しかしながら、同文献に記載された装置では、クロス点よりもむしろハイライト網点等の検出の方が容易である場合は、ピーク点検出を使うことを言及している。しかし、上記クロス点検出方法では、50%から少し離れた40%網点は、網点ドット同士が接しておらず網点間に白画素が存在するため、対角線上に極大値が存在しない。60%網点では逆に極小値が存在しない。その場合、40%網点や60%網点はピーク点検出でカバーしなければならなくなる。そのため、クロス点検出でカバーする範囲が少なくなるので、クロス点検出による参照領域サイズの小規模化や文字部誤分離抑制効果も極めて小さくなる。実際はほとんど無い状態と言い得る。そのために、ピーク点検出でカバーする場合、クロス点検出を行う意味が無くなってしまう。また、65線あたりの低線数の40%網点ドットと文字部に存在する読点は、8ポイント程度の文字であれば同程度の大きさであり、ピーク点検出では識別困難であるので、ピーク点検出を使用するにも限界があるという問題があった。
特許文献1においては、カラー網点の場合については言及していないが、ピーク点検出やクロス点検出時の判定閾値を厳しくすると、カラー網点原稿において、網点ドットが重なり合って網点ドット形状が見えにくくなっている(網点ドットが孤立で存在しない)場合に、ピーク点やクロス点が検出されない不具合が発生するという問題があった。
もっとも顕著な場合はC、M、Yの3色のドットで表された3Cグレー網点であり(図17参照)、網点ドットが重なることでロゼッタの特有の模様が作り出されているので、ピーク点やクロス点の検出が非常に困難となる問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、50%網点や60%網点をクロス点検出でカバーできるクロス点検出方式を提供し、小規模かつ文字部での誤分離が発生しにくいクロス点検出の利点を生かした高精度の網点領域識別装置、および網点領域識別方法を提供することである。
また、本発明の目的は、入力カラーRGB信号を原稿のCMY版に分解し、版ごとにピーク点およびクロス点を検出することで、3Cグレー網点でも判定閾値を緩和せずにピーク点およびクロス点を検出でき、混色のカラー網点の場合でも、小規模かつ文字部での誤分離発生を低減させてクロス点検出を可能にする高精度の網点領域識別装置、および網点領域識別方法を実現することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、網点領域識別装置であって、画像データにおける領域を参照して、前記画像データにおける第1の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する第1のエッジ検出手段と、前記領域を参照して、前記画像データにおける前記第1の方向と直交する第2の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する第2のエッジ検出手段と、前記第1および第2のエッジ検出手段によって検出されたエッジを、所定の領域において参照し、参照された前記所定の領域内における前記第1の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および前記第2の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を判定し、判定された前記対称性に基づいて網点特徴を有する画素を検出する網点特徴検出手段と、を備えることを特徴とする。
この請求項1にかかる発明によれば、網点領域識別装置であって、第1のエッジ検出手段は、画像データにおける領域を参照して、画像データにおける第1の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する。第2のエッジ検出手段は、領域を参照して、画像データにおける第1の方向と直交する第2の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する。網点領域検出手段は第1および第2のエッジ検出手段によって検出されたエッジを、所定の領域において参照し、参照された所定の領域内における第1の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および第2の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を判定し、判定された対称性に基づいて網点特徴を有する画素を検出する。この構成によって、2つの方向におけるエッジの立ち上がりおよび立ち下がりの対称性に基づいて網点画素を検出するので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の網点領域識別装置において、前記網点特徴検出手段は、前記網点特徴を有する画素として、最近接網点ドット間の中心画素であるクロス点画素を検出するものであることを特徴とする。
この請求項2にかかる発明によれば、網点特徴検出手段は、網点特徴を有する画素として、最近接網点ドット間の中心画素であるクロス点画素を検出する。この構成によって、第1の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および、第2の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を用いてクロス点画素を検出するため、従来のピーク点画素検出のみによる網点領域識別や濃度の極小値および/または極大値を利用したクロス点検出による網点領域識別と比較して、装置を小規模化でき文字部の誤検出を抑制できるので、高精度に網点領域を識別できる。
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2に記載の網点領域識別装置において、前記第1のエッジ検出手段および第2のエッジ検出手段は、それぞれ一次微分フィルタを使用してエッジを検出するものであることを特徴とする。
この請求項3にかかる発明によれば、第1のエッジ検出手段および第2のエッジ検出手段は、それぞれ一次微分フィルタを使用してエッジを検出する。この構成によって、一次微分フィルタを用いて第1の方向および第2の方向のエッジを検出するため、厳密に第1の方向や第2の方向でない場合、あるいは網点ドットがはっきりしない場合であっても概ね対応でき、大きな誤識別を起こしにくいので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の網点領域識別装置において、前記網点特徴検出手段は、前記第1のエッジ検出手段によって検出されたエッジデータおよび前記第2のエッジ検出手段によって検出されたエッジデータを比較して、両エッジの大きさを表す指標の絶対値がほぼ等しいと判定した場合、クロス点画素でないと判定するものであることを特徴とする。
この請求項4にかかる発明によれば、網点特徴検出手段は、第1のエッジ検出手段によって検出されたエッジデータおよび第2のエッジ検出手段によって検出されたエッジデータを比較して、両エッジの大きさを表す指標の絶対値がほぼ等しいと判定した場合、クロス点画素でないと判定する。この構成によって、第1のエッジおよび第2のエッジ検出部結果において、第1の方向と第2の方向の中間方向でレスポンスがほぼゼロになる場合は、クロス点画素との識別が困難な中間方向の角度を有する細線画像を、正確に網点特徴画素から排除することができ、文字部での誤識別を抑制することができるので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項5にかかる発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の網点領域識別装置において、前記網点特徴検出手段は、大きさが異なる複数の所定の参照領域を参照し、前記複数の所定の参照領域ごとに前記第1のエッジ検出手段および第2のエッジ検出手段によって検出される前記対称性に基づいて、網点特徴を有する画素を検出するものであることを特徴とする。
この請求項5にかかる発明によれば、網点特徴検出手段は、大きさが異なる複数の所定の参照領域を参照し、複数の所定の参照領域ごとに第1のエッジ検出手段および第2のエッジ検出手段によって検出される対称性に基づいて、網点特徴を有する画素を検出する。この構成によって、網点特徴検出手段が、サイズの異なる複数の領域を参照して、参照領域毎に立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を用いてクロス点画素を検出するので、低線数網点から高線数網点まで線数の高低にかかわらず、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項6にかかる発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の網点領域識別装置において、さらに、前記第1の方向と前記第2の方向の中間方向である第3の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する第3のエッジ検出手段と、前記第3の方向と直交する第4の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する第4のエッジ検出手段と、を備え、前記網点特徴検出手段は、前記第3および第4のエッジ検出手段によって検出されたエッジを、前記所定の領域において参照し、参照された前記所定の領域内における前記第3の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および前記第4の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を判定し、判定された前記対称性、前記第1のエッジ検出手段および第2のエッジ検出手段によって検出された前記対称性によって検出された前記対称性のうちの1つに基づいて、網点特徴を有する画素を検出するものであることを特徴とする。
この請求項6にかかる発明によれば、さらに、第1の方向と第2の方向の中間方向である第3の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する第3のエッジ検出手段と、第3の方向と直交する第4の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する第4のエッジ検出手段と、を備え、網点特徴検出手段は、第3および第4のエッジ検出手段によって検出されたエッジを、所定の領域において参照し、参照された所定の領域内における第3の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および第4の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を判定し、判定された対称性、第1のエッジ検出手段および第2のエッジ検出手段によって検出された対称性によって検出された対称性のうちの1つに基づいて、網点特徴を有する画素を検出する。この構成によって、第1および第2のエッジ検出手段と同様に、第3の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および、第4の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性に基づいて網点特徴を有する画素を検出するので、カラー網点や原稿のスキューにも対応でき、カラー網点画像やスキューのある原稿に対しても、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項7にかかる発明は、請求項6に記載の網点領域識別装置において、前記網点特徴検出手段は、前記第1のエッジ検出手段によって検出された前記対称性、および前記第2のエッジ検出手段によって検出された前記対称性に基づいて、網点特徴を有する画素を検出する第1の網点特徴検出手段と、前記第3のエッジ検出手段によって検出された前記対称性、および前記第4のエッジ検出手段によって検出された前記対称性に基づいて、網点特徴を有する画素を検出する第2の網点特徴検出手段と、を有するものであり、さらに、前記第1の網点特徴検出手段によって検出された網点特徴画素データを補正する第1の補正手段と、前記第2の網点特徴検出手段によって検出された網点特徴画素データを補正する第2の補正手段と、を備えたことを特徴とする。
この請求項7にかかる発明によれば、網点特徴検出手段は、第1のエッジ検出手段によって検出された対称性、および第2のエッジ検出手段によって検出された対称性に基づいて、網点特徴を有する画素を検出する第1の網点特徴検出手段と、第3のエッジ検出手段によって検出された対称性、および第4のエッジ検出手段によって検出された対称性に基づいて、網点特徴を有する画素を検出する第2の網点特徴検出手段と、を有し、さらに、第1の網点特徴検出手段によって検出された網点特徴画素データを補正する第1の補正手段と、第2の網点特徴検出手段によって検出された網点特徴画素データを補正する第2の補正手段と、を備える。この構成によって、網点特徴検出手段によって検出された網点画像を補正するので、検出された網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項8にかかる発明は、網点領域識別方法であって、画像データにおける領域を参照して、前記画像データにおける第1の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する第1のエッジ検出工程と、前記領域を参照して、前記画像データにおける前記第1の方向と直交する第2の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する第2のエッジ検出工程と、前記第1のエッジ検出工程および第2のエッジ検出工程によって検出されたエッジデータを、所定の領域において参照し、参照された前記所定の領域内における前記第1の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および、前記第2の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を判定する対称性判定工程と、前記対称性判定工程において判定された前記対称性に基づいて網点特徴を有する画素を検出する網点特徴検出工程と、を含むことを特徴とする。
この請求項8にかかる発明によれば、網点領域識別方法であって、第1のエッジ検出工程では画像データにおける領域を参照して、画像データにおける第1の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する。第2のエッジ検出工程では、領域を参照して、画像データにおける第1の方向と直交する第2の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する。対称性判定工程では、第1のエッジ検出工程および第2のエッジ検出工程によって検出されたエッジデータを、所定の領域において参照し、参照された所定の領域内における第1の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および、第2の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を判定する。網点特徴検出工程では、対称性判定工程において判定された対称性に基づいて網点特徴を有する画素を検出する。この構成によって、2つの方向におけるエッジの立ち上がりおよび立ち下がりの対称性に基づいて網点画素を検出するので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項9にかかる発明は、請求項8に記載の網点領域識別方法において、前記網点特徴検出工程は、前記網点特徴を有する画素として、最近接網点ドット間の中心画素であるクロス点画素を検出するものであることを特徴とする。
この請求項9にかかる発明によれば、網点特徴検出工程は、網点特徴を有する画素として、最近接網点ドット間の中心画素であるクロス点画素を検出する。この構成によって、第1の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および、第2の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を用いてクロス点画素を検出するため、従来のピーク点画素検出のみによる網点領域識別や濃度の極小値および/または極大値を利用したクロス点検出による網点領域識別と比較して、装置を小規模化でき文字部の誤検出を抑制できるので、高精度に網点領域を識別できる。
また、請求項10にかかる発明は、請求項8または9に記載の網点領域識別方法において、前記第1のエッジ検出工程および第2のエッジ検出工程は、それぞれ一次微分フィルタを使用してエッジを検出するものであることを特徴とする。
この請求項10にかかる発明によれば、第1のエッジ検出工程および第2のエッジ検出工程は、それぞれ一次微分フィルタを使用してエッジを検出する。この構成によって、一次微分フィルタを用いて第1の方向および第2の方向のエッジを検出するため、厳密に第1の方向や第2の方向でない場合、あるいは網点ドットがはっきりしない場合であっても概ね対応でき、大きな誤識別を起こしにくいので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項11にかかる発明は、請求項8〜10のいずれか1つに記載の網点領域識別方法において、前記網点特徴検出工程は、前記第1のエッジ検出工程によって検出されたエッジデータおよび前記第2のエッジ検出工程によって検出されたエッジデータを比較して、両エッジの大きさを示す指標の絶対値がほぼ等しいと判定した場合、クロス点画素でないと判定するものであることを特徴とする。
この請求項11にかかる発明によれば、網点特徴検出工程は、第1のエッジ検出工程によって検出されたエッジデータおよび第2のエッジ検出工程によって検出されたエッジデータを比較して、両エッジの大きさを示す指標の絶対値がほぼ等しいと判定した場合、クロス点画素でないと判定する。この構成によって、第1のエッジおよび第2のエッジ検出部結果において、第1の方向と第2の方向の中間方向でレスポンスがほぼゼロになる場合は、クロス点画素との識別が困難な中間方向の角度を有する細線画像を、正確に網点特徴画素から排除することができ、文字部での誤識別を抑制することができるので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項12にかかる発明は、請求項8〜11のいずれか1つに記載の網点領域識別方法において、前記対称性判定工程は、大きさが異なる複数の所定の参照領域を参照して前記対称性を判定するものであり、前記網点特徴検出工程は、前記複数の所定の参照領域ごとに判定された対称性に基づいて網点特徴を有する画素を検出するものであることを特徴とする。
この請求項12にかかる発明によれば、対称性判定工程は、大きさが異なる複数の所定の参照領域を参照して対称性を判定するものであり、網点特徴検出工程は、複数の所定の参照領域ごとに判定された対称性に基づいて網点特徴を有する画素を検出する。この構成によって、対称性判定工程において、サイズの異なる複数の領域を参照して、参照領域毎に立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を判定して、網点特徴検出工程において判定された対称性に基づいてクロス点画素を検出するので、低線数網点から高線数網点まで線数の高低にかかわらず、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項13にかかる発明は、請求項8〜12のいずれか1つに記載の網点領域識別方法において、さらに、前記第1の方向と前記第2の方向の中間方向である第3の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する第3のエッジ検出工程と、前記第3の方向と直交する第4の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する第4のエッジ検出工程と、を含み、前記対称性判定工程は、前記第1の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性および第2の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を判定する第1の判定工程と、前記第3の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性および第4の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を判定する第2の判定工程と、を含むものであり、前記網点特徴検出工程は、前記第1の判定工程において判定された対称性および第2の判定工程において判定された対称性のうちの1つに基づいて、網点特徴を有する画素を検出するものであることを特徴とする。
この請求項13にかかる発明によれば、さらに、第1の方向と第2の方向の中間方向である第3の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する第3のエッジ検出工程と、第3の方向と直交する第4の方向の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する第4のエッジ検出工程と、を含み、対称性判定工程は、第1の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性および第2の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を判定する第1の判定工程と、第3の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性および第4の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を判定する第2の判定工程と、を含むものであり、網点特徴検出工程は、第1の判定工程において判定された対称性および第2の判定工程において判定された対称性のうちの1つに基づいて、網点特徴を有する画素を検出する。この構成によって、第1および第2のエッジ検出工程と同様に、第3の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および、第4の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性に基づいて網点特徴を有する画素を検出するので、カラー網点や原稿のスキューにも対応でき、カラー網点画像やスキューのある原稿に対しても、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項14にかかる発明は、請求項13に記載の網点領域識別方法において、前記網点特徴検出工程は、前記第1の判定工程によって判定された対称性に基づいて、網点特徴を有する画素を検出する第1の網点特徴検出工程と、前記第2の判定工程において判定された対称性に基づいて、網点特徴を有する画素を検出する第2の網点特徴検出工程と、前記第1の網点特徴検出工程によって検出された網点特徴画素データを補正する第1の補正工程と、前記第2の網点特徴検出工程によって検出された網点特徴画素データを補正する第2の補正工程と、を含むものであることを特徴とする。
この請求項14にかかる発明によれば、網点特徴検出工程は、第1の判定工程によって判定された対称性に基づいて、網点特徴を有する画素を検出する第1の網点特徴検出工程と、第2の判定工程において判定された対称性に基づいて、網点特徴を有する画素を検出する第2の網点特徴検出工程と、第1の網点特徴検出工程によって検出された網点特徴画素データを補正する第1の補正工程と、第2の網点特徴検出工程によって検出された網点特徴画素データを補正する第2の補正工程と、を含むものである。この構成によって、網点特徴検出工程によって検出された網点画像を補正するので、検出された網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項15にかかる発明は、網点領域識別装置であって、複数の色信号からなる入力画像データを、前記複数の色信号と属性の異なる所定の複数の色信号からなる画像データに変換する色変換手段と、前記色変換手段による色変換処理後の画像データから、網点ドットの中心画素であるピーク点を検出するピーク点検出手段と、前記色変換手段による色変換処理後の画像データから、最近接網点ドット間の中心画素であるクロス点を検出するクロス点検出手段と、を備え、前記ピーク点検出手段によって検出されたピーク点データおよび前記クロス点検出手段によって検出されたクロス点データに基づいて、前記入力画像データにおける網点領域を識別することを特徴とする。
この請求項15にかかる発明によれば、色変換手段が、複数の色信号からなる入力画像データを、複数の色信号と属性の異なる所定の複数の色信号からなる画像データに変換する。ピーク点検出手段は、色変換処理後の画像データから、網点ドットの中心画素であるピーク点を検出する。クロス点検出手段は、色変換処理後の画像データから、最近接網点ドット間の中心画素であるクロス点を検出する。網点領域識別装置は、ピーク点検出手段によって検出されたピーク点データおよびクロス点検出手段によって検出されたクロス点データに基づいて、入力画像データにおける網点領域を識別する。この構成によって、複数の色信号からなる入力画像データを、前記複数の色信号と属性の異なる複数の色信号からなる画像データに色変換後、ピーク点およびクロス点を検出して網点領域を識別するため、入力の色空間ではピーク点あるいはクロス点検出が困難であった混色のカラー網点においても検出が容易な色空間に変換した後にピーク点およびクロス点を検出することによって網点領域を高精度に識別することができる。また、混色カラー網点に対しても単色網点と同様に装置の小規模化と文字部の誤検出を低減できるクロス点検出が可能となるので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項16にかかる発明は、請求項15に記載の網点領域識別装置において、前記色変換手段は、複数の色信号からなる入力画像データを、プロセスカラーに応じた信号を含む前記複数の色信号と属性の異なる所定の複数の色信号からなる画像データに変換するものであることを特徴とする。
この請求項16にかかる発明によれば、色変換手段は、複数の色信号からなる入力画像データを、プロセスカラーに応じた信号を含む複数の色信号と属性の異なる所定の複数の色信号からなる画像データに変換する。この構成によって、入力画像データをプロセスカラーに応じた信号に変換後、ピーク点およびクロス点を検出するため、3Cカラー網点であっても単色網点同様に装置の小規模化と文字部の誤検出を低減できるクロス点検出が可能となるので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項17にかかる発明は、請求項15または16に記載の網点領域識別装置において、前記ピーク点検出手段は、少なくとも低濃度および高濃度の網点を検出するものであり、前記クロス点検出手段は、少なくとも中間濃度の網点を検出するものであることを特徴とする。
この請求項17にかかる発明によれば、ピーク点検出手段は、少なくとも低濃度および高濃度の網点を検出するものであり、クロス点検出手段は、少なくとも中間濃度の網点を検出する。この構成によって、ピーク点検出とクロス点検出とで、それぞれ検出効率の高い網点濃度を最低限検出できれば良いため、検出効率の低下する網点濃度を検出する際に発生していた文字部の誤検出を低減できるので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項18にかかる発明は、請求項15〜17のいずれか1つに記載の網点領域識別装置において、前記ピーク点検出手段は、前記色変換手段によって変換された前記所定の複数の色信号ごとに、前記ピーク点を検出するものであり、前記クロス点検出手段は、前記色変換手段によって変換された前記所定の複数の色信号ごとに、前記クロス点を検出するものであることを特徴とする。
この請求項18にかかる発明によれば、ピーク点検出手段は、色変換手段によって変換された所定の複数の色信号ごとに、ピーク点を検出する。クロス点検出手段は、色変換手段によって変換された所定の複数の色信号ごとに、クロス点を検出する。この構成によって、複数の色信号ごとにピーク点およびクロス点を検出するので、任意の色の混色カラー網点に対しても、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項19にかかる発明は、請求項15〜18のいずれか1つに記載の網点領域識別装置において、さらに、前記ピーク点検出手段によって検出された前記ピーク点データ、および前記クロス点検出手段によって検出された前記クロス点データのうち1つ以上の前記検出されたデータに基づいて、変換された前記複数の色ごとに、補正を行う補正手段を備え、前記補正手段によって補正処理された前記データに基づいて網点領域を識別するものであることを特徴とする。
この請求項19にかかる発明によれば、さらに、ピーク点検出手段によって検出されたピーク点データ、およびクロス点検出手段によって検出されたクロス点データのうち1つ以上の検出されたデータに基づいて、変換された複数の色ごとに、補正を行う補正手段を備え、補正手段によって補正処理されたデータに基づいて網点領域を識別する。この構成によって、ピーク点およびクロス点の出現状態に応じて補正を各色ごとに行うため、孤立して存在するピーク点やクロス点をより正確に排除できるので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項20にかかる発明は、請求項15〜19のいずれか1つに記載の網点領域識別装置において、前記ピーク点検出手段は、注目画素と前記注目画素を囲む周辺画素との濃度差が所定のしきい値以上であるか否かを判定し、以上でないと判定した場合、前記注目画素はピーク点でないと判定とするものであることを特徴とする。
この請求項20にかかる発明によれば、ピーク点検出手段は、注目画素と注目画素を囲む周辺画素との濃度差が所定のしきい値以上であるか否かを判定し、以上でないと判定した場合、注目画素はピーク点でないと判定する。この構成によって、ピーク点検出の条件として、注目画素と周辺画素との濃度差が一定以上であることとしているため、文字部の端点等でピーク点を誤検出してしまうことを防止できるので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項21にかかる発明は、網点領域識別方法であって、複数の色信号からなる入力画像データを、前記複数の色信号と属性の異なる所定の複数の色信号からなる画像データに変換する色変換工程と、前記色変換工程における色変換処理後の画像データから、網点ドットの中心画素であるピーク点を検出するピーク点検出工程と、前記色変換工程における色変換処理後の画像データから、最近接網点ドット間の中心画素であるクロス点を検出するクロス点検出工程と、前記ピーク点検出工程で検出されたピーク点データおよび前記クロス点検出工程で検出されたクロス点データに基づいて、前記入力画像データにおける網点領域を識別する網点領域識別工程と、を含むことを特徴とする。
この請求項21にかかる発明によれば、網点領域識別方法であって、色変換工程は、複数の色信号からなる入力画像データを、複数の色信号と属性の異なる所定の複数の色信号からなる画像データに変換する。ピーク点検出工程は、色変換処理後の画像データから、網点ドットの中心画素であるピーク点を検出する。クロス点検出工程は、色変換処理後の画像データから、最近接網点ドット間の中心画素であるクロス点を検出する。網点領域識別工程は、ピーク点検出工程で検出されたピーク点データおよびクロス点検出工程で検出されたクロス点データに基づいて、入力画像データにおける網点領域を識別する。この構成によって、複数の色信号からなる入力画像データを、前記複数の色信号と属性の異なる複数の色信号からなる画像データに色変換後、ピーク点およびクロス点を検出して網点領域を識別するため、入力の色空間ではピーク点あるいはクロス点検出が困難であった混色のカラー網点においても検出が容易な色空間に変換した後にピーク点およびクロス点を検出することによって網点領域を高精度に識別することができる。また、混色カラー網点に対しても単色網点と同様に装置の小規模化と文字部の誤検出を低減できるクロス点検出が可能となるので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項22にかかる発明は、請求項21に記載の網点領域識別方法において、前記色変換工程は、複数の色信号からなる入力画像データを、プロセスカラーに応じた信号を含む前記複数の色信号と属性の異なる所定の複数の色信号からなる画像データに変換するものであることを特徴とする。
この請求項22にかかる発明によれば、色変換工程は、複数の色信号からなる入力画像データを、プロセスカラーに応じた信号を含む複数の色信号と属性の異なる所定の複数の色信号からなる画像データに変換する。この構成によって、入力画像データをプロセスカラーに応じた信号に変換後、ピーク点およびクロス点を検出するため、3Cカラー網点であっても単色網点同様に装置の小規模化と文字部の誤検出を低減できるクロス点検出が可能となるので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項23にかかる発明は、請求項21または22に記載の網点領域識別方法において、前記ピーク点検出工程は、少なくとも低濃度および高濃度の網点を検出するものであり、前記クロス点検出工程は、少なくとも中間濃度の網点を検出するものであることを特徴とする。
この請求項23にかかる発明によれば、ピーク点検出工程は、少なくとも低濃度および高濃度の網点を検出するものであり、クロス点検出工程は、少なくとも中間濃度の網点を検出する。この構成によって、ピーク点検出とクロス点検出とで、それぞれ検出効率の高い網点濃度を最低限検出できれば良いため、検出効率の低下する網点濃度を検出する際に発生していた文字部の誤検出を低減できるので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項24にかかる発明は、請求項21〜23のいずれか1つに記載の網点領域識別方法において、前記ピーク点検出工程は、前記色変換工程によって変換された前記所定の複数の色信号ごとに、前記ピーク点を検出するものであり、前記クロス点検出工程は、前記色変換工程によって変換された前記所定の複数の色信号ごとに、前記クロス点を検出するものであることを特徴とする。
この請求項24にかかる発明によれば、ピーク点検出工程は、色変換工程によって変換された所定の複数の色信号ごとに、ピーク点を検出するものであり、クロス点検出工程は、色変換工程によって変換された所定の複数の色信号ごとに、クロス点を検出する。この構成によって、複数の色信号ごとにピーク点およびクロス点を検出するので、任意の色の混色カラー網点に対しても、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項25にかかる発明は、請求項21〜24のいずれか1つに記載の網点領域識別方法において、さらに、前記ピーク点検出工程において検出されたピーク点データ、および前記クロス点検出工程において検出された前記クロス点データのうち1つ以上の前記検出されたデータに基づいて、前記色変換工程において変換された前記複数の色ごとに、補正を行う補正工程を、含み、前記網点領域識別工程は、前記補正工程において補正処理を施された前記データに基づいて網点領域を識別するものであることを特徴とする。
この請求項25にかかる発明によれば、さらに、ピーク点検出工程において検出されたピーク点データ、およびクロス点検出工程において検出されたクロス点データのうち1つ以上の検出されたデータに基づいて、色変換工程において変換された複数の色ごとに、補正を行う補正工程を、含み、網点領域識別工程は、補正工程において補正処理を施されたデータに基づいて網点領域を識別する。この構成によって、ピーク点およびクロス点の出現状態に応じて補正を各色ごとに行うため、孤立して存在するピーク点やクロス点をより正確に排除できるので、網点領域を高精度に識別することができる。
また、請求項26にかかる発明は、請求項21〜25のいずれか1つに記載の網点領域識別方法において、前記ピーク点検出工程は、注目画素と前記注目画素を囲む周辺画素との濃度差が所定のしきい値以上であるか否かを判定し、以上でないと判定した場合、前記注目画素はピーク点でないと判定するものであることを特徴とする。
この請求項26にかかる発明によれば、ピーク点検出工程は、注目画素と注目画素を囲む周辺画素との濃度差が所定のしきい値以上であるか否かを判定し、以上でないと判定した場合、注目画素はピーク点でないと判定する。この構成によって、ピーク点検出の条件として、注目画素と周辺画素との濃度差が一定以上であることとしているため、文字部の端点等でピーク点を誤検出してしまうことを防止できるので、網点領域を高精度に識別することができる。
本発明(請求項1)にかかる網点領域識別装置は、2つの方向におけるエッジの立ち上がりおよび立ち下がりの対称性に基づいて網点画素を検出するので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項2)にかかる網点領域識別装置は、第1の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および、第2の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を用いてクロス点画素を検出するため、従来のピーク点画素検出のみによる網点領域識別や濃度の極小値および/または極大値を利用したクロス点検出による網点領域識別と比較して、装置を小規模化でき文字部の誤検出を抑制できるので、高精度に網点領域を識別できるという効果を奏する。
また、本発明(請求項3)にかかる網点領域識別装置は、一次微分フィルタを用いて第1の方向および第2の方向のエッジを検出するため、厳密に第1の方向や第2の方向でない場合、あるいは網点ドットがはっきりしない場合であっても概ね対応でき、大きな誤識別を起こしにくいので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項4)にかかる網点領域識別装置は、第1のエッジおよび第2のエッジ検出部結果において、第1の方向と第2の方向の中間方向でレスポンスがほぼゼロになる場合は、クロス点画素との識別が困難な中間方向の角度を有する細線画像を、正確に網点特徴画素から排除することができ、文字部での誤識別を抑制することができるので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項5)にかかる網点領域識別装置は、網点特徴検出手段が、サイズの異なる複数の領域を参照して、参照領域毎に立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を用いてクロス点画素を検出するので、低線数網点から高線数網点まで線数の高低にかかわらず、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項6)にかかる網点領域識別装置は、第1および第2のエッジ検出手段と同様に、第3の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および、第4の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性に基づいて網点特徴を有する画素を検出するので、カラー網点や原稿のスキューにも対応でき、カラー網点画像やスキューのある原稿に対しても、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項7)にかかる網点領域識別装置は、網点特徴検出手段によって検出された網点画像を補正するので、検出された網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項8)にかかる網点領域識別方法は、2つの方向におけるエッジの立ち上がりおよび立ち下がりの対称性に基づいて網点画素を検出するので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項9)にかかる網点領域識別方法は、第1の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および、第2の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を用いてクロス点画素を検出するため、従来のピーク点画素検出のみによる網点領域識別や濃度の極小値および/または極大値を利用したクロス点検出による網点領域識別と比較して、装置を小規模化でき文字部の誤検出を抑制できるので、高精度に網点領域を識別できるという効果を奏する。
また、本発明(請求項10)にかかる網点領域識別方法は、一次微分フィルタを用いて第1の方向および第2の方向のエッジを検出するため、厳密に第1の方向や第2の方向でない場合、あるいは網点ドットがはっきりしない場合であっても概ね対応でき、大きな誤識別を起こしにくいので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項11)にかかる網点領域識別方法は、第1のエッジおよび第2のエッジ検出部結果において、第1の方向と第2の方向の中間方向でレスポンスがほぼゼロになる場合は、クロス点画素との識別が困難な中間方向の角度を有する細線画像を、正確に網点特徴画素から排除することができ、文字部での誤識別を抑制することができるので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項12)にかかる網点領域識別方法は、対称性判定工程において、サイズの異なる複数の領域を参照して、参照領域毎に立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を判定して、網点特徴検出工程において判定された対称性に基づいてクロス点画素を検出するので、低線数網点から高線数網点まで線数の高低にかかわらず、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項13)にかかる網点領域識別方法は、第1および第2のエッジ検出工程と同様に、第3の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および、第4の方向の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性に基づいて網点特徴を有する画素を検出するので、カラー網点や原稿のスキューにも対応でき、カラー網点画像やスキューのある原稿に対しても、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項14)にかかる網点領域識別方法は、網点特徴検出工程によって検出された網点画像を補正するので、検出された網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項15)にかかる網点領域識別装置は、複数の色信号からなる入力画像データを、前記複数の色信号と属性の異なる複数の色信号からなる画像データに色変換後、ピーク点およびクロス点を検出して網点領域を識別するため、入力の色空間ではピーク点あるいはクロス点検出が困難であった混色のカラー網点においても検出が容易な色空間に変換した後にピーク点およびクロス点を検出することによって網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。また、混色カラー網点に対しても単色網点と同様に装置の小規模化と文字部の誤検出を低減できるクロス点検出が可能となるので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項16)にかかる網点領域識別装置は、入力画像データをプロセスカラーに応じた信号に変換後、ピーク点およびクロス点を検出するため、3Cカラー網点であっても単色網点同様に装置の小規模化と文字部の誤検出を低減できるクロス点検出が可能となるので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項17)にかかる網点領域識別装置は、ピーク点検出とクロス点検出とで、それぞれ検出効率の高い網点濃度を最低限検出できれば良いため、検出効率の低下する網点濃度を検出する際に発生していた文字部の誤検出を低減できるので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項18)にかかる網点領域識別装置は、複数の色信号ごとにピーク点およびクロス点を検出するので、任意の色の混色カラー網点に対しても、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項19)にかかる網点領域識別装置は、ピーク点およびクロス点の出現状態に応じて補正を各色ごとに行うため、孤立して存在するピーク点やクロス点をより正確に排除できるので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項20)にかかる網点領域識別装置は、ピーク点検出の条件として、注目画素と周辺画素との濃度差が一定以上であることとしているため、文字部の端点等でピーク点を誤検出してしまうことを防止できるので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項21)にかかる網点領域識別方法は、複数の色信号からなる入力画像データを、前記複数の色信号と属性の異なる複数の色信号からなる画像データに色変換後、ピーク点およびクロス点を検出して網点領域を識別するため、入力の色空間ではピーク点あるいはクロス点検出が困難であった混色のカラー網点においても検出が容易な色空間に変換した後にピーク点およびクロス点を検出することによって網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。また、混色カラー網点に対しても単色網点と同様に装置の小規模化と文字部の誤検出を低減できるクロス点検出が可能となるので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項22)にかかる網点領域識別方法は、入力画像データをプロセスカラーに応じた信号に変換後、ピーク点およびクロス点を検出するため、3Cカラー網点であっても単色網点同様に装置の小規模化と文字部の誤検出を低減できるクロス点検出が可能となるので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項23)にかかる網点領域識別方法は、ピーク点検出とクロス点検出とで、それぞれ検出効率の高い網点濃度を最低限検出できれば良いため、検出効率の低下する網点濃度を検出する際に発生していた文字部の誤検出を低減できるので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項24)にかかる網点領域識別方法は、複数の色信号ごとにピーク点およびクロス点を検出するので、任意の色の混色カラー網点に対しても、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項25)にかかる網点領域識別方法は、ピーク点およびクロス点の出現状態に応じて補正を各色ごとに行うため、孤立して存在するピーク点やクロス点をより正確に排除できるので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項26)にかかる網点領域識別方法は、ピーク点検出の条件として、注目画素と周辺画素との濃度差が一定以上であることとしているため、文字部の端点等でピーク点を誤検出してしまうことを防止できるので、網点領域を高精度に識別することができるという効果を奏する。
(1.実施の形態)
(1.1.網点領域検出装置の全体構成と検出手順)
図1は、実施の形態1による網点領域検出装置の機能的ブロック図である。網点領域検出装置10は、第1のエッジ検出部1、第2のエッジ検出部2、網点特徴検出部3、密度補正部4、および膨張部5を備える。
図2は、図1に示した第1のエッジ検出部1と第2のエッジ検出部2の機能的ブロック図である。図3は、実施の形態1による網点領域検出動作を説明するフローチャートである。図4は、画像におけるエッジ部分を説明する模式図である。図1〜4を参照しながら、網点領域検出装置の各機能を、検出動作の順に説明する。
図4中の領域501内の符号503に示された升目403が、クロス点である。縦エッジは図中の矢印AとBが横切る部分に相当し、+エッジがA、−エッジがBである。横エッジは図中矢印CとDが横切る部分に相当し、+エッジがCであり、−エッジがDである。横エッジは、図30で説明すると、矢印CとDが越える部分のエッジに相当する。図30中で示された+エッジ(=立ち上がりエッジ)がCであり、−エッジ(立ち下がりエッジ)がDである。
第1のエッジ検出部1は横エッジを検出する。同様に、第2のエッジ検出部2は縦エッジを検出する。
図5は、エッジ検出用フィルタの一例を示す模式図である。
網点特徴検出部3は、図30のように横エッジの+エッジCと−エッジDが左右対称であることと、縦エッジの+エッジAと−エッジBが上下対称であることを利用して、クロス点を検出する。
密度補正部4は、クロス点の密度を参照して、孤立して存在するクロス点等の網点領域ではありえない過剰に検出されたクロス点を排除する。ここで、密度だけでなくクロス点の周期を検出して排除するか否かを判断しても良い。
膨張部5は、密度補正後のクロス点を膨張させることによって、網点ドット間や網点領域の縁も包含する形で網点領域として識別する。
さらに、各部の機能を実行する動作を図3のフローチャートに示される網点領域検出動作の手順に沿って説明する。第1のエッジ検出部1および第2のエッジ検出部2は、横エッジ検出用フィルタ11、縦エッジ検出用フィルタ21、符号判定部12および22、絶対値化部15および25、減算器16、絶対値化部17、比較器18、乗算器13、および23、セレクタ14および24を含む。
横エッジ検出用フィルタ11は、図5に示された3x3サイズの横エッジ検出用フィルタ501を使用して、局所領域の横エッジ度Sを検出する。縦エッジ検出用フィルタ21は、図5に示された3x3サイズの縦エッジ検出用フィルタ502を使用して、局所領域の縦エッジ度Tを検出する(ステップS101)。
絶対値化部15および絶対値化部25は、横エッジ度Sと縦エッジ度Tの絶対値|S|、|T|を算出する。減算器16は、差分|S|−|T|を算出する(ステップS102)。絶対値化部17は、減算器16により算出された前記差分|S|−|T|の絶対値||S|−|T||を算出する。
ここで、絶対値化部17の算出した差分の絶対値||S|−|T||に対して、+エッジまたは−エッジの符号を付けたものが、横エッジあるいは縦エッジの値になる。
符号判定部12および符号判定部22は、SとTの符号がそれぞれ+ならば1、−ならば−1を出力する。符号判定部12および22によって出力された出力値を使用して、乗算器13および乗算器23は、||S|−|T||に対して乗算を行う。乗算器13および14の乗算によって||S|−|T||に対して符号が付けられ、+エッジまたは−エッジとなる。
比較器18は、|S|と|T|の値を比較し、|S|の方が大きい場合は縦エッジを0にして、セレクタ24に出力する。比較器18は、|T|の方が大きい場合は横エッジを0にしてセレクタ14に出力する(ステップS103)。
ここで、横エッジと縦エッジにおいて、SとTの値でなく|S|と|T|の差分値を使用するのは、斜めエッジに対しては横エッジと縦エッジの差分値の出力をほぼ0にするためである。例えば、図4の網点ドット同士が少し離れた場合の中心画素ではクロス点検出したいが、図5の斜め線の隙間ではクロス点として検出したくない場合がある。SやTの値は斜めエッジに対してもある程度のレスポンスがあるため、SおよびTの値を横エッジおよび縦エッジの値として直接用いた場合は、図4のクロス領域401、402と、斜線領域450との明確な識別ができなくなることが生じる。そこで、差分値をとることによって斜線領域450のような場合は、縦エッジと横エッジがレスポンスしないようにすることができる。
なお、図2に示された構成では、第1のエッジ検出部1と第2のエッジ検出部2が一部の回路を共通して使用しているが、それぞれ別々に分離した構成にすることも可能である。
(1.2.網点特徴検出部)
図6は、図1に示された網点特徴検出部の機能的ブロック図である。網点特徴検出部3は、マスク1(31)〜マスク4(34)、符号反転部35および36、符号反転部39、最小値選択部37および40、しきい値判定部38、41、および加算部42を備える。
図7は、図6の網点特徴検出部で使用するマスクの一例を示す模式図である。マスク1(71)は、横エッジC(図30および図4)の和を算出するマスクであり、ここでは5x5サイズを使用する。同様にマスク2は、横エッジDの、マスク3は縦エッジAの、マスク4は縦エッジBの、それぞれ和を算出するマスクである。これらのマスク1〜4を使用して横および縦のエッジの和を算出する(ステップS104)。
符号反転部35および符号反転部36は、マスク1とマスク3による処理データの符号を反転する。
最小値選択部37は、反転したマスク1の検出データ、マスク2の検出データ、反転したマスク3の検出データ、およびマスク4の検出データから、最小値を選択する。
図8は、クロス点のパターンを説明する図である。しきい値判定部38は、前記選択された最小値が所定のしきい値c_th(>0)以上の場合にクロス点1であると判定する(ステップS105)。ここで検出しているのは、図8の「クロス点1」81のようなクロス点であり、横エッジCが−、Dが+、縦エッジAが−、Bが+であるクロス点である。
最小値を使用してしきい値判定しているのは、それぞれ横エッジや縦エッジの+エッジあるいは−エッジが存在するべき領域(=対称性のある領域)に、所定値以上存在しているかどうかで各エッジが偏って存在していないかどうかを判定していることになる。これ以外にも対称性を利用した判定方法で代用可能な方法は幾つか存在する。
図8に示されたクロス点2のタイプ82のパターンに対しても同様に検出するため、符号反転部39(図6)を使用して符号を全て反転させ、マスク1〜4の結果を使用してクロス点1と同様のしきい値を使用する方式で検出する(ステップS106)。そして、加算器42でクロス点1とクロス点2の論理和ORを算出し、クロス点であると判定する(ステップS107)。
(1.3.効果)
以上説明したように、実施の形態1の網点領域識別装置によれば、横エッジの+エッジと−エッジの対称性、および、縦エッジの+エッジと−エッジの対称性を利用してクロス点を検出し、クロス点の検出により網点領域を識別するため、図4のように50%から少し離れた網点も含めてクロス点検出が可能となる。
また、横エッジおよび縦エッジを2次元の一次微分フィルタを使って検出しているので、横エッジ縦エッジが厳密に0度や90度でなくても検出できる。また、質の悪い印刷物、濃度の低いカラー網点などの網点ドットがはっきりしない場合でも、幅広く検出可能であるので、大きな画像劣化に繋がる誤識別を低減することができる。
また、45°方向のエッジである斜めエッジにおいては、レスポンスがほぼゼロになるので、図4の斜め線450と明確に識別でき、文字部分での誤識別を低減できる。
図9は、ピーク点を説明する模式図である。以上説明した検出の動作については、クロス点検出部を備えてクロス点を検出する構成について説明したが、図9に示されたピーク点に関しても、横エッジと縦エッジのそれぞれの+エッジおよび−エッジの対称性を利用して、ピーク点検出することが可能である。図9のパターンに合わせて、図7に示されたマスクの組み合わせを変化させることによって実現できる。例えば、横エッジCとDにはマスク3と4を、縦エッジAとBにはマスク1と2を使用すればピーク点が検出可能となる。
(1.4.変形例1)
図10は、網点特徴検出部の変形例1による機能的ブロック図である。
実施の形態1による網点特徴検出部3は、横エッジおよび縦エッジ検出結果を、5x5エリアで参照しているが、5x5の場合、100線あたりの低線数でクロス点を検出するのには好適であるが、しかしながら、例えば150線に対しては参照エリアが大きすぎてエリア内に隣のクロス点も含まれてしまい、好適にクロス点を検出できない場合がある。そこで、変形例1の網点特徴検出部30では、5x5エリアでの網点特徴検出部a51と、3x3エリアでの網点特徴検出部b52 を備え、少なくともどちらか一方でクロス点が検出された場合、クロス点であると判定する。
変形例1による網点特徴検出部は、サイズの異なる複数の領域を参照して、参照領域毎に立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性を用いてクロス点画素を検出する構成であるため、低線数網点から高線数網点まで、線数の高低によらず網点領域を高精度に識別することができる。
(2.実施の形態2)
(2.1.実施の形態2による網点領域識別装置)
図11は、エッジラインが斜めであるクロス領域パターンを示す模式図である。図12は、図11のパターンの一部を拡大した図である。
実施の形態1では、縦エッジ値と横エッジ値とを算出して網点特徴を検出する構成であるため、最も網点特徴を取得しやすいのは45°に配置された図29に示されたような網点である。また、図5に示した2次元フィルタを使用するため、多少のスクリーン角や原稿の傾きにも対応できるのではあるが、しかしながら、図11および12に示されたように、図29の網点パターンを45°傾斜させた場合には最も網点特徴が検出しにくい。即ち、縦エッジと横エッジの検出だけでは対応が容易でない場合が生じる。更に、縦エッジと横エッジの検出だけの構成では、斜め線を識別して除外するため、わざと対応しないように構成している側面もある。
図13は、実施の形態2による網点領域識別装置の機能的ブロック図である。実施の形態2の網点領域識別装置100が実施の形態1と異なる点は、第1のエッジ検出部101で検出される横エッジ、第2のエッジ検出部102で検出される縦エッジに加えて、斜めエッジを検出する第3のエッジ検出103および第4のエッジ検出104を備えることである。また、第3および第4のエッジ検出部103、104によって検出された斜めエッジから、網点特徴を検出する網点特徴検出部Y106を備える点が異なる
図14は、図13に示された第3のエッジ検出部103および第4のエッジ検出部104が使用する斜めエッジ検出用フィルタの一例を示す模式図である。
第3のエッジ検出103および第4のエッジ検出104は、それぞれ図14に示した方向の異なる2つの斜めエッジ検出用フィルタ141、142を用いて斜めエッジ1と斜めエッジ2を検出する。
第1および第2のエッジ検出部101、102により検出された横エッジと縦エッジによって、網点特徴検出部X105はスクリーン角45°近辺の網点のクロス点を検出する。そして、第3および第4のエッジ検出部103、104により検出された斜めエッジ1と斜めエッジ2から、網点特徴検出部Y106は、スクリーン角45°網点を、マイナス45°回転させた配置の網点のクロス点(図11、図12に示された網点パターン)を検出する。
斜めエッジに関しても、各方向での+エッジと−エッジの対称性を利用し(図12)、実施の形態1で検出したと同様の方式でクロス点を検出する。
加算器107は、網点特徴検出部X105と網点特徴検出部Y106から検出されたクロス点の論理和を算出する。密度補正108と膨張109は実施の形態1と同様に密度補正処理、および膨張処理を施す。
(2.2.効果)
以上、本実施の形態によれば、横エッジと縦エッジに加えて、斜めエッジ1とそれに直交すれる斜めエッジ2を検出し、同様に+エッジと−エッジの対称性を利用してクロス点を検出するため、例えばカラー網点やスキューなどのスクリーン角45°以外の網点であってもクロス点検出が可能となる。
(2.3.変形例2)
図15は、実施の形態2の変形例による網点領域識別装置の機能的ブロック図である。実施の形態2による網点領域識別装置では、45°近辺の網点のクロス点(図29)と、90°近辺の網点のクロス点(図11、12)の論理和を、密度補正前に実施した。それに対して、本変形例2は図15に示すように密度補正部を別々に備え、上記角度のクロス点の検出後それぞれ密度補正した後に、加算処理を施す構成である点が異なる。即ち、図15に示すように、密度補正部X207と密度補正部Y208とを別々に備え、文字部分で誤検出したクロス点を、縦横エッジから検出したクロス点と、斜めエッジから検出したクロス点とに分けて密度補正することができるので、文字部誤検出に対する密度補正精度の向上が可能となる。
なお、膨張処理や周期判定を行う場合は周期判定も、縦横エッジと斜めエッジとで別々に処理した方が識別精度向上をもたらす場合がある。このような場合には、密度補正部と同様に、それぞれ別々に備えることが望ましい。
(3.実施の形態3)
(3.1.網点領域識別装置の全体構成)
図16は、実施の形態3による網点領域識別装置の機能的ブロック図である。網点領域識別装置300は、色変換部301、C−ピーク点検出部302、C−クロス点検出部303、M−ピーク点検出部305、M−クロス点検出部306、Y−ピーク点検出部308、Y−クロス点検出部309、加算器304、307、310、311、密度補正部312、および膨張部313を備える。
色変換部301は、スキャナ読み取りやネットワークを介して取得したRGBの入力画像データに対して、色変換処理を施し、CMYの画像データへ変換する。このCMYは、プロセスカラーのCMYである。色変換処理は、次式により施す。
C = a0 + a1×R + a2×G + a3×B
M = b0 + b1×R + b2×G + b3×B (式1)
Y = c0 + c1×R + c2×G + c3×B
ここで、a0〜a3、b0〜b3、c0〜c3は色変換パラメータである。
なお、RGB→CMY変換の非線形性を吸収するため、色相ごとに色変換パラメータを切り換える色相分割色変換を使用することが可能である。また、LUT(ルックアップテーブル)に代表格子点上のCMY値を格納しておき、補間演算を行うLUT色変換を使用することも可能である。
図17は、3Cグレー画像におけるロゼッタの発生を説明する図である。一般のカラー印刷原稿は一部特色が使われる場合もあるが、大半はC(シアン)版、M(マゼンタ)版、Y(イエロー)版の重ね合わせを使用する。実施の形態3では、それらの色の重ね合わせを元のC版、M版、Y版に分解する。図18のロゼッタが発生している3Cグレー画像は、各版に分解される。
次に、CMYの各色ごとに、例えばシアンに対しては、Cピーク点検出部302がピークを検出し、Cクロス点検出部303がクロス点検出する。マゼンタとイエローに対してもそれぞれピーク点検出とクロス点検出とを行う。
(3.2.ピーク点検出部)
図18は、ピーク点を説明する模式図である。図19、20および21は、クロス点を説明する模式図である。ピーク点検出は図18のようなハイライト網点、あるいは逆にダーク部の網点におけるピーク点を検出する。しかし、図19の50%網点(クロス点)では、ピーク点を検出しない。図19の50%網点については、クロス点検出部がクロス点であることを検出し、網点特徴を検出する。
ピーク点検出は、図18の太めの実線で囲った四角の領域1901を参照し、その中心画素を検出する。図18における実線内の領域1801を拡大して示したのが領域1802である。ピーク点1803は、ピーク点の中心画素と参照領域の外枠付近に位置する周辺画素とで、濃度差が大きい特徴がある。図18はハイライト網点を図示したものであるが、ダーク網点に対しても白黒を反転させて考えることができる。
一方、50%網点でピーク点検出しようとすると、図19の点線の四角2001を最低限、参照領域サイズとする必要がある。しかも、点線内を拡大したのが図20における領域1901であるが、ピーク点の特徴である周辺画素との濃度差を判定する場合でも、参照領域いっぱいに網点ドットがあり、周辺画素との濃度差がはっきりしないことや、四隅に隣接する網点ドットが出現しているため、対角線方向での濃度差が適切に判定できないことから、ピーク点の検出が困難である。そのため、従来、緩和されて設定された判定基準でピーク点を検出することで、50%付近の網点もピーク点検出でカバーしていた。
ここで、従来の緩和されたしきい値でのピーク点の検出について簡単に説明する。例えば、電子情報通信学会論文誌Vol.J75−D2 1992−1「文字/絵柄(網点、写真)混在画像の像域分離方法」にピーク画素検出方法が記載されている。同記載によると、ピーク画素検出は、注目画素が濃度変化の山を示す極点であるかどうかを周囲の画素との濃度関係から判定する。M×M画素からなるブロック内において、「中心画素の濃度レベルが他のすべての濃度レベルよりも高い、あるいは低いときに」(条件1)おいて、式2あるいは式3のようにして極点かどうかを判定する。
図22および23は、中心画素の濃度レベルを説明する図である。
(1)M=3(画素2201)の場合、
| 2m0 − m1 − m8 | ≧ ΔmTH かつ、
| 2m0 − m2 − m7 | ≧ ΔmTH かつ、 (式2)
| 2m0 − m3 − m6 | ≧ ΔmTH かつ、
| 2m0 − m4 − m5 | ≧ ΔmTH
(2)M=5(画素2202)の場合、
| 2m0 − m3 − m22 | ≧ ΔmTH かつ、
| 2m0 − m8 − m17 | ≧ ΔmTH かつ、
・・・・・・・・・・・・・・・・ (式3)
| 2m0 − m1 − m24 | ≧ ΔmTH かつ、
| 2m0 − m7 − m18 | ≧ ΔmTH
つまり、中心画素を挟んで対称の位置にある2つの画素レベルの平均値と中心画素の濃度差の絶対値が、しきい値ΔmTH以上である場合に、中心画素をピーク画素として検出する。
図24−1および24−2は、画素位置と濃度の関係の一例を示すグラフである。以上説明した従来のピーク点検出によると、例えばM=3でのピーク画素検出で式2の第1行の条件式について考えると、注目画素m0と両サイドの画素m1、m8の濃度差が図24−1に示したような関係にある場合にもm0をピーク点として検出することになる。つまり、m0とm1の濃度差が1以上あり、かつ、上記条件式が成り立てば良く、この場合、殆ど片側のm8の濃度差だけが効いているといっても良い。
しかし、図18の画素1801のようなピーク点に対して本来検出したいのは、図24−2に示したような両側のm1とm8に対して、ある程度濃度差を有する画素である。そこで、本実施の形態のピーク点検出では、上記従来のピーク点検出の検出条件における上記(条件1)ではなく、「中心画素の濃度レベルが他のすべての濃度レベルよりも所定値(図24のα)以上高い、あるいは低いときに」(条件2)と設定する。
ところで、従来、緩和して設定された基準のピーク点検出によって救われていたのは50%網点だけでなく、図17に示したように、版が重なり合ったカラー網点も救われていた。網点ドットが重なり合うことで網点本来の孤立ドットの形状が崩れ、判定が困難になっており、本実施の形態のように両サイドの濃度差を見るピーク点検出を行ってしまうと、混色カラー網点での検出精度が悪くなるデメリットがあった。しかし、本実施の形態では、ピーク点検出の前にプロセスカラーのCMYに変換することによって、孤立ドットの形状を概ね復元できるので、混色カラー網点でのピーク点検出精度も確保できる。
(3.3.クロス点検出部、密度補正部、および膨張部)
クロス点検出部は、図19における太い実線で囲った四角の領域1902を参照し、その中心画素を検出する。図19に示したとおり、クロス点検出は、文字部での誤検出抑制効果に加えてピーク点よりも小さい参照領域で検出できるメリットがある。実線内1902を拡大したのが図21である。
クロス点検出は、例えば既に説明した実施の形態1によるクロス点検出方式により行う。即ち、横エッジの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性、および、縦エッジの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの対称性により、クロス点を網点特徴として検出する方式である。なお、クロス点検出方式はこれに限らず、先に挙げた特許文献1に記載された濃度の極大値と極小値による検出を行っても実現可能である。
クロス点検出に関しても、ピーク点検出と同様に、CMY版で検出することにより、RGBで検出するよりも混色カラー網点での検出精度が向上する。
加算器304、307、310は、CMY版それぞれ検出したピーク点とクロス点との論理和をとる。
加算器311は、CMY版ごとに検出されたピーク点およびクロス点との論理和のさらに各版の論理和をとる。
密度補正部312は、加算器311によって生成されたピーク点とクロス点との論理和に対して、孤立して存在するクロス点等、網点領域ではありえない過剰に検出されたピーク点あるいはクロス点の排除を、密度に応じて行う。ここで、密度だけでなくピーク点および/またはクロス点の周期を見て排除するか否かを判断しても良い。
膨張部313では、密度補正後のピーク点および/またはクロス点を膨張することによって網点ドット間や網点領域の縁も包含する形で網点領域として識別する。
(3.4.網点領域識別手順)
図25は、実施の形態3による網点領域識別手順を説明するフローチャートである。以上説明した各部の機能は、網点領域識別手順として以下のような手順を取って実行される。色変換部301は、入力されたRGBをCMYに変換処理を施す(ステップS201)。各ピーク点検出部302、305、308は、各色ごとのピーク点を検出する(ステップS202)。各クロス点検出部303、306、309は、各色ごとのクロス点を検出する(ステップS203)。加算部304、307、310は、各CMYについて、検出されたピーク点およびクロス点の論理和を取る(ステップS204)。加算部311は、CMYごとに取られた論理和について、さらに全ての論理和を取る(ステップS205)。密度補正部312は、密度に応じて検出されたクロス点およびピーク点に対して補正処理を施す(ステップS206)。膨張部313は、密度補正部312によって補正処理を施されたクロス点および/またはピーク点に対して、膨張処理を施して、網点領域として識別する(ステップS207)。
(3.5.効果)
以上、本実施の形態によれば、入力カラーRGBデータからプロセスカラーのCMYに色変換後、各版ごとにピーク点およびクロス点を検出する構成であるため、混色カラー網点であっても単色網点と同様に、ピーク点検出およびクロス点検出によって、例えば特に文字部での誤検出を抑制しながら、高精度の網点領域の識別が可能となる。
(3.6.変形例3)
図26は、実施の形態3の変形例の機能的ブロック図である。実施の形態3においては、CMY版ごとに検出したピーク点およびクロス点を加算処理した後に、密度補正と膨張処理を施す構成であったが、本変形例3ではCMY各色のピーク点およびクロス点を全て加算処理する前に、各色ごとに密度補正を施す構成である点が異なる。即ち、C密度補正部431、M密度補正部432、Y密度補正部433をそれぞれ有する点が異なる。
この構成によって、版ごとに密度補正パラメータを異ならせて設定することも可能である。例えばCMY版ごとの色変換精度の差をより高精度に吸収することが可能になる。勿論ピーク点検出やクロス点検出のパラメータでも吸収できるが、両方で吸収すればより効果が高まる。その結果、文字部誤検出に対する密度補正精度の向上に良好な影響を与える。
例えば、Cのピーク点が孤立して存在し、かつ、近くにMのピーク点も孤立して存在する場合、版ごとに見た方が低密度であり、孤立ピークを排除し易い。
なお、膨張処理や周期判定を行う場合は周期判定も、版ごとで別処理した方が識別精度向上できる場合があり、それ故、周期判定も版ごとに別処理する構成も可能である。
また、本実施の形態では色ごとにピーク点とクロス点のORをとった後で密度補正を実施しているが、より細かい制御をするため、ORをとる前にピーク点とクロス点とで別々に密度補正を施す構成が可能である。
(3.7.変形例4)
実施の形態3および変形例3においては、ピーク点検出とクロス点検出の検出方式やパラメータ設定により、それぞれハイライト網点、ダーク網点、中間濃度(50%付近)網点を、ピーク点およびクロス点のいずれか一方でカバーするかが適切に切り換わる構成になっていた。図16で説明すると、Cピーク点検出302とCクロス点303の結果のORを加算器304でとる構成になっている。
図27は、実施の形態3の他の変形例による網点領域識別装置の要部を説明する図である。変形例4による網点領域識別装置は、例えばCについては、C−ピーク点検出部542およびC−クロス点検出部543の他に、平均濃度算出部541およびセレクタ544を備える。
変形例4による網点領域識別装置では、図27に示したように、平均濃度算出部541が、注目画素を含む所定参照エリア内の平均濃度を算出し、算出された平均濃度値をセレクタ544に送信し、セレクタ544は、平均濃度に応じてピーク点およびクロス点のいずれか一方を選択する。平均濃度をしきい値処理し、低濃度あるいは高濃度であればピーク点を選択し、中間濃度であればクロス点を選択する。この構成によって、ピーク点かクロス点かの担当濃度網点の切り替えを、ピーク点検出およびクロス点検出のパラメータ調整よりも簡単に行うことができ、操作がより簡易となる。
なお、例えば低濃度と中間濃度の境界付近である低中濃度を更に判定して低中濃度領域ではピーク点とクロス点のORをとる構成も、他の変形と例として可能である。
また、1.ピーク点検出の代わりにハイライト網点やダーク網点の検出に適した別の網点特徴検出を用いる構成、2.クロス点検出の代わりに中間濃度網点の検出に適した別の網点特徴検出を用いる構成による実現手段もある。その一例を挙げると、ピーク点検出の代わりに特開昭63−279665号公報に記載のパターンマッチングにより網点ドットを検出する方法を用いる構成、クロス点検出の代わりに特開平4−14378号公報に記載の白地検出を用いる(白地検出はハイライト網点以外の網点を非白地として検出できる)構成が可能である。
(4.ハードウェア構成、記録媒体)
図31は、実施の形態による網点領域識別装置のハードウェア構成例を示す図である。上述した網点領域識別装置は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現できる。コンピュータ700は、CPU(Central Processing Unit)701によって装置全体が制御されている。CPU701には、バス707を介してROM(Read Only Memory)702、RAM(Random Access Memory)703、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)704、グラフィック処理装置705、入力インタフェース706が接続されている。ROM702、およびRAM703には、CPU701に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が格納される。またRAM703には、CPU701による処理に必要な各種データが格納される。HDD704には、OS、各種ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、検出されたデータなどが格納される。
グラフィック処理装置705には、モニタ711が接続されている。グラフィック処理装置705は、CPU701からの命令に従って、画像をモニタ711の画面に表示させる。入力インタフェース706には、キーボード712とマウス713とが接続されている。入力インタフェース706は、キーボード712やマウス713から送られてくる信号を、バス707を介してCPU701に送信する。
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。本実施の形態をコンピュータ700上で実現するには、コンピュータ700にドライバプログラムを実装する。
尚、本実施形態の網点領域識別装置で実行される網点領域識別プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フロッピー(R)ディスク、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されて提供される。
また、本実施形態の網点領域識別プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供および配布するように構成しても良い。