JP2005190729A - 加熱装置および画像形成装置 - Google Patents

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Naoto Yamada
直人 山田
Masanobu Taira
昌宣 平
Ryuta Mine
峯  隆太
Satohiko Kitahara
聡彦 北原
Atsushi Nakagawa
敦司 中川
Ikuo Takeuchi
郁夫 竹内
Michio Kawase
道夫 川瀬
Hiroto Nishihara
寛人 西原
Kenji Morita
健二 森田
Masasuki Asakawa
雅透 浅川
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Abstract

【課題】電磁誘導加熱方式の加熱装置、及び該像加熱装置を備えた画像形成装置において、非通紙部昇温現象に対して作用磁束減少機能(作用磁束調整機能)が働かない場合に、完全に装置をダウンさせることなく、異常と判断するようにする。
【解決手段】磁束発生手段203から誘導発熱体201に対して作用する作用磁束の、被加熱材Pの搬送方向と交差する方向の密度分布を変化せしめる磁束調整手段208と、前記被加熱材のサイズに基づいて前記磁束調整手段を作動制御する作動制御手段302と、前記誘導発熱体または前記伝熱材上の温度を検知する温度検知手段401・402と、制御手段300と、を備える。前記制御手段は、前記作動制御手段における作動状態と前記温度検知手段による検知温度とに基づいて異常と判断する異常動作モードを有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、電磁(磁気)誘導加熱方式の像加熱装置、及び該像加熱装置を備えた画像形成装置に関する。
例えば、転写式電子写真プロセスを用いた画像形成装置は、像担持体としての電子写真感光体面に電子写真プロセスにて形成担持させた未定着トナー画像を記録材としての転写材に転写させ、転写材に転写させた未定着トナー画像を像加熱装置としての定着装置で永久固着画像として加熱定着させて、その転写材を画像形成物として出力する。トナーは樹脂、磁性体、着色料等からなる溶融定着性の顕画粉体である。
定着装置としては従来より熱ローラー方式の装置が多用されている。この定着装置は、ハロゲンランプ等の熱源を内蔵させて所定の定着温度に加熱、温調した定着ローラー(熱ローラー)と加圧ローラーとの、互いに圧接して回転するローラー対からなり、該ローラー対の圧接ニップ部(加熱ニップ部、定着ニップ部)に被加熱材としての、未定着トナー画像を形成担持させた記録材を導入して挟持搬送させることで未定着トナー画像を記録材面に熱と圧力で加熱定着する装置である。
また、定着ローラーを電磁誘導加熱方式で加熱するようにした定着装置も提案されている。これは、磁束(磁界)発生手段としての励磁コイルと励磁体コアなどによる発生磁束で定着ローラー内面に設けた導電層(誘導発熱体)に渦電流を発生させジュール熱により発熱させて定着ローラーを所定の定着温度に加熱、温調するものである。
このような電磁誘導加熱方式の定着装置は、熱発生源(誘導発熱体)をトナーのごく近くに置くことができるので、従来のハロゲンランプを用いた熱ローラー方式の定着装置に比して、定着装置起動時に定着ローラー表面の温度が定着温度になるまでに要する時間を短くできるという特徴がある。また熱発生源からトナーへの熱伝達経路が短く単純であるため熱効率が高いという特徴もある。
上述のような電磁誘導加熱方式の定着装置においては、小サイズの記録材を連続して装置に通紙して多量に定着処理した時などに定着ローラー表面の記録材に接触する箇所(通紙領域部)と、接触しない箇所(非通紙領域部)で大きな温度差が生じてしまうことがある(非通紙部昇温現象)。磁束発生手段を構成している励磁コイル、磁性体コアについて、高調波電流の通電による表皮効果等により、非通紙領域部に対応する励磁コイル端部自身が発熱したり、非通紙領域部に対応する磁性体コア端部のヒステリシス損による自己発熱のため蓄熱し、励磁コイルの巻線被覆に高価な耐久樹脂が必要になったり、磁性体コアが固有のキューリ点を超え、磁性を失うといった問題が発生する。
以上のような問題に対し、非通紙部昇温を防止あるいは緩和する方法として、例えば特許文献1では、磁性体コアを記録材搬送方向に直交する方向で複数に分割し、該分割磁性体コアを駆動手段にて駆動可能にすることで、非通紙領域部に対応する磁性体コアや励磁コイルの異常昇温を回避することができる提案がなされている。具体的には、小サイズの記録材を通紙したときには非通紙領域部に対応位置する分割磁性体コアを、該非通紙領域部に対応する誘導加熱体に対して磁束作用させない、或いは作用磁束を減少させる方向に位置移動させて、非通紙部昇温、磁性体コアや励磁コイルの異常昇温を回避するようにしている。
特開2000−162913号公報
しかしながら、上述のような磁性体コア等の駆動にて作用磁束を減少(調整)させる構成において、何らかの故障、異常により作用磁束の減少の構成機能が働かなくなった場合に対して、従来は定着装置を完全にダウンさせ通紙を許可しない構成になっている。このため、画像形成装置としては故障、異常が完全に復旧されるまで転写材を画像形成物として出力動作ができないという問題が発生する。
そこで本発明の目的は、電磁誘導加熱方式の加熱装置、及び該像加熱装置を備えた画像形成装置において、特に何らかの原因で非通紙部昇温現象に対して作用磁束減少機能(作用磁束調整機能)が働かない場合に、完全に装置をダウンさせることなく、異常動作とみなすことにより、上記のような問題点を改善するものである。
本発明に係る加熱装置、及び、画像形成装置は下記の構成を特徴とする。
(1)磁束発生手段と、該磁束発生手段からの発生磁束の作用により電磁誘導する誘導発熱体とを有し、被加熱材を前記誘導発熱体に直接または伝熱材を介して接触させて搬送させ該誘導発熱体で該被加熱材を加熱する加熱装置であり、
前記磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束の、前記被加熱材の搬送方向に交差する方向の密度分布を変化せしめる磁束調整手段と、
前記被加熱材のサイズに基づいて前記磁束調整手段を作動制御する作動制御手段と、
前記誘導発熱体または前記伝熱材上の温度を検知する温度検知手段と、
制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記作動制御手段における作動状態と前記温度検知手段による検知温度とに基づいて異常と判断する異常動作モードを有することを特徴とする加熱装置。
(2)前記磁束調整手段は、前記被加熱材のサイズが所定サイズより小さい場合に前記所定サイズに合わせて前記駆動手段により駆動され、前記磁束発生手段の所定部分の発生磁束を遮蔽することを特徴とする(1)に記載の加熱装置。
(3)前記温度検知手段は、前記磁束調整手段により磁束を遮蔽された前記誘導発熱体または伝熱材部分に配置することを特徴とする(1)または(2)に記載の加熱装置。
(4)前記異常動作モードは、前記作動制御手段による作動制御状態における前記温度検知手段の検知温度が所定温度以内でない場合に異常と判断することを特徴とする(1)から(3)の何れかに記載の加熱装置。
(5)前記異常動作モードは、異常時においても通紙可能な被加熱材サイズのみを通紙できるモードであることを特徴とする(1)から(4)の何れかに記載の加熱装置。
(6)前記異常動作モードは、前記温度検知手段の検知温度が所定温度以内になった場合にのみ通紙を許可することを特徴とする(1)から(4)の何れかに記載の加熱装置。
(7)磁束発生手段と、該磁束発生手段からの発生磁束の作用により電磁誘導する誘導発熱体とを有し、被加熱材を前記誘導発熱体に直接または伝熱材を介して接触させて搬送させ該誘導発熱体で該被加熱材を加熱する加熱装置であり、
前記磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束の、前記被加熱材の搬送方向に交差する方向の密度分布を変化せしめる磁束調整手段と、
前記被加熱材のサイズに基づいて前記磁束調整手段の位置を変位させる駆動手段と、
前記誘導発熱体または前記伝熱材上の温度を検知する温度検知手段と、
前記磁束調整手段の位置を検知する位置検知手段と、
制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記位置検知手段による前記磁束調整手段の検知位置に基づいて異常と判断する異常動作モードを有することを特徴とする加熱装置。
(8)前記磁束調整手段は、前記被加熱材のサイズが所定サイズより小さい場合に前記所定サイズに合わせて前記駆動手段により駆動され、前記磁束発生手段の所定部分の発生磁束を遮蔽することを特徴とする(7)に記載の加熱装置。
(9)前記温度検知手段は、前記磁束調整手段により磁束を遮蔽された前記誘導発熱体または伝熱材部分に配置することを特徴とする(7)または(8)に記載の加熱装置。
(10)前記異常動作モードは、前記磁束遮蔽部材の位置が所定位置でない場合に異常と判断することを特徴とする(7)から(9)の何れかに記載の加熱装置。
(11)前記異常動作モードは、異常時においても通紙可能な被加熱材サイズのみを通紙できるモードであることを特徴とする(7)から(10)の何れかに記載の加熱装置。
(12)前記異常動作モードは、前記温度検知手段の検知温度が所定温度以内になった場合のみ通紙を許可することを特徴とする(7)から(10)の何れかに記載の加熱装置。
(13)記録材に対して画像を形成する作像手段と、記録材上の画像を加熱する像加熱手段とを有する画像形成装置において、像加熱手段が(1)から(12)の何れかに記載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
すなわち、制御手段において異常動作モードは作動制御手段における作動状態と温度検知手段による検知温度とに基づいて異常と判断するので、非通紙部昇温現象に対しての作用磁束減少機能(作用磁束調整機能)が働かない場合も異常とみなすことができる。また、制御手段において異常動作モードは位置検知手段による磁束調整手段の検知位置に基づいて異常と判断するので、非通紙部昇温現象に対しての作用磁束減少機能(作用磁束調整機能)が働かない場合も異常とみなすことができる。異常動作モードは通紙可能な被加熱材サイズのみを通紙する、もしくは温度検知手段の検知温度が所定温度以内になった場合にのみ通紙を許可するので、画像形成物として出力動作をできないという問題を解消できる。
以下、本発明の実施の形態例を添付図面に基づいて具体的に説明する。
(1)画像形成装置例
図1は本実施例における画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用のディジタルタイプの画像形成装置(複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機能機等)である。
Aは画像形成装置本体(以下、装置本体と記す)、Bはこの装置本体A内の略上半部に配設した電子写真作像部(本体画像出力部)、Cは装置本体Aの上部に配設した画像読み取り装置(本体画像入力部)、Dはこの画像読み取り装置Cの上部に配設した自動原稿送り装置、Eは装置本体Aの外側にアーム部を介して支持させたコンソール部、F1〜F4は装置本体A内の略下半部に配設した、各種サイズの記録用紙(被加熱材)を格納させた4つの給紙カセット(給紙段)、F5は装置本体Aの左側に装置本体に接続して配設した大容量ペーパーデッキ、F6は装置本体Aの外側に畳み込み自在に配設した手差し給紙トレイ部、Gは装置本体Aの右側に装置本体に接続して配設したソータ、HはソータGの外側に手差し給紙トレイ部F6の配設側とは反対側に配設した排紙トレイ部である。
コンソール部Eは、各種操作キー、液晶等の表示部8を有し、それらによってユーザーがコピーモードを設定するなどの各種オペレーションが可能である。さらに、表示部8に装置の各種設定値や現在のジョブ状況等を表示させることができる。
画像読み取り装置Cは、光源1とミラー2〜4を有する移動光学系と、レンズ5と、イメージセンサー(CCDアレイ)6を用いたディジタル方式の装置であり、装置上面の原稿台ガラス7上に自動原稿送り装置Dにより原稿が画像面下向きで載置セットされる。
原稿台ガラス7上に置かれた画像面下向きの原稿に図1の左右方向に走査移動する光源1からの光が照射される。光は原稿によって反射され、光学像がミラー2〜4及びレンズ5を通してCCDアレイ6に結像される。CCDアレイ6では結像された画像が電気信号に変換され、ディジタルの画像データとなる。画像データは、ユーザーの要求に応じて拡大縮小等の画像変換が行われ、不図示の画像メモリに格納される。
電子写真作像部Bは、図2に部分拡大して示したように、像担持体である感光ドラム11を中心部材とする電子写真プロセス機構である。感光ドラム11は表面に有機光導電体からなる光導電層を有し、コピージョブ中は一定の速度で矢印の時計方向に回転駆動されている。まず前露光装置12によって感光ドラム11上に残っている電荷を除去した後、一次帯電器13によって感光ドラム11上に一様に電荷が付与される。レーザースキャナユニット14から、前記の画像読み取り装置Cによって得られたディジタル画像データに従い変調されたレーザービームLが出力され、感光ドラム11上の光導電層に静電潜像が打ち出される。その後現像器15から感光ドラム11上の静電潜像にトナーを付着させ、静電潜像をトナー画像として可視画像にする。
ここで、レーザースキャナユニット14に関して、画像の出力時には、電子写真作像部Bにおいて前記画像メモリに格納された画像データを呼び出し、ディジタル信号からアナログ信号に再変換し、光学照射部14aよりレーザービームLの光信号として出力し、それを、スキャナ(ポリゴンミラー)14b、レンズ14c及びミラー14dを介して感光ドラム11上に照射して感光ドラム11上を走査露光する。
一方、給紙カセットF1〜F4、大容量ペーパーデッキF5、手差し給紙トレイ部F6の6つの給紙部F1〜F6のうちの、予め使用指定あるいは自動選択された給紙部の給紙搬送ローラーR1が不図示のモーターによって駆動されてその給紙部から記録用紙Pが1枚分離給紙され、各給紙部から感光ドラム11と転写帯電器16との対向部である転写部Tへ至る所定の用紙搬送路(シートパス)を通って転写部Tへ向けて運ばれる。記録用紙Pは転写部Tよりも手前側に配設したレジストローラーあるいはレジストセンサーにより感光ドラム11上のトナー画像の先端位置と記録用紙Pの先端位置とが転写部Tで所定に対応するように感光ドラム11上に形成されたトナー画像に合わせて同期取りされて転写部Tへ給送される。転写帯電器16は記録用紙Pを帯電させ、感光ドラム11上のトナー画像を記録用紙Pに写しとる(トナー画像の転写)。その後、感光ドラム11と用紙Pとの分離性を上げる為に、分離帯電器17によって記録用紙Pを帯電させる。
感光ドラム11から分離された記録用紙Pは搬送ベルト19によって後述する電磁誘導加熱方式の加熱装置である定着装置20に搬送されて未定着トナー画像tが記録用紙Pの面に定着される。
一方、転写部Tにおいて記録用紙Pに転写されずに感光ドラム11上に残ったトナーは、ドラムクリーナー18によって掻き取られ、感光ドラム11上の電荷は前露光装置12によって一様に零にされ、次のコピーに備える。
片面コピーモードが選択されている場合には、定着装置20を出た記録用紙Pは定着後搬送ローラー30を介してフラッパ31により排紙ローラーR2に向かう方向に進路案内され、排紙ローラーR2によりソータGを介して排紙トレイ部Hに片面コピーとして排紙される。
両面コピーモードが選択されている場合には、定着装置20を出た一面側コピー済みの記録用紙Pがフラッパ30によりスイッチバック搬送路32を含む再給用紙搬送路33側に進路案内され、この再給用紙搬送路33側から電子写真作像部Bの転写部Tに所定の用紙搬送路を通って表裏面反転状態で再給紙され、二面側に対するトナー画像の転写がなされる。二面側に対するトナー画像の転写を受けた記録用紙Pは感光ドラム11から分離され、搬送ベルト19によって再び定着装置20に搬送されて二面側に対するトナー画像の定着処理を受ける。そして定着装置20を出た記録用紙Pは定着後搬送ローラー30を介してフラッパ31により排紙ローラーR2に向かう方向に進路案内され、排紙ローラーR2によりソータGを介して排紙トレイ部Hに両面コピーとして排紙される。
上記の画像形成装置において、手差し給紙トレイ部F6は、OHPシートや厚紙、はがきサイズ紙など特殊な記録媒体を使用する場合にも使用される。ここで、DCブラシレスモータで制御される、潜像を形成するための感光ドラム11と、記録媒体上にトナーを定着し、画像データを記録するための定着ローラー201の回転速度はプロセススピードと呼ばれ、トナーの形状や定着特性、レーザの発光特性などに大きく左右され、画像形成装置特有の速度となっているので可変制御することは困難である。よって、厚紙が搬送されるのに十二分なトルクを出力できるモータが選択されている。それに対し、給紙ローラーや搬送ローラーは記録媒体を給紙および搬送動作のみを行っており、前記転写部Tとニップ部Nのいずれかに記録用紙Pが通紙されていない場合は高速搬送や高速給紙など出来るだけ高速に駆動し、用紙と用紙の間の紙間距離を出来るだけ短く制御することで、画像形成装置としてのプロダクティビティを向上させるようになっている。
(2)定着装置20
図3は本実施例における定着装置20の要部の横断面模型図、図4は該装置の途中部分省略の正面一部断面模型図である。
201は被加熱体である誘導発熱体としての電磁誘導発熱性の定着ローラー、202は加圧ローラー、203は磁束発生手段としての励磁コイル−磁性体コアユニット、208は励磁コイル−磁性体コアユニット203から定着ローラー201に対する作用磁束の密度分布を一部遮断することによって調整する磁束調整手段としての遮蔽板、401・402は温度検知手段としての温度センサーである。Pは被加熱材としての記録材(用紙)であり、矢印c方向に搬送移動され、定着装置20により記録材上のトナー画像tが記録材面に定着される。
定着ローラー201と加圧ローラー202は、上下に並行に配列され、それぞれ両端側を軸受部材221a・221b、222a・222bを介して定着装置の奥側の第1側板223aと手前側の第1側板223bに回転自在に支持させてあり、加圧ローラー202をバネなどを用いた不図示の加圧機構によって定着ローラー201の回転軸方向に付勢して定着ローラー201の下面部に所定の加圧力で圧接させて圧接ニップ部(定着ニップ部)Nを形成させている。
定着ローラー201は奥側の端部に設けた定着ローラー駆動ギアG1がモーターなどからなる定着ローラー駆動機構301により回転動作されることによって矢印bの時計方向に所定の周速度で回転駆動される。加圧ローラー202は圧接ニップ部Nでの定着ローラー201との圧接摩擦力で定着ローラー201の回転に従動して回転する。
定着ローラー201は、本例では、外径32mm、厚さ0.5mmの鉄製の円筒形状の芯金シリンダ201aを主体とするものである。電磁誘導発熱製の芯金シリンダはその他の材料として例えば磁性ステンレスのような磁性材料(磁性金属)といった、比較的透磁率μが高く、適当な抵抗率ρを持つ物を用いてもよい。例えば、芯金シリンダ201aの材質として、ニッケル、強磁性SUS、鉄−ニッケル合金、鉄−ニッケル−クロム合金、ニッケル−コバルト合金等の磁性金属(導電体)が適宜用いられる。芯金シリンダ201aの外周面には定着ローラー表面の離型性を高めるために、例えばPTFEやPFA等のフッ素系樹脂の厚さ10〜50μmの離型層201bを設けてもよい。また芯金シリンダ201aと離型層201bの間に所望の機能層、例えば、記録材と定着ローラー表面との密着性を高めるために耐熱性・弾性を有するゴム材や樹脂材の厚さ数100μmの弾性層201cなどを設けてもよい。
加圧ローラー202は、芯金202aと、耐熱性弾性体層202bと、さらには離形性表面層202cなどを具備してなり、定着ローラー201に対して約3.1N(約30Kg重)で加圧されている。その場合、圧接ニップ部Nのニップ幅は約4mmになる。都合によっては荷重を変化させてニップ幅を変えてもよい。
励磁コイル−磁性体コアユニット203は、励磁コイル204、磁性体コア205、アルミニウム製の保持ホルダー206、絶縁性の熱収縮性チューブ外被207等からなり、定着ローラー201内に挿入して配設してある。
励磁コイル204は加熱に十分な交番磁束を発生するものでなければならないが、そのためには抵抗成分を低く、インダクタンス成分を高くとる必要がある。励磁コイル204のコイル線材は、外径0.15〜0.50mmの絶縁被覆した導線を20〜150本リッツにしたものを用いている。より具体的には、本例では、外径0.2mm、84本、総外径3mmのリッツ線をコイル線材として用いている。励磁コイル204が昇温した場合を考えて絶縁被覆には耐熱性の物を使用した。定着ローラー201の電磁誘導発熱を増加させるためには励磁コイル204に印加する交流電流の電流振幅を大きくすると良く、励磁コイル204のコイル線材の巻き数を減らしてやることが可能となるが、同時に励磁コイル204の電気抵抗による発熱も増加するので、好ましくは励磁コイル204のコイル線材の巻き数は8巻きとするとよい。
磁性体コア205は、定着ローラー201の長手方向寸法に略対応した長さ寸法を有する横断面略半円状の横長部材で、半円弧面は定着ローラー内曲面に沿った形状に加工したものである。磁性体コア205は高透磁率かつ低損失のものを用いると良く、磁気回路の効率を上げるためと磁気遮蔽のために用いている。磁性体コア205には例えばフェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる磁性材料が用いられる。
アルミニウム製の保持ホルダー206は定着ローラー201の長手方向寸法よりも長い長さ寸法を有し、横断面略半円状の磁性体コア205の背面平面部の幅寸法に略対応した幅寸法を有し、比較的肉厚で剛性の有る横長板状部材である。本例のホルダー206は耐熱性と機械的強度を兼ね備えたPPS系樹脂にガラスを添加したものの成形体である。もちろん非磁性である。ホルダ206には、PPS系樹脂、PEEK系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、セラミック、液晶ポリマー、フッ素系樹脂などの非磁材料が適している。
上記の励磁コイル204、磁性体コア205、保持ホルダー206の3者の外側に絶縁性の熱収縮性チューブ207を被せて該チューブを十分に熱収縮させる。絶縁性の熱収縮性チューブ207は例えばシリコン樹脂系あるいはフッ素樹脂系のものであり、本例では熱収縮前の外径40mm、厚さ0.3mmで、外径30mmに熱収縮させたとき肉厚が0.4mmとなる熱収縮性チューブを用いた。熱収縮性チューブ207を十分に熱収縮させることで、平板状うず巻き型の励磁コイル204は磁性体コア205の半円弧面部に沿って成形される。即ち定着ローラー内曲面に沿った形状に成形される。また励磁コイル204、磁性体コア205、保持ホルダー206の3者が一体に固定化されて励磁コイル−磁性体コアユニット203が構成される。また、励磁コイル−磁性体コアユニット203の、特に励磁コイル204の定着ローラー内曲面との対向面が絶縁性の熱収縮性チューブ207で覆われることで、該チューブ207が励磁コイル204と定着ローラー内曲面とを電気絶縁する役目も果たし、電気的安全性が向上する。
定着ローラー201の中空内に挿入させた励磁コイル−磁性体コアユニット203は、定着ローラー内曲面に沿った形状に成形されている励磁コイル204面部分を定着ローラー内曲面に近接させた所定の位置・角度姿勢に調整され、該ユニット203の保持ホルダー206の両端部206a・206bを装置本体側の支持板224a・224bにビス止めして固定支持させる。本実施例では、定着ローラー201の横断面において、励磁コイル204の中央部が定着ローラー201と加圧ローラー202との圧接ニップ部Nよりも定着ローラー201の回転方向上流側にずれて位置するように励磁コイル−磁性体コアユニット203を図3のように傾かせた角度姿勢で配設している。これは励磁コイル204が対向している定着ローラー201の導電層が局部的に発熱するため、その発熱部が圧接ニップ部Nの直前になる様にすることで効率よく圧接ニップ部で記録材Pを加熱するためである。
上記の励磁コイル−磁性体コアユニット203では、励磁コイル204は励磁回路303から供給される交番電流によって交番磁束を発生し、交番磁束は磁性体コア205に導かれて圧接ニップ部Nに対向した、芯金シリンダ201aに渦電流を発生させる。その渦電流は芯金シリンダ201aの固有抵抗によってジュール熱を発生させ、これにより圧接ニップ部Nにおいて定着ローラー201が電磁誘導発熱状態になる。そして、定着ローラー201は回転駆動されることによって表面温度が均一化される。
遮蔽板208は、定着ローラー201の内面に沿う横断面略C字形状の横長部材であり、定着ローラー201と励磁コイル−磁性体コアユニット203との間に配置され、それぞれ両端側を軸受部材225a・225bを介して奥側の第2側板226aと手前側の第2側板226bに回転自在に支持させてあり、奥側の端部に設けた遮蔽板駆動ギアG2がモーター(DCモーターあるいはパルスモーターでもよい)などからなる作動制御手段としての遮蔽板駆動機構302により回転動作されることによって矢印aの時計方向に回転移動される。遮蔽板208の形状として、励磁コイル−磁性体コアユニット203から定着ローラー201に対する作用磁束の、記録材Pの搬送方向と直交する方向(定着ローラー1の長手方向)の磁束密度を変化させる形状とされる。具体的には、長手方向両端部を突起状に定着ローラー1の円周方向に伸長して遮蔽部208aとなし、この遮蔽部で交番磁束を遮蔽する。磁気遮蔽部材208の材質は、非磁性かつ良電気導電性の物質、例えば、アルミニウム、銅、マグネシウム、銀などの合金である。この遮蔽板208は、常時は、図3のように、遮蔽部208aを圧接ニップ部Nから退避させた退避位置をホームポジションである遮蔽板退避位置としてこの位置に保持される。
図5は定着装置20と記録材Pの通紙領域WA〜WCの関係、定着装置20と温度検知装置(温度検知手段)401・402の位置関係、および該温度検知装置と遮蔽板駆動機構302と制御部300との関係を示す概略模型図である。
本実施例においては、定着装置20に対する記録材Pの導入は中央基準でなされる。WAは大サイズ記録材(例えばA4、A3等のサイズ)の通紙領域部、WBは小サイズ記録材(例えばA4Rサイズ)の通紙領域部、WCは小サイズ記録材が通紙使用されたときに生じる非通紙領域部である。本実施例においては通紙が中央基準であるから小サイズ記録材が通紙使用されたときに生じる非通紙領域部WCは小サイズ記録材の通紙領域部WBの両端側に生じる。
前記の小サイズ記録材の通紙領域部WB(図中斜線部)には非接触式の温度センサー401を、非通紙領域部WCには接触式の温度センサー402を、それぞれ温度検知手段として配置している。非接触式の温度センサー401は、一般に、赤外線を吸収するフィルムと、そのフィルム温度を測定する赤外線検知サーミスタと、これらが格納されたアルミケースの温度を測定する温度保証サーミスタなどからなり、この両サーミスタからの検出値を元に制御手段としての制御部300でターゲット(実施例では定着ローラー201)となる通紙領域部Bの表面温度値を算出する。接触式の温度センサー402として例えばサーミスタなどの適宜のセンサーが用いられており、このサーミスタからの検出値を元に上記の制御部300でターゲット(定着ローラー201)となる非通紙領域部Cの表面温度値を算出する。そして、その算出した通紙領域部Bの表面温度値に基づいて不図示の温調制御回路により高周波電源304を制御して図4に示す励磁回路303への給電をコントロールすることにより、定着ローラー201の温度を所定の温度(定着温度)に温調する。
次に遮蔽版208の動作状態について説明する。
図6は、図3に示す定着ローラー201の遮蔽板208の動作状態を示すと共に、励磁コイル−磁性体コアユニット203により発生される磁束が定着ローラー201と鎖交する領域と遮蔽板208の位置関係を定着ローラー201の周方向に展開して示した図である。
図6(a)は定着ローラー軸方向に長い大サイズ(例えばA4、A3等のサイズ)の記録材Paを定着処理する場合の上記の位置関係を示す図である。この場合、励磁コイル−磁性体コアユニット203により発生される磁束について定着ローラー201と鎖交する領域が遮蔽板208によりさえぎられる部分はない状態である。
図6(b)は定着ローラー軸方向に短い小サイズ(例えばA4R等のサイズ)の記録材Pbを定着処理する場合の位置関係を示す図である。この場合、励磁コイル−磁性体コアユニット203により発生される磁束について定着ローラー201と鎖交する領域の両端が遮蔽板208の遮蔽部208aによりさえぎられている状態である。これにより定着ローラー軸方向に短い記録材Pbを定着処理する際に定着ローラー201の両端の温度上昇を防止することが可能である。
図6(c)は定着ローラー201の表面温度が異常に温度上昇した際に、所定の処理(後述)の後の位置関係を示す図である。この場合、励磁コイル−磁性体コアユニット203により発生される磁束について定着ローラー201と鎖交する領域のすべてが遮蔽板208によりさえぎられている状態である。この状態では、定着ローラー201の温度が上昇することはない。
前述したように、この種の電磁誘導加熱方式の定着装置20においては、小サイズの記録材を連続して圧接ニップ部Nに通紙させて多量に定着処理した時などに、定着ローラー表面の記録材に接触する通紙領域部Bと、接触しない非通紙領域部Cで大きな温度差が生じてしまうことがある。
そこで、前述で説明した図6(b)のように定着ローラー軸方向に短い記録材(例えばA4R等のサイズ)を定着させる場合、励磁コイル−磁性体コアユニット203により発生される磁束が定着ローラー201と鎖交する領域の当該ローラーの両端(非通紙領域部C)で遮蔽部208aによりさえぎられている状態になるように遮蔽板208を回転移動する。すなわち、図5に示されるように、コンソール部Eで上記の記録材が指定された場合に、制御部300は遮蔽板駆動機構302を駆動制御して、遮蔽板208を図6(a)に示す位置(遮蔽板退避位置)から同図(b)に示す位置に回転移動する。
(3)異常動作モードの説明
制御部300は、上記の温調制御、遮蔽板駆動制御、その他の画像形成に必要な各種の制御を行なう他、遮蔽板駆動機構302における作動状態と接触式温度温度センサー402による検出値とに基づいて異常と判断する異常動作モードを具備する。本例の異常動作モードは、図7に示す非通紙領域部昇温監視シーケンス及び異常時のダウンシーケンス処理を実行するモードであり、小サイズ紙コピージョブ時に非通紙領域部Cの温度を監視し、該非通紙領域部Cの温度が温調温度よりも高温の所定の遮蔽基準温度(以下、所定値と記す)を超える場合に、小サイズの記録材の通紙を禁止して、大サイズの記録材のみの通紙を可能とするダウンシーケンス処理を実行する。
図7に異常動作モードのフローチャート図を示す。
まず、コンソール部Eからコピースタートが指示されると(S1)、該コンソール部で指示された記録材のサイズ(以下、紙サイズと記す)を確定し、紙サイズにより定着ローラー201の非通紙領域部C(図では端部と記す)を遮蔽板208で遮蔽するか、否かを判断し(S2)、遮蔽すると判断した場合(YES)にS3に進む。
S3では、遮蔽板駆動機構302に遮蔽板208の遮蔽動作を指示する。
S4では、非通紙領域部Cの接触式温度センサー402の検出値が所定値以下か、否かを判断し、上記の(S3)で遮蔽板208の遮蔽動作を指示したにも関わらず、検出値が所定値以下でない即ち検出値が所定値以上である場合(NO)にS5に進む。
S5では、小サイズ紙の通紙を禁止するエラー表示をコンソール部Eの表示部8に表示し、小サイズ紙のユーザーによる指定もしくは小サイズ紙が自動選択されないようにコンソール部や不図示の記録材自動選択装置などを制御する。
S6では、非接触式温度センサー401と接触式温度センサー402の検出値が所定の安全動作温度(温調温度)の範囲内であるならば、大サイズの記録材の通紙を可能とする。
以上S1〜S6の一連のステップを実行することによって非通紙領域部昇温監視シーケンス及び異常時のダウンシーケンス処理を終了する。
本実施例では定着装置20の第2実施例を示す。本例の定着装置は制御部300に下記の異常動作モードを具備させた他は実施例1の定着装置と同じ構成とされる。
本例の異常動作モードは、図8に示す非通紙領域部昇温監視シーケンス及び異常時のダウンシーケンス処理を実行するモードであり、小サイズ紙コピージョブ時に非通紙領域部Cの温度を監視し、該非通紙領域部Cの温度が温調温度よりも高温の所定の遮蔽基準温度(以下、所定値と記す)を超える場合に、小サイズの記録材の通紙を禁止して、所定時間経過後に、小サイズの記録材のみの通紙を可能とするダウンシーケンス処理を実行する。
図8に異常動作モードのフローチャート図を示す。S11〜S14の処理は実施例1のS1〜S4の処理と同じであるので説明を省略する。
S15では、小サイズ紙の通紙を一時中断する。
S16では、再度の小サイズ紙の通紙を開始するための所定時間が経過するまで待機する。
S17では、接触式温度センサー402の検出値が所定値(温調温度よりも高温の所定の遮蔽基準温度)以下か、否かを判断し、所定値以下であれば(YES)S18に進む。
S18では、再度小サイズ紙の通紙を許可する。
以下S14〜S18の処理を繰り返し、接触式温度センサー402の温度検知により非通紙領域部Cが所定温度(諸定値)以下になる毎に小サイズ紙の通紙を許可する。
以上S11〜S18の一連のステップを実行することによって非通紙領域部昇温監視シーケンス及び異常時のダウンシーケンス処理を終了する。
本実施例では定着装置20の第3実施例を示す。本例の定着装置は制御部310に下記の異常動作モードを具備させた他は実施例1の定着装置と同じ構成とされる。
図9に、本実施例に係る定着装置20と記録材Pの通紙領域WA〜WCの関係、定着装置20と温度検知装置(温度検知手段)401・402の位置関係、および該温度検知装置と遮蔽板駆動機構302と制御部310との関係を示す概略模型図を示す。
本実施例は、図9に示されるように、遮蔽板208の動作をメカ的に検知するため、遮蔽板208の任意に箇所に遮蔽板動作フラグ208bを定着ローラー軸方向に延設させると共に、位置検知手段として、該フラグを検知するセンシング装置305を定着ローラー201の脇に配置したものである。制御部310は、センシング装置305による遮蔽板動作フラグ208bの検知位置すなわち遮蔽板208の検知位置に基づいて異常と判断する異常動作モードを具備する。それ以外の構成は実施例1と同じであるので説明を省略する。異常動作モードについては追って説明する。
図10は、定着ローラー201の遮蔽板208の動作状態を示すと共に、励磁コイル−磁性体コアユニット203により発生される磁束が定着ローラー201と鎖交する領域と遮蔽板208の位置関係を定着ローラー201の周方向に展開して示した図である。
図10(a)は定着ローラー軸方向に長い記録材(例えばA4、A3サイズの記録材)Paを定着処理する場合の上記の位置関係を示す図である。この場合、励磁コイル−磁性体コアユニット203により発生される磁束について定着ローラー201と鎖交する領域が遮蔽板208によりさえぎられる部分はない。また、この際前述のセンシング装置305は遮蔽板動作フラグ208aを検知していない。
図10(b)は定着ローラー軸方向に短い記録材(例えばA4R等のサイズの記録材)Pbを定着処理する場合の上記の位置関係を示す図である。この場合、励磁コイル−磁性体コアユニット203により発生される磁束について定着ローラー201と鎖交する領域の両端が遮蔽板208の遮蔽部208aによりさえぎられている状態である。これにより定着ローラー軸方向に短い記録材Pbを定着処理する際に定着ローラー201の両端の温度上昇を防止することが可能である。また、この際前述のセンシング装置305は遮蔽板208が動作していれば遮蔽板動作フラグ208bを検知する(動作状態と認知)。
図10(c)は定着ローラー201の表面温度が異常に温度上昇した際に、所定の処理(後述)の後の位置関係を示す図である。この場合、励磁コイル−磁性体コアユニット203により発生される磁束について定着ローラー201と鎖交する領域のすべてが遮蔽板208によりさえぎられている状態である。この状態では、定着ローラー201の温度が上昇することはない。また、この際前述のセンシング装置305は遮蔽板208が動作していれば遮蔽板動作フラグ208bを検知する(動作状態と認知)。
本実施例においても、図9に示すように、定着装置20に対する記録材Pの導入は中央基準でなされるため、前述したように、小サイズの記録材を連続して圧接ニップ部Nに通紙させて多量に定着処理した時などに、定着ローラー表面の記録材に接触する通紙領域部Bと、接触しない非通紙領域部Cで大きな温度差が生じてしまうことがある。
そこで、前述した図10(b)のように定着ローラー軸方向に短い記録材(例えばA4R等のサイズ)を定着させる場合、励磁コイル−磁性体コアユニット203により発生される磁束が定着ローラー201と鎖交する領域の当該ローラーの両端(非通紙領域部C)で遮蔽部208aによりさえぎられている状態になるように遮蔽板208を回転移動する。これにより定着ローラー軸方向に短い記録材を定着させる際に定着ローラー201の非通紙領域部Cの温度上昇を防止することが可能である。
(1)異常動作モードの説明
制御部310は、実施例1で説明した温調制御、遮蔽板駆動制御、その他の画像形成に必要な各種の制御を行なう他、センシング装置305による遮蔽板動作フラグ208aの検知位置に基づいて異常と判断する異常動作モードを具備する。本例の異常動作モードは、図11に示す非通紙領域部昇温監視シーケンス及び異常時のダウンシーケンス処理を実行するモードであり、小サイズ紙コピージョブ時に遮蔽板208の位置を監視し、センシング装置305が遮蔽板動作フラグ208bを検知しない場合に、小サイズの記録材の通紙を禁止して、大サイズの記録材のみの通紙を可能とするダウンシーケンス処理を実行する。
図11に異常動作モードのフローチャート図を示す。
まず、コンソール部Eからコピースタートが指示されると(S31)、該コンソール部で指示された記録材のサイズ(以下、紙サイズと記す)を確定し、紙サイズにより定着ローラー201の非通紙領域部C(図では端部と記す)を遮蔽板208で遮蔽するか、否かを判断し(S32)、遮蔽すると判断した場合(YES)にS33に進む。
S33では、遮蔽板駆動機構302に遮蔽板208の遮蔽動作を指示する。
S34では、センシング装置305が遮蔽板動作フラグ208bを検知しているか否かを判断し、上記の(S33)で遮蔽板208の遮蔽動作を指示したにも関わらず、遮蔽板動作フラグ208bを検知していない場合(NO)にS35に進む。
S35では、小サイズ紙の通紙を禁止するエラー表示をコンソール部Eの表示部8に表示し、小サイズ紙のユーザーによる指定もしくは小サイズ紙が自動選択されないようにコンソール部や不図示の記録材自動選択装置などを制御する。
S36では、非接触式温度センサー401と接触式温度センサー402の検出値が所定の安全動作温度(温調温度)の範囲内であるならば、大サイズの記録材の通紙を可能とする。
以上S31〜S36の一連のステップを実行することによって非通紙領域部昇温監視シーケンス及び異常時のダウンシーケンス処理を終了する。
本実施例では定着装置20の第4実施例を示す。本例の定着装置は制御部310に下記の異常動作モードを具備させた他は実施例1の定着装置と同じ構成とされる。
本例の異常動作モードは、図12に示す非通紙領域部昇温監視シーケンス及び異常時のダウンシーケンス処理を実行するモードであり、小サイズ紙コピージョブ時に遮蔽板208の位置を監視し、センシング装置305が遮蔽板動作フラグ208bを検知しない場合に、小サイズの記録材の通紙を禁止して、所定時間経過後に、小サイズの記録材のみの通紙を可能とするダウンシーケンス処理を実行する。
図12に異常動作モードのフローチャート図を示す。S41〜S44の処理は実施例3のS31〜S34の処理と同じであるので説明を省略する。
S45では、小サイズ紙の通紙を一時中断する。
S46では、再度の小サイズ紙の通紙を開始するための所定時間が経過するまで待機する。
S47では、接触式温度センサー402の検出値が所定値(温調温度よりも高温の所定の遮蔽基準温度)以下か、否かを判断し、所定値以下であれば(YES)S48に進む。
S48では、再度小サイズ紙の通紙を許可する。
以下S44〜S48の処理を繰り返し、接触式温度センサー402の温度検知により非通紙領域部Cが所定温度(上記所定値)以下になる毎に小サイズ紙の通紙を許可する。
以上S41〜S48の一連のステップを実行することによって非通紙領域部昇温監視シーケンス及び異常時のダウンシーケンス処理を終了する。
なお、本実施例1〜4においては通紙基準を中央にとる定着装置20を説明したが、別に通紙基準を定着ローラーのどちらか一方の端部とし、反対の端部に非通紙領域部の昇温監視用の温度検知装置(接触式温度センサー402)を配置し、上述した制御と同等の制御を行なってもよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、電磁誘導加熱方式の像加熱装置及び該像加熱装置を備えた画像形成装置について、何らかの原因で非通紙部昇温現象に対しての作用磁束減少機能(作用磁束調整機能)が働かない場合に、完全に装置をダウンさせることなく異常とみなし、定着ローラー温度が所定の安全動作温度(温調温度)の範囲内である場合、もしくは遮蔽板位置が適正位置でない場合に、一部通紙可能な所定サイズの記録材のみを通紙させることができるので、画像形成装置としては故障、異常が完全に復旧されるまで転写材を画像形成物として出力動作ができないという問題を解消できる。
[その他]
1)誘導発熱体の形態は回転ローラー体に限られず、誘導発熱体製のエンドレスベルトなどの他の回転体を用いてもよい。もしくはロール巻きにした誘導発熱体製の長尺の有端フィルムを用い、これを磁束発生手段の下方を経由させて巻き取り軸側へ所定の速度で走行させるように構成したものであってもよい。
2)誘導発熱体に被加熱材を接触させる形態は実施例のような直接式に限られず、間接式であってもよい。例えば、誘導発熱体を固定部材として定着ローラー軸方向に長い横長形状とし、該誘導発熱体の加圧ローラー側でエンドレス、もしくは長尺の金属フィルムなどの適宜の伝熱材を介して誘導発熱体に被加熱材を間接的に接触させてもよい。
3)温度検知手段401・402は温度センサに限らず、温度検知素子であればよく、また接触式でも非接触式でも構わない。
4)実施例の装置は被加熱材(記録用紙)の搬送を中央基準で搬送する装置構成であるが、片側基準で搬送する構成の装置にも本発明は有効に適用することができる。
5)実施例の装置は大小2種類のサイズの被加熱材(記録用紙)に対応する装置構成であるが、本発明は3種類以上のサイズの被加熱材(記録用紙)を通紙する装置にも適用することができる。
6)本発明の電磁誘導加熱方式の加熱装置は実施例の画像加熱定着装置に限らず、未定着画像を担持した記録用紙に仮定着する仮定着装置、定着画像を担持した記録用紙を再加熱してつや等の画像表面性を改質する表面改質装置等の像加熱装置としても有効である。またその他、例えば、紙幣等のしわ除去用の熱プレス装置や、熱ラミネート装置、紙などの含水分を蒸発させる加熱乾燥装置など、シート状部材を加熱処理する加熱装置として用いても有効であることは勿論である。
実施例1における画像形成装置の概略構成図 図1の画像形成装置の転写部から定着部付近の拡大模型図 実施例1における定着装置の要部の横断面模型図 定着装置の途中部分省略の正面一部断面模型図 定着装置と記録材の通紙領域の関係、定着装置と温度検知装置の位置関係、および該温度検知装置と遮蔽板駆動機構と制御部との関係を示す概略模型図 図3に示す定着ローラーの遮蔽板の動作状態を示すと共に、励磁コイル−磁性体コアユニットにより発生される磁束が定着ローラーと鎖交する領域と遮蔽板の位置関係を定着ローラーの周方向に展開して示した図 実施例1における定着装置の異常動作モードのフローチャート図 実施例2における定着装置の異常動作モードのフローチャート図 実施例3に係る定着装置と記録材の通紙領域の関係、該定着装置と温度検知装置の位置関係、および該温度検知装置と遮蔽板駆動機構と制御部との関係を示す概略模型図 図9に示す定着ローラーの遮蔽板の動作状態を示すと共に、励磁コイル−磁性体コアユニットにより発生される磁束が定着ローラーと鎖交する領域と遮蔽板の位置関係を定着ローラーの周方向に展開して示した図 実施例3における定着装置の異常動作モードのフローチャート図 実施例4における定着装置の異常動作モードのフローチャート図
符号の説明
A・・画像形成装置本体、B・・電子写真作像部本、C・・画像読み取り装置、D・・自動原稿送り装置、G・・ソータ、1・・光源、2〜5・・ミラー、5・・レンズ、6・・イメージセンサー、14・・レーザースキャナユニット、14c・・レンズ、14d・・ミラー、11・・感光ドラム、201・・定着ローラー、202・・加圧ローラー、203・・励磁コイル−磁性体コアユニット、204・・励磁コイル、205・・磁性体コア、206・・保持ホルダー、207・・熱収縮性チューブ、208・・遮蔽板、208a・・遮蔽部、208b・・遮蔽板動作フラグ、300・301・・制御部、305・・センシング装置、401・・非接触式温度センサー、402・・接触式温度センサー、P・・記録材

Claims (13)

  1. 磁束発生手段と、該磁束発生手段からの発生磁束の作用により電磁誘導する誘導発熱体とを有し、被加熱材を前記誘導発熱体に直接または伝熱材を介して接触させて搬送させ該誘導発熱体で該被加熱材を加熱する加熱装置であり、
    前記磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束の、前記被加熱材の搬送方向に交差する方向の密度分布を変化せしめる磁束調整手段と、
    前記被加熱材のサイズに基づいて前記磁束調整手段を作動制御する作動制御手段と、
    前記誘導発熱体または前記伝熱材上の温度を検知する温度検知手段と、
    制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記作動制御手段における作動状態と前記温度検知手段による検知温度とに基づいて異常と判断する異常動作モードを有することを特徴とする加熱装置。
  2. 前記磁束調整手段は、前記被加熱材のサイズが所定サイズより小さい場合に前記所定サイズに合わせて前記駆動手段により駆動され、前記磁束発生手段の所定部分の発生磁束を遮蔽することを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  3. 前記温度検知手段は、前記磁束調整手段により磁束を遮蔽された前記誘導発熱体または伝熱材部分に配置することを特徴とする請求項1または2に記載の加熱装置。
  4. 前記異常動作モードは、前記作動制御手段による作動制御状態における前記温度検知手段の検知温度が所定温度以内でない場合に異常と判断することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の加熱装置。
  5. 前記異常動作モードは、異常時においても通紙可能な被加熱材サイズのみを通紙できるモードであることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の加熱装置。
  6. 前記異常動作モードは、前記温度検知手段の検知温度が所定温度以内になった場合にのみ通紙を許可することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の加熱装置。
  7. 磁束発生手段と、該磁束発生手段からの発生磁束の作用により電磁誘導する誘導発熱体とを有し、被加熱材を前記誘導発熱体に直接または伝熱材を介して接触させて搬送させ該誘導発熱体で該被加熱材を加熱する加熱装置であり、
    前記磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束の、前記被加熱材の搬送方向に交差する方向の密度分布を変化せしめる磁束調整手段と、
    前記被加熱材のサイズに基づいて前記磁束調整手段の位置を変位させる駆動手段と、
    前記誘導発熱体または前記伝熱材上の温度を検知する温度検知手段と、
    前記磁束調整手段の位置を検知する位置検知手段と、
    制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記位置検知手段による前記磁束調整手段の検知位置に基づいて異常と判断する異常動作モードを有することを特徴とする加熱装置。
  8. 前記磁束調整手段は、前記被加熱材のサイズが所定サイズより小さい場合に前記所定サイズに合わせて前記駆動手段により駆動され、前記磁束発生手段の所定部分の発生磁束を遮蔽することを特徴とする請求項7に記載の加熱装置。
  9. 前記温度検知手段は、前記磁束調整手段により磁束を遮蔽された前記誘導発熱体または伝熱材部分に配置することを特徴とする請求項7または8に記載の加熱装置。
  10. 前記異常動作モードは、前記磁束遮蔽部材の位置が所定位置でない場合に異常と判断することを特徴とする請求項7から9の何れかに記載の加熱装置。
  11. 前記異常動作モードは、異常時においても通紙可能な被加熱材サイズのみを通紙できるモードであることを特徴とする請求項7から10の何れかに記載の加熱装置。
  12. 前記異常動作モードは、前記温度検知手段の検知温度が所定温度以内になった場合のみ通紙を許可することを特徴とする請求項7から10の何れかに記載の加熱装置。
  13. 記録材に対して画像を形成する作像手段と、記録材上の画像を加熱する像加熱手段とを有する画像形成装置において、像加熱手段が請求項1から12の何れかに記載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
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