JP2005196819A - 光情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (1)凸部の径がランド幅の1/3以下、高さが2〜100nmの微細な凸凹を表面に設けることにより液体の疎液性を高くしたランドと、平滑な表面からなるグルーブを有する基板を用いた光情報記録媒体。
(2) 原盤用基板上全体に凸部の径がランド幅の1/3以下、高さが2〜100nmの微細な凸凹を形成する工程と、その上に感光性樹脂からなる薄膜を形成する工程と、レーザービームを集光して感光性樹脂を露光し潜像を形成する工程と、現像及び純水による洗浄によって感光性樹脂薄膜にパターンを形成し、現像された部分の底に微細な凸凹を現す工程とを有する光情報記録媒体の基板作製用原盤の製造方法。
【選択図】 図1
Description
また特許文献2には、熱によるクロスイレーズを減少させるため、ランドとグルーブの段差を100nm以上とするか、或いは、段差が100〜300nmの範囲でランド部及びグルーブ部の幅を0.7μm以下とする発明が開示されている。即ち、溝深さを通常よりも深くすることにより、レーザーでの記録によるマークの熱拡散を少なくし、クロスイレーズを減少させる方法をとっている。しかし、この方法によれば、通常の浅い溝の場合と比較して熱拡散を減少させることはできるが、溝深さを溝幅に対して大幅に大きくすることは信号特性上不可能であるし、ビームスポット径によっては隣接のトラックへの書き込み、読み出しが生じてしまう。
また特許文献4には、熱伝導率の小さい基板を用いて、記録材料がその基板の間に充填されるような構成の発明が開示されており、これにより隣接トラックへのクロスイレーズを減少させている。しかし、このような構成の媒体を作製するためには、特定の基板が必要であること、各媒体に対してRIEエッチングをしなければならないことなどから、工程が長くなり、製造コストが高くなってしまう。
また特許文献6には、プリフォーマット信号変動の少ない光情報記録媒体を得るため、光散乱性の粗面形状を有する基板を用いること及びその製造用原盤等が開示されており、特許文献7には、基材上に周囲に対して光反射率の異なる情報記録パターンを形成した光記録媒体が開示されているが、基板又は基材上に設けられた凹凸部の凹部が粗面である実施の態様も示されているように、何れの発明も、ランド上に記録再生可能な膜厚の記録層が形成されないようにするため、凸部であるランド表面に微細な凹凸を設けることを必須要件とする本願発明とは技術思想が全く異なる。
1) 凸部の径がランド幅の1/3以下、高さが2〜100nmの微細な凸凹を表面に設けることにより液体の疎液性を高くしたランドと、平滑な表面からなるグルーブを有する基板を用いたことを特徴とする光情報記録媒体。
2) グルーブに記録再生可能な膜厚の記録層が形成されており、ランドには記録層が形成されていないか、又は記録再生不可能な薄い膜厚の記録層しか形成されていないことを特徴とする1)記載の光情報記録媒体。
3) ランド表面の微細な凸凹の周期が、記録再生を行うレーザービームの波長の1/5以下であることを特徴とする1)又は2)記載の光情報記録媒体。
4) ランド表面の微細な凸凹の凸部の高さが、凸部の径の1/4以上であることを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の光情報記録媒体。
5) 凸部の径がランド幅の1/3以下、高さが2〜100nmの微細な凸凹を表面に設けることにより液体の疎液性を高くしたランドと、平滑な表面からなるグルーブを有する基板上に記録材料を塗布して、グルーブには記録再生可能な膜厚の記録層を形成し、ランドには記録層を形成しないか、又は記録再生不可能な薄い膜厚の記録層を形成することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
6) 原盤用基板上全体に凸部の径がランド幅の1/3以下、高さが2〜100nmの微細な凸凹を形成する工程と、その上に感光性樹脂からなる薄膜を形成する工程と、レーザービームを集光して感光性樹脂を露光し潜像を形成する工程と、現像及び純水による洗浄によって感光性樹脂薄膜にパターンを形成し、現像された部分の底に微細な凸凹を現す工程とを有することを特徴とする光情報記録媒体の基板作製用原盤の製造方法。
7) 原盤用基板上に体積平均粒径2〜100nmの微粒子を密に配列した後、微粒子を固定することにより、原盤用基板上全体に微細な凸凹を形成することを特徴とする6)記載の原盤の製造方法。
8) 原盤用基板上に感光性樹脂からなる薄膜を形成する工程と、レーザービームを集光して感光性樹脂を露光し潜像を形成する工程と、現像及び純水による洗浄によって感光性樹脂薄膜にパターンを形成する工程と、感光性樹脂薄膜のパターンをマスクとしてエッチングした後、感光性樹脂薄膜を除去する工程と、形成された凹部に体積平均粒径2〜100nmの微粒子を配列する工程を有することを特徴とする光情報記録媒体の基板作製用原盤の製造方法。
9) 原盤用基板上に感光性樹脂からなる薄膜を形成する工程と、レーザービームを集光して感光性樹脂を露光し潜像を形成する工程と、現像及び純水による洗浄によって感光性樹脂薄膜にパターンを形成する工程と、形成された凹部に体積平均粒径2〜100nmの微粒子を配列する工程を有することを特徴とする光情報記録媒体の基板作製用原盤の製造方法。
10) 6)〜9)の何れかに記載の製造方法によって作製された原盤の表面に導電性Ni薄膜を形成する工程と、導電性Ni薄膜を電極としてNi電鋳を行う工程と、原盤とNi電鋳部を剥離したのちNi電鋳部表面を洗浄してNi板を得る工程と、Ni板表面に酸化薄膜を形成し、その上に再びNiを電鋳したのち剥離してスタンパを得る工程を有する光情報記録媒体の基板成形用スタンパの製造方法。
11) 10)記載の製造方法によって作製された光情報記録媒体の基板成形用スタンパ。
12) 11)記載のスタンパを用いて成形された光情報記録媒体用基板。
図3、図4は記録再生用ビーム31とグルーブ32及びランド33の位置関係を示す図であるが、隣接トラックでの干渉を無くすためには、グルーブ記録を行うためのビームを照射したとき、図3に示すように隣接するグルーブを照射するビームの照射部分が互いに重ならないようなグルーブ間距離(以下、ラックピッチと言う)とすることが特性上は望ましい。しかし、記録容量を高めるためトラックピッチを狭めると、図4に示すようにランド33では、記録時、再生時共に隣接グルーブを照射するビームの照射部分に重なりが生じる。
図9に、ランドとグルーブを有する通常のライトワンス型光光情報記録媒体の部分構成を示すが(図中、91は記録材料層、92は反射層、93はランド表面の凸凹、94は記録マークである)、この場合、図9(b)に示すようにグルーブにもランドにも記録材料層91が形成される。そのため、ビーム径に対して狭トラックピッチ化された媒体に記録再生する場合、図9(d)に示すように、ランドが隣接するグルーブを照射するビームの影響を受けてしまい、目的とするトラックを走査したときの信号に大きなブレが生じる。これに対し、本発明の構成によると、ランドには記録層が形成されていないか、又は記録再生不可能な薄い膜厚の記録層しか形成されていないから、例えば図9(a)に示すようにランドに記録層が形成されていない場合、記録マークが隣接するランドには形成されず、図9(c)に示すようにグルーブのみに形成される。また、記録再生不可能な薄い膜厚の記録層しか形成されていない場合(図示せず)には、記録再生可能な記録マークはグルーブのみに形成され、隣接するランドには形成されない。更に、ランドはポリカーボネート基板などの熱伝導率の悪い材料からなるため、熱による影響が隣接するグルーブに影響することもない。
通常、光ディスク用に用いられるポリカーボネート基板上には、グルーブ15とランド16が形成されているが、本発明の基板の場合、ランド表面のみに微細な凸凹17が形成されていることが特徴である。凸部の径はランド幅の1/3以下、好ましくは1/6以下、高さは2〜100nm、好ましくは5〜40nmとし、できるだけ一様な凸凹を形成することが好ましい。凸部の径の下限は、グルーブに対するランドの疎液性のコントラストを確保するために5nmとすることが好ましい。凸部と凸部の隙間は無くてもよく(即ち凸部同士は連続していてもよく)、表面の濡れ性を悪くするために最大でも凸部の大きさ程度とする。凸部の形状は、半球形、矩形、のこぎり波など何でも良く特に限定されないが、通常は半球状とする。また、本発明における凸部の径とは、各凸部の底辺の最大径の平均値を言う。更に、グルーブの平滑な表面とは、Ra=0.3〜1.0nm程度の平滑さのことを言う。
記録材料としては、スピンコート法などによって塗布可能なアゾ系やホルマザン系の記録波長に対して熱吸収を行う色素が好ましい。
本発明2の光情報記録媒体に対してレーザービームによる記録マークの書き込みを行う際に、集光ビームが隣接するランドに掛かって照射されたとしても、ランドには記録材料が無いか又は記録層の膜厚が薄いため記録再生可能な記録マークは形成されず、グルーブのみに書き込みがなされることになる。また、隣接するグルーブの記録材料は熱伝導性の悪い基板材料で遮られているため、隣接するグルーブの記録層への熱によるマークの広がりも無くなる。従って読み取り用集光ビームが隣接するランドに掛かって照射された場合でも、クロスイレーズやクロストークが少なく、目標とするトラックからS/N比の高い信号が得られる。
基板に対する溶液の濡れ性は、基本的に基板表面張力と塗布する溶液の表面張力によって決まるが、それ以外に表面の形状により濡れ性が異なるため、接触角が90°以上になる基板と溶液の関係においては、凸凹構造が形成されたランド面は濡れ性の悪さが強調され、平坦なグルーブに殆どの記録膜が形成されることになる。ランドに記録層が形成されないか、それとも非常に薄い記録層が形成されるかは、グルーブとランドの表面状態と塗布液の物性により決まる。つまりランド表面の塗布液に対する疎液性の程度などにより決まる。
記録材料の塗布手段は特に限定されないが、塗布液の濃度、粘度、溶剤の乾燥温度などを調節することにより容易に膜厚を制御できるので、スピンコート法が好ましい。
本発明7によると、ランド表面の微細な凸凹の元になる型を、原盤用基板上に一括して且つ一様に形成することができ、しかも原盤用基板上に密に配列した微粒子が固定されているため、その後の原盤作製工程をスムーズに進めることが可能になる。微粒子の材料としては種々のものを使用できるが、例えばポリスチレン、シリカ、TiO2、ZnOなどが挙げられる。微粒子の大きさは、体積平均粒径2〜100nm、好ましくは5〜40nm程度のものであり、これにより、表面にナノオーダーの一様なパターンを形成することができる。
微粒子の配列方法としては、微粒子を含んだ液体を掃引しながら分散液を蒸発させることによって自己組織的な配列膜を作製する(移流集積現象を利用した)方法が容易かつ安価なであるが、他の方法としては、電子線ビーム露光とエッチングを利用する方法、基板材料としてAlを使用し、Siなどの型による押し付けにより規則的な開始点を形成し、陽極酸化によって微細穴を形成する方法などが挙げられる。
本発明8、9によると、基板上全体の微細な凸凹を、凹部に微粒子を配列するという自己組織化を利用した微粒子の配列により形成するため、容易かつ安価な方法で、ランド表面のみに微細な凸凹を有する光情報記録媒体用基板を作製するための原盤を製造することができる。用いる微粒子の種類や大きさは本発明7の場合と同じである。
本発明10〜12によると、本発明6〜9に係る原盤を用いるので、クロスイレーズやクロストークの少ない高品質の光情報記録媒体を簡易な方法で作製することが可能な基板成型用スタンパとその製造方法、及び成形基板を容易に作製することができる。
図2に示すような、表面の微細な凸凹により液体の疎液性を高くした幅200nmのランド16と、平滑な表面からなる幅200nmのグルーブ15を有する、厚さ0.6mm、直径120mmのポリカーボネート製基板11を用いて、図1の構成の光情報記録媒体を作製した。ランド表面の凸凹は、半球状の凸部が隙間なく密に並んだ形状とし、凸部の径が30±4nm、高さが15±2nmとした。ランド及びグルーブ表面は特に表面処理をしなかったが、表面に微細な凸凹が存在するランドは実質的に表面積が大きくなっているため、濡れに伴う表面エネルギーの変化が強調されることになる。グルーブ表面の平滑度はRa=0.5nmとした。
この基板11上に、下記〔化1〕〔化2〕で示されるスクアリリウム金属キレート色素とホルマザン金属キレート色素の混合物からなる厚さ150nmの記録層12をスピンコート法(回転数1000rpm)により形成した。ここで、ランド表面に形成された微細な凸凹によって溶液の濡れ性が悪くなる効果を得るために、塗布溶液の表面張力を、平滑な基板面の表面張力より高くしておく必要がある。そこで、有機溶媒と表面張力の高い純水の混合液を溶媒として用い、溶液の濡れ性を調節した。有機溶媒にはイソプロピルアルコールとテトラヒドロフランを併用した。これにより、表面が平滑なグルーブのみに記録材料が充填され、表面に凸凹が形成されているランドでは溶液の接触角が大きくなり、記録層が形成されなかった。その結果、各グルーブ内の記録材料はランド16を形成する基板材料によって隣接トラック間で遮断されていることになる。
次いで、溶媒を蒸発させて安定した記録層を得るため、105℃で15分間ベーキングを行った後、約10分間冷却させた。
次に、記録層の上に、Agからなる厚さ120nmの反射層13をスパッタリング法により形成した。
次に、反射層の上に、紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製、SD318)からなる厚さ3μmの中間層14をスピンコート法により形成した。
最後に、中間層の上に、紫外線硬化樹脂(日本化薬社製、DVD003)からなる接着層を介して厚さ0.6mm、直径120mmのポリカーボネート製カバー基板18を貼り合わせて光情報記録媒体を得た。
この光情報記録媒体に対し、パルステック工業社製光ディスク評価装置DDU−1000(NA:0.65、波長650nm)を用いて記録再生を行ったところ、クロストークやクロスイレースを生じることなく良好に記録再生できた。
表面が精密に研磨された平滑度Ra=0.3程度のガラス基板51を用意し表面を洗浄した。
次に、ガラス基板上に体積平均粒径30nmのポリスチレン微粒子52を配列させて、凸部の径が100nm以下である一様な凸凹を形成した〔図5(a)〕。微粒子の配列には、容易かつ安価な方法として、微粒子を含んだ液体を掃引しながら分散液を乾燥させることによって自己組織的な配列膜を作製する(移流集積現象を利用した)方法を採用した。
次に、ガラス基板上に形成された微粒子配列膜を固定するため熱処理を行った。熱処理温度は、ポリスチレン微粒子の融点より少し低い220℃とした。
次に、この表面に微粒子が配列固定された基板上にポジ型フォトレジスト(東京応化工業社製、THMR-iP3600)を塗布した。ここでは、微粒子による微細な凸凹上にフォトレジストを塗布する必要があり、塗布するフォトレジスト溶液の表面張力を微粒子の表面張力よりも小さくするため、有機溶媒として乳酸エチルを使用し、基板への濡れ性を良くした。これにより、スピンコート法によってフォトレジスト層53を形成することができた〔図5(b)〕。
次いで、この基板を熱処理し溶媒を蒸発させて、安定した光感度のフォトレジスト層とした。
次に、このガラス基板を原盤露光装置のターンテーブルに載せ、対物レンズ54によりレーザー光をフォトレジスト層上に集光させて露光し潜像を形成した。線速度が一定になるようにターンテーブルの回転を制御し、所定フォーマットに従ってスパイラル状に露光を行った〔図5(c)〕。
次に、スピナーに載せて低速回転で現像と純水リンスを行い、高速回転で乾燥させて、表面に所定フォーマットの溝を形成し、原盤を得た〔図5(d)〕。なお、溝に相当する55は現像で除去された部分、56は現像で残った部分である。
なお、本実施例ではポジ型フォトレジストを用いたので、露光を行った潜像部分が現像により除去され、微粒子による凸凹が現れた。
次に、上記のようにして作製した原盤の表面にNiをスパッタリングして導電性のNi薄膜(図示せず)を形成し、このNi薄膜を電極としてNi電鋳を行い、厚さ300μmのNi電鋳部57を形成した〔図5(e)〕。
次に、原盤とNi電鋳部を剥離させ、Ni電鋳部の表面に微粒子やフォトレジストが残らないように、CF4、O2を反応ガスとしたプラズマエッチングを行って微粒子とフォトレジストを除去し、Ni板58を得た〔図5(f)〕。
次に、このNi板の表面にUV/O3処理を行って酸化膜を形成し、酸化膜の表面に再びNi電鋳を行った後、元のNi板と分離し、裏面研磨、内外形加工を行って、スタンパ59を得た〔図5(g)〕。このスタンパは、ランド表面のみに微細な凸凹を有する光情報記録媒体用基板を成形するための型となる。
図6に示す射出成形装置を用いて光情報記録媒体用の成形基板を作製した。
即ち、固定金型61と可動金型63との接合部に形成されるキャビティ65内に、実施例2で作製したものと同じ構造のスタンパ62を固定し、キャビティ内に可動金型に設けられたノズル64から溶融樹脂を射出充填し、固定金型と可動金型との間で圧縮した。
樹脂を冷却固化させた後、固定金型と可動金型とを分離して樹脂を取り出すことにより、ランド表面のみに微細な凸凹を有する光情報記録媒体用の成形基板を得た。
表面を精密に研磨した平滑度Ra=0.3程度のガラス基板71を用意し表面を洗浄した〔図7(a)〕。
次に、表面をプライマー処理した後、スピンコート法によりポジ型フォトレジスト(東京応化工業社製、THMR-iP3600)を塗布し、フォトレジスト層72を形成した〔図7(b)〕。
次いで、この基板を熱処理し溶媒を蒸発させて、安定した光感度のフォトレジスト層とした。
次に、このガラス基板を原盤露光装置のターンテーブルに載せ、対物レンズ73によりレーザー光をフォトレジスト層上に集光させて露光し潜像を形成した。線速度が一定になるようにターンテーブルの回転を制御し、所定フォーマットに従ってスパイラル状に露光を行った〔図7(c)〕。
次に、スピナーに載せて低速回転で現像と純水リンスを行い、高速回転で乾燥させて、表面に所定フォーマットの溝を形成した〔図7(d)〕。なお、本実施例ではポジ型フォトレジストを用いたので、露光を行った潜像部分が現像により除去された。
次に、フォトレジスト層上に形成された溝のパターンをマスクにしてガラス基板をドライエッチングし、露光パターンに対応する凹部75を形成した後、残ったフォトレジスト層部分を除去し、続いて凹部に微粒子74を配列させて原盤を得た〔図7(e)〕。なお、76は、エッチング時にフォトレジスト層でマスクされていた部分である。
このとき、微粒子はガラス基板に形成された凹部のみに配列させる必要があり、このような状態にするには、特開2002−269818号公報に開示されている方法が適当である。つまり基板の界面電位、微粒子の界面電位、水溶液のpHの関係により、微粒子の基板表面への堆積のし易さを制御する方法である。本実施例では、基板を純水に浸しアンモニアを添加して水溶液のpHを約9とし、次いで体積平均粒径30nmのTiO2微粒子を水溶液に分散させ、微粒子が沈降するのを待って塩酸を滴下させ、水溶液のpHを約3としてから分散液を蒸発させた。即ち、微粒子が凹部に入り込んだ状態の時に塩酸を加えて微粒子が基板にトラップされ易いpHに変えているので、凹部のみに微粒子を配列させることができる。
次に、この凹部に微粒子が配列された原盤の表面にNiをスパッタリングして導電性のNi薄膜(図示せず)を形成し、このNi薄膜を電極としてNi電鋳を行い、厚さ300μmのNi電鋳部77を形成した〔図7(f)〕。
次に、原盤とNi電鋳部を剥離させ、Ni電鋳部の表面に微粒子が残らないように、CF4を反応ガスとしたプラズマエッチングを行って微粒子を除去し、Ni板78を得た〔図7(g)〕。
次に、このNi板の表面にUV/O3処理を行って酸化膜を形成し、酸化膜の表面に再びNi電鋳を行った後、元のNi板と分離し、裏面研磨、内外形加工を行って、スタンパ79を得た〔図7(h)〕。このスタンパは、ランド表面のみに微細な凸凹を有する光情報記録媒体用基板を成形するための型となる。
本実施例では、ガラス基板表面にフォトレジスト層を残した状態のまま、吸着力の差を利用してフォトレジスト層の溝部に微粒子を配列させる。
図8の(a)〜(d)の工程、つまりガラス基板洗浄からフォトレジスト層に所定フォーマットのパターンを形成するまでの工程は実施例4と同じである。
次に、フォトレジスト層86上に形成されたパターンの凹部85のみに微粒子84を配列させるようにする。本実施例では、フォトレジスト層のパターンを有する基板を純水に浸し、アンモニアを添加して水溶液のpHを約9とし、次いで体積平均粒径30nmのTiO2微粒子を水溶液に分散させた。この時、TiO2微粒子は表面電荷を持っているので凝集せず、かつパターンの凹部底面のSiO2とは極性が異なるため、微粒子を凹部にトラップさせ易い。また、樹脂からなるフォトレジスト上には微粒子はトラップされない。
次いで、水溶液を蒸発させることにより、図8(e)に示す原盤を得た。
次に、この凹部に微粒子が配列された原盤の表面にNiをスパッタリングして導電性のNi薄膜(図示せず)を形成し、このNi薄膜を電極としてNi電鋳を行い、厚さ300μmのNi電鋳部87を形成した〔図8(f)〕。
次に、原盤とNi電鋳部を剥離させ、Ni電鋳部の表面にフォトレジストや微粒子が残らないように、まず有機溶剤によってランド表面のフォトレジストを除去し、続いてCF4を反応ガスとしたプラズマエッチングを行って微粒子を除去し、Ni板88を得た〔図8(g)〕。
次に、このNi板の表面にUV/O3処理を行って酸化膜を形成し、酸化膜の表面に再びNi電鋳を行った後、元のNi板と分離し、裏面研磨、内外形加工を行って、スタンパ89を得た〔図8(h)〕。このスタンパは、ランド表面のみに微細な凸凹を有する光情報記録媒体用基板を成形するための型となる。
12:記録層
13:反射層
14:中間層
15:記録媒体におけるグルーブ
16:記録媒体におけるランド
17:ランド上の微細な凸凹
18:カバー基板
31:記録再生用ビーム
32:グルーブ
33:ランド
51:ガラス基板
52:微粒子
53:フォトレジスト層
54:対物レンズ
55:現像で除去された部分
56:現像で残った部分
57:Ni電鋳部
58:Ni板
59:スタンパ
61:固定金型
62:スタンパ
63:可動金型
64:ノズル
65:キャビティ
71:ガラス基板
72:フォトレジスト層
73:対物レンズ
74:微粒子
75:エッチングで除去された部分
76:エッチング時にマスクされていた部分
77:Ni電鋳部
78:Ni板
79:スタンパ
81:ガラス基板
82:フォトレジスト層
83:対物レンズ
84:微粒子
85:現像で除去された部分
86:現像で残った部分
87:Ni電鋳部
88:Ni板
89:スタンパ
91:記録材料層
92:反射層
93:ランド表面の凸凹
94:記録マーク
Claims (12)
- 凸部の径がランド幅の1/3以下、高さが2〜100nmの微細な凸凹を表面に設けることにより液体の疎液性を高くしたランドと、平滑な表面からなるグルーブを有する基板を用いたことを特徴とする光情報記録媒体。
- グルーブに記録再生可能な膜厚の記録層が形成されており、ランドには記録層が形成されていないか、又は記録再生不可能な薄い膜厚の記録層しか形成されていないことを特徴とする請求項1記載の光情報記録媒体。
- ランド表面の微細な凸凹の周期が、記録再生を行うレーザービームの波長の1/5以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の光情報記録媒体。
- ランド表面の微細な凸凹の凸部の高さが、凸部の径の1/4以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光情報記録媒体。
- 凸部の径がランド幅の1/3以下、高さが2〜100nmの微細な凸凹を表面に設けることにより液体の疎液性を高くしたランドと、平滑な表面からなるグルーブを有する基板上に記録材料を塗布して、グルーブには記録再生可能な膜厚の記録層を形成し、ランドには記録層を形成しないか、又は記録再生不可能な薄い膜厚の記録層を形成することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
- 原盤用基板上全体に凸部の径がランド幅の1/3以下、高さが2〜100nmの微細な凸凹を形成する工程と、その上に感光性樹脂からなる薄膜を形成する工程と、レーザービームを集光して感光性樹脂を露光し潜像を形成する工程と、現像及び純水による洗浄によって感光性樹脂薄膜にパターンを形成し、現像された部分の底に微細な凸凹を現す工程とを有することを特徴とする光情報記録媒体の基板作製用原盤の製造方法。
- 原盤用基板上に体積平均粒径2〜100nmの微粒子を密に配列した後、微粒子を固定することにより、原盤用基板上全体に微細な凸凹を形成することを特徴とする請求項6記載の基板作製用原盤の製造方法。
- 原盤用基板上に感光性樹脂からなる薄膜を形成する工程と、レーザービームを集光して感光性樹脂を露光し潜像を形成する工程と、現像及び純水による洗浄によって感光性樹脂薄膜にパターンを形成する工程と、感光性樹脂薄膜のパターンをマスクとしてエッチングした後、感光性樹脂薄膜を除去する工程と、形成された凹部に体積平均粒径2〜100nmの微粒子を配列する工程を有することを特徴とする光情報記録媒体の基板作製用原盤の製造方法。
- 原盤用基板上に感光性樹脂からなる薄膜を形成する工程と、レーザービームを集光して感光性樹脂を露光し潜像を形成する工程と、現像及び純水による洗浄によって感光性樹脂薄膜にパターンを形成する工程と、形成された凹部に体積平均粒径2〜100nm微粒子を配列する工程を有することを特徴とする光情報記録媒体の基板作製用原盤の製造方法。
- 請求項6〜9の何れかに記載の製造方法によって作製された基板作製用原盤の表面に導電性Ni薄膜を形成する工程と、導電性Ni薄膜を電極としてNi電鋳を行う工程と、原盤とNi電鋳部を剥離したのちNi電鋳部表面を洗浄してNi板を得る工程と、Ni板表面に酸化薄膜を形成し、その上に再びNiを電鋳したのち剥離してスタンパを得る工程を有する光情報記録媒体の基板成形用スタンパの製造方法。
- 請求項10記載の製造方法によって作製された光情報記録媒体の基板成形用スタンパ。
- 請求項11記載のスタンパを用いて成形された光情報記録媒体用基板。
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JP2003434926A JP2005196819A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 光情報記録媒体及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009050858A1 (ja) * | 2007-10-15 | 2009-04-23 | Fujifilm Corporation | ヒートモード型記録材料層の洗浄方法、凹凸製品の製造方法、発光素子の製造方法および光学素子の製造方法 |
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2003
- 2003-12-26 JP JP2003434926A patent/JP2005196819A/ja active Pending
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WO2009050858A1 (ja) * | 2007-10-15 | 2009-04-23 | Fujifilm Corporation | ヒートモード型記録材料層の洗浄方法、凹凸製品の製造方法、発光素子の製造方法および光学素子の製造方法 |
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