JP2007248961A - 表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な部材構成で、低電圧で駆動可能で、表示コントラストが高い表示素子であり、白表示反射率が十分高く、繰り返し駆動での白地汚れの発生が少ない表示素子を提供する。
【解決手段】対向電極間に、銀、または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質4と、多孔質白色散乱層3とを有し、銀の溶解析出を生じさせるように対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該多孔質白色散乱層3が、表面が少なくともシリカ及びアルミナにより表面処理された酸化チタン粒子3A,3Bにより形成されていることを特徴とする表示素子。
【選択図】図2

Description

本発明は、銀の溶解析出を利用した電気化学的な表示素子に関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また近年では、有機ELディスプレイ等の発光型が主として用いられているが、特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたってこの閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は必ずしも人間に優しい手段とは言い難く、一般に発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間読むと消費電力が嵩む等が知られている。
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない(メモリー性)反射型ディスプレイが知られているが、下記の理由で十分な性能を有しているとは言い難い。
すなわち、反射型液晶等の偏光板を用いる方式は、反射率が約40%と低く白表示に難があり、また構成部材の作製に用いる製法の多くは簡便とは言い難い。また、ポリマー分散型液晶は高い電圧を必要とし、また有機物同士の屈折率差を利用しているため、得られる画像のコントラストが十分でない。また、ポリマーネットワーク型液晶は表示電圧が高いことと、メモリー性を向上させるために複雑なTFT回路が必要である等の課題を抱えている。また、電気泳動法による表示素子は、10V以上の高い電圧が必要となり、電気泳動性粒子凝集による耐久性に懸念がある。また、エレクトロクロミック表示素子は、3V以下の低電圧で駆動が可能であるが、黒色またはカラー色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、グリーン、レッド等)の色品質が十分でなく、メモリー性を確保するため表示セルに蒸着膜等の複雑な膜構成が必要などの懸念点がある。
これら上述の各方式の欠点を解消する表示方式として、金属または金属塩の溶解析出を利用するエレクトロデポジション(以下EDと略す)方式が知られている。ED方式は、3V以下の低電圧で駆動が可能で、簡便なセル構成、黒と白のコントラストや黒品質に優れる等の利点があり、様々な方法が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
本発明者らは、表示素子の構成において、多孔質白色散乱層を導入することにより、白反射率を向上させることができることを見出し、白色顔料を溶媒に分散させて塗布する方法により多孔質白色散乱層を設けようとした。しかしながら、有機溶媒の使用は廃棄溶媒などの点で環境上望ましくない。溶剤を水にした場合には、環境上の問題はほとんど生じないが、酸化チタンを分散した時に、高粘度のスラリー状になってしまい、塗布後の多孔質白色散乱層の表面に凹凸が生じたり、多孔質白色散乱層に亀裂が生じたりする。このような欠陥は、表示素子の白色ムラの原因となるばかりではなく、繰り返し駆動時の浮遊銀の発生につながるという課題が明らかになった。
浮遊銀発生のメカニズムは詳細に解明されてはいないが、酸化チタン粒子の偏りによる電界の乱れや、多孔質白色散乱層の孔サイズのムラによる電解質の浸透度合いの違いによる局所的な反応性の差などによると考えられる。
米国特許第4,240,716号明細書 特許第3428603号公報 特開2003−241227号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、簡便な部材構成で、低電圧で駆動可能で、表示コントラストが高い表示素子であり、白表示反射率が十分高く、繰り返し駆動での浮遊銀による白地汚れの発生が少ない表示素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.対向電極間に、銀、または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質と、多孔質白色散乱層とを有し、銀の溶解析出を生じさせるように対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該多孔質白色散乱層が、表面が少なくともシリカ及びアルミナにより表面処理された酸化チタン粒子により形成されていることを特徴とする表示素子。
2.前記酸化チタン粒子が、まず高密度シリカ層でコーティングされ、その上にアルミナ層が形成されていることを特徴とする前記1に記載の表示素子。
3.前記酸化チタン粒子の酸化チタン含有比率(質量比)が85%以上95%以下であることを特徴とする前記1または2に記載の表示素子。
4.前記多孔質白色散乱層の厚みが、5μm〜50μmであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
5.前記多孔質白色散乱層が、少なくとも前記酸化チタン粒子を分散溶媒中に分散した分散液を、所定の基板上に付与し、乾燥させることで得られることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
6.前記分散溶媒が、親水性溶媒と水を混合した溶媒であることを特徴とする前記5に記載の表示素子。
7.前記親水性溶媒が、全分散溶媒量の10質量%〜50質量%含まれることを特徴とする前記6記載の表示素子。
8.前記酸化チタンの粒径分布が、少なくとも0.1〜0.4μmに極大値を有することを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の表示素子。
9.前記酸化チタンの粒径分布の極大が少なくとも2つあり、その一つが0.1〜0.4μmであることを特徴とする前記8に記載の表示素子。
本発明により、簡便な部材構成で、低電圧で駆動可能で、表示コントラストが高い表示素子であり、白表示反射率が十分高く、白地汚れの発生が少ない表示素子を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、対向電極間に、銀、または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質と、多孔質白色散乱層とを有し、銀の溶解析出を生じさせるように対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該多孔質白色散乱層が、表面がシリカ及びアルミナにより表面処理された酸化チタン粒子により形成されていることを特徴とする表示素子により、簡便な部材構成で、低電圧で駆動可能で、表示コントラストが高い表示素子であり、白表示反射率が十分高く、繰り返し駆動においても浮遊銀による白地汚れの発生が少ない表示素子を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の表示素子の詳細について説明する。
本発明の表示素子は、対向電極間に、銀、または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質層を有し、銀の溶解析出を生じさせるように対向電極の駆動操作を行う電解析出方式の表示素子である。
〔セルの基本構成〕
図1は、本発明の表示素子の基本的な構成を示す概略断面図である。
図1において、本発明の表示素子は、対向電極1の上に多孔質白色散乱層3を設け、対向電極2との間に電解質4を保持し、電源Vから電極1、2に電圧または電流を印加することにより、電解質4中に含まれる銀の溶解反応または析出反応を生じさせ、銀を含む化合物の光の透過/吸収という光学的特性の違いを利用して表示状態を変更する表示素子である。対向電極1、2の何れかを実質的に透明な電極とすることで、透明電極側からの閲覧が可能となる。
図2は、酸化チタン粒子より構成された多孔質白色散乱層を有する表示素子の一例を示す概略断面図である。
図2の(a)は表示素子の断面図で、対向電極1、2間に電解質4を有し、対向電極の一つである透明電極1上に、酸化チタン粒子からなる多孔質白色散乱層3が構成されており、図2(b)では画像を表示する銀粒子5が析出したり、溶解されたりする。
図2は、透明電極1上に酸化チタン粒子からなる多孔質白色散乱層を形成したものを示したが、本発明においては電極2上に多孔質白色散乱層を形成したものであってもよい。
〔多孔質白色散乱層〕
本発明における多孔質白色散乱層とは、実質的に白色を呈する層であり、層構造中に、電解質液が浸透することのできる孔を多数保有する層である。
本発明における多孔質白色散乱層は、表面が少なくともシリカ及びアルミナにより表面処理された酸化チタン粒子により形成されている。
また、より好ましくは、まず高密度シリカ層でコーティングされ、その上にアルミナ層が形成されている酸化チタン粒子により形成されている。
さらに、酸化チタン粒子の酸化チタン含有比率(質量比)が85%以上95%以下であることが好ましい。
酸化チタン粒子の各種表面処理については、例えば、「酸化チタン 物性と応用技術」(清野学著、技報堂出版発行、1991年)第2章などにその例が示されているが、本発明の酸化チタンの表面処理も、一般的な方法に準じて行うことができる。
酸化チタン粒子中の酸化チタン含有比率は、JIS K5116−1995の6.4項に示されている方法を用いて測定する。
本発明の多孔質白色散乱層は、厚みが5μm〜50μmであることが好ましく、更に10〜40μmであることがより好ましい。
このような多孔質白色散乱層は、少なくとも前記酸化チタン粒子を分散溶媒中に分散した分散液を所定の基板上に塗布、乾燥させることで得ることが効果的である。
所定の基板へ分散液を付与する方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができ、例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
本発明に係る基板上に付与した酸化チタン粒子分散液の乾燥は、溶媒を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、蒸発は減圧下で行ってもよい。
本発明においては、酸化チタン粒子を分散する分散溶媒は、親水性溶媒と水との混和物が好ましい。
酸化チタン粒子を分散するには、有機溶媒を用いることもできるが、分散液の調製、所定の基板への付与、乾燥の工程において、多量の有機溶媒を排出することになり、環境問題の点で、好ましくない。また、有機溶媒は一般的に揮発性が高いため、保存により分散液中の酸化チタン含有比率が上昇してしまい、多孔質白色散乱層の性能に影響を及ぼす可能性が高い。
このような点からは、分散溶媒として水を用いることが好ましいが、水に酸化チタン粒子を分散させた場合、分散液の粘度が高くなってしまい、所定の基板への分散液の塗布が不可能になってしまう。特に、本発明の多孔質白色散乱層に求められる5〜50μmの厚みを得るためには、酸化チタン粒子の量は、全分散液の20〜50質量%の範囲とすることが好ましいため、この粘度上昇は特に顕著に現れる。
本発明者らは、分散溶媒として親水性溶媒を併用することで、所定の基板への分散液の付与に好適な範囲まで酸化チタン粒子分散液の粘度を効果的に下げることができることを見出した。
ここで、親水性溶媒とは、水に10%以上溶解することができる溶媒を意味する。更には、沸点が70℃以上のものが好適である。沸点が低すぎる親水性溶媒は、揮発性が高く、分散液の保存性を低下させてしまう。
このような親水性溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
これら親水性溶媒は、全溶媒量の10質量%〜50質量%含まれることが好ましい。
本発明の酸化チタン粒子分散液においては、電解質に実質的に溶解しない水溶性高分子を塗布用バインダーとして用いることができる。
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、重量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
本発明に係る電解質溶媒に実質的に溶解しない水溶性高分子としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル器変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、ゼラチン及びゼラチン誘導体、または、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体を好ましく用いることができる。
このような水溶性高分子は、酸化チタン粒子同士を結着させる一方で、量が多すぎると多孔質白色散乱層の孔を塞いでしまうため、酸化チタン粒子に対し、0.1質量%〜5質量%の範囲で用いることが好ましい。
また、本発明の表示素子では、上記説明した酸化チタン粒子分散液を塗布乾燥中または乾燥後に、硬膜剤により水溶性高分子の硬化反応を行うことができる。
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。水溶性高分子としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
これらの硬膜剤は、水溶性高分子1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
本発明の多孔質白色散乱層に用いられる酸化チタン粒子は、粒径分布が、少なくとも0.1〜0.4μmに極大値を有することが好ましく、更には酸化チタンの粒径分布の極大が少なくとも2つあり、その一つが0.1〜0.4μmであることが好ましい。
酸化チタン粒子の粒径分布及び粒径の極大値の測定は、例えば、「酸化チタン 物性と応用技術」(清野学著、技報堂出版発行、1991年)の5.5.1章(p82−86)に記載の方法を用いることができる。具体的には、測定対象の2種以上の微粒子混合物を、微粒子不溶性の溶媒中に分散させた後、例えば、レーザー散乱式粒径分布測定器(例えば、SALD2200(島津製作所製)やマルバーン社製ゼータサイザー1000等)などを用いて測定しても良いし、あるいは微粒子混合物を直接、透過型電子顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡で観察し、得られた粒子画像から、画像処理ソフトにプラネトロン社製Image−Proを用い、300個の粒子画像を処理して粒径を求め統計処理を行って求める方法等を用いることができる。
(電解質)
本発明に係る電解質には、特開2005−266652号公報に記載されている一般式(1)から(7)で示されるような化合物を添加することができる。具体的には、特開2005−266652号公報の段落番号〔0036〕から同〔0078〕に記載されているような化合物である。特に好ましいのは、一般式(2)および一般式(6)の化合物である。更に、一般式(2)の場合には、トリアゾール環を有するものがより好ましい。また、一般式(6)の場合には、S原子と直接結合している元素が炭素であることがより好ましい。
本発明に係る電解質には、銀、または銀を化学構造中に含む化合物を含有する。本発明に係る銀または銀を化学構造中に含む化合物とは、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
本発明の表示素子においては、ヨウ化銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、硫化銀、クエン酸銀、酢酸銀、ベヘン酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、メルカプト類との銀塩、イミノジ酢酸類との銀錯体、等の公知の銀塩化合物を用いることができる。これらの中でハロゲンやカルボン酸や銀との配位性を有する窒素原子を有しない化合物を銀塩として用いるのが好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸銀が好ましい。
本発明に係る電解質層に含まれる銀イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Ag]≦2.0モル/kgが好ましい。銀イオン濃度が0.2モル/kgより少ないと希薄な銀溶液となり駆動速度が遅延し、2モル/kgよりも大きいと溶解性が劣化し、低温保存時に析出が起きやすくなる傾向にあり不利である。
一般に、銀の溶解析出を生じさせるためには、電解質層中で銀を可溶化することが必要である。例えば、銀と配位結合を生じさたり、銀と弱い共有結合を生じさせるような、銀と相互作用を示す化学構造種を含む化合物等と共存させて、銀または銀を含む化合物を可溶化物に変換する手段を用いるのが一般的である。前記化学構造種として、ハロゲン原子、メルカプト基、カルボキシル基、イミノ基等が知られているが、本発明においては、チオエーテル基も銀溶剤として、有用に作用し、共存化合物への影響が少なく、溶媒への溶解度が高い特徴がある。
本発明の表示素子においては、電解質層に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質層に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Ag](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことが好ましい。
式(1)
0≦[X]/[Ag]≦0.01
本発明でいうハロゲン原子とは、ヨウ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のことをいう。[X]/[Ag]が0.01よりも大きい場合は、銀の酸化還元反応時に、X-→X2が生じ、X2は黒化銀と容易にクロス酸化して黒化銀を溶解させ、メモリー性を低下させる要因の1つになるので、ハロゲン原子のモル濃度は銀のモル濃度に対してできるだけ低い方が好ましい。本発明においては、0≦[X]/[Ag]≦0.001がより好ましい。ハロゲンイオンを添加する場合、ハロゲン種については、メモリー性向上の観点から、各ハロゲン種モル濃度総和が[I]<[Br]<[Cl]<[F]であることが好ましい。
また、本発明に係る電解質には、目的効果を損なわない範囲で溶媒を併用することができる。具体的には、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,Nジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、水等が挙げられる。これらの溶媒の内、凝固点が−20℃以下、かつ沸点が120℃以上の溶媒を少なくとも1種含むことが好ましい。
さらに本発明で用いることのできる溶媒としては、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electorlytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
本発明において、電解質溶媒は単一種であっても、溶媒の混合物であってもよいが、エチレンカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。エチレンカーボネートの添加量は、全電解質溶媒質量の10質量%以上、90質量%以下が好ましい。特に好ましい電解質溶媒は、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの質量比が7/3〜3/7の混合溶媒である。プロピレンカーボネート比が7/3より大きいとイオン伝導性が劣り応答速度が低下し、3/7より小さいと低温時に電解質が析出しやすくなる。
本発明の表示素子において、電解質が液体である場合には、以下の化合物を電解質中に含むことができる。カリウム化合物としてKCl、KI、KBr等、リチウム化合物としてLiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等、テトラアルキルアンモニウム化合物として過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ホウフッ化テトラエチルアンモニウム、ホウフッ化テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等が挙げられる。また、特開2003−187881号公報の段落番号〔0062〕〜〔0081〕に記載の溶融塩電解質組成物も好ましく用いることができる。さらに、I-/I3 -、Br-/Br3 -、キノン/ハイドロキノン等の酸化還元対になる化合物を用いることができる。
また、支持電解質が固体である場合には、電子伝導性やイオン伝導性を示す以下の化合物を電解質中に含むことができる。
パーフルオロスルフォン酸を含むフッ化ビニル系高分子、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、トリフェニルアミン類、ポリビニルカルバゾール類、ポリメチルフェニルシラン類、Cu2S、Ag2S、Cu2Se、AgCrSe2等のカルコゲニド、CaF2、PbF2、SrF2、LaF3、TlSn25、CeF3等の含F化合物、Li2SO4、Li4SiO4、Li3PO4等のLi塩、ZrO2、CaO、Cd23、HfO2、Y23、Nb25、WO3、Bi23、AgBr、AgI、CuCl、CuBr、CuBr、CuI、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl4、LiAlF4、AgSBr、C55NHAg56、Rb4Cu167Cl13、Rb3Cu7Cl10、LiN、Li5NI2、Li6NBr3等の化合物が挙げられる。
また、支持電解質としてゲル状電解質を用いることもできる。電解質が非水系の場合、特開平11−185836号公報の段落番号〔0057〕〜〔0059〕に記載のオイルゲル化剤を用いことができる。
(電解質添加の増粘剤)
本発明の表示素子においては、電解質層に増粘剤を用いることができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダーとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
(電解質層のその他の添加剤)
本発明の表示素子の構成層には、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を挙げることができ、これらの補助層中には、各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を以下に掲載した。
添加剤 RD17643 RD18716 RD308119
頁 分類 頁 分類 頁 分類
化学増感剤 23 III 648右上 96 III
増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IV
減感色素 23 IV 998 IV
染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII
現像促進剤 29 XXI 648右上
カブリ抑制剤・安定剤
24 IV 649右上 1006〜7 VI
増白剤 24 V 998 V
硬膜剤 26 X 651左 1004〜5 X
界面活性剤 26〜7 XI 650右 1005〜6 XI
帯電防止剤 27 XII 650右 1006〜7 XIII
可塑剤 27 XII 650右 1006 XII
スベリ剤 27 XII
マット剤 28 XVI 650右 1008〜9 XVI
バインダー 26 XXII 1003〜4 IX
支持体 28 XVII 1009 XVII
(層構成)
本発明の表示素子の構成層について、さらに説明する。
本発明の表示素子に係る構成層として、正孔輸送材料を含む構成層を設けることができる。正孔輸送材料として、例えば、芳香族アミン類、トリフェニレン誘導体類、オリゴチオフェン化合物、ポリピロール類、ポリアセチレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリトルイジン誘導体、CuI、CuSCN、CuInSe2、Cu(In,Ga)Se、CuGaSe2、Cu2O、CuS、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi23、MoO2、Cr23等を挙げることができる。
(基板)
本発明で用いることのできる基板としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。これらは、例えば、特開昭62−117708号、特開平1−46912、同1−178505号の各公報に記載されている方法により得ることができる。更に、ステンレス等の金属製基盤や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体、特開昭62−253195号(29〜31頁)に支持体として記載されたものが挙げられる。RDNo.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄及び同No.307105の879頁に記載されたものも好ましく使用できる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。また、これらの支持体表面を支持体と他の構成層との接着の向上を目的に表面処理を行っても良い。本発明では、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理を表面処理として用いることができる。更に公知技術第5号(1991年3月22日アズテック有限会社発行)の44〜149頁に記載の支持体を用いることもできる。更にRDNo.308119の1009頁やプロダクト・ライセシング・インデックス、第92巻P108の「Supports」の項に記載されているものが挙げられる。その他に、ガラス基板や、ガラスを練りこんだエポキシ樹脂を用いることができる。
(電極)
本発明の表示素子においては、対向電極の少なくとも1種が金属電極であることが好ましい。金属電極としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス、及びそれらの合金等の公知の金属種を用いることができる。金属電極は、電解質中の銀の酸化還元電位に近い仕事関数を有する金属が好ましく、中でも銀または銀含有率80%以上の銀電極が、銀の還元状態維持の為に有利である。電極の作製方法は、蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、CVD法等の既存の方法を用いることができる。
また、本発明の表示素子は、対向電極の少なくとも1種が透明電極であることが好ましい。透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
(表示素子のその他の構成要素)
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコーン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
(スクリーン印刷)
本発明においては、シール剤、柱状構造物、電極パターン等をスクリーン印刷法で形成することもできる。スクリーン印刷法は、所定のパターンが形成されたスクリーンを基板の電極面上に被せ、スクリーン上に印刷材料(柱状構造物形成のための組成物、例えば、光硬化性樹脂など)を載せる。そして、スキージを所定の圧力、角度、速度で移動させる。これによって、印刷材料がスクリーンのパターンを介して該基板上に転写される。次に、転写された材料を加熱硬化、乾燥させる。スクリーン印刷法で柱状構造物を形成する場合、樹脂材料は光硬化性樹脂に限られず、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂も使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、ポリビニールケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニールピロリドン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂等が挙げられる。樹脂材料は樹脂を適当な溶剤に溶解するなどしてペースト状にして用いることが望ましい。
以上のようにして柱状構造物等を基板上に形成した後は、所望によりスペーサーを少なくとも一方の基板上に付与し、一対の基板を電極形成面を対向させて重ね合わせ、空セルを形成する。重ね合わせた一対の基板を両側から加圧しながら加熱することにより、貼り合わせて、表示セルが得られる。表示素子とするには、基板間に電解質組成物を真空注入法等によって注入すればよい。あるいは、基板を貼り合わせる際に、一方の基板に電解質組成物を滴下しておき、基板の貼り合わせと同時に液晶組成物を封入するようにしてもよい。
(表示素子駆動方法)
本発明の表示素子においては、析出過電圧以上の電圧印加で黒化銀を析出させ、析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続させる駆動操作を行なうことが好ましい。この駆動操作を行なうことにより、書き込みエネルギーの低下や、駆動回路負荷の低減や、画面としての書き込み速度を向上させることができる。一般に電気化学分野の電極反応において過電圧が存在することは公知である。例えば、過電圧については「電子移動の化学−電気化学入門」(1996年 朝倉書店刊)の121ページに詳しい解説がある。本発明の表示素子も電極と電解質中の銀との電極反応と見なすことができるので、銀溶解析出においても過電圧が存在することは容易に理解できる。過電圧の大きさは交換電流密度が支配するので、本発明のように黒化銀が生成した後に析出過電圧以下の電圧印加で黒化銀の析出を継続できるということは、黒化銀表面の方が余分な電気エネルギーが少なく容易に電子注入が行なえると推定される。
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、諧調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
(商品適用)
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《酸化チタン粒子の調製》
下記のような酸化チタン粒子を、「酸化チタン 物性と応用技術」(清野学著、技報堂出版発行、1991年)第2章に記載されている一般的な製法を用いて調製した。
1.平均粒径0.28μmの酸化チタン粒子表面にシリカとアルミナを共沈させた粒子。処理後の粒子中の酸化チタン含有量は87質量%であった。
2.平均粒径0.28μmの酸化チタン粒子表面に多孔質シリカ層を形成した後にアルミナで処理した粒子。処理後の粒子中の酸化チタン含有量は85質量%であった。
3.平均粒径0.03μmの酸化チタン粒子表面に高密度シリカ層をコーティングした後にアルミナで処理した粒子。処理後の粒子中の酸化チタン含有量は90質量%であった。
4.平均粒径0.25μmの酸化チタン粒子表面に高密度シリカ層をコーティングした後アルミナ層で処理した粒子。処理後の粒子中の酸化チタン含有量は92質量%であった。
5.平均粒径0.38μmの酸化チタン粒子表面に高密度シリカ層ををコーティングした後アルミナ層で処理した粒子。処理後の粒子中の酸化チタン含有量は93質量%であった。
6.平均粒径0.48μmの酸化チタン粒子表面に高密度シリカ層をコーティングした後アルミナ層で処理した粒子(処理後の粒子中の酸化チタン含有量は89質量%)。
7.平均粒径0.20μmの酸化チタン粒子表面に高密度シリカ層をコーティングした後アルミナ層で処理した粒子。処理後の粒子中の酸化チタン含有量は82質量%であった。
8.表面処理なしの平均粒径0.20μmの酸化チタン粒子。
9.アルミナのみをコーティングした平均粒径0.25μmの酸化チタン粒子。
10.アルミナ/チタニア共沈層を有する平均粒径0.26μmの酸化チタン粒子。
《表示素子の作製》
〔表示素子1の作製〕
(電解質液1の調製)
ジメチルスルホキシド2.5g中に、ヨウ化ナトリウム90mg、ヨウ化銀75mgを加えて完全に溶解させた後に、ポリビニルピロリドン(平均分子量15000)を150mg加えて120℃に加熱しながら1時間撹拌し、電解質液1を得た。
(電極1の作製)
厚さ1.5mmで4cm×4cmのガラス基板上にピッチ145μm、電極幅130μmのストライプ状ITO膜を公知の方法に従って形成し透明電極(電極1)を得た。
(電極2の作製)
厚さ1.5mmで4cm×4cmのガラス基板に、公知の方法を用いて、電極厚み0.1μm、ピッチ145μm、電極巾130μmのストライプ状銀−パラジウム電極(電極2)を得た。
(酸化チタン粒子分散液1〜10の調製)
水12gにポリビニルアルコール0.15gを溶解し、これにエタノール5gを混合した。さらに各酸化チタン粒子1〜10をそれぞれ8g加え、超音波分散機により分散し、それぞれ酸化チタン粒子分散液1〜10を得た。
(酸化チタン粒子分散液11の調整)
水17gにポリビニルアルコール0.15gを溶解し、これに酸化チタン粒子4を8g加え、超音波分散機により分散し、酸化チタン粒子分散液11を得た。
(酸化チタン粒子分散液12の調製)
水8gにポリビニルアルコール0.15gを溶解し、これにエタノール9gを混合した。さらに酸化チタン粒子4を8g加え、超音波分散機により分散し、酸化チタン粒子分散液12を得た。
(酸化チタン分散液13の調製)
水12gにポリビニルアルコール0.15gを溶解し、これにエタノール5gを混合した。これに酸化チタン粒子4を6g、酸化チタン粒子6を2g加え、超音波分散機により分散し、酸化チタン粒子分散液13を得た。
(多孔質白色散乱層1〜13の作製)
上記のように調製された酸化チタン粒子分散液1〜13を、スクリーン印刷法により電極1上に付与し、15℃30分乾燥させた後、45℃30分乾燥させ、膜厚30μmの多孔質白色散乱層1〜13を得た。
(多孔質白色散乱層14の調整)
酸化チタン粒子分散液4を電極2上にスクリーン印刷法により付与し、15℃30分乾燥させた後、45℃30分乾燥させ、膜厚4μmの白色散乱層14を得た。
(封止壁の形成)
多孔質白色散乱層1〜14を設けた電極2の周辺部を、平均粒子径が30μmのガラス製球形ビーズを体積分率で10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした。
(表示素子1〜14の作製)
上記多孔質白色散乱層1〜14に電解質液1を付与し、放置して、電解質液1を多孔質白色散乱層に十分染み込ませた。電極2の電極ストライプと電極1の電極ストライプが直交する方向で、電極1の電極面が電解質液に接触するように被せ、加熱押圧し、表示素子1〜14を得た。
(多孔質白色散乱層15の調整)
酸化チタン粒子分散液4を電極1上にスクリーン印刷方により付与し、15℃30分乾燥させた後、45℃30分乾燥させ、膜厚60μmの白色散乱層15を得た。
(封止壁の形成)
多孔質白色散乱層15を設けた電極2の周辺部を、平均粒径が60μmのガラス製球形ビーズを体積分率で10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした。
(表示素子15の作製)
上記多孔質白色散乱層15に電解質液1を付与し、放置して、電解質液1を多孔質白色散乱層に十分染み込ませた。次いで、電極1の電極ストライプと電極2の電極ストライプが直交する方向で、電極2の電極面が電解質液に接触するように被せ、加熱押圧し、表示素子15を得た。
(電解質液2の調製)
ジメチルスルホキシド2.5g中に、ヨウ化ナトリウムを90mg、ヨウ化銀を75mg加えて完全に溶解させた後に、酸化チタン粒子4を0.5g加えて超音波分散機にて分散した。この溶液に、ポリビニルアルコールを150mg加えて、120℃に加熱しながら1時間撹拌して、電解質液2を得た。
(表示素子16の作製)
電解質液2に平均粒子径が20μmのポリアクリル酸製の球形ビーズを体積分率として4体積%となるように加えて撹拌し、電極1の上に塗布した。その上に電極2の電極ストライプが直交して電極面同士が対向するように被せ、加圧して表示素子16を得た。
《各特性値の測定及び評価》
(各微粒子の平均粒径の測定)
各微粒子を透過型電子顕微鏡(JEM−200FX、日本電子社製)を用いて撮影し、得られた微粒子画像から、画像処理ソフトにプラネトロン社製Image−Proを用い、500個の粒子画像を処理して各粒径を求め統計処理を行って平均粒径を算出した。
(白地汚れの評価)
各表示素子について、駆動前の白地をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dを用いてL***値を求めた。その後、公知のパッシブマトリックス回路を用いて、駆動実験を行った。はじめに、黒表示で550nmでの反射率が10%となる駆動条件を求め、この条件で白表示(白化)と黒表示(黒化)を1000回駆動させた後、再度白化させ、駆動前と同様にL***値を測定し、その差ΔE(=√(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*2)を求め、白地汚れとした。ΔEが5以上あると、多くの人が白地汚れを認識できた。
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2007248961
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる多孔質白色散乱層を有する本発明の表示素子は、比較例に対し、優れた性能を示すことが分かる。
本発明の表示素子の基本的な構成を示す概略断面図である。 多孔質白色散乱層を有する表示素子の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 電極(透明電極)
2 電極
3 多孔質白色散乱層
3A、3B 酸化チタン粒子
4 電解質層
5 銀粒子
V 電源

Claims (9)

  1. 対向電極間に、銀、または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質と、多孔質白色散乱層とを有し、銀の溶解析出を生じさせるように対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該多孔質白色散乱層が、表面が少なくともシリカ及びアルミナにより表面処理された酸化チタン粒子により形成されていることを特徴とする表示素子。
  2. 前記酸化チタン粒子が、まず高密度シリカ層でコーティングされ、その上にアルミナ層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
  3. 前記酸化チタン粒子の酸化チタン含有比率(質量比)が85%以上95%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示素子。
  4. 前記多孔質白色散乱層の厚みが、5μm〜50μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
  5. 前記多孔質白色散乱層が、少なくとも前記酸化チタン粒子を分散溶媒中に分散した分散液を、所定の基板上に付与し、乾燥させることで得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示素子。
  6. 前記分散溶媒が、親水性溶媒と水を混合した溶媒であることを特徴とする請求項5に記載の表示素子。
  7. 前記親水性溶媒が、全分散溶媒量の10質量%〜50質量%含まれることを特徴とする請求項6記載の表示素子。
  8. 前記酸化チタンの粒径分布が、少なくとも0.1〜0.4μmに極大値を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示素子。
  9. 前記酸化チタンの粒径分布の極大が少なくとも2つあり、その一つが0.1〜0.4μmであることを特徴とする請求項8に記載の表示素子。
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