本発明の1実施形態の制動装置は、図1に示すモータ2を制動するものである。このモータ2は、例えば三相ブラシレスモータである。
このモータ2は、例えば水平または傾斜配置されたコンベヤを駆動する。例えばコンベヤがベルトコンベヤの場合には、モータ2はベルトが張架されているプーリを駆動し、例えばローラコンベヤの場合、モータは、各ローラのうち1つの内部に設けられ、そのローラを駆動する。水平に配置されたコンベヤの場合、モータ2を停止させるために通電が停止された後、外力例えば慣性力が搬送物品の重量の相違によって異なる。また、傾斜配置されたコンベヤの場合、モータ2を停止させるために通電が停止された後、搬送する物品の重量の搬送方向の分力によってモータ2に外力が加えられる。この分力も搬送する物品によって異なる。
また、モータ2は、電動広告装置に使用されることもある。電動広告装置は、例えば間隔を隔てて2台のモータを例えば垂直に配置し、それらの間に複数の広告が垂直方向に記載されたシートを巻き付け、上方側または下方側のモータにシートを所定量(1つの広告の長さ寸法)ずつ巻き取ることによって広告を表示するものである。この場合、2つのモータに巻き付けられているシートの巻き取り径が変化し、その巻き取られているシートの量によって2つのモータに加わる垂直方向の外力が異なる。
モータ2は、その内部に位置検出部4を有している(図1では、説明の便宜上、モータ2の外部に示してある)。位置検出部4は、モータ2の回転子を検出するごとに出力信号のレベルが、例えばLレベルからHレベルに変化するもので、複数、例えば3個のホール素子からなる。これらホール素子は、所定角度、例えば60度ごとにモータ2内に配置されている。この位置検出部4から各ホール素子に対応した出力信号U、V、Wを発生する。
図2、図3の(a)、(b)、(c)に出力信号U、V、Wを示す。図2は、モータ2が正転している場合であり、図3はモータ2が逆転している場合である。モータ2が正転している場合、出力信号Vは出力信号Uよりも120度位相が進み、出力信号Wは出力信号Vよりも120度位相が進んでいる。モータ2が逆転している場合、出力信号Vは出力信号Uよりも120度位相が遅れ、出力信号Wは出力信号Vよりも120度位相が遅れている。
これら出力信号U、V、Wは、モータ駆動装置6に供給される。モータ駆動装置6は、外部駆動・停止指令入力部7から駆動指令が供給された状態において、別途与えられる指令によって定められた電流で定められた方向に駆動するように、出力信号U、V、Wに基づいてモータ2の制御を行う。この制御は、本発明とは直接に関連しないので、詳細な説明は省略する。
出力信号U、V、Wは、回転方向検出部8にも供給される。この回転方向検出部8は、モータ2の回転方向を表す回転方向検出信号を発生する。また、回転方向検出部8は、モータ2が所定角度回転するごとに回転検出信号、例えば回転角度量信号を発生する。
回転方向検出部8では、図4に示すように、出力信号Uがインバータ10で反転され、微分回路12に供給される。この微分回路12の出力は、図2(e)、図3(e)に示すように出力信号Uの立ち下がりに対応してHレベルとなる。インバータ10の出力は、更にインバータ14によって反転され、微分回路16に供給される。微分回路16の出力は、図2(d)、図3(d)に示すように出力信号Uの立ち上がりに対応して、Hレベルとなる。
微分回路12の出力は、2入力アンド回路18、22に供給され、微分回路16の出力は2入力アンド回路20、24に供給されている。アンド回路18、24には出力信号Vも供給され、アンド回路20、22には出力信号Wも供給されている。アンド回路18、20の出力は2入力ノア回路26に供給され、アンド回路22、24の出力は2入力ノア回路28に供給されている。ノア回路26の出力は、負論理フリップフロップ回路30の/S端子に供給され、ノア回路28の出力はフリップフロップ回路30の/R端子に供給されている。
従って、モータ2が正転している場合、アンド回路20には出力信号Uの立ち上がり信号(微分回路16の出力信号)と出力信号Wとが供給されているので、図2(f)に示すように出力信号Uの立ち上がりに同期してHレベルとなる出力信号が発生する。またアンド回路18には出力信号Uの立ち下がり信号(微分回路12の出力信号)と出力信号Vとが供給されているので、図2(g)に示すように出力信号の立ち下がりに同期してHレベルとなる出力信号が発生する。これらアンド回路18、20の出力が供給されているノア回路26の出力は、図2(h)に示すように出力信号Uの立ち上がり及び立ち下がりに同期してLレベルとなる。これが負論理フリップフロップ回路30の/S端子に供給されている。
一方、アンド回路22には出力信号Uの立ち下がり信号(微分回路12の出力信号)と出力信号Wとが供給されているので、図2(i)に示すようにアンド回路22の出力は常にLレベルである。同様にアンド回路24には出力信号Uの立ち上がり信号(微分回路16の出力信号)と出力信号Vとが供給されているので、図2(j)に示すようにアンド回路24の出力信号は常にLレベルである。これらLレベルであるアンド回路22、24の出力信号がノア回路28に供給されているので、ノア回路28の出力は図2(k)に示すように常にHレベルである。これが負論理フリップフロップ回路30の/R端子に供給されている。従って、負論理フリップフロップ回路30のC出力、即ち回転方向検出信号がLレベルとなり、モータ2が正転していることを表している。
同様にモータ2が逆転している場合には、図3(a)乃至(k)に示すように出力信号U、V、W、微分回路12、16、アンド回路18、20、22、24、ノア回路26、28、負論理フリップフロップ30の出力が変化し、回転方向検出信号がHレベルとなり、モータ2が逆転していることを表す。
インバータ10、14、微分回路12、16、アンド回路18、20、22、24、ノア回路26、28、負論理フリップフロップ30が回転方向検出手段を構成している。
微分回路12、16の出力信号はオア回路32に供給され、このオア回路32の出力は、出力信号Uの立ち上がり及び立ち下がりに同期してHレベルとなる。従って、オア回路32の出力は、モータ2の回転子の各極が出力信号Uを発生するホール素子の位置に到達するごとに、かつ離れるごとに、Hレベルとなる。即ち、モータ2が、所定角度ずつ回転するごとに、Hレベルとなり、回転信号、例えば回転角度量信号を発生している。例えば回転角度量信号は回転子が7.5度回転するごとに発生する。このオア回路32が、回転検出手段を構成している。
回転方向検出部8からの回転角度量信号は、図1に示すように遅延装置34に供給されている。遅延装置34には、外部駆動・停止指令入力部7から外部停止指令も供給されている。この外部停止指令は、駆動指令が供給されている間には、例えばHレベルにあり、駆動指令が消失するのに同期して例えばLレベルとなるものである。遅延装置34は、外部停止指令がLレベルになってからモータ2が予め定めた角度回転するのに要する時間が予め定めた時間よりも長くなったときにサーボ指令を発生する。
図5に示すように、遅延装置34では、回転角度量信号と外部停止指令がオア回路35に供給されている。従って、外部停止指令信号がHレベルであるとき、または回転角度量信号がHレベルになったとき(モータ2が所定角度回転したとき)、このオア回路35の出力信号はHレベルとなる。このオア回路35の出力信号は、計数手段、例えばカウンタ36のリセット端子に供給されている。このカウンタ36は、リセット端子にHレベルの信号が供給されるとリセットされ、その出力値を初期値、例えば0とする。従って、外部停止指令がHレベルである期間中、このカウンタ36はリセットされたままであり、停止指令がLレベルになったときから、このカウンタ36はカウントが可能になる。
このカウンタ36のクロック端子には、図示しないクロック発生器からのクロック信号が供給され、クロック信号が入力されるごとに、これをカウントする。このクロック信号は、例えば10KHzの周波数のものである。このカウンタ36がリセットされてから、このカウンタ36の出力端子Q10のレベルがHレベルになるためには、512発のクロック信号をカウントする必要があり、そのために必要な時間は、51.2m秒である。従って、外部停止指令がLレベルになってカウンタ36がカウント可能な状態になってから、この51.2m秒の時間が経過する前に、回転角度量信号がHレベルとなると、カウンタ36はリセットされ、再び0からカウントを開始する。カウンタ36において出力端子Q10がHレベルとなるには、回転角度量信号がHレベルとなって次にHレベルになるまでの時間(所定角度、例えば7.5度回転するのに要する時間)が51.2m秒以上になる必要がある。
カウンタ36の出力端子Q10の出力信号は、インバータ38を介して負論理フリップフロップ40の/R端子に供給されている。また、外部停止指令がインバータ42によって反転され、フリップフロップ40の/S端子に供給されている。従って、停止指令がLレベルになったときからフリップフロップ40の/S端子はHレベルであり、/R端子にはカウンタ36の出力端子Q10がHレベルになるまで、Hレベルの信号が供給されているので、フリップフロップ40の出力端子/Qは、Lレベルである。そして、カウンタ36の出力端子Q10がHレベルになったとき(外部停止指令が供給された後、モータ2が7.5度回転するのに51.2m秒以上かかるようになったとき)、フリップフロップ40の/R端子がLレベルとなり、/Q端子がHレベルになって、サーボ指令がHレベルとなる。
図1に示すように、このサーボ指令は、アップダウンカウント部44に供給される。アップダウンカウント部44には、回転方向検出部8から回転角度量信号と回転方向検出信号も供給されている。このアップダウンカウント部44は、サーボ指令が供給されると、モータ駆動装置6に対し、モータ2をブレーキ駆動することを指令するブレーキ駆動指令を供給し、かつ、このブレーキ駆動は回転方向検出信号が表している現在のモータ2の回転方向と逆の方向にモータを回転させるように行うことを指令する回転方向指令も供給する。モータ駆動装置6が、モータ制動制御手段として機能する。また、このブレーキ駆動においてモータ2に供給する電流値は、後述するブレーキ電流制御部46から供給されるブレーキ電流指令に応じた電流で行われる。
即ち、図6に示すように、アップダウンカウント部44は、2台のアップダウンカウンタ48、50を有している。これらカウンタ48、50は、イネーブル端子PEを有し、これにHレベルの信号が供給されている期間、カウント可能となる。このイネーブル端子PEにはサーボ指令が供給されている。従って、サーボ指令がHレベルになったとき(外部停止指令が供給された後、モータ2が7.5度回転するのに51.2m秒以上かかるようになったとき)、カウンタ48、50はカウント可能になる。またカウンタ48、50は、U/D端子も有し、これがHレベルのときにアップカウント可能な状態になり、Lレベルのときにダウンカウント可能な状態になる。カウンタ48のU/D端子には回転方向検出信号がそのまま供給され、カウンタ50のU/D端子には、回転方向検出信号をインバータ52によって反転させたものが供給されている。従って、回転方向検出信号がLレベルのとき(モータ2が正転しているとき)カウンタ50がアップカウントし、カウンタ48がダウンカウントする。また、回転方向検出信号がHレベルのとき(モータ2が逆転しているとき)カウンタ48がアップカウントし、カウンタ50がダウンカウントする。また、カウンタ48、50は、クロック端子を有し、これには回転角度量信号が供給され、これがHレベルになるごとに、カウンタ48、50はカウントを行う。
カウンタ50の4ビットの出力端子の出力は、オア回路54に供給されている。従って、オア回路54は、カウンタ50がカウント動作を開始すると、その出力がHレベルになる。このオア回路54の出力がブレーキ駆動指令としてモータ制御装置6に供給される。モータ駆動装置6は、オア回路54の出力がHレベルになったときブレーキ制御をする状態となり、ブレーキ電流指令に応じた電流をモータ2に供給する。
また、オア回路54の出力は、D型フリップフロップ56のクロック端子に供給され、そのD端子には回転方向検出信号が供給されている。従って、D型フリップフロップ56のQ端子は、外部停止指令が供給された後、モータ2が7.5度回転するのに51.2m秒以上かかるようになってカウンタ50がカウントを開始したとき、回転方向検出信号のレベルと同じレベルになり、/Q端子は回転方向検出信号のレベルと逆のレベルになる。モータ2が正転していることを回転方向検出信号が表しているとき、/Q端子の出力レベルはモータ2を逆転させることを表し、モータ2が逆転していることを回転方向検出信号が表しているとき、/Q端子の出力レベルはモータ2を正転させることを表している。この/Q端子の出力は、回転方向指令としてモータ駆動装置6に供給される。一度、カウントが始まると、オア回路54の出力は常にHレベルとなるので、D型フリップフロップ56の/Q端子の出力は保持され、この保持状態は、回転方向検出信号が反転し、カウンタ50の各出力が全てLレベルになるまで、継続する。
Q端子の出力は、ブレーキ電流制御部46を構成しているマルチプレクサ60に選択信号として供給されている。このマルチプレクサ60には、カウンタ48、50の各出力が供給され、フリップフロップ56のQ端子の出力、即ち選択信号がLレベルのとき、カウンタ50の4ビット出力をマルチプレクサ60の出力(ブレーキ電流指令)としてモータ駆動装置6に供給し、選択信号がHレベルのとき、カウンタ48の4ビット出力をブレーキ電流指令としてモータ駆動装置6に供給する。モータ駆動装置6では、このブレーキ電流指令の値に比例した電流をモータ2に供給し、この電流に比例した逆トルクを発生させる。
このように構成されたモータ制動装置は、次のように動作する。例えば、モータ2が水平に配置されたコンベヤを駆動し、今、駆動指令がモータ制御装置6に外部駆動・停止指令入力部7から与えられ、モータ2は正転しているとする。この状態では、回転方向検出部8から回転方向検出信号及び回転角度量信号がアップダウンカウント部44に供給されているが、サーボ指令が発生していないので、アップダウンカウント部44は、停止状態にある。
この状態において、外部駆動・停止指令入力部7から外部駆動指令が消失し、停止命令が発生する。この停止命令が遅延装置34に供給された後、モータ2が7.5度回転するのに51.2m秒以上かかるようになったとき、サーボ指令がアップダウンカウント部44に供給される。これによって、アップダウンカウンタ48、50がカウント可能状態となる。このとき、回転方向検出信号は、モータ2が正転していることを表しているので、アップダウンカウンタ48がダウンカウント状態、アップダウンカウンタ50がアップカウント状態となり、回転角度量信号のカウントを開始する。このカウントの開始によってオア回路54の出力がHレベルとなり、これがブレーキ駆動指令としてモータ駆動装置6に供給される。また、D型フリップフロップ56の/Q端子から回転方向指令がモータ駆動装置6に供給される。この回転方向指令は、モータ2を逆転させることを表している。また、このD型フリップフロップ56のQ端子の出力がマルチプレクサ60に供給され、マルチプレクサ60は、アップダウンカウンタ50の出力をブレーキ電流指令としてモータ駆動装置6に供給する。アップダウンカウンタ50の出力は、サーボ指令が供給された後のモータ2の回転角度を表しており、サーボ指令が発生してからモータ2が余り多く正方向に移動していない場合には、そのカウント値も小さく、モータ2に供給される電流は小さく、モータ2には余り大きな逆回転トルクは発生していない。しかし、カウント値が大きく、サーボ指令発生時点から正方向にかなり移動している場合には、モータ2に供給される電流値が大きくなり、大きな逆回転トルクがモータ2に発生する。このようにしてモータ2に逆回転トルクが発生してモータ2は一旦停止する。但し、コンベヤ上の物品は正転方向に或る程度移動している。
モータ2が停止すると、直ちにモータ2は逆転し始める。このとき、回転方向検出信号もモータ2が逆転していることを表しており、オア回路54の出力はLレベルにならないので、フリップフロップ56の/Q端子からの回転方向指令は保持され、逆転指示を継続するが、今までアップカウントしていたアップダウンカウンタ50がダウンカウント状態となり、今までダウンカウントしていたアップダウンカウンタ48がアップカウント状態となる。回転角度量信号に従って、アップダウンカウンタ50のカウント値は初期値(0)に向かって減少していく。これによって、モータ駆動装置6は、モータ2が大きな電流で逆転するように電流を流し、徐々にこの電流を小さくしていく。そして、アップダウンカウンタ50のカウント値が0になったとき、即ち、サーボ指令が発生したときと同じ位置までコンベヤ上の物品が戻ったとき、電流の供給が停止され、モータ2が停止する。このとき、モータ2に供給されている電流が徐々に小さくなっているので、殆ど慣性力は生じず、サーボ指令が発生したときと同じ位置を大きく超えて物品が停止することはない。コンベヤが搬送している物品の重量がどのような値のものであっても、同様にしてサーボ指令が発生したときとほぼ同じ位置に物品が停止させられる。このようにどのような重量の物品でもコンベヤ上のほぼ同じ位置に停止させられるので、零プレッシャーアキュムレーション(複数のコンベヤによって搬送ゾーンを形成し、物品を搬送しているゾーンには、新たに物品が入らないようにコンベヤを制御する搬送システム)に適用することができる。
モータ2が駆動指令に基づいて逆転している状態で、外部停止指令が供給されると、アップダウンカウンタ48のカウント値に基づいて上述したのと同様に制御が行われる。このように2台のアップダウンカウント48、50を使用しているので、モータ2が正転及び逆転いずれの方向に駆動されている場合でも、サーボ指令が発生したときとほぼ同じ位置に物品を停止させることができる。
次に、モータ2が斜め上方に向かって物品を搬送するように傾斜配置されたコンベヤを駆動し、今、駆動指令がモータ制御装置6に外部駆動・停止指令入力部7から与えられ、モータ2が正転して、物品を斜め上方に搬送しているとする。この状態でも、回転方向検出部8から回転方向検出信号及び回転角度量信号がアップダウンカウント部44に供給されているが、サーボ指令が発生していないので、アップダウンカウント部44は、停止状態にある。
この状態において、外部駆動・停止指令入力部7から外部駆動指令が消失し、停止命令が発生する。このとき、コンベヤ上の物品の重量のコンベヤの搬送方向に沿う斜め下方向きの分力がモータ2の慣性力よりも大きく、物品が下降し、モータ2が逆転するとする。停止命令が遅延装置34に供給された後、モータ2が7.5度逆回転するのに51.2m秒以上かかるようになったとき、サーボ指令がアップダウンカウント部44に供給される。
これによって、アップダウンカウンタ48、50がカウント可能状態となる。このとき、回転方向検出信号は、モータ2が逆転していることを表しているので、アップダウンカウンタ48がアップカウント状態、アップダウンカウンタ50がダウンカウント状態となり、回転角度量信号のカウントを開始する。このカウントの開始によってオア回路54の出力がHレベルとなり、これがブレーキ駆動指令としてモータ駆動装置6に供給される。
D型フリップフロップ56の/Q端子から回転方向指令がモータ駆動装置6に供給される。この回転方向指令は、モータ2を正転させることを表している。このD型フリップフロップ56のQ端子の出力がマルチプレクサ60に供給され、マルチプレクサ60は、アップダウンカウンタ48の出力をブレーキ電流指令としてモータ駆動装置6に供給する。
アップダウンカウンタ48の出力は、サーボ指令が供給された後のモータ2の回転角度を表しており、サーボ指令が発生してからモータ2が余り多く逆方向に移動していない場合には、そのカウント値も小さく、モータ2に供給される電流は小さく、モータ2には余り大きな正回転トルクは発生していない。しかし、カウント値が大きく、サーボ指令発生時点から逆方向にかなり移動している場合には、モータ2に供給される電流値が大きくなり、大きな正回転トルクがモータ2に発生する。このようにしてモータ2に正回転トルクが発生して、これが物品の分力と釣り合うと、モータ2は停止し、コンベヤ上の物品も停止する。この状態では、回転角度量信号は発生しないので、アップダウンカウンタ48のカウント値は変化せず、モータ2に供給される電流は、物品の重量の分力を打ち消すトルクを発生している状態を維持する。
このようにアップダウンカウンタのカウント値を利用して物品重量の分力を打ち消すようにしているので、搬送する物品の重量が異なったものであっても、物品がコンベヤ上を自然降下することを確実に防止することができる。なお、アップダウンカウンタ48、50の2組のアップダウンカウンタを設けているので、傾斜コンベヤが物品が斜め上方に物品を搬送する場合でも、斜め下方に物品を搬送する場合でも、物品をコンベヤ上に停止させることができる。なお、斜め上方にコンベヤで物品を搬送する場合であって、モータ2を停止させたときの慣性力が物品の分力よりも大きく、モータ2が正転を継続する場合、上述した水平コンベヤの場合と同様にしてモータは逆転させられる。慣性力が打ち消されると、実際にモータ2は逆転し、回転方向検出信号が変換し、アップダウンカウンタのカウント値が0の位置、即ちサーボ指令を発生した時点の位置まで逆転を継続する。その後、アップダウンカウンタが慣性によりカウントするため、モータ2は正転し、正転方向の制動力と物品の分力とが釣り合った位置でモータ2は停止する。
モータ2が電動広告装置に使用されている場合でも、傾斜配置されたコンベヤに使用されているモータと同様に制御される。
上記の実施の形態では、モータ2として三相ブラシレスモータを使用したが、これに限ったものではなく、公知の種々のモータを使用することができる。上記の実施の形態では、位置検出部4としてモータ2であるブラシレスモータが備えるホール素子を使用したが、これに限ったものではなく、例えばモータの回転軸に取り付けたロータリエンコーダを位置検出部として使用することもできる。上記の実施の形態では、遅延装置34としては、外部停止指令の供給後、モータ2が所定角度回転するのに予め定めた時間以上が必要となったときにサーボ指令を発生するものを使用したが、これに限ったものではなく、例えば外部停止指令を予め定めた時間だけ遅らせたものをサーボ指令として出力することもできるし、オア回路34を除去し、外部停止指令を直接にカウンタ36のリセット端子に供給し、回転角度量信号をカウンタ36のクロック端子に供給するようにしてもよい。このように構成すると、外部停止指令が供給された後、所定角度だけモータが回転したときにサーボ指令を発生することができる。