JP2005194786A - 車両用自動開閉装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ドアガラスが開いた状態で開動作するスライドドアによる挟み込みを防止して、車両用自動開閉装置の安全性を高めることである。
【解決手段】 開閉自在のドアガラスを備えたスライドドアは電動モータを駆動源とする開閉装置により自動的に開閉されるようになっており、ドアガラスが所定開度以上に開いているときにはスライドドアの移動範囲はストッパにより中間位置に制限される。スライドドアを駆動する電動モータの負荷が挟み込み判定値以上となったときには挟み込みが検知され、スライドドアは挟み込み回避動作される。また、ドアガラスが開いた状態のときにはスライドドアが中間位置に対して作動禁止距離以内に接近したときに挟み込みの検知が一旦禁止され、挟み込みの検知が禁止された後にスライドドアが中間位置を越えて移動したときには挟み込み検知が再開される。
【選択図】 図6

Description

本発明は、開閉自在のドアガラスを備えたスライドドアを自動的に開閉する車両用自動開閉装置に関し、特に、障害物の挟み込みを防止するための安全機構に関するものである。
ワゴン車やワンボックス車等の車両としては、車体の側面に前後方向にスライド式に開閉するスライドドアを設け、車両側方からの乗降や荷物の積み下ろし等を容易に行い得るようにしたものが多く見られる。また、スライドドアを備えた車両にあっては、車両に電動モータ等を駆動源とする自動開閉装置を搭載し、この自動開閉装置によりスライドドアの開閉動作を自動的に行わせるようにしたものが知られている。
このような自動開閉装置では、乗員保護のため、スライドドア開閉時における人や荷物等の挟み込みに対する安全対策が求められる。通常、スライドドアは開閉スイッチONにより全閉状態から全開状態もしくは全開状態から全閉状態に連続的に移動するようになっているので、開閉スイッチ操作後に乗降が行われるとスライドドアと車体との間に人や荷物等が挟まれる恐れがある。また、スライドドアが自動的に開かれる際にはスライドドアの後端部と外部にある障害物との間で挟み込みが発生する場合も考えられる。
そのため、従来の自動開閉装置では、電動モータの回転周期や電流値の変化などから電動モータに加わる負荷を検出し、この負荷が予め設定された挟み込み検出値以上となったときに挟み込みを検知するようにしている。そして、挟み込みが検知されたときにはスライドドアを停止もしくは反転移動させて挟み込みを回避するようにしている。
一方、自動開閉装置を備えた車両においても、スライドドアに手動もしくはパワーウインド装置により開閉可能とされたドアガラスを設けたものが多く見受けられる。このような車両ではドアガラスが開いた状態でスライドドアの開動作が行われると、ドアガラスを支持する窓枠と車両のピラーとの間に障害物が挟み込まれる恐れがある。
そのため、たとえば特許文献1に記載される自動開閉装置では、ドアガラスが開いているときにはスライドドアの移動軌道上にストッパを突出させ、このストッパによりスライドドアの移動範囲を全開位置よりも手前の中間位置までに制限するようにしている。これにより、スライドドアがストッパと当接する中間位置まで移動しても窓枠とピラーとの間には所定の隙間が確保され、窓枠とピラーとの間での挟み込みが防止される。また、このようなストッパを有する自動開閉装置では、スライドドアがストッパに当接したときに生じる電動モータの負荷の増加が挟み込みと誤検知されることを防止するために、スライドドアが中間位置に対して所定距離以内に接近したときには挟み込みの検知を禁止するようにしている。
実開昭61−152682号公報
従来の自動開閉装置では、ストッパは機械的に作動するものが多く、ドアガラスが十分に開かれていないときにはその突出量が不十分となってスライドドアの移動を制限できない場合がある。また、ストッパが故障した場合等にあってもスライドドアの移動が制限されない場合があり、これらの場合、スライドドアはドアガラスが開いているにも拘わらず中間位置を越えて全開位置に向けて移動する恐れがある。
しかしながら、従来の自動開閉装置では、ドアガラスが開いている場合には、スライドドアが中間位置の近傍にまで達すると挟み込みの検知は禁止され、中間位置以降の範囲においては挟み込みの検知が行われないので、万が一スライドドアが中間位置を越えて移動した場合にはスライドドアの挟み込みを検知することができなかった。
本発明の目的は、ドアガラスが開いた状態で開動作するスライドドアによる挟み込みを防止して、車両用自動開閉装置の安全性を高めることにある。
本発明の車両用自動開閉装置は、開閉自在のドアガラスを備えたスライドドアを自動的に開閉する車両用自動開閉装置であって、前記スライドドアを全閉位置と全開位置との間で駆動する駆動源と、前記駆動源の負荷が挟み込み判定値以上となったときに挟み込みを検知して前記スライドドアを挟み込み回避動作させる挟み込み検知手段と、前記ドアガラスが所定開度以上に開いたときに突出し、前記スライドドアの移動範囲を前記全閉位置と前記全開位置より手前の中間位置との間に制限するストッパと、前記ドアガラスが前記所定開度以上に開いた状態の前記スライドドアが開動作して前記中間位置に対して作動禁止距離以内に接近したときに前記挟み込み検知手段による挟み込みの検知を禁止する制御手段とを有し、前記挟み込み検知手段による挟み込みの検知が禁止された後に前記スライドドアが前記中間位置を越えて前記全開位置側に移動したときには前記挟み込み検知手段による挟み込み検知が再開されることを特徴とする。
本発明の車両用自動開閉装置は、前記挟み込み回避動作により前記スライドドアが反転移動されることを特徴とする。
本発明によれば、ドアガラスが開いた状態で開動作するスライドドアが中間位置を越えて移動したときには、中間位置で一旦禁止された挟み込みの検知が再開されるので、中間位置を越えた範囲におけるスライドドアの挟み込みを検知することができる。つまり、ストッパの故障等によりスライドドアの移動が制限されず、その結果、たとえばドアガラスを支持する窓枠と車体のピラーとの間に障害物が挟み込まれた場合であっても、これを検知して挟み込みを回避することができる。したがって、ドアガラスが開いた状態のスライドドアによる挟み込みを確実に検知して、この車両用自動開閉装置の安全性を高めることができる。
また、本発明によれば、挟み込みが検知されたときにはスライドドアが反転移動されるので、障害物を迅速に挟み込みから開放して、この車両用自動開閉装置の安全性を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態である車両用自動開閉装置を備えた車両を示す側面図であり、この車両11には車両側部の開口13aを閉塞するスライドドア12が設けられている。スライドドア12は車体13に固定されたガイドレール14に案内されて図中実線で示す全閉位置と一点鎖線で示す全開位置との間で開閉自在となっており、車室内に設けられた図示しないセカンドシートやサードシートへの乗降や荷物の積み卸し等を行う際には全開位置にまで開けて使用される。
このスライドドア12には開閉自在のドアガラス15が設けられており、ドアガラス15を開けることにより車室内を外部に開放することができるようになっている。この場合、スライドドア12の内部には図示しないパワーウインド装置が設けられており、このパワーウインド装置の図示しない開閉ボタンを操作することによりドアガラス15を自動的に昇降つまり開閉することができるようになっている。
なお、本実施の形態においては、ドアガラス15をパワーウインド装置により自動的に開閉させるようにしているが、これに限らず、手動により開閉されるものであってもよい。
図2は図1に示すスライドドアの取り付け部分を拡大して示す正面図である。図2に示すように、スライドドア12はローラアッシー16を有しており、このローラアッシー16が車体13の側面に設けられたガイドレール14に案内されることによりガイドレール14に沿って車両11の前後方向に移動自在つまり開閉自在となっている。また、ガイドレール14の車両前方側には車室内側に湾曲する曲部14aが設けられており、この曲部14aにローラアッシー16が案内されることによりスライドドア12は車体13の側面と同一面に収まるように車体13の内側に引き込まれて閉じられるようになっている。なお、ローラアッシー16は図示する部位(センター部)以外に、スライドドア12の前端部の上下部分(アッパー部・ロア部)にも設けられており、これらに対応して車体13の開口13aの上下部位にもアッパー部・ロア部に対応するガイドレールが設けられ、スライドドア12は車体13に計3カ所において支持されるようになっている。
この車両11には車両用自動開閉装置21(以下、開閉装置21とする。)が設けられており、スライドドア12を開閉装置21により自動的に開閉することができるようになっている。開閉装置21はガイドレール14の車両前後方向の略中央部に隣接して車体13に固定されるアクチュエータユニット22と、それぞれ車両後方側と前方側からローラアッシー16に接続される2本のケーブル23a,23bとを有しており、これらのケーブル23a,23bはガイドレール14の車両後方側と前方側の端部に設けられた反転プーリ24,25を介してアクチュエータユニット22に案内されている。そして、アクチュエータユニット22によりいずれか一方のケーブル23a,23bを引くことでスライドドア12の開閉動作が行われるようになっている。
図3は図2に示す車両用自動開閉装置の制御体系を示す説明図であり、図4は図3に示すストッパにより移動が規制された状態のスライドドアの位置を示す側面図である。
図3に示すように、アクチュエータユニット22には駆動源としての電動モータ26が設けられている。この電動モータ26としては所謂ブラシ付き直流モータが用いられており、図示しない電源端子間に供給される直流電流の方向に応じて、その回転軸27を正転もしくは逆転させるようになっている。
電動モータ26の回転軸27には駆動ギヤ31が固定されており、駆動ギヤ31の回転は大径スパーギヤ32と小径スパーギヤ33とを介して従動ギヤ34に伝達されるようになっている。また、従動ギヤ34には出力軸35が固定され、出力軸35にはドラム36が固定されている。これにより、回転軸27の回転は所定の回転数にまで減速してドラム36に伝達され、ドラム36は正逆回転するようになっている。
ドラム36にはアクチュエータユニット22に案内されたケーブル23a,23bが複数回巻き付けられており、ドラム36が回転するとケーブル23a,23bのいずれか一方側が巻き取られてスライドドア12が開閉動作するようになっている。また、ドラム36と2つの反転プーリ24,25との間にはそれぞれテンショナ37,38が設けられており、これらのテンショナ37,38によりドラム36が電動モータ26に回転駆動された直後に生じるケーブル23a,23bの弛みやローラアッシー16がガイドレール14の曲部14aを通過する際に生じるケーブル23a,23bの周長変化が吸収されて、ケーブル23a,23bの張力が常に一定範囲に維持されるようになっている。
電動モータ26の回転軸27には10極に着磁された多極着磁磁石41が固定されており、この多極着磁磁石41の回転軌道近傍には互いに90度の位相差をもって2つのホールIC42a,42bが設けられている。これらのホールIC42a,42bはそれぞれ多極着磁磁石41が回転して磁界が変化する度にパルス信号Psを出力することができ、回転軸27が1回転すると、これらのホールIC42a,42bからは位相が90度ずれた10周期分のパルス信号Psが出力されるようになっている。つまり、これらのホールIC42a,42bからは電動モータ26の回転数に比例したパルス信号Psが出力されるようになっている。なお、ホールICとは磁界の変化を電圧に変換するセンサである。
アクチュエータユニット22には制御装置43が設けられており、電動モータ26の作動制御はこの制御装置43により行われるようになっている。制御装置43は、図示しないマイクロプロセッサ(CPU)、ROM、RAMなどのメモリ等を備えた所謂マイクロコンピュータとしての機能を有しており、図示しないスライドドア開閉スイッチ(以下開閉スイッチとする)からの指令信号により作動するようになっている。
制御装置43には前述したホールIC42a,42bが接続されており、ホールIC42a,42bから入力されるパルス信号Psの周期に基づいて電動モータ26の回転速度つまりスライドドア12の移動速度を検出することができるようになっている。また、制御装置43は、これらのパルス信号Psの出現タイミングを基に電動モータ26の回転方向つまりスライドドア12の移動方向を検出することができ、さらに、スライドドア12が基準位置(この場合では全閉位置)にあるときを起点としてホールIC42a,42bから入力されるパルス信号Psを積算つまりカウントすることによりスライドドア12の開閉位置を検出することができるようになっている。
そして、制御装置43はスライドドア12の開閉位置や開閉速度および開閉スイッチからの入力信号等をメモリ内に格納された制御プログラムに従って演算し、この演算結果に基づいて、図示しないバッテリ等の電源からの直流電流を電動モータ26に供給して、その駆動制御を実行するようになっている。
このような構造により、たとえば開閉スイッチの開側が押された場合には電動モータ26の回転軸27が正転してドラム36は図3において反時計回りに回転し、車両後方側のケーブル23aがドラム36に巻き取られてスライドドア12はケーブル23aに引かれながら全開位置へ向かって移動することになる。逆に、開閉スイッチの閉側が押された場合には電動モータ26の回転軸27が逆転してドラム36は図3において時計回りに回転し、車両前方側のケーブル23bがドラム36に巻き取られてスライドドア12はケーブル23bに引かれながら全閉位置へ向かって移動することになる。このとき、スライドドア12の移動速度は電動モータ起動時以外においては略一定に保たれるようになっている。このように、スライドドア12は駆動源としての電動モータ26により全閉位置と全開位置との間で駆動されて自動的に開閉動作するようになっている。
制御装置43と電動モータ26との間には電流センサ44が設けられており、制御装置43は電流センサ44からの検出信号により電動モータ26に供給される直流電流の電流値を認識し、これに基づいて電動モータ26の負荷を検出することができるようになっている。つまり、電動モータ26の作動はスライドドア12を所定の開閉速度で駆動するように制御されるので、電動モータ26の負荷が増減したときにはこれに応じて電動モータ26に供給されるの電流値が増減することになり、その電流値の変化から電動モータ26の負荷の変動を検出することができる。
また、制御装置43の図示しないメモリ内には予め実験等により所定の値に定められた挟み込み検出値が格納されており、電動モータ26の負荷つまり電流値が所定の挟み込み検出値以上となったときには挟み込み検知手段としての制御装置43は負荷の増加を挟み込みによるものと判断して挟み込みを検知するようになっている。
さらに、制御装置43の図示しないメモリ内には挟み込み回避動作のためのマップが格納されており、制御装置43は挟み込みを検知したときにはスライドドア12を挟み込み回避動作させるようになっている。この場合、挟み込み回避動作によりスライドドア12は反転移動されるようになっており、挟み込まれた障害物を迅速に挟み込みから開放するようになっている。なお、スライドドア12は反転移動後に所定距離だけ進んだ時点で停止されるが、全閉位置もしくは全開位置まで移動させるようにしてもよい。
図2、図3に示すように、この開閉装置21にはスライドドア12の一部から出没可能にストッパ45が設けられている。このストッパ45は後述する開度検出機構46の作動により図2中に実線で示す格納位置から破線で示す突出位置に揺動動作するようになっており、このストッパ45が突出位置まで突出したときにはスライドドア12とともに開方向に移動するストッパ45が車体13のガイドレール14内に固定されて設けられたブロック14bに当接してスライドドア12の全開位置までの移動が規制されるようになっている。
一方、図3に示すように、スライドドア12にはドアガラス15が所定開度となったときに作動する開度検出機構46が設けられており、制御装置43は開度検出機構46から入力される検出信号によりドアガラス15が所定開度以上に開いたことを認識することができるようになっている。なお、開度検出機構46はドアガラス15が乗員等の腕や頭等が容易に通過できない程度(本実施の形態においては、約10cm)の開度となったときにストッパ45を揺動作動させるようになっている。そして、開度検出機構46はストッパ45が作動すると制御装置43にその作動状態を出力するようになっている。
これにより、ドアガラス15が所定開度以上に開いているときには、スライドドア12の移動範囲はストッパ45により図1に実線で示す全閉位置と図4に実線で示す中間位置との間に制限される。図4に示すように、中間位置は全開位置より手前に設けられており、スライドドア12が中間位置にあるときにはスライドドア12の窓枠12aと車体13のピラー13bとの間には乗員等の腕や首等を挟み込まない程度の間隔Wが確保されるようになっている。これにより、ドアガラス15が開いた状態のスライドドア12が開閉装置21により自動開動作されているときに窓(ドアガラス15と窓枠12aとの間の開口部)から乗員の腕や頭等が出された場合であっても、窓枠12aとピラー13bとの間で挟み込みが発生するのを防止することができる。
図5は図2に示す開閉装置の自動開動作の制御手順を示すフローチャートであり、図6は図5に示す制御手順のサブルーチンを示すフローチャートである。また、図7(a)〜(c)は、それぞれ挟み込みの検知が行われる範囲を示す説明図である。
次に、この開閉装置21により自動開動作されるスライドドア12の作動について図5〜図7に基づいて説明する。
この開閉装置21では、図示されない開閉スイッチが操作されるとスライドドア12は自動開動作する。
まず、ステップS1において、スライドドア12が全閉状態のときに運転者等により開閉スイッチの開スイッチが投入つまりONされると、ステップS2において開度検出機構46によりドアガラス15が所定開度以上に開いているか否かが判断される。ステップS2においてドアガラス15の開度が所定開度以下であると判断されると、ステップS3において電動モータ26が起動してスライドドア12は全開位置へ向けて移動を開始する。スライドドア12が移動を開始するとステップS4において挟み込みの検知が開始され、ステップS5において挟み込みが検知されたときにはステップS6において挟み込み回避動作が行われてスライドドア12は反転移動する。これにより、自動開動作するスライドドア12よる挟み込みが発生しても、これを検知して挟み込みを回避することができる。また、挟み込みが発生したときにはスライドドア12は反転移動するので、挟み込まれた障害物は迅速に挟み込みから開放される。
一方、ステップS5において挟み込みが検知されないときには、ステップS7においてスライドドア12が全開位置まで移動したか否かが判断され、全開位置に達していないと判断された場合にはステップS5に戻される。つまり、ステップS7においてスライドドア12が全開位置に達したと判断されるまで挟み込みの検知が継続して行われる。そして、ステップS7においてスライドドア12が全開位置にまで移動したと判断された場合には、ステップS8において電動モータ26が停止され、スライドドア12は全開位置で停止して自動開動作が終了する。つまり、この開閉装置21では、ドアガラス15の開度が所定開度以下の場合には、挟み込みの検知は、図7(a)に示すように、全閉位置と全開位置の間の全域で行われることになる。
これに対して、ステップS2においてドアガラス15が所定開度以上開いていると判断された場合には、スライドドア12は図6に示すサブルーチンにより制御されるようになっている。
このサブルーチンでは、まず、ステップS1において電動モータ26が起動されスライドドア12は中間位置に向けて開方向への移動を開始する。次いで、ステップS2において挟み込みの検知が開始され、ステップS3とステップS4によりスライドドア12が中間位置に接近するまで挟み込みの検知が継続して行われる。そして、ステップS3において挟み込みが検知された場合には、ステップS5において挟み込み回避動作が実行されてスライドドア12は反転移動する。これにより、挟み込みを回避するとともに挟み込まれた障害物を迅速に挟み込みから開放することができる。
一方、ステップS4において挟み込みが検知されないままスライドドア12が中間位置に対して作動禁止距離L以内に接近したと判断されると、ステップS6において制御装置43による挟み込みの検知が禁止される。次いで、ステップS7によりスライドドア12が中間位置で停止したか否かが判断され、中間位置で停止したと判断された場合にはステップS8において電動モータ26が停止され、スライドドア12は中間位置に停止して自動開動作が終了する。
つまり、この開閉装置21では、ドアガラス15が所定開度以上開いている状態のスライドドア12が中間位置でストッパ45により停止されたときには、その挟み込みの検知は、図7(b)に示すように、全閉位置と中間位置に対して作動禁止距離Lだけ離れた位置との間の範囲で行われ、中間位置に対して作動禁止距離L以内の範囲では行われない。これにより、スライドドア12の移動がストッパ45により制限されて電動モータ26の負荷が挟み込み判定値以上に増加した場合であっても、スライドドア12を反転移動させずに中間位置に停止させることができる。
これに対して、ステップS7においてスライドドア12が中間位置で停止していない、つまり中間位置を越えて移動したと判断された場合には、ステップS9において挟み込みの検知が再開される。そして、ステップS10、ステップS11においてスライドドア12が全開位置に達するまで挟み込みの検知が継続して行われる。また、ステップS10において挟み込みが検知された場合には、ステップ5において挟み込み回避動作が実行される。なお、図示する場合には、中間位置に対して全開位置側にも作動禁止範囲が設けられているが、設けられていなくてもよい。
つまり、この開閉装置21では、ドアガラス15が所定開度以上開いている状態のスライドドア12が中間位置に接近したときにはストッパ45との当接による挟み込みの誤検知を防止するために挟み込みの検知は禁止されるが、挟み込みの検知が禁止された後にスライドドア12が中間位置を越えて全開位置側に移動したときには挟み込みの検知が再開されて、図7(c)に示すように、中間位置と全開位置との間にいても挟み込みの検知が行われるのである。
このように、この開閉装置21では、ドアガラス15が所定開度以上開いた状態で開動作するスライドドア12が中間位置を越えて移動したときには、中間位置で一旦禁止された挟み込みの検知が再開されるので、中間位置以降の範囲でスライドドア12の挟み込みを検知することができる。したがって、たとえばストッパ45の故障等によりスライドドア12が中間位置を越えて移動し、その結果、たとえばドアガラス15を支持する窓枠12aと車体13のピラー13bとの間に障害物が挟み込まれた場合であっても、これを検知して挟み込みを回避することができる。したがって、ドアガラス15が開いた状態のスライドドア12による挟み込みを確実に検知して、この開閉装置21の安全性を高めることができる。
また、挟み込みが検知されたときにはスライドドア12は反転移動するので、障害物を迅速に挟み込みから開放して、この開閉装置21の安全性を高めることができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、前記実施の形態においては、電動モータ26に供給される電流値が所定の挟み込み検出値を越えたときに挟み込みを検知するようにしているが、これに限らず、たとえば2つのホールIC42a,42bが出力するパルス信号Psの周期の伸びから電動モータ26の負荷の増加を検出し、この伸びが通常の移動時に対して所定の挟み込み判定値以上に伸びたときに挟み込みを検知するなど、他の方法により電動モータ26の負荷の増加つまり挟み込みを検知するようにしてもよい。
また、前記実施の形態においては、駆動源は電動モータ26とされているが、これに限らず、スライドドア12を駆動できるものであればよい。
さらに、前記実施の形態においては、ストッパ45はガイドレール14の軌道上に突出するようになっているが、これに限らず、スライドドア12の移動範囲を規制することができるものであればよい。
さらに、前記実施の形態においては、スライドドア12のストッパ45をセンター部のガイドレール14に対向する位置に設けているが、アッパー部・ロア部のガイドレールに対向する位置に設けるようにしてもよい。
本発明の一実施の形態である車両用自動開閉装置を備えた車両を示す側面図である。 図1に示すスライドドアの取り付け部分を拡大して示す正面図である。 図2に示す車両用自動開閉装置の制御体系を示す説明図である。 図3に示すストッパにより移動が規制された状態のスライドドアの位置を示す側面図である。 図2に示す開閉装置の自動開動作の制御手順を示すフローチャートである。 図5に示す制御手順のサブルーチンを示すフローチャートである。 (a)〜(c)は、それぞれ挟み込みの検知が行われる範囲を示す説明図である。
符号の説明
11 車両
12 スライドドア
12a 窓枠
13 車体
13a 開口
13b ピラー
14 ガイドレール
14a 曲部
14b ブロック
15 ドアガラス
16 ローラアッシー
21 車両用自動開閉装置
22 アクチュエータユニット
23a,23b ケーブル
24,25 反転プーリ
26 電動モータ(駆動源)
27 回転軸
31 駆動ギヤ
32 大径スパーギヤ
33 小径スパーギヤ
34 従動ギヤ
35 出力軸
36 ドラム
37,38 テンショナ
41 多極着磁磁石
42a,42b ホールIC
43 制御装置(挟み込み検知手段、制御手段)
44 電流センサ
45 ストッパ
46 開度検出機構
W 間隔
L 作動禁止距離

Claims (2)

  1. 開閉自在のドアガラスを備えたスライドドアを自動的に開閉する車両用自動開閉装置であって、
    前記スライドドアを全閉位置と全開位置との間で駆動する駆動源と、
    前記駆動源の負荷が挟み込み判定値以上となったときに挟み込みを検知して前記スライドドアを挟み込み回避動作させる挟み込み検知手段と、
    前記ドアガラスが所定開度以上に開いたときに突出し、前記スライドドアの移動範囲を前記全閉位置と前記全開位置より手前の中間位置との間に制限するストッパと、
    前記ドアガラスが前記所定開度以上に開いた状態の前記スライドドアが開動作して前記中間位置に対して作動禁止距離以内に接近したときに前記挟み込み検知手段による挟み込みの検知を禁止する制御手段とを有し、
    前記挟み込み検知手段による挟み込みの検知が禁止された後に前記スライドドアが前記中間位置を越えて前記全開位置側に移動したときには前記挟み込み検知手段による挟み込み検知が再開されることを特徴とする車両用自動開閉装置。
  2. 請求項1記載の車両用自動開閉装置において、前記挟み込み回避動作により前記スライドドアが反転移動されることを特徴とする車両用自動開閉装置。

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