JP2005194181A - 緩効性粒状肥料および緩効性粒状肥料被覆用逆コア・シェルポリマー - Google Patents

緩効性粒状肥料および緩効性粒状肥料被覆用逆コア・シェルポリマー Download PDF

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Abstract

【課題】 緩効性粒状肥料と緩効性粒状肥料被覆用逆コア・シェルポリマーエマルジョンの提供。
【解決手段】 乳化重合法を用いて製造したコアポリマーエマルジョンと、相反する特性を有するように2段階に区分して製造したシェルポリマーエマルジョンとを重合して逆コア・シェルポリマーエマルジョンを形成させることによって、モルフォロジーが改善された逆コア・シェルポリマーエマルジョンおよびこれを被覆した緩効性粒状肥料。
【選択図】 図4

Description

本発明は、緩効性粒状肥料および緩効性粒状肥料被覆用逆コア・シェルポリマーエマルジョンに関し、より詳しくは、乳化重合法を用いて製造したコアポリマーエマルジョンと、相反する特性を有するように2段階に区分して製造したシェルポリマーエマルジョンを重合して逆コア・シェルポリマーエマルジョンを形成させることによって、モルフォロジーが改善された逆コア・シェルポリマーエマルジョンおよびこれを被覆した緩効性粒状肥料に関する。
本発明の方法に従って製造された逆コア・シェルポリマーエマルジョンは優れた耐候性を示すので、これを被覆組成物として使用する場合、変色やポリマー鎖の切断などのような構造の変形が起こらないため、長期間貯蔵時にも溶出性の変化がないという特性が与えられ、これを粒状肥料に被覆する場合、肥料成分が作物の成長期間中に徐々に放出される緩効性を有することになるので、粒状肥料にコーティングされる被覆組成物の使用量および被覆量を調節することによって肥料の溶出量調節が可能になり、必要に応じて、無機物を添加して使用する場合、水中栽培作物への適用時にも優れた緩効性を示す効果がある。
一般に、尿素のような速効性肥料は、水で迅速に溶解する性質があるため、肥料の溶解速度が作物によって利用され得る速度を超えることにより、作物によって利用できなかった肥料成分が周りの河川を汚染するか、過度な肥料濃度によって作物の根の成長に被害を与えるなどの問題が生じ、このような問題を解決するためには、一時に過量の肥料を撒布するよりは少量ずつ数回肥料を撒布することが必要である。しかし、少量ずつ数回肥料を撒布する方法は、仕事の煩雑性や人件費の上昇の問題があるため、1回の施肥で作物を収穫するまで養分を供給できる安価な緩効性肥料に対する開発研究が続いている。
前記のような緩効性肥料を製造するための従来の技術は以下の通りである。
被覆された粒状肥料の場合、緩効性を与えるために一般的に硫黄化合物を用いるか、溶剤型樹脂と硫黄化合物の混用方法、または無機物粉体や有機物粉体を用いる方法などが昔から利用されてきた。
また、様々な形態の樹脂で粒状肥料を被覆する方法が使用されてきたが、前述の被覆に用いられる樹脂は、分子量に関わらず大部分有機溶剤を用いる。このような溶剤型樹脂の使用は、被覆時に発生する揮発成分を除去するために大気汚染防止のための回収設備の装着など付加的な機械装備を設けなければならないため、被覆費用が増加するという問題がある。
熱硬化性樹脂であるウレタン樹脂やエポキシ樹脂を用いる方法が特許文献1、特許文献2、特許文献3などに開示されており、これらの方法は、樹脂を硬化させることにより塗膜の欠陥を少なくし、肥料の有効成分の溶出を制御する方法である。しかし、これらもまた製造方法において複雑な装置および工程を経由しなければならないため、製造された緩効性肥料の値段が増加するという問題がある。
ポリオレフィン系樹脂組成物に、さらに滑石などの無機物粉体または硫黄粉末の混合分散物を肥料に被覆することによって、肥料効能成分の溶出速度を調節できるだけでなく、被覆肥料の使用後、残留被覆物の崩壊および分解を促進する技術が特許文献4、特許文献5に開示されているが、これらもまた被覆装置が複雑性であるという問題を抱えている。
肥料層に農薬層を被覆し、これにロジンおよびロジン混合物を被覆することによって肥料成分と農薬成分の溶出性を制御し、残留被覆物による土壌汚染を防止する方法が特許文献6に開示されているが、この方法もまた製造工程が複雑であるため商業的に利用するには適さないという問題がある。
言い換えれば、一般的に肥料の有効成分を徐々に放出させるためには、肥料の表面に不溶性のポリマーを一般の被覆機器を用いて均一に被覆することによって肥料成分が水に急激に分解しないようにした。この際、被覆物質としては、様々な熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が使用されてきたが、大部分の樹脂は水不溶性樹脂であるため、溶剤を用いて溶液を製造した。したがって、緩効性肥料の製造時、揮発される溶剤による大気環境の汚染を防ぐために溶剤の回収施設の設置が不可避であり、肥料の被覆工程が複雑となる特性を有し、溶剤による安定性を確保するために高価の被覆設備を備えなければならないので、被覆肥料の値段が上昇するという問題がある。
前記のような問題を解決するために、水溶性エマルジョン樹脂または水分散樹脂を用いる方法が開発されて一部使用されており、引き続いて開発中であるが、前記方法を具体的に説明すると次の通りである。
代表的な水溶性樹脂としては、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)エマルジョンがある。しかし、前記ポリ塩化ビニリデンエマルジョンの場合は、媒介体として水を用いることによって被覆設備の複雑性を解決することはできたが、他の樹脂に比べて樹脂の比重が高いという特性によってエマルジョン状態で長期間保管する場合、水とポリマー成分間の相分離が起こるという問題があるため使用上に困難さがあり、紫外線に弱い特性を有するため、日ざしに長期間にさらされるとともに貯蔵期間が長くなるとポリマー鎖の切断などのような構造変形による変色などの問題を引き起こし、また、前記のような問題によって被覆肥料の溶出性調節能力が低下するという短所を有する。
また、一般的に使用される耐水性に劣るアクリルエマルジョン樹脂を緩効性肥料に適用する場合、低分子量体の乳化剤が多量含有されているため、被覆肥料の溶出率を調節することが難しく、被覆肥料を淡水土壌に施肥した場合、被覆物質が水面に浮遊して風などによって一個所に集まることになるため美観上よくない上に、土壌の部分的な変質をもたらすという問題がある。
米国特許第3264088号公報 米国特許第3264089号公報 特表平7−500560号公報 特公昭60−3040号公報 特公昭55−1672号公報 韓国特許公告第96−3805号公報
そこで、本発明者らは、前記問題を解決するために鋭意研究努力した結果、乳化重合法を用いて製造したコアポリマーエマルジョンと、低分子量の乳化剤を添加することなく架橋度が調節されるシェルポリマーエマルジョンと分子量が調節されるシェルポリマーエマルジョンに相反する特性を有するように2段階に区分して製造した2種類のシェルポリマーエマルジョンを重合することによって、逆コア・シェルポリマーエマルジョンのモルフォロジーを改善できることに成功した。
また、前記逆コア・シェルポリマーエマルジョンで粒状肥料を被覆することによって、作物の成長期間中に肥料成分を徐々に放出させる緩効性を与えることができ、前記被覆組成物の使用量および被覆量を調節することによって肥料の溶出量調節が可能であり、必要に応じて、無機物を添加して使用する場合、水中栽培作物に適用しても優れた緩効性を示すとともに、浮遊現像を防止できることを発見し、本発明を完成した。
したがって、本発明は、モルフォロジーが改善され、粒状肥料などの内部物質の溶出率の調節が可能な逆コア・シェルポリマーエマルジョンと、前記エマルジョンを粒状肥料の表面に塗布することによって肥料成分が徐々に溶出される緩効性粒状肥料を提供することにその目的がある。
本発明の一実施態様によって、粒状肥料の外表面が、(a)カルボキシ基含有単量体を含むコアポリマーエマルジョンと、(b)架橋されたシェルポリマーエマルジョンと分子量が調節されたシェルポリマーエマルジョンを含むシェルポリマーエマルジョンからなり、前記(a)コアポリマーエマルジョンの内部に(b)シェルポリマーエマルジョンが挿入されている逆コア・シェルポリマーエマルジョンを含む被覆組成物で被覆されている緩効性粒状肥料が提供される。
また、本発明の他の実施態様によって、(a)カルボキシ基含有単量体を含むコアポリマーエマルジョンと、(b)架橋されたシェルポリマーエマルジョンと分子量が調節されたシェルポリマーエマルジョンを含むシェルポリマーエマルジョンからなり、前記(a)コアポリマーエマルジョンの内部に(b)シェルポリマーエマルジョンが挿入されていることを特徴とする逆コア・シェルポリマーエマルジョンが提供される。
また、本発明では、前記逆コア・シェルポリマーエマルジョンを含む緩効性粒状肥料被覆用組成物が提供される。
本発明に従って製造された肥料被覆用逆コア・シェルポリマーエマルジョンは、一般のエマルジョンの場合とは異なり、均一な被覆膜が得られるため、被覆量によって必要とする肥料有効成分の溶出率の調節が容易であり、一回の施肥でも持続的な施肥効果が得られる。
特に、水を媒体とするエマルジョン樹脂を使用するので、被覆設備および被覆条件が簡単であり、また、商業的に多用されているPVDCよりも優れた紫外線安定性を有するので、日ざしによる被覆膜の変質(色の変化、組成の変化など)がないという特徴がある。
また、本発明に従って製造された肥料被覆用逆コア・シェルポリマーエマルジョンは、肥料被覆時に添加される無機物との混合性に優れるため、無機物を添加して使用しても前記無機物による被覆膜の不均一性が発生せず、このように無機物を添加して製造する場合は、肥料の有効成分が溶出された後被覆物質が水表面上に浮遊する現像がないため、特に水田作物などの淡水栽培作物に適用するとより好ましい効果が得られる。
さらに、本発明の被覆組成物は尿素肥料および複合肥料のいずれにも適用可能である。
したがって、本発明のエマルジョンを肥料表面に被覆することによって水溶性肥料成分の溶解速度を調節し、数回にわたっての肥料撒布による、肥料成分の過剰供給による環境汚染を防止し、作物の成長に必要な肥料成分を一回の撒布で徐々に供給して均衡的に成長させることによって人件費などを節約できる経済的な効果とともに環境汚染の弊害を減少できるなどの優れた効果がある。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、緩効性粒状肥料および緩効性粒状肥料被覆用逆コア・シェルポリマーエマルジョンに関し、より詳しくは、乳化重合法を用いて製造したコアポリマーエマルジョンと、相反する特性を有するように2段階に区分して製造したシェルポリマーエマルジョンとを重合して逆コア・シェルポリマーエマルジョンを形成させることによって、モルフォロジーが改善された逆コア・シェルポリマーエマルジョンおよびこれを被覆した緩効性粒状肥料に関する。
このような本発明の逆コア・シェルポリマーエマルジョンを構成成分別に詳しく説明すると次の通りである。
まず、コアポリマーエマルジョンは公知の乳化重合法で製造されるが、ここで製造されたコアポリマーエマルジョンは十分なカルボキシ基を含有する。前記コアポリマーエマルジョンは、後述するシェルポリマーエマルジョンとともに逆コア−シェルエマルジョンを形成し、最終の逆コア・シェルポリマーエマルジョンにおいて最外郭のシェルを形成する。そして、多量のカルボキシ基を含有することによって、従来のコア−シェルエマルジョンよりも遥かに少量の乳化剤を含む。また、前記コアポリマーエマルジョンは、乳化重合が終わった後に塩基で中和されるため、最終の逆コア・シェルポリマーエマルジョンにおいて最外郭のシェルを形成する際、後述のシェルポリマーエマルジョンは別途の乳化剤を使用する必要がなくなるため耐水性に優れる特徴を発現することによって、肥料の溶出が速くなることを防ぐことができ、耐水性と親水性が調和をなすことができるので、これにより、被覆された物質の溶出性の調節が容易である特性を示す。
コアポリマーエマルジョンは、カルボキシ基含有単量体10〜40質量%、反応性不飽和アクリレート、シラン化合物および芳香族ビニル系単量体から選ばれた化合物1種またはそれ以上の混合物55〜85質量%、鎖転移剤0.1〜0.5質量%、開始剤0.2〜1.5質量%および乳化剤1.5〜4.0質量%を含む。
まず、コアポリマーエマルジョンは、カルボキシ基を含有する単量体を多量含む。前記カルボキシ基含有単量体の使用量は10〜40質量%であるが、カルボキシ基含有単量体の含量が前記範囲を外れると、被覆剤の耐水性を調節することが難しいため、被覆肥料の溶出率調節が難しいという問題がある。カルボキシ基を含有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル安息香酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸およびこれらの無水物などから選ばれた1種または2種以上の混合物を使用する。
前記カルボキシ基含有単量体と混合して使用できる反応性不飽和アクリレート、シラン化合物および芳香族ビニル系単量体から選ばれた1種またはそれ以上の混合物と混合して使用してもよいが、その使用量は55〜85質量%である。前記反応性不飽和アクリレートとしては、例えば、炭素数1〜18のアルキルアクリル酸エステル、アルキルメタクリル酸エステル、シクロアルキルアクリル酸エステル、シクロアルキルメタクリル酸エステル、アルコキシアルキルアクリル酸エステル、アルコキシアルキルメタクリル酸エステル、炭素数2〜8のヒドロキシアルキルアクリル酸エステル、ヒドロキシアルキルメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびメタクリル酸トリフルオロエチル などから選ばれた1種またはそれ以上の混合物を使用する。
前記芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、アルファメチルスチレン、ビニルトルエンから選ばれた1種またはそれ以上の混合物を使用できる。
また、前記シラン化合物としては、例えば、加水分解性シリル基であるアルコキシシリル基、フェノキシシリル基、ハロシリル基、イソプロピルシリル基などを含有する化合物から選ばれたものを使用する。この際、鎖転移剤を用いて分子量を調節するが、その使用量は0.1〜0.5質量%であり、使用可能な鎖転移剤の例としては、炭素数が2〜15のアルキルメルカプタン、炭素数が2〜8のメルカプトカルボン酸エステル(たとえば、3−メチルメルカプトプロピオネート)、四塩化炭素およびブロモトリクロロメタンなどがある。
開始剤は、例えば、0.2〜1.5質量%の量で使用する。前記開始剤としては、水溶性開始剤、油溶性開始剤または酸化−還元開始剤を使用してもよいが、好ましくは油溶性熱解離ラジカル開始剤を使用することがよい。本発明に使用され得る開始剤は水溶性と油溶性のいずれも可能であるが、単独でまたは還元剤とともに使用してもよい。具体的には、水溶性開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムを単独で使用するか、重亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどの還元剤とともに使用できる。油溶性開始剤としては、t−ブチルヒドロパーオキシド、ジブチルパーオキシド、ベンゾイルヒドロパーオキシド、過安息香酸、過酸化水素、過酢酸などが用いられ、単独で使用してもよく、前記還元剤とともに使用してもよい。さらに好ましくは、水溶性と油溶性を共に有する開始剤(たとえば、商品名、Vazo 68WSP、DUPONT社製)と混用してもよい。
コアポリマーエマルジョンの安定性を与えるために、例えば、陰イオン乳化剤、非イオン乳化剤および反応性乳化剤を使用する。前記乳化剤は、例えば、1.5〜4.0質量%使用するが、使用量が前記範囲を外れると耐水性の変化によって被覆肥料の溶出率を調節することが難しいという短所がある。
使用され得る乳化剤としては、たとえば、陰イオン系乳化剤として、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、ナトリウムオレイックサルフェート、ドデシル硫酸カリウム、ジオクチルナトリウムスルファスクシネート、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムおよびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアンモニウムサルフェートなどがあり、非イオン乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンポリプロピレン共重合体などがあり、乳化剤成分に不飽和二重結合を有することによって、合成されるポリマーと共重合をなす陰イオン性の反応性乳化剤または非イオン性の反応性乳化剤を使用できる(たとえば、商品名:NOIGEN RN-30、HITENOL HS-10;DKS International社製)。
前記の組成成分から構成されたコアポリマーエマルジョンは、従来の乳化重合法で製造されるが、連続相の水と乳化剤を初期に入れ、開始剤、鎖転移剤および単量体を入れる工程からなる。この際、反応温度は、例えば、75〜85℃の範囲である。
前記のように製造されたカルボキシ基を多量含有するコアポリマーエマルジョンを塩基からなる中和剤で中和するが、これに用いられる中和剤は無機塩基であるアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび有機塩基であるジメチルエタノールアミン、トリエチルアミンのような第1級、第2級、第3級アミンであり、中和度によって最終の目的である被覆肥料の溶出性に影響を及ぼすので適当な中和が要求される。本発明における中和度は、カルボン酸の総量に対して50〜90%の中和度をなすことが好ましく、中和度が前記範囲を外れると逆コア・シェルエマルジョンの製造時、製造安定性が低下するという問題がある。この際、pHは、例えば、6〜11の範囲である。
以下、前記コアポリマーエマルジョンのコアに挿入されるシェルポリマーエマルジョンを説明する。
本発明のシェルポリマーは、低分子量の乳化剤を添加させずに製造されるという特徴を有し、シェルポリマーエマルジョンの初期30〜50質量%は架橋されたシェルポリマーエマルジョンであり、残りの50〜70質量%は分子量が調節されたシェルポリマーエマルジョンからなる。逆コア−シェルの製造原理に従って前記で製造したコアポリマーエマルジョンの内部にシェルポリマーエマルジョンが挿入された逆コア−シェル構造を示すエマルジョンを形成し、各々のコアエマルジョンおよびシェルエマルジョンを構成する外郭の分子の親水性の差異によって本発明の逆コア・シェルポリマーエマルジョンは、架橋度が調節されたシェルポリマーエマルジョンと分子量が調節されたシェルポリマーエマルジョンが順次前記コアエマルジョンのコア内部に挿入されるようになる。
以下、前記コアポリマーエマルジョンのコアに挿入される各々のシェルポリマーエマルジョンをその挿入順序に従って詳しく説明する。
まず、架橋度が調節される特徴を有するシェルポリマーエマルジョンは、例えば、カルボキシ基含有単量体2.0〜5.0質量%、反応性不飽和アクリレート、シラン化合物およびビニル系単量体から選ばれた1種またはそれ以上の混合物85〜97質量%、開始剤0.6〜1.0質量%および架橋剤0.05〜0.2質量%からなる。
以下、架橋度が調節される特徴を有するシェルポリマーエマルジョンの構成成分について具体的に説明する。
まず、カルボキシ基含有単量体2.0〜5.0質量%を使用するが、前記コアポリマーエマルジョンを構成するものと同じものを使用してもよい。前記反応性不飽和アクリレートとしては、炭素数が 1〜18のアルキルアクリル酸エステル、アルキルメタクリル酸エステル、シクロアルキルアクリル酸エステル、シクロアルキルメタクリル酸エステル、アルコキシアルキルアクリル酸エステル、アルコキシアルキルメタクリル酸エステル、炭素数2〜8のヒドロキシアルキルアクリル酸エステル、ヒドロキシアルキルメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびトリフルオロエチルメタクリレートなどから選ばれた1種またはそれ以上の混合物を使用する。
開始剤は、前記コアポリマーエマルジョンの製造に用いられた水溶性開始剤または油溶性開始剤を使用し、好ましくは、油溶性開始剤としてシクロヘキシルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、n−オクチルヒドロパーオキシドなどから選ばれたものを使用し、さらに好ましくは、水溶性と油溶性を同時に有する開始剤(具体的に、商品名:Vazo 68WSP、DUPONT社製など)と混用することがよい。開始剤の使用量は、例えば、0.6〜1.0質量%である。
架橋剤は、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどから選ばれた1種〜2種以上の混合物を使用でき、使用量は、例えば、0.05〜0.2質量%である。
前記のように架橋度を調節可能なシェルポリマーエマルジョンは、被覆膜の膨潤現像を防ぐとともに、稠密な被覆膜を形成し、被覆膜の形成時に肥料の溶出性を制御することが容易であるという効果がある。この際、架橋度が低いと被覆膜の膨潤現像が生じ、架橋度が高すぎると溶出性の制御に困難さがあるため、適切な架橋度を保持することが重要である。
次に、分子量が調節される特徴を有するシェルポリマーエマルジョンは、例えば、カルボキシ基含有単量体1.5〜5.0質量%、反応性不飽和アクリレート、シラン化合物およびビニル系単量体から選ばれた1種またはそれ以上の混合物85〜97質量%、開始剤0.3〜0.6質量%および鎖転移剤0.3〜1.0質量%からなる。
以下、分子量が調節される特徴を有するシェルポリマーエマルジョンの構成成分について具体的に説明する。
まず、カルボキシ基含有単量体1.5〜5.0質量%を使用するが、前記コアポリマーエマルジョンを構成するものと同じものを使用してもよい。前記反応性不飽和アクリレートとしては、炭素数が 1〜18のアルキルアクリル酸エステル、アルキルメタクリル酸エステル、シクロアルキルアクリル酸エステル、シクロアルキルメタクリル酸エステル、アルコキシアルキルアクリル酸エステル、アルコキシアルキルメタクリル酸エステル、炭素数2〜8のヒドロキシアルキルアクリル酸エステル、ヒドロキシアルキルメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびメタクリル酸トリフルオロエチルなどから選ばれた1種またはそれ以上の混合物を使用する。
開始剤としては、前記コアポリマーエマルジョンの製造に用いられた水溶性開始剤または油溶性開始剤を使用し、好ましくは、油溶性開始剤として、シクロヘキシルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、n−オクチルヒドロパーオキシドなどから選ばれたものを使用し、さらに好ましくは、水溶性と油溶性を同時に有する開始剤(具体的に、商品名:Vazo 68WSP、DUPONT社製など)と混用することがよい。開始剤の使用量は0.3〜0.6質量%である。分子量調節剤として用いられる鎖転移剤としては、前記コアポリマーエマルジョンの製造に使用される鎖転移剤を用いてもよく、使用量は0.3〜1.0質量%である。
前記のように分子量を調節可能なシェルポリマーエマルジョンの分子量は、好ましくは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定する場合、約30,000〜80,000の重量平均分子量を有する。好ましくは、45,000〜65,000の分子量を有するものが肥料の溶出性を制御するのに容易である。分子量が低すぎると、被覆膜による肥料の溶出があまりにも速く起こり、分子量が多すぎると溶出がほとんどなされないという特性を示す。
前述のように、本発明においてシェルポリマーをなす単量体の組成は、前記コアポリマーエマルジョンに用いられたものを使用してもよく、最終の目的物である逆コア・シェルポリマーエマルジョンからなる被覆フィルムの形成の際に長期貯蔵性、耐候性、肥料の溶出性の制御、被覆物質の膨潤現像などを制御するために逆コア・シェルポリマーエマルジョンのモルフォロジー(形態)を変形するためのものであって、前記逆コア・シェルポリマーの内部をなすシェルポリマーの場合、まず、適切に架橋されたポリマーを製造し、これに鎖転移剤を用いて分子量を調節可能なポリマーが挿入される構造をなすように構成した。
一般的に、エマルジョン樹脂のフィルム膜の形態は、コア−シェルや逆コア−シェルの構造を有するポリマーの場合、フィルムをなす連続相になる部分、すなわち、コア−シェル形態の場合はシェルポリマーに該当する部分と、逆コア−シェル形態の場合はコアポリマーに該当する部分の特性によって塗膜をなす温度が決定され、塗膜をなす温度(MFFT:minimum film forming temperature、最低塗膜形成温度)以上に加温される場合、不連続相をなす部分、すなわち、コア−シェル形態の場合はコアポリマーに該当する部分と逆コア−シェル形態の場合はシェルポリマーに該当する部分も連続相のフィルムになるので、全体的な塗膜の特性に影響を及ぼす。
前記のように、フィルム塗膜の形態によって被覆された内部物質(たとえば、肥料など)の溶出率が変化するが、不連続相に該当する部分が架橋された樹脂で形成された場合、内部物質の溶出が遅くなり、乳化剤を多量使用する一般のコア−シェルエマルジョンを用いた被覆の場合と、内部が非架橋逆コア−シェルエマルジョンの場合は溶出率が速くなる特性を示す。
本発明では、高分子の架橋結合による網状構造(network)の形成によって架橋度を調節できるようにしたシェルポリマーエマルジョンを前記コアポリマーエマルジョンのコア内部に挿入し、次いで、分子量が調節されたシェルポリマーエマルジョンを、前記架橋度が調節されたシェルポリマーが形成している網状構造の内部に挿入したIPN(interpenetrating polymer network)構造をなし、この際、分子量が調節されたシェルポリマーは肥料の溶出通路の役割を果たす。
逆コア・シェルポリマーエマルジョンを製造する際、本発明のように架橋度および分子量が調節されるように異なって設計したシェルポリマーエマルジョンを各々製造して順次前記コアポリマーエマルジョンの内部に挿入することなく、架橋されたシェルポリマーのみを使用する場合は、最終に製造された逆コア・シェルポリマーエマルジョンで被覆された物質の溶出率が低下し、分子量が調節されたシェルポリマーのみをコアポリマーエマルジョンのコア内部に挿入する場合にも溶出率の調節が容易でない。同様に、架橋度が調節されたシェルポリマーと分子量が調節されたシェルポリマーの挿入順序を変更する場合は、樹脂を構成するモルフォロジーがIPN構造ではないため、目的とする溶出率調節効果が発現されない。
次に、前記のような組成成分からなる本発明の逆コア・シェルポリマーエマルジョンの製造方法について説明する。
まず、コアポリマーエマルジョンを中和した後、これを水とともに入れ、シェル−ポリマーエマルジョン中で架橋度が調節されるシェルポリマーエマルジョン30〜50質量%を一定に投入した後、これに分子量が調節されるシェルポリマーエマルジョン50〜70質量%を一定の時間で 入れる工程からなる多段階重合法で製造される。この際、反応温度は65〜85℃の範囲である。
前記コアポリマーエマルジョンとシェルポリマーエマルジョンは1:4〜20質量比で混合するが、好ましくは、1:10〜15である。シェルポリマーエマルジョンの質量比が低すぎる場合、肥料の溶出があまりにも速く起こり、質量比が高すぎる場合、溶出が非常に遅くなる特性を示す。特に、このように製造された逆コア・シェルポリマーエマルジョンのガラス転移温度が10〜50℃の範囲になるようにコアポリマーエマルジョンとシェルポリマーエマルジョンの使用比を調節することが重要であるが、これは、被覆の際、均一な被覆膜を形成できるようにする重要な因子として作用するからである。ガラス転移温度が10℃未満の場合、肥料の被覆時、被覆膜同士がくっ付く現像が生じるため被覆を施すことが難しく、50℃以上の場合、被覆温度が高温でなければ被覆が不可能であり、多くの熱量が費やされ、短時間で均一な被覆膜の形成がされないため、肥料の溶出性能を制御することが難しい。
前記のように製造された逆コア−シェルエマルジョンに貯蔵安定性を与えるためにコアポリマーエマルジョンの中和に用いられた中和剤を用いてpHを9〜11に調整する。本発明に用いられる水はイオン交換水が好ましく、使用量は水と単量体の質量比が1:1〜1.5であることが好ましい。
一般的に、緩効性肥料は作物の全生育期間中に作物の成長周期に合わせて適当に肥料の養分が溶出されるように設計されなければならない。たとえば、イネは、水田に田植えしてから根が活着した後、分けつを開始して穂が出る有効分けつ期(effective tillering stage)までは多くの窒素成分を必要とし、穂が出ない無効分けつ期(ineffective tillering stage)には多くの窒素成分を必要としないため、窒素肥料施肥を禁じている。したがって、作物の種類別養分要求量に符合する緩効性肥料の製造およびこれを通じた水中および土壌中での正確な溶出量の制御は容易でない。
本発明では、前記のように逆コア−シェルの製造原理を適用し、多量のカルボキシ基を有することによって優れた分散力を有するコアポリマーと、前記優れた分散力によって乳化剤の使用を抑制できるとともに、架橋度および分子量が調節されるシェルポリマーが順次挿入され、改善されたモルフォロジーを有し、肥料の溶出量の調節が容易な逆コア・シェルポリマーエマルジョンを製造した。また、前記逆コア・シェルポリマーエマルジョンを含む被覆組成物で粒状肥料を被覆するが、単層、または必要に応じて内皮層と外皮層で二重被覆してもよい。二重被覆する場合、1次被覆時に形成された内皮層は、主に溶出性能を制御する役割を果たし、2次被覆時に形成された外皮層は前記内皮層によって粒状肥料の表面に形成された被覆膜が肥料の流通過程や保存期間中に肥料粒子同士がぶつかって生じる損傷を防止する役割を果たすが、前記1次被覆でも十分な緩効性効果が得られるが、さらに2次被覆を行う場合は、より好ましい緩効性効果および貯蔵および運搬時の安定性を期することができるという効果がある。
肥料の溶出速度は主に被覆膜の厚さ、すなわち、粒状肥料の純粋質量に対する被覆された被覆組成物の質量比である被覆率に制御するが、緩効性肥料の被覆率が少なすぎると、水中でアクリルエマルジョンを含む被膜が被覆肥料の内部から発生する浸透圧力を耐えずに肥料養分が直ちに溶出し、被覆率が高すぎると肥料養分の溶出があまりにも遅いので、作物の養分要求量に問題が発生する。被覆率は単層被覆のみを行う場合5〜15%であることが好ましい。
さらに、前記緩効性粒状肥料を2回被覆する二重構造で形成する場合、1次被覆される内皮層の被覆率は溶出率の調節がさらに容易であるという点から5〜15%であることがよく、2次被覆される外皮層の被覆率は2〜5%に調節することがよい。
前記のような被覆率調節以外にも本発明の肥料被覆用逆コア・シェルポリマーエマルジョンに無機物を添加することによって肥料の溶出速度を制御できる。無機物としては、タルク、粘土、石灰、炭酸カルシウム、ゼオライト、シリカおよび石膏などから選ばれた1種またはそれ以上の混合物を使用してもよい。
前記のように無機物を含む被覆用組成物は、特に淡水栽培植物に適用する場合、肥料成分の完全な溶出後、被覆組成物が浮遊する現像を制御できるので、より好ましい効果が得られる。また、前記無機物を使用する場合、緩効性肥料の溶出速度をある程度制御することが可能であり、肥料の強度維持および絡み現像を防止する効果が与えられる。
したがって、作物の種類によって緩効性肥料の溶出速度を調節する必要がある場合、無機物を添加しないか、または無機物添加量を調節して被覆することが好ましい。
したがって、無機物添加量は、被覆組成物の固形分含量に対して0〜30質量%になるように調節する。二重被覆を行う場合は、1次被覆層である内皮層と2次被覆層である外皮層の両方に無機物を添加してもよく、必要に応じて外皮層にのみ無機物を添加してもよいが、すなわち、内皮層には1次被覆組成物の固形分含量に対して0〜30質量%の無機物を添加し、外皮層には2次被覆組成物の固形分含量に対して30〜90質量%の無機物を添加することが好ましい。
次に、被覆機を用いて緩効性肥料を製造する一具現例を挙げて詳細に説明する。
被覆機を用いて緩効性肥料を製造するための被覆技術には、一般的にドラム被覆機、パン型被覆機、流動層被覆機などの3種類の被覆機を多用している。ドラム被覆機およびパン型被覆機は、運転操作が容易で、多量生産が可能であるが、被覆機内で被覆物質に含まれている溶剤を迅速に乾燥できないため、肥料が絡み合うか、皮膜形成が不良であるので、溶剤の乾燥速度が遅い水性系被覆物質はほとんど使用せず、溶剤の乾燥速度が速い油性系被覆物質を用いる際に主に使用する。本発明の逆コア・シェルポリマーエマルジョンは水性系であるので、流動層被覆機を使用することがさらに好ましい。
本発明の被覆組成物を周知の流動層粒状被覆機を用いて加圧式二流体ノズルを通じて流動される粒状肥料の表面に被覆するにおいて、一般の被覆条件は次の通りであるが、被覆機の性能によって被覆条件を変更してもよい。
粒状肥料を被覆する工程は大きく3段階に区分されるが、まず、被覆機の内部で粒状肥料中の水分を蒸発させる予熱工程段階、粒状肥料に被覆物質を被覆する被覆工程段階、そして、被覆肥料の表面に付着している高分子粒子間の皮膜形成を強くするための乾燥工程段階がある。
たとえば、回分式流動層被覆機を用いて本発明の被覆組成物で粒状肥料を被覆する好ましい方法を添付の図1に基づいて詳しく説明する。
まず、肥料投入口1を通じて直径が2〜4mmの粒状肥料12kgを投入し、熱風量が7〜9m3/secになるように送風機2(Blower)および圧縮機3(Compressor)を調節し、加熱機6(Heater)で空気を予熱してコーティング機の入口温度が60〜100℃になるようにし、コーティング機の内部温度が60〜70℃に保たれるように予熱工程を5〜10分程度施す。
その後、先に製造された逆コア・シェルポリマーエマルジョンに、必要に応じて無機物を1次被覆組成物の固形分含量に対して5〜30質量%添加した1次被覆物質をポンプ4を通じて100〜150g/minの速度で、空気混合噴霧ノズルの空気圧力が0.2〜3kg/cm2の二流体ノズル5を通じて噴霧して粒状肥料の表面に1次被覆する。前記1次被覆率は5〜15%程度になるようにする。1次被覆率が前記範囲に至ると1次被覆物質の供給を中断し、逆コア・シェルポリマーエマルジョンに無機物を2次被覆組成物の固形分含量に対して30〜90質量%添加した2次被覆物質を製造した後、これを前記1次被覆と同様な方法で噴霧して前記1次被覆が完了した粒状肥料の表面に2次被覆する。前記2次被覆率は2〜5%範囲になるようにする。
前記のように粒状肥料に対する被覆工程が終わると、粒状肥料の表面に付着している皮膜の形成を堅固にするため乾燥工程を行う。この際、熱風量は被覆工程と同様に保持し、乾燥温度は被覆温度から次第に温度を上げて70〜90℃の範囲になるようにし、乾燥時間は約10〜20分程度行う。前記乾燥工程を行った後、送風機2、加熱機6の動作を中止した後、排出口7を通じて本発明の目的とする緩効性粒状肥料を得る。
逆コア・シェルポリマーエマルジョン被覆用組成物に添加する前記無機物としては、タルク、粘土、石灰、炭酸カルシウム、ゼオライト、シリカおよび石膏などを使用してもよい。特に、無機物のうち石膏は、25℃の水で石膏100g当たり0.24g程度の溶解度を有するので、石膏が被覆物質とともに水に入ると石膏の水中溶解性で肥料養分の溶出性を促進し、土壌に埋められると被覆物質が速く分解する特徴を与えられる。
肥料の溶出性能は作物の種類によって異なる。水田作物である水稲は、韓国の気候条件下で品種と栽培時期などによって成熟期間は異なるが、種子が発芽して新しい種子を作って成熟するまでは大体120〜180日程度がかかる。したがって、田植え期間とイネの穂が黄色く成熟する黄熟期を除いては、約100〜150日程度の期間の間養分が要求される。花卉類および木のような作物は、溶出期間が200日以上長期間を要する作物もあり、作物の種類に従って溶出速度を調節しなければならない。
韓国の肥料管理法に例示されている被覆尿素肥料工程規格は主成分として窒素が35質量%以上含有されていなければならない。また、前記窒素の初期溶出率として、30℃、24時間水中静置溶出量が25%以下、被覆複合肥料の場合、窒素の初期溶出率は30℃、24時間水中静置溶出量が50%以下でなければならないと明示されている。
したがって、本発明では、韓国の肥料管理法に明示されている緩効性肥料工程規格と作物の成長による作物の栄養要求量に適した新規被覆肥料を開発するために、逆コア・シェルポリマーエマルジョンおよび無機物を用いて被覆量および無機物添加量に従って溶出日数を調節できる新規緩効性肥料として本発明で製造した被覆尿素および被覆複合肥料が肥料工程規格に適した。
(実施例)
以下、本発明を下記実施例によってさらに詳細に説明する。ただし、これらは本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲を制限しない。
[製造例および比較製造例]
製造例1〜5では、本発明の逆コア・シェルポリマーエマルジョンを製造した。比較製造例1では、従来に使用されたコア−シェルエマルジョンを製造して前記製造例1〜5で製造した逆コア・シェルポリマーエマルジョンと溶出率などの物性を比較した。比較製造例2では、シェルエマルジョンの架橋度の調節が行われていない逆コア−シェルエマルジョンを製造して架橋度の調節による溶出率などの特性を比較した。比較製造例3では、架橋度の調節は行われたが、分子量の調節が行われていない逆コア−シェルエマルジョンを製造して分子量調節による溶出率などの特性を比較した。
製造例1 逆コア・シェルポリマーエマルジョンの製造
第1段階
攪拌機、温度計、コンデンサ付きの反応器にイオン交換水400gを入れ、温度を80℃に昇温した後、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル1.0gとポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアンモニウムサルフェート1.7g、ノイゲンアルエヌ30(NOIGEN RN-30、DKS International社製)1.5gを溶解し、スチレン35.0g、メチルメタクリレート 21.6g、ブチルアクリレート 51.7g、メタクリル酸43.0g、トリフルオロエチルメタクリレート 4.0g、3−メチルメルカプトプロピオネート0.3gとバゾ68ダブルユーエスピー(Vazo 68 WSP、DUPONT社製)1.0gからなる単量体混合物と混合してフレエマルジョンを製造した。
前記プレエマルジョン一部(10質量%)に、蒸留水10gに過硫酸アンモニウム1.0gを溶かした開始剤溶液を直ちに投入し、約15分間保持した後、残りのプレエマルジョン(90質量%)を1時間40分間徐々に投入し、1時間程度熟成させてコアポリマーエマルジョンを製造した。前記コアポリマーエマルジョンの固形分は16.2%であり、pHは2.5、粒子径は38nmであった。
第2段階
攪拌機、温度計、コンデンサ付きの反応器に、前記で製造したコアポリマーエマルジョン141gと、イオン交換水629gを 入れ、温度を80℃に昇温した後、これに30gの蒸留水に溶かしたアンモニア水溶液3.2gを30分間投入した後、30分程度保持した。これに、スチレン101g、ブチルアクリレート 75.6g、メタクリル酸5.5g、アリルメタアクリレート0.21g、t−ブチルヒドロパーオキシド0.6g、トリフルオロエチルメタクリレート 4.0gと、バゾ68ダブルユーエスピー(Vazo 68 WSP、DUPONT社製)1gからなる単量体混合液を30分間連続的に投入した後30分間保持した。
第3段階
前記反応器にスチレン237g、2−エチルヘキシルアクリレート177g、メタクリル酸13.1g、3−メチルメルカプトプロピオネート3.5g、トリフルオロエチルメタクリレート 8.0gと、バゾ68ダブルユーエスピー(Vazo 68 WSP、DUPONT社製)1g、t−ブチルヒドロパーオキシド1.2gからなる単量体混合物を約70分間徐々に投入した後、約1時間保持し、温度を50℃以下に冷却し、これに蒸留水25gにアンモニア15gを溶かした水溶液を15分間投入して中和して逆コア・シェルポリマーエマルジョンを製造した。製造された逆コア・シェルポリマーエマルジョンの固形分は44.1%であり、pHは10.4であり、粒子サイズは132.3nmであり、粘度は48cps、ガラス転移温度は20℃であった。
製造例2 逆コア・シェルポリマーエマルジョンの製造
第1段階
攪拌機、温度計、コンデンサ付きの反応器にイオン交換水400gを入れ、80℃に昇温した後、これに、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル1.0gとポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアンモニウムサルフェート1.7g、ノイゲンアルエヌ30(NOIGEN RN-30、DKS International社製)1.5gを溶解した後、スチレン35.0g、メチルメタクリレート 31.8g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8.0g、ブチルアクリレート 53.8g、メタクリル酸26.8g、シラン化合物(商品名、silquest silane a-174NT社製、crompton社製)4.0g、3−メチルメルカプトプロピオネート0.3gと、バゾ68ダブルユーエスピー(Vazo 68 WSP、DUPONT社製)1gからなる単量体混合物を添加してプレエマルジョンを製造した。
前記プレエマルジョン一部(10質量%)に、蒸留水10gに過硫酸アンモニウム1.0gを溶かした開始剤溶液を投入して約15分間保持した後、残りのプレエマルジョン(90質量%)を1時間40分間徐々に投入して1時間程度熟成させてコアポリマーエマルジョンを製造した。製造されたコアエマルジョンの固形分は26.2%であり、pHは2.4であり、粒子径は44.9nmであった。
第2段階
攪拌機、温度計、コンデンサ付きの反応器に前記で製造されたコアポリマーエマルジョン200gとイオン交換水637gを 入れ、80℃に昇温した後、蒸留水30gに溶かしたNaOH水溶液0.7gを30分間投入して約30分間保持した。
これに、スチレン105g、ブチルアクリレート 75.6g、メタクリル酸5.5g、アリルメタアクリレート0.21g、t−ブチルヒドロパーオキシド1.4gからなる単量体混合液を30分間連続的に投入した後30分間保持した。
第3段階
前記反応器にスチレン247g、2−エチルヘキシルアクリレート177g、メタクリル酸13.1g、3−メチルメルカプトプロピオネート3.5g、シラン化合物(商品名、silquest silane a-174NT社製、crompton社製)6.0gと、バゾ68ダブルユーエスピー(Vazo 68 WSP、DUPONT社製)1g、t−ブチルヒドロパーオキシド1.2gからなる単量体混合物を約70分間投入した後約1時間保持し、50℃以下に冷却した。これに、蒸留水25gにアンモニア15gを溶解した水溶液を15分間投入し、中和して逆コア・シェルポリマーエマルジョンを製造した。製造された逆コア・シェルポリマーエマルジョンは、固形分が44.6%であり、pHは10.6であり、粒子サイズは156.1nmであり、粘度は44cps、ガラス転移温度は24℃であった。
製造例3 逆コア・シェルポリマーエマルジョンの製造
第1段階
前記製造例2と同様な方法でコアポリマーエマルジョンを製造した。
第2段階
攪拌機、温度計、コンデンサ付きの反応器に、前記で製造されたコアポリマーエマルジョン200gとイオン交換水637gを 入れ、80℃に昇温した後、蒸留水30gに溶かしたNaOH水溶液0.65gを30分間投入し、さらに約30分間保持した。
これに、メチルメタクリレート 90g、ブチルアクリレート 90.6g、メタクリル酸5.5g、アリルメタアクリレート0.15g、t−ブチルヒドロパーオキシド1.3gからなる単量体混合液を30分間連続的に投入した後30分間保持した。
第3段階
前記反応器にメチルメタクリレート 212g、2−エチルヘキシルアクリレート202g、メタクリル酸15.0g、3−メチルメルカプトプロピオネート3.8g、トリフルオロエチルメタクリレート 8.0gと、バゾ68ダブリュウエスピー(Vazo 68 WSP、DUPONT社製)1g、t−ブチルヒドロパーオキシド1.2gからなる単量体混合物を約70分間投入した後約1時間保持し、50℃以下に冷却した。これに、蒸留水25gにアンモニア15gを溶かした水溶液を15分間投入し、中和して逆コア・シェルポリマーエマルジョンを製造した。製造された逆コア・シェルポリマーエマルジョンは、固形分が44.3%であり、pHは10.2であり、粒子サイズは148.4nmであり、粘土は47cps、ガラス転移温度は19.4℃であった。
製造例4 逆コア・シェルポリマーエマルジョンの製造
第1段階
前記製造例1と同様な方法でコアポリマーエマルジョンを製造した。
第2段階および第3段階
前記製造例3のシェルポリマーエマルジョンの製造に用いられたアリルメタアクリレートの代わりにブチレングリコールジメタクリレート0.3gを用い、3−メチルメルカプトプロピオネートの代わりにn−ドデシルメルカプタン1.5gを用いたことを除いては同様な方法で逆コア・シェルポリマーエマルジョンを製造した。製造された逆コア・シェルポリマーエマルジョンの固形分は43.9%であり、pHは10.1であり、粒子サイズは143.8nmであり、粘度は46cps、ガラス転移温度は19℃であった。
製造例5 逆コア・シェルポリマーエマルジョンの製造
前記製造例1のシェルポリマーエマルジョンの製造に用いられたアリルメタアクリレートの代わりに1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.3gを用い、3−メチルメルカプトプロピオネートの代わりにt−ドデシルメルカプタン2.0gを用いたことを除いては同様な方法で逆コア・シェルポリマーエマルジョンを製造した。製造された逆コア・シェルポリマーエマルジョンの固形分は44.1%であり、pHは10.4であり、粒子サイズは140.2nmであり、粘度は49cps、ガラス転移温度は21℃であった。
比較製造例1 コア・シェルポリマーエマルジョンの製造
第1段階
攪拌機、温度計、コンデンサ付きの反応器にイオン交換水416g、ブチルアクリレート 20g、メチルメタクリレート 18g、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアンモニウムサルフェートRodafax CO436(ローヌ・プーラン社製)0.4gを投入し、温度を80℃に加熱した後、温度が80℃に至ると過硫酸アンモニウム0.06gを添加し、約40分間保持してシード(seed)乳化重合体を製造した。
第2段階
イオン交換水203g、Rodafax CO436 5.2g、過硫酸アンモニウム0.8gとブチルアクリレート 80g、メタクリル酸7g、メチルメタクリレート 67gを入れ、攪拌してプレエマルジョンを製造した後、プレエマルジョンを反応器に連続的に3時間投入し、1時間保持してコアエマルジョンを製造した。
第3段階
イオン交換水276g、Rodafax CO436 10g、過硫酸アンモニウム3.3g、ブチルアクリレート 170g、メチルメタクリレート 70g、スチレン260g、メタクリル酸13gを入れ、攪拌してプレエマルジョンを製造した後、プレエマルジョン状態で反応器に4時間連続的に投入した後、約2時間保持してシェルエマルジョンを製造した。
前記のような方法で粒径が140.4nmであり、固形分の含量が44.5%であり、粘度が359cps、pHが7、ガラス転移温度が23℃の高分子エマルジョン乳化重合体を得た。
比較製造例2 非架橋逆コア・シェルポリマーエマルジョンの製造
前記製造例1と同様に製造したコアポリマーエマルジョン141gとイオン交換水629gを 入れ、温度を80℃に昇温した後、これに、蒸留水30gに溶かしたアンモニア水溶液3.2gを30分間投入した後約30分間保持した。これに、スチレン350g、ブチルアクリレート 252.6g、メタクリル酸18.6g、t−ブチルヒドロパーオキシド4.6gからなる単量体混合液を90分間連続的に反応器に投入した後、60分間保持してシェルエマルジョンを製造した後、温度を50℃に冷却し、これに、蒸留水25gにアンモニア15gを溶かした水溶液を15分間投入して中和した。
前記のように製造された逆コア−シェルエマルジョンは固形分が44.5%であり、pHが10.2、粒子サイズが145.3nmであり、粘度は51cps、ガラス転移温度は22℃であった。
比較製造例3 架橋された逆コア・シェルポリマーエマルジョンの製造
前記比較製造例2のシェル単量体混合物にアリルメタアクリレート0.4gを添加し、残りは同様に合成して得られた逆コア−シェルエマルジョンは固形分が44.3%であり、pHは10.3、粒子径は136.7nmであり、粘度は49cps、ガラス転移温度は22℃であった。
(実施例および比較例)
実施例1〜5および比較例1〜3では、無機物を添加していない被覆組成物で被覆された緩効性粒状肥料を製造した(表1)。実施例6〜7および比較例4〜5では無機物を添加した被覆組成物で被覆された緩効性粒状肥料を製造し(表1)、実施例8〜9では1次被覆時には無機物を添加していない被覆組成物を使用し、2次被覆時には無機物を添加した被覆組成物を用いて2回被覆した緩効性粒状肥料を製造した(表2)。そして、実施例10〜24と比較例6〜14では被覆組成物に用いられた無機物の含量と種類を異にして2回被覆した緩効性粒状肥料を製造した。
実施例1〜24および比較例1〜14 緩効性粒状肥料の製造
粒径が2〜4mmの粒状尿素肥料10kgを流動層被覆機に入れ、肥料内の水分防止のための予熱工程を60℃の温度で10分間肥料粒子を流動化した。
前記製造例1〜5および比較製造例1〜3で製造された逆コア・シェルポリマーエマルジョンと無機物を用いて被覆用組成物を製造したが、この際、水を添加して単層被覆の場合は最終の被覆物質の濃度が25質量%になるようし、2回被覆の場合は1次被覆物質の濃度が25質量%、2次被覆物質の濃度が20質量%になるように調節し、次の表1に示すように被覆された緩効性肥料を製造した。この際、被覆温度は45℃、噴霧ノズルの空気圧力は2kg/cm2、噴霧量100g/minで、1次および2次被覆を行い、被覆が完了すると80℃の温度で10分間熱処理工程を行って乾燥した後、被覆機の排出口を通じて被覆された緩効性肥料を排出した。
注)*)被覆組成物の固形分含量に対する質量%を示す。
− 被覆率は7%である。











注)*)被覆組成物の固形分含量に対する質量%を示す。
− 被覆率は、1次は9%、2次は3%である。
(実験例)
前記実施例1〜24および比較例1〜14で製造された緩効性粒状肥料の被覆組成物の条件による水中溶出特性を比較し、前記実施例19に従って製造された緩効性肥料を選択して水中溶出特性と土壌中溶出特性を比較した。また、被覆組成物が被覆された粒状肥料を前記実施例1〜24および比較例1〜14で用いた粒状肥料ではなく、複合肥料を用いて製造した緩効性粒状肥料を製造してその溶出特性を調べた。
そして、無機物を添加していない被覆組成物と無機物を添加した被覆組成物を直接土壌に適用してその分解程度を調べ、最後に実施例10に従って製造された緩効性粒状肥料を用いた作物の生育効果を調べた。
実験例1 溶出特性
1)水中溶出特性
前記実施例1〜24および比較例1〜14で製造された緩効性肥料をサンプリングして被覆剤の重さを除いた純粋肥料重さとして2.5gを取って、蒸留水が充填された250mlフラスコに入れた後、30℃の恒温槽に放置しながら毎10日ごとに水中に溶出した尿素量をRI検出器(RI Detector)付きの高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。この際、フラスコは水分および養分の蒸発を防止するために密封した。水中溶出特性の結果を表3〜4に示し、添付の図2には無機物添加有無による被覆物質の水中浮遊発生有無を写真で示す。図2によれば、無機物を添加する場合は、被覆組成物の水中浮遊現像が発生しないので、淡水状態で栽培されている作物に本発明の緩効性肥料を適用する場合、無機物を添加すると、より効率的な施肥効果があると考えられる。



















前記表3、4に示したように、製造例1〜5に従って製造された本発明の逆コア・シェルポリマーエマルジョンを含む被覆組成物で被覆された緩効性粒状肥料は、肥料成分の溶出速度が効率よく調節されていることが分かる。
2)被覆率による水中および土壌中溶出特性
前記実施例19で製造された緩効性粒状肥料に用いられた被覆組成物で被覆したが、被覆率を変えて製造した緩効性粒状肥料を用いて水中および土壌中溶出特性を比較し、その結果を表5に示す。
土壌中溶出特性は2mmの篩に通した風乾した水田土壌30gに前記で製造した緩効性肥料2gを混合し、網紗袋で包んでイネが育つ水田土壌に10〜15cmの深さに埋めた後、10日間隔で試料を採取して網紗袋内に残存する尿素を硫酸に溶かした後、窒素自動分析機を用いて次の数式に従って網紗袋に残っている尿素中の窒素総量を自動窒素分析機を用いて測定した。
前記表5の結果から、前記土壌中溶出率が水中溶出率よりも高いことは夏季の水中温度が急激に上昇したからであると考えられる。
3)粒状複合肥料(18−0−18)被覆実験および溶出率試験
前記製造例3に従って製造された逆コア・シェルポリマーエマルジョンに無機物として石膏を添加して製造した被覆組成物を用いて前記実施例および比較例と同様な方法で緩効性粒状肥料を製造したが、粒状肥料として複合肥料(18−0−18)を用いた。
前記被覆組成物のうち、1次被覆組成物としては全被覆組成物中の固形分含量の質量を基準として逆コア・シェルポリマーエマルジョン固形分90質量%と石膏10質量%が含まれているものを、2次被覆組成物としては逆コア・シェルポリマーエマルジョン20質量%と石膏80質量%が含まれているものを使用した。
被覆組成物の被覆率を複合肥料質量に対して1次被覆は7%、2次被覆は3%になるようにし、溶出率測定結果を表6に示す。
実験例2 被覆組成物の水田土壌中の分解度測定
水田土壌中の被覆物質分解度を調査するために全緩効性粒状肥料の質量を基準として前記製造例1に従って製造された逆コア・シェルポリマーエマルジョンに石膏を添加していない被覆物質と、石膏を全被覆組成物の固形分含量に対して10質量%添加した被覆組成物を製造した後、被覆組成物が70〜100mm程度の厚さに形成された被膜をフィルム塗膜機を用いて製作した後、横1cm、縦1cmの間隔で切って製造した被覆フィルム断片を製造した。
前記被覆フィルム断片0.2gを水田土壌30gと混合した後、網紗袋で包んでイネが育つ水田土壌に作土深10〜15cmの深さに埋め、各60、90、120日目にサンプルと土壌を分離して被覆フィルムの状況と質量を観察し、その質量変化を表7に示す。
注)1)単位mg
2)質量%
図3は、無機物を添加していない被覆フィルムの表面変化を電子顕微鏡(SEM)で1,000倍拡大して観察した結果を示し、図4は無機物10%を添加した被覆フィルムの表面変化を電子顕微鏡(SEM)で1,000倍拡大して観察した結果を示す。無機物を添加した被覆物質は、無機物を添加していない被覆物質よりも質量減少率が高かったが、これは、被覆物質中の無機物自体の土壌での分解とそれによる被覆物質の表面に空隙が多く生じ、土壌微生物の侵入が容易であるため、分解作用を多く受けたからである。
実験例3 緩効性複合肥料の使用によるイネ生育効果
前記実施例10で製造された緩効性肥料に用いられた被覆組成物を用いて緩効性複合肥料を製造し、これによるイネ生育効果を調査するために、イネは中晩生種であるナムピョン(南平)イネを用い、実験群の配置は乱塊法を3回繰り返して栽植距離30cm×15cm(3.3m2:72株)として、株当たり3〜5本を手で植え付けた。施肥方法は、一般の農家で速効性肥料で施肥する慣行施肥処理群は農村新興庁の施肥推薦量である窒素11−リン酸4.5−カリウム5.7kg/10aを施肥したが、窒素は尿素肥料で基肥50%、分けつ肥20%、穂肥20%、実肥10%で4回施肥し、リン酸は熔成燐肥で全量基肥で施肥し、カリウム成分は塩化カリウムで基肥70%、穂肥30%を施肥した。緩効性複合肥料処理群は全量基肥で全層施肥した。
注)1)イネ粒1,000個当たりの重さ
イネ数量構成要素は、前記表8に示したように、緩効性複合肥料で施肥して栽培したイネの生育と収穫量が速効性肥料で施肥した慣行施肥群よりも優れた結果を示し、1回の施肥による本発明の緩効性複合肥料の優秀性を立証した。
本発明に用いられる回分式流動層被覆装置の簡略図である。 無機物の使用有無による被覆物質の水中浮遊現像を示す写真である。 無機物を添加していない被覆フィルムの土壌処理日数による表面の変化を電子顕微鏡(SEM)で1,000倍拡大して観察した写真である。 無機物10%を添加した被覆フィルムの土壌処理日数による表面の変化を電子顕微鏡(SEM)で1,000倍拡大して観察した写真である。

Claims (17)

  1. 粒状肥料の外表面が、
    (a)カルボキシ基含有単量体を含むコアポリマーエマルジョンと、
    (b)架橋されたシェルポリマーエマルジョンと分子量が調節されたシェルポリマーエマルジョンを含むシェルポリマーエマルジョンからなり、
    前記(a)コアポリマーエマルジョンの内部に(b)シェルポリマーエマルジョンが挿入されている逆コア・シェルポリマーエマルジョンを含む被覆組成物で被覆されていることを特徴とする緩効性粒状肥料。
  2. 前記被覆組成物が、タルク、粘土、石灰、炭酸カルシウム、ゼオライト、シリカおよび石膏から選ばれた少なくとも1種または2種以上の無機物をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の緩効性粒状肥料。
  3. 前記被覆組成物で単層または二重被覆されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の緩効性粒状肥料。
  4. 前記被覆が、単層被覆の場合、粒状肥料の質量に対して被覆された被覆組成物の質量が5〜15%であり、二重被覆の場合、粒状肥料の質量に対して被覆された被覆組成物の質量が内皮層は5〜15%であり、外皮層は2〜5%であることを特徴とする請求項3記載の緩効性粒状肥料。
  5. 前記被覆が、単層被覆の場合、被覆組成物の全固形分含量に対して無機物含量が0〜30質量%であり、二重被覆の場合、内皮層は内皮層被覆組成物の全固形分含量に対して無機物含量が0〜30質量%、外皮層は外皮層被覆組成物の全固形分含量に対して無機物含量が30〜90質量%であることを特徴とする請求項3記載の緩効性粒状肥料。
  6. (a)カルボキシ基含有単量体を含むコアポリマーエマルジョンと、
    (b)架橋されたシェルポリマーエマルジョンと分子量が調節されたシェルポリマーエマルジョンを含むシェルポリマーエマルジョンからなり、
    前記(a)コアポリマーエマルジョンの内部に(b)シェルポリマーエマルジョンが挿入されていることを特徴とする逆コア・シェルポリマーエマルジョン。
  7. 前記(a)コアポリマーエマルジョンと前記(b)シェルポリマーエマルジョンが、1:4〜20の質量比で含まれていることを特徴とする請求項6記載の逆コア・シェルポリマーエマルジョン。
  8. 前記逆コア・シェルポリマーエマルジョンが、ガラス転移温度が10〜50℃であることを特徴とする請求項6記載の逆コア・シェルポリマーエマルジョン。
  9. 前記(a)コアポリマーエマルジョンが、カルボキシ基含有単量体10〜40質量%、反応性不飽和アクリレート、シラン化合物およびビニル系単量体から選ばれた1種またはそれ以上の混合物55〜85質量%、鎖転移剤0.1〜0.5質量%、開始剤0.2〜1.5質量%および乳化剤1.5〜4.0質量%からなることを特徴とする請求項6記載の逆コア・シェルポリマーエマルジョン。
  10. 前記(b)シェルポリマーエマルジョンが、架橋されたシェルポリマーエマルジョン30〜50質量%と分子量が調節されたシェルポリマーエマルジョン50〜70質量%からなることを特徴とする請求項6記載の逆コア・シェルポリマーエマルジョン。
  11. 前記分子量が調節されたシェルポリマーエマルジョンを構成する樹脂の分子量が、30,000〜80,000の範囲であることを特徴とする請求項6記載の逆コア・シェルポリマーエマルジョン。
  12. 前記架橋されたシェルポリマーエマルジョンが、カルボキシ基含有単量体2.0〜5.0質量%、反応性不飽和アクリレート、シラン化合物およびビニル系単量体から選ばれた1種またはそれ以上の混合物85〜97質量%、開始剤0.6〜1.0質量%および架橋剤0.05〜0.2質量%からなることを特徴とする請求項6記載の逆コア・シェルポリマーエマルジョン。
  13. 前記分子量が調節されたシェルポリマーエマルジョンが、カルボキシ基含有単量体1.5〜5.0質量%、反応性不飽和アクリレート、シラン化合物およびビニル系単量体から選ばれた1種またはそれ以上の混合物85〜97質量%、開始剤0.3〜0.6質量%および鎖転移剤0.3〜1.0質量%からなることを特徴とする請求項6記載の逆コア・シェルポリマーエマルジョン。
  14. 前記架橋剤が、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレートおよび1,6−ヘキサンジオールジアクリレートから選ばれた1種または2種の混合物であることを特徴とする請求項13記載の逆コア・シェルポリマーエマルジョン。
  15. 前記鎖転移剤が、炭素数2〜15のアルキルメルカプタンと炭素数2〜8のメルカプトカルボン酸およびこれらのエステル、四塩化炭素およびブロモトリクロロメタンから選ばれた1種または2種の混合物であることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項記載の逆コア・シェルポリマーエマルジョン。
  16. 請求項6〜13のいずれか1項記載の逆コア・シェルポリマーエマルジョンを含むことを特徴とする緩効性粒状肥料被覆用組成物。
  17. タルク、粘土、石灰、炭酸カルシウム、ゼオライト、シリカおよび石膏から選ばれた少なくとも1種または2種の無機物をさらに含むことを特徴とする請求項16記載の緩効性粒状肥料被覆用組成物。
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