(電気光学装置及び電気光学装置用基板の実施形態)
以下、電気光学装置の一例である半透過反射型でTFD(Thin Film Diode)駆動方式でカラー表示が可能な液晶表示装置に本発明を適用した場合を例に挙げて本発明の実施形態を説明する。なお、本発明がその実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。
図2は、本発明に係る電気光学装置の一実施形態である液晶表示装置の一例を示している。図3は、図2におけるA−A線に従った断面図である。図2において、液晶表示装置1は、液晶パネル2に駆動用IC3a,3b,3cを実装し、さらに液晶パネル2に照明装置4を組み付けることによって形成される。観察者は矢印C方向から表示を視認する。なお、液晶パネル2には必要に応じてその他の部品要素、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)が装着される。
液晶パネル2は、図3に示すように、一方の液晶表示装置用基板である素子基板6aと他方の液晶表示装置用基板であるカラーフィルタ基板6bとをシール材10で貼り合わせることによって形成される。シール材10は、図2に示すように、正方形又は長方形、すなわち方形の環状に形成されていて、その一部に液晶注入用の開口10aが形成される。図3において、素子基板6aとカラーフィルタ基板6bとの間には隙間、いわゆるセルギャップが形成され、そのセルギャップ内に電気光学物質としての液晶、例えばネマチック液晶が封入されて液晶層7が形成されている。
素子基板6aは透光性ガラス、透光性プラスチック等によって形成された、矢印C方向から見て方形状の基材8aを有し、その基材8aの外側表面に偏光板9aが貼着等によって装着される。また、カラーフィルタ基板6bは透光性ガラス、透光性プラスチック等によって形成された方形状の基材8bを有し、その基材8bの外側表面に偏光板9bが貼着等によって装着されている。
図1は、図3において矢印Bで示す部分を拡大して示している。図1において、多数の球状のスペーサ32は素子基板6a又はカラーフィルタ基板6bのいずれかの表面にばら撒かれ、それらの基板6a,6bを互いに貼り合わせた状態で両基板6a,6b間のセルギャップGを一定に維持するように機能する。そして、そのセルギャップG内に液晶層7が形成される。
図1において、素子基板6aを構成する基材8aの液晶側表面には、線状のライン配線31、アクティブ素子としてのTFD素子33及び透明なドット電極24aが形成される。さらに、それらの要素の上に配向膜26aが形成され、その配向膜26aに配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、その配向膜26aの近傍の液晶分子の配向が決められる。
図4は、図1の矢印C方向から見た場合のドット電極24a、TFD素子33及びライン配線31の位置関係を示している。図示の通り、ライン配線31は複数本が互いに間隔をおいて平行に並べられ、いわゆるストライプ状に形成されている。そして、それらのライン配線31の間に複数のドット電極24aが形成され、それらのドット電極24aがTFD素子33によってライン配線31に接続されている。複数のドット電極24aはマトリクス状に形成される。
ドット電極24aは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)を材料としてフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によって形成される。また、配向膜26aは、例えば、ポリイミド溶液を塗布及び焼成して形成したり、オフセット印刷によって形成したりする。この配向膜26aは、ラビング処理等といった配向処理を受け、この配向処理により配向膜26aの近傍の液晶分子の配向が決められる。
図5は、図4において矢印Eで示す部分を裏側から見た状態を示している。図5に示すように、個々のTFD素子33は、第1TFD要素33aと第2TFD要素33bとを直列に接続することによって形成されている。このTFD素子33は、例えば、次のようにして形成される。すなわち、まず、TaW(タンタルタングステン)によってライン配線31の第1層31a及びTFD素子33の第1金属36を形成する。次に、陽極酸化処理によってライン配線31の第2層31b及びTFD素子33の絶縁膜37を形成する。次に、例えばCr(クロム)によってライン配線31の第3層31c及びTFD素子33の第2金属38を形成する。
第1TFD要素33aの第2金属38はライン配線31の第3層31cから延びている。また、第2TFD要素33bの第2金属38の先端に重なるように、ドット状電極24aが形成される。ライン配線31からドット状電極24aへ向けて電気信号が流れることを考えれば、その電流方向に従って、第1TFD要素33aでは第2電極38→絶縁膜37→第1金属36の順に電気信号が流れ、一方、第2TFD要素33bでは第1金属36→絶縁膜37→第2金属38の順に電気信号が流れる。
つまり、第1TFD要素33aと第2TFD要素33bとの間では電気的に逆向きの一対のTFD要素が互いに直列に接続されている。このような構造は、一般に、バック・ツー・バック(Back-to-Back)構造と呼ばれており、この構造のTFD素子は、TFD素子を1個のTFD要素だけによって構成する場合に比べて、安定した特性を得られることが知られている。なお、TFD素子の安定化がそれ程に必要でない場合には、1つのTFD要素のみでTFD素子を構成しても良い。
図1において、カラーフィルタ基板6bを構成する基材8bの液晶側表面には樹脂層16が形成され、その上に反射膜17が形成され、その上に平坦化膜18が形成される。また、平坦化膜18の上には遮光膜19が形成され、その遮光膜19の間にR(赤),G(緑),B(青)の各色着色要素21が矢印C方向から見て所定の平面的な配列で形成される。そして、これら複数の着色要素21によってカラーフィルタ22が構成されている。また、遮光膜19及び着色要素21の上にはオーバーコート層23が形成され、その上に透光性を有する線状電極24bが形成され、その上に配向膜26bが形成される。
オーバーコート層23は、例えば、エポキシ系又はアクリル系の樹脂材料を塗布及び焼成して形成したり、あるいは、必要に応じて、エポキシ系又はアクリル系の樹脂材料にフォトリソグラフィ処理を施すことによって形成される。また、配向膜26bは、例えば、ポリイミド溶液を塗布及び焼成して形成したり、オフセット印刷によって形成したりする。この配向膜26bには配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、その配向膜26bの近傍の液晶分子の配向が決められる。この配向膜26bのラビング方向と素子基板6a側の配向膜26aのラビング方向は、液晶の特性に応じて適宜の角度で交差するようになっている。
図1において、樹脂層16は第1層16a及びその上に積層された第2層16bを有する。これらの層は同じ材料によって形成できる。第1層16aの表面には複数の凹部27が矢印C方向から見て平面的に不規則、すなわちランダムに配置されている。このため、第1層16aの上に積層された第2層16bの表面には、これらの凹部27及びそれに隣接する凸部に対応して凹凸が形成されている。第1層16aの表面に形成される凹凸は粗い状態であり、これに第2層16bを積層することにより滑らかな凹凸が得られる。第2層16bの表面、すなわち樹脂層16の表面に凹凸を設けたことにより、その樹脂層16に積層された反射膜17の表面にも凹凸が形成される。この凹凸の存在により、反射膜17に入射した光は散乱光となって反射する。
反射膜17の上に形成された平坦化膜18は、例えば、透光性及び感光性を有するレジスト材料、例えばアクリル系樹脂材料、をフォトリソグラフィ処理によってパターニングすることによって形成される。この平坦化膜18は、反射膜17の凹凸によってカラーフィルタ22に凹凸が生じることを防止して、表示色にバラツキが発生することを防止する。また、平坦化膜18は、反射膜17の凹凸によって液晶層7の層厚にバラツキが発生することを防止して、表示にバラツキが発生することを防止する。なお、発明者の実験によれば、平坦化膜18を0.5μm以上で2μm以下の厚さに形成した場合に、セルギャップを均一にでき、良好な表示が得られた。
線状電極24bは、例えば、ITOを材料としてフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によって形成される。これらの線状電極24bは、図1の紙面垂直方向に延びている。これらの線状電極24bは、図4に示すように、素子基板6a上のライン配線31に対して直角の方向に延在し、且つそれと直角な方向に互いに間隔をおいて平行に、すなわち全体としてストライプ状に形成されている。また、個々の線状電極24bは、ライン配線31と直角の方向に列状に並ぶ複数のドット電極24aに対向するように形成される。そして、ドット電極24aと線状電極24bとが重なる領域は表示のための最小領域である表示用ドット領域Dを構成する。
図1において、反射膜17は、例えば、光反射性の金属材料、例えばAl(アルミニウム)を材料としてフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によって形成される。このとき、反射膜17には、個々の表示用ドット領域Dに対応して光通過用の貫通穴、すなわち開口34が設けられる。これらの開口34は、反射17に光を透過させる機能を持たせるための構成であるが、この開口34を設ける代わりに反射膜17の厚さを薄くして、光を反射する機能と光を透過させる機能の両方を持たせるようにすることもできる。表示用ドット領域Dのうち、反射膜17が存在する領域は反射部Rを構成し、開口34に対応する領域は透過部Tを構成する。
着色要素21は、カラー表示の3原色であるR,G,Bの3色によって構成されている。これらの各色の着色要素21は、矢印C方向から見たときに所定の平面配列、例えば図6(a)に示すストライプ配置や、図6(b)に示すモザイク配置や、図6(c)に示すデルタ配置等に形成されている。
図6(a)のストライプ配置は、図の縦方向に同じ色の着色要素21が並べられる配列である。また、図6(b)のモザイク配置は、図の縦方向及び横方向の両方向で着色要素21の色が順々に循環的に変化する配列である。そして、図6(c)のデルタ配置は、着色要素21が三角形の頂点に位置するように配列されると共に横方向の色が順々に循環的に変化する配列である。なお、各色着色要素21の配列の仕方に関しては、上記の3種類以外にも種々に提案されているので、必要に応じて、適宜の配列が選択される。
個々の着色要素21は表示用ドット領域Dに対応して設けられている。着色要素21を用いない白黒表示の場合は1つの表示用ドット領域Dによって1つの画素が形成されるが、本実施形態のように3色の着色要素21を用いてカラー表示を行う構造の場合には、R,G,Bの3色の着色要素21の集まりによって1つの画素が形成される。
図2において、素子基板6aの1辺はカラーフィルタ基板6bの外側へ張り出して、張出し部41を構成している。駆動用IC3a,3b,3cはこの張出し部41の表面に実装されている。この実装は、例えば、ACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)を用いたCOG(Chip On Glass)技術を用いて行うことができる。中央の駆動用IC3bの出力端子は素子基板6a上のライン配線31に直接に接続される。一方、両側の駆動用IC3a及び3cは、シール材10内に分散した導電粒子を介してカラーフィルタ基板6b上の線状電極24bに接続される。
なお、基板と駆動用ICとの接続は、COG技術以外の任意の接続手法を用いることができる。このような接続手法としては、例えば、TAB(Tape Automated Bonding)技術を用いてFPC(Flexible Printed Circuit)の上にICチップがボンディングされて成るTCP(Tape Carrier Package)を液晶表示装置に電気的に接続する構成としても良い。また、ICチップを硬質の基板にボンディングするCOB(Chip On Board)技術を用いても良い。
次に、図2において、液晶パネル2を構成するカラーフィルタ基板6bの外側表面に対向して配設された照明装置4は、例えば、透明なプラスチックによって形成された方形状で板状の導光体42と、点状光源としてのLED43とを有する。図3に示すように、導光体42のうち液晶パネル2と反対側の面には光反射シート44を装着することができる。また、導光体42のうち液晶パネル2に対向する面には光拡散シート46を装着することができる。また、光拡散シート46の上に、さらに、プリズムシート(図示せず)を装着することもできる。LED43は本実施形態では3個使用しているが、LED43は必要に応じて1個とすることもでき、あるいは、3個以外の複数個とすることもできる。また、LED等といった点状光源に代えて、冷陰極管等といった線状光源を用いることもできる。以上のように構成された照明装置4は、液晶パネル2を背面から照明するバックライトとして機能する。
図7は、図2の液晶表示装置1の電気的な等価回路を示している。図7において、複数本の走査線47が行方向Xに延びるように形成され、さらに、複数本のデータ線48が列方向Yに延びるように形成されている。走査線47は図2の線状電極24bによって実現され、データ線48は図2のライン配線31によって実現される。表示用ドット領域Dは走査線47とデータ線48との各交差部分に形成される。各表示用ドット領域Dにおいては、液晶層7と、TFD素子33とが直列に接続されている。本実施形態では、液晶層7が走査線47の側に接続され、TFD素子33がデータ線48の側に接続されている。各走査線47は、走査線駆動回路51によって駆動される。一方、各データ線48は、データ線駆動回路52によって駆動される。走査線駆動回路51は図2の駆動用IC3a,3cによって構成され、データ線駆動回路52は図2の駆動用IC3bによって構成される。
以上のように構成された液晶表示装置1によれば、図2において、液晶表示装置1が明るい室外や明るい室内に置かれる場合は、太陽光や室内光等といった外部光を用いて、反射型の表示が行われる。一方、液晶表示装置1が暗い室外や暗い室内に置かれる場合は、照明装置4をバックライトとして用いて透過型の表示が行われる。
反射型表示を行う場合、図1において、観察側Cの方向から素子基板6aを通して液晶パネル2内へ入射した外部光L0は、液晶層7を通過してカラーフィルタ基板6b内へ入った後、反射部Rにおいて反射膜17で反射して再び液晶層7へ供給される。他方、透過型表示を行う場合、図2の照明装置4のLED43が点灯し、それらの光が導光体42の光入射面42aから導光体42へ導かれ、さらに、光出射面42bから面状の光として出射する。この出射光は、図1の符号L1で示すように透過部Tにおいて開口34を通って液晶層7へ供給される。
以上のようにして液晶層7へ光が供給される間、素子基板6a側のドット電極24aとカラーフィルタ基板6b側の線状電極24bとの間には、走査信号及びデータ信号によって特定される表示用ドット領域Dに所定の電圧が印加され、これにより、液晶層7内の液晶分子の配向が表示用ドット領域Dごとに制御され、この結果、液晶層7に供給された光が表示用ドット領域Dごとに変調される。この変調された光が、図2の観察側の偏光板9aを通過するか、通過しないかによって、観察側に文字、数字、図形等といった像が表示され、矢印C方向から視認できる。遮光膜19は、表示ドット領域Dの間から光が漏れることを防止するためのブラックマスクとして機能する。
本実施形態の液晶表示装置1においては、樹脂層16によって反射膜17に凹凸が付けられ、その凹凸が平坦化膜18によって平坦化された後にカラーフィルタ22や線状電極24bが設けられる。このように反射膜17の凹凸が平坦化膜18によって平坦化されるので、カラーフィルタ22に凹凸が生じることを防止して、表示色にバラツキが発生することを防止できる。また、さらに、液晶層7の層厚にバラツキが発生することを防止して、表示にバラツキが発生することを防止できる。
(変形例)
上記実施形態では、着色要素21及び反射膜17の両方を1つの基板であるカラーフィルタ基板6b内に設ける場合を例示したが、これに代えて、反射膜17を一方の基板に設け、着色要素21を他方の基板に設ける構成の液晶表示装置にも本発明を適用できる。
また、上記実施形態では、着色要素21と遮光膜19とを同じ基板上に形成したが、それらを異なる基板上に形成することもできる。
また、上記実施形態では、2端子型のスイッチング素子としてTFD素子を用いるアクティブマトリクス型の液晶表示装置を例示したが、本発明は、TFD素子以外の2端子型スイッチング素子を用いる液晶表示装置や、TFT(Thin Film Transistor)等といった3端子型スイッチング素子を用いるアクティブマトリクス型の液晶表示装置や、スイッチング素子を用いない単純マトリクス型の液晶表示装置等に対しても適用できる。
また、上記実施形態では、液晶表示装置に本発明を適用したが、本発明は、液晶表示装置以外の電気光学装置、例えば、電気光学物質として有機ELを用いる有機EL装置、電気光学物質としてプラズマ用ガスを用いるプラズマディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置(EPD:Electrophoretic Display)、フィールドエミッションディスプレイ装置(FED:電界放出表示装置:Field Emission Display)等にも適用できる。
(電気光学装置の製造方法の実施形態)
以下、本発明に係る電気光学装置の製造方法の実施形態を図2に示した液晶表示装置1を製造する場合を例に挙げて説明する。図8は、液晶表示装置の製造方法の一例を工程図として示している。図8において、工程P1から工程P6が図1の素子基板6aを形成するための工程である。また、工程P11から工程P19が図1のカラーフィルタ基板6bを形成するための工程である。また、工程P21から工程P28がそれらの基板を組み合わせて液晶表示装置を完成させるための工程である。
なお、本実施形態の製造方法では、図2に示す素子基板6a及びカラーフィルタ基板6bを1つずつ形成するのではなく、素子基板6aに関しては、複数の素子基板6aを形成できる大きさの面積を有する素子側マザー基材を用いて複数の素子基板6aを同時に形成する。また、カラーフィルタ基板6bに関しては、複数のカラーフィルタ基板6bを形成できる大きさの面積を有するカラーフィルタ側マザー基材を用いて複数のカラーフィルタ基板6bを同時に形成する。素子側マザー基材及びカラーフィルタ側マザー基材は、例えば、透光性ガラス、透光性プラスチック等によって形成される。
まず、図8の工程P1において、素子側マザー基材の表面に図5のTFD素子33及びライン配線31を形成する。次に、工程P2において、ドット電極24aをITOを材料としてフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によって形成する。次に、工程P3において、図1の配向膜26aを塗布や印刷等によって形成し、さらに工程P4において、その配向膜26aに配向処理、例えばラビング処理を施す。次に、工程P5において、例えばエポキシ系の樹脂を材料として印刷等によって図2のシール材10を形成し、さらに、工程P6において、表面に図1のスペーサ32を分散する。以上により、素子側マザー基材の上に複数の素子基板6aが形成されて素子側マザー基板が形成される。
次に、図8の工程P11において、カラーフィルタ側マザー基材の表面上に図1の樹脂層16の第1層16aを、例えば感光性レジスト材料を材料としてフォトリソグラフィ処理によって形成する。この処理の際に、ランダムに分散した多数の凹凸によって形成される凹凸パターンが第1層16aの表面に形成される。
その後、図1において、第1層16aの上に同じ材料の第2層16bを薄く塗布して、樹脂層16を形成する。第2層16bを積層するのは、凹部又は凸部の表面を滑らかにするためである。次に、図8の工程P12において、図1の反射膜17を、例えばAlやAl合金等を材料としてフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によって形成する。このとき、表示用ドット領域Dごとに開口34を形成することにより、光反射部Rと透光部Tを形成する。樹脂層16の表面には凹凸パターンが形成されているので、その上に積層された反射膜17にも同様の凹凸パターンが形成される。この凹凸パターンを有する反射層17に光が当って反射する場合には、その反射光は散乱光となる。
次に、工程P13において、感光性レジスト材料を材料としてフォトリソグラフィ処理により平坦化膜18を形成する。この平坦化膜18により、反射膜17の凹凸を平坦化して、液晶表示の品質を向上する。
次に、工程P14において、図1の遮光膜19を、例えばCrを材料としてフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によって所定のパターン(例えば、複数の表示用ドット領域Dの周りを埋めるような格子状パターン)に形成する。次に、工程P15において、図1の着色要素21を形成する。着色要素21については、R,G,Bの各色ごとに順々に形成する。例えば、各色の顔料や染料を感光性樹脂に分散させて成る着色材料をフォトリソグラフィ処理によって所定の配列に形成する。次に、工程P16において、図1のオーバーコート層23を、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等といった感光性樹脂を材料としてフォトリソグラフィ処理によって形成する。
次に、図8の工程P17において、図1の線状電極24bをITOを材料としてフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によって形成し、さらに工程P18において図1の配向膜26bを形成し、さらに工程P19において配向処理としてのラビング処理を行う。以上により、カラーフィルタ側マザー基材の上に複数のカラーフィルタ基板6bが形成されてカラーフィルタ側マザー基板が形成される。
その後、図8の工程P21において、素子側マザー基板とカラーフィルタ側マザー基板とを貼り合わせる。これにより、素子側マザー基板とカラーフィルタ側マザー基板とが個々の液晶表示装置の領域において図2のシール材10を挟んで貼り合わされた構造の大面積のパネル構造体が形成される。
次に、以上のようにして形成された大面積のパネル構造体に含まれるシール材10を、工程P22において硬化させて両マザー基板を接着する。次に、工程P23において、パネル構造体を1次切断、すなわち1次ブレイクして、図2の液晶パネル2の複数が1列に並んだ状態で含まれる中面積のパネル構造体、いわゆる短冊状のパネル構造体を複数形成する。シール材10には予め適所に開口10a(図2参照)が形成されており、上記の1次ブレイクによって短冊状のパネル構造体が形成されると、そのシール材10の開口10aが外部に露出する。
次に、図8の工程P24において、上記のシール材の開口10aを通して各液晶パネル部分の内部へ液晶を注入し、その注入の完了後、その開口10aを樹脂によって封止する。次に、工程P25において、2回目の切断、すなわち2次ブレイクを行い、短冊状のパネル構造体から図2に示す個々の液晶パネル2を切り出す。
次に、図8の工程P26において、図2の駆動用IC3a,3b,3cを実装し、さらに、工程P27において、図2の液晶パネル2に偏光板9a及び9bを貼着によって装着する。次に、工程P28において、図1の照明装置4を取り付ける。これにより、液晶表示装置1が完成する。
以上に説明した液晶表示装置の製造方法においては、工程P13において凹凸を有する反射膜17の上に平坦化膜18を形成した上で、工程P15において着色要素21すなわちカラーフィルタ22を形成するようにしたので、凹凸のない非常に平滑なカラーフィルタを形成することができ、さらに、液晶層7の層厚も非常に均一に形成できるようになった。
(電子機器の実施形態)
以下、本発明に係る電子機器を実施形態を挙げて説明する。なお、この実施形態は本発明の一例を示すものであり、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
図9は、本発明に係る電子機器の一実施形態を示している。ここに示す電子機器は、表示情報出力源101、表示情報処理回路102、電源回路103、タイミングジェネレータ104及び液晶表示装置105によって構成される。そして、液晶表示装置105は液晶パネル107及び駆動回路106を有する。
表示情報出力源101は、RAM(Random Access Memory)等といったメモリや、各種ディスク等といったストレージユニットや、ディジタル画像信号を同調出力する同調回路等を備え、タイミングジェネレータ104により生成される各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等といった表示情報を表示情報処理回路102に供給する。
次に、表示情報処理回路102は、増幅・反転回路や、ローテーション回路や、ガンマ補正回路や、クランプ回路等といった周知の回路を多数備え、入力した表示情報の処理を実行して、画像信号をクロック信号CLKと共に駆動回路106へ供給する。ここで、駆動回路106は、走査線駆動回路やデータ線駆動回路と共に、検査回路等を総称したものである。また、電源回路103は、上記の各構成要素に所定の電源電圧を供給する。
液晶表示装置105は、例えば、図2に示した液晶表示装置1と同様に構成できる。液晶表示装置1は、バラツキのない鮮明な表示を行うことができるので、これを用いた本電子機器においても、その表示部においてバラツキのない鮮明な表示を行うことができる。
図10は、本発明に係る電子機器の他の実施形態である携帯電話機を示している。ここに示す携帯電話機120は、ヒンジ122を中心として折り畳み可能な第1ボディ121aと第2ボディ121bとを有する。そして、第1ボディ121aには、液晶表示装置123と、受話口124と、アンテナ126とが設けられる。また、第2ボディ121bには、複数の操作ボタン127と、送話口128とが設けられる。液晶表示装置123を、図2に示した液晶表示装置1によって構成すれば、液晶表示装置123においてバラツキのない鮮明な表示を行うことができる。
図11は、本発明に係る電子機器のさらに他の実施形態であるPDA(Personal Digital Assistant:パーソナル・デジタル・アシスタント:携帯型情報端末装置)を示している。ここに示すPDA150は、接触方式、いわゆるタッチパネル方式の入力装置151をその正面パネル上に有する。この入力装置151は透明であり、その下には表示部としての液晶表示装置152が配置されている。
使用者は、付属のペン型入力具153を入力装置151の入力面に接触させることにより、液晶表示装置152に表示されたボタン、その他の表示を選択したり、文字、図形等を描いたりして、必要な情報を入力する。この入力情報に対してPDA150内のコンピュータによって所定の演算が行われ、その演算の結果が液晶表示装置152に表示される。液晶表示装置152として、図2に示した液晶表示装置1を用いれば、液晶表示装置152においてコントラストの高い鮮明な表示を行うことができる。
(変形例)
なお、電子機器としては、以上に説明した携帯電話機や、PDAの他にも、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末器等が挙げられる。