JP2005183477A - セラミック電子部品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】湿式研磨工程においてセラミック素子の空孔に液体が浸入することを防止し、構造欠陥のないセラミック電子部品を効率よく製造することが可能なセラミック電子部品の製造方法および該製造方法により製造される信頼性の高いセラミック電子部品を提供する。
【解決手段】焼結後のセラミック素子の空孔に無機粉末を充填した後、湿式バレル研磨を行い、湿式バレル研磨工程におけるセラミック素子の空孔への液体の侵入を抑制、防止する。
無機粉末として、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、銅粉末、およびニッケル粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種であって、平均粒径が、セラミック素子の空孔の平均径よりも小さい無機粉末を用いる。
湿式バレル研磨工程の後に、セラミック素子に導電ペーストを塗布して焼き付けることにより外部電極を形成する。
【選択図】なし
【解決手段】焼結後のセラミック素子の空孔に無機粉末を充填した後、湿式バレル研磨を行い、湿式バレル研磨工程におけるセラミック素子の空孔への液体の侵入を抑制、防止する。
無機粉末として、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、銅粉末、およびニッケル粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種であって、平均粒径が、セラミック素子の空孔の平均径よりも小さい無機粉末を用いる。
湿式バレル研磨工程の後に、セラミック素子に導電ペーストを塗布して焼き付けることにより外部電極を形成する。
【選択図】なし
Description
本願発明はセラミック電子部品およびその製造方法に関し、詳しくは、空孔を含むセラミック素子を具備するセラミック電子部品およびその製造方法に関する。
例えば、代表的なセラミック電子部品の一つである積層セラミックコンデンサは、通常、図1に示すように、複数の内部電極3a,3bがセラミック層2を介して互いに対向するように配設され、かつ、交互に逆側の端面5a,5bに引き出された構造を有するセラミック素子1の両端側に、内部電極3a,3bと導通するように外部電極4a,4bが配設された構造を有している。
ところで、上述のような積層セラミックコンデンサを製造するにあたっては、セラミック素子1の端面を研磨して内部電極3a,3bを端面に確実に露出させて、内部電極3a,3bと外部電極4a,4bのコンタクトを強固にするため、あるいは、セラミック素子1の稜線部(コーナ部)にR(丸み)をつけて、セラミック素子1の稜線部での割れや欠け、外部電極4a,4bの稜線部での切断を防止するために、セラミック素子1を研磨することが行われる。
このようなセラミック素子の研磨方法の一つに、バレルにセラミック焼結体(セラミック素子)と水を投入し、バレルを回転させることによりセラミック焼結体を研磨するようにした湿式バレル研磨法がある(例えば特許文献1)。
ところで、湿式バレル研磨法においては、上述のように水の存在下で研磨を行うため、セラミック素子の微細な空孔から水分が侵入し、セラミック素子中に吸着されるため、通常の乾燥処理では完全に除去することが困難で、一部がセラミック素子中に残留する場合がある。
ところで、湿式バレル研磨法においては、上述のように水の存在下で研磨を行うため、セラミック素子の微細な空孔から水分が侵入し、セラミック素子中に吸着されるため、通常の乾燥処理では完全に除去することが困難で、一部がセラミック素子中に残留する場合がある。
そして、水分がセラミック素子中に残留した場合、外部電極の形成工程で、セラミック素子に塗布された導電ペーストを焼き付ける際、セラミック素子が高温に加熱されると、セラミック素子内に残留していた水分が蒸発して膨張し、内部応力が発生してセラミック素子にクラックや剥がれなどの構造欠陥が発生するという問題点がある。
そこで、このような問題点を解決する方法として、焼結後のセラミック素子に、充填材として、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などを含浸させることにより、例えば、湿式バレル研磨法のような水などの液体を用いる方法でセラミック素子の研磨を行った場合にも、水などの液体がセラミック素子の内部に浸入することを防止して、その後の熱処理工程(外部電極形成用の導電ペーストの焼付け工程など)における液体の気化、膨張によるクラックや剥がれなどの構造欠陥の発生を防止するようにしたセラミック電子部品の製造方法が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、この方法の場合、セラミック素子に生じた微細な空孔に樹脂などの有機物を充填した後、外部電極形成用の導電ペーストを塗布して焼き付ける工程において、充填した有機物が燃焼・分解し、急激に燃焼ガスや分解ガス(例えば炭酸ガスや水蒸気など)が発生する場合がある。そして、急激に炭酸ガスや水蒸気などが発生すると、上述のような水分の気化や膨張による場合と同様に、内部応力が発生し、セラミック素子にクラックや剥がれなどの構造欠陥を引き起こすおそれがある。また、外部電極とセラミック素子の間にガスが発生し、空洞が形成される結果、場合によっては内部電極と外部電極のコンタクトが得られなくなってしまうおそれがある。
したがって、有機物を充填するようにした特許文献1の方法においては、外部電極形成用の導電ペーストの塗布、焼き付けが十分に行われ、かつ、セラミック素子の空孔に充填した有機物からの急激なガスの発生が抑制されるように、雰囲気を精度よく所定の条件にコントロールすることが必要で、製造工程が複雑になり、生産性や信頼性の低下を招くというような問題点がある。
特開平11−354372号公報
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、湿式バレル研磨工程においてセラミック素子の空孔に液体が浸入することを抑制、防止し、構造欠陥のないセラミック電子部品を効率よく製造することが可能なセラミック電子部品の製造方法および該製造方法により製造される信頼性の高いセラミック電子部品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)のセラミック電子部品の製造方法は、
焼結後のセラミック素子の空孔に無機粉末を充填する工程と、
空孔に無機粉末が充填されたセラミック素子を液体とともにバレルに入れ、バレルを回転させることにより研磨する湿式バレル研磨工程と
を具備することを特徴としている。
焼結後のセラミック素子の空孔に無機粉末を充填する工程と、
空孔に無機粉末が充填されたセラミック素子を液体とともにバレルに入れ、バレルを回転させることにより研磨する湿式バレル研磨工程と
を具備することを特徴としている。
また、請求項2のセラミック電子部品の製造方法は、前記無機粉末として、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、銅粉末、およびニッケル粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種であって、平均粒径が前記セラミック素子の空孔の平均径よりも小さい無機粉末を用いることを特徴としている。
また、請求項3のセラミック電子部品の製造方法は、前記湿式バレル研磨工程の後に、セラミック素子に導電ペーストを塗布して焼き付けることにより外部電極を形成する外部電極形成工程を備えていることを特徴としている。
また、本願発明(請求項4)のセラミック電子部品は、焼結されたセラミック素子を具備するセラミック電子部品であって、セラミック素子の空孔に無機粉末が充填されていることを特徴としている。
また、請求項5のセラミック電子部品は、前記無機粉末が、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、銅粉末、およびニッケル粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴としている。
また、請求項6のセラミック電子部品は、導電ペーストを塗布して焼き付けることにより形成された外部電極がセラミック素子の表面に配設されていることを特徴としている。
本願発明(請求項1)のセラミック電子部品の製造方法は、焼結後のセラミック素子の空孔に無機粉末を充填した後、湿式バレル研磨を行うようにしているので、湿式バレル研磨工程において、液体がセラミック素子の内部に浸入することを防止して、その後の熱処理工程(例えば、外部電極形成用の導電ペーストの焼付け工程など)における、空孔に侵入した液体の気化、膨張などに起因するクラックや剥がれなどの構造欠陥の発生を確実に阻止することが可能になる。
また、空孔に充填される物質が無機粉末であることから、従来のシリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの有機物質を充填する方法の場合のように、充填物質の分解に伴う分解ガスや、燃焼に伴う燃焼ガスなどの発生がないため、かかる分解ガスや燃焼ガスの発生に起因するクラックや剥がれなどの構造欠陥の発生を回避することが可能になる。
また、有機物質を充填する方法の場合のように、後工程で、例えば、外部電極形成用の導電ペーストを焼き付けする際における、有機物の急激な燃焼や分解を抑制、防止するために、高精度に条件管理を行うことが不要になり、製造工程が複雑化することを防止して、生産性を向上させることが可能になる。
また、請求項2のセラミック電子部品の製造方法のように、無機粉末として、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、銅粉末、およびニッケル粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種であって、平均粒径がセラミック素子の空孔の平均径よりも小さい無機粉末を用いることにより、セラミック素子の空孔を確実に埋めて、バレル研磨工程で液体がセラミック素子の内部に浸入することを防止することが可能になる。その結果、その後の熱処理工程(例えば、外部電極形成用の導電ペーストの焼付け工程など)における、空孔に侵入した液体の気化、膨張などに起因するクラックや剥がれなどの構造欠陥の発生を確実に阻止して、信頼性の高いセラミック電子部品を効率よく製造することが可能になる。
なお、本願発明においては、上述のように、銅粉末やニッケル粉末などの導電性の無機粉末を用いることも可能である。セラミック素子に含まれる空孔は不連続の独立した孔であり、セラミック素子に分散して存在しているため、例えば、入力側と出力側の外部電極を短絡させたり、内部電極どうしの短絡を引き起こしたりするようなことはなく、実験的にも何ら問題がないことが確認されている。
また、請求項3のように、湿式バレル研磨工程の後に、セラミック素子に導電ペーストを塗布して焼き付けることにより外部電極を形成する外部電極形成工程を備えている場合、セラミック素子に空孔が多量に存在していると、導電ペーストを焼き付ける際に、空孔に侵入した液体の気化、膨張によるクラックや剥がれなどの構造欠陥が発生しやすいが、本願発明によれば、このような空孔への液体の侵入を防止することが可能になるため、導電ペーストを焼き付ける際における液体の気化、膨張によるクラックや剥がれなどの構造欠陥の発生を確実に阻止することが可能になる。
さらに、本願発明のセラミック電子部品の製造方法によれば、セラミック素子の空孔に無機粉末が充填されているので、例えば、外部電極にはんだ食われを防止するためのニッケルめっきや、はんだ付け性を向上させるためのSnめっきなどを施す際の、めっき液のセラミック素子への侵入を防止することが可能になり、さらに信頼性の高いセラミック電子部品を得ることが可能になる。
また、本願発明(請求項4)のセラミック電子部品は、焼結されたセラミック素子の空孔に無機粉末が充填されているので、製造工程で湿式バレル研磨などの湿式処理を行った場合にも、セラミック素子の空孔への水などの液体の侵入が抑制、防止されるため、その後に、例えば、外部電極形成用の導電ペーストの焼き付けなどの熱処理に付される場合にも、空孔に侵入した液体の気化、膨張に起因するクラックや剥がれなどの構造欠陥の発生がなく、高い信頼性を備えたセラミック電子部品を提供することが可能になる。
また、請求項5のセラミック電子部品のように、無機粉末として、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、銅粉末、およびニッケル粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種がセラミック素子の空孔に充填された構造とした場合、空孔を確実に埋めて、例えば、湿式バレル研磨処理などに付される場合にも、液体がセラミック素子の空孔に浸入することを抑制、防止することが可能になる。その結果、その後の熱処理工程(例えば、外部電極形成用の導電ペーストの焼付け工程など)における、空孔に侵入した液体の気化、膨張などに起因するクラックや剥がれなどの構造欠陥の発生を確実に阻止することが可能になり、信頼性の高いセラミック電子部品を得ることができる。
また、請求項6のように、セラミック電子部品が、セラミック素子の表面に導電ペーストを塗布して焼き付けることにより形成された外部電極を備えた構造を有するものである場合、製造工程で導電ペーストを焼き付ける工程が必要になるが、セラミック素子の空孔には無機粉末が充填されているので、焼き付け工程で液体の気化、膨張によるクラックや剥がれなどの構造欠陥が発生することを防止して、信頼性の高いセラミック電子部品を得ることが可能になる。
以下、本願発明の実施の形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
なお、以下の実施例では、セラミック電子部品として、積層セラミックコンデンサを例にとって説明する。
なお、以下の実施例では、セラミック電子部品として、積層セラミックコンデンサを例にとって説明する。
この実施例の積層セラミックコンデンサは、図1に示すように、複数の内部電極3a,3bがセラミック層2を介して互いに対向するように配設され、かつ、交互に逆側の端面5a,5bに引き出された構造を有するセラミック素子1の両端側に、内部電極3a,3bと導通するように外部電極4a,4bが配設された構造を有している。
なお、この実施例では、セラミック材料として、チタン酸バリウム系の誘電体セラミックを用い、内部電極材料としては、卑金属のニッケルを用いている。
なお、この実施例では、セラミック材料として、チタン酸バリウム系の誘電体セラミックを用い、内部電極材料としては、卑金属のニッケルを用いている。
そして、この積層セラミックコンデンサにおいて、セラミック素子1の空孔(図示せず)には、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、銅粉末、ニッケル粉末などの無機粉末が充填されている。
次に、上記構造を有する積層セラミックコンデンサを製造する方法について説明する。
(1)まず、チタン酸バリウムを主成分とするセラミック原料を用いて作製したセラミックグリーンシートの表面に、ニッケル粉末を導電成分とする内部電極形成用の導電ペーストを印刷して電極印刷シートを形成した。
(2)それから、所定枚数の電極印刷シート(この実施例では170枚)を積層するとともに、その上下両面側に導電ペーストが印刷されていないセラミックグリーンシート(上下両面側のカバーシート)を所定枚数積層し、圧着することにより、所定の厚み(この実施例では0.8mm)の積層圧着体を形成した。
(3)この積層圧着体を所定の位置でカットし、所定の大きさ(この実施例では長さ1.6mm×幅0.8mm、厚み0.8mm)の未焼成のセラミック素子に分割した。
(4)それから、未焼成のセラミック素子を、1200〜1300℃の還元性雰囲気中で2時間焼成して焼結させた。このようにして得られた焼結後のセラミック素子には空孔(気孔)が生じていた。なお、セラミック素子の空孔(気孔)の平均径は約1.5μmであった。
また、セラミック素子中に形成された内部電極の厚さは、セラミック素子の空孔(気孔)の平均径と同じく、約1.5μmであった。
(5)それから、このようにして得た焼結後のセラミック素子の空孔に、無機粉末として、ニッケル粉末、ジルコニア粉末、アルミナ粉末、および銅粉末をそれぞれ充填した。なお、セラミック素子に生じた空孔(気孔)の平均径が約1.5μmであることを考慮し、無機粉末として、表1に示すような、1.5μm以下の4種類の粒径のものを用意して、充填を行った。
セラミック素子の空孔に無機粉末を充填させるにあたっては、セラミック素子を容器に入れ、容器を真空にした後、ニッケル粉末,ジルコニア粉末,アルミナ粉末、および銅粉末をその容器中に開放(供給)するとともに、容器を常圧に戻すことにより、各無機粉末をセラミック素子に生じた微細な空孔に充填した。
(6)それから、セラミック素子を容器から取り出して、回転可能なバレルに水、研磨媒体(アルミナ粉末)とともに投入し、バレルを回転させることにより、湿式バレル研磨を行った。
湿式バレル研磨の条件は以下の通りである。
セラミック素子のバレルへのチャージ量:13万6千個
研磨媒体(アルミナ粉末) :300g
バレルの回転数 :200rpm
バレル研磨時間 :160min
(7)湿式バレル研磨の終了後、水洗、乾燥を行い、外部電極形成用の導電ペーストを塗布し、焼き付けることにより図1に示すような構造を有する積層セラミックコンデンサを得た。
(1)まず、チタン酸バリウムを主成分とするセラミック原料を用いて作製したセラミックグリーンシートの表面に、ニッケル粉末を導電成分とする内部電極形成用の導電ペーストを印刷して電極印刷シートを形成した。
(2)それから、所定枚数の電極印刷シート(この実施例では170枚)を積層するとともに、その上下両面側に導電ペーストが印刷されていないセラミックグリーンシート(上下両面側のカバーシート)を所定枚数積層し、圧着することにより、所定の厚み(この実施例では0.8mm)の積層圧着体を形成した。
(3)この積層圧着体を所定の位置でカットし、所定の大きさ(この実施例では長さ1.6mm×幅0.8mm、厚み0.8mm)の未焼成のセラミック素子に分割した。
(4)それから、未焼成のセラミック素子を、1200〜1300℃の還元性雰囲気中で2時間焼成して焼結させた。このようにして得られた焼結後のセラミック素子には空孔(気孔)が生じていた。なお、セラミック素子の空孔(気孔)の平均径は約1.5μmであった。
また、セラミック素子中に形成された内部電極の厚さは、セラミック素子の空孔(気孔)の平均径と同じく、約1.5μmであった。
(5)それから、このようにして得た焼結後のセラミック素子の空孔に、無機粉末として、ニッケル粉末、ジルコニア粉末、アルミナ粉末、および銅粉末をそれぞれ充填した。なお、セラミック素子に生じた空孔(気孔)の平均径が約1.5μmであることを考慮し、無機粉末として、表1に示すような、1.5μm以下の4種類の粒径のものを用意して、充填を行った。
セラミック素子の空孔に無機粉末を充填させるにあたっては、セラミック素子を容器に入れ、容器を真空にした後、ニッケル粉末,ジルコニア粉末,アルミナ粉末、および銅粉末をその容器中に開放(供給)するとともに、容器を常圧に戻すことにより、各無機粉末をセラミック素子に生じた微細な空孔に充填した。
(6)それから、セラミック素子を容器から取り出して、回転可能なバレルに水、研磨媒体(アルミナ粉末)とともに投入し、バレルを回転させることにより、湿式バレル研磨を行った。
湿式バレル研磨の条件は以下の通りである。
セラミック素子のバレルへのチャージ量:13万6千個
研磨媒体(アルミナ粉末) :300g
バレルの回転数 :200rpm
バレル研磨時間 :160min
(7)湿式バレル研磨の終了後、水洗、乾燥を行い、外部電極形成用の導電ペーストを塗布し、焼き付けることにより図1に示すような構造を有する積層セラミックコンデンサを得た。
そして、このようにして製造した積層セラミックコンデンサについて、構造欠陥の発生率を調べた。
なお、構造欠陥の発生率を調べるにあたっては、超音波探傷機を用い、セラミック素子の上表面からの反射波と、下表面からの反射波以外に反射波が検出されたものを、構造欠陥が発生したものとみなし、全試料数に対する構造欠陥が発生した試料数の割合を求めて構造欠陥の発生率とした。
その結果を表1に示す。
なお、構造欠陥の発生率を調べるにあたっては、超音波探傷機を用い、セラミック素子の上表面からの反射波と、下表面からの反射波以外に反射波が検出されたものを、構造欠陥が発生したものとみなし、全試料数に対する構造欠陥が発生した試料数の割合を求めて構造欠陥の発生率とした。
その結果を表1に示す。
表1に示すように、セラミック素子に無機粉末を充填していない試料番号1の試料では、構造欠陥発生率が1182ppmと、非常に高い割合で構造欠陥が発生することが確認された。
また、空孔の平均径と同じ平均粒径が1.5μmの無機粉末を用いた試料番号2,6,10,14の試料の場合には、構造欠陥発生率の低下割合が小さく、十分な効果を得ることができないことが確認された。これは、平均粒径がセラミック素子の空孔の平均径と同じ無機粉末では、空孔への無機粉末の充填率が不十分になることによるものである。
一方、平均粒径がセラミック素子の空孔の平均径よりも小さい、平均粒径が1.0μm以下の無機粉末を用いた試料番号3,4,5、7,8,9,11,12,13,15,16,17の試料の場合は、構造欠陥発生率が試料番号1の従来例の場合に比べて大幅に低減することが確認された。
上記の結果より、セラミック素子の空孔の平均粒径より平均粒径の小さい無機粉末を用いることにより、構造欠陥の発生率が大幅に低減し、信頼性の高い積層セラミックコンデンサが得られることがわかる。
なお、上記実施例では、積層セラミックコンデンサを例にとって説明したが、本願発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、セラミック素子を備えた種々のセラミック電子部品(例えば、セラミックコンデンサアレイ、セラミックバリスタ、セラミック多層基板など)に広く適用することが可能である。
また、上記実施例では、セラミック素子を、水、研磨媒体(アルミナ粉末)とともにバレルに入れて湿式バレル研磨を行うようにした場合について説明したが、本願発明は、研磨媒体を添加しないで湿式バレル研磨を行う場合にも適用することが可能であることはいうまでもない。
本願発明は、焼結後のセラミック素子の空孔に無機粉末を充填した後、湿式バレル研磨を行うようにしているので、湿式バレル研磨工程において、液体がセラミック素子の空孔に浸入することを防止して、その後の熱処理工程(外部電極形成用の導電ペーストの焼き付け工程など)における液体の気化、膨張によるクラックや剥がれなどの構造欠陥の発生を確実に阻止することが可能になる。
また、空孔に充填される物質が無機粉末であることから、従来のシリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの有機物質を充填する方法の場合のように、充填物質の分解に伴う分解ガスや、燃焼に伴う燃焼ガスなどの発生がないため、かかる分解ガスや燃焼ガスの発生に起因するクラックや剥がれなどの構造欠陥の発生を回避することが可能になる。
したがって、本願発明は、湿式バレル研磨工程を経て製造される種々のセラミック電子部品およびその製造方法に広く適用することが可能である。
また、空孔に充填される物質が無機粉末であることから、従来のシリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの有機物質を充填する方法の場合のように、充填物質の分解に伴う分解ガスや、燃焼に伴う燃焼ガスなどの発生がないため、かかる分解ガスや燃焼ガスの発生に起因するクラックや剥がれなどの構造欠陥の発生を回避することが可能になる。
したがって、本願発明は、湿式バレル研磨工程を経て製造される種々のセラミック電子部品およびその製造方法に広く適用することが可能である。
1 セラミック素子
2 セラミック層
3a,3b 内部電極
4a,4b 外部電極
5a,5b 端面
2 セラミック層
3a,3b 内部電極
4a,4b 外部電極
5a,5b 端面
Claims (6)
- 焼結後のセラミック素子の空孔に無機粉末を充填する工程と、
空孔に無機粉末が充填されたセラミック素子を液体とともにバレルに入れ、バレルを回転させることにより研磨する湿式バレル研磨工程と
を具備することを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。 - 前記無機粉末として、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、銅粉末、およびニッケル粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種であって、平均粒径が前記セラミック素子の空孔の平均径よりも小さい無機粉末を用いることを特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品の製造方法。
- 前記湿式バレル研磨工程の後に、セラミック素子に導電ペーストを塗布して焼き付けることにより外部電極を形成する外部電極形成工程を備えていることを特徴とする請求項1または2記載のセラミック電子部品の製造方法。
- 焼結されたセラミック素子を具備するセラミック電子部品であって、セラミック素子の空孔に無機粉末が充填されていることを特徴とするセラミック電子部品。
- 前記無機粉末が、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、銅粉末、およびニッケル粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3記載のセラミック電子部品。
- 導電ペーストを塗布して焼き付けることにより形成された外部電極がセラミック素子の表面に配設されていることを特徴とする請求項4または5記載のセラミック電子部品。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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WO2017207654A3 (de) * | 2016-06-02 | 2018-01-25 | Epcos Ag | Verfahren zur herstellung einer vielzahl von piezoelektrischen vielschichtbauelementen |
-
2003
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