JP2005187289A - 吹付け用耐火材 - Google Patents
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Abstract
【課題】
高炉主樋スラグライン部のように強い耐スラグ侵食性が求められるような部位に用いて効果的な吹付け補修用耐火材を提案すること。
【解決手段】
骨材として、Al2O3−SiC−C系耐火物粒を15〜40mass%含有し、骨材中にはSiCを全含有量にして50mass%以上含有しており、粒径が10mm以下の大きさのものであることを特徴とする高炉主樋のスラグライン用吹付け用耐火材。
【選択図】 なし
高炉主樋スラグライン部のように強い耐スラグ侵食性が求められるような部位に用いて効果的な吹付け補修用耐火材を提案すること。
【解決手段】
骨材として、Al2O3−SiC−C系耐火物粒を15〜40mass%含有し、骨材中にはSiCを全含有量にして50mass%以上含有しており、粒径が10mm以下の大きさのものであることを特徴とする高炉主樋のスラグライン用吹付け用耐火材。
【選択図】 なし
Description
本発明は、製鉄所における高炉主樋のスラグライン部で用いられる耐火材に関し、とくに、耐火物粒を利用して耐スラグ侵食性(以下、単に「耐食性」という)を向上させた点に特徴を有する湿式吹付け用耐火材についての提案である。
高炉で生産された溶銑は、出銑後に溶滓(溶融スラグ)と共に高炉主樋を流下しながら溶銑樋へと導かれる。従って、高炉主樋は、比重差によって下層を流れる溶銑と上層を流れる溶融スラグとの両方が混在することになるため、基本的に侵食を受けやすいものである。特に、溶滓と大気との界面にあたるスラグライン部、すなわち高炉主樋中の液面近傍は、流下する溶融スラグが波打つために、この溶融スラグと主樋耐火物との接触位置は、熱的な変動に起因する熱スポーリングが起きやすい上に、スラグの流動圧力も大きいことから、損耗が激しいことで知られている。近年、こうしたスラグライン部は耐食性の良好な耐火材で補修する必要に迫られていた。
このような背景の下で、従来、前記高炉主樋のスラグライン部の補修技術として、Al2O3−SiC−C系耐火材を吹付け法によって、該スラグライン部へ吹付ける方法が提案されている。この技術において、Al2O3−SiC−C系耐火材の耐久性は、黒鉛化度の高いC系材料を用いた方が優れていることが知られている。しかし、黒鉛化度の高い材料は親水性が乏しく、不定形耐火材として多量に使用するには、水を多く配合する必要がある。そのため、水の配合量が少ないと流動性が悪化し、適切な施工体形状にできないという問題があった。一方で、不定形耐火物の施工を容易にするために、過剰の水を使用してしまうと、不定形耐火物が硬化して耐火物として使用されるときに、気孔率が上昇してしまい、期待される耐久性が得られないという問題もあった。
これに対し、従来、高炉樋用カバーとして開発された流し込み用耐火材ではあるが、黒鉛を配合する場合にその全量(5-20mass%)を黒鉛のままの状態で配合するのではなく、Al2O3−SiC−C系れんがを破砕したれんが屑の状態で配合する試み(特許文献1)があった。この技術は、原料としてれんが屑を配合することで、原料コストを下げることを目的としたものであるが、れんが屑中のC(黒鉛)は既にAl2O3やSiCとの混合物である。したがって、こうした原料(骨材)は、その表面にAl2O3やSiCが露出しているために、Cを黒鉛の状態で配合するのに比べると、水との濡れ性が良好であるという特徴がある。そのため、耐火材全体としてC含有量を上昇させても、水の添加量を低く抑えることができるという利点がある。
ただし、この技術は、溶銑や溶滓とは直接接触することのない樋カバーに使用される不定形耐火材料として開発されたものである。しかも、この技術は、黒鉛の添加を必要としていてSiCの含有量は少なく、高炉主樋のスラグラインのように物理的な侵食や熱的変動の大きい部位での耐食性を考慮して開発されたものではないことから、耐久性、とくに耐スラグ侵食性に問題があった。
また、この技術は、流し込み用耐火材料として開発されたものであることから、粒径が1〜30mmと大きく、とくに10mmを超えるものが多く含まれている。そのため、もし、この耐火材を吹付け用耐火材として転用し、これをノズルから噴出させようとすると、ノズル詰まりを起こすことから、既設の輸送配管径を大きなものに代えなければならないという問題もあった。
また、この技術は、流し込み用耐火材料として開発されたものであることから、粒径が1〜30mmと大きく、とくに10mmを超えるものが多く含まれている。そのため、もし、この耐火材を吹付け用耐火材として転用し、これをノズルから噴出させようとすると、ノズル詰まりを起こすことから、既設の輸送配管径を大きなものに代えなければならないという問題もあった。
本発明の目的は、従来技術が抱える上述した問題点を解決すること、とくに黒鉛の疎水性の問題と吹付け材としての形状適格性の問題を一挙に解決し、高炉主樋スラグライン部のように耐スラグ侵食性が求められるような部位に用いて効果的な吹付け補修用耐火材を提案することにある。
上記目的の実現に向けて鋭意研究を行った結果、発明者らは、高炉主樋のスラグライン部に適用する吹付け用耐火材としては、本来必要とされる量のC(黒鉛)を、より親水性の良好なSiC、Al2O3等との混合物の形態のもので用いると共に、骨材中に占める含有量を高めることが有効であるとの知見を得て、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、骨材として、Al2O3−SiC−C系耐火物粒を15〜40mass%含有し、骨材中にはSiCを全含有量にして50mass%以上含有しており、その骨材は、粒径が10mm以下の大きさのものであることを特徴とする高炉主樋のスラグライン用吹付け用耐火材である。
本発明によれば、Al2O3−SiC−C系耐火物粒を用いることに併せ、耐火材の中には、SiCを多量に含有させることで、耐熱スポーリング性に優れると同時に、耐食性にも優れる耐火材を安価に得ることができる。また、本発明によれば、耐火物中に添加するC(黒鉛)特有の現象である疎水性に起因する施工水分の増加に伴う耐火材の耐食性の低下を回避することができる。その結果、この耐火材を吹き付けた高炉主樋耐火材とくにスラグライン部の寿命を著しく向上させることができる。
本発明の特徴は、湿式吹付け用耐火材の骨材用原料として、Al2O3−SiC−C系耐火物粒を用いること、およびSiCの全含有比率を高めるべく、前記れんが屑とは別にSiCを単独で添加することにある。
本発明において、粗粒・中粒骨材の供給源の一部または全部として、Al2O3−SiC−C系耐火物を粉砕した耐火物粒を用いる。本発明で用いるAl2O3−SiC−C系耐火物粒は、主成分としてAl2O3(好ましくは、10〜80mass%)、SiC(好ましくは、5〜70mass%)、C(好ましくは、3〜20mass%)を含有するものであればよく、これらの他にスピネルやMgO等の他成分を含有したものであってもよい。。本発明において、この耐火物粒に着目した理由は、化学組成は異なるものの、主要成分の3つがAl2O3、SiC、Cで共通しているためである。
上記Al2O3−SiC−C系耐火物粒は、粗粒・中粒の骨材成分の少なくとも一部として、15〜40mass%を配合する。その限定の理由は、この耐火物粒の量が15mass%未満では、耐食性の向上効果が小さいからであり、一方、40mass%以上では施工性の悪化により緻密な施工体が得られず、耐食性の向上効果が得られないからである。
本発明ではまた、粗粒・中粒の骨材成分として配合する前記耐火物粒の他にSiCを単独で40〜70mass%程度配合し、湿式吹付け用耐火材全体としては、Al2O3−SiC−C系耐火物粒に含まれるSiCと単独で添加したSiCの合計が50mass%以上となるように配合する。50mass%以上とすることで、スラグに濡れにくく、スラグライン部の耐食性改善効果の大きいSiCの含有量を増やすことになり、施工体の耐用性を向上させることができる。
上記のAl2O3−SiC−C系耐火物粒としては、表1に示すような組成を有するトピードれんが屑、溶銑鍋れんが屑等の実機使用後回収品を破砕したもの、または、破砕後、分級したものなどを用いることができる。また、れんが屑ではなく、高炉樋等の不定形耐火物の実機使用後回収品を破砕したものあるいは破砕後分級したものなどを用いることもできる。場合によっては、使用済みれんが屑だけでなく新品の破砕品を使用してもよい。
本発明に係る吹付け用耐火材は、粒径1mm以上の粗粒・中粒骨材と、粒径1mm未満の細粒骨材とを含む。これらのうち粗粒・中粒骨材はAl2O3−SiC−C系耐火物粒および/または粗粒・中粒のSiCからなり、粒径の上限は10mmのものを用いる。その理由は、粒径が10mm超では、水と混練したときに、湿式の吹き付け施工に当って、流動性の低下や施工性の悪化、さらにはノズル詰まりを招くからである。従って、吹付け用耐火材全体として、粒径は10mm以下のものにすることが好ましい。より好ましい粒径は5mm以下である。
本願発明においては、上記の粗粒・中粒骨材の他に、1mm未満の細粒骨材を含むが、例えば、Al2O3−SiC−C系れんが屑、Al2O3、SiCなどのうちの1種類以上を適宜に選択して使用する。
また、本発明においては、上記骨材とは別に、微粉成分(粒径≦100μm)を添加する。例えば、焼結Al2O3微粉、SiやAl、Al−Si合金微粉、SiO2微粉などのうちのいずれか1種以上を選択して使用する。
なお、その他に必要に応じて、B4C等の酸化防止剤、シリカ微粉、アルミナセメント等の結合剤、各種分散剤、急結剤、水などを配合する。
なお、その他に必要に応じて、B4C等の酸化防止剤、シリカ微粉、アルミナセメント等の結合剤、各種分散剤、急結剤、水などを配合する。
本発明にかかる吹付け用耐火材の調整に当っては、上記Al2O3−SiC−C系耐火物粒の所定量、SiCの所定量、その他Si、SiO2微粉やAl2O3微粉等の成分とを予め混合し、さらにその他の酸化防止剤や結合剤等とともにミキサー等で予め混合する方法により行ってもよいし、あるいはそうした混合を施工現場で処理する方法により行ってもよい。いずれにしても、混合された前記吹付け用耐火材混合物に対して、水を添加し、さらにミキサー等で混合し、吹付け補修作業に当たって、吹付けノズルの先端で急結剤と混合して、ガス圧を利用して施工部位に吹付けて、施工体を形成する。なお、硬化後は、ガスバーナー等により、乾燥、予熱を行い、施工を終わる。
この実施例において、骨材とするAl2O3−SiC−C系耐火物粒としては、表1に示すような組成をもつトピードれんが屑、溶銑鍋れんが屑を用いた。表1中における各成分の組成値はmass%である。これらの使用済みのれんがを回収し、その後、破砕、分級して粗粒骨材としてのAl2O3−SiC−C系れんが屑を得た。これらのうち、Al2O3−SiC−C系れんが屑の粒径が、1mm未満、1〜5mmのものを選び出し、さらに、SiCや、Si、SiO2微粉、Al2O3微粉を加えて、表2の実施例1〜5に示すような配合組成で、Al2O3−SiC−C系湿式吹付け用耐火材を製造した。実施例1〜2は、湿式吹付け用耐火材の1〜5mmの粗粒・中粒骨材の一部をれんが屑とした例、実施例3〜5は、湿式吹付け用耐火材の骨材として1〜5mmのれんが屑粗粒・中粒骨材と1mm未満の細粒骨材とを混合した例である。なお、表2中における各成分の配合数値はmass%で表わす。
比較例1は、骨材としてAl2O3−SiC−C系れんが屑を用いずにSiCのみを骨材として製造した湿式吹付け用材の例である。また、比較例2は、粒径が10〜15mmのAl2O3−SiC−C系れんが屑を用いて製造したAl2O3−SiC−C系湿式吹付け用耐火材を使用した例である。比較例3は、Al2O3−SiC−C系れんが屑の配合量が15mass%以下の例、および比較例4は、Al2O3−SiC−C系れんが屑の配合量を40mass%以上として製造したAl2O3−SiC−C系湿式吹付け用耐火材の例である。なお、表2中における各成分の配合数値はmass%で表わす。
上記の材料を水を用いて混練することにより、高炉主樋のスラグライン部への吹付け用耐火材とした。そして、当該耐火材をポンプで圧送して、急結剤と共に主樋スラグライン部の壁面に吹付けた。そして、吹付け後に施工部分を回収し、その回収品を、110℃×24時間乾燥した後、40×40×160mmの大きさのサンプルを切り出し、このサンプルについて、曲げ強度および気孔率を測定した。
曲げ強度の測定は、JIS R2553(キャスタブル耐火物の強さ試験方法)により、ミハエリス二重てこ型曲げ強さ試験装置を用いて行った。また、気孔率の測定は、JIS R2205(耐火れんがの見掛け気孔率・吸水率・比重測定方法)の真空法に準じて行った。さらに、高周波内張り法によるスラグ侵食試験を行った。
曲げ強度の測定は、JIS R2553(キャスタブル耐火物の強さ試験方法)により、ミハエリス二重てこ型曲げ強さ試験装置を用いて行った。また、気孔率の測定は、JIS R2205(耐火れんがの見掛け気孔率・吸水率・比重測定方法)の真空法に準じて行った。さらに、高周波内張り法によるスラグ侵食試験を行った。
乾燥後の前記サンプルから53(78)×厚み35×長さ160mmの台形柱を切り出し、1000℃×3時間の還元焼成を行った。得られた焼成体を8本組にして、その中で銑鉄6.8kgを溶解し、1600℃×3時間、高炉水砕スラグ200g/時間の侵食実験を行った。
スラグは、1時間毎に入れ替えた。この時、8本の中に必ず比較例1を入れるものとし、溶損指数を試験前後の寸法変化から比較例1を100とした指数として求めた。以上の湿式吹付け用耐火材の成分組成および上記試験結果を表2に示した。
スラグは、1時間毎に入れ替えた。この時、8本の中に必ず比較例1を入れるものとし、溶損指数を試験前後の寸法変化から比較例1を100とした指数として求めた。以上の湿式吹付け用耐火材の成分組成および上記試験結果を表2に示した。
表2に示す結果から明らかなように、湿式吹付け用耐火材のうち、粒径が1〜5mmの骨材の一部をAl2O3−SiC−C系れんが屑に置き換えた実施例1〜2では、いずれも、比較例1(SiCのみを骨材とするもの)と同等の施工水量で施工が可能であり、乾燥体の気孔率が若干大きくなるものの、溶損指数は90以下となり、耐食性はAl2O3−SiC−C系れんが屑を添加していない比較例1よりも良好であった。また、曲げ強度も比較例1とほぼ同等である。
さらに、湿式吹付け用耐火材とAl2O3−SiC−C系れんが屑を混合した実施例3〜5では、施工水量が比較例1より増加し、気孔率も増大するものの、溶損指数は90以下であり、耐食性は良好であり、曲げ強度は比較例1より若干劣るものの、乾燥体曲げ強度で2.5MPa以上あり、問題はなかった。
さらに、湿式吹付け用耐火材とAl2O3−SiC−C系れんが屑を混合した実施例3〜5では、施工水量が比較例1より増加し、気孔率も増大するものの、溶損指数は90以下であり、耐食性は良好であり、曲げ強度は比較例1より若干劣るものの、乾燥体曲げ強度で2.5MPa以上あり、問題はなかった。
これに対して、比較例2では、粒径10〜15mmのAl2O3−SiC−C系れんが屑を利用したため、ノズル詰まりが発生して施工ができなかった。また、比較例3では、Al2O3−SiC−C系れんが屑の添加量が少なかったため、溶損指数がAl2O3−SiC−C系れんが屑を添加しない比較例1とほぼ同等であり、耐食性の向上効果は小さかった。さらに、比較例4では、Al2O3−SiC−C系れんが屑の添加量が多かったため、施工水量が多く、気孔率が増大した。このため、黒鉛による耐食性向上効果が相殺されてしまい、耐食性が比較例1と変わらなかった。また、曲げ強度も比較例1より低下した。
本発明に係る耐火材は、製鉄所における高炉主樋のスラグライン部で用いられる耐火材として用いられ、とくに、その部分の吹付け補修用の耐火材として有用であり、さらには、スラグと溶銑とが混在しているようなその他の内張り耐火物、あるいは溶湯、溶滓が流動する部位に用いられる内張り耐火物の補修用耐火材としても用いられる。
Claims (1)
- 骨材として、Al2O3−SiC−C系耐火物粒を15〜40mass%含有し、SiCの全含有量が50mass%以上であり、粒径が10mm以下の大きさであることを特徴とする高炉主樋のスラグライン用吹付け用耐火材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003433571A JP2005187289A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 吹付け用耐火材 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003433571A JP2005187289A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 吹付け用耐火材 |
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JP2003433571A Pending JP2005187289A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 吹付け用耐火材 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009084484A1 (ja) * | 2007-12-28 | 2009-07-09 | Nippon Crucible Co., Ltd. | 炭化珪素質流し込み材 |
JP2011214020A (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-27 | Nippon Steel Engineering Co Ltd | 高炉炉底下部の冷却構造 |
-
2003
- 2003-12-26 JP JP2003433571A patent/JP2005187289A/ja active Pending
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