JP2005188565A - プーリ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 外輪16とプーリとの間でクリープが発生する事を防止する構造で、熱処理により外輪が変形したり、外輪軌道の加工性及び加工精度が低下する事を防止でき、転がり軸受にモーメント荷重が負荷されない構造を実現する。
【解決手段】 上記外輪16の外周面の軸方向に関して中央部に、正弦波状の凹溝17を形成する。又、この凹溝17を形成したこの外輪16の外周面にプーリを射出成型により固設する。この時、このプーリの内周面にこの凹溝17と同様の形状を有する凸部が形成される。この凹溝17は、軸方向に対して傾斜した部分を有しており、傾斜方向が交互に変化する為、この凹溝17と上記凸部との係合により上記課題を解決できる。
【選択図】 図2
【解決手段】 上記外輪16の外周面の軸方向に関して中央部に、正弦波状の凹溝17を形成する。又、この凹溝17を形成したこの外輪16の外周面にプーリを射出成型により固設する。この時、このプーリの内周面にこの凹溝17と同様の形状を有する凸部が形成される。この凹溝17は、軸方向に対して傾斜した部分を有しており、傾斜方向が交互に変化する為、この凹溝17と上記凸部との係合により上記課題を解決できる。
【選択図】 図2
Description
この発明に係るプーリ装置は、例えば、無端ベルトにより、自動車用のエアコンディショナに使用するコンプレッサ等の補機を駆動する機構や、タイミングベルトにより、クランクシャフトの端部に固定したクランクプーリとカムシャフトの端部に固定したカムプーリとの間で回転力を伝達する機構等のベルト伝動機構に組み込んで使用される、ガイドプーリやテンションプーリとして使用する。
ベルト伝動機構に組み込まれて使用されるガイドプーリやテンションプーリ等のプーリ装置として、重量軽減及びコスト低減を図る為に、転がり軸受の外輪に合成樹脂製のプーリを固設したプーリ装置が従来から使用されている。図10は、例えば、特許文献1に記載されている様に、従来から知られた合成樹脂製のプーリを組み込んだプーリ装置1を示している。このプーリ装置1は、外周面にベルトを掛け渡す為の合成樹脂製のプーリ2と、このプーリ2を支持軸等に回転自在に支持する為の、単列深溝型のラジアル玉軸受である転がり軸受3とから構成される。このうちの転がり軸受3は、外周面に単列の内輪軌道4を有する内輪5と、内周面に単列の外輪軌道6を有する外輪7と、これら内輪軌道4と外輪軌道6との間に転動自在に設けられた複数個の転動体8とを備える。又、上記内輪5の両端部外周面と、上記外輪7の両端部内周面との間に密封板9、9を設け、上記各転動体8を設置した空間に充填したグリースが外部に漏れるのを防止すると共に、外部の塵芥等がこの空間内に入り込む事を防止している。そして、この様に構成される上記転がり軸受3の外輪7の外周面には、上記プーリ2を固設している。
上記プーリ2は、互いに同心に設けられた内径側円筒部10及び外径側円筒部11を有する。この内径側円筒部10の中間部外周面と外径側円筒部11の中間部内周面とは、円輪状の連結部12により連結しており、この連結部12の両側面にそれぞれ複数本ずつの補強リブ13、13を、それぞれ放射状に設けている。この様なプーリ2は、上記内径側円筒部10を上記転がり軸受3を構成する外輪7の周囲に、射出成形により固設している。即ち、この外輪7の外周寄り部分をその内周側にモールドした状態で、金型内に設けた上記プーリ2の外形に対応した内形を有するキャビティ内に、溶融した熱可塑性樹脂を注入する。そして、この熱可塑性樹脂が冷却・固化した後に上記金型を開いて、上記プーリ2を上記転がり軸受3と共に、上記キャビティ内から取り出す。
上述の様に構成されるプーリ装置1は、例えば、自動車の補機等を駆動するベルト伝動機構に組み込まれる、ガイドプーリやテンションプーリとして使用される。即ち、エンジンのシリンダブロック等の固定の部分に固設した支持軸に、上記転がり軸受3を構成する内輪5を外嵌固定する。そして、上記プーリ2の外周面に無端ベルトを掛け渡す。この状態で上記プーリ装置1は、この無端ベルトの走行に伴い上記プーリ2が回転し、この無端ベルトの巻き付け角度を確保したり、或はこの無端ベルトの張力を確保する。
上述の様に、外輪7の外周面に合成樹脂製のプーリ2を固設するプーリ装置1の場合、この外輪7が軸受鋼等の金属材料製である為、この外輪7と上記プーリ2との線膨張係数が異なる。従って、使用時の温度上昇により、これら外輪7とプーリ2との密着性が低下し、これら外輪7とプーリ2との間で相対的な滑り(クリープ)が発生する場合がある。この様なクリープを防止する為の技術として、特許文献2〜4に記載された技術がある。このうちの特許文献2に記載された技術は、図11に示す様に、外輪7aの外周面にナール14を全周に亙って形成している。そして、この外輪7aに合成樹脂製のプーリを外嵌した状態で、このナール14がこのプーリの内周面に食い込む。この結果、上述の様なクリープを防止できる。
又、特許文献3に記載された技術では、図12に示す様に、外輪7b(又は7c)の外周面に、円周方向に関して軸方向の幅が異なる凹溝15a(又は15b)を形成している。そして、この外輪7b(7c)の外周面に合成樹脂製のプーリを射出成型により固設している。この射出成型時、上記各凹溝15a(15b)内に溶融した熱可塑性樹脂が充填され、冷却・固化する。この凹溝15a(15b)は軸方向の幅が円周方向に関して異なる為、この凹溝15a(15b)の側面とこの凹溝15a(15b)内で固化した合成樹脂との噛み合いにより、上記各外輪7b(7c)とプーリとの間のクリープを防止できる。
更に、特許文献4に記載された技術では、図13に示す様に、外輪7dの外周面に、互いに平行とならない様に、軸方向に対し傾斜させた凹溝15c、15cを全周に亙って形成している。この構造の場合にも、上記外輪7dの外周面に合成樹脂製のプーリを射出成型により固設する。この様に、上記各凹溝15c、15cが軸方向に傾斜している為、上記外輪7dとプーリとの間のクリープを防止できる。尚、この構造の場合、これら各凹溝15c、15cが傾斜している為、このプーリの回転に伴い上記外輪7dにアキシアル荷重が生じる。そして、このアキシアル荷重によりこの外輪7dにモーメント荷重が発生した場合には、プーリ装置に振れが生じたりする為好ましくない。但し、図示の例の場合、これら各凹溝15c、15cの傾斜方向を互いに反対とする事により、この様に発生するアキシアル荷重を打ち消し合い、プーリの回転に伴い上記外輪7dにモーメント荷重が発生しない様にしている。
上述した各特許文献2〜4に記載した技術は、プーリと外輪7a〜7dとの間でクリープが発生する事を防止できるが、未だ解決すべき問題がそれぞれある。即ち、前述の図11に示した、特許文献2に記載された構造の場合、外輪7aの外周面の全体に亙ってナール14を形成している為、このナール14を形成した後、この外輪7aに熱処理を施す際に、残留ひずみによってこの外輪7aが変形する場合がある。又、この外輪7aの内周面に外輪軌道6を形成する際に、この外輪7aの外周面を精度良く支持する事が難しい。この為、この外輪軌道6の加工性及び加工精度が低下する場合がある。
これに対して、図12、13に示した、特許文献3、4に記載された構造の場合、外輪7b、7c、7dの外周面に円筒面が残っている為、上記特許文献2に記載された構造の様に外輪軌道の加工性及び加工精度が低下する事はない。しかし、上記特許文献3、4の構造の場合、プーリに掛け渡すベルトの張力が大きい等、このプーリと上記各外輪7b〜7dとの間でクリープを発生させようとする力が大きい場合、上記特許文献3の構造では、凹溝15a(15b)の軸方向の幅寸法の差を大きく、上記特許文献4の構造では、凹溝15c、15cの傾斜角度を大きく、それぞれ形成する必要がある。この様に、各凹溝15a〜15cの幅寸法の差若しくは傾斜角度を大きくする場合、上記各外輪7b〜7dの外周面での加工領域が広がる事になる。この結果、上記各凹溝15a〜15cと上記各外輪7b〜7dの内周面に形成される外輪軌道とが径方向に重畳する場合がある。
上述の様に各凹溝15a〜15cと外輪軌道とが上記外輪7b〜7dの径方向に重畳した場合には、この重畳した部分でこれら各外輪7b〜7dの肉厚が薄くなり、これら各外輪7b〜7dの強度が低下する。これに対して、上記各凹溝15a〜15cと外輪軌道とが径方向に重畳した場合でも、上記各外輪7b〜7dの強度を確保すべくこれら各外輪7b〜7dの肉厚を予め厚くする事も考えられるが、プーリ装置の重量が増大する為、好ましくない。
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、外輪とプーリとの間でクリープが発生する事を防止する構造で、熱処理により外輪が変形したり、外輪軌道の加工性及び加工精度が低下する事を防止でき、且つ、転がり軸受にモーメント荷重が負荷されない構造を実現すべく発明したものである。
本発明のプーリ装置は、前述の従来構造と同様に、内輪と、外輪と、複数個の転動体と、プーリとを備える。
このうちの内輪は、外周面に内輪軌道を有する。
又、上記外輪は、内周面に外輪軌道を有する。
又、上記各転動体は、上記内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられている。
又、上記プーリは、上記外輪の外周面に固設した合成樹脂製である。
特に、本発明のプーリ装置に於いては、上記外輪の外周面の軸方向に関して一部に、軸方向に対し傾斜すると共に、傾斜方向が円周方向に関して交互に変化する凹溝を形成しており、上記プーリの内周面でこの凹溝に係合する凸部を設けている。
このうちの内輪は、外周面に内輪軌道を有する。
又、上記外輪は、内周面に外輪軌道を有する。
又、上記各転動体は、上記内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられている。
又、上記プーリは、上記外輪の外周面に固設した合成樹脂製である。
特に、本発明のプーリ装置に於いては、上記外輪の外周面の軸方向に関して一部に、軸方向に対し傾斜すると共に、傾斜方向が円周方向に関して交互に変化する凹溝を形成しており、上記プーリの内周面でこの凹溝に係合する凸部を設けている。
上述の様に構成される本発明のプーリ装置の場合、上記凹溝に軸方向に対し傾斜した部分が存在する為、外輪とプーリとの間でクリープが発生する事を防止できる。又、傾斜方向を円周方向に関して交互に変化させている為、アキシアル荷重が打ち消され、プーリの回転に伴って外輪に作用するモーメント荷重を抑えられる。又、外輪の外周面のこの凹溝を加工する為の軸方向の領域を小さくできる。この為、この凹溝を外輪軌道と径方向に重畳させる事なく形成できる。この結果、この凹溝を形成する事によりこの外輪の強度が低下する事を抑えられる。又、この凹溝の加工領域を小さくできれば、加工後の残留ひずみを抑えて熱処理時の変形を抑制できる。又、凹溝は軸方向一部に形成されている為、外輪の外周面に円筒面部分が残る。この為、この外輪の支持を確実に行なえて、この外輪の内周面の外輪軌道の加工性及び加工精度が低下する事がない。
本発明を実施する為に好ましくは、凹溝のうちで、軸方向に対して一方に傾斜した部分と、他方に傾斜した部分とを、同数設ける。
又、好ましくは、プーリを外輪の外周面に射出成型により固設し、この射出成型時に溶融樹脂をこの外輪の外周面に形成した凹溝に充填しこの凹溝内で固化させる事により、このプーリの内周面に凸部を形成する。
又、好ましくは、内輪の外周面に複列の内輪軌道を、外輪の内周面に複列の外輪軌道をそれぞれ設けた構造では、凹溝をこの外輪の軸方向に関してこれら各外輪軌道の間部分に形成する。
これに対して、内輪の外周面に単列の内輪軌道を、外輪の内周面に単列の外輪軌道をそれぞれ設けた構造では、凹溝をこの外輪の軸方向に関して少なくとも一方の端部側に形成する。
又、好ましくは、プーリを外輪の外周面に射出成型により固設し、この射出成型時に溶融樹脂をこの外輪の外周面に形成した凹溝に充填しこの凹溝内で固化させる事により、このプーリの内周面に凸部を形成する。
又、好ましくは、内輪の外周面に複列の内輪軌道を、外輪の内周面に複列の外輪軌道をそれぞれ設けた構造では、凹溝をこの外輪の軸方向に関してこれら各外輪軌道の間部分に形成する。
これに対して、内輪の外周面に単列の内輪軌道を、外輪の内周面に単列の外輪軌道をそれぞれ設けた構造では、凹溝をこの外輪の軸方向に関して少なくとも一方の端部側に形成する。
図1〜4は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施例1を示している。尚、本発明の特徴は、プーリ2aと外輪16との間でクリープが生じる事を防止する為、この外輪16の外周面に所定形状の凹溝17を形成する点にある。本実施例のプーリ装置1aは、複列アンギュラ型の玉軸受である転がり軸受18を構成する上記外輪16の外周面に、上記プーリ2aを固設して成る。この転がり軸受18は、この外輪16の内周面に複列の外輪軌道19、19を形成している。又、内輪20の外周面には複列の内輪軌道21、21を形成している。そして、これら各外輪軌道19、19と各内輪軌道21、21との間に複数個の転動体22、22を、保持器23、23により保持した状態で転動自在に設けている。又、上記外輪16の両端部内周面と上記内輪20の両端部外周面との間にシールリング24、24を設け、上記各転動体22、22を設置した空間内に充填したグリースが漏出する事を防止すると共に、外部に浮遊する塵芥等の異物がこの空間内に侵入する事を防止している。
又、上記外輪16の外周面に固設される上記プーリ2aは、合成樹脂(例えば、ポリアミド66とポリアミド612との混合物をガラス繊維で補強したもの等)により形成され、互いに同心に設けられた内径側円筒部10aと外径側円筒部11aとを有する。この内径側円筒部10aの中間部外周面と外径側円筒部11aの中間部内周面とは、円輪状の連結部12aにより連結しており、この連結部12aの両側面にそれぞれ複数本ずつの補強リブ13a、13aを、それぞれ放射状に設けている。又、上記内径側円筒部10aの内周面の軸方向両端部に、径方向内方に突出した鍔部25、25を設けている。そして、これら両鍔部25、25により上記外輪16の外径側部分を軸方向両側から挟持して、上記プーリ2aが上記転がり軸受18に対して軸方向にずれる事を防止している。
特に、本実施例のプーリ装置1aの場合、上記外輪16の外周面でこの外輪16の軸方向に関して上記各外輪軌道19、19の間部分である、この外輪16の軸方向中央部に、前記凹溝17を、切削加工等により全周に亙って形成している。この凹溝17は、図2に示す様に、正弦波状に形成されている。即ち、この凹溝17は、軸方向に対し傾斜すると共に、傾斜方向が円周方向に関して交互に且つ滑らかに変化する様に形成されている。又、本実施例の場合、上記凹溝17の山の数と谷の数とは同数(それぞれ2個)としている。この為、この凹溝17の、軸方向に対して一方に傾斜した部分と、他方に傾斜した部分とが同数存在する。尚、上記山の数(谷の数)とは、軸方向一方(他方)に突出した凸部の数を言う。例えば、図3〜4(A)に示す様に、円周方向の位相が0°(=360°)及び180°の部分を山とすると、位相が90°と270°の部分が谷となる。従って、本実施例の場合、山の数と谷の数とがそれぞれ2個ずつとなる。
一方、上記プーリ2aを構成する内径側部材10aの内周面の軸方向中間部で、上記凹溝17と対応する位置に、この凹溝17と同形状の正弦波状の凸部26を全周に亙って設けている。この凸部26は、上記プーリ2aを上記外輪16の外周面に固設した状態で上記凹溝17に係合する。即ち、本実施例の場合も、前述の図10に示した構造と同様に、上記プーリ2aを射出成型により上記外輪16の外周面に固設している。従って、この射出成型時に溶融した熱可塑性樹脂の一部が、この外輪16の外周面に形成した上記凹溝17に充填される。そして、この樹脂の一部がこの凹溝17内で冷却・固化する事により、上記プーリ2aを構成する内径側部材10aの内周面に上記凸部26が形成される。この結果、この凸部26と上記凹溝17とが係合した状態となる。尚、本実施例では、上述の様に、上記プーリ2aの内周面に鍔部25、25を設けているが、上記プーリ装置1aの設計仕様や使用条件によっては、これら鍔部25、25を省略しても良い。即ち、上記プーリ2aに軸方向の荷重がそれ程作用しない様な使用条件等の場合には、上記凹溝17と凸部26との係合により、このプーリ2aが上記外輪16に対して軸方向にずれる事を防止できる為、上記鍔部25、25を省略できる。そして、これら鍔部25、25を省略すれば上記プーリ2aの内径寄り部分の軸方向寸法を小さくできる。
上述の様に構成される本実施例のプーリ装置1aをベルト伝動機構に組み込んで使用する場合の作用に就いては、前述の図10に示した従来構造の場合と同様である。特に、本実施例の場合、上記凹溝17に軸方向に対し傾斜した部分が存在する為、上記外輪16と上記プーリ2aとの間でクリープが発生する事を防止できる。即ち、温度上昇によりこのプーリ2aの内周面と上記外輪16の外周面との密着性が低下し、このプーリ2aがこの外輪16に対して、所定方向(例えば図2の右方)に相対回転する傾向となった場合、上記凹溝17と上記凸部26との、軸方向に対し傾斜している部分同士の係合により、上記プーリ2aが上記外輪16に対して相対回転する事を防止できる。
又、上記プーリ2aの回転に伴い、このプーリ2aからこの外輪16に対してアキシアル方向の荷重が発生するが、このアキシアル荷重は打ち消される。即ち、本実施例の場合、上記凹溝17を、軸方向に対し傾斜させると共に傾斜方向を円周方向に関して交互に変化させている為、円周方向に隣り合うこの凹溝17の軸方向に対する傾斜部の傾斜方向が逆となる。又、これら互いに傾斜方向が逆である各傾斜部が、円周方向等間隔位置に同数存在している。この為、上記アキシアル荷重がこれら円周方向に隣り合う傾斜部で互いに逆方向に作用し、それぞれのアキシアル荷重を打ち消し合う。この結果、上記プーリ2aの回転に伴い上記外輪16にモーメント荷重が負荷されにくくなる。具体的には、図3及び4(A)に示す様に、上記プーリ2aが、図3の右方、図4の反時計方向に回転した場合、上記凹溝17のイに示す部分では、軸方向一方(図3の上方、図4の表裏方向表側に向かう方向)に、この凹溝17のロに示す部分では、軸方向他方(図3の下方、図4の表裏方向裏側に向かう方向)にそれぞれ荷重が作用する。この為、イ部分とロ部分とにそれぞれ作用するアキシアル荷重が互いに打ち消し合って、上記外輪16にモーメント荷重が発生しにくくなる。尚、この様なモーメント荷重をより発生しにくくする為には、上記凹溝17の山の数(谷の数)を偶数とする事が好ましい。例えば、図4(B)に示す構造は、山の数と谷の数とがそれぞれ3個ずつ存在する場合を示している。従って、この図5の構造の場合、上述の図3及び4(A)の場合と同様に、円周方向に対する傾斜方向が互いに逆となるイ部分とロ部分とが、それぞれ3個ずつ円周方向に交互に存在する。この様に、凹溝17の山の数(谷の数)が奇数(3個)の場合、α軸に関して図の上側の部分と下側の部分とを見た場合に、上側のa部分と、このa部分と円周方向に関して180°反対側に存在する下側のa′部分とのアキシアル荷重が作用する方向が、互いに逆となる。この為、上記プーリ2aの回転によりα軸回りにモーメント荷重が発生し易くなる。β軸、γ軸に関しても同様である。これに対して、上述の図4(A)に示した構造の様に、凹溝17の山の数(谷の数)が偶数(2個)の場合、円周方向に関して互いに180°反対側に存在する部分同士に、同方向のアキシアル荷重が作用する。この為、モーメント荷重が発生しにくい。
又、本実施例の場合、上述した様に、上記凹溝17の傾斜方向を交互に変化させている為、上記外輪16の外周面のこの凹溝17を加工する為の軸方向の領域を小さくできる。即ち、この凹溝17の傾斜方向を交互に変化させれば、軸方向の幅を取らずに傾斜している部分を多く取れる。例えば、上記プーリ2aと上記外輪16との間でクリープを発生させようとする力が大きい場合でも、上記凹溝17の山(谷)のピッチを小さく(波長を短く)すれば、軸方向に対して傾斜している部分が多くなり、上記クリープを有効に防止できる。この為、上記凹溝17を前記外輪軌道19、19と径方向に重畳させる事なく形成できる。この結果、この凹溝17を形成する事により上記外輪16の強度が低下する事を抑えられる。又、この様に、この凹溝17の加工領域を小さくできれば、この凹溝17を形成した後の残留ひずみを抑えて熱処理時の変形を抑制できる。又、この凹溝17は、上記外輪16の軸方向に関して中央部に形成されている為、この外輪16の外周面の軸方向両端部に円筒面部分が残る。この為、上記外輪軌道19、19の加工時にこの外輪16を精度良く支持できて、心なし研削等を施す事により、これら外輪軌道19、19の加工性及び加工精度を向上させる事ができる。
次に、図5〜6は、やはり請求項1〜4に対応する、本発明の実施例2〜3を示している。これら各実施例2〜3の場合も、上述した実施例1と同様に、プーリ装置に組み込む転がり軸受として複列アンギュラ型の玉軸受を使用する場合に就いて示している。この為、これら各実施例2〜3の場合も、外輪16の外周面の軸方向に関して中央部に、それぞれ凹溝17a、17bを形成している。図5に示す実施例2の場合、上記実施例1の場合よりもこの凹溝17aの山(谷)のピッチを小さくしている。この為、プーリと上記外輪16との間のクリープ防止効果をより高める事ができる。一方、図6に示す実施例3の場合、上記実施例2よりも更に上記凹溝17bの山(谷)のピッチを小さくしている。この結果、クリープ防止効果をより向上させる事ができる。但し、外輪16の外周面に形成する凹溝の山(谷)のピッチを小さくする程、この凹溝の加工作業が面倒になり製造コストは高くなる為、使用条件等を考慮して凹溝のピッチを小さくし過ぎない事が、コスト面からは好ましい。尚、上述した実施例2〜3の何れの場合も、凹溝17a、17bの山の数と谷の数が同数である。又、山の数(谷の数)は偶数(図5の場合が4個、図6の場合が8個)である。その他の構造及び作用は上述した実施例1と同様である。
次に、図7〜9は、請求項1〜3、5に対応する、本発明の実施例4〜6を示している。これら各実施例4〜6の場合は、プーリ装置に組み込む転がり軸受として、前述の図10に示した様な、単列深溝型の玉軸受を使用する場合に就いて示している。この為、これら各実施例4〜6の場合は、凹溝17c〜17eを、それぞれ外輪16の外周面の軸方向に関して少なくとも一方の端部側に形成している。即ち、図7に示す実施例4の場合、上記外輪16の外周面の一方(図7の下方)の端部側のみに凹溝17cを形成している。これに対して、図8〜9に示す実施例5〜6の場合は、外輪16の外周面の両端部側にそれぞれ凹溝17d、17eを形成している。図8の構造の場合は、これら凹溝17d、17dの位相を同じとしており、図9の構造の場合は、上記凹溝17e、17eの位相をずらして、軸方向中央部を通る仮想平面に関して対称となる様にしている。尚、この様に複数の凹溝を形成する場合は、それぞれの凹溝の山の数と谷の数とが同数であれば、互いの位相を一致させたり対称にしたり、或は、山(谷)のピッチを一致させる必要はない。又、複数の凹溝の場合、これら各凹溝の両方でアキシアル荷重を相殺できれば良いので、例えば、これら各凹溝同士の位相やピッチを調整する事により、外輪16に作用するアキシアル荷重が相殺できれば、これら各凹溝のそれぞれの山の数と谷の数とが異なっても良い。又、山の数(谷の数)が偶数である事が好ましいのは前述した通りである。その他の構造及び作用は、前述の実施例1或は実施例2〜3と同様である。
尚、上記各実施例4〜6の場合、複列の玉軸受を使用する構造にも適用できる。即ち、外輪の内周面に設けた複列の外輪軌道と径方向に重畳しない様に、凹溝を外輪の端部側に形成しても良い。又、外輪の外周面に形成する凹溝の数は、外輪軌道と径方向に重畳しなければ、2個以上形成しても良い。又、上記各実施例では、凹溝を正弦波状に形成しているが、軸方向に対する傾斜方向が変化する構造であれば、他の形状としても良い。例えば、傾斜部を直線とし、傾斜方向が変化する部分(山若しくは谷)で鋭角となる様な形状としても良いし、各傾斜部同士が連続していなくても良い。更に、凹溝は、外輪の外周面の全周に亙って形成する必要はなく、円周方向一部、又は、円周方向に分割して複数形成していも良い。但し、プーリと外輪との間でクリープが発生する事をより効果的に防止する為には、上述の各実施例1〜6の様に、全周に亙って形成する事が好ましい。
1、1a プーリ装置
2、2a プーリ
3 転がり軸受
4 内輪軌道
5 内輪
6 外輪軌道
7、7a、7b、7c、7d 外輪
8 転動体
9 密封板
10、10a 内径側円筒部
11、11a 外径側円筒部
12、12a 連結部
13、13a 補強リブ
14 ナール
15、15a、15b、15c 凹溝
16 外輪
17、17a、17b、17c、17d、17e 凹溝
18 転がり軸受
19 外輪軌道
20 内輪
21 内輪軌道
22 転動体
23 保持器
24 シールリング
25 鍔部
26 凸部
2、2a プーリ
3 転がり軸受
4 内輪軌道
5 内輪
6 外輪軌道
7、7a、7b、7c、7d 外輪
8 転動体
9 密封板
10、10a 内径側円筒部
11、11a 外径側円筒部
12、12a 連結部
13、13a 補強リブ
14 ナール
15、15a、15b、15c 凹溝
16 外輪
17、17a、17b、17c、17d、17e 凹溝
18 転がり軸受
19 外輪軌道
20 内輪
21 内輪軌道
22 転動体
23 保持器
24 シールリング
25 鍔部
26 凸部
Claims (5)
- 外周面に内輪軌道を有する内輪と、内周面に外輪軌道を有する外輪と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体と、この外輪の外周面に固設した合成樹脂製のプーリとを備えたプーリ装置に於いて、この外輪の外周面の軸方向に関して一部に、軸方向に対し傾斜すると共に、傾斜方向が円周方向に関して交互に変化する凹溝を形成しており、上記プーリの内周面にこの凹溝に係合する凸部を設けた事を特徴とするプーリ装置。
- 凹溝のうちで、軸方向に対して一方に傾斜した部分と、他方に傾斜した部分とが同数存在する、請求項1に記載したプーリ装置。
- プーリが外輪の外周面に射出成型により固設されており、射出成型時に溶融樹脂がこの外輪の外周面に形成した凹溝に充填固化する事により、このプーリの内周面に凸部が形成されている、請求項1〜2の何れかに記載したプーリ装置。
- 内輪の外周面に複列の内輪軌道を、外輪の内周面に複列の外輪軌道を、それぞれ設けており、凹溝がこの外輪の軸方向に関してこれら各外輪軌道の間部分に形成されている、請求項1〜3の何れかに記載したプーリ装置。
- 内輪の外周面に単列の内輪軌道を、外輪の内周面に単列の外輪軌道を、それぞれ設けており、凹溝がこの外輪の軸方向に関して少なくとも一方の端部側に形成されている、請求項1〜3の何れかに記載したプーリ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003427858A JP2005188565A (ja) | 2003-12-24 | 2003-12-24 | プーリ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003427858A JP2005188565A (ja) | 2003-12-24 | 2003-12-24 | プーリ装置 |
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JP2005188565A true JP2005188565A (ja) | 2005-07-14 |
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ID=34787015
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JP2003427858A Pending JP2005188565A (ja) | 2003-12-24 | 2003-12-24 | プーリ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005188565A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007032280A (ja) * | 2005-07-22 | 2007-02-08 | Nsk Ltd | ウォータポンプ |
JP2008069930A (ja) * | 2006-09-15 | 2008-03-27 | Denso Corp | 回転基部材 |
WO2008074743A1 (de) * | 2006-12-16 | 2008-06-26 | Schaeffler Kg | Rolle für einen zugmitteltrieb |
CN101788021A (zh) * | 2010-03-06 | 2010-07-28 | 曹枫 | 一种轴承 |
-
2003
- 2003-12-24 JP JP2003427858A patent/JP2005188565A/ja active Pending
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