JP2005180648A - 熱交換器の取り付け構造 - Google Patents

熱交換器の取り付け構造 Download PDF

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高博 田中
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Abstract

【課題】 防振ゴム部材の反動作用を緩和するように固定部を構成させることで、耐久寿命の長い熱交換器の取り付け構造を実現する。
【解決手段】 車体側の構造部材1に防振ゴム部材32、42を介して設置される凝縮器2を備える熱交換器の取り付け構造において、構造部材1と凝縮器2とを防振ゴム部材32、42を介して結合する複数の固定部3、4が設けられ、一方の固定部3、4には、もう一方に設けられた防振ゴム部材32、42の反動作用により凝縮器2側の一部が構造部材1に衝突する部位に、反動作用を制止もしくは緩和する突出部32aを有する防振ゴム部材32が設けられた。これにより、防振ゴム部材の耐久寿命を長くすることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、冷媒が流通する凝縮器などの熱交換器を車両側の構造部材に防振ゴム部材を介して設置する熱交換器の取り付け構造に関するものであり、特に、防振ゴム部材の反動作用の緩和に関する。
従来、この種の熱交換器の取り付け構造として、例えば、圧縮機から発生する脈動音などの振動を有する凝縮器などの熱交換器では、その振動の車体側への伝播防止するために、防振ゴム部材を介して車両側の構造部材に設置する方法が知られている。具体的には、図10に示すように、冷媒が流通する熱交換器100の上方側と下方側に複数(例えば、4箇所)の固定部110、120を設け、それぞれの固定部110、120において、熱交換器100に結合される支持部材130、140を防振ゴム部材150、160を介して車体側の構造部材170に熱交換器100を設置するようにしている。
より具体的には、熱交換器100の下方側の固定部120では、図11(a)に示すように、構造部材170に取り付けられた防振ゴム部材160に、ピン状の突出部140aを有する支持部材140が係合するように構成されている。一方、熱交換器100の上方側の固定部110では、図11(b)に示すように、支持部材に130に取り付けられた防振ゴム部材150に、ピン状の突出部180aを有したボルト180を構造部材に170に締結するように構成されている。
なお、190は防振ゴム部材150に組み込まれており、防振ゴム部材150と突出部180aとの摺動抵抗を減少させるために設けられている。さらに、近年、これらの防振ゴム部材150、160は、バネ定数を低下させてより静粛性が図れるように形成している。
しかしながら、上記、従来の構成によれば、防振ゴム部材150、160のバネ定数を小さくすると、振動音の減衰効果は優れるが、路面からの凸凹振動を微細に対応し、防振ゴム部材150、160自身の伸縮量が大幅に増加することで耐久寿命が短くなる問題がある。さらに、路面からの凸凹振動が構造部材170に加わると、それぞれの固定部110、120に設けられた防振ゴム部材150、160の反動作用により熱交換器100が上方に飛び跳ねる現象があり、稀に、熱交換器100の一部が車両側の構造部材170などに衝突して熱交換器100を破損させる問題もある。
そこで、本発明の目的は、上記点を鑑みたものであり、防振ゴム部材の反動作用を緩和するように固定部を構成させることで、耐久寿命の長い熱交換器の取り付け構造を提供することにある。
上記、目的を達成するために、請求項1ないし請求項5に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、車体側の構造部材(1)に防振ゴム部材(32、42)を介して設置される熱交換器(2)を備える熱交換器の取り付け構造において、
構造部材(1)と熱交換器(2)とを防振ゴム部材(32、42)を介して結合する複数の固定部(3、4)が設けられ、一方の固定部(3、4)には、もう一方に設けられた防振ゴム部材(32、42)の反動作用により熱交換器(2)側の一部が構造部材(1)に衝突する部位に、反動作用を制止もしくは緩和する緩衝部(32a)を有する防振ゴム部材(32)が設けられたことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、この種の防振ゴム部材(32、42)では、反動作用により伸縮量が大幅に増加するが、この反動作用を制止もしくは緩和する緩衝部(32a)を有することにより、伸縮作用が抑制されることで防振ゴム部材(32、42)の耐久寿命を長くすることができる。また、路面からの凸凹振動が生じても反動作用を制止もしくは緩和することができるため、熱交換器(2)の損傷を招くことはない。
請求項2に記載の発明では、緩衝部(32a)は、防振ゴム部材(32)に構造部材(1)に向けて延びる突出部(32a)を設け、その突出部(32a)が防振ゴム部材(32、42)の反動作用により構造部材(1)に衝突されることを特徴としている。請求項2に記載の発明によれば、具体的には、防振ゴム部材(32)と構造部材(1)との間の隙間を突出部(32a)にて小さくすることで、防振ゴム部材(32、42)の反動作用を制止もしくは緩和することが可能となる。さらに、この突出部(32a)が構造部材(1)に衝突されることにより、熱交換器(2)が損傷を招くことはない。
請求項3に記載の発明では、緩衝部(32a)は、防振ゴム部材(32)に突出部(32a)を一体に形成されたことを特徴としている。請求項3に記載の発明によれば、別体の部品を追加することなく反動作用を制止もしくは緩和することができるため、部品点数の増加もなく部品の低コストが図れる。
請求項4に記載の発明では、突出部(32a)は、略筒状に形成された突出し部であることを特徴としている。請求項4に記載の発明によれば、簡素な形状で形成できる。
請求項5に記載の発明では、固定部(3、4)は、熱交換器(2)の上方側と下方側とに設けられ、緩衝部(32a)は、上方側の固定部(3)に設けられたことを特徴としている。請求項5に記載の発明によれば、防振ゴム部材(32、42)の反動作用により、熱交換器(2)が概して上方に飛び跳ねるため、緩衝部(32a)を上方側の固定部(3)に設けられたことにより、反動作用が起きたときに、直ちに反動作用を制止もしくは緩和することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の一実施形態における熱交換器の取り付け構造を図1ないし図6に基づいて説明する。本実施形態の熱交換器の取り付け構造は、車両のエンジンルーム内に搭載されて冷媒を流通する凝縮器に本発明を適用した例を示したものであり、図1は一実施形態における熱交換器の取り付け構造の全体構成を示す模式図であり、図2は図1に示す固定部3の構成を示す詳細図であり、図3は固定部3に用いられる防振ゴム部材32の外観を示す斜視図であり、図4は図1に示す固定部4の構成を示す詳細図である。
まず、本実施形態の熱交換器の取り付け構造は、図1に示すように、冷媒が流通する熱交換器である凝縮器2の上方側と下方側に複数(例えば、4箇所)の固定部3、4が設けられている。そして、上方側の固定部3は、図2に示すように、凝縮器2に結合された支持部材31と、その支持部材31に取り付けられた防振ゴム部材32と、車体側に形成された構造部材1から構成されており、凝縮器2が防振ゴム部材32を介して車体側の構造部材1に設置されている。
より具体的には、支持部材31は凝縮器2にボルトなどの締結部材21で結合している。本実施形態の防振ゴム部材32は、図2および図3に示すように、低バネ定数からなるゴム材で形成され、中央に貫通穴32cを有して、リング状に形成されており、一端側に構造部材1に向けて延びる複数(例えば、3個)の凸状の緩衝部である突出部32aが設けられている。さらに、この突出部32aの根元側外周には溝部32bが形成されており、この溝部32bに支持部材31を挟み込んでいる。
そして、貫通穴32cには、筒状のカラー12が設けられている。また、構造部材1にはボルト11を締結するナット1aが接合されている。ボルト11は螺子部先端側に突き出したピン状の突出部11aが形成されており、この突出部11aをカラー12に挿入するように構造部材1に締結することで、凝縮器2が防振ゴム部材32を介して構造部材1に結合されている。なお、カラー12は、金属製もしくは樹脂材料により形成され、突出部11aの摺動抵抗がゴム材(貫通穴32c)よりも低減するようにしたものである。
一方、下方側の固定部4は、図4に示すように、凝縮器2に結合された支持部材41と、構造部材1に取り付けられた防振ゴム部材42と、車体側に形成された構造部材1から構成されている。支持部材41は凝縮器2にボルトなどの締結部材21で結合しており、防振ゴム部材42は、低バネ定数からなるゴム材で形成され、中央に貫通穴42cを有して、断面が凸状に形成されており、凸部を構造部材1に形成された穴部1bに差し込むことで、構造部材1に取り付けられている。
そして、支持部材41には、ピン状の突出部41aが設けられており、この突出部41aを貫通穴42cに差し込むことで、凝縮器2が防振ゴム部材42を介して車体側の構造部材1に設置される。以上の固定部3、4の構成により、凝縮器2が上下の構造部材1との間に防振ゴム部材42を介して設置される。なお、本実施形態では、突出部32aを具体的には貫通穴32cの外周方向に3個形成したが、これが2個であると、突出部32aが構造部材1に衝突の際に突出部32aが傾くことがあるため、少なくとも円周方向に3等分となるように突出部32aを形成すると良い。
ここで、以上の構成による熱交換器の取り付け構造における組付け方法について説明する。まず、凝縮器2に支持部材31、41を締結部材21により結合する。そして、下方側の構造部材1に防振ゴム42を取り付ける。具体的には、構造部材1の穴部1bに防振ゴム42を挿入する(図4参照)。そして、上方側の支持部材31に防振ゴム32を取り付ける。具体的には、防振ゴム32の溝部32bを支持部材31に挟み込む(図2参照)。
そして、凝縮器2に結合された支持部材41の突出部41aが防振ゴム部材42の貫通穴42cに挿入する。そして、ボルト11をナット1aに締結するとともに、突出部11aが防振ゴム32の貫通穴32cに挿入させる。これにより、凝縮器2は、上下の構造部材1との間に防振ゴム部材32、42を介して設置される。従って、凝縮器2から発する脈動などの振動が防振ゴム部材42に減衰されるため構造部材1に伝播されることはない。
ところで、複数の固定部3、4に用いられた防振ゴム部材32、42は、バネ定数を小さするように形成してあるため路面からの微細な凸凹振動を受けて、防振ゴム部材32、42は反動作用により凝縮器2を上方に飛び跳ねるときがあるが、本実施形態では、このときに、上方側の防振ゴム部材32の突出部32aが構造部材1に衝突するように構成してあるため、この突出部32aにより反動作用を制止もしくは緩和することができる。
また、防振ゴム部材32、42自身も路面からの微細な凸凹振動を受けて、伸縮量が増加するが、本実施形態では、このときに、上方側の防振ゴム部材32の突出部32aが構造部材1に衝突するように構成してあるため伸縮作用が抑制されることで防振ゴム部材32の摩耗の耐久寿命が長くすることができる。
因みに、これらの効果を発明者らの実験により求めたので、図5および図6に基づいて説明する。図5は振動試験における加速度と周波数との関係を示す特性図であり、実線で示す本発明品の取り付け構造と、破線で示す従来品の取り付け構造との加速度との比較を示した実験結果である。本発明品では凝縮器2の飛び跳ねが半減するとともに、防振ゴム部材32の摩耗の耐久寿命が4倍増加することを見出した。
また、図6は振動試験機により車両走行を模擬した振動特性による加速耐久テストを比較した特性図であり、従来品の取り付け構造では、約20時間で凝縮器2が脱落したが本発明品による取り付け構造では90時間まで故障しないことが分かった。これにより、突出部32aにより反動作用を制止もしくは緩和させることで耐久寿命が長くなることを見出した。
以上の一実施形態による熱交換器の取り付け構造によれば、この種の防振ゴム部材32、42では、反動作用により伸縮量が大幅に増加するが、この反動作用を制止もしくは緩和する突出部32aを有することにより、伸縮作用が抑制されることで防振ゴム部材32、42の耐久寿命を長くすることができる。また、路面からの微細な凸凹振動を受けても反動作用を制止もしくは緩和することができるため、飛び跳ねによる凝縮器2の損傷を招くことはない。
また、防振ゴム部材32と構造部材1との間に形成される隙間を突出部32aにて小さくすることで、防振ゴム部材32、42の反動作用を制止もしくは緩和することが可能となる。さらに、この突出部32aが構造部材1に衝突されることにより、凝縮器2が飛び跳ねによる損傷を招くことはない。
また、防振ゴム部材32に突出部32aを一体に形成されたことにより、別体の部品を追加することなく反動作用を制止もしくは緩和することができるため、部品点数の増加もなく部品の低コストが図れる。しかも、突出部32aは、上方側の固定部3に設けられたことにより、防振ゴム部材32、42の反動作用により、突出部32aが概して上方に飛び跳ねるため反動作用が起きたときに、直ちに反動作用を制止もしくは緩和することができる。
(他の実施形態)
以上の一実施形態では、防振ゴム部材32に少なくとも3個の突出部32aを形成したが、これに限らず、図7に示すように、略円筒状の突出部32aで形成しても良い。また、以上の実施形態では、防振ゴム部材32に突出部32aを一体で形成したが、これに限らず、図8に示すように、防振ゴム部材32と別体で突出部32aを構成して、防振ゴム部材32と構造部材1との間に設けても良い。また、その形状は図9(a)および図9(b)に示すように、断面が略円形であっても良いし、矩形であっても良い。
また、以上の実施形態では、本発明を冷媒が流通する凝縮器2に適用させたが、これに限定されるものではない。
本発明の一実施形態における熱交換器の取り付け構造の全体構成を示す模式図である。 図1に示すA部詳細図である。 本発明の一実施形態における防振ゴム部材32の外観を示す斜視図である。 図1に示すB部詳細図である。 振動試験機における加速度と周波数との関係を示す特性図である。 耐久テストにおける本発明品と従来品との耐久時間の比較を示す特性図である。 他の実施形態における防振ゴム部材32の外観を示す斜視図である。 他の実施形態における図1に示すA部詳細図である。 (a)および(b)は、他の実施形態における防振ゴム部材32の形状を示す斜視図である。 従来技術における熱交換器の取り付け構造の全体構成を示す模式図である。 (a)は図10に示すB部詳細図、(b)は図10に示すA部詳細図である。
符号の説明
1…構造部材
2…凝縮器(熱交換器)
3、4…固定部
32、42…防振ゴム部材
32a…突出部(緩衝部)

Claims (5)

  1. 車体側の構造部材(1)に防振ゴム部材(32、42)を介して設置される熱交換器(2)を備える熱交換器の取り付け構造において、
    前記構造部材(1)と前記熱交換器(2)とを前記防振ゴム部材(32、42)を介して結合する複数の固定部(3、4)が設けられ、一方の前記固定部(3、4)には、もう一方に設けられた前記防振ゴム部材(32、42)の反動作用により前記熱交換器(2)側の一部が前記構造部材(1)に衝突する部位に、前記反動作用を制止もしくは緩和する緩衝部(32a)を有する防振ゴム部材(32)が設けられたことを特徴とする熱交換器の取り付け構造。
  2. 前記緩衝部(32a)は、前記防振ゴム部材(32)に前記構造部材(1)に向けて延びる突出部(32a)を設け、その突出部(32a)が前記防振ゴム部材(32、42)の反動作用により前記構造部材(1)に衝突されることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の取り付け構造。
  3. 前記緩衝部(32a)は、前記防振ゴム部材(32)に前記突出部(32a)を一体に形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器の取り付け構造。
  4. 前記突出部(32a)は、略筒状に形成された突出し部であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の熱交換器の取り付け構造。
  5. 前記固定部(3、4)は、前記熱交換器(2)の上方側と下方側とに設けられ、前記緩衝部(32a)は、上方側の前記固定部(3)に設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の熱交換器の取り付け構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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