JP2005188367A - エンジン停止装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
耐久性を向上させるとともに、小型化を図ることができるエンジン停止装置を提供する。
【解決手段】
車両の傾斜の検出に基づき当該車両の転倒を認識し、エンジンを停止するためのエンジン停止装置において、車両の傾斜を電気的に検出し、且つ、傾斜角度に応じた大きさの電圧を連続的に出力し得る傾斜センサ2と、該傾斜センサ2からの電圧値が所定の上限値又は下限値を超えた際に車両が転倒したとしてエンジンを停止させるための停止信号を出力する比較器3と、傾斜センサ2から比較器3に送られた出力の電圧値が所定の上限値又は下限値を超えてから所定時間経過した後、比較器3から出力された停止信号を車両が具備するECU6に送信する遅延手段4とを備えたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の傾斜の検出に基づき当該車両の転倒を認識し、エンジンを停止するためのエンジン停止装置に関するものである。
二輪車が転倒した状態においてエンジンが駆動し続けていると二次的事故を誘発する可能性があることに鑑み、従来より、二輪車の転倒を認識してエンジンを停止させるべく当該二輪車の傾斜を検出する傾斜検出装置を用いたエンジン停止装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかるエンジン停止装置は、振り子として機能する錘の一部に着磁しておき、車両が傾斜することにより当該錘が所定角度振れて着磁部分の磁力を検出しなくなったら転倒したと認識するよう構成されていた。
特開2002−340552号公報
しかしながら、上記従来のエンジン停止装置においては、錘を振り子として機能させた機械的構造を持つため耐久性に限界があるとともに、錘の振れスペースを確保する必要があるためエンジン停止装置の小型化が難しかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、耐久性を向上させるとともに、小型化を図ることができるエンジン停止装置を提供することにある。
請求項1記載の発明は、車両の傾斜の検出に基づき当該車両の転倒を認識し、エンジンを停止するためのエンジン停止装置において、車両の傾斜を電気的に検出し、且つ、傾斜角度に応じた大きさの電圧を連続的に出力し得る傾斜センサと、該傾斜センサからの電圧値が所定の上限値又は下限値を超えた際に車両が転倒したとしてエンジンを停止させるための停止信号を出力する比較器と、前記傾斜センサから前記比較器に送られた出力の電圧値が所定の上限値又は下限値を超えてから所定時間経過した後、当該比較器から出力された停止信号を車両が具備するエンジン制御手段に送信する遅延手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のエンジン停止装置において、前記傾斜センサは、熱源から生じる高温空気層の変位を検出し、その検出に基づいた大きさの電圧を連続的に出力するセンサから成ることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のエンジン停止装置において、前記比較器からの停止信号の送信により車両のエンジンが停止した後、当該車両のメインスイッチを一旦オフした後オンしなければエンジンの始動がなされないことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、傾斜センサが車両の傾斜を電気的に検出し、且つ、傾斜角度に応じた大きさの電圧を連続的に出力し得るものであって、比較器により当該傾斜センサからの電圧値が所定の上限値又は下限値を超えたと認識され、且つ、遅延手段により所定時間経過した場合に、車両が転倒したと認識して停止信号をエンジン制御手段に送信し得るので、エンジン停止装置の耐久性を向上させ、装置の小型化を図ることができると共に、車両の振動等による転倒の誤認を防止でき、装置の信頼性をより向上させることができる。
請求項2の発明によれば、傾斜センサが熱源から生じる高温空気層の変位に基づいた電圧を出力し、車両の傾斜角度を検出するので、車両の振動等によって傾斜センサが破損してしまうのを確実に回避でき、装置の信頼性を向上させることができる。
請求項3の発明によれば、比較器からの停止信号の送信により車両のエンジンが停止した後、当該車両のメインスイッチを一旦オフした後オンしなければエンジンの始動がなされないので、車両の転倒後において運転者の意図しないエンジンの始動が許可されず、より安全性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るエンジン停止装置は、二輪車の点火装置上部近傍に取り付けられ、二輪車の傾斜の検出に基づき当該二輪車の転倒を認識し、エンジンを停止するためのもので、図1に示すように、傾斜センサ2と、比較器3と、遅延手段4と、復帰手段5とから主に構成されている。
傾斜センサ2は、二輪車の傾斜を電気的に検出し、且つ、傾斜角度に応じた大きさの電圧を連続的に出力し得るものであり、図2に示すような所謂ガスレートセンサから成るものである。かかるガスレートセンサは、二輪車に固定されるセンサ本体Kと、該センサ本体Kの略中央に形成された熱源としてのヒーターバーHと、センサ本体Kの縁部に形成されて当該部位の温度を検出し得る検出部B1及びB2とから主に構成されている。
そして、ヒーターバーHにてセンサ本体Kの略中央部分の空気を加熱し、高温空気層Aを生じさせるとともに、検出部B1及びB2にて温度を常時検出しておく。然るに、車両が倒立状態であってセンサ本体Kが同図の状態(水平状態)である場合、高温空気層Aは当該センサ本体Kの略中央に留まっているため、検出部B1及びB2で検出される温度は略同等であり、かかる状態における出力値を0とする。
二輪車の傾斜に伴いセンサ基板Kがa方向に傾くと、慣性の法則に基づいて高温空気層Aが同図中右側に変位(移動)し、傾斜角度に応じて検出部B2側で検出される温度が検出部B1側で検出される温度よりも高くなるため、かかる温度差に応じた大きさの電圧を出力するように構成されている。反対に、二輪車の傾斜に伴いセンサ基板Kがb方向に傾いた場合も同様に、傾斜角度に応じて検出部B1側で検出される温度が検出部B2側で検出される温度よりも高くなるため、かかる温度差に応じた大きさの電圧(a方向に傾いた場合の電圧をプラス値とした場合、マイナス値となる)を出力する。
即ち、本傾斜センサ2は、二輪車の傾斜に伴いセンサ基板Kが傾くことにより高温空気層Aが変位し、該変位に基づいた大きさの電圧を連続的に出力し、車両の傾斜角度を検出するセンサから構成されているため、二輪車の走行中に付与される振動等によって当該傾斜センサ2が破損してしまうのを確実に回避でき、エンジン停止装置1の信頼性を向上させることができる。例えば、傾斜センサ2から出力される電圧値は、図3に示すように、二輪車の傾斜角度(横軸)に応じた大きさの電圧値とされ、左側(a方向)に傾くとプラス値、右側(b方向)に傾くとマイナス値となるよう設定されている。
比較器3は、傾斜センサ2からの電圧値(連続的に出力され、二輪車の傾斜角度に応じた大きさの電圧値)が所定の上限値又は下限値を超えた際に二輪車が転倒したとしてエンジンを停止させるための停止信号を出力するためのものである。具体的には、設定される上限値及び下限値は、二輪車が転倒したと判断されるであろう値とされ、図3に示すように、二輪車が左側に傾くことにより出力される電圧値をプラス値、右側に傾くことにより出力される電圧値をマイナス値とした場合、上限値は左側に二輪車が転倒したと判断される閾値α(例えば+65°)、下限値は右側に二輪車が転倒したと判断される閾値β(例えば−65°)となる。
遅延手段4は、傾斜センサ2から比較器3に送られた出力の電圧値が上限値(α)又は下限値(β)を越えてから所定時間(例えば1秒間)経過した後、停止信号をエンジン制御手段としてのECU6に送信するためのものである。これにより、二輪車の振動等により転倒していないにも関わらず電圧値が瞬間的(例えば1秒間以内)に上限値(α)又は下限値(β)を越えた場合の誤検出(転倒の誤認)及びそれに基づく誤作動を防止できるので、エンジン停止装置1の信頼性をより向上させることができる。
復帰手段5は、比較器3からの停止信号の送信により二輪車のエンジンが停止した後、当該二輪車のメインスイッチ7を一旦オフした後オンしなければエンジンの始動がなされないよう指示するものである。かかる復帰手段5により、二輪車の転倒によりエンジンが停止した後に再びエンジン始動させる際、運転者がメインスイッチ7を一旦オフした後にオンする必要があり、運転者の意図しないエンジンの始動が許可されないので、より安全性を向上させることができる。
次に、本実施形態のエンジン停止装置1に係る具体的回路構成について図4に基づいて説明する。
比較器3は、並列に接続された2つのコンパレータIC1、IC2及び直列に接続された3つの抵抗R1〜R3を有したウインドウコンパレータ回路で構成され、このうち各コンパレータIC1及びIC2が傾斜センサ2と電気的に接続されている。一方、二輪車が具備するバッテリー(不図示)と接続されたVcc端子は、電源ラインL1の一端に接続され、該電源ラインL1の他端は抵抗R4を介して比較器3から延びるラインL4の途中に接続されている。
尚、二輪車が具備するメインスイッチ7(図1参照)をオンすることにより、Vcc端子からの電圧印加が行われる一方、オフすることにより電圧印加が遮断されるよう構成されている。また、図中L3はグランド端子GNDを有したグランドライン、L2は出力端子を有した出力ラインをそれぞれ示している。
また、電源ラインL1の途中にはラインL5の一端が接続されており、該ラインL5にはトランジスタTR3及びTR2、抵抗R5、ダイオードD2が接続されつつ接地されている。このうちトランジスタTR3のベース電極にはラインL4の他端が接続されているとともに、トランジスタTR2のベース電極には電源ラインL1の途中から延びたラインL8の他端が接続されている。かかるラインL8にはダイオードD1及び抵抗R8が接続されている。
更に、電源ラインL1の途中には、抵抗R6及びトランジスタTR1を有したラインL6の一端が接続されており、該トランジスタTR1のベース電極には、抵抗R7を有したラインL7の一端が接続されている。かかるラインL7は、途中においてラインL5と接続されているとともに、他端には複数のコンデンサC1〜C3から成る遅延手段4が接続されている。尚、ラインL6に接続された抵抗R6、トランジスタTR1、及びラインL8に接続されたダイオードD1及びトランジスタTR2により復帰手段5(図1参照)が構成されている。
そして、転倒していない状態でメインスイッチ7をオンすると、傾斜センサ2から上限値(α)と下限値(β)の間の電圧値が出力されるので比較器3がオフ状態となる一方、Vccから供給される電流が抵抗R4を介してトランジスタTR3のベース電極に流れて当該トランジスタTR3がオンする。これにより、Vccからの電流がラインL5を流れ、ダイオードD2を通った電流が遅延手段4の各コンデンサC1〜C3を充電することとなる。
各コンデンサC1〜C3の充電が完了すると、ダイオードD2を通った電流がL7を流れ、トランジスタTR1をオンすることとなり、出力端子とグランドとが通じた状態となっている。このとき、出力端子の電位とグランドの電位とが等しくなっているのでラインL8側には電流が流れず、トランジスタTR2はオフしたままとなっている。
上記状態から二輪車が転倒すると、傾斜センサ2から出力される電圧値が上限値(α)又は下限値(β)を越えることとなり、比較器3がオンする。かかる比較器3がオンすると、Vccからの電流は当該比較器3に吸い込まれることとなり、トランジスタTR3がオフする。これによりトランジスタTR1のベース電極に対するVccからの電流の供給が停止するのであるが、遅延手段4のコンデンサC1〜C3にて充電された電力がラインL7を介して当該トランジスタTR1のベース電極に供給されるので、出力端子とグランドが通じた状態は維持されるとともに、トランジスタTR2はオフしたままとなっている。
その後、各コンデンサC1〜C3が放電して所定値以下となると、トランジスタTR1のベース電極に対する電流の供給が停止し、当該トランジスタTR1がオフするので、出力端子はグランドに対して所定の電圧を有した状態となり、かかる電圧によりECU6に対してエンジンを停止するための停止信号が送信されることとなる。一方、Vccからの電流は、ラインL2の途中からラインL8側に分岐し、トランジスタTR2のベース電極に供給されてオンすることとなる。
このようにトランジスタTR2がオンすると、転倒した二輪車を倒立状態に戻してトランジスタTR3がオンしたとしても、ラインL5を通った電流がラインL7側へ流れず(ラインL5におけるダイオードD2より下流側が接地しているのに対してラインL7におけるトランジスタTR1側には抵抗R7があるため)、トランジスタTR1はオフしたまま(即ち、出力端子からの停止信号が送信され続けて、エンジンの停止が維持された状態)となる。
そして、メインスイッチ7をオフしてVccから供給される電力を遮断すると、トランジスタTR2もオフして初期状態に戻ることとなり、その後、二輪車を倒立状態のままメインスイッチ7をオンしてVccからの電力供給を再開すれば、既述の如く出力の電位とグランドの電位とが等しくなってECU6に対する停止信号の送信が行われず、エンジン始動が可能となる。
本実施形態によれば、コンデンサC1〜C3から成る遅延手段4により、傾斜センサ2から比較器3に送られた出力の電圧値が上限値(α)又は下限値(β)を超えてから所定時間(各コンデンサC1〜C3が放電して所定値以下となるまでの時間)経過するまで、ECU6に対する停止信号が送信されず、当該所定時間を経過してから停止信号が送信されるので、二輪車の振動等による転倒の誤認を防止することができる。尚、コンデンサC1〜C3の時定数を調節すれば、停止信号が送信されるまでの時間を設定に設定することができる。
また、二輪車が転倒してエンジンが停止した後、当該二輪車を倒立状態に戻したとしてもエンジン停止装置1は初期状態に戻らず、エンジンは停止したままとされるとともに、一旦メインスイッチ7をオフした後オンすることにより、初期状態に戻ってエンジン始動が可能とされているので、運転者の意図しない不意なエンジン始動が回避され、安全性をより向上させることができる。
更に、傾斜センサ2が二輪車の傾斜を電気的に検出するものであるため、従来の振り子としての錘を具備したものに比べ、エンジン停止装置1の耐久性を向上させ得るとともに、振り子の揺動スペースを不要とすることができるため、装置の小型化を図ることができる。
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば傾斜センサを二輪車の傾斜を電気的に検出し、且つ、傾斜角度に応じた大きさの電圧を連続的に出力し得る他の傾斜センサとしてもよく、或いは比較器3をマイコンから成るものとして、傾斜センサからの電圧値が所定の上限値又は下限値を超えた際に二輪車が転倒したとしてECUに停止信号を送信するものとしてもよい。更に、遅延手段や復帰手段は、本実施形態と同様の機能を有するものであれば他の構成要素に代えてもよい。また更に、本実施形態においては二輪車に適用しているが、他の車両(例えばATVやPWC等)に適用するようにしてもよい。
傾斜センサが車両の傾斜を電気的に検出し、且つ、傾斜角度に応じた大きさの電圧を連続的に出力し得るものであって、比較器により当該傾斜センサからの電圧値が所定の上限値又は下限値を超えた際に車両が転倒したと認識して停止信号をエンジン制御手段に送信し得るエンジン停止装置であれば、外観や各構成要素の形状等が異なるもの、或いは他の機能が付加されたものであっても適用することができる。
本発明の実施形態に係るエンジン停止装置を示すブロック図 同エンジン停止装置における傾斜センサの作動原理を示す模式図 車両の傾斜角度に対して傾斜センサが検出する電圧値を示すグラフ 同エンジン停止装置を示す回路図
符号の説明
1 エンジン停止装置
2 傾斜センサ
3 比較器
4 遅延手段
5 復帰手段
6 ECU(エンジン制御手段)
7 メインスイッチ

Claims (3)

  1. 車両の傾斜の検出に基づき当該車両の転倒を認識し、エンジンを停止するためのエンジン停止装置において、
    車両の傾斜を電気的に検出し、且つ、傾斜角度に応じた大きさの電圧を連続的に出力し得る傾斜センサと、
    該傾斜センサからの電圧値が所定の上限値又は下限値を超えた際に車両が転倒したとしてエンジンを停止させるための停止信号を出力する比較器と、
    前記傾斜センサから前記比較器に送られた出力の電圧値が所定の上限値又は下限値を超えてから所定時間経過した後、当該比較器から出力された停止信号を車両が具備するエンジン制御手段に送信する遅延手段と、
    を備えたことを特徴とするエンジン停止装置。
  2. 前記傾斜センサは、熱源から生じる高温空気層の変位を検出し、その検出に基づいた大きさの電圧を連続的に出力するセンサから成ることを特徴とする請求項1記載のエンジン停止装置。
  3. 前記比較器からの停止信号の送信により車両のエンジンが停止した後、当該車両のメインスイッチを一旦オフしなければエンジンの始動がなされないことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエンジン停止装置。
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