JP2005181094A - トルクセンサ装置および同装置の補正値検出方法 - Google Patents

トルクセンサ装置および同装置の補正値検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 トルクセンサ装置の補正を的確かつ高精度で行えるようにする。
【解決手段】 トルクセンサ装置は、電子制御ユニット30によるプログラム処理により、操舵軸13に組み付けられたトルクセンサ20からの信号を用いて操舵トルクを検出する。トルクセンサ20は、トーションバー21および同トーションバー21の上下両端に組み付けられたレゾルバ22,23からなり、操舵トルクはレゾルバ22,23の出力信号によって検出された回転角の差により検出される。このトルクセンサ装置の操舵トルクの検出動作前に、電子制御ユニット30は、ツール40により制御され、レゾルバ22,23の特性補正値をそれぞれ検出して記憶した後に、トルクセンサ20の零点補正値を検出して記憶する。これにより、簡単かつ的確に特性補正値および零点補正値が検出され、これらの補正値を利用してトルクが高精度で検出されるようになる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、2つのレゾルバを用いてトルクを検出するトルクセンサ装置およびその補正値検出方法に関する。
従来から、トルクセンサ装置によって検出されるトルクに応じて、アシストトルクを電気的に制御する電動パワーステアリング装置はよく知られている。このトルクセンサ装置においては、下記特許文献1に示されているように、トーションバーの両端にレゾルバをそれぞれ設け、レゾルバによって検出されるトーションバーの両端の回転角をそれぞれ検出して、両回転角の差によりトーションバーに付与されるトルクを検出するようにしている。
特開2002−350181号公報
また、下記特許文献2には、レゾルバにおいて、励磁コイルである1次巻線と検出コイルである2次巻線との間の相互コンダクタンス、2次巻線の自己コンダクタンスなどの影響により、参照信号(例えば、励磁信号)とレゾルバの出力信号(2次巻線出力信号)との間に発生する位相差に起因した誤差をなくすために、レゾルバの出力信号を補正するための補正値を検出して記憶しておくことが示されている。
特開2000−97974号公報
しかし、上記特許文献2に各レゾルバの特性を補正するための補正値を検出しておく技術は開示されているものの、上記特許文献1に記載の2つのレゾルバを用いたトルクセンサに関しては、その補正に関することは開示されていない。電動パワーステアリング装置におけるトルクセンサの場合には、中立点補正すなわち零点補正が重要であり、この中立点補正を行うための補正値を検出しておくことが必要である。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、トーションバーの両端に設けられた2つのレゾルバを有し、同2つのレゾルバによってそれぞれ検出される回転角の差によりトーションバーに付与されるトルクを検出するトルクセンサ装置において、同トルクセンサ装置の補正を的確かつ高精度で行えるようにすることにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、2つのレゾルバの特性を補正するための補正値をそれぞれ検出するレゾルバ補正値検出手段と、レゾルバ補正値検出手段による補正値の検出後に、トルクセンサ装置の零点を補正するための補正値を検出する零点補正値検出手段とを備えたことにある。この場合、トルクセンサ装置の補正値の検出においては、トーションバーにトルクが付与されてない状態で、両レゾルバによって検出されるとともに前記レゾルバの特性を補正するための補正値を用いて補正した両回転角を求め、両回転角の差を「0」にする値を補正値として検出するようにすればよい。
上記のように構成した本発明の特徴においては、2つのレゾルバの特性を補正するための補正値の検出後に、すなわち2つのレゾルバによって検出された両回転角に誤差が含まれなくなった状態で、トルクセンサ装置の零点を補正するための補正値を検出することになる。したがって、トルクセンサ装置の零点を補正するための補正値には、2つのレゾルバによって検出される回転角に誤差が含まれなくなり、的確な零点補正値を簡単に検出できる。したがって、これらの2つのレゾルバの特性を補正するための補正値、およびトルクセンサ装置の零点を補正するための補正値を記憶しておけば、トルクの実際の検出時に前記両補正値を利用することにより、簡単かつ高精度で零点補正した検出トルクを利用できるようになる。
また、本発明の他の特徴は、トルクセンサ装置はパワーステアリング装置に組み込まれていて、トーションバーは回転により操舵輪を操舵するための操舵軸に介装されており、レゾルバ補正値検出手段による補正値の検出前に、パワーステアリング装置をアシスト許可状態に設定するアシスト許可制御手段をさらに含むことにある。
レゾルバの特性を補正するための補正値の検出には、トーションバーを回転させた際のレゾルバの出力信号が必要とされる。したがって、上記のように、パワーステアリング装置をアシスト許可状態に設定すれば、作業者は操舵軸すなわちトーションバーを小さな力で簡単に回転させることができ、トルクセンサ装置の補正値の検出作業を簡単に行えるようになる。
本発明は、トルクセンサ装置の発明として構成しかつ実施することができるのみならず、トルクセンサ装置の補正値検出方法の発明としても構成しかつ実施することもできる。
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係るトルクセンサ装置を内蔵した車両の電動パワーステアリング装置10に、トルクセンサ装置のための補正値を検出するツール40を接続した状態を示す概略図である。
この電動パワーステアリング装置10は、操舵ハンドル11の回動操作をラックアンドピニオン機構12を介して操舵輪である左右前輪FW1,FW2に伝達する操舵軸13に組み付けられた電動モータ14を備えている。電動モータ14は、その回転に応じて操舵ハンドル11の回動操作に対してアシスト力を付与するもので、その回転は減速機構15を介して操舵軸13に伝達されるようになっている。電動モータ14には回転角センサ16が内蔵され、操舵軸13にはトルクセンサ20が組みつけられている。
回転角センサ16はレゾルバにより構成され、同レゾルバは励磁コイルである1次巻線16aおよび検出コイルである一対の2次巻線16b,16cからなる。1次巻線16aは電動モータ14のロータに組み付けられ、2次巻線16b,16cは電動モータ14のステータに電気角にしてπ/2だけずらして組み付けられている。なお、1次巻線16aを前記ステータに組み付け、2次巻線16b,16cを前記ロータに組付けるようにしてもよい。
トルクセンサ20は、操舵軸13に介装されて上端および下端を操舵軸13に接続してなるトーションバー21と、トーションバー21の上端部および下端部にそれぞれ組み付けられたレゾルバ22,23とからなる。レゾルバ22は、励磁コイルである1次巻線22aおよび検出コイルである一対の2次巻線22b,22cからなる。1次巻線22aは回転体であるトーションバー21に組み付けられ、2次巻線22b,22cはトーションバー21を軸線回りに回転可能に支持するケーシング(図示しない)に電気角にしてπ/2だけずらして組み付けられている。レゾルバ23も、励磁コイルである1次巻線22aおよび検出コイルである一対の2次巻線23b,23cからなる。1次巻線23aはトーションバー21に組み付けられ、2次巻線23b,23cは前記ケーシングに電気角にしてπ/2だけずらして組み付けられている。なお、1次巻線22a,23aを前記ケーシングに組み付け、2次巻線22b,22c,23b,23cをトーションバー21に組付けるようにしてもよい。
これらの回転角センサ(レゾルバ)16およびレゾルバ22,23は、電動パワーステアリング装置10の一部を構成する電子制御ユニット30に接続されている。電子制御ユニット30は、コンピュータ装置により構成されるもので、特にCPU31および不揮発性メモリとしてのEEPROM32を有する。この電子制御ユニット30は、図示しないプログラムの実行により、車両走行時には、トルクセンサ20内のレゾルバ22,23からの出力信号に基づいて検出したトルクと、回転角センサ(レゾルバ)16からの出力信号に基づいて検出した電動モータ14の回転角とを用いて電動モータ14の回転を制御して、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に対して操舵アシストトルクを操舵軸13に付与する。
具体的には、電子制御ユニット30は、各レゾルバ22,23,16内の1次巻線22a,23a,16aを正弦波信号によりそれぞれ励磁する。そして、レゾルバ22の2次巻線22b,22cからの正弦波状の出力信号を入力して、トーションバー21の上端部の前記ケーシングに対する軸線周りの回転角θ1を検出する。また、レゾルバ23の2次巻線23b,23cからの正弦波状の出力信号を入力して、トーションバー21の下端部の前記ケーシングに対する軸線周りの回転角θ2を検出する。さらに、レゾルバ16の2次巻線16b,16cからの正弦波状の出力信号を入力して、電動モータ14の回転角θmを検出する。したがって、トルクセンサ装置という場合には、トルクセンサ20と電子制御ユニット30の一部を含む。また、回転角センサ装置という場合には、レゾルバ16,22,23と電子制御ユニット30の一部を含む。
これらの回転角θ1,θ2,θmの検出にあっては、1次巻線22aの2次巻線22b,22cに対する回転角(電気角)、1次巻線23aの2次巻線23b,23cに対する回転角(電気角)および1次巻線16aの2次巻線16b,16cに対する回転角(電気角)をそれぞれθとする。そして、2次巻線22b,23b,16bからの出力信号の振幅をAsinとするとともに、2次巻線22c,23c,16cからの出力信号の振幅をAcosとすると、tanθ=Asin/Acosの関係が成立する。したがって、2次巻線22b,23b,16b,22c,23c,16cからの出力信号の振幅を検出し、これらの振幅を用いて回転角θ1,θ2,θmを計算できる。
一方、2次巻線22b,23b,16b,22c,23c,16cからの正弦波状の出力信号には、従来から知られているように、部品精度、組付け、電磁的影響に起因した誤差が含まれている。すなわち、前記正弦波状の出力信号の振幅、オフセット、位相、波形などの特性には誤差が含まれているので、前記回転角θ1,θ2,θmを高精度で検出するためには、これらの正弦波状の出力信号の特性を補正したうえで、それらの振幅を計算して前記回転角θ1,θ2,θmを計算しなければならない。特に、この種のレゾルバにおいては、励磁コイルである1次巻線と検出コイルである2次巻線との間の相互コンダクタンス、2次巻線の自己コンダクタンスなどの影響により正弦波状の出力信号の位相特性を補正する必要がある。したがって、レゾルバを用いて回転角を検出する場合には、通常、レゾルバの特性を補正するための特性補正値を予め求めて記憶しておいて、同補正値とレゾルバの出力信号を用いて回転角を検出するのが通常である。本実施形態においても、詳しく後述するように、レゾルバ22,23,16の特性を補正するための特性補正値を予め検出してEEPROM32に記憶しておくようにしている。
また、電子制御ユニット30は、図示しないプログラムの実行により、トルクセンサ20を構成するレゾルバ22,23からの出力信号を用いて計算した補正済みの回転角θ1,θ2に基づいて操舵軸13すなわちトーションバー21に付与される操舵トルクTsを検出する。この場合、トーションバー21に付与されるトルクは、トーションバー21の上端部と下端部の回転角の差に比例するので、前記計算された両回転角θ1,θ2の差θ1−θ2を用いて操舵トルクTsを計算する。
しかし、この計算された操舵トルクTsにも、トーションバー21、レゾルバ22,23などの部品精度、組付けなどに起因した誤差が含まれているので、実際に操舵トルクTsを計算する際には、零点補正を行う必要がある。すなわち、トーションバー21に付与されている操舵トルクTsが「0」であるときには、前記検出回転角θ1,θ2の差θ1−θ2が「0」でなければならない。したがって、前記検出回転角θ1,θ2を用いて操舵トルクTsを検出する場合には、通常、前記零点補正に用いる零点補正値を予め検出して記憶しておき、同零点補正値を用いて前記検出回転角θ1,θ2の差θ1−θ2を補正するようにするのが通常である。本実施形態においても、詳しくは後述するように、この零点補正値を予め検出してEEPROM32に記憶しておくようにしている。
前記のようにして、操舵トルクTsおよび電動モータ14の回転角θmが検出されると、電子制御ユニット30は、図示しないプログラムの実行により、操舵トルクTsに応じたアシストトルクを計算する。そして、前記検出回転角θmを用いて、電動モータ14が前記計算したアシストトルクを発生するように電動モータ14の駆動電流を制御する。その結果、電動モータ14は駆動制御されて、減速機構15を介して操舵軸13に前記アシストトルクを付与するので、運転者は操舵ハンドル11を適切な操舵トルクで回動操作できる。したがって、車両の通常走行時には、運転者は、電動パワーステアリング装置10による操舵アシストを享受しながら、操舵ハンドル11を軽快に回動操作できる。
次に、前記したレゾルバ16,22,23の特性の補正値およびトルクセンサ20の零点補正値を検出する装置および方法について説明する。これらの補正値の検出は、例えば、この電動パワーステアリング装置10を搭載した車両の組み立て完了時に工場内にて行われる。この場合、作業者は、電子制御ユニット30に補正値検出指示機能を有するツール40を接続して同ツール40を作動させる。また、車両の図示しないイグニッションスイッチをオンして、車両を動作状態に設定して、少なくとも電動パワーステアリング装置10を作動状態に設定する。電子制御ユニット30内には、図2に示す補正値検出プログラムが記憶されている。また、ツール40も、図2の補正値検出指示プログラムを記憶したコンピュータ装置を内蔵している。
この状態で、作業者は、ツール40のパネル面に設けた操作子を操作することにより、補正値検出指示プログラムの実行開始を指示する。この指示に応答して、ツール40は、補正値検出指示プログラムの実行をステップT0にて開始し、ステップT1にて電子制御ユニット30に対してアシスト開始コマンドを送信する。電子制御ユニット30は、このコマンドの指示に応答して、ステップU0にて補正値検出プログラムの実行を開始し、ステップU1にて電動パワーステアリング装置のアシスト機能の作動を開始制御する。具体的には、前述した車両の通常走行状態時における作動説明のように、操舵ハンドル11の回動操作時に電動モータ14を作動させて、操舵ハンドル11の回動操作に対してアシストトルクを操舵軸13に付与する制御を作動させることを意味する。なお、この場合には、レゾルバ16,21,22の特性補正値およびトルクセンサ20の零点補正値が未だ検出されていないことが多いが、この場合には、これらの補正値は予め設定されている初期値(例えば、「0」)を用いる。
前記ステップT1の処理後、ツール40は、ステップT2にて補正値検出開始コマンド(またはレゾルバの特性補正値検出開始コマンド)を電子制御ユニット30に送信する。電子制御ユニット30は、このコマンドの送信に応答して、ステップU2にてレゾルバの特性補正値の検出演算を実行し始めて、ステップU3の判定処理により前記検出演算の終了が判定されるまで、特性補正値の検出演算を実行し続ける。この場合、作業者は、操舵ハンドル11を回動操作する(H1)。このステップU2の処理においては、レゾルバ16,22,23の2次巻線16b,16c,22b,22c,23b,23cからの正弦波状の出力信号を入力して、同レゾルバ16,22,23の1次巻線16a,22a,23aへの励磁信号を参照することにより、各出力信号に含まれる振幅、オフセット、位相、波形などの特性を補正するための特性補正値を計算する。
この場合、作業者は操舵ハンドル11を回動操作するので、トーションバー21の回転に伴い振幅の変化する2次巻線22b,22c,23b,23cからの正弦波状の出力信号、すなわちレゾルバ22,23によって検出される回転角θ1,θ2が変化している状態の出力信号が前記特性補正値の演算に利用される。また、この状態では、電動パワーステアリング装置10のアシスト機能も作動状態にあるので、図示しないプログラム処理によって電動モータ14も回転し、この電動モータ14の回転に伴い振幅の変化する2次巻線16b,16cからの正弦波状の出力信号、すなわちレゾルバ16によって検出される回転角θ1,θ2が変化している状態の出力信号が前記特性補正値の演算に利用される。そして、前記特性補正値を検出するためには、各出力信号に含まれる振幅、オフセット、位相、波形などの誤差を検出する必要上、回転角θ1,θ2,θmが2π以上変化することが必要であり、作業者はそれに相当する操舵量だけ操舵ハンドル11を回動操作しなければならない。なお、これらの特性補正値の検出においては、従来から知られている最小2乗法を用いるとよい。
前述のようにして特性補正値の検出演算が終了すると、電子制御ユニット30はステップU3にて検出演算終了を判定してステップU4に進む。ステップU4においては、前記検出した特性補正値をEEPROM32に記憶し、この状態でプログラムの進行を一旦停止する。
一方、作業者が、ツール40のパネル面に設けた操作子を操作することにより、トルクセンサ20の零点補正値の検出開始を指示すると、ツール40は、ステップT3にて零点補正値の検出開始コマンドを電子制御ユニット20に送信する。
電子制御ユニット30は、このコマンドの送信に応答して、ステップU6にてトルクセンサ20の零点補正値の検出演算を実行し始めて、ステップU7の判定処理により前記検出演算の終了が判定されるまで、零点補正値の検出演算を実行し続ける。この場合、作業者は、操舵ハンドル11から手を放して操舵ハンドル11をフリー状態にする(H2)。これにより、操舵軸13すなわちトーションバー21に付与されるトルクは「0」となる。このステップU7の処理においては、レゾルバ22,23の2次巻線22b,22c,23b,23cからの正弦波状の出力信号に基づいてトーションバー21の両端部の回転角θ1,θ2を検出する。そして、この状態での回転角θ1,θ2が本来共に「0」を示すようにするための補正値を零点補正値とする。この場合、各回転角θ1,θ2ごとに適当な補正値を検出してもよいし、一方の回転角に対する補正値とそれらの差を「0」にするための補正値を零点補正値として検出してもよい。また、簡単には、回転角θ1,θ2の差を零点補正値として検出するようにしてもよい。なお、この零点補正値の検出においては、前記検出したレゾルバ22,23の特性補正値が利用されて、特性補正済みの回転角θ1,θ2が利用される。
このようにして零点補正値の検出演算が終了すると、電子制御ユニット30はステップU7にて検出演算終了を判定し、ステップU8に進む。ステップU8においては、前記検出した零点補正値をEEPROM32に記憶する。次に、電子制御ユニット30は、ステップU9にて、トルクセンサ20の零点補正値検出の終了を、車両の図示しない表示器に表示することにより作業者に知らせる。その後、電子制御ユニット30は、ステップU10にて補正値検出プログラムの実行を終了する。また、ツール40も、ステップT4にて補正値検出指示プログラムの実行を終了する。
上記作動説明からも理解できるように、ステップU2〜U4の処理によってレゾルバ22,23の特性補正値を検出して記憶した後に、ステップU6〜U8の処理によってトルクセンサ20の零点を補正するための補正値を検出して記憶した。したがって、トルクセンサ20の零点補正値の検出時には、2つのレゾルバ22,23によって検出される回転角θ1,θ2に誤差が含まれなくなっており、的確な零点補正値を簡単に検出できる。そして、操舵トルクTsの実際の検出においては前記記憶した特性補正値および零点補正値を利用するので、簡単かつ高精度で零点補正した操舵トルクTsが検出され、ひいては電動パワーステアリング装置10のアシスト制御が良好に行われる。
また、ステップU2〜U4によるレゾルバ22,23の特性補正値の検出前には、ステップU1の処理によって電動パワーステアリング装置10によるアシストトルクが操舵ハンドル11に付与されるようにした。したがって、レゾルバ16,22,23の特性補正値の検出には、トーションバー21(操舵軸13)および電動モータ14を回転させる必要があるが、作業者は操舵ハンドル11の軽快な回動操作によりトーションバー21(操舵軸13)を回動させることができると同時に、前記操舵アシストにより電動モータ14の回転も確保されるので、レゾルバ16,22,23の特性補正値の検出作業を簡単に行えるようになる。
また、車両工場では車両組み立てが完了すると、検査ラインまで車両を自走させていくことが一般的である。したがって、ツール40を電子制御ユニット30に接続して同ツール40を作動させておけば、前記のようにレゾルバ22,23の特性補正値の検出前に電動パワーステアリング装置10によるアシスト機能が発揮されており、このアシスト機能の発揮状態で、車両を自走させながらレゾルバ16,22,23の特性補正値を検出することが可能となり、レゾルバ16,22,23の特性補正値の検出を含む車両検査工程を短時間で済ますことができる。なお、この種の電動パワーステアリング装置10のおいては、レゾルバ16,22,23およびトルクセンサ20の異常を検出するために、検出値として許容される検出値許容幅が設けられている。しかし、前記のように検査ラインに車両を自走させる場合には、レゾルバ16,22,23およびトルクセンサ20の異常が検出されてしまう可能性があるので、ツール40からの指示により、この検出値許容幅を広めに設定しておくとよい。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、操舵アシストするために電動モータ14により操舵軸13を回転駆動するようにした。しかし、これに代えて、左右前輪FW1,FW2を連結するラックバー近傍に電動モータ14を配置して、同ラックバーを軸線方向に直線駆動することにより、操舵アシストするようにしてもよい。この場合、電動モータ14の回転出力を直線運動に変換する機構を電動モータ14とラックバーの間に配置するとよい。
また、上記実施形態においては、トルクセンサ20を操舵ハンドル11と電動モータ14による駆動部との間の操舵軸13に組付けるようにした。しかし、これに代えて、電動モータ14による駆動部とラックアンドピニオン機構12との間の操舵軸13、特にラックアンドピニオン機構12の近傍の操舵軸13に組付けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、車両の組み立て工場内または検査ラインに車両を自走させる際に、レゾルバ16,22,23の特性補正値およびトルクセンサ20の零点補正値の検出を行うようにした。しかし、これに代えまたはこれに加えて、車両の通常走行時に前記特性補正値および零点補正値の検出または更新を行うようにしてもよい。この場合、ツール40に代わる他の指示により、電子制御ユニット30が補正値検出プログラムを実行するようにすればよい。または、電子制御ユニット30が、ステップU0〜U10の処理を順次自動的に行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、本発明を、車両の電動パワーステアリング装置10内に設けたレゾルバ22,23の特性補正値と、同装置10内に設けたトルクセンサ20の零点補正値を検出する装置および方法に適用した。しかし、これに限らず、本発明は、トーションバーおよび2つのレゾルバを備えていれば、いかなるトルクセンサ装置に適用される。
本発明の一実施形態に係る車両の電動パワーステアリング装置にトルクセンサ装置のための補正値を検出するツールを接続した状態を示す概略図である。 前記電動パワーステアリング装置内の電子制御ユニットおよびツールにて実行されるプログラムのフローチャートである。
符号の説明
10…電動パワーステアリング装置、11…操舵ハンドル、13…操舵軸、14…電動モータ、15…回転角センサ(レゾルバ)、20…トルクセンサ、21…トーションバー、22,23…レゾルバ、30…電子制御ユニット、40…ツール。

Claims (4)

  1. トーションバーの両端に設けられた2つのレゾルバを有し、同2つのレゾルバによってそれぞれ検出される回転角の差により前記トーションバーに付与されるトルクを検出するトルクセンサ装置において、
    前記2つのレゾルバの特性を補正するための補正値をそれぞれ検出するレゾルバ補正値検出手段と、
    前記レゾルバ補正値検出手段による補正値の検出後に、前記トルクセンサ装置の零点を補正するための補正値を検出する零点補正値検出手段とを備えたことを特徴とするトルクセンサ装置。
  2. 前記トルクセンサ装置はパワーステアリング装置に組み込まれていて、前記トーションバーは回転により操舵輪を操舵するための操舵軸に介装されており、
    前記レゾルバ補正値検出手段による補正値の検出前に、前記パワーステアリング装置をアシスト許可状態に設定するアシスト許可制御手段をさらに含むことを特徴とする前記請求項1に記載したトルクセンサ装置。
  3. トーションバーの両端に設けられた2つのレゾルバを有し、同2つのレゾルバによってそれぞれ検出される回転角の差により前記トーションバーに付与されるトルクを検出するトルクセンサ装置の補正値検出方法であって、
    前記2つのレゾルバの特性を補正するための補正値をそれぞれ検出するレゾルバ補正値検出ステップと、
    前記レゾルバ補正値検出ステップによる補正値の検出後に、前記トルクセンサ装置の零点を補正するための補正値を検出する零点補正値検出ステップとを含むことを特徴とするトルクセンサ装置の補正値検出方法。
  4. 前記トルクセンサ装置はパワーステアリング装置に組み込まれていて、前記トーションバーは回転により操舵輪を操舵するための操舵軸に介装されており、
    前記レゾルバ補正値検出ステップによる補正値の検出前に、前記パワーステアリング装置をアシスト許可状態に設定するアシスト許可制御ステップをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載したトルクセンサ装置の補正値検出方法。
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