JP2005187739A - アルミン酸塩蛍光体の製造方法、アルミン酸塩蛍光体前駆体及びアルミン酸塩蛍光体 - Google Patents

アルミン酸塩蛍光体の製造方法、アルミン酸塩蛍光体前駆体及びアルミン酸塩蛍光体 Download PDF

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Abstract

【課題】 アルミン酸塩蛍光体の組成を均一化して発光強度を向上させるとともに、アルミン酸塩蛍光体の製造コストを低減する。
【解決手段】 アルミン酸塩蛍光体を構成する全ての金属陽イオンを含む溶液中へ、当該金属陽イオンを沈殿させる二種以上の沈殿剤を添加し、得られた沈殿物を分離収集、乾燥することによりアルミン酸塩蛍光体前駆体を得、このアルミン酸塩蛍光体前駆体を焼成してアルミン酸塩蛍光体を製造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アルミン酸塩蛍光体の製造方法、アルミン酸塩蛍光体前駆体及びアルミン酸塩蛍光体に関する。
近年、希ガス放電により放射される真空紫外線により蛍光体を励起して発光させる構造を有する真空紫外線励起発光素子の開発が盛んに行われている。
この真空紫外線励起発光素子の例に、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」という。)が挙げられる。このPDPは多数の微小放電空間(以下「表示セル」という。)をマトリックス状またはストライプ状に配置して構成した表示素子であり、各表示セル内に放電電極が設けられ、各表示セルの内壁に蛍光体が塗布されている。表示セル内の空間にはHe−Xe、Ne−Xe、Ar等の希ガスが封入されており、上記放電電極に電圧が印加されることにより、表示セル内で希ガスの放電が起こり、真空紫外線が放射される。この真空紫外線により蛍光体が励起されて可視光を発生し、所定位置の表示セルの蛍光体が発光することにより画像が表示される。
フルカラーPDPの場合、各表示セルは、真空紫外線により赤、緑、青にそれぞれ発光する蛍光体を備え、これら蛍光体の発光色が異なる複数の表示セルがマトリックス状またはストライプ状に配置されることにより、フルカラーの表示が可能となる。このフルカラーPDPには、(Y、Gd)BO3:Euなどの赤色蛍光体、Zn2SiO4:Mn、BaAl1219:Mnなどの緑色蛍光体、BaMgAl1017:Euなどの青色蛍光体が使用されている。これらの蛍光体のうち、BaMgAl1017:Euは、輝度及び寿命の面で他の色の蛍光体と比べて劣っていることが問題となっており、特に改善が望まれている。
BaMgAl1017:Euに代表されるアルミン酸塩蛍光体は、例えば特許文献1に記載の方法により製造することができる。特許文献1では、アルミン酸塩蛍光体の各構成金属元素を含む化合物の粉体を原料として固体粉体の形で混合し、得られた粉体混合物を弱還元雰囲気中で焼成する固相法によってアルミン酸塩蛍光体を製造する。例えば、組成式Ba0.9Eu0.1MgAl1017で表されるアルミン酸塩は、バリウム化合物、ユウロピウム化合物、マグネシウム化合物、及びアルミニウム化合物のそれぞれをBa:Eu:Mg:Al=0.9:0.1:1:10の割合となるように混合し、得られた粉体混合物を弱還元雰囲気で焼成することにより得られる。
特許文献2に記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法では、α−アルミナ粉末と、アルミン酸塩蛍光体を構成する金属のイオンを含む水溶液と、該イオンを沈殿させる沈殿剤とを混合してアルミン酸塩蛍光体前駆体を製造し、この前駆体を焼成することによりアルミン酸塩蛍光体を製造している。
特許文献3の実施例2に開示されたゾルゲル法によるBaMgAl1017:Euの製造方法では、AlアルコキシドとBa原料のエタノール溶液、AlアルコキシドとEu原料のエタノール溶液、及びAlアルコキシドとMgのエタノール溶液をそれぞれ製造して原料溶液とし、各原料溶液を所定の配合比で混合した後、水を添加してゲル化させることによりアルミン酸蛍光体前駆体を製造している。
特開平8−115673号公報 特開2002−194346号公報 特開2003−138255号公報
特許文献1に記載の固相法によるアルミン酸塩蛍光体の製造方法では、原料である固体粉末をボールミル等の物理的な方法により混合するものであるため、得られたアルミン酸塩蛍光体前駆体中におけるBa、Eu、Mg、Al等の各構成金属元素の分散が不十分で、当該アルミン酸塩蛍光体前駆体を焼成して得られるアルミン酸塩蛍光体中の組成が、不均一となることが予想される。この組成の不均一性は、アルミン酸塩蛍光体の発光強度低下の原因となり、また、付活剤であるEu原子が部分的に局在することで、濃度消光と呼ばれる発光強度の低下が起こることも予想される。また、原料を混合するため長時間の混合が必要であることから生産性に劣り、加えて、前記混合時に、混合容器やボール等の混合媒体から発生する不純物によって、製造されるアルミン酸塩蛍光体が汚染され、その発光強度が低下する等の問題が生ずる恐れがある。
また、特許文献2に記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法は、アルミン酸塩蛍光体の構成金属元素の一部をイオンとして水溶液中に分散させた状態からアルミン酸塩蛍光体前駆体を製造しているため、上述した固相混合法に比較すれば組成の均一性の改善が見込まれる。しかし、Alの原料として、固体原料であるα−アルミナ粉末を使用しているため、、Al以外の金属元素が前記α−アルミナ粉体上に偏析することが考えられる。このため、得られるアルミン酸塩蛍光体前駆体中の構成金属元素の組成分布が均一なものとならない、これでは、当該前駆体を焼成して得られるアルミン酸塩蛍光体の均一性も不十分なものであり、更に、上述したEuの局在化に起因する濃度消光の問題への対策としても不十分である。
特許文献3に記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法は、アルミン酸塩蛍光体の構成金属元素を溶液として均一に分散させ、この均一分散状態からアルミン酸塩蛍光体前駆体を製造するため、均一な組成を有するアルミン酸塩蛍光体を製造できる点で優れた方法である。しかしながら、原料としての金属アルコキシドやアセチルアセトナート錯体等は、高額な金属化合物であるため、アルミン酸塩蛍光体の製造コストの大幅な上昇が考えられる。
本発明は、上述の事情を考慮してなされたものであり、アルミン酸塩蛍光体の組成を均一化して発光強度を向上させることができるとともに、アルミン酸塩蛍光体の製造コストを低減できるアルミン酸塩蛍光体の製造方法、アルミン酸塩蛍光体前駆体及びアルミン酸塩蛍光体を提供することにある。
上述の課題を解決するための第1の構成は、所望のアルミン酸塩蛍光体を構成する全ての金属の陽イオンを含む溶液を製造する工程と、
前記溶液へ、前記金属の陽イオンを沈殿させる二種以上の沈殿剤を添加し、沈殿物を生成させる工程と、
前記沈殿物を分離、乾燥してアルミン酸塩蛍光体前駆体を製造する工程と、
前記アルミン酸塩蛍光体前駆体を焼成してアルミン酸塩蛍光体を製造する工程とを、有することを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法である。
アルミン酸塩蛍光体を構成する金属をイオン化して溶液化し、当該溶液よりアルミン酸塩蛍光体前駆体の構成元素を沈殿させることで、当該構成元素が十分に分散された前駆体を得ることができ、この前駆体から作成されるアルミン酸塩蛍光体の組成が均一化するので、このアルミン酸塩蛍光体の発光強度を向上させることができる。
第2の構成は、第1の構成に記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法であって、
前記溶液へ、前記金属の陽イオンを沈殿させる二種以上の沈殿剤を添加し、沈殿物を生成させる工程において、前記二種以上の沈殿剤を、同時に、前記溶液へ添加することを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法である。
アルミン酸塩蛍光体を構成する金属の陽イオンを含む溶液と、金属の陽イオンを沈殿させる二種以上の沈殿剤を同時に混合して製造した沈殿剤溶液とを混合して、アルミン酸塩蛍光体前駆体を製造することから、この沈殿剤溶液を用いた共沈法によって、アルミン酸塩蛍光体を構成する全ての金属の陽イオンを均一に分散させた状態で、高い生産性をもって、上記構成金属が均一に分布したアルミン酸塩蛍光体前駆体を製造することができる。
第3の構成は、第1の構成に記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法であって、
前記溶液へ、前記金属の陽イオンを沈殿させる二種以上の沈殿剤を添加し、沈殿物を生成させる工程において、前記二種以上の沈殿剤を当該沈殿剤の種類毎に、二回以上に分けて、前記溶液へ添加することを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法である。
アルミン酸塩蛍光体を構成する全ての金属の陽イオンを含む溶液へ、前記金属の陽イオンを沈殿させる二種以上の沈殿剤を、個々に添加して、アルミン酸塩蛍光体前駆体を製造することから、前記沈殿剤の選択の範囲、前記溶液のpH等という状態制御方法の選択幅、等が拡大し生産コストを抑えて、上記構成金属が均一に分布したアルミン酸塩蛍光体前駆体を製造することができる。
第4の構成は、第1から第3の構成のいずれかに記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法であって、
前記沈殿剤は、炭酸イオンまたはシュウ酸イオンを提供するものであり、
前記沈殿剤添加後の前記溶液のpH値が9〜11となるように前記沈殿剤の添加量を調整することを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法である。
第5の構成は、第1から第4の構成のいずれかに記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法であって、
前記所望のアルミン酸塩蛍光体を構成する全ての金属とは、Ba、Mg、Al、および、EuとMnとから選択される少なくとも一種、であることを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法である。
第6の構成は、第1から第5の構成のいずれかに記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法であって、
前記所望のアルミン酸塩蛍光体を構成する全ての金属の陽イオンを含む溶液が、水、または水とアルコールとを含んだ溶液であることを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法である。
第7の構成は、所望のアルミン酸塩蛍光体を製造するためのアルミン酸塩蛍光体前駆体であって、
前記アルミン酸塩蛍光体前駆体中において、付活剤原子が形成する凝集相は、その大きさが2μm以下であり、且つ前記アルミン酸塩蛍光体前駆体中の全体に均一に分散していることを特徴とするアルミン酸塩蛍光体前駆体である。
第8の構成は、第7の構成に記載のアルミン酸塩蛍光体前駆体を焼成することにより、製造されたことを特徴とするアルミン酸塩蛍光体である。
本発明によれば、アルミン酸塩蛍光体の原料として、金属アルコキシドやアセチルアセトナート錯体等の高価な金属化合物を使用することなく、アルミン酸塩蛍光体を構成する全ての金属をイオン化して溶液化し、前記金属イオンを沈殿させてアルミン酸塩蛍光体前駆体を製造するので、前記前駆体中の構成元素を十分に分散でき、この前駆体から作成されるアルミン酸塩蛍光体の組成を均一化できるので、発光強度が向上したアルミン酸塩蛍光体を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態のアルミン酸塩蛍光体の製造方法は、アルミン酸塩蛍光体を構成する全ての金属イオンを含む溶液へ、二種以上の沈殿剤を混合することにより上記の金属イオンを沈殿させ、生成した沈殿物を分離、乾燥することによりアルミン酸塩蛍光体前駆体を作製し、このアルミン酸塩蛍光体前駆体を焼成してアルミン酸塩蛍光体を製造するものである。尚、アルミン酸塩蛍光体を構成する全ての金属イオンを含む溶液の溶媒としては、水、または、水へアルコール等の溶剤を添加したものが好個に用いられる。そこで以下の説明において、これら、水または水とアルコールとを含んだ溶液を溶媒として用いた場合を例として説明することとし、当該水または水とアルコールとを含んだ溶媒を水溶液と記載する。
上述の製造方法において、アルミン酸塩蛍光体を構成する金属イオンを含む水溶液中のイオンとしては、Ba、Eu、Mg、Al等の陽イオンが挙げられるが、さらにSr、Ca、Mn等の陽イオンを含んでいる場合もある。そして、前記水溶液中における、これらの陽イオンの対イオンとしては、硝酸イオンや塩化物イオンのような水溶液に対する溶解度の高い塩を生成するものが好ましい。
このように、アルミン酸塩蛍光体を構成する全ての金属が水溶液化されることで均一化し、当該水溶液へ適宜な沈殿剤を添加することで、均一な組成を有するアルミン酸塩蛍光体前駆体となる沈殿物を得ることができる。当該沈殿物から製造される前駆体を焼成して製造されるアルミン酸塩蛍光体の組成は均一化されているので、当該アルミン酸塩蛍光体の発光強度(輝度)が向上する。
また、上述したアルミン酸塩蛍光体を構成する金属イオンを含む水溶液を製造する際、、金属アルコキシドやアセチルアセトナート錯体等の高価な金属化合物を使用しないので、アルミン酸塩蛍光体の製造コストが低減される。
尚、上述したように前記水溶液としては、水が好ましく挙げられるが、反応原料が溶解するものであれば何を用いてもよいが、水にメタノール、水にエタノールなどのアルコール類を混合した溶媒が好個に使用できる。
上記、沈殿を生成させるための沈殿剤としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム等の水酸イオンを提供する沈殿剤群と、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸等の炭酸イオンまたはシュウ酸イオンを提供する沈殿剤群のうちから、異なるイオンを提供する二種以上の沈殿剤を使用することが好ましい。この理由を以下に記述する。
BaMgAl1017:Euに代表されるようなアルミン酸塩蛍光体は、複数の金属元素から構成されているため、各構成元素の金属イオンを含む水溶液から、各金属イオンが水酸化物となって沈殿するpH範囲が一致せず、これらを同時に共沈させることが困難な場合が多い。Ba、Eu、Mg、Alを含んだアルミン酸塩蛍光体前駆体を共沈法により作製する場合を例に挙げると、水酸化物として沈殿するpH範囲は、Baが約13.9以上、Mgが約9.5以上、Euが約6.6以上であるのに対し、Alは約4〜11の範囲においてのみ水酸化物として沈殿する。このため、水酸化ナトリウムやアンモニア水などの水酸イオンを提供する沈殿剤のみを用いた場合には、アルミン酸塩蛍光体の全ての構成元素の金属イオンを共沈させることが困難となる。そこで、アルミン酸塩蛍光体の全ての構成元素の金属イオンを沈殿させることのできる沈殿剤の構成について研究を行った。
上述の研究の結果、まず、沈殿剤として、提供するイオンが異なる二種以上の沈殿剤を用いる構成に想到した。ここで、提供するイオンが異なる二種以上の沈殿剤を使用する場合には、これら二種以上の沈殿剤を、同時に金属イオンを含む水溶液へ添加する方法と、個別に時間をおいて添加する方法とがある。
前者のように、二種以上の沈殿剤を、同時に添加する方法では、この沈殿剤溶液を用いた共沈によって、アルミン酸塩蛍光体を構成する金属陽イオンを均一が分散した状態で沈殿物を生成するため、上記構成金属が均一に分布したアルミン酸塩蛍光体前駆体を高い生産性をもって製造できる。
また、後者のように、複数の沈殿剤溶液を個別に時間をおいて添加する方法では、個々の沈殿剤添加の際における、金属イオンを含む水溶液のpH等の状態制御ができるので、沈殿剤の選択の幅が拡大するとともに、沈殿生成反応をより確実に進めることができ、生産コストを低減することが可能となる。
上述した、沈殿剤を添加する2方法において、添加する沈殿剤の量は、アルミン酸塩蛍光体を構成する金属の陽イオンを沈殿物として析出させるのに必要な化学量論比の1倍以上、好ましくは2倍以上である。沈殿剤の量が適切であれば、アルミン酸塩蛍光体を構成する金属元素を沈殿させることができ、目的とする組成のアルミン酸塩蛍光体前駆体を製造することができる。更に、沈殿剤の量が適切であれば、沈殿剤添加前後の水溶液のpH変化を少ない幅に納めることが可能となる。そして、当該pH変化の幅をAlが水酸化物として沈殿するpH範囲内に収めれば、目的とする組成のアルミン酸塩蛍光体前駆体の製造が可能となる。従って、沈殿剤添加前後のpH変動値が、目標とするpH範囲に収まるように沈殿剤の添加量を調整する。例えば、Ba、Eu、Mg、Alを含んだアルミン酸塩蛍光体前駆体を、シュウ酸イオンまたは炭酸イオンを含む沈殿剤を混合して作製する場合、Al水酸化物、Eu水酸化物及びMg水酸化物が沈殿するpH範囲を考慮すると、水溶液のpH変動値が好ましくは9〜11の範囲、さらに好ましくは9.5〜10.5の範囲に収まるように、沈殿剤の添加量を調整する。
本実施形態のアルミン酸塩蛍光体の製造方法において製造されるアルミン酸塩蛍光体前駆体の組成は、原料である各金属塩の仕込み組成を変更することにより変更できる。例えば、アルミン酸塩蛍光体としてBaMgAl1017:Euを製造する場合、このアルミン酸塩蛍光体の前駆体の組成は、バリウム水酸化物、マグネシウム水酸化物、アルミニウム水酸化物、ユウロピウム水酸化物がBa:Mg:Al:Eu=1:1:10:1の割合となるようにBa、Mg、Al、Euの各金属塩の仕込み量が調整される。
また、上記アルミン酸塩蛍光体前駆体を製造するために、アルミン酸塩蛍光体を構成する金属陽イオンを含む水溶液へ二種以上の沈殿剤を添加して沈殿物を得るときの、水溶液温度は、沈殿物の溶解度の増加による収率低下を考慮すると、5〜60℃が好ましい。水溶液の温度がこの範囲であれば、沈殿物の溶解度の増加が抑制されて沈殿物の収率を上げることできる。
上記沈殿物を、ろ過や遠心分離等の方法により分離した収集した後、乾燥することによってアルミン酸塩蛍光体前駆体を製造するが、このときの乾燥温度は20〜300℃の範囲が好ましく、より好ましくは90〜200℃である。
更に、このアルミン酸塩蛍光体前駆体を上記沈殿物から製造する際の雰囲気は、Ba化合物と反応し易いCO2ガスを含まないN2、Ar等の不活性ガスの雰囲気であることが好ましい。この結果、付活剤であるEu原子が形成する凝集相は、約2μm以下の範囲内に収まっており、且つ当該凝集相が前駆体全体に渡って均一に分散しているアルミン酸塩蛍光体前駆体を得ることができた。
上記乾燥されたアルミン酸塩蛍光体前駆体を、焼成することによりアルミン酸塩蛍光体を製造する。この焼成は、上記前駆体をアルミナルツボやアルミナボート等に充填し、N2等の不活性雰囲気中あるいはN2−H2雰囲気等の弱還元雰囲気中で、1000〜1800℃の温度範囲で1〜100時間保持することによりなされる。この焼成の際には、反応促進剤として弗化アルミニウム等のフラックスをアルミン酸塩蛍光体前駆体に混合するのも好ましい構成である。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
硝酸バリウム4.70g、硝酸マグネシウム六水和物5.13g、硝酸アルミニウム九水和物75.03g、及び硝酸ユウロピウム六水和物0.89gを487.06gの水に溶解し、得られた水溶液をN2ガスで置換した反応容器内において30℃に保持した。
そして、この水溶液を撹拌しながら、原料中の金属陽イオンに対して1.0等量に相当する炭酸アンモニウム32.77g、原料中の金属陽イオンに対して1.5等量に相当する25%アンモニア水163.68g、及び水149.26gを混合して製造した沈殿剤溶液を、上記反応容器内に添加して混合し、この反応溶液を30分間撹拌・保持した後、反応を終了して沈殿物を得た。撹拌・保持前の反応溶液のpH値は2.49、後のpH値は9.76であった。
得られた沈殿物をろ過により分離収集し、水洗後、110℃の温度で乾燥して青色アルミン酸塩蛍光体BaMgAl1017:Euの前駆体を得た。この前駆体中のEu分布をEPMA分析により確認した結果を図1に示す。
図1は、実施例1で製造された青色アルミン酸塩蛍光体BaMgAl1017:Euの前駆体におけるEuの分布を、EPMAにより分析した写真であり、図1中の符号αは、5μmの長さを表す指標である。
図1に示すように、付活剤であるEu原子が形成する凝集相は、約2μm以下の範囲内に収まっており、当該Eu凝集相が前駆体全体に渡って均一に分散している様子が確認された。
得られた青色アルミン酸塩蛍光体前駆体に弗化アルミニウムを乳鉢混合して粉末を調製し、この粉末をアルミナるつぼ容器に充填し、N2雰囲気中で1600℃、3時間の焼成を実施することにより、青色アルミン酸塩蛍光体BaMgAl1017:Euを製造した。この蛍光体を254nmの紫外線で励起した場合の発光強度は、従来技術(例えば、特許文献1に記載の固相法に準拠した、後述する比較例1)にて製造した青色アルミン酸塩蛍光体BaMgAl1017:Euの発光強度を100%としたときに112%であった。
(実施例2)
硝酸バリウム4.70g、硝酸マグネシウム六水和物5.13g、硝酸アルミニウム九水和物75.03g、及び硝酸ユウロピウム六水和物0.89gを、487.06gの水に溶解し、得られた水溶液をN2ガスで置換した反応容器内において30℃に保持した。そして、この水溶液を撹拌しながら、原料中の金属陽イオンに対して1.5等量に相当する、沈殿剤としての25%アンモニア水163.68gを反応容器内に添加して混合し、この反応溶液を30分間撹拌・保持した。その後、当該反応溶液に、原料中の金属陽イオンに対して1.0等量に相当する炭酸アンモニウム32.77g及び水149.26gを混合して製造した沈殿剤溶液を反応容器内に添加して混合し、この反応溶液を30分間撹拌・保持した後、反応を終了して沈殿物を得た。反応前のpH値は2.50、アンモニア水添加後のpH値は9.91、炭酸アンモニウム添加後の反応溶液のpH値は9.70であった。
得られた沈殿物をろ過により分離収集し、水洗後、110℃の温度で乾燥して青色アルミン酸塩蛍光体BaMgAl1017:Euの前駆体を得た。この前駆体に弗化アルミニウムを乳鉢混合して粉体を調製し、この粉末をアルミナるつぼ容器に充填し、N2雰囲気中で1600℃、3時間の焼成を実施することにより、青色アルミン酸塩蛍光体BaMgAl1017:Euを製造した。この蛍光体を254nmの紫外線で励起した場合の発光強度は、従来技術(例えば、特許文献1に記載の固相法に準拠した、後述する比較例1)にて製造した青色アルミン酸塩蛍光体BaMgAl1017:Euの発光強度を100%としたときに111%であった。
(比較例1)
炭酸バリウム6.60g、酸化ユウロピウム0.65g、塩基性炭酸マグネシウム3.61g、γ−アルミナ18.94g、弗化アルミニウム0.28gをボールミルにて混合して、青色アルミン酸塩蛍光体前駆体を製造した。
この前駆体中のEu分布を、EPMA分析により確認した結果を図2に示す。図2は、図1と同様のEPMA分析写真である。
図2に示すように、付活剤であるEu原子が形成する凝集相は、その大きさが約5μmのものが存在し、且つ前駆体において部分的に局在している様子が確認された。この青色アルミン酸塩蛍光体前駆体をアルミナるつぼ容器に充填し、N2雰囲気中で1600℃、3時間の焼成を実施することにより、青色アルミン酸塩蛍光体BaMgAl1017:Euを製造した。この蛍光体の発光強度を100%とした。
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1で作製された青色アルミン酸塩蛍光体BaMgAl1017:Euの前駆体におけるEu凝集相の分布を、EPMAにより分析して示す図(写真)である。 比較例1で作製された青色アルミン酸塩蛍光体BaMgAl1017:Euの前駆体におけるEu凝集相の分布を、EPMAにより分析して示す図(写真)である。

Claims (8)

  1. 所望のアルミン酸塩蛍光体を構成する全ての金属の陽イオンを含む溶液を製造する工程と、
    前記溶液へ、前記金属の陽イオンを沈殿させる二種以上の沈殿剤を添加し、沈殿物を生成させる工程と、
    前記沈殿物を分離、乾燥してアルミン酸塩蛍光体前駆体を製造する工程と、
    前記アルミン酸塩蛍光体前駆体を焼成してアルミン酸塩蛍光体を製造する工程とを、有することを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法。
  2. 請求項1に記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法であって、
    前記溶液へ、前記金属の陽イオンを沈殿させる二種以上の沈殿剤を添加し、沈殿物を生成させる工程において、前記二種以上の沈殿剤を、同時に、前記溶液へ添加することを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法。
  3. 請求項1に記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法であって、
    前記溶液へ、前記金属の陽イオンを沈殿させる二種以上の沈殿剤を添加し、沈殿物を生成させる工程において、前記二種以上の沈殿剤を当該沈殿剤の種類毎に、二回以上に分けて、前記溶液へ添加することを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法であって、
    前記沈殿剤は、炭酸イオンまたはシュウ酸イオンを提供するものであり、
    前記沈殿剤添加後の前記溶液のpH値が9〜11となるように前記沈殿剤の添加量を調整することを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法であって、
    前記所望のアルミン酸塩蛍光体を構成する全ての金属とは、Ba、Mg、Al、および、EuとMnとから選択される少なくとも一種、であることを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法であって、
    前記所望のアルミン酸塩蛍光体を構成する全ての金属の陽イオンを含む溶液が、水、または水とアルコールとを含んだ溶液であることを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法。
  7. 所望のアルミン酸塩蛍光体を製造するためのアルミン酸塩蛍光体前駆体であって、
    前記アルミン酸塩蛍光体前駆体中において、付活剤原子が形成する凝集相は、その大きさが2μm以下であり、且つ前記アルミン酸塩蛍光体前駆体中の全体に均一に分散していることを特徴とするアルミン酸塩蛍光体前駆体。
  8. 請求項7に記載のアルミン酸塩蛍光体前駆体を焼成することにより、製造されたことを特徴とするアルミン酸塩蛍光体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106367067A (zh) * 2016-08-30 2017-02-01 内蒙古科技大学 一种铝酸盐蓝色荧光粉及其制备方法

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