しかしながら、上記の0℃から−8℃の新温度帯で保存する保存方法や保存室を備えた冷蔵室においては次のような不都合があった。すなわち、安全衛生面から考えると、腐敗細菌の増殖が−8℃以上では抑制できず、−8℃を超えると抑制され、−8℃以下では増殖がほぼ停止する。このため、0℃から−8℃の温度帯では使用者に安心感を与える貯蔵方法としては不十分である。
また、味や風味といった面では、微生物の影響の他に酵素その他による生化学的な作用による変化があるが、温度が低いほど変化は少なくなる。色素酸化として代表的な牛肉やマグロ中に含まれるミオグロビンの酸化は、特に−5℃から−8℃付近の温度域においてその反応速度高まるとされている。このため、0℃から−8℃の温度帯ではこれらの食品の外観的な品位が低下し見た目においしさを感じにくい。
一方、−18℃以下の冷凍においては、食品は完全に凍結してしまうため、使いたい分だけ使えないという不便さや、冷凍と解凍でエネルギーを大きく消耗するというデメリットがある。
また、−18℃以下の冷凍室に食品を収納した場合に比べ、−8℃以上の新温度帯で保存した場合、食品の細胞の水分の80%以上が氷になる0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が通常冷凍よりもよりいっそうの超緩慢凍結になってしまい、解凍した時のドリップなどが増加する。
また、従来の冷蔵庫の構成では、上記の0℃から−8℃の新温度帯で保存する保存方法は切替室の温度を切り替えて使用してもらうしか方法はなかった。しかしながら、切替室は保存の目的で使用されていることがほとんどであり、目的に応じて切替室を使い分けることは保存されている食品をすべて切替室以外の他室に移す手間がかかっていて実際には固定の温度帯で使用するしかないのが現状であった。
従って、従来の冷蔵庫の切替室3には蓄冷トレイ3bが設置されているが、蓄冷トレイ3bの上は保存している食品でうまっているのが常である。これらの食品をかきわけて作ったスペースに温かい食品15を設置するとすでに保存していた冷却後の食品16と接触し、すでに保存していた冷却後の食品の表面部が一時的に解凍されてしまうのは否めない事実であった。
温かい食品をいれることで切替室3の庫内温度が上昇すると他の食品に対して品質低下や菌の増加、腐敗などの悪影響を及ぼし、かつ冷気循環経路への霜つきが発生し故障や能力低下の原因となるという問題点があった。また、蓄冷トレイ3bの効果は温かい食品が接触した時、接触面に一時的な効果があるのみであり、温かい食品の中心部まですみやかに冷却できるものではなかった。
また、蓄冷トレイ3bは切替室3内の庫内温度と同一の温度であり、例えば切替室3の庫内温度をソフトフリージングの−7℃に設定していた場合には、蓄冷トレイ3bの温度は−7℃であり、新しくいれた食品の品温が−7℃に到達する時に、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が緩慢になってしまうという問題点があった。
冷凍時に、0℃から−5℃までの凍結速度が緩慢であると食品内にできた氷の結晶の体積が増え細胞膜と細胞壁が破れて細胞破壊が生じ、解凍した時に食感に弾力がなくなったり、破壊された細胞内部の水分が外部へ流出することでドリップ量が多くなるために食感が悪くなったりするという課題があった。
また、従来の冷蔵庫でアイスクリームなどの氷菓をつくる場合は、例えば、生クリーム、牛乳、砂糖、卵などの材料を混ぜ合わせて冷凍室5に入れ冷却し、ある程度凍結したところで一旦攪拌し、約30分おきに攪拌をつづけることにより、氷菓が凍結する際に形成される氷結晶を砕いて小さくすることで少しでもなめらかなアイスクリームを手作りしていた。
しかしながら、この方法ではアイスクリームのミックスを約30分おきにおよそ5回以上攪拌をしなければならないため、大変な手間がかかっており、また攪拌をするために冷凍室5の扉を開閉するたびに、庫内の温度が室温付近まで上昇するため、アイスクリームミックスの凍結する速度が非常に緩慢冷凍になっていた。
従って、手間隙をかけてせっかく作ったアイスクリームも氷結晶が大きくジャリジャリとした食感で、滑らかなおいしいアイスクリームを作ることはできなかった。それだけでなく、庫内の温度が上昇するため、冷凍室5内の他の冷凍食品にも一時的に表面部が解凍されるなどの悪影響が生じたり、庫内の温度を下げるために省エネと逆行するといった問題点があった。
また、切替室3を約−7℃のソフトフリージングに設定して急冷することで攪拌することなく手作りのアイスクリームを作る方法では、−7℃ではアイスクリームの食べ頃温度である−12℃よりも5℃も高いためアイスクリームの食味としては柔らかすぎてしまうという課題があった。
また、−7℃からの急冷となるため、緩慢冷凍に近くなり、アイスクリームを攪拌せずに滑らかに作れる程度の凍結速度で凍結させることができなかった。
これらのことより、従来の0℃以下の温度帯における保存方法または保存機器は保存性或いは使い勝手のいずれかに焦点をあてたものであり、これらの双方を満足させたり、食味性の向上など新たな機能を備えたものではなかった。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、食品の保存性と食味性および使い勝手を兼ね備えた食品の冷凍方法およびこの冷凍方法が可能な冷凍冷蔵庫を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1℃/分を下限として凍結する凍結工程と、前記食品の中心温度が0℃から−17℃のいずれかの温度になるように保存する保存工程とからなり、前記食品の品温を前記保存温度まで少なくとも前記凍結速度以上で凍結することにより保存後の食品の品質を改善することができる。
食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1/分以上の速度で凍結するので、冷凍食品の品質を保持する期間が平均して1年間以上保持されるとされる−18℃より高い温度であり細菌の繁殖や色の変化が懸念される−17℃以上の保存においても食品の保存後の品質を改善できる。
また、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1/分以上の速度で凍結するので、特に色素変化がおこりやすい−3℃から−7℃付近の温度帯の保存においては、牛肉やマグロ中に含まれるミオグロビンの酸化の反応速度を抑制して、外観的な品位が低下するのを防止できる。
また、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1℃/分以上の速度で凍結するので、特に食品の細胞が凍結した時に生成される氷結晶が肥大化しやすい温度帯である−2℃から−7℃付近の保存においては、保存した食品を解凍した時に肥大化した氷結晶により細胞が破壊されておこる食品細胞内の水分やうまみなどの成分(ドリップ)の流出を防止することができる。
また、例えば、食品の中心温度が室温以上の温かい食品であっても同様の効果を得ることができる。
以上のことから、食品を冷凍前の品質をできる限りそのままに維持し保存性が向上し、かつそれぞれの保存温度に食品を保存した時の使い勝手などの利便性も考慮した保存方法ができることとなる。
また、食品の中心温度が−20℃から−40℃になるまで凍結させるものである。
食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1℃/分を下限として、前記食品の中心温度が−20℃から−40℃になるまで凍結されるので、食品の分子の状態をガラス状態にすることができ、庫内の温度上昇による食品の解凍と再凍結の繰り返しにも比較的耐性がある状態で保存することができる。
また、食品の中心温度が−20℃から−40℃になるまで凍結されるので、−20℃以下で壊死する菌を死滅させるため、食品中の菌の絶対数を減少させることができる。
また、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1℃/分を下限として、前記食品の中心温度が−20℃から−40℃になるまで凍結し、前記食品の中心温度が−20℃から−40℃のいずれかの温度で保存し、前記食品の中心温度が2℃から−12℃のいずれかの温度になるまで解凍するため、−20℃以下の食品の分子がガラス化した状態で長期に保存が可能であり、かつ必要な時に食品に最適な温度まで解凍して使用することができる。
また、食品が収納できる処理室と、この処理室の冷却手段と加熱手段と、前記冷却手段と前記加熱手段とを制御して前記処理室内を所定温度に維持させる温度制御手段と、前記温度制御手段の設定温度と終了時間を設定できるコントロールパネルと急凍スタートボタンとを有し、前記温度制御手段が、前記調理スタートボタンからの操作信号を入力し、前記コントロールパネルの入力設定条件に従って、前記冷却手段と前記加熱手段とを運転してこの保存方法を行うことができる冷凍冷蔵庫であり、新温度帯における食品の品質をあげることができる上、保存以外の使い勝手を向上するような新しい提案をすることができる。
本発明によれば、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1/分以上の速度で凍結するので、冷凍食品の品質を保持する期間が平均して1年間以上保持されるとされる−18℃より高い温度であり細菌の繁殖や色の変化が懸念される−17℃以上の保存においても食品の鮮度の指標となるメト化を表す色差や、一般生菌数の増加などを抑制し、保存後の品質を大幅に改善することができる。
また、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1/分以上の速度で凍結するので、特に色素変化がおこりやすい−3℃から−7℃付近の温度帯の保存においては、牛肉やマグロ中に含まれるミオグロビンの酸化の反応速度を抑制して、外観的な品位が低下するのを防止でき、冷凍ほどの保存をしない要しない場合においては、−3℃の微凍結域で使い勝手が良いだけでなく、色の変色もなく、品質のよい状態で使用することができる。
また、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1℃/分以上の速度で凍結するので、特に食品の細胞が凍結した時に生成される氷結晶が肥大化しやすい温度帯である−2℃から−7℃付近の保存においては、保存した食品を解凍した時に肥大化した氷結晶により細胞が破壊されておこる食品細胞内の水分やうまみなどの成分(ドリップ)の流出を防止することができるため、食品が調理しやすく、また調理した時にうまみがのこっておいしい効果がある。
また、例えば、食品の中心温度が室温以上の温かい食品の場合は、急冷効果があるので、温かい食品中の水分が蒸発するのを抑制し、水分を保持したままおいしく冷却することができ、調理後のおいしさを向上させることができ、またゼリーやアイスクリームなどの冷菓については調理時間を短縮することができる。
また、食品の中心温度が−20℃から−40℃になるまで凍結させるものである。
請求項2の発明では、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1℃/分を下限として、前記食品の中心温度が−20℃から−40℃になるまで凍結されるので、食品の分子の状態をガラス状態にすることができ、庫内の温度上昇による食品の解凍と再凍結の繰り返しにも比較的耐性がある状態で保存することができる。
また、食品の中心温度が−20℃から−40℃になるまで凍結されるので、−20℃以下で壊死する冷凍耐性のない菌を壊死させるため、食品中の菌の絶対数を減少させることができ、より保存性を向上させることができる。
また、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1℃/分を下限として、前記食品の中心温度が−20℃から−40℃になるまで凍結し、前記食品の中心温度が−20℃から−40℃のいずれかの温度で保存し、前記食品の中心温度が2℃から−12℃のいずれかの温度になるまで解凍するため、−20℃以下の食品の分子がガラス化した状態で長期に保存が可能であり、かつ必要な時に食品に最適な温度まで解凍して使用することができる。
これにより、食品を冷凍前の状態を比較的保持した状態で、安定して長期的に保存し、必要な時に高品質のまま解凍して提供することができるため、急な対応にも可能である。
また、食品が収納できる処理室と、この処理室の冷却手段と加熱手段と、前記冷却手段と前記加熱手段とを制御して前記処理室内を所定温度に維持させる温度制御手段と、前記温度制御手段の設定温度と終了時間を設定できるコントロールパネルと急凍スタートボタンとを有し、前記温度制御手段が、前記調理スタートボタンからの操作信号を入力し、前記コントロールパネルの入力設定条件に従って、前記冷却手段と前記加熱手段とを運転してこの保存方法を行うことができる冷凍冷蔵庫であり、新温度帯での食品の保存の品質をあげることができ、食品の変色を抑制し、鮮度を保って保存できる上、保存以外ではアイスクリームやシャーベットなど冷却を用いた調理性が向上するような新しい提案をすることができる。
請求項1に記載の発明は、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1℃/分を下限として凍結する凍結工程と、前記食品の中心温度が0℃から−17℃のいずれかの温度になるように保存する保存工程とからなり、前記食品の品温を前記保存温度まで少なくとも前記凍結速度以上で凍結することにより保存後の食品の品質を改善することができる。
請求項1記載の発明では、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1/分以上の速度で凍結するので、冷凍食品の品質を保持する期間が平均して1年間以上保持されるとされる−18℃より高い温度であり細菌の繁殖や色の変化が懸念される−17℃以上の保存においても食品の保存後の品質を改善できる。
また、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1/分以上の速度で凍結するので、特に色素変化がおこりやすい−3℃から−7℃付近の温度帯の保存においては、牛肉やマグロ中に含まれるミオグロビンの酸化の反応速度を抑制して、外観的な品位が低下するのを防止できる。
また、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1℃/分以上の速度で凍結するので、特に食品の細胞が凍結した時に生成される氷結晶が肥大化しやすい温度帯である−2℃から−7℃付近の保存においては、保存した食品を解凍した時に肥大化した氷結晶により細胞が破壊されておこる食品細胞内の水分やうまみなどの成分(ドリップ)の流出を防止することができる。
また、例えば、食品の中心温度が室温以上の温かい食品であっても同様の効果を得ることができる。
以上のことから、食品を冷凍前の品質をできる限りそのままに維持し保存性が向上し、かつそれぞれの保存温度に食品を保存した時の使い勝手などの利便性も考慮した保存方法ができることとなる。
請求項2の発明では、請求項1の発明に加えて、食品の中心温度が−20℃から−40℃になるまで凍結させるものである。
食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1℃/分を下限として、前記食品の中心温度が−20℃から−40℃になるまで凍結されるので、食品の分子の状態をガラス状態にすることができ、庫内の温度上昇による食品の解凍と再凍結の繰り返しにも比較的耐性がある状態で保存することができる。
また、食品の中心温度が−20℃から−40℃になるまで凍結されるので、−20℃以下で壊死する菌を死滅させるため、食品中の菌の絶対数を減少させることができる。
請求項3の発明では、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1℃/分を下限として、前記食品の中心温度が−20℃から−40℃になるまで凍結し、前記食品の中心温度が−20℃から−40℃のいずれかの温度で保存し、前記食品の中心温度が2℃から−12℃のいずれかの温度になるまで解凍するため、−20℃以下の食品の分子がガラス化した状態で長期に保存が可能であり、かつ必要な時に食品に最適な温度まで解凍して使用することができる。
請求項4の発明では、請求項1の発明に加えて、食品の中心温度が−12℃±2℃になるように保存させるものであり、食品の保存品質と使い勝手を兼ね備えた保存を提供することができる。
また、食品の中心温度が0℃から−5℃になるまでの最大氷結晶生成帯を通過する時の凍結速度が0.1℃/分で氷結晶を小さく凍結させ、−12℃付近で保存するので、例えば手作りのアイスクリームやシャーベットなどの氷菓などを攪拌する手間なく滑らかにおいしくつくることができ、かついつでも食べたい時に食べ頃の温度で提供することができる。
また、−12℃付近での保存においては、牛肉など熟成を要する食品やイカ、エビなどは貯蔵中に蛋白質が徐々に分解され、−18℃で保存した場合よりもうまみが向上する。即ち食品を高品質な状態で凍結させてかつ旨みの熟成を安全な貯蔵環境下で行うことができる。
また、ジャムなど糖分の高い食品も氷結晶の生成が生じない範囲で保存期間を最大限に延長することができる。
請求項5の発明では、請求項3の発明に加え、食品の中心温度が−12℃±2℃のいずれかの温度になるまで解凍するものであり、アイスクリームやシャーベットなどの氷菓を手作りした時に、ミックスが凍結した時に微細な氷結晶を生成させ、かつガラス状態でしっかりとしたボディーを形成し、安定した状態で保存したものを、食べたい時に食べ頃の温度まで解凍しておいしく提供することができる。
請求項6の発明は請求項1から5のいずれか一項記載の発明に加えて、食品は水分、糖分、脂肪分を含み、水分が80%から100%であるものであり、氷結晶が生成される水分がほとんどを占めるものであり、凍結速度や保存方法により食品の状態や保存後の品質に差が大きく、より品質の高い食品を提供できる。
請求項7の発明は請求項1から5のいずれか1項記載の発明に加えて、食品は炭水化物またはタンパク質または脂肪を主成分とする生鮮食品であり、加熱調理を施して食品の品温が室温以上の温かいものでも菌の繁殖を抑えて品質よく保存することができることとなる。
請求項8の発明は食品が収納できる処理室と、この処理室の冷却手段と加熱手段と、前記冷却手段と前記加熱手段とを制御して前記処理室内を所定温度に維持させる温度制御手段と、前記温度制御手段の設定温度と終了時間を設定できるコントロールパネルと急凍スタートボタンとを有し、前記温度制御手段が、前記調理スタートボタンからの操作信号を入力し、前記コントロールパネルの入力設定条件に従って、前記冷却手段と前記加熱手段とを運転してこの保存方法を行うことができる冷凍冷蔵庫であり、新温度帯における食品の品質をあげることができる上、保存以外の使い勝手を向上するような新しい提案をすることができる。
請求項9は請求項8の発明に加えて、食品を処理することができる処理スペースを冷凍室内に設けたことにより、この冷凍方法の処理専用として処理スペースを有効活用でき、使い勝手が向上する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の冷凍方法を行うための概略構成図であり、図2と図3は同実施の形態の冷凍方法を実施したときの食品の温度変化を示す特性図であり、図4は同実施の形態の冷凍方法を実施するためのコントロールパネルである。
図1において、21は食品であり、22は食品21を載置するための容器である。23は熱伝導性が良く、熱収縮による応力変化に耐えうる強度がある材質からなる冷却プレートであり、24は例えば冷凍サイクルにより冷却された蒸発器で冷却された冷却空気を送風する冷気循環ファンと天面吐出風路からなる送風手段であり、25は例えば冷凍サイクルに接続されている冷却配管からなる冷却手段であり、冷却プレート23と送風手段24を介して容器22に載置した食品21を冷却する。
本実施の形態では、食品21として例えば手作りのアイスクリーム(凍結前のミックスの状態)を使用している。図4において、26は例えば冷凍冷蔵庫本体1の外側の一部に設けたコントロールパネルであり、27は使用者の好みなどにあわせた冷凍方法を選択する冷凍方法設定表示手段であり、急凍キー、深温キー、解凍キー、手作りアイスクリームキー等が設けられている。コントロールパネル26には、さらに、保存温度または解凍温度を設定するための保存解凍温度設定表示手段28が設けられている。
本実施の形態では食品21としてアイスクリームミックス(アイスクリームの原材料をミックスしたもの)を使用している。
次に本実施の形態の食品の冷凍方法を説明する。
まず、例えば手作りの無添加でなめらかなおいしいアイスクリームを作る場合を説明する。鍋に牛乳400ccとバニラビーンズ1本を入れて弱火にかけ沸騰する直前(60℃程度)に火からおろした。
ボウルに卵黄4個とグラニュー糖120gを入れて泡だて器で空気を含ませながら白くもったりした状態になるまでよく混ぜたところに、鍋で温めた牛乳をいれてとろみがつくまでかきまぜ、別のボウルに生クリーム100ccをもったりするくらいまで泡立てたものを加えてさらにかきまぜた。
これをアイスクリームミックスとした。そのアイスクリームミックス1を、冷凍耐性があり、熱伝導率の良い例えばアルミなどのカップに150cc程度ずつ注ぎ、容器22にアイスクリームミックスを注いだカップを載置した。次に直ちにアイスクリームミックス21を載置した容器22を冷却プレート23に載置し、コントロールパネル26の冷凍方法設定表示手段27で手作りアイスクリームキーをONすると冷凍方法設定表示手段27の表示がアイスクリーム手作り中と表示され、その時の図2の破線に示すように冷却プレート23の設定温度を−30℃、送風手段24の吐出風路から吐出される吐出冷気が−30℃とした。
次に、コントロールパネル26の保存解凍温度設定表示手段28の保存キーの上下により保存解凍温度設定表示が−12℃になるように設定した。
このときのアイスクリームミックス1の温度は図2の実線に示すように、初期温度が約50℃で、5℃/分の冷却速度で約10分後に0℃に達し、約0.25℃/分の凍結速度で約20分後に−5℃に達し、約30分後には−30℃以下に品温が降下した。
本実施の形態の食品の冷凍方法で冷凍した手作りのアイスクリームは、アイスクリームのおいしさの指標となる氷結晶の観察を行った。氷結晶は電界放射型走査電子顕微鏡(クライオSEM)を用いて観察を行った。実施の形態1で作成したアイスクリームの氷結晶は、氷結晶の形が明確で大きさも均一に揃っており、壁厚は約10μmのごく薄いものであった。
また、氷結晶の大きさは30から50μm程度の小さいものであった。また、官能評価においても、舌触りがきめこまかく、食感が滑らかに感じ、濃度差が少なく、均一なために味が濃く感じるために評価が高かった。
比較例1(従来の通常の方法で作った手作りアイスクリーム)として、実施の形態1の場合と同様に、鍋に牛乳400ccとバニラビーンズ1本を入れて弱火にかけ沸騰する直前(60℃程度)に火からおろした。ボウルに卵黄4個とグラニュー糖120gを入れて泡だて器で空気を含ませながら白くもったりした状態になるまでよく混ぜたところに、鍋で温めた牛乳をいれてとろみがつくまでかきまぜ、別のボウルに生クリーム100ccをもったりするくらいまで泡立てたものを加えてさらにかきまぜた。
これをアイスクリームミックスとした。そのアイスクリームミックス21を、冷凍耐性があり、熱伝導率の良い例えばアルミなどのカップに150cc程度ずつ注ぎ、庫内温度が−18℃以下の冷凍室に載置した。冷凍開始から1時間後、1時間30分後、2時間後、2時間半後の計4回、スプーンでアイスクリームを攪拌した。
この時のアイスクリームの温度は図5の実線に示すように、庫内温度が約−20℃の冷凍室に入れて、アイスクリームの初期温度が約50℃で約60分後に0℃に達し、その時冷凍室の庫内を開けてスプーンでアイスクリームを攪拌した。その時、冷凍室庫内は一時的に25℃の室温まで昇温し、アイスクリームの品温も5℃以上に昇温した。再び、冷凍室を閉めて凍結を開始してからさらに30分おきにアイスクリームを攪拌するとともに0℃以上にアイスクリームの温度が昇温した。
比較例1の食品の冷凍方法で冷凍したアイスクリームについても電界放射型走査電子顕微鏡(クライオSEM)で氷結晶の観察を行った。比較例1で作ったアイスクリームの氷結晶はひとつひとつの形状は不均一で、壁厚が約50μmあり分厚かった。また、氷結晶の大きさが150μmから300μmと大きかった。
また、官能評価において、舌触りがジャリジャリとした食感で、味が水っぽく感じるため、アイスクリームというよりはシャーベットに近いような食感だったため、アイスクリームとしての評価は低かった。
比較例2(急冷ソフトフリージング)として、実施の形態1の場合と同様に、鍋に牛乳400ccとバニラビーンズ1本を入れて弱火にかけ沸騰する直前(60℃程度)に火からおろした。ボウルに卵黄4個とグラニュー糖120gを入れて泡だて器で空気を含ませながら白くもったりした状態になるまでよく混ぜたところに、鍋で温めた牛乳をいれてとろみがつくまでかきまぜ、別のボウルに生クリーム100ccをもったりするくらいまで泡立てたものを加えてさらにかきまぜた。
これをアイスクリームミックスとした。そのアイスクリームミックス1を、冷凍耐性があり、熱伝導率の良い例えばアルミなどのカップに150cc程度ずつ注ぎ、庫内温度が約−7℃の切換室に載置し、急冷をスタートさせた。
この時のアイスクリームの温度は図6の実線に示すように、庫内温度が約−7℃の冷凍室に入れて、アイスクリームの初期温度が約50℃で約120分後に0℃に達し、約240分後にアイスクリームの品温が−7℃に到達した。
比較例2の食品の冷凍方法で冷凍したアイスクリームについても電界放射型走査電子顕微鏡(クライオSEM)で氷結晶の観察を行った。比較例2で作ったアイスクリームの氷結晶も比較例1の氷結晶と同様、ひとつひとつの形状は不均一で、壁厚が約50μmあり分厚かった。また、氷結晶の大きさが150μmから300μmと大きかった。
また、官能評価において、舌触りがジャリジャリとした食感で、味が水っぽく感じるため、アイスクリームというよりはシャーベットに近いような食感だったため、アイスクリームとしての評価は低かった。
このことから実施の形態1の食品の冷凍方法で冷凍した手作りのアイスクリームは、食感が滑らかで味が均一に濃く感じてアイスクリームとして満足のいくおいしさであり、比較例1と比較例2の冷凍方法で作ったアイスクリームは、氷結晶が大きいために食感がジャリジャリとした氷を食べているような食感がし、また分離しているために水っぽく感じ、アイスクリームとしてのおいしさには欠けていた。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2の食品の冷凍方法を実施したときの食品の温度変化を示す特性図であり、図8は同実施の形態の比較例1を実施した時の食品の温度変化を示す特性図である。なお、実施の形態1と同一構成については、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施の形態では、食品21としてミンチ肉を使用している。
次に本実施の形態の加熱調理を施した食品の冷凍方法を説明する。
実施の形態2では、食品21として一般的なスーパーで購入した牛ミンチ肉を使用しており、トレイの上に牛ミンチを載置しラップ包装してあるもので、購入直後の牛ミンチ肉の品温は10℃から20℃であった。牛ミンチ21を処理室に載置し、図7の破線に示すように冷却プレート23の設定温度を−30℃、送風手段24の吐出風路から吐出される吐出冷気が−30℃とした。
このときの牛ミンチ21の温度は図7の実線に示すように、初期温度が約15℃で、約20分後に0℃に達し、約30分後に−5℃に達した。この時、処理室の温度を−3℃になるように温度調整をおこない、5日間保存した。
本実施の形態の冷凍方法で冷凍した牛ミンチは、牛ミンチの鮮度の指標となる色差を測定した。牛ミンチは良質であれば鮮赤色であり鮮度が良いと評価され、酸化によりメト化が進行すると褐色に変化し、鮮度が悪いと評価される。色彩値をミノルタ製CR−2000を用いて測定した。牛ミンチの鮮度は、赤色度合いがその良し悪しに大きく影響するため、a値で官能評価との相関がとれることが明らかとなっている。購入直後の牛ミンチのa値は約29であった。
実施の形態2の冷凍方法で5日保存後の牛ミンチのa値は約24であった。牛ミンチのa値が22以上であれば、充分調理に気持ちよく使用できる程度の赤色を呈しており新鮮さが保持できているといえるため、実施の形態2の牛ミンチは充分新鮮な条件を満たしているといえる。
比較例(パーシャル保存)として、実施の形態1の場合と同様に、食品21として一般的なスーパーで購入した牛ミンチ肉を使用しており、トレイの上に牛ミンチを載置しラップ包装してあるもので、購入直後の牛ミンチ肉の品温は10℃から20℃であった。牛ミンチ1を庫内温度が図8の破線に示すように庫内温度が約−3℃のパーシャル室に収納した。
このときの牛ミンチ1の温度は図8の実線に示すように、初期温度が約15℃で、品温が−3℃に到達するのに約240分以上の時間を要した。−3℃で5日間保存した。
比較例の冷凍方法で冷凍した牛ミンチは、実施の形態2と同様に色差を測定したところ、a値は20であり、気持ちよく調理に使用できる限界の閾値である22を下回っていた。色は鮮赤色が退色し、若干グレーと緑がかった褐色であり、メト化が進行していた。
なお、実施の形態1と2において、食品の種類と容器の収納形態及び材質は、これに限定されるものではない。
なお、実施の形態1と2において、温度、時間の数値は、これに限定されるものではない。
なお、実施の形態2において、保存期間はこれに限定されるものではなく、従来よりも保存期間を延長できる効果が期待できる。