複数の電磁鋼板200の単位で異なるように、ブロック420a〜420c単位で回し積みを行うに際し、少なくとも1枚の電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースの周方向における間隔を等間隔とする。従って、第1の実施形態で説明した効果に加え、ブロック420a〜420c単位で回し積みを行うことにより電磁鋼板200を回転させる角度の数が極端に少なくなる場合でも、ステータコア411の周方向における磁気特性を均一化することができる。
[変形例]
本実施形態のようにブロック420a〜420cに含まれる電磁鋼板200の数は同じであるのが好ましい。少なくとも1枚の電磁鋼板200の磁化容易方向230aに対し中心線が一致するティースの全てにおいて、当該ティースに対し、磁化容易方向230aが一致している電磁鋼板200の数を同じにすることができるからである。しかしながら、各ブロックに含まれる電磁鋼板200の数は異なっていてもよい。
また、本実施形態においても、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。第1の実施形態および第2の実施形態では、ステータコアのティースの数が4の倍数以外である場合を例に挙げて説明した。このため、2つの磁化容易方向230a、230bのうち、1つの磁化容易方向230aをティースの中心線に一致させ、残りの1つの磁化容易方向230bをティースの中心線に一致させない。これに対し、ステータコアのティースの数が4の倍数であれば、2つの磁化容易方向の双方をティースの中心線に一致させることができる。そこで、本実施形態では、ステータコアのティースの数が4の倍数である場合について説明する。このように本実施形態と第1〜第2の実施形態とは、ステータコアのティースの数が異なることによる構成が主として異なる。ここでは、ステータコアのティースの数が8個である場合を例に挙げて説明する。
図6は、電磁鋼板600の圧延方向610と磁化容易方向630a、630b(磁気特性が最も優れる方向)の一例を示す図である。図6は、図2Bに対応する図である。
第1の実施形態で説明したように、本実施形態でも、ステータコアを構成する全ての電磁鋼板600において、当該電磁鋼板600の各ティース(ここでは8個のティース)を構成する領域620a〜620hの、圧延方向610に対する位置関係が同じになるようにする。また、第1の実施形態で説明したように、電磁鋼板600の各ティースを構成する領域620a〜620hの、圧延方向610に対する位置関係は、例えば、圧延方向610と、電磁鋼板600の各ティースを構成する領域620a〜620hの中心線とのなす角度で表される。
図6において、破線の仮想線630a〜630bは、電磁鋼板600の磁化容易方向である。前述したように、圧延方向610となす角度のうち小さい方の角度が45°となる2つの方向が磁化容易方向である。図6において、圧延方向610となす角度のうち小さい方の角度が45°となる2つの方向が磁化容易方向630a、630bとなる。
本実施形態では、8個のティースが周方向において等間隔に配置される。従って、周方向において間隔をあけて相互に隣り合う位置にある2つのティースの中心線のなす角度のうち小さい方の角度(中心角)は、45°(=360÷8)である。また、磁化容易方向630a、630bのなす角度は、90°である。従って、2つの磁化容易方向630a、630bを、ティースを構成する領域620b、620hの中心線に一致させることができる。
回し積みを行う角度は、例えば、(9)式のNcを1として計算すればよい。このことは、回し積みを行う電磁鋼板600の数の単位が1枚単位であっても複数枚(ブロック)単位であっても同じである。
ステータコアのティースの数が8個である場合、ステータコアのスロットの数Nsは8個になる。従って、Ncを1とすれば、(9)式より、回し積みを行う角度θrは、45°(=360÷8×1)になる。
図7は、回し積みを行う角度θrを45°とした場合の電磁鋼板600の高さ方向(Z軸方向)の位置関係の一例を示す図である。図7において、ティースの先端に示す(A)、(B)は、少なくとも1枚の電磁鋼板600の磁化容易方向630aまたは630bに対し中心線が一致するティースの位置を示す。
具体的には、1番上(最もZ軸の正の方向側)に配置される電磁鋼板600(またはブロック)の磁化容易方向630aまたは630bに対し中心線が一致するティースは、(A)の位置に配置される。上から2番目に配置される電磁鋼板600(またはブロック)の磁化容易方向630aまたは630bに対し中心線が一致するティースは、(B)の位置に配置される。nを1以上の整数とすると、上からn番目、n+1番目に配置される電磁鋼板600(またはブロック)の磁化容易方向630aまたは630bに対し中心線が一致するティースの位置は、それぞれ、(A)、(B)である。尚、第2の実施形態で説明したように、ブロックとは、基準となる方向を揃えて積層された複数枚の電磁鋼板である。
第1の実施形態で説明したように、少なくとも1枚の電磁鋼板600の磁化容易方向630aまたは630bに対し中心線が一致するティースの全てにおいて、当該ティースの中心線に対し、磁化容易方向630aまたは630bが一致している電磁鋼板600の数を同じにするのが好ましい。本実施形態では、ステータコア711を構成する全てのティースが、少なくとも1枚の電磁鋼板600の磁化容易方向630aまたは630bに対し中心線が一致するティースになる。即ち、中心線と一致する磁化容易方向630aまたは630bが(1つも)ないティースは存在しない。
また、本実施形態では、少なくとも1枚の電磁鋼板600の磁化容易方向630aまたは630bに対し中心線が一致するティースの周方向における間隔は等間隔である(図7を参照)。また、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明したように、ステータコア711に対して、歪取焼鈍が行われる。
[まとめ]
以上のように本実施形態では、ステータコア711のティースの数を、4の倍数とする。2つの磁化容易方向630a、630bのうち磁化容易方向630aが、磁化容易方向630aにおいて軸心Oを介して相互に対向する位置にある2つのティースの中心線に一致し、且つ、2つの磁化容易方向630a、630bのうち磁化容易方向630bが、磁化容易方向630bにおいて軸心Oを介して相互に対向する位置にある2つのティースの中心線に一致するようにする。従って、電磁鋼板600の特性を最大限に活用することができる。即ち、ステータコア111の周方向における磁気特性を均一にする効果と、均一化した磁気特性が可及的に優れるようにする効果との双方を最大限に発揮させることができる。尚、本実施形態では、例えば、磁化容易方向630a、630bが第1の方向、第2の方向に対応する。ここで、磁化容易方向630a、630bの磁気特性は、ほぼ一致しているが、厳密には同じではない。従って、ステータコア711のティースの数が4の場合であっても回し積みをすることによって、ステータコア111の周方向における磁気特性を均一にする効果を(ステータコア711のティースの数が8以上の4の倍数である場合に比べれば小さくなるが)得られる。また、例えば、打ち抜き加工により電磁鋼板600を形成する場合、打ち抜き加工時に電磁鋼板600に形成されるバリが揃うことを抑制することができ、ステータコア111の磁気特性をより向上させることができる。
[変形例]
本実施形態では、2つの磁化容易方向630a、630bのうち、1つの磁化容易方向630aを位置(A)のティースの中心線に一致させ、残りの1つの磁化容易方向230bを位置(B)のティースの中心線に一致させる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、2つの磁化容易方向630a、630bの磁気特性は、理論的には同じであるので、磁化容易方向630a、630bを区別せずに回し積みをしてもよい。即ち、位置(A)のティースの中心線に一致する磁化容易方向に、磁化容易方向630a、630bが混在していてもよい。この場合、位置(B)のティースの中心線に一致する磁化容易方向にも、磁化容易方向630a、630bが混在する。
その他、本実施形態においても、第1の実施形態および第2の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
(計算例)
次に、計算例を説明する。
本計算例では、計算対象の回転電機を、三相の永久磁石界磁型電動機とする。回転電機の極数は12極とし、スロットの数は18とする。ロータコアの外径は、163.0mm、内径は、30.0mm、高さ(積厚)は、50.0mmとする。ステータコアの外径は250.0mm、内径は165.0mm、高さ(積厚)は50.0mmとする。ステータの各相には、実効値10A、周波数100Hzの励磁電流が印加されるものとし、これに伴い、ロータが回転数1000rpmで回転するものとする。
回転電機のステータコアに用いる電磁鋼板として、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板と、公知の無方向性電鋼板とを用いる。何れの電磁鋼板も、厚みは0.25mmである。公知の無方向性電磁鋼板として、W10/400が12.8W/kgの無方向性電磁鋼板を用いた。W10/400は、磁束密度が1.0T、周波数が400Hzのときの鉄損である。また、当該公知の無方向性電磁鋼板は、圧延方向のみで磁気特性が優れている。
(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板は、図2Aおよび図2Bを参照しながら説明したようにして打ち抜かれるものとした。
このようにして打ち抜かれた、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板を、図3Aを参照しながら説明したようにして回し積みすることにより構成されるステータコアを、第1の解析対象のステータコアとした。
また、このようにして打ち抜かれた、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板を、圧延方向を揃えて積層することにより構成されるステータコアを、第2の解析対象のステータコアとした。
また、公知の無方向性電鋼板は、各ティースを構成する領域の、圧延方向に対する位置関係が同じになり、且つ、圧延方向がステータコアのティースの中心線の1つの方向と同じになるように打ち抜かれるものとした。
このようにして打ち抜かれた、公知の無方向性電鋼板を、圧延方向を揃えて積層することにより構成されるステータコアを、第3の解析対象のステータコアとした。
以上の第1〜第3の解析対象のステータコアのそれぞれを用いて前述した寸法および形状となるように構成される回転電機を、計算対象の回転電機とした。そして、各回転電機を前述した条件で運転した場合の、第1〜第3の解析対象のステータコアのB50の平均値とコギングトルクを、有限要素法による数値解析(コンピュータシミュレーション)を行うことにより導出した。尚、数値解析には、JSOL株式会社製の有限要素法電磁場解析ソフトJMAGを利用した。その結果を、表4に示す。
Figure 2021083165
表4において、開発材(回し積み)は、第1の解析対象のスタータコアに対する結果を示す。開発材(一方向で積層)は、第2の解析対象のスタータコアに対する結果を示す。従来材は、第3の解析対象のステータコアに対する結果を示す。表4に示す値は、従来材の値を1.000とする場合の相対値である。
表4に示すように、公知の無方向性電鋼板を、回し積みをせずに圧延方向を揃えて積層した場合(従来材)に比べ、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板を、回し積みをせずに圧延方向を揃えて積層した場合(開発材(一方向で積層))の方が、B50の平均値が2.7%大きくなる。また、公知の無方向性電鋼板を、回し積みをせずに圧延方向を揃えて積層した場合(従来材)に比べ、積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板を、回し積みして積層した場合(開発材(回し積み))の方が、B50の平均値が3.3%大きくなる。
また、公知の無方向性電鋼板を、回し積みをせずに圧延方向を揃えて積層した場合(従来材)に比べ、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板を、回し積みをせずに圧延方向を揃えて積層した場合(開発材(一方向で積層))の方が、平均トルクが0.3%大きくなる。また、公知の無方向性電鋼板を、回し積みをせずに圧延方向を揃えて積層した場合(従来材)に比べ、積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板を、回し積みして積層した場合(開発材(回し積み))の方が、平均トルクが0.4%大きくなる。
以上のように、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板を、回し積みして積層することにより、ステータコアにおけるB50をより大きくし、平均トルクを大きくすることができる。
また、公知の無方向性電鋼板を、回し積みをせずに圧延方向を揃えて積層した場合(従来材)に比べ、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板を、回し積みをせずに圧延方向を揃えて積層した場合(開発材(一方向で積層))の方が、コギングトルクが0.1%低減する。また、公知の無方向性電鋼板を、回し積みをせずに圧延方向を揃えて積層した場合(従来材)に比べ、積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板を、回し積みして積層した場合(開発材(回し積み))の方が、コギングトルクが0.2%低減する。このように、(積層コアに使用する電磁鋼板)の項で説明した電磁鋼板を、回し積みして積層することにより、電動機の動作時にコギングが発生することをより確実に抑制することができる。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100:回転電機、110:ステータ、111,411,711:ステータコア、120:ロータ、200,600:電磁鋼板、210,610:圧延方向、230a〜230b,630a〜630b:磁化容易方向

Claims (12)

  1. 複数の電磁鋼板を有する積層コアであって、
    前記積層コアは、前記複数の電磁鋼板の積層方向に軸を有する形状であり、
    前記電磁鋼板は、
    質量%で、
    C:0.0100%以下、
    Si:1.50%〜4.00%、
    sol.Al:0.0001%〜1.0%、
    S:0.0100%以下、
    N:0.0100%以下、
    Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%〜5.00%、
    Sn:0.000%〜0.400%、
    Sb:0.000%〜0.400%、
    P:0.000%〜0.400%、および
    Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、Cdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%〜0.0100%を含有し、
    Mn含有量(質量%)を[Mn]、Ni含有量(質量%)を[Ni]、Co含有量(質量%)を[Co]、Pt含有量(質量%)を[Pt]、Pb含有量(質量%)を[Pb]、Cu含有量(質量%)を[Cu]、Au含有量(質量%)を[Au]、Si含有量(質量%)を[Si]、sol.Al含有量(質量%)を[sol.Al]としたときに、以下の(A)式を満たし、
    残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
    圧延方向のB50をB50L、圧延方向とのなす角度が90°の方向のB50をB50C、圧延方向となす角度のうち小さい方の角度が45°となる2つの方向のB50のうち一方の方向のB50、他方の方向のB50を、それぞれ、B50D1、B50D2としたときに、以下の(B)式且つ(C)式を満たし、{100}<011>のX線ランダム強度比が5以上30未満であり、板厚が0.50mm以下であり、
    前記複数の電磁鋼板は、磁気特性が最も優れる方向の向きがずれた状態で積層され、
    前記磁気特性が最も優れる方向は、前記圧延方向となす角度のうち小さい方の角度が45°となる2つの方向であることを特徴とする積層コア。
    ([Mn]+[Ni]+[Co]+[Pt]+[Pb]+[Cu]+[Au])−([Si]+[sol.Al])>0% ・・・(A)
    (B50D1+B50D2)/2>1.7T ・・・(B)
    (B50D1+B50D2)/2>(B50L+B50C)/2・・・(C)
  2. 前記複数の電磁鋼板は、磁気特性が最も優れる方向の向きが、前記電磁鋼板の積層方向において周期的にずれた状態で積層されていることを特徴とする請求項1に記載の積層コア。
  3. 前記積層コアは、ステータコアであり、
    前記ステータコアは、周方向において間隔を有して配置される複数のティースを有し、
    前記複数のティースのうち少なくとも1つのティースの周方向における中心線と、少なくとも1枚の前記電磁鋼板の磁気特性が最も優れる2つの方向の少なくとも1つの方向とが一致することを特徴とする請求項1または2に記載の積層コア。
  4. 少なくとも1枚の前記電磁鋼板の磁気特性が最も優れる方向に対し前記周方向における中心線が一致している前記ティースの前記周方向における間隔は等間隔であることを特徴とする請求項3に記載の積層コア。
  5. 前記ティースの数は、4の倍数であり、
    少なくとも1枚の前記電磁鋼板の磁気特性が最も優れる2つの方向のうちの第1の方向において軸心を介して相互に対向する位置に2つの前記ティースが位置し、
    少なくとも1枚の前記電磁鋼板の磁気特性が最も優れる2つの方向のうちの第2の方向において軸心を介して相互に対向する位置に2つの前記ティースが位置し、
    前記第1の方向において軸心を介して相互に対向する位置に位置する2つの前記ティースの周方向における中心線と、少なくとも1枚の前記電磁鋼板の前記第1の方向とが一致し、
    前記第2の方向において軸心を介して相互に対向する位置に位置する2つの前記ティースの周方向における中心線と、少なくとも1枚の前記電磁鋼板の前記第2の方向とが一致することを特徴とする請求項3または4に記載の積層コア。
  6. 少なくとも1枚の前記電磁鋼板の磁気特性が最も優れる方向に対し前記周方向における中心線が一致している前記ティースの前記周方向における間隔は等間隔でないことを特徴とする請求項5に記載の積層コア。
  7. 少なくとも1枚の前記電磁鋼板の磁気特性が最も優れる方向に対し前記周方向における中心線が一致している前記ティースの全てにおいて、当該ティースの周方向における中心線に対し前記電磁鋼板の磁気特性が最も優れる方向が一致している前記電磁鋼板の数が同じであることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の積層コア。
  8. 全ての前記ティースに、当該ティースの周方向における中心線に対し前記磁気特性が最も優れる方向が一致する前記電磁鋼板が少なくとも1枚含まれることを特徴とする請求項3〜7の何れか1項に記載の積層コア。
  9. 前記複数の電磁鋼板のそれぞれにおいて、前記磁気特性が最も優れる方向として、前記ティースの周方向における中心線と一致する方向が少なくとも1つあることを特徴とする請求項3〜8の何れか1項に記載の積層コア。
  10. 前記複数の電磁鋼板のそれぞれにおいて、当該電磁鋼板の各ティースを構成する領域の、圧延方向に対する位置関係が同じであることを特徴とする請求項2〜9の何れか1項に記載の積層コア。
  11. 前記電磁鋼板の磁気特性が最も優れる方向の向きが、前記電磁鋼板の積層方向において、複数の前記電磁鋼板の単位でずれていることを特徴とする請求項2〜10の何れか1項に記載の積層コア。
  12. 請求項1〜11の何れか1項に記載の積層コアを有することを特徴とする回転電機。
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