JP4336483B2 - ジアザフルオレン化合物及びそれを用いた有機発光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な有機化合物およびそれを用いた有機発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機発光素子は、陽極と陰極間に蛍光性有機化合物または燐光性有機化合物を含む薄膜を挟持させて、各電極から電子およびホール(正孔)を注入することにより、蛍光性化合物または燐光性化合物の励起子を生成させ、この励起子が基底状態にもどる際に放射される光を利用する素子である。
【0003】
1987年コダック社の研究(非特許文献1)では、陽極にITO、陰極にマグネシウム銀の合金をそれぞれ用い、電子輸送材料および発光材料としてアルミニウムキノリノール錯体を用い、ホール輸送材料にトリフェニルアミン誘導体を用いた機能分離型2層構成の素子で、10V程度の印加電圧において1000cd/m2程度の発光が報告されている。関連の特許としては,特許文献1〜3等が挙げられる。
【0004】
また、蛍光性有機化合物の種類を変えることにより、紫外から赤外までの発光が可能であり、最近では様々な化合物の研究が活発に行われている。例えば、特許文献4〜11等に記載されている。
【0005】
近年、燐光性化合物を発光材料として用い、三重項状態のエネルギーをEL発光に用いる検討が多くなされている。プリンストン大学のグループにより、イリジウム錯体を発光材料として用いた有機発光素子が、高い発光効率を示すことが報告されている(非特許文献2)。
【0006】
さらに、上記のような低分子材料を用いた有機発光素子の他にも、共役系高分子を用いた有機発光素子が、ケンブリッジ大学のグループ(非特許文献3)により報告されている。この報告ではポリフェニレンビニレン(PPV)を塗工系で成膜することにより、単層で発光を確認している。
【0007】
共役系高分子を用いた有機発光素子の関連特許としては、特許文献12〜16等が挙げられる。
【0008】
このように有機発光素子における最近の進歩は著しく、その特徴は低印加電圧で高輝度、発光波長の多様性、高速応答性、薄型、軽量の発光デバイス化が可能であることから、広汎な用途への可能性を示唆している。
【0009】
しかしながら、現状では更なる高輝度の光出力あるいは高変換効率が必要である。また、長時間の使用による経時変化や酸素を含む雰囲気気体や湿気などによる劣化等の耐久性の面で未だ多くの問題がある。さらにはフルカラーディスプレイ等への応用を考えた場合の色純度の良い青、緑、赤の発光が必要となるが、これらの問題に関してもまだ十分でない。
【0010】
一方、電子輸送材料としてフェナントロリン化合物、オキサジアゾール化合物またはトリアゾール化合物などが知られている。これらの化合物を有機発光素子に用いた例として、特許文献17〜19などが挙げられるが、電子輸送層や発光層として用いた際の特性は十分なものではない。
【0011】
【特許文献1】
米国特許第4,539,507号明細書
【特許文献2】
米国特許第4,720,432号明細書
【特許文献3】
米国特許第4,885,211号明細書
【特許文献4】
米国特許第5,151,629号明細書
【特許文献5】
米国特許第5,409,783号明細書
【特許文献6】
米国特許第5,382,477号明細書
【特許文献7】
特開平2−247278号公報
【特許文献8】
特開平3−255190号公報
【特許文献9】
特開平5−202356号公報
【特許文献10】
特開平9−202878号公報
【特許文献11】
特開平9−227576号公報
【特許文献12】
米国特許第5,247,190号明細書
【特許文献13】
米国特許第5,514,878号明細書
【特許文献14】
米国特許第5,672,678号明細書
【特許文献15】
特開平4−145192号公報
【特許文献16】
特開平5−247460号公報
【特許文献17】
特開平5−331459号公報
【特許文献18】
特開平4−363891号公報、
【特許文献19】
特開平7−41759号公報
【非特許文献1】
Appl.Phys.Lett.51,913(1987)
【非特許文献2】
Nature,395,151(1998)
【非特許文献3】
Nature,347,539(1990)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、新規なジアザフルオレン化合物を提供することにある。
【0013】
また本発明の目的は、特定なジアザフルオレン化合物を用い、極めて高効率で高輝度な光出力を有する有機発光素子を提供することにある。
【0014】
また、極めて耐久性のある有機発光素子を提供することにある。
【0015】
さらには製造が容易でかつ比較的安価に作成可能な有機発光素子を提供する事にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明のジアザフルオレン化合物は、下記一般式[I]〜[III]で示されることを特徴とする。尚、後述する一般式[I]〜[III]で示される化合物のうち、下記に示される化合物が本発明に該当する。
【化7−2】
【0017】
【化8】
【0018】
(式中、R1およびR2は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基、置換あるいは無置換の縮合多環複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わし、同じであっても異なっていてもよい。R3およびR4は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換の複素環基を表わし、異なるフルオレン基に結合するR3同士、R4同士は、同じであっても異なっていてもよく、同じフルオレン基に結合するR3およびR4は、同じであっても異なっていてもよい。
nは、1乃至10の整数を表す。)
【0019】
【化9】
【0020】
(式中、R5およびR6は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基、置換あるいは無置換の縮合多環複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わし、同じであっても異なっていてもよい。R7およびR8は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換の複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
【0021】
【化10】
【0022】
(式中、R9およびR10は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基、置換あるいは無置換の縮合多環複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わし、同じであっても異なっていてもよい。
R11およびR12は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換の複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
【0023】
また、本発明の有機発光素子は、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に挟持された一または複数の有機化合物を含む層を少なくとも有する有機発光素子において、前記有機化合物を含む層の少なくとも一層が上記ジアザフルオレン化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0025】
まず、本発明のジアザフルオレン化合物について説明する。
【0026】
本発明のジアザフルオレン化合物は、上記一般式[I]〜[III]で示され、一般式[I]で示されるジアザフルオレン化合物は、下記一般式[IV]で示される化合物であることが好ましい。
【0027】
【化11】
【0028】
(式中、R13およびR14は、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基または置換あるいは無置換の縮合多環複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。
R15およびR16は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換の複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
【0029】
また、一般式[I]〜[III]で示されるジアザフルオレン化合物におけるR1、R2、R5、R6、R9、R10、R13またはR14が、下記一般式[V]〜[X]のいずれかで示される縮合多環芳香族基であることが好ましい。
【0030】
【化12】
【0031】
(式中、R17は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わす。R18およびR19は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換の複素環基を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
【0032】
【化13】
【0033】
(式中、R20〜R23は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わす。)
【0034】
【化14】
【0035】
(式中、R24およびR25は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わし、同じであっても異なっていてもよい。)
【0036】
上記一般式[I]〜[X]における置換基の具体例を以下に示す。
【0037】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、ter−ブチル基、オクチル基などが挙げられる。
【0038】
アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられる。
【0039】
複素環基としては、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ターチエニル基などが挙げられる。
【0040】
縮合多環芳香族基としては、フルオレニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基などが挙げられる。
【0041】
縮合多環複素環基としては、カルバゾリル基、フェナントロリル基、アクリジニル基などが挙げられる。
【0042】
置換アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基などが挙げられる。
【0043】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
【0044】
上記置換基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基、ビフェニル基などのアリール基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基などの複素環基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基などのアミノ基、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、フェノキシル基などのアルコキシル基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子などが挙げられる。
【0045】
次に、本発明のジアザフルオレン化合物の代表例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、後述する代表例のうち、例示化合物No.2が本発明に該当する。
【0046】
【化15】
【0047】
【化16】
【0048】
【化17】
【0049】
【化18】
【0050】
【化19】
【0051】
【化20】
【0052】
【化21】
【0053】
【化22】
【0054】
【化23】
【0055】
【化24】
【0056】
【化25】
【0057】
本発明のジアザフルオレン化合物は、一般的に知られている方法で合成でき、例えば、J.Am.Chem.Soc.,106,5876−5879(1984)、J.Org.Chem.,50,666−670,(1985)、J.Org.Chem.,49,2208−2212(1984)などに記載の方法でジアザフルオレン化合物中間体を得て、さらにパラジウム触媒を用いたsuzuki coupling法(例えばChem.Rev.1995,95,2457−2483)などの合成法で得ることができる。
【0058】
本発明のジアザフルオレン化合物は、従来の化合物に比べ電子輸送性および耐久性の優れた化合物であり、有機発光素子の有機化合物を含む層、特に、電子輸送層および発光層として有用であり、また真空蒸着法や溶液塗布法などによって形成した層は結晶化などが起こりにくく経時安定性に優れている。
【0059】
次に、本発明の有機発光素子について詳細に説明する。
【0060】
本発明の有機発光素子は、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に狭持された一または複数の有機化合物を含む層を少なくとも有する有機発光素子において、前記有機化合物を含む層の少なくとも一層が一般式[I]〜[III]で示されるジアザフルオレン化合物の少なくとも一種を含有する。
【0061】
本発明の有機発光素子は、有機化合物を含む層のうち少なくとも電子輸送層または発光層が、前記ジアザフルオレン化合物の少なくとも一種を含有することが好ましい。
【0062】
本発明の有機発光素子においては、上記一般式[I]〜[III]で示されるジアザフルオレン化合物を真空蒸着法や溶液塗布法により陽極及び陰極の間に形成する。その有機層の厚みは10μmより薄く、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.01〜0.5μmの厚みに薄膜化することが好ましい。
【0063】
図1〜図6に本発明の有機発光素子の好ましい例を示す。
【0064】
図1は、本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。図1は、基板1上に、陽極2、発光層3及び陰極4を順次設けた構成のものである。ここで使用する発光素子は、それ自体でホール輸送能、エレクトロン輸送能及び発光性の性能を単一で有している場合や、それぞれの特性を有する化合物を混ぜて使う場合に有用である。
【0065】
図2は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図2は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合は、発光物質はホール輸送性かあるいは電子輸送性のいずれか、あるいは両方の機能を有している材料をそれぞれの層に用い、発光性の無い単なるホール輸送物質あるいは電子輸送物質と組み合わせて用いる場合に有用である。また、この場合、発光層は、ホール輸送層5あるいは電子輸送層6のいずれかから成る。
【0066】
図3は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図3は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、発光層3,電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。これは、キャリヤ輸送と発光の機能を分離したものであり、ホール輸送性、電子輸送性、発光性の各特性を有した化合物と適時組み合わせて用いられ、極めて材料選択の自由度が増すとともに、発光波長を異にする種々の化合物が使用できるため、発光色相の多様化が可能になる。さらに、中央の発光層3に各キャリヤあるいは励起子を有効に閉じこめて、発光効率の向上を図ることも可能になる。
【0067】
図4は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図4は、図3に対して、ホール注入層7を陽極2側に挿入した構成であり、陽極2とホール輸送層5の密着性改善あるいはホールの注入性改善に効果があり、低電圧化に効果的である。
【0068】
図5および図6は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図5および図6は、図3および図4に対してホールあるいは励起子(エキシトン)を陰極4側に抜けることを阻害する層(ホールブロッキング層8)を、発光層3、電子輸送層6間に挿入した構成である。イオン化ポテンシャルの非常に高い化合物をホールブロッキング層8として用いる事により、発光効率の向上に効果的な構成である。
【0069】
ただし、図1〜図6はあくまで、ごく基本的な素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機発光素子の構成はこれらに限定されるものではない。例えば、電極と有機層界面に絶縁性層を設ける、接着層あるいは干渉層を設ける、ホール輸送層がイオン化ポテンシャルの異なる2層から構成される、など多様な層構成をとることができる。
【0070】
本発明に用いられる一般式[I]〜[III]で示されるジアザフルオレン化合物は、従来の化合物に比べ電子輸送性および耐久性の優れた化合物であり、図1〜図6のいずれの形態でも使用することができる。
【0071】
本発明は、電子輸送層または発光層の構成成分として一般式[I]〜[III]で示されるジアザフルオレン化合物を用いるものであるが、これまで知られているホール輸送性化合物、発光性化合物あるいは電子輸送性化合物などを必要に応じて一緒に使用することもできる。
【0072】
以下にこれらの化合物例を挙げる。
【0073】
【化26】
【0074】
【化27】
【0075】
【化28】
【0076】
【化29】
【0077】
【化30】
【0078】
【化31】
【0079】
本発明の有機発光素子において、一般式[I]〜[III]で示されるジアザフルオレン化合物を含有する層および他の有機化合物を含有する層は、一般には真空蒸着法あるいは、適当な溶媒に溶解させて塗布法により薄膜を形成する。特に塗布法で成膜する場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
【0080】
上記結着樹脂としては、広範囲な結着性樹脂より選択でき、たとえばポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混合してもよい。
【0081】
陽極材料としては、仕事関数がなるべく大きなものがよく、例えば、金、白金、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム等の金属単体あるいはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化錫インジウム(ITO),酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンスルフィド等の導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で用いてもよく、複数併用することもできる。
【0082】
一方、陰極材料としては、仕事関数の小さなものがよく、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、銀、鉛、錫、クロム等の金属単体あるいは複数の合金として用いることができる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。また、陰極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
【0083】
本発明で用いる基板としては、特に限定するものではないが、金属製基板、セラミックス製基板等の不透明性基板、ガラス、石英、プラスチックシート等の透明性基板が用いられる。また、基板にカラーフィルター膜、蛍光色変換フィルター膜、誘電体反射膜などを用いて発色光をコントロールする事も可能である。
【0084】
なお、作成した素子に対して、酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層あるいは封止層を設けることもできる。保護層としては、ダイヤモンド薄膜、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料膜、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性フィルム、金属などをカバーし、適当な封止樹脂により素子自体をパッケージングすることもできる。
【0085】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、後述する実施例のうち、実施例27及び実施例43が本発明に該当する。
【0086】
<合成例1>[例示化合物No.1の合成]
【0087】
【化32】
【0088】
200ml三ツ口フラスコに、4,5−ジアザフルオレン−9−オン[1]10.0g(55.0mmol)およびヒドラジン一水和物13.4ml(80%、220mmol)を入れ、160℃で12時間攪拌した後、水を加え有機層をクロロホルムで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、アルミナカラム(クロロホルム展開溶媒)で精製し、[2](白色結晶)4.8g(収率52%)を得た。
【0089】
次に、200ml三ツ口フラスコに、[2]3.0g(17.8mmol)およびDMF70mlを入れ、窒素雰囲気中、0℃で攪拌下、ナトリウムメトキサイド2.1g(39.2mmol)を添加後、ヨウ化メチル4.4ml(71.2mmol)を滴下した。室温で12時間攪拌した後、水を加え有機層をクロロホルムで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、アルミナカラム(クロロホルム展開溶媒)で精製し、[3](白色結晶)2.8g(収率80%)を得た。
【0090】
さらに、200ml三ツ口フラスコに、2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン[4]5.9g(18.3mmol)およびジエチルエーテル50mlを入れ、窒素雰囲気中、−78℃で攪拌下、n−ブチルリチウム(15%ヘキサン溶液)11.9ml(18.3mmol)を滴下した。室温まで昇温し1時間攪拌した後、−20℃に冷却し[3]1.0g(5.10mmol)のトルエン80ml分散液を滴下した。室温で12時間攪拌後、水を加え有機層をクロロホルムで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、アルミナカラム(ヘキサン+クロロホルム混合展開溶媒)で精製し、例示化合物No.1(黄色結晶)1.6g(収率54%)を得た。
【0091】
<合成例2>[例示化合物No.2の合成]
【0092】
【化33】
【0093】
200ml三ツ口フラスコに、[3]3.0g(15.3mmol)およびニトロベンゼン70mlを入れ、130℃で攪拌下、臭素2.4ml(45.9mmol)のニトロベンゼン10ml溶液を滴下し、140℃で5時間攪拌した。反応液を水に滴下し、有機層をクロロホルムで抽出、チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、アルミナカラム(ヘキサン+クロロホルム混合展開溶媒)で精製し、ジブロモ体[5](白色結晶)1.8g(収率33%)を得た。
【0094】
次に、200ml三ツ口フラスコに、ジブロモ体[5]0.5g(1.41mmol)、ボロン酸[6]1.3g(5.65mmol)、トルエン60mlおよびエタノール30mlを入れ、窒素雰囲気中、室温で攪拌下、炭酸ナトリウム6g/水30mlの水溶液を滴下し、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.16g(0.14mmol)を添加した。室温で30分攪拌した後、77℃に昇温し3時間攪拌した。反応後、有機層をクロロホルムで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、アルミナカラム(クロロホルム展開溶媒)で精製し、例示化合物No.2(黄色結晶)0.7g(収率85%)を得た。
【0095】
<合成例3>[例示化合物No.41の合成]
【0096】
【化34】
【0097】
200ml三ツ口フラスコに、[7]*)3.0g(11.1mmol)およびDMF70mlを入れ、窒素雰囲気中、0℃で攪拌下、ナトリウムメトキサイド1.3g(24.4mmol)を添加後、ヨウ化メチル2.1ml(33.3mmol)を滴下した。室温で12時間攪拌した後、水を加え有機層をクロロホルムで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、アルミナカラム(クロロホルム展開溶媒)で精製し、[8](黄色結晶)2.5g(収率76%)を得た。
【0098】
さらに、200ml三ツ口フラスコに、2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン[4]3.9g(12.1mmol)およびジエチルエーテル50mlを入れ、窒素雰囲気中、−78℃で攪拌下、n−ブチルリチウム(15%ヘキサン溶液)7.8ml(12.1mmol)を滴下した。室温まで昇温し1時間攪拌した後、−20℃に冷却し[8]1.0g(3.36mmol)のトルエン80ml分散液を滴下した。室温で12時間攪拌後、水を加え有機層をクロロホルムで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、アルミナカラム(ヘキサン+クロロホルム混合展開溶媒)で精製し、例示化合物No.41(黄色結晶)1.1g(収率48%)を得た。
【0099】
<実施例1>
図3に示す構造の素子を作成した。
【0100】
基板1としてのガラス基板上に、陽極2としての酸化錫インジウム(ITO)をスパッタ法にて120nmの膜厚で成膜したものを透明導電性支持基板として用いた。これをアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後、乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。
【0101】
透明導電性支持基板上に下記構造式で示される化合物のクロロホルム溶液をスピンコート法により30nmの膜厚で成膜し、ホール輸送層5を形成した。
【0102】
【化35】
【0103】
さらに下記構造式で示されるIr錯体および例示化合物No.1で示されるジアザフルオレン化合物(重量比5:100)を真空蒸着法により20nmの膜厚で成膜し、発光層3を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。
【0104】
【化36】
【0105】
さらにアルミニウムトリスキノリノールを真空蒸着法により40nmの膜厚で成膜し、電子輸送層6を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。
【0106】
次に、陰極4として、アルミニウムとリチウム(リチウム濃度1原子%)からなる蒸着材料を用いて、上記有機層の上に真空蒸着法により厚さ50nmの金属層膜を形成し、さらに真空蒸着法により厚さ150nmのアルミニウム層を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は1.0〜1.2nm/secの条件で成膜した。
【0107】
さらに、窒素雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせ、アクリル樹脂系接着材で封止した。
【0108】
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al−Li電極(陰極4)を負極にして、10Vの直流電圧を印加すると21.0mA/cm2の電流密度で電流が素子に流れ、6000cd/m2の輝度で緑色の発光が観測された。
【0109】
さらに、電流密度を10.0mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期輝度2000cd/m2から100時間後1500cd/m2と輝度劣化は小さかった。
【0110】
<実施例2〜10>
例示化合物No.1に代えて、表1に示す例示化合物を用いた他は実施例1と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【0111】
<比較例1〜3>
例示化合物No.1に代えて、下記構造式で示される化合物を用いた他は実施例1と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【0112】
【化37】
【0113】
【表1】
【0114】
<実施例11>
図3に示す構造の素子を作成した。
【0115】
実施例1と同様に、透明導電性支持基板上にホール輸送層5を形成した。
【0116】
さらに下記構造式で示されるアリールアミノ化合物および例示化合物No.4で示されるジアザフルオレン化合物(重合比1:20)を真空蒸着法により20nmの膜厚で成膜し、発光層3を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。
【0117】
【化38】
【0118】
さらにアルミニウムトリスキノリノールを真空蒸着法により40nmの膜厚で成膜し、電子輸送層6を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。
【0119】
次に、実施例1と同様にして陰極4を形成した後に封止した。
【0120】
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al−Li電極(陰極4)を負極にして、6Vの直流電圧を印加すると120mA/cm2の電流密度で電流が素子に流れ、9500cd/m2の輝度で青色の発光が観測された。
【0121】
さらに、電流密度を100mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期輝度7500cd/m2から100時間後6000cd/m2と輝度劣化は小さかった。
【0122】
<実施例12〜25>
例示化合物No.4に代えて、表2に示す例示化合物を用いた他は実施例11と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表2に示す。
【0123】
<比較例4〜6>
例示化合物No.4に代えて、比較化合物No.1〜3を用いた他は実施例11と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表2に示す。
【0124】
【表2】
【0125】
<実施例26>
図3に示す構造の素子を作成した。
【0126】
実施例1と同様に、透明導電性支持基板上にホール輸送層5を形成した。
【0127】
さらにクマリンおよびアルミニウムトリスキノリノール(重合比1:20)を真空蒸着法により20nmの膜厚で成膜し、発光層3を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。
【0128】
さらに例示化合物No.1で示されるジアザフルオレン化合物を40nmの膜厚で成膜し、電子輸送層6を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。
【0129】
次に、実施例1と同様にして陰極4を形成した後に封止した。
【0130】
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al−Li電極(陰極4)を負極にして、6Vの直流電圧を印加すると190mA/cm2の電流密度で電流が素子に流れ、17000cd/m2の輝度で緑色の発光が観測された。
【0131】
さらに、電流密度を150mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期輝度8000cd/m2から100時間後6000cd/m2と輝度劣化は小さかった。
【0132】
<実施例27〜40>
例示化合物No.1に代えて、表3に示す例示化合物を用いた他は実施例26と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表3に示す。
【0133】
<比較例7〜9>
例示化合物No.1に代えて、比較化合物No.1〜3を用いた他は実施例26と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表3に示す。
【0134】
【表3】
【0135】
<実施例41>
図3に示す構造の素子を作成した。
【0136】
実施例1と同様な透明導電性支持基板上に、下記構造式で示されるアリールアミン化合物を真空蒸着法により40nmの膜厚で成膜し、ホール輸送層5を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。
【0137】
【化39】
【0138】
さらに下記構造式で示されるIr錯体および下記構造式で示されるカルバゾール化合物(重合比5:100)を真空蒸着法により20nmの膜厚で成膜し、発光層3を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。
【0139】
【化40】
【0140】
【化41】
【0141】
さらに例示化合物No.11で示されるジアザフルオレン化合物を40nmの膜厚で成膜し電子輸送層6を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。
【0142】
次に、実施例1と同様にして陰極4を形成した後に封止した。
【0143】
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al−Li電極(陰極4)を負極にして、10Vの直流電圧を印加すると24.0mA/cm2の電流密度で電流が素子に流れ、9000cd/m2の輝度で緑色の発光が観測された。
【0144】
さらに、電流密度を10.0mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期輝度3500cd/m2から100時間後2500cd/m2と輝度劣化は小さかった。
【0145】
<実施例42〜55>
例示化合物No.11に代えて、表4に示す例示化合物を用いた他は実施例41と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表4に示す。
【0146】
<比較例10〜12>
例示化合物No.11に代えて、比較化合物No.1〜3を用いた他は実施例41と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表4に示す。
【0147】
【表4】
【0148】
<実施例56>
図1に示す構造の素子を作成した。
【0149】
実施例1と同様な透明導電性支持基板上に、例示化合物No.25で示されるジアザフルオレン化合物を0.050gおよびポリ−N−ビニルカルバゾール(重量平均分子量=63,000)1.00gをクロロホルム80mlに溶解した溶液をスピンコート法(回転数=2000rpm)により120nmの膜厚に成膜し、有機層(発光層3)を形成した。
【0150】
次に、実施例1と同様にして陰極4を形成した後に封止した。
【0151】
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al−Li電極(陰極4)を負極にして、10Vの直流電圧を印加すると8.5mA/cm2の電流密度で電流が素子に流れ、1500cd/m2の輝度で青色の発光が観測された。
【0152】
さらに、窒素雰囲気下で電流密度を8.0mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期輝度1300cd/m2から100時間後1100cd/m2と輝度劣化は小さかった。
【0153】
<実施例57〜60>
例示化合物No.25に代えて、表5に示す例示化合物を用いた他は実施例56と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表5に示す。
【0154】
<比較例13〜15>
例示化合物No.25に代えて、比較化合物No.1〜3を用いた他は実施例56と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表5に示す。
【0155】
【表5】
【0156】
【発明の効果】
以上説明のように、一般式[I]〜[III]で示されるジアザフルオレン化合物を用いた有機発光素子は、低い印加電圧で高輝度な発光が得られ、耐久性にも優れている。特に本発明のジアザフルオレン化合物を含有する有機層は、電子輸送層として優れ、かつ発光層としても優れている。
【0157】
さらに、素子の作成も真空蒸着あるいはキャステイング法等を用いて作成可能であり、比較的安価で大面積の素子を容易に作成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における有機発光素子の一例を示す断面図である。
【図2】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【図5】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【図6】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 ホール輸送層
6 電子輸送層
7 ホール注入層
8 ホール/エキシトンブロッキング層
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