JP2005178472A - 車両用スタビライザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の旋回走行時においても、ロール抑制機能のオン・オフ切換が可能であり、オン・オフ切換機構の駆動手段を小型化できる車両用スタビライザ装置を提供する。
【解決手段】一対のアーム部2、3とこれらのアーム部2、3に亘って車幅方向に延在するトーション部4とからなるスタビライザ本体と、トーション部4の一方のアーム部3側の端部に設けたレバー5と当該アーム部3とを制御シリンダ6を介して連結するリンク機構とを具え、トーション部4と前記一方のアーム部3とを、連結部としてのベアリング7により枢動可能に連結するとともにトーション部4と他方のアーム部2とを一体的に結合してなる車両用スタビライザ装置1であって、前記制御シリンダ6のシリンダ筐体8内にピストン11を挟んで二室の液室15、16を設け、それぞれの液室15、16を開閉手段を介して連通させてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両のサスペンションシステムに用いて好適な、スタビライザ装置に関するものである。
自動車等の車両の独立懸架式のサスペンションシステムでは、旋回走行時の遠心力による車体のロールを抑制して車体の平衡を保つために、トーションバーの捻り剛性を利用したスタビライザ装置が広く用いられている。ところが、このようなスタビライザ装置では、凹凸のある悪路を直進走行する場合に、スタビライザ装置が左右のサスペンションアームの相対運動を抑制するために、サスペンションシステムとしての衝撃吸収性がかえって悪化し、操縦安定性を損なうという問題があった。
このため、例えば特許文献1に記載の如く、走行条件に応じて、スタビライザ装置のロール抑制機能をオンまたはオフとすることを選択できる、いわゆるオン・オフ切換機構を備えたスタビライザ装置が提案されている。
このスタビライザ装置は、図14に斜視図で示すように、スタビライザ本体102と、オン・オフ切換機構103とを具え、スタビライザ本体102は、左右一対のアーム部106、107と、これらのアーム部106、107間に亘って車幅方向に延びるトーション部108とを具える。トーション部108は、図示しないゴムブッシュを具えたブラケットにより車体側に支持され、一方のアーム部106は、コンロッド140に継手141を介して枢動自在に連結され、コンロッド140はオン・オフ切換機構103を介して、サスペンションのロアアーム109に上下方向に相対移動可能に連結され、さらに、他方のアーム部107は反対側のロアアームに連結される。オン・オフ切換機構103はコンロッド140のロアアーム109に対する相対移動を拘束することにより、スタビライザ装置のロール抑制機能をオンとし、前記相対移動を許容することによって、ロール抑制機能をオフとすることができる。
オン・オフ切換機構103は、図15に斜視図で、図16に断面図で示すように、コンロッド140の中心軸線方向の中間部に、凹部155、156が設けられ、その凹部に隣接して、斜状案内面160、161、162、163が設けられる。さらに、ロック部材170を、コンロッド140と直交する方向に進退変位可能に設け、ロック部材170はロック手段を進退自在に駆動させる駆動手段180に連結される。ロック部材170は、前進位置において前記凹部155、156に嵌合して、コンロッド140のロアアーム109に対する上下変位を拘束する。
特開平5−32115号公報
ところがこのようなオン・オフ切換機構を有するスタビライザ装置にあっては、例えば、オン・オフ切換機構をオフ状態として車両が旋回走行している場合に、オン状態に切換えようとしても、コンロッド140の凹部155、156もしくは斜状案内面160〜163のロック部材170に対するコンロッド140の中心軸線方向の相対位置が合致していなければ、オン状態に切換えることができず、また、斜状案内面160〜163とロック部170の前記相対位置が一致していても、ロック部材170を前進変位させて、凹部155、156に嵌合させるためには、駆動手段180の前進方向への押付け力を高める必要があるため、駆動手段を電気モータや油圧ポンプ等とする必要があり、駆動手段が大型化するという問題点があった。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、車両の旋回走行時においても、ロール抑制機能のオン・オフ切換が可能であり、オン・オフ切換機構の駆動手段を小型化できる車両用スタビライザ装置を提供することにある。
本発明に係る車両用スタビライザ装置は、請求項1に記載のごとく、一対のアーム部とこれらのアーム部に亘って車幅方向に延在するトーション部とからなるスタビライザ本体と、トーション部の一方のアーム部側の端部に設けたレバーと当該アーム部とを制御シリンダを介して連結するリンク機構とを具え、トーション部と前記一方のアーム部とを連結部により枢動可能に連結するとともにトーション部と他方のアーム部とを一体的に結合してなる車両用スタビライザ装置であって、前記制御シリンダの長さの伸縮を規制する規制手段を設けてなる。
前期制御シリンダの長さの伸縮を規制する具体的手段として、請求項2に記載のごとく、前記制御シリンダのシリンダ筐体内にピストンを挟んで二室の液室を設け、それぞれの液室を開閉手段を介して連通させる。
請求項1に記載の発明によれば、旋回走行時に車体がロールして、一対のアーム部間に相対変位が生じていても、制御シリンダの長さの伸縮を規制手段により規制することによりトーション部とアーム部との枢動を規制して、その相対変位にかかわらず任意に車両用スタビライザ装置のロール抑制機能をオンとすることができる。同様に、一対のアーム部間に相対変位が生じていても、規制手段の規制を解除することにより、制御シリンダの長さの伸縮を自由ならしめて、トーション部とアーム部との枢動を自在なものとして、その相対変位にかかわらず任意に車両用スタビライザ装置のロール抑制機能をオフとすることができる。
さらに請求項2に記載の発明によれば、開閉手段を開とすることにより、制御シリンダの作動液が、前記二室の液室間を相互に自由に移動することができるので、制御シリンダ内のピストンはその軸線方向に運動自在となり、スタビライザ本体のトーション部と連結部側のアーム部とは枢動自在となって、車両用スタビライザ装置のロール抑制機能をオフとすることができる。また、開閉手段を閉とすることにより、制御シリンダの作動液は、前記二室の液室間を相互に移動できなくなり、ピストンの軸線方向の運動を拘束して制御シリンダの長さを一定とすることができるので、スタビライザ本体のトーション部と連結部側のアーム部とを制御シリンダおよびレバーを介して枢動不可として、車両用スタビライザ装置のロール抑制機能をオンとすることができる。
また、開閉手段として、例えば、電磁開閉弁等を使用することにより、従来技術のように、電気モータや油圧ポンプ等を用いる場合に比して、開閉手段を小型化することができるとともに、開閉手段の消費エネルギーを小さくすることができる。さらに、車両用スタビライザ装置全体としての、重量の軽減、省スペース化、低コスト化を図ることができ、かつ、車両全体としての省燃費化を図ることができる。
また、図16に示した従来技術では、ロール抑制機能をオフからオンに切換える時に、コンロッド140の凹部155、156が中立位置から少しずれていた場合に、斜状案内面160〜163の一部にロック部材170を押圧して、凹部155、156を中立位置まで移動させてから、凹部155、156にロック部材170を嵌合させる必要があるが、本発明のように開閉手段として電磁開閉弁を用いれば、そのような必要がないため、オン・オフの切換の応答性を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例になる車両用スタビライザ装置の要部を示す模式斜視図である。
図において1は、本発明における車両用スタビライザ装置を示す。
車両用スタビライザ装置1は、一対のアーム部2、3とこれらのアーム部2、3に亘って車幅方向に延在するトーション部4とからなるスタビライザ本体と、トーション部4の一方のアーム部3の近傍部分つまり、一方のアーム部3側のトーション部4の端部に設けたレバー5と当該アーム部3とを制御シリンダ6を介して連結するリンク機構とを具え、トーション部4と前記一方のアーム部3とを、連結部としてのベアリング7により枢動可能に連結するとともにトーション部4と他方のアーム部2とを一体的に結合してなる。
つまり、アーム部3は、トーション部4と連結された端部を中心に、トーション部4の軸線方向に直交する平面内を回転可能にトーション部4の端部に連結されている。
リンク機構は、制御シリンダ6の一方端、ここではシリンダ筐体8に設けたブラケット9を、アーム部3に剛接して設けた第二レバー10に第二連結部12を介して枢動自在に連結し、制御シリンダ6の他方端、ここではピストン11に結合させてシリンダ筐体8の端部から突出させたロッド13を第三連結部14を介してレバー5に枢動自在に連結して、構成する。これにより、アーム部3はトーション部4の軸線方向に直交する平面内で枢動自在となる。
前記制御シリンダ6のシリンダ筐体8内にピストン11を挟んで、第三連結部14側に液室15を、ブラケット9側に液室16を設け、それぞれの液室15、16を、ここでは図示しない、開閉手段を介して連通させる。
なお、トーション部4はゴムブッシュ17、18を介して、図示しないブラケットにより、図示しない車体に枢動可能に連結され、アーム部2、3のそれぞれの端部は、これも図示しないサスペンション装置のロアアームに連結される。(請求項2に相当)
これらの構成によれば、車体がロールして、一対のアーム部2、3間に、トーション部4の軸線周りの相対変位が生じていても、開閉手段の開閉動作により、その相対変位にかかわらず任意に車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能をオン・オフ切換することができる。開閉手段を開とすることにより、制御シリンダ6の作動液が、前記二室の液室15と16との間を、相互に自由に移動することができるので、制御シリンダ6内のピストン11はその軸線方向に運動可能となり、トーション部4とアーム部3とは枢動自在となって、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能をオフとすることができる。また、開閉手段を閉とすることにより、制御シリンダ6の作動液は、前記二室の液室15と16との間を相互に移動できなくなり、ピストン11の軸線方向の運動を拘束して、制御シリンダ6の長さ、この場合第二連結部12から第三連結部14までの長さを一定とすることができるので、トーション部4とベアリング7側のアーム部3とは制御シリンダ6を介して枢動不可となって、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能をオンとすることができる。
図2は、図1に示す車両用スタビライザ装置を車幅方向Fから見た矢視図である。
図2(a)は、アーム部2およびアーム部3が、ともに変位していない場合を示し、図2(b)は、アーム部2およびアーム部3が、時計方向に同じ角度だけ変位した場合を示す。
さらに、図2(c)はアーム部2およびアーム部3が、反時計方向に同じ角度だけ変位した場合を示す。
これらのいずれの場合でも、アーム部2とアーム部3との間にはトーション部4周りの相対変位は生じておらず、制御シリンダ6のシリンダ筐体8とピストン11との間にも相対変位は生じない。このため、これらの場合には、前記開閉手段の開閉動作によるオン・オフ切換にかかわらず、車両用スタビライザ装置1は、ロール抑制機能を発揮しない。
図3は、図1に示すスタビライザ装置を車幅方向Fから見た矢視図である。
図3(a)は、アーム部2およびアーム部3が、ともに変位していない場合を示し、図3(b)は、アーム部3が、トーション部4周りに時計方向に変位して、アーム部2は変位していない場合を示す。
さらに、図3(c)はアーム部3が、トーション部4周りに反時計方向に変位して、アーム部2は変位していない場合を示す。
図3(a)においては、アーム部2とアーム部3との間にはトーション部4周りの相対変位は生じておらず、制御シリンダ6のシリンダ筐体8とピストン11との間にも相対変位は生じない。このため、これらの場合には、前記開閉手段の開閉動作によるオン・オフ切換にかかわらず、スタビライザ装置1は、ロール抑制機能を発揮しない。
図3(b)および(c)においては、アーム部2とアーム部3との間にトーション部4周りの相対変位が生じており、例えば旋回走行時においては、この相対変位を抑制するべく、前記開閉手段を閉として、ロール抑制機能をオンとする。これに対して、凹凸のある悪路を直進する場合等においては、この相対変位を許容するべく、前記開閉手段を開として、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能をオフとする。
図4は、図1に示す制御シリンダと開閉手段の詳細を示す模式断面図である。
以下、図4を用いて、制御シリンダ6によるオン・オフ切換について詳細に説明する。
制御シリンダ6は、円筒状をなすシリンダ筐体8と、シリンダ筐体8にオイルシール17を介して液密に摺動可能に嵌合されるピストン11と、ピストン11に結合されるロッド13とからなり、ロッド13の一方側は、シリンダ筐体8の一端部19に抜き差し可能に、オイルシール20を介して液密に突出させ、他方端は、シリンダ筐体8の他端部21に抜き差し可能に、オイルシール22を介して液密に突出させる。
液室15と液室16とは、通路23、開閉手段としての電磁開閉弁24、通路25、ロッド13に穿設した通路26とを、この順番に液密に連結して、連通させる。
制御シリンダ6の他方端21には、ブラケット9をボルト27にて締結し、ブラケット9は、図示しない第二レバー10に第二連結部12を介して枢動自在に連結される。
図4に示す制御シリンダ6の構成によれば、車体がロールして、図1に示す、一対のアーム部2、3間に、トーション部4周りの相対変位が生じていても、電磁開閉弁24の開閉動作により、その相対変位にかかわらず任意に車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能をオン・オフ切換することができる。電磁開閉弁24を開とすることにより、制御シリンダ6の作動液が、液室15と16との間を、相互に自由に移動することができるので、制御シリンダ6内のピストン11はその軸線方向に運動可能となり、トーション部4とアーム部3とは枢動自在となって、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能をオフとすることができる。また、電磁開閉弁24を閉とすることにより、制御シリンダ6の作動液は、液室15と16との間を相互に移動できなくなり、ピストン11の軸線方向の運動を拘束して、制御シリンダ6の長さを一定とすることができるので、トーション部4とアーム部3とは制御シリンダ6を介して枢動不可となって、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能をオンとすることができる。
なお、図4に示す電磁開閉弁24の構成では、電源オフ等のシステム欠陥時には、電磁開閉弁24のばねの作用により、電磁開閉弁24は閉となり、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能はオンとなる。
また、図4では、ロッド13に穿設した通路26を用いて、液室15と液室16を連通する例を示したが、図5に示すように、液室16と液室15を、通路23、電磁開閉弁24および通路25により直接連通しても良い。
図6は、図1に示す制御シリンダと開閉手段の他の実施例を示す模式断面図である。
図6に示す制御シリンダは、図4に示す制御シリンダ6の液室15内に、ピストン11とシリンダ筐体8の一端部19を連結する弾性部材としてのバネ28を設けたものである。(請求項3に相当。)
以下、図6に示す制御シリンダ6の構造と、それによる車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能の「弱・強」切換について詳細に説明する。
制御シリンダ6は、円筒状をなすシリンダ筐体8と、シリンダ筐体8にオイルシール17を介して液密に摺動可能に嵌合されるピストン11と、ピストン11に結合されるロッド13とからなり、ロッド13の一方側は、シリンダ筐体8の一端部19に抜き差し可能に、オイルシール20を介して液密に突出させ、他方端は、シリンダ筐体8の他端部21に抜き差し可能に、オイルシール22を介して液密に突出させる。
液室15と液室16とは、通路23、開閉手段としての電磁開閉弁24、通路25、ロッド13に穿設した通路26とを、この順番に液密に連結して、連通させる。
制御シリンダ6の他端部21には、ブラケット9をボルト27にて締結し、ブラケット9は、図示しない第二レバー10に第二連結部12を介して枢動自在に連結される。
液室15内には、ピストン11とシリンダ筐体8の一端部19を連結する弾性部材としてのバネ28を設ける。バネ28のシリンダ筐体8の一端部19側の一方端部には、シリンダ筐体8の中心軸線と平行となる直線部分29を形成して、バネ28の他方端部にも、シリンダ筐体8の中心軸線と平行となる直線部分30を形成する。これらの直線部分29、30は、それぞれシリンダ筐体8の一端部19およびシリンダ11に設けた貫通穴に挿通させて、それぞれの端部に形成した図示しないおねじ部に、図7に示すように、オイルシール31と座金32を介して、ナット33を螺合して、これにより、バネ28の両端部を、それぞれ、ピストン11と、シリンダ筐体8の一端部19に液密に締結する。
このような構成とすることにより、バネ28は、ピストン11をシリンダ筐体8の端部19、21へ向けて付勢することができる。具体的には、液室15内に作動液が供給されると、ピストン11は液圧によりシリンダ筐体8の他端部21側へと移動するが、その際、バネ28は、ピストン11をシリンダ筐体8の一端部19側へ付勢する。また、液室16内に作動液が供給されると、ピストン11は、液圧によりシリンダ筐体8の他端部19側へと移動するが、その際、バネ28は、ピストン11をシリンダ筐体8の一端部21側に付勢する。
図7に示すような、バネの端部をナットにより螺合する方法に換えて、図8(a)に示すように、バネ28の端部を、バネの中心軸線と直交する平面内で切断して、その切断面をピストン11またはシリンダ筐体8の一端部19の内壁に当接させて、図8(a)に示すように、バネ28の端部を、周上のほぼ等間隔に位置する三点で、ピストン11またはシリンダ筐体8の一端部19にクランプ34にて固定することも出来る。ここで、バネ28の自由端28aの近傍部分では、図8(b)に示すように、バネ28は自由端28aから徐々にその厚みを増す形態となるので、クランプ34にて固定する箇所にその厚みが均等となる切り欠き28bを設け、図8(c)に図8(b)のAA‘断面にて示すように、その切り欠き28bを覆う形態にて、クランプ34を設けて、バネ28を固定する。
ここでは液室15内にバネを設ける場合を示したが、液室16内にバネを設ける構成としても良い。また、液室15、16の両方にバネを設ける構成としても良い。
制御シリンダ6を図6に示す構成とすれば、車体がロールして、図1に示す、一対のアーム部2、3間に、トーション部4周りの相対変位が生じていても、電磁開閉弁24の開閉動作により、その相対変位にかかわらず任意に、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能の「弱・強」を切換えることができる。電磁開閉弁24を開とすることにより、制御シリンダ6の作動液が、前記二室の液室15と16との間を、相互に自由に移動することができるので、制御シリンダ6内のピストン11はその軸線方向に運動可能となり、トーション部4とアーム部3とはバネ28およびレバー5を介して枢動可能となるため、アーム部2とアーム部3との相対変位により生じる抵抗は、トーション部4の捻り剛性による抵抗と、バネ28によりレバー5を介してトーション部周りに発生する抵抗とを直列に合成したものとなって、トーション部4の捻り剛性のみにより発生する抵抗よりも小さくなり、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能を相対的に「弱」とすることができる。また、開閉手段を閉とすることにより、制御シリンダ6の作動液は、前記二室の液室15と16との間を相互に移動できなくなり、ピストン11の軸線方向の運動を拘束して、制御シリンダ6の長さを一定とすることができるので、トーション部4と連結部5側のアーム部3とはレバー5を介して枢動不可となって、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能を相対的に「強」とすることができる。
さらに、このような構成とすることにより、例えば緊急回避等、急速な転舵を行い、その後逆転舵を行って、車体に大きな遠心力が作用する場合において、転舵から逆転舵にいたる間の中立位置より手前で発生する、ややねじれ角のついた状態で、スタビライザ効果を「弱」から「強」に切換える制御を行えば、ロールオーバーが特に懸念される逆転舵時において、車両用スタビライザ装置により高いロール抑制機能を発揮させて、高い操縦安定性を得ることができる。
なお、図6に示す電磁開閉弁24の構成では、電源オフ等のシステム欠陥時には、電磁開閉弁24のばねの作用により、電磁開閉弁24は閉となり、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能は「強」となる。もちろん所望に応じて、電源オフ時に、電磁開閉弁25を開として、ロール抑制機能を「弱」とする構成とすることもできる。
また、図6では、ロッド13に穿設した通路26を用いて、液室15と液室16を連通させる例を示したが、図9に示すように、液室16と液室15を、通路23、電磁開閉弁24および通路25により直接連通させても良い。
図10は、図1に示す制御シリンダと開閉手段のさらに他の実施例を示す模式断面図である。
図10に示す制御シリンダは、図6に示す制御シリンダ6のシリンダ筐体8の外側に、付加シリンダ筐体35を液密に嵌設し、前記シリンダ筐体8と付加シリンダ筐体35との間に第三の液室36を設け、当該第三の液室36と別途設けたアキュムレータ37とを第二開閉手段としての制御バルブユニット38(ここでは開閉手段をも兼ねる)を介して連通させたものである。(請求項4に相当。)
以下、図10に示す制御シリンダ6の構造と、それによる車両用スタビライザ装置のロール抑制機能の「無・弱・強」切換について詳細に説明する。
制御シリンダ6は、円筒状をなすシリンダ筐体8と、シリンダ筐体8にオイルシール17を介して液密に摺動可能に嵌合されるピストン11と、ピストン11に結合されるロッド13と、シリンダ筐体8の外側にオイルシール39を介して液密に嵌設される付加シリンダ35とからなり、付加シリンダ35の内面には、シリンダ筐体8の摺動をガイドするすべり軸受40が設けられる。また、ロッド13の一方端は、シリンダ筐体8の一端部19に抜き差し可能に、オイルシール19を介して液密に突出させ、他方端は、シリンダ筐体8の他端部20に抜き差し可能に、オイルシール22を介して液密に突出させるとともに、付加シリンダ筐体35の他方端41に抜き差し可能に、オイルシール42を介して液密に突出させる。
液室15と液室16とは、それらの間に、通路23、開閉手段としての制御バルブユニット38のAポートおよびBポート、通路25、ロッド13の中心軸線を含む内部に穿設した通路26とを、この順番に液密に連結して、連通させる。
液室36とアキュムレータ37とは、それらの間に、通路43、第二開閉手段としての制御バルブユニット38のCポートおよびDポート、通路44とをこの順番に液密に連結して、連通させる。
付加シリンダ筐体35の他方端41には、ブラケット45をボルト46にて締結し、ブラケット45は、図示しない第二レバー10に第二連結部12を介して枢動自在に連結される。
図11〜13は、制御バルブユニットの構成を示す模式断面図である。
制御バルブユニット38は、ほぼ円筒状をなすバルブユニット筐体47と、それに摺動可能に嵌合されたスプール48と、スプール48の軸線方向両端とバルブユニット筐体47の両端部との間に設けたリアクションスプリング49、50と、スプール48をバルブユニット筐体47の軸線方向に移動させるアクチュエータ51とからなる。
バルブユニット筐体47の内周面にはほぼ等間隔に四条のグルーブ52、53、54、55が設けられ、それらのグルーブにはそれぞれ、ポートA、B、C、Dが設けられる。スプール48のほぼ中央には、図11に示すように、スプール48が前記リアクションスプリング49、50により付勢されて、中立位置となる場合に、ポートAとポートBを開通し、ポートCとポートDを閉止するように、スプールランド56が設けられる。
図12に示すように、アクチュエータ51により、リアクションスプリング49、50のバネ力に抗して、スプール48をバルブユニット筐体47に対して、図面上右方に移動させると、ポートAとポートBとの間を閉とし、ポートCとポートDとの間を開とする。
図13に示すように、アクチュエータ51により、リアクションスプリング49、50のバネ力に抗して、スプール48をバルブユニット筐体47に対して、図面上左方に移動させると、ポートAとポートBとの間を閉とし、かつ、ポートCとポートDとの間を閉とする。
制御シリンダ6を図10に示す構成とすれば、車体がロールして、図1に示す、一対のアーム部2、3間に、トーション部4周りの相対変位が生じていても、開閉手段の開閉動作により、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能を、「無・弱・強」の三段階に切換えることができる。
図12に示すように、開閉手段および第二開閉手段としての制御バルブユニット38のポートAとポートBとの間を閉とし、ポートCとポートDとの間を開とすることにより、制御シリンダ6の作動液が、液室15と液室16との間では相互の自由に移動できなくなり、液室36とアキュムレータ37との間を、相互に自由に移動することができるので、制御シリンダ6内のピストン11はその軸線方向に拘束されかつ、シリンダ筐体8は付加シリンダ筐体35に対して自由に移動することができる。これにより、トーション部4とアーム部3とは枢動自在となるため、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能をほとんど「無」とすることができる。
図11に示すように、制御バルブユニット38のポートAとポートBとの間を開とし、ポートCとポートDとの間を閉とすることにより、制御シリンダ6の作動液が、液室15と16との間を、相互に自由に移動することができ、液室36とアキュムレータ37との間を、相互に自由に移動することができなくなるので、制御シリンダ6内のピストン11はその軸線方向に運動可能となり、トーション部4とアーム部3とはバネ28およびレバー5を介して枢動可能となるため、アーム部2とアーム部3との相対変位により生じる抵抗は、トーション部4の捻り剛性による抵抗と、バネ28のレバー5を介してトーション部周りに発生する抵抗とを直列に合成したものとなって、トーション部4の捻り剛性のみにより発生する抵抗よりも小さくなり、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能を相対的に「弱」とすることができる。
また、図13に示すように、制御バルブユニット38のポートAとポートBをとの間を閉とし、ポートCとポートDとの間を閉とすることにより、制御シリンダ6の作動液は、前記二室の液室15と16との間および液室36とアキュムレータ37との間を相互に移動できなくなり、ピストン11の軸線方向の運動を拘束して、制御シリンダ6の長さを一定とすることができるので、トーション部4と連結部5側のアーム部3とはレバー5を介して枢動不可となって、車両用スタビライザ装置1のロール抑制機能を相対的に「強」とすることができる。
このように制御シリンダ6を、図10に示す構成とすることにより、凹凸の多い悪路と良路において必要なロール抑制機能のオン・オフ切換と、緊急回避時の転舵から逆転舵において有効なロール抑制機能の「弱・強」切換との双方を、一つの車両用スタビライザ装置において実現することができる。
本実施例では、制御シリンダの切換数は「無」「弱」「強」と三段までとしたが、液室を増やすことによりさらに多段とすることが可能であり、それぞれの液室に設けるバネのバネ定数を適宜選択することにより、車両用スタビライザ装置のロール抑制機能をさらに細かく制御することもできる。また、トーション部に対して両方のアーム部を枢動自在としてもよく、その場合それぞれのアーム部とトーション部を、それぞれ特性の異なるバネを有する制御シリンダを介して連結することにより、さらに複数段階のロール抑制機能を選択することも可能である。
また、車両のステアリング装置の舵角を検出する舵角検出手段と、その検出結果に基づき、前記開閉手段もしくは第二開閉手段の開閉を制御する開閉制御手段を、付加して設けてもよい。これにより、舵角に応じてロール抑制機能の「無」「有」または「無」「弱」「強」を任意に選択して、路面および走行状況に応じて、自動的にロール抑制機能を選択することができる。(請求項5に相当)
また本実施例では、開閉手段として全開状態と全閉状態を切り換える電磁開閉弁24を用いたが、本発明はこれに限らず、開閉状態を多段階、又は、無段階で切り換えることができる開閉弁を用いることができる。このような開閉弁を用いると、一対のアーム部間に相対変位が生じた状態で、ロール抑制機能をオフする時でも、段階的に、又は、徐々に弁を開状態にすることで、ロール抑制機能も段階的に、又は、徐々にオフ状態にすることができるので、車両の急激な姿勢変化を防止することができる。
また、本実施例において、作動液が通流する通路や通路と液室の連結部に、オリフィスや絞りを設けてもよい。これにより、作動液が通路を通流する際に、スタビライザ装置に減衰力を発生させることができ、一対のアーム部間に相対変位が生じた状態で、ロール抑制機能をオフしたときでも、制御シリンダのピストンの摺動速度を遅くして、車両の急激な姿勢変化を防止することができる。
また本発明の車両用スタビライザ装置の制御シリンダは、以上に述べた形態のものに限られるものではなく、制御シリンダの長さの伸縮を規制できる規制手段を具えるものであれば事足りる。これによっても、スタビライザ装置のスタビライザ本体の捻り剛性を切換えて、そのロール抑制機能を任意に選択することができる。(請求項1に相当)
本発明の一実施例になる車両用スタビライザ装置の要部を示す模式斜視図である。 図1に示す車両用スタビライザ装置を車幅方向Fから見た矢視図である。 図1に示すスタビライザ装置を車幅方向Fから見た矢視図である。 図1に示す制御シリンダと開閉手段の一実地例の詳細を示す模式断面図である。 図1に示す制御シリンダと開閉手段の他の実施例の詳細を示す模式断面図である。 図1に示す制御シリンダと開閉手段の他の実施例の詳細を示す模式断面図である。 図6のバネの端部の締結構造を示す模式断面図である。 図6のバネの端部の他の締結構造を示す模式断面図である。 図1に示す制御シリンダと開閉手段の他の実施例の詳細を示す模式断面図である。 図1に示す制御シリンダと開閉手段のさらに他の実施例を示す模式断面図である。 図10に示す制御バルブユニットの詳細を示す模式断面図である。 図10に示す制御バルブユニットの詳細を示す模式断面図である。 図10に示す制御バルブユニットの詳細を示す模式断面図である。 従来の車両用スタビライザ装置の概略を示す斜視図である。 従来の車両用スタビライザ装置のオン・オフ切換機構の概略を示す斜視図である。 従来の車両用スタビライザ装置のオン・オフ切換機構の概略を示す断面図である。
符号の説明
1 車両用スタビライザ装置
2 アーム部
3 アーム部
4 トーション部
5 レバー
6 制御シリンダ
7 ベアリング
8 シリンダ筐体
9 ブラケット
10 第二レバー
11 ピストン
12 第二連結部
13 ロッド
14 第三連結部
15 液室
16 液室
17 ゴムブッシュ
18 ゴムブッシュ
19 シリンダ筐体の一端部
20 オイルシール
21 シリンダ筐体の他端部
22 オイルシール
23 通路
24 電磁開閉弁
25 通路
26 通路
27 ボルト
28 バネ
29 直線部分
30 直線部分
31 オイルシール
32 座金
33 ナット
34 クランプ
35 付加シリンダ筐体
36 第三の液室
37 アキュムレータ
38 制御バルブユニット
39 オイルシール
40 すべり軸受
41 付加シリンダ筐体の他端部
42 オイルシール
43 通路
44 通路
45 ブラケット
46 ボルト
47 バルブユニット筐体
48 スプール
49 リアクションスプリング
50 リアクションスプリング
51 アクチュエータ
52 グルーブ
53 グルーブ
54 グルーブ
55 グルーブ
56 スプールランド

Claims (5)

  1. 一対のアーム部とこれらのアーム部に亘って車幅方向に延在するトーション部とからなるスタビライザ本体と、トーション部の一方のアーム部側の端部に設けたレバーと当該アーム部とを制御シリンダを介して連結するリンク機構とを具え、トーション部と前記一方のアーム部とを連結部により枢動可能に連結するとともにトーション部と他方のアーム部とを一体的に結合してなる車両用スタビライザ装置であって、
    前記制御シリンダの長さの伸縮を規制する規制手段を設けてなる車両用スタビライザ装置。
  2. 前記規制手段は、前記制御シリンダのシリンダ筐体内にピストンを挟んで二室の液室を設け、それぞれの液室を開閉手段を介して連通させてなる請求項1に記載の車両用スタビライザ装置。
  3. 前記制御シリンダの液室の少なくとも一方の液室内に、ピストンをシリンダ筐体端部へ向けて付勢する弾性部材を設けてなる請求項2に記載の車両用スタビライザ装置。
  4. 前記シリンダ筐体の外側に、付加シリンダ筐体を液密に嵌設し、前記シリンダ筐体と付加シリンダ筐体との間に第三の液室を設け、当該第三の液室と別途設けたアキュムレータとを第二開閉手段を介して連通させてなる請求項3に記載の車両用スタビライザ装置。
  5. 車両のステアリング装置の舵角を検出する舵角検出手段を設けるとともに、その検出結果に基づき、前記開閉手段もしくは第二開閉手段の開閉を制御する開閉制御手段を設けてなる請求項2〜4のいずれかに記載の車両用スタビライザ装置。
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