JP2005186618A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸放湿量が50g/m2以上の吸放湿層の上に、水蒸気透過度が100g/m2・24h以上であり、化学物質吸着剤及び光触媒物質を有する透湿層を積層する。透湿層としては、結合剤100重量部に対し、平均粒子径0.01〜5mmの骨材を100〜4000重量部、化学物質吸着剤を0.1〜100重量部、及び光触媒物質を0.1〜50重量部含むものが好適である。また、吸放湿層としては、結合剤100重量部に対し、吸放湿性粉粒体を20〜2000重量部含むものが好適である。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1(特開2001−18312号公報)には、通気性を有する不織布と覆材との間に備長炭粒子を固定化した調湿シートが開示されている。また、特許文献2(特開2003−155786号公報)には、吸放湿性材料と水硬性物質とを含む吸放湿性基材の少なくとも一面に、吸放湿性材料粒粉が添加された塗料による塗膜層が形成されてなる吸放湿性建材が開示されている。
しかしながら、上述の特許文献に記載の内装仕上材では、吸放湿性材料の吸着性能が飽和状態に達すると、それ以上有害ガスを吸着することはできず、吸着効果に限界がある。また、一旦吸着された有害ガスが、再度室内空間へ放出されるおそれもある。このような有害ガスの再放出は、室内環境向上の妨げとなる。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
2.吸放湿量が50g/m2以上である吸放湿層の上に、水蒸気透過度が100g/m2・24h以上であり、化学物質吸着剤及び光触媒物質を有する透湿層が積層されており、前記吸放湿層の表面及び側面が、前記透湿層によって覆われていることを特徴とする積層体。
3.透湿層が、結合剤100重量部に対し、平均粒子径0.01〜5mmの骨材を100〜4000重量部、化学物質吸着剤を0.1〜100重量部、及び光触媒物質を0.1〜50重量部含むものであることを特徴とする1.または2.に記載の積層体。
4.吸放湿層が、結合剤100重量部に対し、吸放湿性粉粒体を20〜2000重量部含むものであることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の積層体。
5.吸放湿層及び透湿層における結合剤として有機質樹脂を含み、透湿層における有機質樹脂のガラス転移温度が、吸放湿層における有機質樹脂のガラス転移温度よりも高いことを特徴とする3.または4.に記載の積層体。
上記3.の発明では、結合剤、特定粒径の骨材、化学物質吸着剤、及び光触媒物質を特定比率で含む透湿層を採用することにより、有害ガスの吸着・分解効果、再放出抑制効果をいっそう高めることができる。
上記4.の発明では、結合剤、及び吸放湿性粉粒体を特定比率で含む吸放湿層を採用することにより、調湿性能を高めることができる。
上記5.の発明では、吸放湿層及び透湿層における結合剤として有機質樹脂を使用することで、優れた可撓性を付与することができる。さらに、切断等の加工が容易となり、施工現場の状況に応じて積層体を自由に加工することが可能となる。
なお、本発明における吸放湿量は、吸放湿層の裏側面をアルミニウム粘着テープでシールした後、JIS A6909:2003「建築用仕上塗材」7.32.2の手順によって測定される値である。
結合剤として使用可能な有機質樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等が挙げられ、特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等が好適である。
吸湿率(%)={(吸湿後の重量−乾燥後の重量)/乾燥後の重量}×100
骨材の種類は特に限定されず、天然品、人工品のいずれも使用することができる。具体的には、例えば、重質炭酸カルシウム、寒水石、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、バライト粉、珪砂、砂利、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、金属粒、あるいは岩石、ガラス、陶磁器、焼結体、コンクリート、モルタル、プラスチック、ゴム、貝殻等の破砕品等が挙げられる。これらに着色を施したものも使用することができる。
水蒸気透過度の上限は、通常2000g/m2・24h以下、好ましくは1500g/m2・24h以下、より好ましくは1000g/m2・24h以下である。透湿層の水蒸気透過度がこのような範囲内であれば、有毒ガスの吸着・分解性、再放出防止性等の点において好適である。
なお、本発明における水蒸気透過度は、JIS K5400:1990「塗料一般試験方法」8.17によって測定される値である。
アルミノ珪酸塩としては、亜鉛、銅、銀、コバルト、ニッケル、鉄、チタン、バリウム、スズ及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の金属とアルミニウムと珪素の複合酸化物が挙げられる。
なお、光触媒物質として、吸放湿性粉粒体に光触媒物質を担持したものは、吸湿によって光触媒作用が阻害されるおそれがあるため、使用しないほうがよい。
逆に、光触媒物質のみを使用した場合、有害ガスの分解効果を得るには、光触媒物質の構成比率を十分に増やして、有害ガスが光触媒物質に接触する確率を高めなければならない。しかし、光触媒物質を増量すると、結合剤の早期劣化を招いてしまう。また、透湿層の色彩が制限される、あるいはコスト高となる等の問題が生じる。すなわち、光触媒増量には実用上限界がある。
本発明では、化学物質吸着剤と光触媒物質を併用することによって、有害ガスの吸着・分解・再放出防止において実用的な性能を得ることができ、透湿層の有害ガスフィルター効果を十分に発揮させることができる。
透湿層における有機質樹脂として水分散性樹脂を使用する場合、その平均粒子径は、通常50μmを超え(好ましくは80μm超、より好ましくは100μm超)、かつ500μm未満(好ましくは400μm未満、より好ましくは300μm未満)であることが望ましい。平均粒子径がこのような範囲内であれば、適度な透湿性能を得ることが可能となる。
透湿層における有機質樹脂のガラス転移温度は、通常−30〜120℃、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜80℃である。ガラス転移温度がこのような範囲内であれば、積層体に適度な可撓性を付与することができ、積層体表面の汚染物質付着防止の点でも好適である。
さらに、透湿層における有機質樹脂のガラス転移温度は、吸放湿層における有機質樹脂のガラス転移温度よりも高く(好ましくは5℃以上高く、より好ましくは10℃以上高く)設定することが望ましい。このようなガラス転移温度の設定により、切断等の加工が容易となり、施工現場の状況に応じて積層体を自由に加工することが可能となる。具体的には、吸放湿層における有機質樹脂のガラス転移温度が−20〜80℃、透湿層における有機質樹脂のガラス転移温度が−10〜100℃であり、かつ透湿層における有機質樹脂のガラス転移温度が、吸放湿層における有機質樹脂のガラス転移温度よりも5℃以上高くなるように設定することが望ましい。
透湿層における骨材の構成比率は、結合剤100重量部(固形分)に対し、通常100〜4000重量部、好ましくは300〜3000重量部、より好ましくは500〜2000重量部とする。骨材比率が小さすぎる場合は、有害ガスの吸着・分解効果が不十分となり、下層の吸放湿性能を阻害するおそれもある。また、透湿層の厚膜化が困難となり、意匠性付与の点で不利となる。骨材比率が大きすぎる場合は、骨材が脱離しやすくなる。
(i)透湿層形成用組成物を型枠に流し込んだ後、吸放湿層形成用組成物を積層し、硬化後に脱型する方法。
(ii)吸放湿層形成用組成物を型枠に流し込んだ後、透湿層形成用組成物を積層し、硬化後に脱型する方法。
(iii)透湿層形成用組成物を加熱ニーダーおよび圧延ロールで成形した層(シート)と、吸放湿層形成用組成物を加熱ニーダーおよび圧延ロールで成形した層(シート)を積層する方法。
上記(i)、(ii)では、流し込みに代えて、スプレー、こて、レシプロ、コーター等の手段を用いた方法を採用することもできる。また、透湿層形成用組成物や吸放湿層形成用組成物を硬化させる際には、加熱することもできる。
その一例を図2に示す。図2の積層体では、吸放湿層の内部に補強材が埋め込まれている。このように吸放湿層に補強材が埋め込まれることにより、積層体の強度等を高めることができる。この際、吸放湿性能等が損われないように、補強材としては十分な通気性を有するもの(ガラスクロス、メッシュ等の網状体)が好ましい。補強材の厚みは、吸放湿層の厚みよりも小さいことが望ましく、通常は1mm未満(好ましくは0.05mm以上0.5mm未満)程度である。
(iii)透湿層形成用組成物を型枠に流し込んだ後、予め成形された吸放湿層を埋め込み、硬化後に脱型する方法。
(iv)透湿層形成用組成物を型枠の底面及び側面に塗り付けた後、吸放湿層形成用組成物を流し込み、硬化後に脱型する方法。
(v)上記(i)〜(iii)の方法で得られた積層体の側面を、透湿層形成用組成物で被覆する方法。
各層の厚みが上記範囲より小さい場合は、調湿機能、有毒ガスの吸着・分解・再放出抑制機能等において十分な性能が得られ難くなり、また、積層体を製造する際に基材の使用が不可欠となる。
クリヤー塗料や撥水剤は、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等の塗装器具を用いて塗布することができる。これらの塗布量は、本発明の効果を阻害しない範囲内で適宜設定すればよいが、通常0.01〜0.5kg/m2程度である。
本発明積層体を施工する際には、接着剤、粘着剤、粘着テープ、釘、鋲等を用いて基材に貼着すればよい。その他、ピン、ファスナー、レール等を用いて固定化することもできる。
また、施工時に積層体を任意の形状に切断することも可能であるが、切断後の表面や側面に吸放湿層が現れた場合は、塗料等で適宜処理することが望ましい。この場合、塗料としては、上述の透湿層形成用組成物等が使用できる。
結合剤A100重量部(固形分)、吸放湿性粉粒体550重量部、骨材A670重量部、及び水600重量部を均一に攪拌・混合することにより、吸放湿層用組成物1を製造した。この吸放湿層用組成物1の硬化膜(乾燥厚み1.5mm)の吸放湿量を、JIS A6909:2003「建築用仕上塗材」7.32.2の手順によって測定したところ、150g/m2であった。
得られた積層体1について、以下の方法によって各試験を行った。結果を表1に示す。
・結合剤A:アクリル樹脂エマルション(ガラス転移温度0℃、固形分50重量%、平均粒子径130μm)
・結合剤B:架橋反応性アクリル樹脂エマルション(ガラス転移温度15℃、固形分50重量%、架橋反応基:カルボキシル基・エポキシ基、平均粒子径120μm)
・吸放湿性粉粒体:ベーマイト(平均粒子径150μm、吸湿率35%)
・骨材A:珪砂(平均粒子径120μm、吸湿率1%以下)
・骨材B:着色珪砂(平均粒子径120μm、吸湿率1%以下)
・化学物質吸着剤A:アミン複合層状リン酸ジルコニウム(平均粒子径45μm)
・化学物質吸着剤B:アルミノ珪酸塩(平均粒子径3μm)
・光触媒物質:アナターゼ型酸化チタン(平均粒子径0.02μm)
積層体の裏側面をアルミニウム粘着テープでシールした後、JIS A6909:2003「建築用仕上塗材」7.32.2の手順によって測定した。
予め裏側面をアルミニウム粘着テープでシールした積層体を試料とした。この試料を3リットルにおい袋に入れ、ホルムアルデヒド(20ppm)を拡散させたwet air(23℃・90%RH)を、このにおい袋中に充填して密閉した。30分後、検知管を用いて、におい袋中のホルムアルデヒド濃度を測定し、分解率を下記式によって求めた。
分解率(%)=[(初期ホルムアルデヒド濃度−試験後ホルムアルデヒド濃度)/初期ホルムアルデヒド濃度]×100
上記(2)で試験後の試料を新たな3リットルにおい袋中に入れ、dry air(23℃・45%RH)を充填して密閉した。このにおい袋を50℃条件下、24時間加熱後、検知管を用いて、におい袋中のホルムアルデヒド濃度を測定し、ホルムアルデヒドの再放出の有無を確認した。評価は、ホルムアルデヒドの再放出が認められなかったものを○、再放出が認められたものを×とした。
予め裏側面をアルミニウム粘着テープでシールした積層体を試料とした。この試料を、通気孔が設けられた20L容器内に入れ、タバコ10本に火をつけて燃焼させた後、通気孔を閉じて24時間放置した。その後、試料を取り出し、試料表面に紫外線ランプを24時間照射し、照射後の状態を確認した。評価は、試験前後の黄変の程度(Δb)を色差計で測定することにより行った。
結合剤B100重量部(固形分)、骨材B1200重量部、化学物質吸着剤B20重量部、光触媒物質5重量部、及び水800重量部を均一に攪拌・混合することにより、透湿層用組成物2を製造した。この透湿層用組成物2の硬化膜(乾燥厚み2.0mm)の水蒸気透過度を、JIS K5400:1990「塗料一般試験方法」8.17によって測定したところ、760g/m2・24hであった。
透湿層として、透湿層用組成物1に代えて透湿層用組成物2を使用した以外は、実施例1と同様にして積層体を製造し、試験を行った。
結合剤A100重量部(固形分)、吸放湿性粉粒体800重量部、骨材A670重量部、及び水800重量部を均一に攪拌・混合することにより、吸放湿層用組成物2を製造した。この吸放湿層用組成物2の硬化膜(乾燥厚み1.5mm)の吸放湿量を、JIS A6909:2003「建築用仕上塗材」7.32.2の手順によって測定したところ、220g/m2であった。
得られた積層体について、実施例1と同様にして試験を行った。なお、実施例3の試験では、積層体の裏面のみをアルミニウム粘着テープでシールした。
結合剤A100重量部(固形分)、骨材A1200重量部、及び水300重量部を均一に攪拌・混合することにより、吸放湿層用組成物3を製造した。この吸放湿層用組成物3の硬化膜(乾燥厚み1.5mm)の吸放湿量を、JIS A6909:2003「建築用仕上塗材」7.32.2の手順によって測定したところ、30g/m2であった。
吸放湿層として、吸放湿層用組成物1に代えて吸放湿層用組成物3を使用した以外は、実施例1と同様にして積層体を製造し、試験を行った。
結合剤B100重量部(固形分)、骨材B1200重量部、及び水800重量部を均一に攪拌・混合することにより、透湿層用組成物3を製造した。この透湿層用組成物2の硬化膜(乾燥厚み2.0mm)の水蒸気透過度を、JIS K5400:1990「塗料一般試験方法」8.17によって測定したところ、700g/m2・24hであった。
透湿層として、透湿層用組成物1に代えて透湿層用組成物3を使用した以外は、実施例1と同様にして積層体を製造し、試験を行った。
B:透湿層
C:補強材
Claims (5)
- 吸放湿量が50g/m2以上である吸放湿層の上に、水蒸気透過度が100g/m2・24h以上であり、化学物質吸着剤及び光触媒物質を有する透湿層が積層されたことを特徴とする積層体。
- 吸放湿量が50g/m2以上である吸放湿層の上に、水蒸気透過度が100g/m2・24h以上であり、化学物質吸着剤及び光触媒物質を有する透湿層が積層されており、前記吸放湿層の表面及び側面が、前記透湿層によって覆われていることを特徴とする積層体。
- 透湿層が、結合剤100重量部に対し、平均粒子径0.01〜5mmの骨材を100〜4000重量部、化学物質吸着剤を0.1〜100重量部、及び光触媒物質を0.1〜50重量部含むものであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
- 吸放湿層が、結合剤100重量部に対し、吸放湿性粉粒体を20〜2000重量部含むものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 吸放湿層及び透湿層における結合剤として有機質樹脂を含み、透湿層における有機質樹脂のガラス転移温度が、吸放湿層における有機質樹脂のガラス転移温度よりも高いことを特徴とする請求項3または4に記載の積層体。
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