JP2005174736A - 有機発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 極めて純度のよい発光色相を呈し、高効率で高輝度、高寿命の光出力を有する有機発光素子を提供する。
【解決手段】 陽極および陰極と、これら一対の電極間に侠持された一層または複数層の有機化合物層より構成される有機発光素子において、前記有機化合物層のうち少なくとも一層が下記一般式[1]で示されるビスアセチレン化合物を少なくとも1種類含有する有機発光素子。
Figure 2005174736

(式中、Y、Zは、置換あるいは無置換のアリール基、複素環基、縮合多環芳香族基、縮合多環複素環基、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基等及び、置換アミノ基、またはシアノ基を表し、同じであっても異なっていてもよい。Xは、置換あるいは無置換のアリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、2価の複素環基、縮合多環芳香族環基または縮合多環複素環基を表わす。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機発光素子に関し、詳しくは有機化合物からなる薄膜に電界を印加することにより光を放出する素子に関する。
有機発光素子は、陽極と陰極間に蛍光性有機化合物を含む薄膜を挟持させて、各電極から電子およびホール(正孔)を注入することにより、蛍光性化合物の励起子を生成させ、この励起子が基底状態にもどる際に放射される光を利用する素子である。
1987年コダック社の研究(非特許文献1)では、陽極にITO、陰極にマグネシウム銀の合金をそれぞれ用い、電子輸送材料および発光材料としてアルミニウムキノリノール錯体を用いホール輸送材料にトリフェニルアミン誘導体を用いた機能分離型2層構成の素子で、10V程度の印加電圧において1000cd/m2程度の発光が報告されている。関連の特許としては,特許文献1〜3等が挙げられる。
また、蛍光性有機化合物の種類を変えることにより、紫外から赤外までの発光が可能であり、最近では様々な化合物の研究が活発に行われている。例えば、特許文献4〜11等に記載されている。
さらに、上記のような低分子材料を用いた有機発光素子の他にも、共役系高分子を用いた有機発光素子が、ケンブリッジ大学のグループ(非特許文献2)により報告されている。この報告ではポリフェニレンビニレン(PPV)を塗工系で成膜することにより、単層で発光を確認している。共役系高分子を用いた有機発光素子の関連特許としては、特許文献12〜16等が挙げられる。
このように有機発光素子における最近の進歩は著しく、その特徴は低印加電圧で高輝度、発光波長の多様性、高速応答性、薄型、軽量の発光デバイス化が可能であることから、広汎な用途への可能性を示唆している。しかしながら、長時間の使用による経時変化や酸素を含む雰囲気気体や湿気などによる劣化等の耐久性の面で未だ多くの問題がある。
さらにフルカラーディスプレイ等への応用を考えた場合、現状では更なる高輝度の光出力あるいは高変換効率、高色純度の青、緑、赤色発光が必要である。例えば、特許文献17には発光材料として、ジアミン化合物が開示されているが、高色純度(色度座標:x,y=0.14〜0.15,0.09〜0.10)の青色発光は得られていない。また、同様なジアミノ骨格を有する化合物を使用した例として、特許文献18が開示されているが、正孔注入層として使用されており、発光層としての使用および発光色、効率等の発光特性に関しては開示されていない。
米国特許4,539,507号明細書 米国特許4,720,432号明細書 米国特許4,885,211号明細書 米国特許5,151,629号明細書 米国特許5,409,783号明細書 米国特許5,382,477号明細書 特開平2−247278号公報 特開平3−255190号公報 特開平5−202356号公報 特開平9−202878号公報 特開平9−227576号公報 米国特許5,247,190号明細書 米国特許5,514,878号明細書 米国特許5,672,678号明細書 特開平4−145192号公報 特開平5−247460号公報 特開2001−52868号公報 特開2001−196177号公報 Appl.Phys.Lett.51,913(1987) Nature,347,539(1990)
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、極めて純度のよい発光色相を呈し、高効率で高輝度、高寿命の光出力を有する有機発光素子を提供することにある。さらには製造が容易でかつ比較的安価に作成可能な有機発光素子を提供する事にある。
上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の有機発光素子は、陽極および陰極と、これら一対の電極間に侠持された一層または複数層の有機化合物層より構成される有機発光素子において、前記有機化合物層のうち少なくとも一層が下記一般式[1]で示されるビスアセチレン化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする。
Figure 2005174736
(式中、Y、Zは、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基、置換あるいは無置換の縮合多環複素環基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換アミノ基、またはシアノ基を表し、同じであっても異なっていてもよい。Xは、置換あるいは無置換のアリーレン基、置換あるいは無置換のアルキレン基、置換あるいは無置換のシクロアルキレン基、2価の、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族環基または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わす。)
本発明の有機発光素子は、前記一般式[1]で示されるビスアセチレン化合物を含有する層が、更に少なくとも1種類の下記一般式[2]〜[7]で示される化合物を含有する態様を含むものである。
Figure 2005174736
(式中、R1〜R3は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基,置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わし、同じであっても異なっていてもよい。Ar3〜Ar5は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
Figure 2005174736
(式中、R4、R5は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基,置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わし、同じであっても異なっていてもよい。Ar6〜Ar9は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
Figure 2005174736
(式中、R6は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基,置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わす。Ar10〜Ar14は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
Figure 2005174736
(式中、Ar15〜Ar20は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
Figure 2005174736
(式中、Ar21〜Ar24は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基、または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。R7〜R10は、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、または置換アミノ基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
Figure 2005174736
(式中、R13、R14は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、または置換あるいは無置換のアリール基を表わし、異なるフルオレン基に結合するR13同士、R14同士は同じであってもよく、同じフルオレン基に結合するR13及びR14は、同じであっても異なっていても良い。R11、R12は水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換シリル基、シアノ基、置換あるいは無置換のアルコキシ基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。Ar25、Ar26は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または置換、あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。sは1〜10の整数を示す。)
また、本発明の有機発光素子においては、前記一般式[1]で示されるビスアセチレン化合物を含有する層が発光層であることが好ましい。
本発明の一般式[1]〜[7]で示される化合物を用いた有機発光素子は、単層あるいはドーパント/ホストの混合層として、低い印加電圧で高輝度な発光が得られ、色純度、耐久性にも優れている。さらに、素子の作成も真空蒸着あるいはキャステイング法等を用いて作成可能であり、比較的安価で大面積の素子を容易に作成できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
一般式[1]〜[7]で示される化合物は主に有機発光素子用材料として使用できる。その中でも発光用材料として使用する場合、一般式[1]〜[7]で示される化合物は、それぞれ単層においても高色純度、高発光効率、高寿命素子を得ることができる。一般式[1]で示される化合物は、アセチレン基を導入することで剛直な分子構造をとり、より半値幅の狭い発光スペクトル、すなわちより色純度に優れた発光が得られる。さらに、ストークスシフトが抑えられることで、発光波長の移動を抑え、吸収を長波長側にもってくることも可能で、ドーパント材料として用いる場合、相対的に長波長側に発光スペクトルを有するホスト材料の使用も可能となる。
一般式[1]〜[7]で示される化合物は、それぞれ発光層においてドーパント材料、ホスト材料双方の目的で使用でき、高色純度、高発光効率、高寿命素子を得ることができ、特にドーパント材料として一般式[1]で示される化合物を使用し、それとエネルギー移動を起こしやすい適切なホスト材料、特に一般式[2]〜[7]で示される化合物とのコンビネーションにより、高色純度な発光を保持しかつより効率の高い素子を得ることができる。ホスト材料に対するドーパント濃度は0.01%〜50%、好ましくは1〜10%である。
上記一般式[1]〜[7]における置換基の具体例を以下に示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、ter−ブチル基、オクチル基などが挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
アルコキシル基としては、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、フェノキシル基などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられる。
複素環基としては、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ターチエニル基などが挙げられる。
置換アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
縮合多環芳香族基としては、フルオレニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基などが挙げられる。
縮合多環複素環基としては、キノリル基、ジアザフルオレニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基などが挙げられる。
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。
シクロアルキレン基としては、シクロへキシレン基、シクロペンチル基、シクロブチレン基、シクロプロピレン基などが挙げられる。
アリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ビピリジレン基、ターピリジレン基、フルオレニレン基、フェナントロレニレン基などが挙げられる。
上記置換基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基などのアリール基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基などの複素環基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基などのアミノ基、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、フェノキシル基などのアルコキシル基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子などが挙げられる。
次に一般式[1]〜[7]で示される化合物についてその代表例を挙げる。ただし、これらの化合物に限定されるものではない
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
図1〜図6に本発明の有機発光素子の好ましい例を示す。
図1は本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。図1は基板1上に陽極2、発光層3及び陰極4を順次設けた構成のものである。ここで使用する発光素子はそれ自体でホール輸送能、エレクトロン輸送能及び発光性の性能を単一で有している場合や、それぞれの特性を有する化合物を混ぜて使う場合に有用である。
図2は本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図2は基板1上に陽極2、ホール輸送層5、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合は発光物質はホール輸送性かあるいは電子輸送性のいずかあるいは両方の機能を有している材料をそれぞれの層に用い、発光性の無い単なるホール輸送物質あるいは電子輸送物質と組み合わせて用いる場合に有用である。また、この場合、発光層はホール輸送層5あるいは電子輸送層6のいずれかから成る。
図3は本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図3は基板1上に陽極2、ホール輸送層5、発光層3,電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。これはキャリヤ輸送と発光の機能を分離したものであり、ホール輸送性、電子輸送性、発光性の各特性を有した化合物と適時組み合わせて用いられ極めて材料選択の自由度が増すとともに、発光波長を異にする種々の化合物が使用できるため、発光色相の多様化が可能になる。さらに、中央の発光層3に各キャリヤあるいは励起子を有効に閉じこめて発光効率の向上を図ることも可能になる。
図4は本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図4は図3に対してホール注入層7を陽極2側に挿入した構成であり、陽極2とホール輸送層5の密着性改善あるいはホールの注入性改善に効果があり、低電圧化に効果的である。
図5および図6は本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図5および図6は、図3および図4に対してホールあるいは励起子(エキシトン)を陰極4側に抜けることを阻害する層(ホール/エキシトンブロッキング層8)を、発光層3、電子輸送層6間に挿入した構成である。イオン化ポテンシャルの非常に高い化合物をホール/エキシトンブロッキング層8として用いる事により、発光効率の向上に効果的な構成である。
ただし、図1〜図6はあくまでごく基本的な素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機発光素子の構成はこれらに限定されるものではない。例えば、電極と有機層界面に絶縁性層を設ける、接着層あるいは干渉層を設ける、ホール輸送層がイオン化ポテンシャルの異なる2層から構成されるなど多様な層構成をとることができる。
本発明に用いられる一般式[1]〜[7]で示される化合物は、図1〜図6のいずれの形態でも使用することができる。特に、本発明の化合物を用いた有機層は、発光層、電子輸送層あるいはホール輸送層として有用であり、また真空蒸着法や溶液塗布法などによって形成した層は結晶化などが起こりにくく経時安定性に優れている。
本発明の有機発光素子は、好ましくは発光層の構成成分として一般式[1]〜[7]で示される化合物を用いるものであるが、これまで知られているホール輸送性化合物、発光性化合物あるいは電子輸送性化合物などを必要に応じて一緒に使用することもできる。
以下にこれらの化合物例を挙げる。
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
Figure 2005174736
本発明の有機発光素子において、一般式[1]〜[7]で示される化合物を含有する層およびその他の有機化合物を含有する層は、一般には真空蒸着法あるいは、適当な溶媒に溶解させて塗布法により薄膜を形成する。特に塗布法で成膜する場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記結着樹脂としては広範囲な結着性樹脂より選択でき、たとえばポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混合してもよい。
陽極材料としては仕事関数がなるべく大きなものがよく、例えば、金、白金、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム等の金属単体あるいはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化錫インジウム(ITO),酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンスルフィド等の導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で用いてもよく、複数併用することもできる。
一方、陰極材料としては仕事関数の小さなものがよく、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、銀、鉛、錫、クロム等の金属単体あるいは複数の合金として用いることができる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。また、陰極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
本発明で用いる基板としては、特に限定するものではないが、金属製基板、セラミックス製基板等の不透明性基板、ガラス、石英、プラスチックシート等の透明性基板が用いられる。また、基板にカラーフィルター膜、蛍光色変換フィルター膜、誘電体反射膜などを用いて発色光をコントロールする事も可能である。
なお、作成した素子に対して、酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層あるいは封止層を設けることもできる。保護層としては、ダイヤモンド薄膜、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料膜、フッソ樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜さらには、光硬化性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性フィルム、金属などをカバーし、適当な封止樹脂により素子自体をパッケージングすることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1(例示化合物No.[1]−1の製造方法)>
Figure 2005174736
窒素気流下、1−ブロモピレン2.8g(10mmol)、トリメチルシリルアセチレン2.8ml(20mmol)を、脱気したトリエチルアミン100ml(溶媒)中に溶解、攪拌し、そこにビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロライド126mg(0.18mmol)、よう化銅17mg(0.18mmol)を加えた。70℃に加熱したオイルバス上で約5時間、加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻した後、溶媒を留去し、水50ml、トルエン100mlを加え、水層と有機層を分離し、さらに水層をトルエンで抽出し、前の有機層とあわせ硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒トルエン)で精製して、1−トリメチルシリルエテニルピレン3.16gを得た。
1−トリメチルシリルエテニルピレン3.10g(10.4mmol)をメタノール200mlに溶解、攪拌し、そこに炭酸カリウム飽和溶液30ml加えた。70℃に加熱したオイルバス上で約2時間、加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻した後、メタノールを留去し、水50ml、クロロホルム100mlを加え、水層と有機層を分離し、さらに水層をクロロホルムで抽出し、前の有機層とあわせ硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒トルエン)で精製して、1−エテニルピレン1.91gを得た。
窒素気流下、1−エテニルピレン0.90g(4.0mmol)、1,4−ジブロモベンゼン0.47g(2.0mmol)を、脱気したトリエチルアミン100ml(溶媒)中に溶解、攪拌し、そこにビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロライド126mg(0.18mmol)、よう化銅17mg(0.18mmol)を加えた。70℃に加熱したオイルバス上で約5時間、加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻した後、溶媒を留去し、水50ml、クロロホルム100mlを加え、水層と有機層を分離し、さらに水層をクロロホルムで抽出し、前の有機層とあわせ硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をアルミナカラムクロマトグラフィー(展開溶媒トルエン:ヘキサン=1:1)で精製して、例示化合物[1]−5を0.65gを得た。
尚、同様にして芳香族基、複素環基等の臭素体を用いることで例示化合物[1]−2以降を合成することができる。
<実施例2>
図3に示す構造の有機発光素子を以下に示す方法で作成した。
基板1としてのガラス基板上に、陽極2としての酸化錫インジウム(ITO)をスパッタ法にて120nmの膜厚で成膜したものを透明導電性支持基板として用いた。これをアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。
正孔輸送材料として下記構造式で示される化合物を用いて、濃度が0.5wt%となるようにクロロホルム溶液を調整した。
Figure 2005174736
この溶液を上記の陽極2上に滴下し、最初に500RPMの回転で10秒、次に1000RPMの回転で1分間スピンコートを行い膜形成した。この後10分間、80℃の真空オーブンで乾燥し、薄膜中の溶剤を完全に除去した。形成されたTPD膜(ホール輸送層5)の厚みは50nmであった。
次に、ホール輸送層5の上に発光層3として例示化合物No.[1]−5を蒸着して20nmの発光層3を設けた。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。
更に電子輸送層6としてアルミニウムキノリノール(Alq3)を真空蒸着法にて40nmの膜厚に形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。
次に、アルミニウム−リチウム合金(リチウム濃度1原子%)からなる蒸着材料を用いて、先ほどの有機層の上に、真空蒸着法により厚さ10nmの金属層膜を形成し、更に真空蒸着法により厚さ150nmのアルミニウム膜を設け、アルミニウム−リチウム合金膜を電子注入電極(陰極4)とする有機発光素子を作成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は1.0〜1.2nm/secの条件で成膜した。
得られた有機EL素子は、水分の吸着によって素子劣化が起こらないように、乾燥空気雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせ、アクリル樹脂系接着材で封止した。
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al−Li電極(陰極4)を負極にして、6Vの印加電圧で、発光輝度450cd/m2、最高輝度6000cd/m2、発光効率0.760m/Wの青色の発光が観測された。
<実施例3〜7>
例示化合物[1]−5に代えて、表13に示す例示化合物を用いた以外は実施例2と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。その結果を表13に示す。
Figure 2005174736
<実施例8>
例示化合物No.[1]−5(ゲスト)および例示化合物No.[2]−1(ホスト)(重量比0.5:100)を共蒸着し30nmの発光層3を設けた以外は、実施例2と同様にして素子を作成した。
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al−Li電極(陰極4)を負極にして、7Vの印加電圧で、発光輝度1700cd/m2、最高輝度18800cd/m2、発光効率2.2lm/Wの青色の発光が観測された。
<実施例9〜28>
例示化合物[1]−5(ゲスト)および例示化合物No.[2]−1(ホスト)に代えて、表14に示す例示化合物を用いた以外は、実施例8と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。その結果を表14に示す。
Figure 2005174736
<実施例29〜33>
実施例8,19,25,26,12で作成した素子の発光スペクトルをMCPD−7000で観測し、CIE色度座標を測定した。また、作成した素子について、3.0mlAでDC駆動で初期輝度に対する半減寿命を測定した。その結果を表15に示す。
Figure 2005174736
<比較例1>
発光層3として下記スチリル化合物を用いた以外は、実施例2と同様にして素子を作成した。
Figure 2005174736
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al−Li電極(陰極4)を負極にして、10Vの印加電圧で、発光輝度120cd/m2、最高輝度3800cd/m2、発光効率0.17lm/Wの緑味がかった青白色の発光が観測された。
<比較例2>
上記スチリル化合物および例示化合物[4]−1(重量比5:100)を共蒸着し20nmの発光層3を設けた以外は、実施例2と同様にして素子を作成した。
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al−Li電極(陰極4)を負極にして、10Vの印加電圧で、発光輝度125cd/m2、最高輝度4500cd/m2、発光効率0.30lm/Wの緑味がかった青白色の発光が観測された。
<比較例3>
比較例2で作成した素子の発光スペクトルをMCPD−7000で観測し、CIE色度座標を測定したところ、(x,y)=(0.16,0.30)であった。
本発明における有機発光素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。 本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。 本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。 本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。 本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 ホール輸送層
6 電子輸送層
7 ホール注入層
8 ホール/エキシトンブロッキング層

Claims (8)

  1. 陽極および陰極と、これら一対の電極間に侠持された一層または複数層の有機化合物層より構成される有機発光素子において、前記有機化合物層のうち少なくとも一層が下記一般式[1]で示されるビスアセチレン化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする有機発光素子。
    Figure 2005174736
    (式中、Y、Zは、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基、置換あるいは無置換の縮合多環複素環基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換アミノ基、またはシアノ基を表し、同じであっても異なっていてもよい。Xは、置換あるいは無置換のアリーレン基、置換あるいは無置換のアルキレン基、置換あるいは無置換のシクロアルキレン基、2価の、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族環基または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わす。)
  2. 前記一般式[1]で示されるビスアセチレン化合物を含有する層が、更に少なくとも1種類の下記一般式[2]で示される化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
    Figure 2005174736
    (式中、R1〜R3は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基,置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わし、同じであっても異なっていてもよい。Ar3〜Ar5は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
  3. 前記一般式[1]で示されるビスアセチレン化合物を含有する層が、更に少なくとも1種類の下記一般式[3]で示される化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
    Figure 2005174736
    (式中、R4、R5は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基,置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わし、同じであっても異なっていてもよい。Ar6〜Ar9は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
  4. 前記一般式[1]で示されるビスアセチレン化合物を含有する層が、更に少なくとも1種類の下記一般式[4]で示される化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
    Figure 2005174736
    (式中、R6は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基,置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わす。Ar10〜Ar14は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
  5. 前記一般式[1]で示されるビスアセチレン化合物を含有する層が、更に少なくとも1種類の下記一般式[5]で示される化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
    Figure 2005174736
    (式中、Ar15〜Ar20は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
  6. 前記一般式[1]で示されるビスアセチレン化合物を含有する層が、更に少なくとも1種類の下記一般式[6]で示される化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
    Figure 2005174736
    (式中、Ar21〜Ar24は、水素原子、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基、または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。R7〜R10は、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、または置換アミノ基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
  7. 前記一般式[1]で示されるビスアセチレン化合物を含有する層が、更に少なくとも1種類の下記一般式[7]で示される化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
    Figure 2005174736
    (式中、R13、R14は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、または置換あるいは無置換のアリール基を表わし、異なるフルオレン基に結合するR13同士、R14同士は同じであってもよく、同じフルオレン基に結合するR13及びR14は、同じであっても異なっていても良い。R11、R12は水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換シリル基、シアノ基、置換あるいは無置換のアルコキシ基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。Ar25、Ar26は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基、または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。sは1〜10の整数を示す。)
  8. 前記一般式[1]で示されるビスアセチレン化合物を含有する層が発光層であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機発光素子。
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