JP2005197068A - シールド接続構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】カシメ加工後のケーブル引き抜きに対してシールド層がバレルやスリーブからずれてしまうことを抑制して固着力を高め、ケーブルの抜けを防止して引き抜き強度を向上させることができるシールド接続構造を提供すること。
【解決手段】同一の内径で前後に開口した円筒部とその円筒部の外周面途中位置よりその外径が一端に向かって拡径隆起された拡径部とを備えるスリーブを、シールドケーブル端末部分のシース皮剥ぎにより露出されたシールド層の内側に、スリーブの円筒部から順に拡径部の少なくとも一部を覆う位置まで挿入し、このスリーブが挿入された部分のシールド層上に外導体シェルが備える圧着部のバレルをカシメ加工する。
【選択図】図1

Description

本発明は、同軸ケーブルなどのシールド層を有するシールドケーブルに接続されるコネクタのシールド接続構造に関する。
近年、カーナビゲーションシステム等の自動車の電気装置に内蔵される電子部品やIC(集積回路)等が実装された制御用のプリント基板へ伝送される電気信号は高速化(高周波化)され、また、そのプリント基板の基板パターンも密集し高密度化されてきている。一般的に、このような高周波の電気信号を伝送するために高周波対応の同軸ケーブルが用いられるが、伝送される電気信号のより高周波化に伴って、この同軸ケーブルに接続されるコネクタにも高周波対応小型化の要求がある。
同軸ケーブルの一般的な構造としては、電気信号等の伝送路として金属製の複数の素線を撚り束ねた信号導体と同じく複数の素線を編んだ編組線よりなるシールド層との間に絶縁体が介在され、その外周を同じく絶縁性のシースで覆った同軸の構造になっており、シールド層が信号導体の外周を一定の間隔を置いて隙間なく覆うことで高周波数の電気信号の伝達に適した構造になっている。
一般的に、このような高周波信号を伝送する同軸ケーブルの両端に接続される端子を内蔵した同軸コネクタには、ケーブルの信号導体と接続される内導体端子と、編組線などのシールド層と接続されると共に内導体端子の外周を覆って電磁的にシールドする外導体端子と、これら内導体端子と外導体端子の間に介在して設けられる所定の誘電率を有する誘電体とが備えられており、接続されるケーブル端末の信号線の絶縁体とシースが剥ぎ取られて露出した信号導体とシールド層にそれぞれ個別に電気的に接続される。
高周波の電気信号の伝送における同軸ケーブルの特性インピーダンスとこのケーブルの両端に接続される同軸コネクタの特性インピーダンスが一致しないと、信号の反射が起きる。反射はノイズの発生原因になり、エネルギー伝送の無駄にもなることから、通常、例えば50Ωというように設定して同軸ケーブルとのインピーダンスの整合が同軸コネクタにおいて図られている必要がある。同軸コネクタにおける特性インピーダンスは、一般的にその「外導体端子断面の内径と内導体端子断面の外径の比」および「誘電体の比誘電率」を調整して、接続される同軸ケーブルとのインピーダンス整合が図られている。
従来の高周波用の同軸コネクタとしては、下記特許文献1に開示されているものがある。このコネクタでは、同軸ケーブルへの組付け時のコネクタの外導体シェルの圧着部のバレルをシールド層へカシメ加工するに際し、絶縁体とシールド層の隙間にスリーブを挿入することで、同軸ケーブルの信号導体及び絶縁体の断面変形によるインピーダンス不整合の防止、及びカシメ時の剛性を高めてバレルとシールド層間、シールド層とスリーブ間の密着性をそれぞれ良くすることで固着力の向上が図られている。
特開2000−260540号
しかしながら、この特許文献1のスリーブを用いたシールド接続構造では、シールド層とスリーブ間の摩擦係数に前述の固着力が左右されるため、摩擦係数が低く固着力が弱いと、コネクタあるいはケーブルの強い引き抜きに対して、シールド層が軸方向にずれてしまうため、引き抜き強度を十分確保することが困難であった。この特許文献1に開示のスリーブには、スリーブ挿入時に不用意に没入しないようにとストッパとしての拡径テーパ部が設けられているが、このような薄肉のテーパ部では比較的容易に内側につぶれてしまうため、シールド層のずれを抑制してケーブルの抜けを防止するほどの効果が得られない。
そこで本発明が解決する課題は、カシメ加工後のケーブル引き抜きに対してシールド層がバレルやスリーブからずれてしまうことを抑制して固着力を高め、ケーブルの抜けを防止して引き抜き強度を向上させることができるシールド接続構造を提供することである。
上記課題を解決するため本発明に係るシールド接続構造は、信号線の外側を覆うシールド層と更にその外側を覆うシースとからなるシールドケーブルの端末部分とシールドコネクタの外導体シェルとのシールド接続構造であって、前後に開口した円筒部とその円筒部の外周面途中位置よりその外径が一端に向かって拡径隆起された拡径部とを備えるスリーブを、前記シールドケーブル端末部分の前記シース皮剥ぎにより露出された前記シールド層の内側に、前記スリーブの円筒部から順に拡径部の少なくとも一部を覆う位置まで挿入させると共に、このスリーブが挿入された部分のシールド層上に前記外導体シェルが備える圧着部のバレルがカシメ加工されていることを要旨とするものである。この場合、前記スリーブの拡径部の外周面が逆テーパ形状であると良い。
上記構成を有するシールド接続構造の発明によれば、前後に開口した円筒部とその円筒部の外周面途中位置よりその外径が一端に向かって拡径隆起された拡径部とを備えるスリーブを、シールドケーブル端末部分のシース皮剥ぎにより露出されたシールド層の内側に、スリーブの円筒部から順に拡径部の少なくとも一部を覆う位置まで挿入し、このスリーブが挿入された部分のシールド層上に外導体シェルが備える圧着部のバレルをカシメ加工するという構成なので、カシメ加工後のケーブル引き抜きに対してシールド層がバレルやスリーブからずれる方向に対して、シール層がバレルとスリーブの拡径部との間に挟圧保持される方向に力が働くことにより、シールド層のずれを抑制して固着力を高めケーブル引き抜き強度を向上させることができる接続信頼性の高いシールド接続構造である。
この場合、前記スリーブの拡径部の外周面が逆テーパ形状である構成すれば、シールド層がバレルやスリーブからずれる方向に対するバレルとスリーブの拡径部による挟圧保持力が指数関数的に増加するので、よりシールド層のずれが抑制され、ケーブルの抜けが防止される。
以下に、本発明に係るシールド接続構造の実施の形態について図面を参照して説明する。尚、本実施形態に係るシールド接続構造は、信号線が単線の同軸ケーブルや多数本有するいわゆる多芯シールドケーブルに適用されるもので、本実施例では特に信号線を一本有する同軸ケーブルに適用した場合について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシールド接続構造の断面図を示したものである。
図1に示されるように、同軸ケーブルWの端末部分に接続されるシールドコネクタ1は、内導体端子2、誘電体3、外導体端子4及びスリーブ5とで構成される。内導体端子2は、同軸ケーブルWの信号線Waの信号導体Wbに接続して高周波信号を伝達するもので、いわゆるメス型と呼ばれる端子形状を有している。
この内導体端子2を収容する誘電体3は、内導体端子2と外導体端子4の導体端子間を絶縁状態にするためのもので、所定の誘電率を有する樹脂製の絶縁部材により成形されており、後方から内導体端子2は挿入されて固定される。
外導体端子4は、同軸ケーブルWのシールド層Wdに接続して、内導体端子2の周囲を覆って電磁的にシールドするものである。この外導体端子4は、導電性板材を折り曲げ加工して前後に開口した中空状に形成された本体部4aを備えており、その本体部4a内には誘電体3が収容可能なっている。また、本体部4aの後方に延設された圧着部4bを備えている。
この圧着部4bの手前側には、載置されるシールド層Wd上にカシメ加工されるシールド層圧着バレル4c、更にその後側には、シースWe上にカシメ加工されるシース圧着バレル4dが形成されている。この場合、外導体端子4はシールド層圧着バレル4cにより、シールド層Wdと電気的に接続される。
図中の露出されたシールド層Wdの内側に挿入されているスリーブ5は、金属製材料あるいは硬質な樹脂材料により成形されたもので、図2に示すように同一の内径で前後に開口した円筒部5aとその円筒部5aの外周面途中位置5bよりその外径が一端に向かって拡径隆起された逆テーパ形状の拡径部5cとを備える。この円筒部5aの内外径はシースWe皮剥ぎにより露出されたシールド層Wdの内側に挿入可能な大きさに形成されている。
図1に示されるように、このスリーブ5を、シース皮剥ぎにより露出されたシールド層Wdと信号線Waとの間に、スリーブ5の円筒部5aから順に拡径部5cの少なくとも一部を覆う位置まで挿入してから、シールド層圧着バレル4cによるカシメ加工が行われる。カシメ加工の際には、スリーブ5の円筒部5aの外周がカシメ圧力を受けるので、内側の信号線Waに断面変形などの影響を与えることがない。
図示されるように、カシメ加工後のシールドコネクタ1あるいは同軸ケーブルWの引き抜きに対しては、シールド層Wdがシールド層圧着バレル4cやスリーブ5からずれる方向は図中の矢印Aとなる。これに対して、スリーブ5の拡径部5cが拡径隆起する外周面途中位置5b近傍のシールド層Wdは、図中の矢印B,Cの方向にシールド層圧着バレル4cと拡径部5cとの間に挟圧保持されることになる。
このような挟圧保持の作用により、シールド層Wdの矢印A方向へのずれが抑制され、その結果引っ張りによるケーブルの抜けが防止される。この場合、スリーブの拡径部5cの外周面が逆テーパ形状であるので、このような作用による挟圧保持力が指数関数的に増加するので、よりシールド層Wdのずれが抑制されることになる。
以上、本発明に係るシールド接続構造の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えばシールド層として、編組線シールドのタイプ、導電性テープの横巻きシールドタイプやこれらの併用タイプなどにも適用可能である。また、STP(シールド・ツイステッド・ペア)などのいわゆるシールドツイストペア電線などのケーブルにも適用可能なのは言うまでもなく、要は内部の信号線などの電線が同一のシールド層で覆われている構造を有しておれば実施可能である。また、上記実施の形態では、拡径部5cとして逆テーパ形状のものを示したが、段差状に拡形する等シールド層Wdをシールド層圧着バレル4cとの間で挟圧可能な他の形状も採用可能である。
本発明に係るシールド接続構造の一実施形態の断面を示した図である。 図1のスリーブの詳細説明図である。
符号の説明
1 シールドコネクタ
2 内導体端子
3 誘電体
3a フランジ部
4 外導体端子
4a 本体部
4b 圧着部
4c シールド層圧着バレル
4d シース圧着バレル
5 スリーブ
5a 円筒部
5b 外周面途中位置
5c 拡径部
W 同軸ケーブル
Wa 信号線
Wb 信号導体
Wd シールド層
We シース

Claims (2)

  1. 信号線の外側を覆うシールド層と更にその外側を覆うシースとからなるシールドケーブルの端末部分とシールドコネクタの外導体シェルとのシールド接続構造であって、前後に開口した円筒部とその円筒部の外周面途中位置よりその外径が一端に向かって拡径隆起された拡径部とを備えるスリーブを、前記シールドケーブル端末部分の前記シース皮剥ぎにより露出された前記シールド層の内側に、前記スリーブの円筒部から順に拡径部の少なくとも一部を覆う位置まで挿入させると共に、このスリーブが挿入された部分のシールド層上に前記外導体シェルが備える圧着部のバレルがカシメ加工されていることを特徴とするシールド接続構造。
  2. 前記スリーブの拡径部の外周面が逆テーパ形状であることを特徴とする請求項1に記載のシールド接続構造。
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