JP2005315277A - プーリ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 外輪27とプーリとの間でクリープが発生する事を防止する構造で、この外輪27の内周面に外輪軌道6を形成する為の加工が容易で、運転時にラジアル荷重が作用せず、又、使用時の温度上昇に拘わらず上記外輪27とプーリとの結合強度を確保すると共に、クリープを発生させようとする力が大きい場合でも、凹溝28の加工領域を広くする必要がない構造を実現する。
【解決手段】 上記外輪27の軸方向両側部分の径方向の肉厚を円周方向に関して変化させる事により、この外輪27の軸方向両側部分の外径形状を楕円とする。又、この肉厚の変化量を、使用時の温度上昇により、この外輪27の外周面とプーリの内周面との間に生じる隙間よりも大きくする。又、この外輪27の軸方向中央部に上記凹溝28を形成し、この凹溝28の溝底面29の外径形状を円筒面とする。これにより上記課題を解決できる。
【選択図】 図4

Description

この発明に係るプーリ装置は、例えば、無端ベルトにより、自動車用のエアコンディショナに使用するコンプレッサ等の補機を駆動する機構や、タイミングベルトにより、クランクシャフトの端部に固定したクランクプーリとカムシャフトの端部に固定したカムプーリとの間で回転力を伝達する機構等のベルト伝動機構に組み込んで使用される、ガイドプーリやテンションプーリとして使用する。
ベルト伝動機構に組み込まれて使用されるガイドプーリやテンションプーリ等のプーリ装置として、重量軽減及びコスト低減を図る為に、転がり軸受の外輪に合成樹脂製のプーリを固設したプーリ装置が従来から使用されている。図12は、例えば、特許文献1に記載されている様に、従来から知られた合成樹脂製のプーリを組み込んだプーリ装置1を示している。このプーリ装置1は、外周面にベルトを掛け渡す為の合成樹脂製のプーリ2と、このプーリ2を支持軸等に回転自在に支持する為の、単列深溝型のラジアル玉軸受である転がり軸受3とから構成される。このうちの転がり軸受3は、外周面に単列の内輪軌道4を有する内輪5と、内周面に単列の外輪軌道6を有する外輪7と、これら内輪軌道4と外輪軌道6との間に転動自在に設けられた複数個の転動体8とを備える。又、上記内輪5の両端部外周面と、上記外輪7の両端部内周面との間に密封板9、9を設け、上記各転動体8を設置した空間に充填したグリースが外部に漏れるのを防止すると共に、外部の塵芥等がこの空間内に入り込む事を防止している。そして、この様に構成される上記転がり軸受3の外輪7の外周面には、上記プーリ2を固設している。
上記プーリ2は、互いに同心に設けられた内径側円筒部10及び外径側円筒部11を有する。この内径側円筒部10の中間部外周面と外径側円筒部11の中間部内周面とは、円輪状の連結部12により連結しており、この連結部12の両側面にそれぞれ複数本ずつの補強リブ13、13を、それぞれ放射状に設けている。又、上記内径側円筒部10の軸方向両端部には、径方向内方に突出した内向鍔部16、16を形成し、上記プーリ2を上記外輪7の外周面に固設した状態で、この外輪7を軸方向両側から挟持している。そして、上記プーリ2がこの外輪7に対して軸方向に変位する事を防止している。この様なプーリ2は、上記内径側円筒部10を上記転がり軸受3を構成する外輪7の周囲に、射出成形により固設している。即ち、この外輪7の外周寄り部分をその内周側にモールドした状態で、金型内に設けた上記プーリ2の外形に対応した内形を有するキャビティ内に、溶融した熱可塑性樹脂を注入する。そして、この熱可塑性樹脂が冷却・固化した後に上記金型を開いて、上記プーリ2を上記転がり軸受3と共に、上記キャビティ内から取り出す。
上述の様に構成されるプーリ装置1は、例えば、自動車の補機等を駆動するベルト伝動機構に組み込まれる、ガイドプーリやテンションプーリとして使用される。即ち、エンジンのシリンダブロック等の固定の部分に固設した支持軸に、上記転がり軸受3を構成する内輪5を外嵌固定する。そして、上記プーリ2の外周面に無端ベルトを掛け渡す。この状態で上記プーリ装置1は、この無端ベルトの走行に伴い上記プーリ2が回転し、この無端ベルトの巻き付け角度を確保したり、或はこの無端ベルトの張力を確保する。
上述の様に、外輪7の外周面に合成樹脂製のプーリ2を固設するプーリ装置1の場合、この外輪7が軸受鋼等の金属材料製である為、この外輪7と上記プーリ2との線膨張係数が異なる。従って、使用時の温度上昇により、これら外輪7とプーリ2との密着性が低下し、これら外輪7とプーリ2との間で相対的な滑り(クリープ)が発生する場合がある。この様なクリープを防止する為の技術として、特許文献2〜6に記載された技術がある。このうちの特許文献2に記載された技術は、図13に示す様に、外輪7aの外周面にナール(セレーション)14を全周に亙って形成している。そして、この外輪7aに合成樹脂製のプーリを外嵌した状態で、このナール14がこのプーリの内周面に食い込む。この結果、上述の様なクリープを防止できる。
又、特許文献3に記載された技術では、図14に示す様に、外輪7b(又は7c)の外周面に、円周方向に関して軸方向の幅が異なる凹溝15a(又は15b)を形成している。そして、この外輪7b(7c)の外周面に合成樹脂製のプーリを射出成型により固設している。この射出成型時、上記各凹溝15a(15b)内に溶融した熱可塑性樹脂が充填され、冷却・固化する。この凹溝15a(15b)は軸方向の幅が円周方向に関して異なる為、この凹溝15a(15b)の側面とこの凹溝15a(15b)内で固化した合成樹脂との噛み合いにより、上記各外輪7b(7c)とプーリとの間のクリープを防止できる。
又、特許文献4に記載された技術では、図15に示す様に、外輪7dの外周面に、互いに平行とならない様に、軸方向に対し傾斜させた凹溝15c、15cを全周に亙って形成している。この構造の場合にも、上記外輪7dの外周面に合成樹脂製のプーリを射出成型により固設する。この様に、上記各凹溝15c、15cが軸方向に傾斜している為、上記外輪7dとプーリとの間のクリープを防止できる。尚、この構造の場合、これら各凹溝15c、15cが傾斜している為、このプーリの回転に伴い上記外輪7dにアキシアル荷重が生じる。そして、このアキシアル荷重によりこの外輪7dにモーメント荷重が発生した場合には、プーリ装置に振れが生じたりする為好ましくない。但し、図示の例の場合、これら各凹溝15c、15cの傾斜方向を互いに反対とする事により、この様に発生するアキシアル荷重を打ち消し合い、プーリの回転に伴い上記外輪7dにモーメント荷重が発生しない様にしている。
又、特許文献5に記載された技術では、図16に示す様に、外輪7eの外周面の一部に平面部17、17を形成している。この様な構造の場合、これら各平面部17、17が回り止めとなりクリープを防止できる。更に、特許文献6に記載された技術では、図17に示す様に、外輪7fの端部に、この外輪7fの外周面の曲率中心に対して偏心した位置にその曲率中心を有する偏心切り欠き部18を設けている。この為、この偏心切り欠き部18の切り欠きの深さは円周方向に関して異なる。この様な構成を有する外輪7fの外周面に射出成形によりプーリを固設した場合には、プーリの端部内周面に円周方向に関する厚さが異なる凸部が形成される。この結果、このプーリが上記外輪7fに対して相対回転する傾向となった場合には、上記偏心切り欠き部18の切り欠きの深さが回転方向に向かう程浅くなる部分で、上記凸部とこの偏心切り欠き部18とが噛み合い、クリープを防止できる。
上述した各特許文献2〜6に記載された技術は、プーリと外輪7a〜7fとの間でクリープが発生する事を防止できるが、未だ解決すべき問題がそれぞれある。即ち、前述の図13に示した、特許文献2に記載された構造の場合、外輪7aの外周面の全体に亙ってナール14を形成している為、このナール14を形成した後、この外輪7aに熱処理を施す際に、残留ひずみによってこの外輪7aが変形する場合がある。又、この外輪7aの内周面に外輪軌道6を形成する際に、この外輪7aの外周面を精度良く支持する事が難しい。この為、この外輪軌道6の加工性及び加工精度が低下する場合がある。
これに対して、図14、15に示した、特許文献3、4に記載された構造の場合、外輪7b、7c、7dの外周面に円筒面が残っている為、上記特許文献2に記載された構造の様に外輪軌道の加工性及び加工精度が低下する事はない。しかし、上記特許文献3、4の構造の場合、プーリに掛け渡すベルトの張力が大きい等、このプーリと上記各外輪7b〜7dとの間でクリープを発生させようとする力が大きい場合、上記特許文献3の構造では、凹溝15a(15b)の軸方向の幅寸法の差を大きく、上記特許文献4の構造では、凹溝15c、15cの傾斜角度を大きく、それぞれ形成する必要がある。この様に、各凹溝15a〜15cの幅寸法の差若しくは傾斜角度を大きくする場合、上記各外輪7b〜7dの外周面での加工領域が広がる事になる。
又、図16に示した、特許文献5に記載された構造の場合、外輪7eの外周面のうちの各平面部17、17以外の部分をこれら各平面部17、17上に延長した場合の、これら各平面部17、17とこの延長部分との径方向の距離δの大きさに就いては何ら記載されていない。この為、この距離δの大きさによっては、プーリ(特許文献5に記載された技術では、弾性部材)と上記外輪7eとの結合強度を十分に確保できず、クリープを十分に防止できない可能性がある。即ち、使用時の温度上昇により、上記プーリの内周面と上記外輪7eの外周面との間に生じる隙間よりも上記距離δが小さければ、クリープを十分に防止できない。
更に、図17に示した、特許文献6に記載された構造の場合も、上記特許文献5に記載された構造と同様に、偏心切り欠き部18の切り欠きの深さが、使用時の温度上昇により、プーリの内周面とこの外輪7fの外周面との間に生じる隙間よりも小さい場合には、このプーリと外輪7fとの結合強度を十分に確保できず、クリープを十分に防止できない。又、上記特許文献6に記載された構造の場合、プーリが相対回転しようとする力により、上記偏心切り欠き部18に対してラジアル荷重が発生する。
即ち、上記偏心切り欠き部18は、上記外輪7fの外周面に対して偏心して形成されている為、上記プーリがこの外輪7fに対して相対回転しようとする場合に、このプーリの内周面に形成された凸部のうち、上記偏心切り欠き部18の偏心側(図17の下側)部分でこの偏心切り欠き部18を押圧する力が作用する。言い換えれば、上記凸部の偏心側部分が、この偏心切り欠き部18の切り欠きの深さが浅い部分(即ち、偏心側部分)に入り込もうとする。この結果、上記偏心切り欠き部18の曲率中心から、上記外輪7fの外周面の曲率中心に向けて(図17の上側に)ラジアル荷重が作用する。そして、この様に生じるラジアル荷重により、上記プーリの内周面のうち、偏心側と反対側部分に荷重が集中し、この部分が変形し易くなる。
特開平10−122339号公報 特開昭61−38218号公報 実開昭50−20043号公報 実開昭50−23540号公報 実開平5−86035号公報 特開2002−221271号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、外輪とプーリとの間でクリープが発生する事を防止する構造で、この外輪の内周面に外輪軌道を形成する為の加工が容易で、運転時にアキシアル荷重及びラジアル荷重が作用せず、又、使用時の温度上昇に拘わらず上記外輪とプーリとの結合強度を確保すると共に、クリープを発生させようとする力が大きい場合でも、凹溝の加工領域を広くする必要がない構造を実現すべく発明したものである。
本発明のプーリ装置は、前述の従来構造と同様に、内輪と、外輪と、複数個の転動体と、プーリとを備える。
このうちの内輪は、外周面に内輪軌道を有する。
又、上記外輪は、内周面に外輪軌道を有する。
又、上記各転動体は、上記内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられている。
又、上記プーリは、上記外輪の外周面に固設した合成樹脂製である。
特に、本発明のプーリ装置に於いては、この外輪の軸方向一部の径方向の肉厚を円周方向に関して変化させる事により、この外輪の軸方向一部の外径形状を、この外輪の中心軸に関して対称である、円筒面以外の形状としている。又、この外輪の軸方向他部の径方向の肉厚は円周方向に関して変化させず、この外輪の軸方向他部の外径形状を円筒面としている。
上述の様に構成される本発明のプーリ装置の場合、外輪の軸方向一部の外径形状を円筒面以外の形状としている為、この外輪とプーリとの間でクリープが発生する事を防止できる。又、この円筒面以外の形状は、この外輪の中心軸に関して対称に形成されている為、上記プーリがこの外輪に対して相対回転する傾向となった場合に生じるラジアル荷重は、互いに打ち消し合う。この為、上記プーリの内周面の一部に荷重が集中する事がない。更に、上記外輪の軸方向他部の外径形状を円筒面としている為、この外輪の内周面に形成する外輪軌道の加工性及び加工精度を良好にできる。
上記外輪の軸方向一部の外径形状は、請求項2に記載した様に、楕円若しくは多角形状とする事が好ましい。このうちの多角形状としては、正方形や正六角形とする事が好ましい。
この様に構成すれば、外輪の中心軸に関して対称である形状が容易に得られる。
又、本発明を実施する為に好ましくは、請求項3に記載した様に、外輪の軸方向一部の径方向の肉厚の円周方向に関する変化量の最大値を、使用時の温度上昇により、この外輪の外周面とプーリの内周面との間に生じる隙間よりも大きくする。
この様に構成すれば、使用時の温度上昇に拘わらず、外輪とプーリとの結合強度を十分に確保できる。
又、本発明を実施する為により好ましくは、請求項4に記載した様に、上記外輪の外周面の軸方向一部に、円周方向に凹溝を形成して、この凹溝の溝底面の外径形状を円筒面以外の形状とする。
或は、請求項5に記載した様に、上記外輪の外周面の軸方向他部に、円周方向に凹溝を形成して、この凹溝の溝底面の外径形状を円筒面とする。
この様に構成すれば、プーリの外輪に対する軸方向の拘束力を高める事ができる。従って、前述の図12に示したプーリ2の様に、内径側円筒部10の両端部内周面に内向鍔部16、16を形成する必要がない。この為、プーリ装置の軸方向寸法を小さくできる。又、クリープを発生させようとする力が大きい場合には、上記外輪の軸方向一部の肉厚の変化量、或は、この軸方向一部の幅を大きくすれば良い為、凹溝の加工領域を広げる必要はない。
又、本発明を実施する為に、請求項6に記載した様に、外輪の外周面のうち、外径形状が円筒面以外の形状である部分と、外径形状が円筒面である部分との間に、軸方向に対して傾斜したテーパ面を形成しても良い。そして、これら各部分をこのテーパ面により軸方向に連続させる。
この様に構成する事によっても、プーリの外輪に対する軸方向の拘束力を高める事ができる。
更に、請求項7に記載した様に、上記外輪の外周面のうちの外径形状が円筒面以外の形状である部分を、この外輪の軸方向中心に関して対称とすれば、上記プーリがこの外輪に対して相対回転する傾向となった場合に、クリープを防止する際に作用する円周方向の力が、軸方向に関して均一に作用する。この為、モーメント荷重の発生を防げる。
尚、上述した各発明を実施する為には、請求項8に記載した様に、上記プーリを上記外輪の外周面に射出成形により固設する事が好ましい。
この様に構成すれば、本発明の様に、外輪の外周面上に円筒面以外の形状と円筒面とが存在する構造であっても、上記プーリをこの外輪の外周面に容易に固設できる。又、この外輪の外周面の一部に、上述の様に凹溝或はテーパ面が形成されている場合には、射出成型時に溶融樹脂の一部がこれら凹溝或はテーパ面部分に充填固化し、上記プーリの内周面に凸部が形成される。この為、前述の様に、このプーリの上記外輪に対する軸方向の拘束力を高める事ができる。
図1〜4は、請求項1〜3、5、7、8に対応する、本発明の実施例1を示している。尚、本発明は、例えば前述の図12に示した様に、プーリ装置に組み込む転がり軸受が、単列の玉軸受である転がり軸受に適用可能であるのは勿論、これから説明する図1の構造の様に、複列の玉軸受である転がり軸受19にも適用可能である。この為、先ず、本発明が適用可能な構造の1例として、上記図1の構造に就いて説明する。又、後述する図2〜4の構造の説明は、プーリ装置に組み込む転がり軸受が単列の玉軸受である構造に、本発明を適用した場合に就いて行なうが、プーリ装置の構造として、転がり軸受が単列の玉軸受である以外は、上記図1の構造と同様である。
上記図1に示すプーリ装置1aは、複列アンギュラ型の玉軸受である転がり軸受19を構成する外輪20の外周面に、プーリ2aを固設して成る。この外輪20の内周面には、複列の外輪軌道21、21を形成している。又、この外輪20の内径側には、外周面に複列の内輪軌道23、23を形成した内輪22を配置している。そして、これら各内輪軌道23、23と上記各外輪軌道21、21との間に複数個の転動体24、24を、保持器25、25により保持した状態で転動自在に設けている。又、上記外輪20の両端部内周面と上記内輪22の両端部外周面との間にシールリング26、26を設け、上記各転動体24、24を設置した空間内に充填したグリースが漏出する事を防止すると共に、外部に浮遊する塵芥等の異物がこの空間内に侵入する事を防止している。
又、上記外輪20の外周面に固設される上記プーリ2aは、合成樹脂(例えば、ポリアミド66とポリアミド612との混合物をガラス繊維で補強したもの等)により形成され、互いに同心に設けられた内径側円筒部10aと外径側円筒部11aとを有する。この内径側円筒部10aの中間部外周面と外径側円筒部11aの中間部内周面とは、円輪状の連結部12aにより連結しており、この連結部12aの両側面にそれぞれ複数本ずつの補強リブ13a、13aを、それぞれ放射状に設けている。尚、本実施例の構造の場合、前述の図12に示した構造の様に、上記内径側円筒部10aの内周面の軸方向両端部には、径方向内方に突出する鍔部16、16を設けていない。
上述の様に構成するプーリ装置1aに本発明を適用する場合、図2〜4に示す様に、外輪27の外周面の軸方向一部(軸方向中央部を除く部分)の外径形状を、この外輪27の中心軸Oに関して対称となる、楕円としている。又、この外輪27の外周面の軸方向中央部(請求項に記載した軸方向他部)に凹溝28を形成して、この凹溝28の溝底面29の外径形状を円筒面としている。即ち、本実施例の場合、上記外輪27のこの凹溝28の軸方向両側部分の径方向の肉厚を円周方向に関し変化させて、図3の左右方向の肉厚を大きく、上下方向の肉厚を小さくする事により、上記外輪27の軸方向両側部分の外径形状を楕円としている。これに対して、上記外輪27の軸方向中央部の径方向の肉厚は円周方向に関して変化させないで、この軸方向中央部に形成される上記凹溝28の溝底面29の外径形状を円筒面としている。
尚、上記外輪27の外周面に形成する凹溝28の本数は、複数本であっても良い。又、この外輪27の肉厚の変化を図3では、構造を明らかにする為に、誇張して示している。即ち、楕円の長径と短径との差を大きくした状態で示している。又、前述した様に、本実施例の構造を、複列の玉軸受である前記転がり軸受19に適用する事も可能であるが、本実施例の様に、凹溝28を外輪27の外周面の軸方向中央部に1本形成する構造は、この転がり軸受19の様に、複列の玉軸受に適用する方が好ましい。
即ち、図1に示す様に、外輪20の内周面に複列の外輪軌道21、21を有する構造の場合、この外輪20の外周面の軸方向中央部に凹溝28を形成しても、この凹溝28の溝底面29と上記各外輪軌道21、21の溝底との距離を確保できる為、この凹溝28を形成する事に伴う、上記外輪20の強度の低下を抑える事ができる。これに対して、図2〜4に示した外輪27の外周面に上記凹溝28を形成した場合、この外輪27の内周面に形成した外輪軌道6の溝底とこの凹溝28の溝底面29との距離が近くなる為、上記外輪27の強度を確保する為にはこの外輪27の肉厚を大きくしなければならない。従って、外輪の外周面の軸方向中央部に凹溝を1本形成する構造は、外輪軌道が複列である構造に適用する事が好ましい。尚、後述する図6に示す様に、外輪の外周面に凹溝を2本形成する構造の場合には、外輪軌道が単列である構造に適用する事が好ましい。
又、本実施例の場合、上記外輪27の外周面の軸方向両側部分の外径形状である楕円の長径部分の肉厚(外輪軌道6の溝底と外輪27の軸方向両側部分の外周面との径方向の距離)をa、短径部分の肉厚をbとした場合の、これら各肉厚aとbとの差「a−b」を、使用時の温度上昇により、上記外輪27の外周面と前記プーリ2aの内周面との間に生じる隙間よりも大きくしている。尚、上記差「a−b」が、請求項3に記載した、肉厚の円周方向に関する変化量の最大値に相当する。この様な条件を満たすaとbとの値は、次の様に求める。即ち、上記外輪27の外周面のうちの軸方向両側部分(楕円形状を有する部分)の平均径をD、上記プーリ2aを構成する合成樹脂の線膨張係数をαp、上記外輪27を構成する金属材料(例えば軸受鋼)の線膨張係数をαb 、使用時の温度と常温の温度との温度差を△Tとした場合に、上記プーリ2aの内周面と上記外輪27の外周面との隙間Cは、
C=D・△T・(αp −αb )・・・(1)
となる。
具体的には、上記プーリ2aに使用される合成樹脂の線膨張係数αp は、30〜100×10-6で、上記外輪27に使用する軸受鋼の線膨張係数αb は、約10×10-6である。従って、この軸受鋼と上記合成樹脂との線膨張係数の差は、最大で90×10-6となる。又、使用時の温度は120℃程度に達する場合があり、常温を20℃とした場合、上記温度差△Tは100℃となる。これら各値を上記(1)式に代入すると、上記Cは、約0.01Dとなる。従って、上記「a−b」の値を、上記外輪27の外周面の平均径Dの1/100以上とすれば、温度上昇に拘わらずクリープを防止できる。
尚、上記プーリ2aを上記外輪27の外周面に射出成形する際に、成形時の温度から常温に冷却される過程に於いて、上記合成樹脂と軸受鋼の収縮量の差から締め代が発生する。この為、上記「a−b」の値が、0.01Dより小さくてもクリープ防止効果があると考えられる。但し、ベルトの張力等、使用時にプーリに作用するラジアル荷重による外輪27の弾性変形等を考慮した場合、上記「a−b」の値を小さくし過ぎると、クリープの発生を十分に防止できない場合がある。従って、本実施例では、この「a−b」の値を、上記平均径Dの、少なくとも1/200以上、好ましくは1/100以上とする。
一方、上記外輪27の軸方向中央部に形成した凹溝28の溝底面29は、前述した様に、肉厚を円周方向に関して変化させないで円筒面としている。又、この溝底面29部分の肉厚は、上記外輪27の軸方向両側部分の外径形状である楕円の短径部分の肉厚bと同じとしている。この為、上記凹溝28は、楕円の短径部分で溝の深さが0となる。これに対して、楕円の長径部分では、溝の深さとして「a−b」を確保できる。尚、上記溝底面29部分の肉厚をこの楕円の短径部分の肉厚bよりも小さくしてこの短径部分でも上記凹溝28が深さを有する様にしても良い。
又、上記外輪27の軸方向一部の楕円形状を有する部分は、この外輪27の軸方向中心Nに関して対称となる様に形成されている。この為に、上記凹溝28は、この外輪27の軸方向中央部に形成すると共に、上記軸方向中心Nに関して対称となる様に形成されている。即ち、この凹溝28の中心とこの外輪27の軸方向中心Nとが一致しており、この軸方向中心Nから凹溝28を構成する両側面30、30までの距離は同じである。この為、この凹溝28の軸方向両側部分に存在する楕円形状を有する部分までの、上記軸方向中心Nからの距離は互いに同じとなる。又、これら各楕円形状部分の軸方向の幅も互いに同じとなる。この結果、これら各楕円形状部分は、上記軸方向中心Nに関して対称となる。
上述の様に形成される外輪27の外周面には、前記プーリ2aを射出成形により固設する。この様に構成すれば、上述した様に、外輪27の外周面の軸方向一部の外径形状が楕円であっても、上記プーリ2aをこの外輪27の外周面に容易に固設できる。又、この外輪27の外周面の軸方向中央部に形成した上記凹溝28には、射出成形時に溶融樹脂の一部がこの凹溝28内に充填固化し、上記プーリ2aの内周面に凸部31が形成される(図1参照)。この為、このプーリ2aの上記外輪27に対する軸方向の拘束力を高める事ができる。従って、本実施例の場合、前述した様に、プーリ2aの軸方向両端部内周面に、前述の図12に示した様な内向鍔部16、16を設ける必要がなく、プーリ装置1aの軸方向寸法を小さくできる。本実施例のプーリ装置1aは、例えば、自動車の補機等を駆動する為のベルト伝動機構に使用するガイドプーリ等に適用する。この為、このプーリ装置1aを、エンジンルーム内の限られた空間内に設置しなければならない。従って、本実施例の構造の様に、上記プーリ2aの軸方向寸法を小さくできれば、この様な設置空間の制限を軽減できる。
上述の様に構成する本実施例の構造の場合、上記外輪27の外周面の軸方向両側部分の外径形状を楕円とする事により、この外輪27と上記プーリ2aとの間でクリープが発生する事を防止できる。即ち、このプーリ2aがこの外輪27に対して相対回転する傾向となった場合には、このプーリ2aの内周面のうち、楕円の長径部分に隣接する部分がこの長径部分と噛み合う。そして、上記プーリ2aと上記外輪27との間でクリープが発生する事を防止する。又、本実施例の場合、このプーリ2aの内周面とこの外輪27の楕円部分の外周面同士が噛み合う部分が軸方向に広いと共に、この噛み合う部分が円周方向に関して2個所存在する為、この噛み合う部分に作用する力が分散される。この様に、噛み合う部分に作用する力が小さくなれば、上記プーリ2aの剛性が低くても、クリープ防止の際に作用する力によりこのプーリ2aが破損する事を防ぐ事ができる。又、本実施例の場合、上記楕円の長径部分の肉厚aと短径部分の肉厚bとの差「a−b」を、前述の様に規制している為、使用時の温度上昇に拘わらず、上記外輪27とプーリ2aとの結合強度を十分に確保できる。
又、本実施例の場合、上記外輪27の外周面の軸方向両側部分に形成する楕円は、この外輪27の中心軸Oに関して対称である為、上記プーリ2aがこの外輪27に対して相対回転する傾向となった場合に生じるラジアル荷重は、互いに打ち消し合う。即ち、上記プーリ2aが上記外輪27に対して相対回転する傾向となった場合、このプーリ2aの内周面のうちのこの外輪27の軸方向両側部分の楕円の長径部分と隣接する部分が、この楕円の長径部分上に向かおうとする。これに伴い、この長径部分が径方向内方に押圧され、上記外輪27にラジアル荷重が生じる。この長径部分は、上記中心軸0に関して対称となる位置に存在する為、この様に生じるラジアル荷重は互いに打ち消し合う。この結果、上記プーリ2aの内周面の一部に荷重が集中する事がない。
又、上記外輪27の軸方向両側部分の楕円形状を有する部分は、この外輪27の軸方向中心Nに関して対称となる様に形成されている為、上記プーリ2aがこの外輪27に対して相対回転する傾向となった場合に、クリープを防止する際に作用する円周方向の力が、軸方向に関して均一に作用する。この為、モーメント荷重の発生を防ぐ事ができる。例えば、上記各楕円形状を有する部分のうち、どちらか一方の軸方向の幅が、他方の幅よりも大きい場合には、上記クリープを防止する際に作用する円周方向の力が、一方の楕円形状を有する部分の方が大きくなる。この結果、このクリープを防止する際に作用する力が軸方向に関して均一とならず、摩擦係数の相違やプーリに加わるラジアル荷重の方向性等により、上記ラジアル荷重が完全に打ち消されない場合には、モーメント荷重が生じる。これに対して、本実施例の様に、上記各楕円形状を有する部分を、上記軸方向中心Nに関して対称に形成すれば、この様なモーメント荷重が、より生じにくくできる。
又、本実施例の場合、上記外輪27の外周面の軸方向中央部に形成した凹溝28の溝底面29を円筒面としている為、この外輪27の内周面に形成する外輪軌道6の加工性及び加工精度が低下する事はない。即ち、この外輪軌道6の加工の際には、上記溝底面29を支持する事により、この外輪軌道6の加工性及び加工精度を良好にできる。又、上述した様な外径形状を有する外輪27を形成する為には、この外輪27の外周面の軸方向全体の外径形状が楕円となる様な内周面形状を有する型により鍛造加工を施す。そして、上記凹溝28を、上記外輪27の外周面の軸方向中央部にNC旋盤等により形成する。この様な加工は比較的簡単に行なえる為、上述の様な凹溝28を形成する為のコストが高くなる事はない。
又、上記凹溝28の幅は、上記外輪軌道6の加工の際に上記外輪27を支持できる程度確保できれば良い。又、本実施例の場合、クリープを発生させようとする力が大きい様な場合には、上記外輪27のうちの、外径形状が楕円である軸方向両側部分の肉厚の変化量「a−b」を大きくしたり、これら軸方向両側部分の幅を大きくすれば良い。この為、前述の図14〜15に示した特許文献3〜4に記載された構造の様に、凹溝の加工領域を大きくする必要はない。
図5は、請求項1〜4、7、8に対応する、本発明の実施例2を示している。本実施例の場合、上述した実施例1とは逆に、外輪27aの外周面のうち、軸方向中央部に形成した凹溝28aの溝底面29aの外径形状を楕円とし、この凹溝28aの軸方向両側部分のの外径形状を円筒面としている。この為、上記外輪27aの外周面にプーリ2aを射出成形により固設した場合、このプーリ2aの内周面のうち、上記凹溝28a内に形成される凸部31(図1参照)の内周面が楕円形状となる。この為、このプーリ2aが上記外輪27aに対して相対回転する傾向となった場合には、上記凸部31の一部と上記凹溝28aの溝底面29aの一部との噛み合いによりクリープを防止する。
又、上述の様に、溝底面29aの形状が楕円である凹溝28aを形成する為には、外周面の軸方向全体が円筒面状に形成された外輪27aの軸方向中央部に、工具を突き当てながらこの外輪27aを回転させて、この軸方向中央部に旋削加工を施す。この旋削加工では、NC旋盤等を使用し、上記外輪27aの回転に同期させて上記工具の位置を、この外輪27aの径方向にずらしながら行なう。即ち、上記溝底面29aを構成する楕円の短径部分では、上記工具を上記外輪27aの回転中心に近付け、楕円の長径部分では、この工具を回転中心から遠ざける。この結果、上記外輪27aの軸方向中央部に溝底面29aの外径形状が楕円である上記凹溝28aが形成される。又、この外輪27aの内周面に外輪軌道6を形成する作業は、この外輪27aの外周面のうちの軸方向両側の円筒面部分を支持して行なう、センタレス加工等により容易に行なえる。その他の構造及び作用は、上述の実施例1と同様である。
図6は、請求項1〜4、7、8に対応する、本発明の実施例3を示している。本実施例の場合、上述した実施例2の構造とは逆に、外輪27bの外周面の軸方向中央部の外径形状を円筒面とし、この円筒面とした部分の軸方向両側に、2本の凹溝28a、28aを形成している。そして、これら各凹溝28a、28aの溝底面29aの外径形状を楕円としている。又、これら各凹溝28a、28aは、軸方向中心Nに関して対称に形成されている。この為、クリープを防止する際に作用する力によりモーメント荷重が発生する事を防げる。この様に構成される本実施例の場合、外輪27bの内周面に形成される外輪軌道6が単列であっても、上記各凹溝28a、28aの溝底面29aとの距離を或る程度確保できる為、前述した実施例1と異なり、外輪27bの肉厚を大きくしなくても、この外輪27bの強度を確保し易い。尚、上記凹溝28a、28aの本数は、3本以上としても良い。その他の構造及び作用は、上述の実施例2と同様である。
図7は、請求項1〜3、5、7、8に対応する、本発明の実施例4を示している。本実施例の場合、外輪27cの外周面のうち、軸方向一部の外径形状を正方形とし、軸方向他部に形成した凹溝28の溝底面29の外径形状を円筒面としている。軸方向に関して一部と他部との関係は、前述の実施例1或は上述の実施例3と同様である。即ち、このうちの実施例1と同様に、上記外輪27cの外周面の軸方向中央部に上記凹溝28を1本形成しても良いし、実施例3と同様に、この外輪27cの外周面に複数本の凹溝28を形成しても良い。又、本実施例の場合、上記外輪27cの軸方向一部の外径形状を正方形としている為、この軸方向一部の外径形状は、この外輪27cの中心軸Oに関して対称となる。又、この外輪27cの外周面の、正方形の角部の肉厚aと、各辺部分の肉厚bとの差「a−b」を、前述の実施例1と同様に規制する。これにより、使用時の温度上昇に拘わらず、上記プーリ2aと上記外輪27cとの結合強度を確保できる。尚、上記正方形の角部は、それぞれ丸めて形成しても良い。この場合も、上記肉厚の差「a−b」を上記実施例1と同様に規制する。
上述の様な外径形状を有する外輪27cを形成する為には、鍛造加工等により、外周面の軸方向全体が正方形を有する外輪27cを形成した後、この外輪27cの外周面の軸方向他部に、上記凹溝28をNC旋盤等により形成する。この場合、この外輪27cを回転させながら、所定位置に工具を突き当てる事により、この外輪27cの外周面の軸方向他部を旋削する。この様に外輪27cの加工は、簡単に行なえる為、製造コストが嵩む事はない。
上述の様な構成を有する外輪27cの外周面に、射出成形によりプーリ2a(図1参照)を固設する。この結果、このプーリ2aの内周面のうちの軸方向一部の形状が正方形となり、軸方向他部に凸部31(図1参照)が形成され、この凸部31の内周面形状が円筒面となる。この様に構成される本実施例の場合、上記プーリ2aが上記外輪27cに対して相対回転する傾向となっても、このプーリ2aの内周面とこの外輪27cとの軸方向一部の形状が正方形を有している為、このプーリ2aがこの外輪27cに対して相対回転する事を防げる。又、本実施例の場合、クリープを防止する際にこのプーリ2aとこの外輪27cの軸方向一部が噛み合う部分は、円周方向に関して4個所存在する。この為、各噛み合い部分に作用する力は、前述の実施例1に示した楕円よりも更に小さくできる。尚、本実施例の構造を、外輪の外周面のうち、凹溝の溝底面の外径形状を正方形とし、凹溝を形成した以外の部分の外径形状を円筒面とする事もできるが、この様な構造とした場合、凹溝を精度良く形成する事が難しい。その他の構造及び作用は、前述の実施例1と同様である。
図8は、請求項1〜3、5、7、8に対応する、本発明の実施例5を示している。本実施例の場合、外輪27dの外周面のうち、軸方向一部の外径形状を正六角形とし、軸方向他部に凹溝28を形成し、この凹溝28の溝底面29の外径形状を円筒面としている。又、本実施例の場合も、上記外輪27dの、この正六角形の角部の肉厚aと、各辺部分の肉厚bとの差「a−b」を、前述の実施例1と同様に規制している。更に、上記外輪27dの軸方向一部の外径形状が正六角形である為、この軸方向一部の外径形状は、この外輪27dの中心軸Oに関して対称である。尚、この様に、軸方向一部の外径形状をこの中心軸Oに関して対称とする為には、上述した実施例4に示した正方形や、本実施例に示す正六角形等の、nが4以上の偶数である、正n角形とする事が好ましい。但し、このnが大きい多角形状の場合、角部の角度が大きくなり、上記肉厚aとbとの差も小さくなる為、クリープ防止効果を得にくい。この為、多角形状としては、上記実施例4に示した正方形や本実施例に示す正六角形を採用する事が好ましい。その他の構造及び作用は、上述の実施例4と同様である。
図9〜10は、請求項1〜3、6〜8に対応する、本発明の実施例6を示している。本実施例の場合、外輪27eの外周面のうち、軸方向中央部の外径形状を円筒面とし、軸方向両端部の外径形状を楕円としている。そして、この円筒面部分と楕円部分との間にテーパ面32、32を設けて、これら円筒面部分と楕円部分とをこれら各テーパ面32、32により連続させている。これら各テーパ面32、32と楕円部分とは、上記外輪27eの軸方向中心Nに関して対称に形成している。従って、これら各テーパ面32、32は、それぞれ軸方向端部側に向かう程径方向内方に向かう方向に傾斜し、傾斜方向が互いに逆である。又、上記各テーパ面32、32の軸方向に対する傾斜角度の絶対値は、同じである。更に、上記楕円部分の長径と短径との円周方向に関する位相が同じである。
又、上記各テーパ面32、32の傾斜角度は、円周方向に関して変化せず、これら各テーパ面32、32の傾斜方向の幅が円周方向に関して変化する。即ち、上記外輪27eの外周面のうちの軸方向両端部の外径形状を楕円とする事により、この外輪27eの軸方向両端部の肉厚を、円周方向に関して変化させている。そして、肉厚が大きくなる長径部分の外周面には、軸方向と平行な面が存在し、肉厚が小さくなる短径部分の外周面には、この面は存在しない。この様に、上記外輪27eの軸方向両端部の肉厚の変化に伴い、外径形状が楕円である部分の外周面の軸方向の幅が変化する。これに対して、上記軸方向中央部の円筒面の幅は変化しない。従って、外径形状が楕円である部分の幅方向中央側の端縁部と連続する上記各テーパ面32、32の幅方向端部寄りの端縁部の形状が楕円となり、これら各テーパ面32、32の傾斜方向の幅も円周方向に関して変化する。そして、上記楕円の長径部分ではこれら各テーパ面32、32が存在せず、この楕円の短径部分ではこれら各テーパ面32、32の傾斜方向の幅が最も大きくなり、これら各テーパ面32、32の端縁部が、上記外輪27eの端部に達する。
上述の様な外径形状を有する外輪27eの外周面には、前述の各実施例と同様に、プーリ2a(図1参照)を射出成形により固設する。この様に固設されたプーリ2aの軸方向両端部側の内周面形状は、上記外輪27eの外周面に形成したテーパ面32、32に沿って変化する。即ち、これら各テーパ面32、32と外径形状が楕円である部分の外周面とで構成される輪郭を有する凸部が、上記プーリ2aの軸方向両端部内周面にそれぞれ形成される。この為、これら各凸部の内周面の形状は、上記外径形状が楕円である部分の外周面に沿って楕円形状となる。そして、上記プーリ2aが上記外輪27eに対して相対回転する傾向となっても、これら各凸部の内周面と外径形状が楕円である部分との噛み合いにより、クリープの発生を防止できる。又、上記各凸部の軸方向中央側面部分は、上記各テーパ面32、32に沿って傾斜している為、上記プーリ2aの上記外輪27eに対する軸方向の拘束力を高める事ができる。
又、上記各テーパ面32、32は、傾斜方向を互いに逆としており、外径形状が楕円である部分の長径と短径との円周方向に関する位相を同じとしている為、上記外輪27eの円周方向一部にラジアル荷重が作用した場合に、これら各テーパ面32、32に生じるアキシアル荷重は互いに打ち消し合う方向に作用すると共に、これら各テーパ面32、32の幅が円周方向に関して互いに同じとなり、アキシアル荷重の大きさも互いに同じとなる。この為、アキシアル荷重の不釣り合いによるモーメント荷重の発生を抑えられる。尚、上記外輪27eの軸方向両端部の外周面の外径形状は、正方形や正六角形等の多角形状としても良い。
図11は、請求項1〜4、7、8に対応する、本発明の実施例7を示している。本実施例の場合、外輪27fの外周面の軸方向中央部に、断面V字形の凹溝28bを形成している。即ち、この凹溝28bは、軸方向中央側に向かう程径方向内方に傾斜したテーパ面32a、32aにより構成され、これら各テーパ面32a、32aの幅方向中央側の端縁部同士を、上記外輪27fの軸方向中心N上で突き合わせた形状としている。この為、これら各テーパ面32a、32aは、上記軸方向中心Nに関して対称となる。又、上記凹溝28bの深さは円周方向に変化させている。そして、この凹溝28bを構成する上記各テーパ面32a、32aの外径形状を楕円としている。即ち、これら各テーパ面32a、32aが、請求項4に記載した凹溝の溝底面に相当し、これら各テーパ面32a、32aの幅が円周方向に関して変化する。この結果、上記凹溝28bの深さが円周方向に関して変化し、上記各テーパ面32a、32aの外径形状が楕円となる。又、この様に凹溝28bの深さを円周方向に関して変化させる為、上記外輪27fの軸方向中央部の径方向の肉厚が円周方向に関して変化する事となる。一方、この凹溝28bの軸方向両側部分は、円周方向に関して肉厚を変化させず、外径形状を円筒面としている。
上述の様に、各テーパ面32a、32aの外径形状が楕円である凹溝28bを形成する為には、外周面の軸方向全体が円筒面状に形成された外輪27fの軸方向中央部に、先端部の形状がV字形である工具を突き当てながらこの外輪27fを回転させて、この軸方向中央部に旋削加工を施す。この旋削加工は、NC旋盤等を使用して、上記外輪27fの回転に同期させて、上記工具の、この外輪27fの回転中心に対する位置をずらしながら行なう。この結果、工具の位置がこの回転中心に近くなる位置では凹溝28bの深さが深くなり、この工具の位置がこの回転中心から遠くなる位置ではこの凹溝28bの深さが浅くなる。この様に構成される外輪27fの外周面にプーリ2a(図1参照)を射出成形により固設した場合には、このプーリ2aの軸方向中央部内周面に、断面V字形の凸部が形成される。上述の様な構成を有する本実施例の場合、上述の実施例6と同様に、上記プーリ2aの上記外輪27fに対する軸方向の拘束力を高める事ができる。又、上記プーリ2aの内周面に形成される凸部と上記凹溝28bのテーパ面32a、32aとの噛み合いによりクリープを防止できる。その他の構造及び作用は、前述の実施例2と同様である。
本発明の実施例1を、プーリ装置を構成する転がり軸受が、複列の玉軸受である構造に適用した場合を示す半部断面図。 実施例1を、転がり軸受が単列の玉軸受である構造に適用した場合を示す、外輪の半部断面図。 図2のA−A部分で切断した外輪の断面図。 図2の構造の外輪を示す部分切断斜視図。 本発明の実施例2を示す図3と同様の図。 同じく実施例3を示す図2と同様の図。 同じく実施例4を示す図3と同様の図。 同じく実施例5を示す図3と同様の図。 同じく実施例6を示す図2と同様の図。 実施例6の構造の外輪を示す部分切断斜視図。 本発明の実施例7を示す図2と同様の図。 従来構造のプーリ装置の部分切断斜視図。 従来のクリープを防止する為の構造の第1例を示す、(A)は半部断面図、(B)は(A)の側方から見た図。 同じく第2例の構造を示す、外輪の径方向外方から見た図。 同じく第3例の構造を示す、外輪の径方向外方から見た図。 同じく第4例の構造を示す断面図。 同じく第5例の構造を示す、外輪の斜視図。
符号の説明
1、1a プーリ装置
2、2a プーリ
3 転がり軸受
4 内輪軌道
5 内輪
6 外輪軌道
7、7a〜7f 外輪
8 転動体
9 密封板
10、10a 内径側円筒部
11、11a 外径側円筒部
12、12a 連結部
13、13a 補強リブ
14 ナール
15、15a、15b、15c 凹溝
16 内向鍔部
17 平面部
18 偏心切り欠き部
19 転がり軸受
20 外輪
21 外輪軌道
22 内輪
23 内輪軌道
24 転動体
25 保持器
26 シールリング
27、27a〜27f 外輪
28、28a、28b 凹溝
29、29a 溝底面
30 側面
31 凸部
32、32a テーパ面

Claims (8)

  1. 外周面に内輪軌道を有する内輪と、内周面に外輪軌道を有する外輪と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体と、この外輪の外周面に固設した合成樹脂製のプーリとを備えたプーリ装置に於いて、この外輪の軸方向一部の径方向の肉厚を円周方向に関して変化させる事により、この外輪の軸方向一部の外径形状を、この外輪の中心軸に関して対称である、円筒面以外の形状とし、この外輪の軸方向他部の径方向の肉厚は円周方向に関して変化させず、この外輪の軸方向他部の外径形状を円筒面とした事を特徴とするプーリ装置。
  2. 外輪の軸方向一部の外径形状が、楕円若しくは多角形状である、請求項1に記載したプーリ装置。
  3. 外輪の軸方向一部の径方向の肉厚の円周方向に関する変化量の最大値を、使用時の温度上昇により、この外輪の外周面とプーリの内周面との間に生じる隙間よりも大きくした、請求項1〜2の何れかに記載したプーリ装置。
  4. 外輪の外周面の軸方向一部に、円周方向に凹溝を形成しており、この凹溝の溝底面の外径形状を円筒面以外の形状とした、請求項1〜3の何れかに記載したプーリ装置。
  5. 外輪の外周面の軸方向他部に、円周方向に凹溝を形成しており、この凹溝の溝底面の外径形状を円筒面とした、請求項1〜3の何れかに記載したプーリ装置。
  6. 外輪の外周面のうち、外径形状が円筒面以外の形状である部分と、外径形状が円筒面である部分との間に、軸方向に対して傾斜したテーパ面を形成しており、これら各部分をこのテーパ面により軸方向に連続させている、請求項1〜3の何れかに記載したプーリ装置。
  7. 外輪の外周面のうちの外径形状が円筒面以外の形状である部分が、この外輪の軸方向中心に関して対称である、請求項1〜6の何れかに記載したプーリ装置。
  8. プーリが外輪の外周面に射出成形により固設されたものである、請求項1〜7の何れかに記載したプーリ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104760861A (zh) * 2015-04-13 2015-07-08 恒达富士电梯有限公司 用于钢带电梯的专用导向轮

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