JP2005189384A - 電気化学調光装置及びその駆動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 色可変材料の析出(還元反応)又は溶解(酸化反応)時の対極の溶解又は析出による形状劣化を抑えることができ、長寿命化を図ることができる電気化学調光装置、及びこの調光装置を効果的に駆動することができる方法を提供すること。
【解決手段】 電気化学的な還元又は酸化及びこれに伴う析出又は溶解によって変色又は消色する色可変材料と、電解質と、高分子化合物とを含有する高分子電解質層4が、作用極5と対極1との間に挟持されている電気化学調光装置において、対極1が、前記還元又は酸化時に溶解又は析出を生じない電気化学的に安定な材料からなることを特徴とする、電気化学調光装置。本発明の電気化学調光装置の駆動方法であって、駆動前に予め対極1側に前記色可変材料を予備析出させることを特徴とする、電気化学調光装置の駆動方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気化学的な酸化還元反応によって画像情報の表示を行う電気化学表示装置等として好適な電気化学調光装置及びその駆動方法に関するものである。
近年、ネットワークの普及につれ、これまで印刷物の形状で配布されていた文書類が、いわゆる電子書類として配信されるようになってきた。さらに、書類や雑誌なども、いわゆる電子出版の形で提供される場合が多くなりつつある。
これらの情報を閲覧するために一般に行われているのは、コンピュータのCRT(Cathode Ray Tube)又は液晶ディスプレイの画像に表示させて読むことである。しかし、これらの発光型ディスプレイを見る作業は、人間工学的理由から、生理的に読む人に疲労を生じさせ易く、長時間の読書には適さないことが指摘されている。また、利用できる場所がコンピュータの設置場所に限られるという難点もある。
最近、小型コンピュータの普及に伴って携帯型のディスプレイが開発されている。これを用いれば、利用場所の問題は多少緩和されるが、内蔵電池の容量と消費電力との関係で、数時間以上継続して利用することはできない。また、ディスプレイが発光型であると、長時間の作業に適さないことに変わりはない。
また、近年、反射型の液晶ディスプレイも開発されている。これを用いれば、発光型ディスプレイに起因する上記の難点が生じることはなく、しかも、低消費電力で長時間駆動が可能になると予想される。しかし、無表示(白色表示)状態における反射率は30%に過ぎないので、紙上に印刷された物に比べて著しく視認性が悪い。このため、利用者に疲労を生じさせ易く、長時間の利用に適さない。
これらの問題を解決するために、最近、いわゆるペーパーライクディスプレイ、或いは電子ペーパーと呼ばれるものが開発されつつある。これらは、例えば、電気泳動法により着色粒子を電極間で移動させるか、或いは二色性を有する粒子を電場で回転させることなどで発色させている。しかしこれらの方法では、粒子間の隙間が光を吸収してコントラストが悪くなること、また駆動する電圧を100V以上にしなければ、実用上の書き込み速度(1秒以内)が得られないこと等の難点がある。
これらに対して、電気化学的な作用による変色で情報を表示する電気化学表示装置(ECD:Electric Chromic Display、又はEDD:Electro-Deposition Display)は、コントラストの高さという点で電気泳動方式などに比べて優れており、既に調光ガラスや時計用ディスプレイに実用化されている。しかし、調光ガラスや時計用ディスプレイに用いられる電気化学表示装置にはマトリクス駆動の機能がなく、そのままでは電子ペーパーのディスプレイ等の用途には適用できない。また、一般的に黒色の品位が悪く、反射率が低いものにとどまっている。特公平4−73767号公報には、マトリクス駆動装置が開示されているが、電気化学表示装置についての具体的な記述はない。
また、調光ガラスや時計用ディスプレイに実用化されているような電気化学表示装置では、黒色の部分を形成するために、有機材料が使用されている。有機材料は耐光性に乏しいため、電子ペーパーのディスプレイのように、太陽光や室内光などの光に晒され続ける用途に用いると、長時間使用した場合には退色して黒色濃度が低下するという問題点が生じる。
本出願人は、上記したような技術的な問題点を解決するものとして、電気化学的な酸化還元反応によって色の変化を行う銀イオン等の金属イオンを含む色可変材料を用い、これを溶解する材料として白く着色され、また支持電解質が含有されてなる高分子電解質を用い、マトリクス駆動が可能であり、コントラスト及び黒色濃度を高くすることができる電気化学表示素子及び電気化学表示装置を提案した(例えば、後述の特許文献1参照。)。
このような特許文献1の電気化学表示装置は、主に電気化学的な反応によって、第1透明電極上での色可変材料の析出による書き込み(主に還元反応)と、その析出物の溶解による消去(主に酸化反応)とにより、情報の表示動作を行っている。このとき、第2電極上では、第1透明電極とは逆の反応、即ち、上記した書き込み時には酸化反応、また消去時には還元反応が起きている。
特許文献1の電気化学表示装置によれば、高分子電解質中に二酸化チタン等の着色材料が分散されており、この着色材料によって高分子電解質が白く着色されている。そして、二酸化チタン等の着色材料を用いて高分子電解質を白色化することにより、高いコントラスト及び黒色濃度を得ることができる。
特開2002−258327号公報(第7〜12頁、図3、4及び8〜12)
しかしながら、上記した特許文献1のような電気化学表示装置は、第2電極側の酸化反応又は還元反応時に、この第2電極自体が溶解又は析出し、電極の形状劣化が起こるという問題点を有していた。このような第2電極の形状変化は、画素内での表示の不均一や、高分子電解質と第2電極との剥れ等の原因となり、電気化学表示装置の寿命低下につながる。また、第2電極の形状変化によって、第2電極の下地材料が露出するのを防ぐためには、第2電極の膜厚を厚くする必要があった。
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、色可変材料の析出(還元反応)又は溶解(酸化反応)時の対極の溶解又は析出による形状劣化を抑えることができ、長寿命化を図ることができる電気化学調光装置、及びこの調光装置を効果的に駆動することができる方法を提供することにある。
即ち、本発明は、電気化学的な還元又は酸化及びこれに伴う析出又は溶解によって変色又は消色する色可変材料と、電解質と、高分子化合物とを含有する高分子電解質層が、作用極と対極との間に挟持されている電気化学調光装置において、前記対極が、前記還元又は酸化時に溶解又は析出を生じない電気化学的に安定な材料からなることを特徴とする、電気化学調光装置に係るものである。
また、本発明の電気化学調光装置の駆動方法であって、駆動前に予め前記対極側に前記色可変材料を予備析出させることを特徴とする、電気化学調光装置の駆動方法に係るものである。ここで、上記した「駆動」とは、パルス電圧(酸化還元電位)の繰り返しによって前記析出を行うことを意味する。
本発明の電気化学調光装置によれば、前記対極が、前記還元又は酸化時に溶解又は析出を生じない電気化学的に安定な材料からなるので、前記色可変材料の析出(還元反応)又は溶解(酸化反応)時において、従来例のような、前記対極の溶解又は析出による形状劣化を防ぐことができる。従って、画素内での表示の不均一や、前記高分子電解質層と前記対極との剥れ等を防止することができ、電気化学調光装置の長寿命化を図ることができる。また、前記対極の溶解又は析出が生じないので、前記対極の厚みを小さくすることが可能である。
ここで、本発明の電気化学調光装置を連続的に駆動させる場合、1回目に前記作用極側に前記色可変材料を析出させる時、前記対極側では、主として前記高分子電解質層中の陰イオンの酸化反応が起こる。次に、前記作用極側に析出した前記色可変材料を溶解させる時は、前記対極上に前記色可変材料が還元析出する。そして、前記作用極側における2回目以降の前記色可変材料の析出反応時には、前記対極側では、前記陰イオンの酸化反応と同時に、前記対極上に析出していた前記色可変材料の溶解反応が起こる。前記対極での電荷の移動は、前記陰イオンの酸化反応のみが行われた場合と比較し、前記陰イオンの酸化反応と前記色可変材料の溶解反応とが同時に行われた場合の方が、当然効率がよい。即ち、前記作用極と前記対極の間に等しい電圧を印加した場合、1回目の駆動(前記作用極側での前記色可変材料の析出反応)と比較して、2回目以降の駆動のほうが前記色可変材料の析出は効率良く行われ、濃く着色される。
このような、1回目と2回目以降の着色濃度の違いをなくすために、本発明者が鋭意検討したところ、本発明の電気化学調光装置を駆動する前に、予め前記対極側に前記色可変材料を予備析出させることが効果的であることを見出した。
即ち、本発明の電気化学調光装置の駆動方法によれば、駆動前に予め前記対極側に前記色可変材料を予備析出させるので、1回目の駆動と2回目以降の駆動の着色濃度はほぼ変わらず、常に安定した前記色可変材料の析出を行うことができる。
前記対極の構成材料としては、前記色可変材料よりも還元又は酸化電位が高いものが望ましく、具体的には、白金、金、パラジウム、カーボン、ITO(インジウム酸化物にスズをドープした導電性酸化物:Indium Tin Oxide)、SnO2及びIn23からなる群より選ばれた少なくとも1種、或いはその他の電気化学的に安定な合金等を用いることが好ましい。上記のその他の電気化学的に安定な合金としては、例えばNi−Cr系合金等を挙げることができる。
前記金は、最も貴な金属であり、電気化学的安定性が高いので、前記対極の構成材料として有用性が高い。
前記ITOは透明でありかつ高い導電性を示し、例えば透過型電気化学表示装置への利用が可能となること等から、前記対極の構成材料として有用性が高い。
前記対極として前記カーボンを用いる場合、樹脂を用いてインク化し、支持体の上に印刷する方法がある。前記カーボンを使用することで、電極の低価格化を図ることができる。
本発明に基づく電気化学調光装置の駆動方法は、前記駆動を前記酸化又は還元のためのパルス電圧の繰り返しによって行い、前記予備析出を直流の還元電圧によって行うことが好ましい。なお、前記予備析出は、次段で前記作用極側に析出させる際に必要とする量の前記色可変材料を、前記対極に予備析出させることが好ましく、具体的には10mC/cm2程度が好ましい。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態である電気化学表示装置について詳細に説明する。この電気化学表示装置は、エレクトロデポジション表示素子を複数個、面状に配列してなる構造を有する。
第1の実施の形態
図1は、電気化学表示装置として構成された本発明に基づく電気化学調光装置の一例の概略斜視図であり、図2は、その概略断面図である。
図1に示すように、この電気化学表示装置では、一方の基板である作用極支持体6の上に、作用極5が形成されている。また、他方の基板である支持体3の上に対極1がマトリクス状に分割されて形成され、分離された各対極1が1画素を構成するようになっている。薄膜トランジスタ(TFT)2は、各画素を独立して駆動できるように各対極1毎に設けられる。
作用極支持体6としては、石英ガラス基板、白板ガラス基板などの透明ガラス基板を用いることが可能であるが、これに限定されず、透明な樹脂基板を用いることもできる。例えば、ポリエチレンナフタラートやポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロースなどのセルロースエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン−コヘキサフルオロプロピレンなどのフッ素系ポリマー、ポリオキシメチレンなどのポリエーテル、ポリアセタール、ポリエチレンやポリプロピレンやメチルペンテンポリマーやポリスチレンなどのポリオレフィン、及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミドなどのポリイミド等である。これら合成樹脂を作用極支持体6として用いる場合には、容易に曲がらない剛性基板状にすることも可能であるが、可撓性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能である。
作用極5は透明導電性膜からなる。透明導電性膜としては、酸化インジウム(In23)と酸化スズ(SnO2)との混合物、いわゆるITO(Indium Tin Oxide)膜や酸化スズ(SnO2)又は酸化インジウム(In23)をコーティングした膜を用いることが好ましい。これらITO膜や酸化スズ(SnO2)又は酸化インジウム(In23)をコーティングした膜にスズ(Sn)やアンチモン(Sb)をドーピングしたものでもよく、酸化マグネシウム(MgO)や酸化亜鉛(ZnO)等を用いることも可能である。
図1に示すように、作用極5と対向する側には、支持体3の上に対極1がマトリクス状設けられる。対極1の構成材料としては、銀等の前記色可変材料よりも還元又は酸化電位が高いものが望ましく、具体的には、白金、金、パラジウム、カーボン、ITO、SnO2及びIn23からなる群より選ばれた少なくとも1種、或いはその他の電気化学的に安定な合金等を用いることが好ましい。上記のその他の電気化学的に安定な合金としては、例えばNi−Cr系合金等を挙げることができる。これにより、作用極5側での前記色可変材料の析出(還元反応)又は溶解(酸化反応)時において、従来例のような、対極1の溶解又は析出による形状劣化を防ぐことができる。従って、画素内での表示の不均一や、高分子電解質層4と対極1との剥れ等を防止することができ、電気化学調光装置の長寿命化を図ることができる。また、対極1の溶解又は析出が生じないので、対極1の厚みを小さくすることが可能である。
後述するように前記色可変材料として銀を用いた場合、前記金は、銀に比べてイオン化傾向が小さく、最も貴な金属である。従って、対極1の構成材料として前記金を用いれば、より効果的に対極1自体の溶解又は析出による形状劣化を防ぐことができ、有用性が高い。
前記ITOは透明でありかつ高い導電性を示し、例えば透過型電気化学表示装置への利用が可能となること等から、対極1の構成材料として有用性が高い。
また、対極1として前記カーボンを用いる場合、樹脂を用いてインク化し、支持体3の上に印刷する方法がある。前記カーボンを使用することで、電極の低価格化を図ることができる。
支持体3としては、透明である必要は特になく、対極1や高分子電解質層4を確実に保持できる基板やフィルムなどを用いることができ、材料として、石英ガラス板、白板ガラス板などのガラス基板、ガラスエポキシ基板、セラミック基板、紙基板、及び木材基板を用いることが可能である。また、これらに限定されず、使用可能な合成樹脂基板として、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロースなどのセルロースエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン−コヘキサフルオロプロピレンなどのフッ素系ポリマー、ポリオキシメチレンなどのポリエーテル、ポリアセタール、ポリエチレンやポリプロピレンやメチルペンテンポリマーやポリスチレンなどのポリオレフィン、及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミドなどのポリイミドを例として挙げることができる。これら合成樹脂を支持体3として用いる場合には、可撓性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能であるが、容易に曲がらないような剛性基板状にすることも可能である。
各画素に形成されたTFT2は、(ここでは図示しないが)支持体3の上に設けられた配線によって選択され、対応する対極1を制御する。TFT2は画素間のクロストークを防止するのに極めて有効である。TFT2は例えば対極1の一角を占めるように形成されているが、対極1がTFT2と積層方向で重なる構造であってもよく、この場合は面積をより有効に使うことが可能となる。また、上記したように、対極1自体が溶解又は析出によって形状変化を起こすことがないので、TFT2が表面に露出することなく、対極1の薄膜化を図ることができる。さらに、TFT2を作用極5側に設けてもよい。
後述するように、配線は、各行のTFT2を選択する各ゲート線と、各列のTFT2にデータ信号を送り込む各データ線とで構成されている。各TFT2のゲート電極はゲート線に接続され、ソース又はドレイン電極の一方はデータ線に接続され、残る他方は対極1に接続される。対極1は、対向する作用極5との間にキャパシタを形成していて、作用極5が実質的な接地電位を形成する。ゲート線への信号の印加によって1つの行からTFT2が選択されONになると、ONになったTFT2を通じて各データ線から各画素に対応するキャパシタを充放電する電流が流れ、データの書き込みと消去が行われる。なお、TFT2以外の駆動素子は、平面ディスプレイに一般的に用いられているマトリクス駆動回路であり、支持体3上に形成できるものであれば何でもよく、特に限定されるものではない。
図1に示すように、高分子電解質層4は、作用極5と対極1に挟持されて保持される。高分子電解質層4は、高分子材料を母体として、少なくとも、金属イオンを含む色可変材料、溶剤、支持電解質、及びこの層を着色させる着色材料を含有する。
この電気化学表示装置では、表示情報の書き込みは、色可変材料の構成成分である金属イオンが作用極5の上で還元され、金属の微粒子が作用極5の上に析出することで行われる。この場合、素子は支持体6側から観察でき、その開口率も十分となる。逆に、表示情報の消去は、析出していた金属が酸化され、作用極5の上から溶出することによって行われる。即ち、電気化学的な析出、いわゆる電解めっきとその逆反応である溶出が可逆的に行われて、表示情報の書き込みと消去が行われる。
このような電気化学的な還元又は酸化とこれに伴う析出又は溶解とによって変色又は消色を行うことのできる前記金属イオンとしては特に限定されるものではないが、銀、ビスマス、銅、鉄、クロム、ニッケル及びカドミウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属イオンを含むことが好ましい。これらの中でも、特に銀イオンが好適であり、これは可逆的な反応を容易に進めることができ、かつ析出時の変色度が高いためである。
例えば、書き込み時には、銀イオンは、次の反応式
Ag++e-→Ag
で還元され、図2に示すように、作用極5上に銀(Ag)の微粒子からなる黒色の析出物8を形成する。消色時には、析出した銀8が逆反応で酸化され、無色の銀イオン(Ag+)に変化して再び溶解する。
ここで、本発明に基づく電気化学調光装置(特に電気化学表示装置)は、上述したように、対極1が、前記還元又は酸化時に溶解又は析出を生じない電気化学的に安定な材料からなるので、作用極5側での銀等の前記色可変材料の析出又は溶解時において、従来例のような、対極1の溶解又は析出による形状劣化を防ぐことができる。従って、画素内での表示の不均一や、高分子電解質層4と対極1との剥れ等を抑えることができ、電気化学調光装置の長寿命化を図ることができる。また、対極1の溶解又は析出が生じないので、対極1の厚みを小さくすることが可能である。
高分子電解質層4に含まれる前記支持電解質としては、リチウムイオンを含有することが好ましい。リチウムは高分子電解質層4に高い導電性を付与することができる。また、その他に、リチウム塩、例えばLiCl、LiBr、LiI、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等、カリウム塩、例えばKCl、KI、KBr等、ナトリウム塩、例えばNaCl、NaI、NaBr、或いはテトラアルキルアンモニウム、ほうフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等を含んでいても構わない。上述の4級アンモニウム塩のアルキル鎖長は不揃いでもよい。
金属イオンを含む高分子電解質層4を構成する高分子電解質に用いるマトリクス(母材)高分子材料としては、骨格ユニットがそれぞれ−(C−C−O)n−、−(C−C−N)n−、若しくは−(C−C−S)n−で表されるポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィドが挙げられる。これらを主鎖構造として、枝分があってもよい。また、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンクロライト、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリビニルブチラール等も好ましい。
前記高分子材料は、開始剤との組合せで架橋されていてもよく、架橋方法は光架橋でも熱架橋でもよい。また、前記開始剤とモノマーを含有させたものを光又は熱で重合することで前記マトリクス(母材)高分子材料とすることもできる。
高分子電解質層4を形成する際には、前記マトリクス高分子材料に所要の溶剤を加えるのが好ましい。好ましい前記溶剤としては、マトリクスポリマーが親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール及びこれらの混合物等が好ましく、疎水性の場合には、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、ニトロメタン、ピリジン、ジピリジル及びこれらの混合物が好ましい。
また、高分子電解質層4にはコントラストを向上させるために着色剤が含有される。上述のように金属イオンの発色が黒色の場合には、背景色としては白色の隠蔽性の高い材料が導入される。このような材料として、例えば、着色用の白色粒子が用いられ、着色用の白色粒子としては二酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等を使用することができる。また、着色のための色素を用いることもできる。
この着色剤を混ぜる割合としては、無機粒子による場合、約1〜20重量%が好ましく、より好ましくは約1〜10重量%であり、さらに好ましくは約5〜10重量%である。また、色素系の着色剤を混ぜる場合は10重量%でもよい。これは色素の発色効率は無機粒子に比べて遥かに高いためである。従って、電気化学的に安定した色素であれば、少ない量でもコントラストを出すことができる。通常は、色素として油溶性染料が好ましい。
また、高分子電解質層4は必要に応じて単独又は複数の添加剤を使用してもよい。前記添加剤は、前記金属イオンの析出を制御するものであり、前記添加剤の種類は目的を達成するものであればいずれも使用することができる。
さらに、高分子電解質層4がゲル化されていてもよい。前記ゲル化の方法としては、UV照射や加熱によって高分子電解質層4中の前記樹脂を硬化させる方法、物理的に流動性を低下させる方法等、一般的に用いられている手法のいずれも適用可能である。
高分子電解質層4の膜厚は、5μm〜200μmであることが好ましく、より好ましくは5μm〜150μmであり、更に好ましくは10μm〜150μmである。膜厚が薄いほうが電極間の抵抗が小さくなるので変色、消色時間の短縮や消費電力の低下につながり好ましい。しかしながら、5μm未満になると、機械的強度が低下して、ピンホールや亀裂が生じ易いので好ましくない。
この電気化学表示装置には、対極1及びTFT2を有する支持体3と、高分子電解質層4と、作用極5を有する作用極支持体6とを保持するために、図2に示すように、封着部材7が周囲に取り付けられる。この封着部材7によって、両支持体3及び6、そしてこれらの間に配設された対極1、TFT2、高分子電解質層4、及び作用極5が確実に保持される。
上述の構造によれば、本実施の形態の電気化学表示装置においては、TFT2を用いてマトリクス駆動が可能であり、高分子電解質層4に含有された金属イオンから生じる黒色の金属析出物及び背景を形成する白色の無機顔料によって、黒色濃度及びコントラストの高い表示を実現することができる。
また、対極1が、前記還元又は酸化時に溶解又は析出を生じない電気化学的に安定な材料からなるので、銀等の前記色可変材料の析出又は溶解時において、対極1の溶解又は析出による形状劣化を防ぐことができる。従って、画素内での表示の不均一や、高分子電解質層4と対極1との剥れ等を防止することができ、装置の長寿命化を図ることができる。また、対極1の溶解又は析出が生じないので、対極1の厚みを小さくすることが可能である。
第2の実施の形態
上述した第1の実施の形態による電気化学表示装置では、表示情報の書き込みは、色可変材料の構成成分である金属イオンが作用極5の上で還元され、金属の微粒子が作用極5の上に析出することで行われる。逆に、表示情報の消去は、析出していた金属が酸化され、作用極5の上から溶出することによって行われる。即ち、電気化学的な析出、いわゆる電解めっきとその逆反応である溶出が可逆的に行われて、表示情報の書き込みと消去が行われる。
例えば、前記色可変材料の構成成分である前記金属イオンとして銀を用いたとき、書き込み時には、銀イオンは、次の反応式
Ag++e-→Ag
で還元され、作用極5上に銀(Ag)の微粒子からなる黒色の析出物8を形成する。消色時には、析出した銀8が逆反応で酸化され、無色の銀イオン(Ag+)に変化して再び溶解する。
ここで、本発明に基づく電気化学調光装置(特に電気化学表示装置)を連続的に駆動させる場合、1回目に作用極5側に前記色可変材料を析出させる時、対極1側では、主として高分子電解質層4中の陰イオンの酸化反応が起こる。次に、作用極5側に析出した前記色可変材料を溶解させる時は、対極1上に前記色可変材料が還元析出する。そして、作用極5側における2回目以降の前記色可変材料の析出反応時には、対極1側では、前記陰イオンの酸化反応と同時に、対極1上に析出していた前記色可変材料の溶解反応が起こる。対極1での電荷の移動は、前記陰イオンの酸化反応のみが行われた場合と比較し、前記陰イオンの酸化反応と前記色可変材料の溶解反応とが同時に行われた場合の方が、当然効率がよい。即ち、作用極5と対極1の間に等しい電圧を印加した場合、1回目の駆動(作用極5側での前記色可変材料の析出反応)と比較して、2回目以降の駆動のほうが前記色可変材料の析出は効率良く行われ、濃く着色される。
このような、1回目と2回目以降の着色濃度の違いをなくすために、本発明の電気化学調光装置(例えば電気化学表示装置)の駆動方法は、駆動前に予め対極1側に前記色可変材料を予備析出させる。また、前記駆動を前記酸化又は還元のためのパルス電圧の繰り返しによって行い、前記予備析出を直流の還元電圧によって行うことが好ましい。なお、前記予備析出は、次段で作用極5側に析出させる際に必要とする量の前記色可変材料を、対極1に予備析出させることが好ましく、具体的には10mC/cm2程度が好ましい。
これにより、1回目の駆動と2回目以降の駆動の着色濃度はほぼ変わらず、常に安定した前記色可変材料の析出を行うことができる。
第3の実施の形態
本実施の形態は、上記した第1の実施の形態の電気化学表示装置の製造方法に関する。
図3及び図4は、電気化学表示装置としての本発明に基づく電気化学調光装置を製造する方法の一例を工程順に示す概略断面図である。
まず、図3(a)に示すように、ポリエチレンテレフタラートフィルム等からなる支持体3上に、所望の厚さをもつ対極1及びTFT(薄膜トランジスタ)2を画素毎にパターン形成し、マトリクス状に分割された対極1が1画素を構成するようにする。TFT2は公知の半導体製造技術を用いて形成することができ、各画素を独立して駆動できるように画素毎に形成する。
対極1の構成材料としては、銀等の前記色可変材料よりも還元又は酸化電位が高いものが望ましく、具体的には、白金、金、パラジウム、カーボン、ITO、SnO2及びIn23からなる群より選ばれた少なくとも1種、或いはその他の電気化学的に安定な合金等を用いることが好ましい。上記のその他の電気化学的に安定な合金としては、例えばNi−Cr系合金等を挙げることができる。これにより、前記色可変材料の析出又は溶解時において、従来例のような、対極1の溶解又は析出による形状劣化を防ぐことができる。従って、画素内での表示の不均一や、高分子電解質層4と対極1との剥れ等を防止することができ、装置の長寿命化を図ることができる。また、対極1の溶解又は析出が生じないので、対極1の厚みを小さくすることが可能である。
次に、図3(b)に示すように、高分子電解質層4を形成する。予め、ジメチルスルホキシド等の溶剤に前記色可変材料と前記支持電解質を溶解させ、これにポリエチレンオキシド等の高分子材料、白色の無機微粒子として二酸化チタン等の前記着色剤、及び架橋剤を加えて、均一に分散させる。この混合物を、対極1とTFT2を形成した支持体3の上に塗布し、高分子電解質層4を形成する。前記塗布方法としては、ドクターブレード、バーコーター、スクリーン印刷、その他の公知の方法を用いることができる。
一方、これと並行して、図3(c)に示すように、ガラス基板等の作用極支持体6上に、ITO膜などの作用極5を形成する。ITO膜は蒸着又はスパッタリングなどの方法によって形成する。作用極5形成後、ただちに作用極支持体6は、作用極5が未硬化の高分子電解質層4に密着するように支持体3に圧着され、図4(d)に示すように貼り合わされる。
この貼り合わせ後、作用極支持体6の側から紫外光を照射するか、加熱するかにより、高分子電解質層4で高分子材料間に架橋を形成させ、高分子電解質層4をゲル化する。架橋を行わない場合には、減圧乾燥させてゲル化した高分子電解質層4を支持体3と作用極支持体6の間に形成する。
そして、貼り合わせの端部に、図4(e)に示すように、封着部材7が取り付けられ、電気化学表示装置としての本発明に基づく電気化学調光装置が完成する。
本実施の形態においては、図示省略したが高分子電解質層4の調製段階で、電解質と共に金属イオンが導入される。従って、比較的に簡単な工程で、高分子電解質層4と前記色可変材料が組み合わされることになり、容易に製造することができる。
また、高分子電解質層4の作製方法として真空貼り合わせ法による例を説明したが、例えば減圧注入により作製することもできる。
第4の実施の形態
本実施の形態による電気化学調光装置は、第3の電極として、前記作用極及び前記対極とは独立した電位検知電極が形成される例である。これら電位検知電極はそれぞれ、前記作用極支持体上の前記作用極及び前記支持体上の前記対極と同一の面内に、これらの電極と電気的に絶縁された部材として配設されてなり、前記作用極及び前記対極の電位を検知するのに用いられる。
図5は、対極1側の平面図である。支持体3上には、画素毎に対極1と駆動素子としてのTFT2が形成されており、各画素はマトリクス状に配されている。対極1の電位を検知するための電位検知電極11は、各画素の間のスペースに略十字状のパターンで形成されており、その端部(図中黒丸で示す。)は厚さ約1000nmの銀又はアルミニウム電極12となっている。端部をつなぐ線の部分は幅約1μm程度の銀又はアルミニウム線状配線部13とされる。この電位検知電極11は対極1と同一の面内に電気的に絶縁された部材として形成されることから、対極1の電位を正確にモニターすることができる。したがって、対極1で生じている反応を検知できる。電位検知電極11の材質としては、高分子電解質層4中への自然溶出がない安定した金属材料を選ぶことが好ましく、銀、白金、クロム、アルミニウム、コバルト、パラジウム等を選ぶことができる。
図6は、作用極5側の平面図である。電位検知電極15は、作用極5が形成されている作用極支持体6上に、逆π字状のパターンで形成される。この電位検知電極15は、作用極5と同一の面内に電気的に絶縁された部材として形成されることから、作用極5の電位を正確にモニターすることができる。従って、作用極5で生じている反応を検知できる。電位検知電極15の材質としては、高分子電解質層4中への自然溶出がない安定した金属材料を選ぶことが好ましく、銀、白金、クロム、アルミニウム、コバルト、パラジウム等を選ぶことができる。
図7は電位検知電極11を備えた電気化学調光装置の駆動回路を示す構成図である。TFT2と対極1からなる画素がマトリクス状に配されており、支持体上には各行の画素を選択するための各ゲート線28と、各列の画素にデータ信号を送り込むための各データ線29及び29aが設けられている。各TFT2のゲート電極はゲート線28に接続され、ソース又はドレイン電極の一方はデータ線29、29aに接続され、残る他方は対極1に接続されている。対極1は、対向する作用極5との間にキャパシタ9を形成していて、作用極5が実質的な接地電位を形成する。
ゲート線28及びデータ線29と29aに対応して、それぞれ、ゲート線駆動回路24及びデータ線駆動回路23と23aが設けられており、信号制御部22からの信号によって所定のゲート線28及びデータ線29と29aが選択される。即ち、ゲート線28への信号の印加によって1つの行のTFT2が選択されONになると、ONになったTFT2を通じて各データ線29、29aから各画素のキャパシタ9を充放電する電流が流れ、データの書き込みと消去が行われる。信号制御部22には、電位検知電極11が接続されていて、電位検知電極11からの信号によって画素部分の電位をモニターすることができる。電位検知電極11を用いたモニター信号に基づいて、十分な析出や電気化学反応が行われたところでそれ以上の反応を停止させることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
実施例1
(作用極(表示電極)の作製)
厚さ0.7mm、3cm×3cmのガラス基板上に、2mm×2mmの開口部を有するマスク付きのITO膜(厚さ200nm)を公知の方法により作製した。この基板から公知の方法により駆動回路につながるリード部を形成し、次いで全体を電析槽内に設置した。
(対極の作製)
厚さ0.7mm、2cm×4cmのガラス基板上に、スパッタリングによって厚さ1μmの白金(Pt)膜を形成した。
(高分子電解質の調製)
ジメチルスルホキシド(DMSO)とγ−ブチロラクトンを6:4の割合で混合した溶媒に、前記色可変材料としてのヨウ化銀(AgI)を0.50mol/l、及び前記支持電解質としてのヨウ化リチウム(LiI)を0.75mol/l溶解させた。この電解液の質量1に対し、高分子材料である分子量20万のポリエチレンオキシドを0.2、白の着色剤である二酸化チタン(TiO2)を1.2の質量比で添加し、これを均一に分散させた。その後、ポリエチレンオキシドに対し、2質量%の割合で架橋剤を添加した。
このように作製した高分子電解質を、上記に作製した作用極上に厚さ100μmで塗布した後、直ちに、上記に作製した対極を貼り合わせ、これを100℃、10分間加熱して、ゲル化した高分子電解質層を2つの電極間に形成した。ここで、可能なら、架橋剤を加えずに重合させてもよい。次いで、貼り合わせの端面をエポキシ樹脂接着剤によって封止し、評価用セルを作製した。
実施例2
対極として白金膜に代えて、厚さ300nmの金(Au)膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にして評価用セルを作製した。
実施例3
対極として白金膜に代えて、厚さ200nmのITO膜を公知の方法により形成したこと以外は、実施例1と同様にして評価用セルを作製した。
比較例1
対極として白金膜に代えて、厚さ300nmの銀(Ag)膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にして評価用セルを作製した。
(対極の劣化評価)
上記のようにして作製した各評価用セルに対し、電圧パルス印加による書き込み、消色の繰り返し駆動を10000サイクル行った。なお、反射率が0.1以下(OD(Optical Density)=1)になった状態を黒(書き込まれた状態)とした。反射率の測定は、着色するための波形を印加した直後に、レーザー(波長670nm、パルス幅10μm、最小スポット径35×20μm)をサンプルに照射し、その反射光を光検出器で検出することによって反射率の測定を行った(以下、同様)。10000サイクル駆動した際の着色状況、及び10000サイクル駆動後の対極の状態を観察した。結果を下記表1に示す。
Figure 2005189384
上記表1より明らかなように、実施例1〜3は、対極の構成材料が、前記色可変材料としての銀よりも還元又は酸化電位が高い白金、金、ITOであったので、10000サイクルの駆動中、着色は面内でほぼ均一であった。また、10000サイクル駆動後、評価用セルを分解して対極の表面を観察したところ、図8(a)に示すように、駆動前とほとんど変化がなく、劣化が認められなかった。
これに対し、対極として銀を用いた比較例1では、5000サイクル程度駆動すると、着色画面内で着色濃度が不均一になった。また、8000サイクル程度駆動で画素のほとんどの領域で着色濃度が基準値(反射率0.1)まで下がらなくなった。さらに、8000サイクル駆動後、評価用セルを分解して対極の表面を観察したところ、図8(b)に示すように、局所的に銀が溶解して無くなり、下地(ここではガラス基板上に白金膜を下地として300nm成膜した。)の露出が確認された。
(サイクル数による着色濃度の変化)
実施例4
実施例1の評価用セルに対し、2.4V、150msec電圧を印加して対極(白金)上に銀を予備析出させた後、−2.4V、40msec電圧を印加した場合について、1〜5サイクルでの着色濃度の変化を測定した。結果を図9に示す。
比較例2
実施例1の評価用セルに対し、−2.4V、40msec電圧を印加し、前記予備析出を行わなかった場合について、1〜5サイクルでの着色濃度の変化を測定した。結果を図9に併せて示す。
なお、図9に示すように、反射率約0.45を、今回試作したサンプルで白を表示した時の反射率とした。また、反射率0.1(OD=1)以下を黒とみなした。
図9より明らかなように、比較例2は、着色前に対極側に銀を予備析出させずに、そのままパルス電圧の繰り返しによる駆動を行ったので、1サイクル目の着色では十分な着色がされず、1から5サイクルでの着色濃度も不均一となった。従って、電気化学調光装置(例えば表示装置)の駆動として不安定であった。
これに対し、実施例4は、着色前に対極側に銀を予備析出させておいたので、1サイクル目から十分に着色され、その後の5サイクルでの濃度変化も認められず、安定的に着色された。ここで、実施例4では、駆動前に2.4V、150msecの直流電圧を印加することにより、対極上に銀を予め予備析出させたが、その他の手法を用いても勿論よい。
実施例5
実施例2の評価用セルに対し、2.4V、150msec電圧を印加して対極(金)上に銀を予備析出させた後、−2.4V、40msec電圧を印加した場合について、1〜5サイクルでの着色濃度の変化を測定した。結果を図10に示す。
比較例3
実施例2の評価用セルに対し、−2.4V、40msec電圧を印加し、前記予備析出を行わなかった場合について、1〜5サイクルでの着色濃度の変化を測定した。結果を図10に併せて示す。
なお、図10に示すように、反射率約0.45を、今回試作したサンプルで白を表示した時の反射率とした。また、反射率0.1(OD=1)以下を黒とみなした。
図10より明らかなように、比較例3は、着色前に対極側に銀を予備析出させずに、そのままパルス電圧の繰り返しによる駆動を行ったので、1サイクル目の着色では十分な着色がされず、2サイクル目の着色では濃度は濃くなっているが不十分であった。着色が安定するのは3サイクル目以降であり、電気化学調光装置(例えば表示装置)の駆動として不安定であった。
これに対し、実施例5は、着色前に対極側に銀を予備析出させておいたので、1サイクル目から十分に着色され、その後の5サイクルでの濃度変化も認められず、安定的に着色された。ここで、実施例5では、駆動前に2.4V、150msecの直流電圧を印加することにより、対極上に銀を予め予備析出させたが、その他の手法を用いても勿論よい。
実施例6
実施例3の評価用セルに対し、2.4V、150msec電圧を印加して対極(ITO)上に銀を予備析出させた後、−3V、100msec電圧を印加した場合について、1〜5サイクルでの着色濃度の変化を測定した。結果を図11に示す。
比較例4
実施例3の評価用セルに対し、−3V、100msec電圧を印加し、前記予備析出を行わなかった場合について、1〜5サイクルでの着色濃度の変化を測定した。結果を図11に併せて示す。
なお、図11に示すように、反射率約0.45を、今回試作したサンプルで白を表示した時の反射率とした。また、反射率0.1(OD=1)以下を黒とみなした。
図11より明らかなように、比較例4は、着色前に対極側に銀を予備析出させずに、そのままパルス電圧の繰り返しによる駆動を行ったので、1サイクル目の着色では十分な着色がされず、2サイクル目の着色では濃度は濃くなっているが不十分であった。着色が安定するのは3サイクル目以降であり、電気化学調光装置(例えば表示装置)の駆動として不安定であった。
これに対し、実施例6は、着色前に対極側に銀を予備析出させておいたので、1サイクル目から十分に着色され、その後の5サイクルでの濃度変化も認められず、安定的に着色された。ここで、実施例6では、駆動前に2.4V、150msecの直流電圧を印加することにより、対極上に銀を予め予備析出させたが、その他の手法を用いても勿論よい。
以上、本発明を実施の形態及び実施例について説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基づき種々に変形が可能である。
例えば、各電極を含むセル構成部分の材質、形状等を種々変更してよい。前記色可変材料は、金属イオンに限ることなく、他の公知の材料を使用することができ、析出物や色可変材料の色も黒以外であってよい。
また、本発明に基づく電気化学調光装置は、電気化学表示装置として構成されるのは勿論のこと、反射又は透過光量の調光機能を生かして、光シャッターや光通信機器等に応用可能である。電気化学表示装置は、表示領域が単一のものでも複数の画素領域に分割されたものでもよく、表示する情報が文字や記号であっても画像であってもよい。また、表示の各画素をセルとして分割したものであってもよい。
本発明の実施の形態における、本発明に基づく電気化学調光装置の部分斜視図である。 同、本発明に基づく電気化学調光装置の概略断面図である。 同、電気化学調光装置の製造方法の一例の概略断面図である。 同、電気化学調光装置の製造方法の一例の概略断面図である。 同、本発明に基づく電気化学調光装置の対極側の平面図である。 同、本発明に基づく電気化学調光装置の作用極側の平面図である。 同、本発明に基づく電気化学調光装置の回路図である。 本発明の実施例における、前記色可変材料の析出、溶出の繰り返し駆動後の、対極の状態を比較して示すスケッチである。 同、1〜5サイクルによる反射率の変化を比較して示すグラフである。 同、1〜5サイクルによる反射率の変化を比較して示すグラフである。 同、1〜5サイクルによる反射率の変化を比較して示すグラフである。
符号の説明
1…対極、2…TFT、3…支持体、4…高分子電解質層、5…作用極、
6…作用極支持体、7…封着部材、8…金属析出物、11、15…電位検知電極、
12…銀又はアルミニウム電極、13…銀又はアルミニウム線状配線部、
22…信号制御部、23、23a…データ線駆動回路、24…ゲート線駆動回路、
28…ゲート線、29、29a…データ線

Claims (5)

  1. 電気化学的な還元又は酸化及びこれに伴う析出又は溶解によって変色又は消色する色可変材料と、電解質と、高分子化合物とを含有する高分子電解質層が、作用極と対極との間に挟持されている電気化学調光装置において、前記対極が、前記還元又は酸化時に溶解又は析出を生じない電気化学的に安定な材料からなることを特徴とする、電気化学調光装置。
  2. 前記対極の構成材料が、前記色可変材料よりも還元又は酸化電位が高い、請求項1に記載した電気化学調光装置。
  3. 前記対極が白金、金、パラジウム、カーボン、ITO(インジウム酸化物にスズをドープした導電性酸化物:Indium Tin Oxide)、SnO2及びIn23からなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項1に記載した電気化学調光装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載した電気化学調光装置の駆動方法であって、駆動前に予め前記対極側に前記色可変材料を予備析出させることを特徴とする、電気化学調光装置の駆動方法。
  5. 前記駆動を前記酸化又は還元のためのパルス電圧の繰り返しによって行い、前記予備析出を直流の還元電圧によって行う、請求項4に記載した電気化学調光装置の駆動方法。
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