JP2004294931A - 電気化学的調光装置及びその製造方法 - Google Patents

電気化学的調光装置及びその製造方法 Download PDF

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Kumiko Arai
久美子 新井
Takahiro Kamei
隆広 亀井
Mieko Kuwabara
美詠子 桑原
Kenji Shinozaki
研二 篠崎
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Abstract

【課題】電解質層の白色化によるコントラストや隠蔽力の向上と、良好な電気化学的な特性の維持との2つの要求に共に応える電解質層を有する電気化学的調光装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】透明支持体3の上に、透明共通電極1を形成し、これに対向して、支持体6の上に金属膜等からなる画素電極5と薄膜トランジスタ2とをマトリクス状に形成し、更に、これらの対向電極間に挟持される電解質層を、積層された2つの電解質層で構成する。第1の電解質層4Aには、無機白色顔料を効果的に集中させることにより、電解質層の白色化によるコントラストの向上を実現しながら、電解質層全体としては無機顔料を減量すると共に、第2の電解質層4Bは、電解質及びイオン伝導媒質の含有量を高め、イオン伝導性を増し、金属イオンなどによる電気化学的な析出及び消去の反応特性を向上させる。この電気化学的調光装置は、電気化学表示装置に好適である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学的な酸化還元反応によって画像情報の表示を行う電気化学表示装置等として好適な電気化学的調光装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ネットワークの普及につれ、これまで印刷物の形状で配布されていた文書類が、いわゆる電子書類として配信されるようになってきた。さらに、書籍や雑誌なども、いわゆる電子出版の形で提供される場合が多くなりつつある。
【0003】
これらの情報を閲覧するために一般に行われているのは、コンピュータのCRT(Cathode Ray Tube)または液晶ディスプレイの画面に表示させて読むことである。しかし、これらのディスプレイを見る作業は、人間工学的理由から、生理的に読む人に疲労を生じさせやすく、長時間の読書には適さないことが指摘されている。また、利用できる場所がコンピュータの設置場所に限られるという難点もある。
【0004】
最近、小型コンピュータの普及に伴って携帯型のディスプレイが開発されている。これを用いれば、利用場所の問題は多少緩和されるが、内蔵電池の容量と消費電力との関係で、数時間以上継続して利用することはできない。また、ディスプレイが発光型であると、長時間の作業に適さないことに変わりはない。
【0005】
また、近年、反射型の液晶ディスプレイも開発されている。これを用いれば、発光型ディスプレイに起因する上記の難点が生じることはなく、しかも、低消費電力で長時間駆動が可能になると予想される。しかし、無表示(白色表示)状態における反射率は30%にすぎないので、紙上に印刷された物に比べて著しく視認性が悪い。このため、読む人に疲労を生じさせやすく、長時間の利用に適さない。
【0006】
これらの問題点を解決するために、最近、いわゆるペーパーライクディスプレイ、あるいは電子ペーパーと呼ばれるものが開発されつつある。これらは、例えば、電気泳動法により着色粒子を電極間で移動させるか、或いは二色性を有する粒子を電場で回転させることなどで発色させている。しかしこれらの方法では、粒子間の隙間が光を吸収してコントラストが悪くなること、また駆動する電圧を100V以上にしなければ、実用上の書き込み速度(1秒以内)が得られないこと等の難点がある。
【0007】
これらに対して、電気化学的な作用による変色で情報を表示する電気化学表示装置(ECD:Electric Chromic Display、又はEDD:Electro−Deposition Device)は、コントラストの高さという点で電気泳動方式などより優れており、すでに調光ガラスや時計用ディスプレイに実用化されている。しかし、調光ガラスや時計用ディスプレイに用いられる電気化学表示装置にはマトリクス駆動の機能が無く、そのままでは電子ペーパーのディスプレイ等の用途には適用できない。また、一般的に黒色の品位が悪く、反射率が低いものにとどまっている。特公平4−73764号公報には、マトリクス駆動装置が開示されているが、電気化学表示装置についての具体的な記述はない。
【0008】
また、調光ガラスや時計用ディスプレイに実用化されているような電気化学表示装置では、黒色の部分を形成するために、有機材料が使用されている。有機材料は耐光性に乏しいため、電子ペーパーのディスプレイのように、太陽光や室内光などの光に晒され続ける用途に用いると、長時間使用した場合には退色して黒色濃度が低下するという問題点が生ずる。
【0009】
本出願人は、このような技術的な課題を解決するものとして電気化学表示装置を提起した(後述の特許文献1参照。以下、特許文献1に係わる発明を先願発明と呼ぶ。)。図8は、先願発明に基づく電気化学表示装置の概略斜視図であり、図9は、その概略断面図である。
【0010】
図8および図9に示すように、この電気化学表示装置では、一方の基板である透明支持体53の上に、第1の透明電極がマトリクス状に分割されて形成され、分離された各透明画素電極51が1画素を構成するようになっている。薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)52は、各画素を独立して駆動できるように各画素ごとに設けられる。第1の透明電極と対向する側には、対向基板である支持体56の上に金属膜などの電気の良導体からなる共通電極55が、第2の電極として設けられている。また、全周が樹脂部57で封着されている。
【0011】
また、高分子固体電解質層54は、透明画素電極51と共通電極55との間に挟持されて保持される。高分子固体電解質層54は、単一層からなっていて、高分子材料を母体とし、金属イオンを含む変色材料、イオン伝導媒質、及びこの層を着色させる着色材料を含有しており、更に、支持電解質を含有するのがよい。
【0012】
この電気化学表示装置は、マトリクス駆動が可能であって、着色材料によって高分子固体電解質層を白く着色させることにより、コントラストの高い表示を行うことができる。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−258327号公報(第7−12頁、図3、4及び8−1
2)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先願発明に係わる電気化学表示装置は、上記の優れた利点を有しているが、次に述べるように、なお改善すべき点が存在することが明らかになった。
【0015】
上記のように高分子固体電解質層を白色に着色させる目的は、表示画像のコントラストを高め、また、表示画像の背後にある第2の電極などを観察者側から見えないように隠蔽すること等により、鮮明な表示を実現することである。
【0016】
高分子固体電解質層を白色に着色させる最も単純な方法は、電解質層の材料として白色の高分子材料を用いることである。しかし、電解質層の構成材料として用いることができ、且つ光反射率が大きくて純度の高い白色を有する高分子材料を見つけ出すことは難しい。そこで、白色の高分子材料を用いるかわりに、高分子固体電解質中に白色の微粒子を分散させたものを用いている。この場合、純度の高い白色を有していて隠蔽力の大きい着色材料として、酸化チタン(IV)や酸化アルミニウムなどの無機材料を利用することができる。
【0017】
白色化によるコントラストと隠蔽性の向上という目的を達成するためには、着色材料の混合割合をある量以上に高める必要がある。一方、着色材料の混合割合を大きくすると、次のような問題が生じる。即ち、酸化チタン(IV)などの無機材料と有機高分子材料との化学的な親和性は小さいから、無機微粒子は有機高分子の間にできた隙間に分散しているにすぎない。従って、無機微粒子の混合割合が大きすぎると、無機微粒子同士で凝集してしまい、光学濃度が不均一になってむらを生じる。また、無機微粒子にはイオン導電性がないため、混合割合の増加は、高分子固体電解質層の導電性の低下を招く。つまり、電気化学的な特性を低下させないためには、無機微粒子の混合割合は少ないほどよい。
【0018】
以上のように、高分子固体電解質層のコントラストや隠蔽力を向上させることと、電気化学的な特性を維持することとの2つの課題は、無機微粒子の混合割合に関して相反する要求をもっており、これらを両立させることは難しい。
【0019】
本発明の目的は、上記のような事情に鑑み、電解質層の白色化等の着色によるコントラストや隠蔽力の向上と、良好な電気化学的な特性の維持との2つの要求を両立させ得る電解質層を有する電気化学的調光装置及びその製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、互いに対向した第1及び第2の電極の間に駆動電圧を印加する手段と、前記第1及び第2の電極の間に挟持された複数の電解質層とを有し、前記第1の電極に接して設けられ、電気化学的な酸化還元反応によって変色
する変色材料と、イオン伝導媒質と、着色材料とを含む第1の電解質層と、
前記第2の電極に接して設けられ、電気化学的な酸化還元反応によって変色
する変色材料と、イオン伝導媒質とを含む第2の電解質層と
が互いに対接又は対向している電気化学的調光装置(電気化学表示装置等;以下、同様。)に係わり、また、その電気化学的調光装置の製造方法であって、前記第1の電解質層を形成した後に前記第2の電解質層を形成する、電気化学的調光装置の製造方法に係わるものである。
【0021】
本発明の電気化学的調光装置によれば、電解質層を前記複数の電解質層で構成し、前記第1の電解質層は前記着色材料を含むが、前記第2の電解質層は前記着色材料を含まなくてもよい(即ち、前記着色材料を含まないか、或いは含んでいても前記第1の電解質層よりも少ない。以下、同様。)ので、前記第1の電解質層に前記着色材料を集中させることにより前記着色材料の効果を効率よく発揮させ、前記電解質層全体としては前記着色材料の含有量の減量を可能とする一方、前記第2の電解質層は、前記着色材料を含まなくてよい分だけ、電解質及びイオン伝導媒質の含有量を高めることができ、イオン伝導性を増し、金属イオンなどによる電気化学的な反応特性を向上させることができる。
【0022】
また、前記第1及び第2の電解質層に、それぞれ、前記着色材料の効果の発現及び電気化学的な特性の向上の役割を分担させることができるため、それぞれの層は、別個に、その役割に最適化した組成や膜厚をとることができる。
【0023】
また、前記第1及び第2の電解質層は、それぞれ前記第1及び第2の電極に接触しているので、電極上の物質に強い影響を与え、また、電極における電気化学的な作用を有効に受けることができる位置に配置されているので、その機能が効果的に発揮される。
【0024】
これによって、均質な単一の電解質層では困難であった、電解質層の着色によるコントラスト及び隠蔽力の向上と、良好な電気化学的な特性の維持という、2つの相反する課題を同時に解決することができる。
【0025】
また、本発明の電気化学表示装置の製造方法によれば、前記着色材料を含み、均一な成膜が難しい前記第1の電解質層を先に形成するので、電極形成面等のように凹凸のある面にも、容易に電解質層を形成することができる。そして、前記第2の電解質層は、前記第1の電解質層上に形成するので、前記第1の電解質層の平坦面上に容易にかつ均質に形成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明において、前記第1の電極が、前記変色を生じさせる作用電極であり、これが透明電極、具体的には、酸化スズ(IV)Sn0、酸化インジウム(III)In、或いはこれらの混合物を主成分とする電極であるのがよい。前記第2の電極は、金属電極であってよく、不透明又は透明でもよい。
【0027】
また、前記第2の電解質層が前記着色材料を含んでいないか、又は、前記第2の電解質層における前記着色材料の混合割合が、前記第1の電解質層における前記着色材料の混合割合より小さいのがよい。
【0028】
また、前記第1及び第2の電解質層がそれぞれ、高分子材料を含む高分子固体電解質層であるのがよい。前記第1及び第2の電解質層、特に第2の電解質層は液体状も可能であるが、着色材料の分散性を向上させたり、前記第1及び第2の電極との密着性を高めるには、現在のところ、固体状の方が望ましい。
【0029】
また、前記変色材料と、前記高分子材料又はその構成成分と、前記イオン伝導媒質と、前記着色材料とを含む第1の混合物中で、前記高分子材料間の架橋又は前記構成成分間の重合によって、前記第1の電解質層を形成するのがよい。また、前記変色材料と、前記高分子材料又はその構成成分と、前記イオン伝導媒質と、必要あれば前記着色材料とを含む第2の混合物中で、前記高分子材料間の架橋又は前記構成成分間の重合によって、前記第2の電解質層を形成するのがよい。
【0030】
このようにすると、前記第1又は第2の電解質層を構成する前記第1又は第2の混合物において前記高分子材料間が架橋された構造又はその構成成分の重合体が形成されるので、前記第1又は第2の電解質層の形態を安定化することができる。この結果、これらの電解質層と前記第1及び/又は第2の電極との密着性が高まると共に、前記第1及び/又は第2の電解質層等の支持体(通常は、前記第1及び第2の基体)を薄型化若しくは省略でき、ひいては電気化学的調光装置全体を薄型化及び軽量化することができる。
【0031】
上記の高分子材料間は、少なくとも変色材料、イオン伝導媒質、及び支持電解質と混合された状態において、添加された重合開始剤との反応により架橋されるのもよい。架橋方法は、光照射による架橋でも熱励起による架橋でもよい。また、高分子材料間を架橋するかわりに、高分子のモノマーまたはオリゴマーを原料として用い、少なくとも変色材料、イオン伝導媒質、及び支持電解質と混合された状態においてこれを重合させ、高分子を形成してもよい。いずれにしても、電解質層を構成する混合物中に架橋された高分子の網目構造が形成されるので、高分子電解質層の形態が安定化される。前記光照射は、前記第1又は第2の基体を透明にしておけば、この透明基体側から容易に行える。
【0032】
そして、第1の基体上に前記第1の電極を形成する工程と、第2の基体上に前記第2の電極を形成する工程と、前記第1の混合物を調製する工程と、この第1の混合物を前記第1の電極が形成された前記第1の基体上に塗布する工程と、この塗布された前記第1の混合物の前記架橋又は重合を行う工程と、スペーサを介して前記第1の基体と前記第2の基体とを貼り合わせて第2の電解質層を含まない空セルを作製する工程と、前記空セル内に前記第2の電解質層又は前記第2の混合物を真空注入法により導入するのがよい。この真空注入後、前記第2の混合物を架橋又は重合させるのがよい。
【0033】
この場合、前記第2の混合物を架橋又は重合した後に、前記第1及び第2の基体の端面間を封止材で封止するのがよい。
【0034】
本発明において、前記着色材料が無機顔料、有機顔料又は色素であるのがよい。具体的には、前記第1の電解質層が、二酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムの各粉末からなる群から選ばれた少なくとも1種の無機顔料によって白色に着色されるのがよい。これによって、金属の析出物の黒色がきわだち、コントラストの高い表示が可能になる。
【0035】
また、前記駆動電圧の印加がTFT等の能動素子によって制御されるのがよい。また、前記第1又は第2の電極の少なくとも一方が複数に分割され、これらの分割電極に前記駆動電圧が印加されることによって画像表示が行われるように構成されているのがよい。これによって、前記能動素子によって、より効果的に前記駆動電圧を制御できるとともに、前記第1及び/又は第2の電極が複数に分割され各画素を形成している場合には、画素間のクロストークを防止することができ、解像度の高い画像表示装置を構成することができる。
【0036】
また、前記変色材料が、ビスマス、銅、銀、鉄、クロム、ニッケル及びカドミウムの各金属イオンからなる群から選ばれた少なくとも1種であるのがよい。とりわけ銀イオンとビスマスイオンがよい。
【0037】
例えば、前記変色材料が銀イオンAg である場合、書き込み時には、銀イオンAg は、次の反応式
Ag + e → Ag
で還元され、前記第1の透明電極上に銀Agの微粒子からなる黒色の析出物を形成する。消去時には、析出していた銀Agが逆反応で酸化され、無色の銀イオンAgに変化して再び溶解する。銀が好適である理由は、上記の可逆的な反応を容易に進めることができ、且つ析出時の変色度が高いことである。
【0038】
また、前記複数の層からなる電解質層の少なくとも1層に、そのイオン伝導性を高める支持電解質、具体的には、金属塩又はアルキルアンモニウム塩が含まれているのがよい。
【0039】
また、前記高分子材料が、骨格構造が−(−C−C−O−)−、−(−C−C−N−)−、若しくは−(−C−C−S−)−であらわされるポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンイミン、若しくはポリエチレンスルフィドのいずれかであるか、或いはこれらの骨格構造を主鎖構造として枝分かれを有する高分子材料であるか、或いはポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、及びポリカーボネートのいずれかであるか、又はこれらの混合物ないし積層物であるのがよい。
【0040】
また、前記イオン伝導媒質が、水、エタノール(エチルアルコール)、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、プロピレンカルボナート、ジメチルカルボナート、エチレンカルボナート、ブチロラクトン、アセトニトリル、スルホラン、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、及びジメチルスルホキシドからなる群から選ばれた少なくとも1種であるのがよい。
【0041】
また、前記第1の電極および前記第2の電極とは別に、前記駆動電圧を検知するための第3の電極を有するのがよい。この場合、前記第3の電極が、前記第1の電極又は前記第2の電極と同一の面内にこれらの電極とは電気的に絶縁された部材として配設されているのがよい。
【0042】
また、前記第1の電解質層と前記第2の電極の間に、イオンを導入及び放出できる材料層、又は電気化学的な酸化還元反応を生じさせる材料層が配設されているのがよい。この材料層はカーボンを含むのがよい。
【0043】
また、前記金属イオンが電析される際の成長阻害剤が、前記高分子固体電解質層に含まれていてもよい。この成長阻害剤は、酸素原子または硫黄原子を有する基を備えているのがよい。
【0044】
また、前記金属イオンが析出する際に前記第1の透明電極および前記第2の電極の何れででも起こりうる副反応を抑制するための還元剤または酸化剤が、前記高分子固体電解質層に含まれていてもよい。
【0045】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的に説明する。
【0046】
実施の形態1
図1は、本実施形態に基づく2層構造の電解質層を有する電気化学表示装置の概略斜視図であり、図2は、その概略断面図である。
【0047】
図1に示すように、この電気化学表示装置では、一方の基板である透明支持体3の上に、第1の電極である透明共通電極1が形成されている。そして、透明共通電極1と対向する側には、対向基板である支持体6の上に第2の電極として、金属膜などの電気の良導体からなる画素電極5が、マトリクス状に分割されて設けられ、分離された各画素電極5が1画素を構成するようになっている。薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film transistor)2は、各画素を独立して駆動できるように各画素ごとに設けられる。また、電解質層4は、積層された2つの電解質層からなり、透明共通電極1と画素電極5に挟持されて保持される。
【0048】
第1の電解質層である着色材料入りの高分子固体電解質層4Aは、変色材料、高分子材料、イオン伝導媒質、及びこの層を白色に着色させる着色材料を含有し、更に、支持電解質を含有するのがよい。着色材料入りの高分子固体電解質層4Aには、白色化と隠蔽を満足する十分な量の白色の無機顔料が含まれ、白色化に寄与する。
【0049】
一方、第2の電解質層である無着色の高分子固体電解質層4Bは、変色材料、高分子材料、及びイオン伝導媒質を含有し、更に、支持電解質を含有するのがよい。この電解質層4Bには白色の無機顔料は含まれないが、着色材料入りの高分子固体電解質層4Aだけでは白色化が不足している場合には、電解質層4Bに白色無機顔料を含有させることもできる。但し、その量は白色層4Aよりも少ないものとする。無着色の電解質層4Bは、白色の無機顔料が含まれないか、或いは含まれても少ないため、変色材料や支持電解質やイオン伝導媒質を多く含むことになり、イオン導電性等の電気化学的な特性に優れている。更に、構成材料から高分子材料を除き、電気化学的な特性を更に向上させることもできる。
【0050】
着色材料入りの高分子固体電解質層4Aは、第1の電極である透明共通電極1に接して形成され、無着色の電解質層4Bが第2の電極である画素電極5に接して形成されるのがよい。この電気化学表示装置では、観察者は、透明共通電極1の側からこの表示装置に対面して、透明共通電極1(作用電極)の上に形成される、例えば黒色の金属析出物8を画像情報として観察することができる。
【0051】
従って、着色材料入りの高分子固体電解質層4Aを透明共通電極1に接して設ければ、この白色層4Aが黒色の金属析出物8に隣接してその背景を形成するので、効果的に表示画像のコントラストを高めることができる。一方、イオン導電性等の電気化学的な特性に優れている無着色の電解質層4Bが、もう1つの電極である画素電極5に接して形成されていることも、電気化学的な特性を高く保つ上で重要である。
【0052】
このように、電解質層を2層に分け、透明共通電極1(作用電極)に接して設けられる層4Aに無機白色顔料を集中させてその効果を高めることによって、電解質層全体としては無機白色顔料の含有量の減量を可能とし、もう一方の層4Bの電解質及びイオン伝導媒質の含有量を高め、イオン伝導性を増し、当該高分子固体電解質層が含有する金属イオンなどによる電気化学的な析出及び消去の反応特性を向上させることができる。
【0053】
着色材料入りの高分子固体電解質層4Aを画素電極5側に設ける構成は、電気化学的には問題はないが、白色層4Aが透明共通電極1(作用電極)の上の表示画像(金属析出物8)から離れた位置に配置され、画像のコントラストを高める効果が小さくなるので、最適ではない。
【0054】
着色材料入りの高分子固体電解質層4Aの膜厚は、10μm〜100μmが好ましく、より好ましくは10μm〜50μmである。この膜厚は、薄い方が電解液がよく浸透するため、発色・消色時間の低減や消費電力の低下につながり、好ましい。しかし、10μm未満になると、機械的強度が低下して、ピンホールや亀裂が生じやすい。また、あまり薄い場合には、白色粒子の混合量が少なくなるため、白色性(光学濃度)および隠蔽力が十分でなくなることがある。
【0055】
着色材料入りの高分子固体電解質層4Aに無機白色顔料を混ぜる割合としては、10〜80質量%が好ましく、より好ましくは20〜70質量%である。白色化によるコントラストと隠蔽性の向上という目的を達成するためには、着色材料の混合割合をある量以上、好ましくは30質量%以上とするのがよい。一方、酸化チタン(IV)などの無機材料と有機高分子との化学的な親和性は小さいから、無機微粒子は有機高分子の間にできた隙間に分散しているにすぎないので、無機微粒子の混合割合が大きすぎると、無機微粒子同士で凝集してしまい、光学濃度が不均一になってむらを生じやすい。また、無機微粒子にはイオン伝導性がないため、混合割合の増加は、電解質層4Aの導電性の低下を招く。両者を考慮すると、混合割合の上限は、具体的には、およそ70質量%である。
【0056】
高分子固体電解質層4Bの膜厚は、10μm〜100μmが好ましく、さらに好ましくは10μm〜50μmである。この膜厚は、薄い方が透明共通電極1−−画素電極5間の抵抗が小さくなるので、発色・消色時間の低減や消費電力の低下につながり、好ましい。しかし、10μm未満になると、機械的強度が低下して、ピンホールや亀裂が生じやすくなる。
【0057】
上記のように、着色材料入りの高分子固体電解質層4Aおよび無着色の高分子固体電解質層4Bの層の厚さや組成を、それぞれの目的に最適化して独立に選ぶことができるのも、多層化した効果である。なお、電解質層4Bに着色材料を入れる場合、その混入量は、0〜50質量%としてよく、0〜40質量%とするのが好ましく、また電解質層4A中の着色材料よりも30〜70質量%少なくするのがよい。
【0058】
透明支持体3としては、石英ガラス基板、白板ガラス基板などの透明ガラス基板を用いることが可能であるが、これに限定されず、透明な樹脂基板を用いることもできる。例えば、ポリエチレンナフタラートやポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロースなどのセルロースエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン−コヘキサフルオロプロピレンなどのフッ素系ポリマー、ポリオキシメチレンなどのポリエーテル、ポリアセタール、ポリエチレンやポリプロピレンやメチルペンテンポリマーやポリスチレンなどのポリオレフィン、及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミドなどのポリイミド等である。これら合成樹脂を透明支持体3として用いる場合には、容易に曲がらない剛性基板にすることも可能であるが、可とう性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能である。
【0059】
透明共通電極1は、透明支持体3の上に形成された透明導電性膜からなる。透明導電性膜としては、酸化インジウムInと酸化スズSn0との混合物、いわゆるITO(Indium Tin Oxide)膜や酸化スズSn0又は酸化インジウムInをコーティングした膜を用いることが好ましい。これらITO膜や酸化スズSn0又は酸化インジウムInをコーティングした膜にスズSnやアンチモンSbをドーピングしたものでもよく、酸化マグネシウムMgOや酸化亜鉛ZnOなどを用いることも可能である。
【0060】
図1に示すように、高分子固体電解質層4A及び4Bは、透明共通電極1と画素電極5に挟持されて保持される。高分子固体電解質層4A及び4Bは、高分子材料を母体として、少なくとも、金属イオンを含む変色材料、イオン伝導媒質、及び支持電解質を含有させ、更に、高分子固体電解質層4Aにはこの層を着色させる着色材料を含有させる。
【0061】
この電気化学表示装置では、表示情報の書き込みは、変色材料の構成成分である金属イオンが透明共通電極1の上で還元され、金属の微粒子が透明共通電極1の上に析出することで行われる。逆に、表示情報の消去は、析出していた金属が酸化され、透明共通電極1の上から溶出することによって行われる。即ち、電気化学的な析出、いわゆる電解めっきとその逆反応である溶出が可逆的に行われて、表示情報の書き込みと消去が行われる。
【0062】
このような電気化学的な析出と溶出によって発色と消色とを行うことのできる金属イオンとして、特に限定されるものではないが、銀、ビスマス、銅、鉄、クロム、ニッケル、及びカドミウムの各イオン又はそれらの組み合わせを例示することができる。また、特に好ましい金属イオンは、銀イオンとビスマスイオンである。銀イオンとビスマスイオンが好適である理由は、可逆的な反応を容易に進めることができ、且つ析出時の変色度が高いことである。
【0063】
例えば、変色材料が銀イオンAgを含む場合、書き込み時には、銀イオンAgは、次の反応式
Ag + e → Ag
で還元され、透明共通電極1の上に銀Agの微粒子からなる黒色の析出物を形成する。消去時には、析出していた銀Agが逆反応で酸化され、無色の銀イオンAgに変化して再び溶解する。
【0064】
高分子固体電解質層4A及び4Bの母材である高分子材料としては、骨格構造が−(−C−C−O−)−、−(−C−C−N−)−、若しくは−(−C−C−S−)−であらわされるポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミン、若しくはポリエチレンスルフィドのいずれかが挙げられる。或いは、これらの骨格構造を主鎖構造として、枝分かれを有する高分子材料であってもよい。或いはポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンクロリド、及びポリカーボネートなども好ましい。又は、これらの混合物ないし積層物であってもよい。
【0065】
高分子材料間は、少なくとも変色材料、イオン伝導媒質、及び支持電解質と混合された状態において、添加された重合開始剤との反応により架橋されていてもよい。架橋方法は、紫外線等の光照射による架橋でも熱励起による架橋でもよい。また、高分子材料間を架橋するかわりに、高分子のモノマーまたはオリゴマーを原料として用い、少なくとも変色材料、イオン伝導媒質、及び支持電解質と混合された状態において重合させ、高分子を形成してもよい。いずれにしても、電解質層を構成する混合物中に、架橋された高分子の網目構造が形成されるので、高分子電解質層の形態が安定化される。
【0066】
高分子固体電解質層4A及び4Bに含有させる好ましいイオン伝導媒質としては、マトリクスポリマーが親水性の場合には、水、エタノール(エチルアルコール)、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、又はこれらの混合物等が好ましく、疎水性の場合には、プロピレンカルボナート、ジメチルカルボナート、エチレンカルボナート、ブチロラクトン、アセトニトリル、スルホラン、ジメトキシエタン、エタノール(エチルアルコール)、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、又はこれらの混合物が好ましい。
【0067】
高分子固体電解質層4A及び4Bに含有させる好ましい支持電解質としては、リチウム塩、例えば塩化リチウムLiCl、臭化リチウムLiBr、ヨウ化リチウムLiI、テトラフルオロホウ酸リチウムLiBF、過塩素酸リチウムLiClO、ヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF、トリフルオロメチル亜硫酸リチウムLiCFSOなどや、カリウム塩、例えば塩化カリウムKCl、臭化カリウムKBr、ヨウ化カリウムKIなどや、ナトリウム塩、例えば塩化ナトリウムNaCl、臭化ナトリウムNaBr、ヨウ化ナトリウムNaI、或いはテトラアルキルアンモニウム塩、例えば、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムN(CLiBF、過塩素酸テトラエチルアンモニウムN(CClO、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムN(CBF、過塩素酸テトラブチルアンモニウムN(CClO、及びテトラブチルアンモニウムハライドなどを挙げることができる。上述の4級アンモニウム塩のアルキル鎖長は不揃いでもよい。
【0068】
高分子固体電解質層4A及び4B、特に4Aには、コントラストを向上させるために着色材料が含有されるのが好ましい。着色材料は、無機顔料もしくは有機顔料または色素である。例えば、変色材料が銀イオンAgを含み、書き込み時に銀Agの黒色の析出物が形成される場合には、背景色としては白色の隠蔽性の高い材料がよい。このような材料として、例えば、二酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウム等の白色の無機微粒子を使用することができる。
【0069】
着色材料が色素である場合、着色材料を混ぜる割合は10質量%以下でよい。これは、色素の着色効率が無機微粒子に比べて高いためである。従って、電気化学的に安定した色素であれば、少ない量でもコントラストを出すことができる。通常は、色素として油溶性染料が好ましい。
【0070】
また、高分子固体電解質層4A及び4Bには、必要に応じて単独または複数の添加剤を添加してもよい。この添加剤の目的は、上述したような白色の無機微粒子の分散安定化以外にも、金属イオンの析出を制御するものなどがあり、添加剤の種類は目的を達成するものであれば何れでも使用することができる。
【0071】
図1に示すように、透明共通電極1と対向する側には、支持体6の上に金属膜などの電気の良導体からなる薄膜が形成され、第2の電極である画素電極5を構成する。この画素電極5は、略矩形若しくは正方形パターン等に分割されたマトリクス状の独立パターンに形成するのがよい。(第2の電極をストライプ状に形成してもよいが、この場合には、第1の電極である透明電極もストライプ状に形成して第2の電極と直交させ、2つのストライプの交差部を画素とする)。前述したように、各画素電極5の間は分離されており、その一部には各画素ごとにTFT2が配設されている。画素電極5の材料は、電気化学的に安定な金属であれば何れでもよいが、好ましいのは銀、白金、クロム、アルミニウム、コバルト、及びパラジウムなどである。
【0072】
各画素ごとに形成されたTFT2は、(ここでは図示しないが)支持体6の上に設けられた配線によって選択され、対応する画素電極5を制御する。TFT2は画素間のクロストークを防止するのに極めて有効である。TFT2は例えば画素電極5の一角を占めるように隣接して形成されるが、画素電極5がTFT2と重なる構造であってもよい。
【0073】
後述する実施の形態2で図7を用いて示すように、配線は、各行のTFT2を選択する各ワード線と、各列のTFT2にデータ信号を送り込む各データ線とで構成されている。各TFT2のワード電極はワード線に接続され、ソース又はドレイン電極の一方はデータ線に接続され、残る他方は画素電極5に接続される。画素電極5は、対向する透明共通電極1との間に電解質層4を挟んでキャパシタを形成していて、透明共通電極1が実質的な接地電位を形成する。ワード線への信号の印加によって1つの行のTFT2が選択されてONになると、ONになったTFT2を通じて各データ線から各画素に対応するキャパシタを充放電する電流が流れ、データの書き込みと消去が行われる。なお、TFT2以外の駆動素子は、平面型ディスプレイに一般的に用いられているマトリクス駆動回路であり、支持体6の上に形成できるものであれば何でもよく、特に限定されるものではない。
【0074】
支持体6としては、透明である必要はなく、画素電極5や高分子固体電解質層4Bを確実に保持できる基板やフィルムなどを用いることができ、材料として、石英ガラス板、白板ガラス板などのガラス基板、ガラスエポキシ基板、セラミック基板、紙基板、及び木材基板を用いることが可能である。また、これらに限定されず、使用可能な合成樹脂基板として、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロースなどのセルロースエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン−コヘキサフルオロプロピレンなどのフッ素系ポリマー、ポリオキシメチレンなどのポリエーテル、ポリアセタール、ポリエチレンやポリプロピレンやメチルペンテンポリマーやポリスチレンなどのポリオレフィン、及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミドなどのポリイミドを例として挙げることができる。これら合成樹脂を支持体として用いる場合には、可とう性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能であるが、容易に曲がらないような剛性基板にすることも可能である。
【0075】
図2に示すように、透明共通電極1と画素電極5とを対向させて保持するために、両支持体3及び6を保持する封着樹脂部7が周囲に形成される。この封着樹脂部7によって、両支持体3及び6、そしてこれらの間に配設された透明共通電極1、高分子固体電解質層4A及び4B、画素電極5及びTFT2が確実に保持される。
【0076】
図3及び図4は、本実施の形態の電気化学表示装置の作製工程を示す概略断面図である。
【0077】
まず、図3の(a)に示すように、第1の基体であるガラス基板などの透明支持体3の上に、ITO膜などの透明共通電極1を形成する。ITO膜は、蒸着又はスパッタリングなどの方法によって形成する。
【0078】
次に、着色材料入りの高分子固体電解質層4Aを形成する。あらかじめ、ジメチルスルホキシド等のイオン伝導媒質に塩化銀等の変色材料とヨウ化リチウム等の支持電解質を溶解させ、これにポリエーテル樹脂等の高分子材料、白色の無機微粒子として酸化チタン等の着色材料、及び架橋剤を加えて、均一に分散させる。この混合物34Aを、図3の(b)に示すように、透明共通電極1を形成した透明支持体3の上に塗布する。このとき、混合物34Aを塗布する方法は、ドクターブレード、バーコーター、スクリーン印刷、その他の公知の方法を用いることができる。
【0079】
次に、図3の(c)に示すように、混合物34Aの周囲に枠41を置き、混合物34Aに剥離性PET(ポリエチレンテレフタラート)基板42をかぶせて透明支持体3との間に挟み、恒温槽中にて90℃で5分間加熱して硬化させ、着色材料入りの高分子固体電解質層4Aを形成する。
【0080】
次に、図3の(d)に示すように、枠41と剥離性PET基板42を剥がし、透明共通電極1を有する透明支持体3の上に形成された着色材料入りの高分子固体電解質層4Aを取り出し、上下の向きを逆にする。
【0081】
次に、図3の(e)に示すように、上記の着色材料入りの高分子固体電解質層4Aが形成された透明支持体3の上に、スペーサ9(例えば、両面テープでよい。)を貼り付ける。
【0082】
一方、これと並行して、第2の基体であるポリエチレンテレフタラートフィルム等からなる支持体6の上に、所望の厚さをもつ銀膜等からなる画素電極5と薄膜トランジスタTFT2とを形成する。画素電極5は、蒸着又はスパッタリングなどの方法によってマトリクス状に分割された形状に形成し、分割された画素電極5が1画素を構成するようにする。TFT2は、公知の半導体製造技術を用いて、各画素を独立して駆動できるように画素ごとに形成する。
【0083】
画素電極5とTFT2とを形成した後、スペーサ9と支持体6を貼り合わせ、全体を一体化して、図4の(f)に示したす空セルを作製する。
【0084】
次に、図4の(g)に示すように、真空注入法により、図示しない空セルの開口部から無着色の電解質層4Bとなる材料混合物を空セル内に注入した後、セルを恒温槽中にて90℃で10分間加熱して混合物を硬化させ、無着色の電解質層4Bを形成する。
【0085】
電解質層を形成する他の方法の1つに、真空貼り合せ法がある。即ち、着色材料入りの高分子固体電解質層4Aの上に、無着色の電解質層の材料混合物を塗布し、電極5を減圧下で貼り合わせることによりセルを作製することができる。
【0086】
真空下で注入や塗布を行うメリットは、形成される電解質層に気泡が残らず、また表示ムラが生じにくいこと等である。一方、真空下での工程を行うと、溶媒の一部が若干蒸発し、電解質層の組成が変化することがある。この組成の変化は、予め溶媒を蒸発量の分だけ多めに入れておくことで対応できる。
【0087】
真空注入法は、装置を組み上げてから材料を注入するので、操作が簡便になるメリットがある。それに対して、真空貼り合せ法には、溶媒の蒸発が真空注入法より少なくてすみ、また、真空注入法より大型化が可能で量産時のアウトプットが大きいというメリットがある。更に、第1の電解層を形成後、第2の電解層を作製する場合には、貼り合せ法の方が注入法より、第2の電解層を作る際に、第2の電解層の電解液が第1の電解層によく浸透する傾向がみうけられる。
【0088】
次に、図4(h)に示すように、開口部及び貼り合わせ端面を接着剤8で封止し、2層構造の電解質層4A及び4Bを有する2層式のサンプルセルの作製を完了する。
【0089】
本実施の形態においては、高分子固体電解質層4A及び4Bの材料の調製段階で、変色材料である金属イオンと支持電解質とイオン伝導媒体が高分子材料間に導入される。従って、比較的簡単な工程で、変色材料が高分子固体電解質層4A及び4Bに混合されることになり、製造も容易である。
【0090】
上述の構造を有する電気化学表示要素を複数個、面状に配列して、電気化学表示装置を製造することができる。
【0091】
実施の形態2
本実施形態の電気化学表示装置は、図5又は図6に示すように、第3の電極として、第1の透明電極1及び第2の電極(画素電極)5とは独立した電位検知電極11及び15が設けられた例である。これら電位検知電極11及び15は、それぞれ、透明支持体3の上の透明共通電極1及び支持体6の上の画素電極5と同一の面内に、これらの電極と電気的に絶縁された部材として配設されており、透明共通電極1及び画素電極5の電位を検知するのに用いられる。
【0092】
図5は第2の電極(画素電極)5の側の平面図である。支持体6の上には、画素毎に画素電極5と駆動素子であるTFT2が形成されており、各画素はマトリクス状に配置されている。画素電極5の電位を検知するための電位検知電極11は、画素電極5とは電気的に絶縁された状態で、各画素の間のスペースに略十字状のパターンで形成されており、その端部(図中に黒丸で示す。)は厚さ約1000nmの銀又はアルミニウム電極12となっている。端部をつなぐ線の部分は幅約1μm程度の銀又はアルミニウム線状配線部13である。この電位検知電極11は、画素電極5と同一の面内に電気的に絶縁された部材として形成されることから、画素電極5の電位を正確にモニターすることができ、これによって、画素電極5での反応の進み具合を検知できる。電位検知電極11の材質としては、高分子固体電解質層4中への自然溶出がない安定した金属材料を選ぶことが好ましく、第2の電極と同様な白金、クロム、アルミニウム、コバルト、パラジウム、及び銀などを選ぶことができる。
【0093】
図6は第1の電極側の平面図である。電位検知電極15は、透明共通電極1が形成されている透明支持体3上に、逆πの字形のパターンで形成される。電位検知電極15は、透明共通電極1と同一の面内に電気的に絶縁された部材として形成されることから、透明共通電極1の電位を正確にモニターすることができ、これによって、透明共通電極1での反応の進み具合を検知できる。電位検知電極15の材質としては、高分子固体電解質層4中への自然溶出がない安定した金属材料を選ぶことが好ましく、第2の電極と同様な白金、クロム、アルミニウム、コバルト、パラジウム、銀などを選ぶことができる。また、電位検知電極15は透明共通電極1と同一の面内に同一の材料で形成できるため、電位検知電極15と透明共通電極1とは同時にパターンニングして形成すればよい。
【0094】
図7は、電位検知電極11を備えた電気化学表示装置の駆動回路を示す構成図である。画素電極5とTFT2からなる各画素がマトリクス状に配置されており、支持体6の上には、各行の画素を選択するための各ワード線28と、各列の画素にデータ信号を送り込むための各データ線29及び29aが設けられている。
各TFT2のゲート電極はワード線に接続され、ソース又はドレイン電極の一方はデータ線に接続され、残る他方は画素電極5に接続される。画素電極5は、対向する透明共通電極1との間に電解質層に相当するキャパシタ10を形成していて、透明共通電極1が実質的な接地電位を形成する。
【0095】
ワード線28とデータ線29及び29aに対応して、それぞれ、ワード線駆動回路24とデータ線駆動回路23及び23aが設けられており、信号制御部22からの信号によって所定のワード線28とデータ線29及び29aが選択される。即ち、ワード線への信号の印加によって1つの行のTFT2が選択されてONになると、ONになったTFT2を通じて各データ線から各画素のキャパシタ10を充放電する電流が流れ、データの書き込みと消去が行われる。信号制御部22には、電位検知電極11が接続されていて、電位検知電極11からの信号によって画素部分の電位をモニターすることができる。電位検知電極11を用いたモニター信号に基づいて、十分な析出や電気化学反応が行われたところでそれ以上の反応を停止させることができる。
【0096】
【実施例】
以下、発色材料としてヨウ化銀AgIを、イオン伝導媒質としてジメチルスルホキシドを、着色材料として白色顔料である酸化チタン(IV)を、高分子材料としてポリエーテル樹脂を、支持電解質としてヨウ化ナトリウムNaIをそれぞれ用いた好ましい実施例によって、本発明に基づく電気化学表示装置及びその製造方法を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0097】
実施例1
(白色の電解質層の構成材料の調製)
イオン伝導媒質であるジメチルスルホキシドと高分子材料であるポリエーテル樹脂液とを、5:1の質量比で混合した。これに、着色材料として白色顔料である酸化チタン(IV)(チタン工業(株)製 JR−805)を、樹脂液に対して6倍の質量比で加え、ホモジナイザー及び自転・公転方式ミキサーで均一に分散させた。これに重合開始剤として有機過酸化物(日本油脂(株)製 パーヘキシルND)を樹脂液の2質量%の質量比で添加し、自転・公転方式ミキサーで撹拌して白色の電解質層の構成材料を調製した。
【0098】
(白色の電解質層(I)の形成)
白色の電解質層の構成材料をITO電極を設けたガラス基板に塗布したのち、剥離性PET(ポリエチレンテレフタラート)をかぶせてガラス基板との間に挟み、恒温槽中にて90℃で5分間加熱して硬化させた。次に、剥離性PETを剥がし、ITO電極上に形成された白色化された電解質層(I)(厚さ40μm)を得た。
【0099】
(空セルの作製)
白色化された電解質層(I)を形成したITO電極付きのガラス基板と、銀電極を形成したガラスエポキシ基板とを、厚さ80μmの両面テープ(テサテープ(株)製 tesa4980)によって貼り合わせて空セルを作成した。この両面テープは2枚の基板間のスペーサを兼ねた。
【0100】
(電解液Aの調製)
ジメチルスルホキシド(DMSO)とブチロラクトン(γ−BL)を体積比6:4で混合した混合溶媒に、下記の濃度になるように下記の成分を溶解した。
ヨウ化銀:500mmol/l
ヨウ化ナトリウム:750mmol/l
トリエタノールアミン:67mmol/l
クマリン:5g/l
2−メルカプトベンズイミダゾール:5g/l
【0101】
(無着色の電解質層(I)の材料の調製)
先に調製した電解液Aと高分子材料であるポリエーテル樹脂液とを、5:1の質量比で混合した。これに重合開始剤として有機過酸化物(日本油脂(株)製 パーヘキシルND)を樹脂液の2質量%の質量比で添加し、自転・公転方式ミキサーで撹拌して無着色の電解質層(I)の構成材料を調製した。
【0102】
(無着色の電解質層(I)の形成)
真空注入法により、空セルの開口部から無着色の電解質層の上記の構成材料を空セルに注入した後、セルを恒温槽中にて90℃で10分間加熱し、無着色の電解質層(I)を硬化させた。次に、開口部及び貼り合わせ端面を接着剤で封止し、2層式のサンプルセルを作製した。
【0103】
実施例2
実施例1で白色の電解質層(I)のイオン伝導媒質として用いたジメチルスルホキシドの代りに、上記の電解液Aを用いて白色の電解質層(II)を形成し、実施例1と同様にして、2層式のサンプルセルを作製した。但し、電解質層(I)の厚さは50μmであった。また、白色の電解質層(I)が剥離性PET基板に付着してしまうため、電解質層(I)の形成に際して剥離性PET基板の代りに、ガラス基板を用いた。
【0104】
実施例3
実施例1の無着色の電解質層(I)の代わりに、この無着色の電解質層の形成に用いた電解液Aを、高分子材料を加えず液体のままで無着色電解質層(II)として用いた以外は、実施例1と同様にして、2層式のサンプルセルを作製した。
【0105】
実施例4
実施例1で無着色の電解質層(I)の形成に用いた構成材料に、着色材料として白色顔料である酸化チタン(IV)(チタン工業(株)製 JR−805)を、ポリエーテル樹脂液に対して2倍の質量比で加えたものを材料として第2の電解層を形成し、第2の電解層にも着色材料を加えた以外は、実施例1と同様にして、2層式のサンプルセルを作製した。
【0106】
比較例1
白色の電解質層(I)を形成せず、他は実施例1と同様にして作製した空セルに、実施例2で用いた白色の電解質層(II)の構成材料を注入して、単層のセルを作製した。
【0107】
(各セルの性能の評価)
上記のようにして作製した各セルにつき、書き込み電圧−2.0V、消去電圧+3.2V、書き込み期間100msec、消去期間100msecの条件下で書き込み時間を測定し、応答性を評価した。書き込み時間は、水平に置いたセルの垂直上方から波長670nmのレーザー光を照射し、入射光から30°傾いた斜め上方で受光した反射光の強度を光学濃度に換算したとき、光学濃度が1.0になるまでに要する時間とした。作製した2層式のセル及び単層のセルの評価結果を表1に示す。表1の書き込み時間は、書き込みと消去のサイクルを2回、50回、75回、及び100回繰り返した時点での値である。
【0108】
【表1】
Figure 2004294931
【0109】
この結果から、実施例1、2及び4と比較例1は、100cycle又はそれ以降も良好なサイクル特性を示した。実施例3のみが、50cycle以降、応答を示さなくなった。これは、実施例3のセルの無着色の電解質層(II)が液体であるため、白色の電解質層(I)とITO電極との密着性が悪くなり、特性が低下したものと思われる。従って、結合剤を加えて電解質層(I)とITO電極との密着性を改善すれば、特性の低下が起こらないように対応可能である。
【0110】
また、実施例1、2及び4の2層式のセルと、比較例1の単層のセルとを比べてみると、2層式のセルの方が単層のセルより、書き込み時間が短く、電気化学的特性が向上したことが明らかである。
【0111】
また、2層式のセルでは、サイクルを重ねても書き込み時間がほぼ一定であるのに対し、単層のセルでは、徐々に遅くなる傾向があった。このように、2層式のセルは、単層のセルよりも、サイクル特性が良好であった。
【0112】
このように、本発明に基づく2層式の電気化学表示装置は、電解質層を2層に分け、一方の層に白色無機微粒子を集中させることにより、コントラストを高く保ちつつ、単層のセルに比べて書き込み速度が速くなるなど、電気化学的特性の向上を可能にすることができる。
【0113】
以上に説明した本発明の実施の形態及び実施例は、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0114】
例えば、各電極を含むセル構成部分の材質、形状等を種々変更してよい。変色材料は、金属イオンに限ることなく、他の公知の材料を使用することができ、析出物や変色物の色も黒色以外であってよい。また、着色材料の色も白色以外であってもよい。また、上記した第1の電解質層と第2の電解質層とは、互いに対接し合っているのがよいが、電気化学的特性を向上させるための第3の層、例えばイオン放出性又は導入性のある材料層や別の着色層などが間に介在した状態で、互いに対向していてもよい。
【0115】
なお、本発明に係わる電気化学的調光装置は、電気化学表示装置としてばかりでなく、反射又は透過光量の調節等の調光機能を生かして、光シャッターや光通信機器等に応用可能である。電気化学表示装置は、表示領域が単一のものでも複数の画素領域に分割されたものでもよく、表示する情報が文字や記号であっても画像であってもよい。また、表示色も、モノカラー、マルチカラー及びフルカラーのいずれでもよく、例えば、トリオ画素の各画素をセルとして分離したものであってもよい。
【0116】
【発明の作用効果】
本発明の電気化学的調光装置によれば、電解質層を複数の電解質層で構成し、前記第1の電解質層は前記着色材料を含むが、前記第2の電解質層は前記着色材料を含まなくてもよいので、第1の電解質層に着色材料を集中させることにより着色材料の効果を効率よく発揮させ、電解質層全体としては着色材料の含有量の減量を可能とする一方、第2の電解質層は、前記着色材料を含まなくてよい分だけ、電解質及びイオン伝導媒質の含有量を高めることができ、イオン伝導性を増し、金属イオンなどによる電気化学的な反応特性を向上させることができる。
【0117】
また、第1及び第2の電解質層に、それぞれ、着色材料の効果の発現及び電気化学的な特性の向上の役割を分担させることができるため、それぞれの層は、別個に、その役割に最適化した組成や膜厚をとることができる。
【0118】
また、第1及び第2の電解質層は、それぞれ第1及び第2の電極に接触しているので、電極上の物質に強い影響を与え、また、電極における電気化学的な作用を有効に受けることができる位置に配置されているので、その機能が効果的に発揮される。
【0119】
これによって、均質な単一の電解質層では困難であった、電解質層の着色によるコントラスト及び隠蔽力の向上と、良好な電気化学的な特性の維持という、2つの相反する課題を同時に解決することができる。
【0120】
また、本発明の電気化学表示装置の製造方法によれば、着色材料を含み、均一な成膜が難しい第1の電解質層を先に形成するので、電極形成面等のように凹凸のある面にも、容易に電解質層を形成することができる。そして、第2の電解質層は、第1の電解質層上に形成するので、第1の電解質層の平坦面上に容易にかつ均質に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に基づく、電気化学表示装置の概略斜視図である。
【図2】同、電気化学表示装置の概略断面図である。
【図3】同、電気化学表示装置の作製工程を示す概略断面図である。
【図4】同、電気化学表示装置の作製工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施形態2に基づく電気化学表示装置の透明共通電極側の構造を示す概略平面図である。
【図6】同、電気化学表示装置の共通電極側の構造を示す概略平面図である。
【図7】同、電気化学表示装置の等価回路図である。
【図8】先願発明に基づく、電気化学表示装置の概略斜視図である。
【図9】同、電気化学表示装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1…透明共通電極、2…TFT、3…透明支持体、
4A…着色材料入りの高分子固体電解質層、
4B…無着色の高分子固体電解質層、5…画素電極、6…支持体、
7…封着樹脂部、8…黒色の金属析出物、9…スペーサ、10…キャパシタ、
11…電位検知電極、12…銀又はアルミニウム電極、
13…銀又はアルミニウム線状配線部、15…電位検知電極、
22…信号制御部、23、23a…データ線駆動回路、
24…ワード線駆動回路、28…ワード線、29、29a…データ線、
34A…着色材料入りの高分子固体電解質層の材料混合物、41…枠、
42…剥離性PET基板、51…透明画素電極、52…TFT、
53…透明支持体、54…高分子固体電解質、55…共通電極、
56…支持体、57…封着樹脂部、58…黒色の金属析出物

Claims (33)

  1. 互いに対向した第1及び第2の電極の間に駆動電圧を印加する手段と、前記第1及び第2の電極の間に挟持された複数の電解質層とを有し、前記第1の電極に接して設けられ、電気化学的な酸化還元反応によって変色する変色材料と、イオン伝導媒質と、着色材料とを含む第1の電解質層と、
    前記第2の電極に接して設けられ、電気化学的な酸化還元反応によって変色する変色材料と、イオン伝導媒質とを含む第2の電解質層とが互いに対接又は対向している、電気化学的調光装置。
  2. 前記第1の電極が、前記変色を生じさせる作用電極である、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  3. 前記第1の電極が透明電極である、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  4. 前記第1の電極は、酸化スズ(IV)Sn0、酸化インジウム(III)In、或いはこれらの混合物を主成分とする、請求項3に記載した電気化学的調光装置。
  5. 前記第2の電解質層が前記着色材料を含んでいない、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  6. 前記第2の電解質層における前記着色材料の混合割合が、前記第1の電解質層における前記着色材料の混合割合より小さい、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  7. 前記第1の電解質層が、高分子材料を含む高分子固体電解質層である、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  8. 前記第2の電解質層が、高分子材料を含む高分子固体電解質層である、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  9. 前記着色材料が、無機顔料、有機顔料又は色素である、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  10. 前記着色材料によって前記第1の電解質層が白色に着色される、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  11. 前記着色材料は、二酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムの各粉末からなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項10に記載した電気化学的調光装置。
  12. 前記駆動電圧の印加が能動素子によって制御される、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  13. 前記第1の電極又は第2の電極の少なくとも一方が複数に分割され、これらの分割電極に前記駆動電圧が印加されることによって画像表示が行われるように構成されている、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  14. 前記変色材料が、ビスマス、銅、銀、鉄、クロム、ニッケル及びカドミウムの各イオンからなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  15. 前記複数の電解質層の少なくとも1層に、そのイオン伝導性を高める支持電解質が含まれる、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  16. 前記支持電解質が、金属塩若しくはアルキルアンモニウム塩を含む、請求項15に記載した電気化学的調光装置。
  17. 前記高分子材料が、骨格構造が−(−C−C−O−)−、−(−C−C−N−)−、若しくは−(−C−C−S−)−であらわされるポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンイミン、若しくはポリエチレンスルフィドのいずれかであるか、或いはこれらの骨格構造を主鎖構造として枝分かれを有する高分子材料であるか、或いはポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、及びポリカーボネートのいずれかであるか、又はこれらの混合物ないし積層物である、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  18. 前記イオン伝導媒質が、水、エタノール(エチルアルコール)、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、プロピレンカルボナート、ジメチルカルボナート、エチレンカルボナート、ブチロラクトン、アセトニトリル、スルホラン、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドからなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  19. 前記第2の電極が金属薄膜である、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  20. 前記第1の電極および前記第2の電極とは別に、前記駆動電圧を検知するための第3の電極を有する、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  21. 前記第3の電極が、前記第1の電極又は前記第2の電極と同一の面内にこれらの電極とは電気的に絶縁されて配設されている、請求項20に記載した電気化学的調光装置。
  22. 前記第1の電解質層と前記第2の電極の間に、イオンを導入及び放出できる材料層、又は電気化学的な酸化還元反応を生じさせる材料層が配設されている、請求項1に記載した電気化学的調光装置。
  23. 互いに対向した第1及び第2の電極の間に駆動電圧を印加する手段と、前記第1及び第2の電極の間に挟持された複数の電解質層とを有し、
    前記第1の電極に接して設けられ、電気化学的な酸化還元反応によって変色
    する変色材料と、イオン伝導媒質と、着色材料とを含む第1の電解質層と、
    前記第2の電極に接して設けられ、電気化学的な酸化還元反応によって変色
    する変色材料と、イオン伝導媒質とを含む第2の電解質層とが互いに対接又は対向している、電気化学的調光装置の製造方法であって、前記第1の電解質層を形成した後に前記第2の電解質層を形成する、電気化学的調光装置の製造方法。
  24. 前記第1の電解質層を、高分子材料を含む高分子固体電解質層とする、請求項23に記載した電気化学的調光装置の製造方法。
  25. 前記第2の電解質層を、高分子材料を含む高分子固体電解質層とする、請求項23に記載した電気化学的調光装置の製造方法。
  26. 前記変色材料と、前記高分子材料又はその構成成分と、前記イオン伝導媒質と、前記着色材料とを含む第1の混合物中で、前記高分子材料間の架橋又は前記構成成分間の重合によって、前記第1の電解質層を形成する、請求項24に記載した電気化学的調光装置の製造方法。
  27. 前記変色材料と、前記高分子材料又はその構成成分と、前記イオン伝導媒質とを含む第2の混合物中で、前記高分子材料間の架橋又は前記構成成分間の重合によって、前記第2の電解質層を形成する、請求項25に記載した電気化学的調光装置の製造方法。
  28. 前記構成成分は、前記高分子材料のモノマー又はオリゴマーである、請求項26又は27に記載した電気化学的調光装置の製造方法。
  29. 前記架橋又は重合を前記第1の混合物又は前記第2の混合物への加熱又は光の照射によって行う、請求項26又は27に記載した電気化学的調光装置の製造方法。
  30. 第1の基体上に前記第1の電極を形成する工程と、第2の基体上に前記第2の電極を形成する工程と、前記第1の混合物を調製する工程と、この第1の混合物を前記第1の電極が形成された前記第1の基体上に塗布する工程と、この塗布された前記第1の混合物の前記架橋又は重合を行う工程と、スペーサを介して前記第1の基体と前記第2の基体とを貼り合わせて第2の電解質層を含まない空セルを作製する工程と、前記空セルに前記第2の電解質層又は前記第2の混合物を導入する、請求項26又は27に記載した電気化学的調光装置の製造方法。
  31. 前記第2の混合物を真空注入法によって導入した後、前記架橋又は重合を行う、請求項30に記載した電気化学的調光装置の製造方法。
  32. 前記第2の混合物の前記架橋又は重合を行った後に、前記第1及び第2の基体の端面間を封止材で封止する、請求項30に記載した電気化学的調光装置の製造方法。
  33. 請求項2〜6及び9〜22のいずれか1項に記載した電気化学的調光装置を製造する、請求項23に記載した電気化学的調光装置の製造方法。
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