以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<<複写装置の構成>>
図1は、本発明に係る画像処理装置の一実施形態を搭載した画像形成装置の一例であるカラー複写装置の機構図である。このカラー複写装置1は、大まかに、原稿を読み取って画像データを取得する画像取得部10と、画像取得部10にて読み取られた画像データに対して所望の画像処理を施す画像処理部20と、画像処理部20により処理された処理済画像に基づいて原稿に対応する画像を所定の出力媒体上に形成する画像出力部30と、プラテンカバー60とを備える。画像処理部20は、画像取得部10と画像出力部30との境界部分に設けられている。
このカラー複写装置1は、画像取得部10にて読み取った原稿の複写物を形成する複写機能だけでなく、接続ケーブルやネットワークなどの通信手段90を介して図示を割愛した様々な画像入力端末に接続可能になっている。これにより、通信手段90を介してパソコンなどの画像入力端末から取得した文書データや画像ファイルなどに基づいて画像を印刷するいわゆるプリント機能や、電話回線やその他の通信インタフェースを介して取得したFAXデータやその他の画像データに基づいて印刷出力する機能も備えた、いわゆる複合機(マルチファンクション機)で、デジタルプリント装置として構成されている。
画像取得部10は、筐体上に設けられた透明ガラスからなるプラテンガラス(原稿載置台)11の下方に、プラテンガラス11の原稿載置面と反対側の面(裏面)に向かって光を照射する光源12と、光源12から発せられた光をプラテンガラス11側に反射させる略凹状の反射笠17とを備える。また、画像取得部10は、プラテンガラス11側からの反射光を受光して副走査SS(Slow Scan )の方向(図中矢印X1の読取方向)と略直交する主走査FS(Fast Scan )の方向(図の紙面奥行き方向)に画像を読み取り、濃度に応じた画像信号(アナログの電気信号)を順次出力する受光部13と、受光部13からの画像信号を所定のレベルまで増幅し出力する信号処理部14とを備える密着光学系のものである。受光部13は、信号処理部14などとともに基板15上に配設され、光学走査系(センサユニット)16を構成する。
画像取得部10は、プラテンガラス11上に載置された原稿を読み取って得た入力画像を赤,緑,青の各色成分のデジタル画像データR,G,Bに変換し信号処理部14に入力する。信号処理部14は、受光部13からの赤,緑,青の各画像信号を図示しない増幅部により所定のレベルまで増幅し、さらに図示しないA/Dコンバータによりデジタルデータに変換することで、赤,緑,青のデジタル画像データR,G,BをA/Dコンバータから出力する。この赤,緑,青の画像データR,G,Bは、ケーブル19を通じて画像処理部20に送られる。
画像処理部20は、入力された画像データR,G,Bに対して拡縮、濃度調整、シャープネス(鮮鋭度)調整、あるいは色変換などの画像処理を行なうことで、Y,M,C,Kの画像データを生成し、このY,M,C,Kの画像データを画像出力部30へ送る。
画像出力部30は、一方向に順次一定間隔をおいて並置された出力色Y,M,C,Kの各色の画像形成部(転写部/印刷エンジン)31を有するタンデム構成のものである。以下、各色の画像形成部31のそれぞれに符号Y,M,C,Kを付して示し、纏めていうときには色の符号を省略して示す。その他の部材についても同様である。
なお、図示した例では、出力色としてY,M,C,Kの4色を使用する例を示したが、これに限らず、たとえば第5色としてのグレイ(灰色)Gyなどより多くの出力色を含むものであってもよいし、ブラック(K)を除くY,M,Cの3色であってもよい。また、図示した例では、出力色Y,M,C,Kに対応する各画像形成部31Y,31M,31C,31Kの配列順をY→M→C→Kとしてあるが、これに限らず、K→Y→M→Cなど、他の配列順であってもよい。
画像形成部31の中央部には、感光体ドラム32が配され、この感光体ドラム32の周囲には、一次帯電器33、現像器34、および転写帯電器35などが配設され、さらに画像形成データに基づいて潜像を感光体ドラム32に記録するためのポリゴンミラー39などの書込走査光学系を有する。
また画像出力部30は、画像形成部31に印刷用紙を搬送するための用紙カセット41と搬送路42とを備えている。また先端検出器44が、用紙カセット41から各画像形成部31に搬送される印刷用紙の搬送路42上に近接して設けられている。先端検出器44は、レジストローラ42aを通じて転写ベルト(搬送ベルト)43上に送り出された印刷用紙の先端をたとえば光学的に検出して先端検出信号を得、この先端検出信号を画像処理部20に送る。
画像処理部20は、画像出力部30から入力された先端検出信号に同期して、画像取得部10の信号処理部14からの赤,緑,青の画像データR,G,Bに所定の画像処理を施した後、Y,M,C,Kの画像形成データ(たとえばオンオフ2値化トナー信号)を得、画像処理済みのY,M,C,Kの各色の画像形成データを順次一定間隔(いわゆるタンデムギャップ分)をおいて画像出力部30に入力する。
画像出力部30においては先ず、潜像形成用の光源としての半導体レーザ38Yは、画像処理部20からのイエロー(Y)の画像形成データによって駆動されることで、イエローの画像形成データを光信号に変換し、この変換されたレーザ光をポリゴンミラー39に向けて照射する。このレーザ光は、さらに反射ミラー47Y,48Y,49Yを介して一次帯電器33Yによって帯電された感光体ドラム32Y上を走査することで、感光体ドラム32Y上に静電潜像を形成する。この静電潜像は、イエローのトナーが供給される現像器34Yによってトナー像とされ、このトナー像は、転写ベルト43上の用紙が感光体ドラム32Yを通過する間に転写帯電器35Yによって用紙上に転写される。そして転写後は、クリーナ36Yによって感光体ドラム32Y上から余分なトナーが除去される。
M,C,Kの各色についてもY色と同様にして、感光体ドラム32M,32C,32K上に静電潜像が順次形成される。この各静電潜像は、各色のトナーが供給される現像器34M,34C,34Kによって順次トナー像とされる。各トナー像は、転写ベルト43上の用紙が対応する感光体ドラム32M,32C,32Kを通過する間に対応する転写帯電器35M,35C,35Kによって用紙上に順次転写される。このように、Y,M,C,Kの各色のトナー像が順次多重転写された用紙は、転写ベルト43上から剥離され、定着ローラ45によってトナーが定着されて、複写機の外部に排出される。
なお、画像出力部30の構成は上述したものに限らず、たとえば、中間転写ベルトを1つあるいは2つ備えた中間転写方式のものとしてもよい。
<<画像処理部の構成および作用>>
<第1実施形態>
図2は、上記構成のカラー複写装置1に設けられた画像処理部20の第1実施形態を説明するブロック図である。この第1実施形態の画像処理部20は、処理対象画像の下地成分を検知して、この検知結果に基づいて下地除去処理を行なうに際して、Nアップ処理時の各ページ画像や特定領域の複数画像(纏めて領域画像という)に対して、それぞれの領域画像にて取得した検知処理結果(下地検知量DAE)とこの下地検知量DAEに応じた下地除去量Thにて領域画像ごとに下地除去処理を行なう点に特徴を有する。以下具体的に説明する。
第1実施形態の画像処理部20は、前段側である画像取得部10や通信手段90を介して接続された画像入力端末から比較的高ビット数(たとえば8〜10ビット)の画像データVinを取得する画像入力部120と、画像入力部120が取得した画像データVinを基に処理対象画像の下地レベル(地肌レベル)を検出する下地検知部140とを備える。
また、画像処理部20は、それぞれ異なる除去処理手法や除去量などを用いることで異なる態様の下地除去処理を行なう複数の機能ブロックを有する下地除去処理部420と、下地除去処理部420の処理済みデータを画像出力部30用のデータに変換する出力データ処理部720と、下地除去処理部420の下地除去処理に関わる機能ブロックの動作や処理結果の選択動作を制御する選択制御部860とを備えている。
また、画像処理部20は、下地除去処理部420に供給する画像データを記憶する画像記憶部920と、画像記憶部920へのデータの格納(記録)と読出しとを制御する記憶制御部922とを備えている。画像記憶部920と記憶制御部922とにより、本発明に係る画像合成部が構成される。
なお、画像入力部120と下地除去処理部420との間には、図中点線で示すように、変倍処理、色変換処理(RGBデータ→Labデータ→YMCKデータなど)、コントラスト調整(濃度調整)処理、色補正処理、フィルタ処理などの所定の画像処理(前処理)を下地除去処理に先立って行なう前処理部160を設けてもよい。前処理部160における、これら前処理自体の詳細については、従来のものと同様であり、当該技術分野における公知技術であるため、ここではその説明を割愛する。
また、下地除去処理部420と出力データ処理部720との間には、図中点線で示すように、コントラスト調整(濃度調整)、色補正処理、フィルタ処理、TRC(Tone Reproduction Control)補正(階調補正)などの所定の画像処理(後処理)を行なう後処理部680を設けてもよい。後処理部680における、これら後処理自体の詳細についても、従来のものと同様であり、当該技術分野における公知技術であるため、ここではその説明を割愛する。
出力データ処理部720は、下地除去処理部420にて下地除去処理された処理済みのカラー画像用データY,M,C,Kを入力データとして、画像出力部30が適用可能はビット数の出力データVoを生成する。たとえば、各々にスクリーン処理をかけた2値化データ(1ビットのデータ)もしくは数ビットの(入力画像データのビット数より低い)多値化データを出力する。出力データ処理部720から出力された処理済み画像データVoは、後段の画像出力部30に渡される。
選択制御部860は、下地検知部140の下地検知結果に基づいて下地除去処理部420に対して画像処理パラメータを設定するパラメータ設定部862と、下地除去処理部420の各機能ブロックにて下地除去処理された複数の処理済み画像データVout の何れかの選択動作を制御するための制御信号を生成するエリアTAG生成部872とを有している。エリアTAG生成部872は、本発明に係る制御信号生成部の一例である。
第1実施形態のパラメータ設定部862は、下地除去処理部420の各機能ブロックに対してそれぞれ異なるレベルの下地除去量Thを画像処理パラメータとして設定する下地除去量設定部864を有している。
下地除去量設定部864による下地除去量Thの設定は、下地検知部140から通知された処理対象の領域画像ごとの下地検知量DAE1〜DAEsに基づいて、その中から最適な複数の下地除去量Thを決定することで行なう。ここで、最適な複数の下地除去量Thとしては、たとえば、全ての領域画像の下地検知量DAEの中で最も大きい(高濃度の)下地検知量DAEmax に対応した下地除去量Thmax と、最も小さい(低濃度の)下地検知量DAEmin に対応した下地除去量Thmin とが考えられる。
ただし、最適な複数の下地除去量Thの設定は、他の判断基準を基に行なうようにしてもよい。たとえば、各領域画像から検出した下地検知量DAEの平均値とその近傍に対応した複数の下地除去量Th、もしくは各下地検知量DAEに対応した各下地除去量Thの平均値とその近傍を最適な複数の下地除去量Thとしたり、あるいは各下地除去量Thの中で最も出現頻度の高いものから順に複数のものを最適な下地除去量Thとすることが考えられる。また、予め設定された幾つかの判断基準の中から任意の判断基準を、ユーザインタフェースから選択指定し得るようにしてもよい。
このようにして下地除去量設定部864が最適な複数の下地除去量Thを下地除去処理部420に設定すると、下地除去処理部420は、その設定値に基づいて下地除去処理を行なう。すなわち、設定された複数の下地除去量Thを用いて、領域分割された1つの処理対象画像に対して領域対応の下地除去処理を行なう。
画像記憶部920は、たとえば半導体製の記憶媒体やハードディスク装置(HDD)などの記憶装置からなるもので、記憶制御部922の制御の元で、画像入力部120が取り込んだ画像データを一旦記憶蓄積するものである。また、画像記憶部920は、記憶制御部922の制御の元で、タンデムギャップ分に対応するように順次一定間隔をおいて画像出力部30に画像データを渡すためのページメモリを利用したタンデムギャップ補正機能や、ページの並替え機能(いわゆる電子ソート)や、Nアップ処理時あるいはシグネチャーモード出力時におけるデータ合成機能も有する。
なお、画像記憶部920への画像データの蓄積に際しては、その蓄積容量削減のため、ページ単位の画像データをたとえばJPEG(Joint Photographic Experts Group)やPNG(Portable Network Graphics)などの圧縮画像フォーマットで圧縮し、半導体メモリや不揮発性の記憶媒体の一例であるハードディスク装置などからなる画像メモリ部に一時的に格納(圧縮保存)したり、圧縮保存された印刷イメージ(ページ単位の画像データ)を伸長(復号)したりする画像圧縮メモリ機能を使用するのがよい。
<第1実施形態の特徴>
ここで、第1実施形態の特徴部分として、先ず、下地検知部140と下地除去処理部420は、画像出力部30が取り扱う出力対象の1ページ分の画像を所定サイズで複数の領域に分割して、領域画像ごとの下地情報を用いた下地検知処理と下地除去処理を実行する点に特徴を有する。
なお、各領域は同一サイズに限らず、異なるサイズでもよい。たとえば、この選択制御部860が設定する領域サイズは、固定とするのではなく、図示しないユーザインタフェースを介して適宜変更可能にするのがよい。また、Nアップ処理時には、同一サイズの複数の入力画像を処理対象として、画像記憶部920を利用して画像合成処理を行ない画像出力部30が取り扱う1ページの画像を生成するが、このときの複数の入力画像がそれぞれ領域画像となる。
選択制御部860のエリアTAG生成部872は、分割された複数の処理対象領域と、各処理対象領域に適用すべき画像処理パラメータ(第1実施形態では下地除去量Th)とを対応付けたエリアタグデータD420を生成し、下地除去処理部420に通知する。
たとえば、エリアTAG生成部872は、主走査側のドット番号および副走査側のライン番号指定に基づいて画像をエリア分割する。なお、分割可能な最大数を予め適当な値に決めておくとよい。そして、エリアTAG生成部872は、分割されたエリアごとに、図示しないレジスタに設定されたエリアタグデータD420を出力する。
なお、本実施形態では、下地除去処理部420用のエリアタグデータD420を出力するが、後述する他の実施形態では、その他の機能ブロック用のエリアタグデータも出力する。この場合、種々の機能ブロック(モジュール)にエリアタグデータを分配する際には、機能ブロック間のデータ遅延を考慮して、機能ブロックごとにレジスタに設定された段数分のディレイを付加する。
また、第2の特徴として、下地除去処理部420は、除去処理手法そのものは共通するが、それぞれ異なる下地検出量DAE(Data of Auto Exposure ;本例ではDAE1〜DAEs)に対する下地除去量(閾値;本例ではTh1〜Ths)にて個別に下地除去処理を行なう複数の機能ブロックと、各機能ブロックから出力された処理済み画像データVout の何れかを、エリアTAG生成部872からのエリアタグデータD420に基づいて選択出力する切替選択部430とを有している。図示した例では、第1〜第sの下地除去処理部(各々を421,422,…,42sとする)を有している。
選択制御部860の下地除去量設定部864は、下地検出量DAE1〜DAEsを対応する下地除去処理部421〜42sに設定する。エリアTAG生成部872は、各処理対象領域と、それぞれの処理対象領域に適用すべき下地除去量Thとを対応付けたエリアタグデータD420を生成し、下地除去処理部420の切替選択部430に通知する。
これにより、各画像処理機能ブロックの画像処理の状態が、同一の処理対象画像を所定サイズに分割した個々の領域ごとに指定可能となり、本実施形態では、下地除去処理部420における下地除去処理に際して、エリアタグデータD420に応じてエリアごとに下地(地肌)除去量を変えながら下地除去処理を行なうことができるようになっている。
すなわち、下地除去処理部420では、下地除去処理部421〜42sのそれぞれが並行して、たとえば領域N1に対応した下地除去量Th1、領域N2に対応した下地除去量Th2といったように、異なる下地除去量Thで下地除去処理を行なった後に、エリアタグデータD420を基に、それぞれの処理結果V421〜V42sの中から何れか1つを切替選択部430が選択し、これを出力データV420として出力する。
なお、下地除去処理部421〜42sのそれぞれにもエリアタグデータD420を供給して、各下地除去処理部421〜42sが、切替選択部430による選択出力対象となる領域についてのみ処理を行ない選択出力対象とならない不用な領域については動作を停止するように、切替選択部430の選択動作と同期して下地除去処理部421〜42sの各部の動作を制御してもよい。こうすることで、各下地除去処理部421〜42sが時分割で処理を行なうようにすることができ、複数の機能モジュールを設ける場合であっても、消費電力の増加を防止することができる。後述する他の実施形態でも同様である。
<下地除去処理の概要>
図3は、下地除去量設定部864により下地除去処理部421〜42sに設定される検知レベル1〜sの一例を示した図表である。
図3に示すように、下地検知量DAEが“0以上で10未満(以下、他の範囲についても、0〜10などと記す)”の場合には下地除去量Thを“12”とする検知レベル1、下地検知量DAEが“10〜20”の場合には下地除去量Thを“21”とする検知レベル2、下地検知量DAEが“20〜25”の場合には下地除去量Thを“27”とする検知レベル3、下地検知量DAEが“25〜30”の場合には下地除去量Thを“33”とする検知レベル4を定義しておく。
また、下地検知量DAEが“30〜40”の場合には下地除去量Thを“45”とする検知レベル5、下地検知量DAEが“40〜55”の場合には下地除去量Thを“55”とする検知レベル6、…、下地検知量DAEが“α以上”の場合には下地除去量Thを“β”とする検知レベルsというように、下地検出量に対する下地除去量Thを、パラメータ設定部862の下地除去量設定部864にて予め定義しておく。
なお、この図3に示すものは一例であって、この検知レベル1〜sで定義される、下地検知量と下地除去量Thとの対応付けは、実体に即して適宜変更すればよい。
下地除去処理部421は検知レベル1に基づく下地除去処理を行なう。同様に、下地除去処理部422〜42sは、対応する検知レベル2〜sに基づく下地除去処理を行なう。
図4は、各下地除去処理部421〜42sが行なう下地除去処理の一例を説明する図である。図において、縦軸は数値が大きくなるほど高濃度(黒)になる処理済み画像データVout の画素値(出力画素値)であり、横軸は入力画像データVinの画素値(入力画素値)である。
下地除去処理部421〜42sは、画像入力部120が取り込んだ画像データVinに対して、たとえばその値がエリアTAG生成部872から通知される下地除去量Th1〜Ths(以下纏めてTh0という)より小さければ、後段に出力する画像データVout の値が“0”となるように変換することを基本としつつ、階調段差の防止を図ることのできる下地除去処理を実行する。
これは、入力画素値と閾値(下地除去量Th)とを比較し、下地検出量DAEが閾値以下ならば“白地(0)”とする操作を単純に行なうと、閾値を境に急激に地肌濃度が変化する(階調段差が生じる)ため、たとえば新聞や青焼き書面など、地肌濃度むらの大きい原稿の場合、除去しきれないエッジやノイズが現れる。そこで、閾値以下の下地検出量を単純に下地(地肌)として除去するのではなく、閾値の手前から徐々に濃度を下げるようにすることで違和感を低減させる。
具体的には、先ず、下地除去処理部421〜42sは、エリアTAG生成部872から設定される下地除去量Th0を図示しない下地除去量レジスタに設定する。そして、下地除去量レジスタの値DAE0を“2”の補数に変換し、その変換後の値を入力された画像データVinの値(図4中の線分L1)に加算し、その加算結果Vadd (=Vin−DAE0)が負であれば、変換画像データVconvの値を“0”に丸める。
また、入出力特性を徐々に変化させるために、その入出力特性に傾きGammaを設ける。たとえば入力画像データVinのビット数が8ビットの場合、たとえば傾きGammaを“3”とするべく、その加算結果Vadd を3倍して(図4中の線分L2)、その値が“255”以上であれば、変換画像データVconvの値を“255”に丸める。その後、これにより得られた変換画像データVconv値と入力画像データVinの値とを比較し、何れか小さい方を処理済み画像データVout として出力する。なお、傾きGammaは“3”に限らず、“5”やその他の値にしてもよい。傾きGammaは任意に可変できるようにするのがよい。
この結果、下地除去処理部421〜42sは、図4に太い線分L3で示すように、入力された画像データVinが下地除去量Th0以下は全て、処理済み画像データVout を“0”とし、画像データVinが下地除去量Th0から1.5倍の下地除去量Th0の部分までは線分L2に従った値を処理済み画像データVout とし、1.5倍の下地除去量Th0の部分以降(線分L1とL2の交点Z以降)は入力された画像データVinをそのまま理済み画像データVout とする。
下地除去処理部421〜42sには、それぞれ異なるレベルの下地検出量DAE1〜DAEsに対応した下地除去量Th1〜Thsが下地除去量設定部864から与えられている。このため、各下地除去処理部421〜42sは、それぞれ異なった下地除去量Th1〜Thsで下地除去処理を行なうので、同一の入力画像データVinに対して異なった特性(品質)の下地除去処理を行なう。
加えて、選択制御部860のエリアTAG生成部872から、処理対象のページ画像を分割した個々の処理対象領域と各領域に適用すべき下地除去量Thとを対応付けたエリアタグデータD420が、この下地除去処理部420に供給されている。これにより、下地除去処理部420における下地除去処理の状態が、同一の処理対象画像を所定サイズに分割した個々の領域ごとに指定可能となる。本例の場合、分割された領域ごとに下地(地肌)除去量を変えることができる。Nアップ処理時には、画像合成前の各ページ画像を処理対象とした下地検知処理にて得られた下地検知量DAEに対応する下地除去量Thが使用されることとなる。
<<機能モジュール数と処理対象領域数との関係>>
ただし、1ページ内における処理対象の領域数と下地除去処理部420が備える下地除去処理を行なう機能ブロック数との関係では問題を生じ得る。
たとえば図5に示すように、領域数Nに対して、機能ブロック数Sが等しいか(S=N);図5(A))、多い場合には(S>N;図5(B))、それぞれの領域に設定すべき下地除去量Thがそれぞれ異なっている場合であっても、各別の機能ブロックを各領域に対して用いることで、N個の領域について、領域ごとの検知結果に基づき、それぞれ最適な下地除去量Thを設定することができる。
これに対して、領域数Nに対して機能ブロック数Sが少ない場合は(S<N)、各領域に設定すべき下地除去量Thがそれぞれ異なっている場合、そのままでは、N個の領域のそれぞれに対して最適な下地除去量Thを設定することができない。特に、機能ブロック数Sが“1”のときには特許文献1の手法を使えるが、従来技術の項で説明したような問題を有する。また、機能ブロック数Sが、2以上であって、領域数Nよりも少ない場合に、その領域に適用すべきパラメータ値の種類数が機能ブロック数Sを超える場合にも問題となる。なお、機能ブロック数Sが領域数Nよりも少ない場合であっても、各領域に適用すべきパラメータ値の種類が機能ブロック数S以下の場合には、問題は生じない。
そこで、本実施形態では、S<N(ただしS≠1)のときには、適用可能な画像処理パラメータ(本例では下地除去量Th)の中で、該当する頻度の高いものや、最大値および最小値並びにその間で均等分割した値、あるいは代表値とそれに連続する幾つかのものなど、適用可能な下地除去量ThをS個だけ選択して、S個の下地除去処理に関わる各機能ブロック(下地除去処理部)に設定する手法を採る。
以下に、機能ブロックが複数個の場合における対処手法の一例を具体的に説明する。
<第1の手法>
図6は、第1の手法を説明する図である。第1の手法においては、下地除去処理部420においてN個の領域N1〜N6のそれぞれについて下地検知処理を行なうことで取得できるN個の下地検知量DAE1〜DAEnをP段階の下地除去量(画像処理パラメータの一例)ThP1〜ThPpに当てはめ、該当する下地除去量Thの中から頻度の高い順にS個だけ選択して、このS個の下地除去量Th1,2…,sを、S個の下地除去処理に関わる各機能ブロック(下地除去処理部421,422,〜42s)に設定する手法を採る。
そのままでは適用し得ない残りの領域Nrについては、使用可能な下地除去量Th1,2…,sのうち、領域Nrについて本来適用すべき下地除去量Thfrに近いもの、もしくは近い複数のうちの下地除去量Thのより高い方を適用する。
下地を確実に除去する観点では後者の方が好ましいし、過剰な除去を防止する点では前者の方が好ましい。何れにするかは、原稿やコピーモードによりケースバイケースであるが、概して、「近い複数のうちの下地除去量Thのより高い方」を適用するのがよい。
たとえば、図6(A)に示すように、下地検知量DAE1〜DAEnを適用可能な地除去量Thの段階数を6段階(P1〜P6)とする。また、下地除去処理部420内の下地除去処理に関わる機能ブロック数Sを2個(S1,S2)、処理対象の領域数Nを6個(N1〜N6)とする。このような処理対象画像としては、たとえば6枚分の原稿上に描かれたそれぞれの画像N1,N2,N3,N4,N5,N6を、記録用紙1枚分上に一覧表示(割付出力)する6アップを行なう場合が一例である。
図6(A)に示したP=6,S=2,N=6の例では、下地検知部140による下地検知処理の結果に基づく各領域に適用すべき本来の下地検知量は、領域N1ではThP4、領域N2ではThP2、領域N3ではThP4、領域N4ではThP5、領域N5ではThP2、領域N6ではThP4である。この結果、全領域N1〜N6について見れば、下地検知量DAEが領域によって異なり、そのため適合する下地除去量Thも領域によって異なり、ThP4は3個、ThP2は2個、ThP5は1個である。
そこで、下地除去量設定部864は、下地除去処理部421に設定する下地除去量Th1にはThP4を、下地除去処理部422に設定する下地除去量Th2にはThP2を選択する。領域N4を除く領域N1,N2,N3,N5,N6については、下地除去量ThP4,ThP2を、該当する領域に適用すればよい。
また、そのままでは適用し得ない領域N4については、下地除去処理部420にて使用可能な下地除去量Th1(=ThP4),Th2(=ThP2)のうち、領域N4に本来適用すべき下地除去量ThP5に近い方(本例ではTh1=ThP4)を、その領域N5の画像を処理対象とした下地検知処理にて得られた下地検知量DAE5に対応する下地除去量として使用する。
エリアTAG生成部872は、処理対象領域N1〜N6と、それぞれの処理対象領域N1〜N6に適用すべき下地除去量Th1(=ThP4),Th2(=ThP2)とを対応付けたエリアタグデータD420aを生成し、下地除去処理部420の切替選択部430に通知する。下地除去量Th1(=ThP4)は下地除去処理部421に、下地除去量Th2(=ThP2)は下地除去処理部422にそれぞれ設定されているので、図6(B)に示すように、下地除去処理部421,422の出力データの何れを選択すべきかを示すデータを生成すればよい。
下地除去処理部420は、エリアTAG生成部872からのエリアタグデータD420aを参照して、下地除去量ThP4が適用された下地除去処理部421と下地除去量ThP2が適用された下地除去処理部422の何れか一方の出力を切替選択部430により選択することで、エリアタグデータD420aに応じて下地除去量を変えながら下地除去処理を行なう。
この第1の手法に依れば、下地除去量設定部864による下地除去量Thの設定は、下地検知部140から通知された処理対象の領域画像ごとの下地検知量DAE1〜DAEsの検出結果に対応する各下地除去量Thの中で最も出現頻度の高いものから順に複数のものを最適な下地除去量Th1〜Thsとしている。
したがって、この第1の手法に依れば、下地除去処理部420では、機能ブロック数Sが、2以上であって領域数Nよりも少ない場合に、下地検知量DAE(下地レベル)が処理対象領域ごとにそれぞれ異なっていて、その領域に適用すべきパラメータ値の種類数が機能ブロック数Sを超える場合であっても、下地検知量DAEの出現頻度がより高い複数の領域に合わせて下地除去処理を行なうことになるので、全ての領域について概ね良好に下地を除去することができるようになる。
特開2001−136394号公報に記載の手法では、検出された下地レベルを基に最適と判断される1つの下地レベルを基に下地除去処理を行なうので、合成すべき複数の原稿の下地レベルがそれぞれ異なっていても適切な下地除去処理を行なうことができるとは言っても、不都合なく下地成分を除去できる領域は、最適と判断した1つの下地レベル以下の下地レベルの領域に限られ、合成処理によって合成された各原稿の下地レベルのばら付きを補正するものではない。
したがって、最低の下地レベルのものの出現度が最も高いときには、全ての領域画像に対して最低の下地レベルに基づいて下地除去処理を行なうことになるので、最低の下地レベルでなかった他の領域画像では、十分な下地除去処理がなされない。つまり、最も出現度の高かった最低の下地レベルに基づいて下地除去処理を行なった結果、下地除去が行なえない領域部分が多数発生してしまう。
これに対して、上記第1の手法では、複数の下地除去処理部を下地除去処理部420内に設けることで、複数の下地レベルを基に下地除去処理を行なうことができるようになるので、最低の下地レベルのものの出現度が最も高いときには、先ず最低の下地レベルに対応した下地除去量と、以下順次、次に出現度が高い他の下地レベルに対応した下地除去量とで、下地除去処理を行なうことができる。
よって、最も出現度が高い最低の下地レベルの領域画像に対しては最低の下地レベルに基づいて下地除去処理を行ない、最低の下地レベルでなかった他の領域画像に対しては、順次、出現度の高い、前記最低の下地レベルよりも高レベルの他の下地レベルに基づいて下地除去処理を行なうことができる。
つまり、最も出現度の高かった最低の下地レベルと、次に出現度の高かった、より高レベルの下地レベルとに基づいて下地除去処理を行なうことで、下地除去を適正に行なえない領域部分が発生してしまう可能性を少なくすることができる。
この第1の手法も、複数の領域画像のそれぞれに対して下地レベルのばら付きを1対1に補正するものではないが、特開2001−136394号公報に記載の手法よりも、十分な性能の下地除去処理を行なうことができる。
また、Nアップ出力を行なう場合であっても、合成すべき各原稿の読取順に拘わらず、適用する出現頻度のより高い複数の下地除去量Thを適用するので、第1の手法の性能は、合成すべき各原稿の読取順の影響を受けることがない。たとえば、複数の下地除去量Thでは対処できないより高レベルの下地レベルの領域部分(十分な下地除去が行なえない領域)が発生し、合成された領域部分ごとの画質のばら付きが生じる可能性があるものの、そのばら付き状態は合成すべき各原稿の読取順の影響を受けることがない。
<第2の手法>
図7は、第2手法を説明する図である。この第2手法においては、N個の領域のそれぞれにおいて下地検知処理を行なうことで取得できるN個の下地検知量DAE1〜DAEnをP段階の下地除去量(画像処理パラメータの一例)ThP1〜ThPpに当てはめ、該当する下地除去量Thの中の最大値Thmax と最小値Thmin を特定し、これら最大値と最小値の2つ下地除去量Th(通常はThmax とThmin は異なる)を、S個の下地除去処理に関わる各機能ブロック(下地除去処理部421,422,〜42s)に設定する手法を採る。
この場合において、機能ブロック数Sが“2”であれば、一方である下地除去処理部421に最小値の下地除去量Thmin を、他方である下地除去処理部422に最大値の下地除去量Thmax を設定する。なお、最大値と最小値の適用する機能ブロックを逆にしてもよい。
また、機能ブロック数Sが“3”以上であれば、この第2手法においては、残りの“S−2”個の機能ブロックQq(qは1〜S−2)に対しては、式(1)に従って、最大値Thmax と最小値Thmin から均等に割り振った下地除去量Thを演算により求め、これを設定する。
この場合、下地除去処理部421に最小値の下地除去量Thmin を、下地除去処理部42sに最大値の下地除去量Thmax を設定する。また、残りの“S−2”個の下地除去処理部422〜42s-1 に対して、式(1)に従って求めた下地除去量Thを設定する。
そして、このようにして所定の下地除去量Th1(=Thmin ),Th2(=Q1),…,Ths−1(=Qq),Ths(=Thmax )が設定されたS個の下地除去処理部421〜42sを用いて、N個の領域のそれぞれに該当する下地除去量Thそのものが適用できるものは、そのまま適用する。一方、そのままでは適用し得ない残りの領域Nrについては、使用可能な下地除去量Th1,2…,sのうち、領域Nrについて本来適用すべき下地除去量Thfrに近いもの、もしくは近い2つのうちの下地除去量Thのより高い方を適用する。
下地を確実に除去する観点では後者の方が好ましいし、過剰な下地除去を防止する点では前者の方が好ましい。何れにするかは、原稿やコピーモードによりケースバイケースであるが、概して「近い複数のうちの下地除去量Thのより高い方」を適用するのがよい。
たとえば、図7(A)に示すように、下地検知量DAE1〜DAEnを適用可能な地除去量Thの段階数を8段階(P1〜P8)とする。また、下地除去処理部420内の下地除去処理に関わる機能ブロック数Sを4個(S1〜S4)、処理対象の領域数Nを6個(N1〜N6)とする。
この図7(A)に示したP=8,S=4,N=6の例では、下地検知部140による下地検知処理の結果に基づく各領域に適用すべき本来の下地検知量は、領域N1ではThP3、領域N2ではThP6、領域N3ではThP2、領域N4ではThP4、領域N5ではThP3、領域N6ではThP5である。
この結果、全領域N1〜N6について見れば、最小値の下地除去量Thmin はThP2であり、これを下地除去処理部421に設定する。また、最大値の下地除去量Thmax はThP6であり、これを下地除去処理部424に設定する。
また式(1)に準じた式(2−1)に従って下地除去量S1を求め、この下地除去量S1を下地除去処理部422に設定する。同様に、式(2−2)に従って下地除去量S2を求め、この下地除去量S2を下地除去処理部423に設定する。
そして、このようにして下地除去量Thmin ,ThQ1,ThQ2,Thmax が設定された4個の下地除去処理部421〜424を用いて、6個の領域のそれぞれに該当する下地除去量Thそのものが適用できるものは、そのまま適用する。
図7(A)の場合、領域N2には下地除去処理部424によるThP6(=Thmax )を、領域N3には下地除去処理部421によるThP2(=Thmin )を先ず適用する。
また、領域N1,N5については、ThQ1,ThQ2のうち、本来適用すべき下地除去量ThP3に近い下地除去処理部422によるThQ1を適用する。また、領域N4については、本来適用すべき下地除去量ThP4に近い下地除去処理部423によるThQ2を、同様に、領域N6についても、本来適用すべき下地除去量ThP5に近い下地除去処理部423によるThQ2を、それぞれ適用する。
エリアTAG生成部872は、処理対象領域N1〜N6と、それぞれの処理対象領域N1〜N6に適用すべき下地除去量Thmin (=ThP2),ThQ1,ThQ2,Thmax (=ThP6)とを対応付けたエリアタグデータD420bを生成し、下地除去処理部420の切替選択部430に通知する。下地除去量Thmin は下地除去処理部421に、下地除去量ThQ1は下地除去処理部422に、下地除去量ThQ2は下地除去処理部423に、下地除去量Thmax は下地除去処理部424にそれぞれ設定されているので、図7(B)に示すように、下地除去処理部421〜424の出力データの何れを選択すべきかを示すデータを生成すればよい。
以下、第1の手法に準じて、下地除去処理部420は、エリアTAG生成部872からのエリアタグデータD420bを参照して、各下地除去処理部421〜424の何れか1つの出力を切替選択部430により選択することで、エリアタグデータD420bに応じて下地除去量を変えながら下地除去処理を行なう。
この第2の手法に依れば、下地除去処理部420では、機能ブロック数Sが、2以上であって領域数Nよりも少ない場合に、下地検知量DAE(下地レベル)が処理対象領域ごとにそれぞれ異なっていて、その領域に適用すべきパラメータ値の種類数が機能ブロック数Sを超える場合であっても、下地検知量DAEが最も小さい領域(図7の例ではN3)と最も大きい領域(図7の例ではN2)に合わせて均等配分した複数の下地除去量Thに基づいて下地除去処理を行なう。
これにより、全ての領域について下地検知量DAEが最も大きい領域に合わせて下地除去処理を行なうのではなく、より低いレベルの下地検知量DAEの領域にはそれ相応の下地除去量Thにて下地除去処理を行なうことで、全ての領域について良好に下地を除去することができるとともに、該当の領域では、過剰な除去を防止することで、低濃度部分の階調再現性が良好な画像を得ることができる。Nアップ出力を行なう場合であっても、この効果は、読取順の影響を受けることがない。
特開2001−136394号公報に記載の手法において、検出された下地レベルを基に最適と判断される最もレベルの高い下地レベルを基に下地除去処理を行なう場合には、低いレベルの下地検知量DAEの領域に対しては過剰な下地除去処理を行なうこととなるのとは大きく異なる。
<第3の手法>
図8は、第3の手法を説明する図である。この第3手法においては、第2の手法を基本としつつ、機能ブロック数Sが3以上である場合に、残りの“S−2”個の機能ブロックQq(p1〜S−2)に対しては、予め用意されている個々の領域の画像のそれぞれに応じた適正なP段階の下地除去量ThP1〜Ppのうち、最大値の下地除去量Thmin と最小値の下地除去量Thmax 間にあるものの中から、所定の規則に基づいて画像処理(ここでは下地除去処理)の特性に応じて設定する。
この場合、下地除去処理部421に最小値の下地除去量Thmin を、下地除去処理部42sに最大値の下地除去量Thmax を設定する。また、残りの“S−2”個の下地除去処理部422〜42s-1 に対して、最大値の下地除去量Thmin と最小値の下地除去量Thmax 間にある下地除去量Thを設定する。
ここで、画像処理の特性に応じて設定する場合、以下の点に配慮する。
1)max,minを除く残りの領域に設定すべきパラメータ値が1つしかないときなど、残りの機能ブロックで対処可能な場合
2)max,minを除く残りの領域に設定すべきパラメータ値が、“S−2”個と等しいとき
3)max,minを除く残りの領域に設定すべきパラメータ値が、“S−2”個を超えているとき
ここで、1),2)では、残りの“S−2”個で賄うことができるので、そのままで適用できるものはそのままとする選択手法がベストと考えられる。
一方、3)では、必ず、そのままで適用できないものが生じるので、その場合には、S−2個については、第1や第2の手法に準じて、頻度の高い順に設定することにより、全ての領域について概ね良好に下地を飛ばすことができるようになる。
そして、このようにして所定の下地除去量Th1(=Thmin ),2(=Q1),…,s−1(=Qq),s(=Thmax )が設定されたS個の下地除去処理部421〜42sを用いて、N個の領域のそれぞれに該当する下地除去量Thそのものが適用できるものは、そのまま適用する。一方、そのままでは適用し得ない残りの領域Nrについては、使用可能な下地除去量Th1,2…,sのうち、領域Nrについて本来適用すべき下地除去量Thfrに近いもの、もしくは近い2つのうちの下地除去量Thのより高い方を適用する。
下地を確実に除去する観点では後者の方が好ましいし、過剰な除去を防止する点では前者の方が好ましい。何れにするかは、原稿やコピーモードによりケースバイケースであるが、概して、「近い複数のうちの下地除去量Thのより高い方」を適用するのがよい。
図8(A)の場合、第2の手法と同様に、領域N2には下地除去処理部424によるThP6(=Thmax )を、領域N3には下地除去処理部421によるThP2(=Thmin )を先ず適用する。同様に、領域N1,N5については、下地除去処理部422によるThP3(=ThQ1)を適用し、領域N6については、下地除去処理部423によるThP5(=ThQ2)を適用する。そして、領域N4については、本来適用すべき下地除去量ThP4に近い下地除去処理部423によるThQ2を適用する。
エリアTAG生成部872は、処理対象領域N1〜N6と、それぞれの処理対象領域N1〜N6に適用すべき下地除去量Thmin (=ThP2),ThQ1,ThQ2,Thmax (=ThP6)とを対応付けたエリアタグデータD420cを生成し、下地除去処理部420の切替選択部430に通知する。下地除去量Thmin は下地除去処理部421に、下地除去量ThQ1は下地除去処理部422に、下地除去量ThQ2は下地除去処理部423に、下地除去量Thmax は下地除去処理部424にそれぞれ設定されているので、図8(B)に示すように、下地除去処理部421〜424の出力データの何れを選択すべきかを示すデータを生成すればよい。
以下、第2の手法に準じて、下地除去処理部420は、エリアTAG生成部872からのエリアタグデータD420cを参照して、各下地除去処理部421〜424の何れか1つの出力を切替選択部430により選択することで、エリアタグデータD420cに応じて下地除去量を変えながら下地除去処理を行なう。
この第3の手法に依れば、下地除去処理部420では、機能ブロック数Sが、2以上であって領域数Nよりも少ない場合に、下地検知量DAE(下地レベル)が処理対象領域ごとにそれぞれ異なっていて、その領域に適用すべきパラメータ値の種類数が機能ブロック数Sを超える場合であっても、下地検知量DAEが最も小さい領域(図8の例ではN3)と最も大きい領域(図8の例ではN2)に応じた下地除去量Thと、この両者間にあるものの中から下地除去処理の特性に応じた適切な下地除去量Thとに基づいて下地除去処理を行なう。
これにより、第2の手法と同様に、全ての領域について下地検知量DAEが最も大きい領域に合わせて下地除去処理を行なうのではなく、より低いレベルの下地検知量DAEの領域にはそれ相応の下地除去量Thにて下地除去処理を行なうことで、全ての領域について良好に下地を除去することができるとともに、該当の領域では、過剰な除去を防止することで、低濃度部分の階調再現性が良好な画像を得ることができる。Nアップ出力を行なう場合であっても、この効果は、読取順の影響を受けることがない。
なお、第2の手法と第3の手法とを比べた場合、第2の手法に比べて第3の手法のメリットは、S−2個を頻度の高い順に設定することにより、適切な除去量にて下地除去処理を行なう領域が第2の手法より多いことである。一方、デメリットは、適切な除去量で下地除去処理が行なえない領域は第2の手法と比較して、過剰な除去量もしくは下地除去量が不十分な場合がある。
<第4の手法>
図9は、第4手法を説明する図である。この第4手法においては、N個の領域のそれぞれにおいて下地検知処理を行なうことで取得できるN個の下地検知量DAE1〜DAEnをP段階の下地除去量(画像処理パラメータの一例)ThP1〜ThPpに当てはめ、その該当する中から1つの代表的なものを選択し、残りのS−1個は画像処理の特性に応じて代表値を含むように所定の規則に基づいて連続して選択することで、連続する計S個の下地除去量Thを、S個の下地除去処理に関わる各機能ブロック(下地除去処理部421,422,〜42s)に設定する手法を採る。
ここで、「代表的な1つのもの」としては、全ての原稿の下地レベル中の最大値もしくは最小値、あるいは平均値、あるいは中央値(メジアン値)、あるいは出現頻度の高いものなどを使用できる。
なお、「代表的な1つのもの」を設定する際や、代表値に連続するものを設定する際には、「所定の規則」として、たとえば下地検知部140にて検知した各領域画像の各下地検知量DAEの多くを含むようにする。連続する計S個の下地除去量Thから漏れる領域を少なくすることで、下地除去の不十分となる領域や過剰な除去処理がなされる領域を少なくするためである。たとえば、代表値を最小値に設定した方が、代表値を最大値に設定する場合よりも、より多くの領域を含む場合、最小値とそれに連続するより高レベルのものをS個選択して下地除去処理部421〜42sに設定する。
そして、このようにして所定の下地除去量Th1,2,…,sが設定されたS個の下地除去処理部421〜42sを用いて、N個の領域のそれぞれに該当する下地除去量Thそのものが適用できるものは、そのまま適用する。一方、そのままでは適用し得ない残りの領域Nrについては、使用可能な下地除去量Th1,2…,sのうち、領域Nrについて本来適用すべき下地除去量Thfrに近いもの、もしくは近い2つのうちの下地除去量Thのより高い方を適用する。
下地を確実に除去する観点では後者の方が好ましいし、過剰な除去を防止する点では前者の方が好ましい。この場合も、何れにするかは、原稿やコピーモードによりケースバイケースであるが、概して、「近い複数のうちの下地除去量Thのより高い方」を適用するのがよい。
たとえば、図9(A)に示すように、下地検知量DAE1〜DAEnを適用可能な地除去量Thの段階数を8段階(P1〜P8)とする。また、下地除去処理部420内の下地除去処理に関わる機能ブロック数Sを4個(S1〜S4)、処理対象の領域数Nを6個(N1〜N6)とする。
この図9(A)に示したP=8,S=4,N=6の例では、下地検知部140による下地検知処理の結果に基づく各領域に適用すべき本来の下地検知量は、領域N1ではThP2、領域N2ではThP3、領域N3ではThP5、領域N4ではThP3、領域N5ではThP1、領域N6ではThP4である。
下地除去量設定部864は、先ず、下地検知部140からの各領域の下地検知量DAE1〜DAEs6に対応する下地除去量Thから代表的なものとして下地除去量ThP2を選択し下地除去処理部421に設定する。そして、この下地除去量ThP2に連続する下地除去量ThP3,P4,P5を選択して、それぞれ下地除去処理部422,423,424に設定する。
図9(A)の場合、領域N1には下地除去処理部421によるThP2を、領域N2,N4には下地除去処理部422によるThP3を、領域N3については下地除去処理部424によるThP5を、領域N6については下地除去処理部423によるThP4を適用する。そして、領域N5については、本来適用すべき下地除去量ThP1に近い下地除去処理部421によるThP2を適用する。
エリアTAG生成部872は、処理対象領域N1〜N6と、それぞれの処理対象領域N1〜N6に適用すべき下地除去量ThP2〜P5とを対応付けたエリアタグデータD420dを生成し、下地除去処理部420の切替選択部430に通知する。下地除去量ThP2は下地除去処理部421に、下地除去量ThP3は下地除去処理部422に、下地除去量ThP4は下地除去処理部423に、下地除去量ThP5は下地除去処理部424にそれぞれ設定されているので、図9(B)に示すように、下地除去処理部421〜424の出力データの何れを選択すべきかを示すデータを生成すればよい。
下地除去処理部420は、エリアTAG生成部872からのエリアタグデータD420dを参照して、各下地除去処理部421〜424の何れか1つの出力を切替選択部430により選択することで、エリアタグデータD420dに応じて下地除去量を変えながら下地除去処理を行なう。
この第4の手法に依れば、下地除去処理部420は、機能ブロック数Sが、2以上であって領域数Nよりも少ない場合に、下地検知量DAE(下地レベル)が処理対象領域ごとにそれぞれ異なっていて、その領域に適用すべきパラメータ値の種類数が機能ブロック数Sを超える場合であっても、全ての領域についてある特定の領域に合わせた1つの下地除去量Thでは下地除去処理を行なわない。これに代えて、予め用意されている複数段階(P段階;P≧S)の下地除去量Thの中から連続する計S個の下地除去量Thを選択し、この連続した複数段階の下地除去量Thの範囲内で、各領域にて検知した下地検知量DAEに応じたレベルの下地除去量Thに基づいて下地除去処理を行なう。
これにより、各領域にて検知した下地検知量DAEに応じた下地除去量Thが、連続した複数段階の下地除去量Thの範囲内に該当すれば、良好に下地を除去することができるとともに、過剰な除去を防止することで、低濃度部分の階調再現性が良好な画像を得ることができる。Nアップ出力を行なう場合であっても、この効果は、読取順の影響を受けることがない。
加えて、連続した複数段階の下地除去量Thで下地除去処理を行なうので、隣接する領域間で異なる下地除去量Thにて下地除去処理行なうことに起因する階調段差を防止することもできる。
なお、この第4の手法では、連続した複数段階の下地除去量Thの範囲外については、下地除去が不十分な領域、もしくは過剰な下地除去がなされる領域が生じる。しかしながら、上記効果を享受できるので、この第4の手法を用いることの利点は十分にある。
たとえば、連続した複数段階の下地除去量Thの範囲内であっても、その最大値と最小値の領域が隣接していると、レベルの違いを持ち得る。また、連続した複数段階の範囲外は、除去不十分もしくは過剰な領域が生じ得る。しかしながら、コピーモードを考慮し全領域に対し“確実に除去する”もしくは“できるだけ除去をしない”を行なう場合には、この第4の手法で、最大値から設定もしくは最小値から設定することで、この第4の手法の利点がでてくる。
<第2実施形態;パンチ穴やステープル穴への適用>
図10は、図1に示した構成のカラー複写装置1に設けられた画像処理部20の第2実施形態を説明するブロック図である。この第2実施形態の画像処理部20は、大実施形態の構成に加えて、処理対象画像に存在するパンチ穴やステープル穴などの開口部を検出して、この検出した穴データに基づいて領域の分割を行ない、分割した各領域画像にて取得した検知処理結果(下地検知量DAE)とこの下地検知量DAEに応じた下地除去量Thにて領域画像ごとに下地除去処理を行なう点に特徴を有する。
このため、選択制御部860は、画像入力部120を介して取り込んだ入力画像を処理対象画像として、この処理対象画像に存在するパンチ穴やステープル穴などの開口部を検出する開口部検出部874を有している。この開口部検出部874としては、たとえばパンチ穴やステープル穴などの開口部を示す画像パターンを検出するなどして開口部の所在する位置を特定することができるものである限り、どのような手法を用いてもよく、公知の手法を利用することができる。
たとえば、特開平9−9041号公報には、パンチ穴の影が用紙に画像形成されるのを防止するため、コンタクトガラスに載置された原稿を走査し、パンチ穴パターンを記憶手段にメモリしておき、原稿走査で得た原稿読取データを記憶手段に格納されているパンチ穴パターンと照合してパンチ穴を判別し、パンチ穴の画像データを消去あるいは中抜きす技術が開示されているが、この技術におけるパンチ穴判別の手法が利用できる。
開口部検出部874は、検知したパンチ穴などの開口部の位置情報をエリアTAG生成部872に通知する。また、開口部検出部874は、開口部を検知すると、その情報をパラメータ設定部862にも通知する。
これを受けてエリアTAG生成部872は、パンチ穴などの開口部を含む領域を特定し、処理対象画像を複数の領域に分割する。そして、エリアTAG生成部872は、分割した複数の処理対象領域と、各処理対象領域に適用すべき画像処理パラメータ(第2実施形態では下地除去量Th)とを対応付けたエリアタグデータD420を生成し、下地除去処理部420に通知する。
また、開口部検出部874から通知を受けたパラメータ設定部862において、下地除去量設定部864は、通常設定する下地除去量Th1〜Th以外に、分割された開口部を含む該当領域に適合する下地除去量Thxも決定し、下地除去量Th1〜Ths,Thxを下地除去処理部420に通知する。
下地除去処理部420は、下地除去量Th1〜Ths,Thxを下地除去量設定部864から受け取ると、内部の機能ブロックにそれぞれを設定して、この設定された下地除去量Th1〜Ths,Thxに基づいて下地除去処理を行なう。結果として、この第2実施形態では、下地除去処理部420は、図示するように、下地除去処理部421〜42sの他に、下地検知量DAExに基づいて下地除去処理を行なう下地除去処理部420xを有することとなる。
図11は、パンチ穴やステープル穴を示す開口部が形成されている原稿画像の一例と、この原稿画像に対しての分割領域の一例を示した図である。図11(A)に示した例では、図中の左側に略円形状の2つのパンチ穴が開口部Xとして形成されているが、これに限らず、図11(B)に示すような3つ穴原稿や、図11(C)に示すような開口部の数がより多いバインダ穴が形成されたものであってもよい。また、開口部の形状は略円形状のものに限らず、四角形やその他の形状であってもよい。
開口部検出部874は、これらの開口部Xを、パターン認識などを利用して検知し、その情報をエリアTAG生成部872に通知する。これを受けて、エリアTAG生成部872は、開口部検出部874にて検知された2穴や3穴などに応じて、図11(A),(B),(C)に示すように、開口部Xを含む領域ARxと、通常の画像が形成されているその他の領域とを区別できるように、領域を分割する。
図12は、第2実施形態において、下地除去量設定部864により下地除去処理部421〜42s,42xに設定される下地除去量Th1〜s,xの一例を示した図である。図12(A)に示すように、第1実施形態と同様の下地除去量Th1〜sの他に、パンチ穴などの開口部に対応する下地除去量Thxが用意される。
この下地除去量Thxのレベルは、下地検知部140にて開口部を含む該当領域にて検知した下地検知量DAExを参照して決めてもよいし、下地検知量DAExに拘わらずパンチ穴などの開口部に対応するように予め定めておいたレベルとしてもよい。何れにしても、開口部の画像は濃度の高い状態となるのが一般的であるから、パンチ穴などの開口部を含む領域に対しては、その他の領域画像に応じた処理パラメータよりも下地レベルの除去の度合いが強い、すなわち下地除去量の高いパラメータThxを用いるようにする。
下地除去処理部421〜42s,42xには、それぞれ異なるレベルの下地除去量Th1〜Ths,Thxが下地除去量設定部864から与えられている。このため、図12(B)に示すように、各下地除去処理部421〜42s,42xは、それぞれ異なった下地除去量Th1〜Ths,Thxで下地除去処理を行なうので、同一の入力画像データVinに対して異なった特性(品質)の下地除去処理を行なう。特に、開口部を含む領域ARxに対応した下地除去量Thxについては、比較的高いレベルで下地除去処理を行なう。これにより、濃度の高いパンチ穴などの開口部のノイズを低減しつつ、領域ARx内に存在する通常の画像も適正の濃度で再現されるようにする。
以下、具体的な処理に関しては、領域ARxについての処理があるだけで、第1実施形態と概ね同様である。なお、第1〜第4の手法において、頻度や最大値などを特定する際には、領域ARxを除く通常の画像領域を対象として判定することとする。そして、通常の画像領域については第1〜第4の手法をそのまま適用して設定される相応の下地除去量Thで下地除去処理を行ないつつ、領域ARxについては、比較的高いレベルの下地除去量Thxで下地除去処理を行なう。
これにより、通常の画像領域については第1〜第4の手法における効果を享受できるとともに、領域ARx内に存在するパンチ穴のノイズを低減しつつ、この領域ARx内に存在する通常の画像を適正の濃度で再現することができる。領域ARx内を全て無効化する手法を採用すると、パンチ穴のノイズを消去できるが、領域ARx内に存在する通常の画像も消去されてしまう弊害がある。これに対して、この第2実施形態の手法に依れば、領域ARx内に存在するパンチ穴のノイズ低減と通常画像の再現性との両立を図ることができる。
<第3実施形態;前処理部への適用>
図13は、図1に示した構成のカラー複写装置1に設けられた画像処理部20の第3実施形態を説明するブロック図である。この第3実施形態の画像処理部20は、Nアップ時や特定領域の各処理対象画像に対して、異なった画像処理パラメータを用いて、コントラスト調整(濃度調整)処理、色補正処理、あるいはフィルタ処理などの所定の画像処理(前処理)を、文字モード/写真モード/ネガポジなどの画像属性に応じて行なう点に特徴を有する。画像属性が、個々の画素について判定するので、文字モード/写真モード/ネガポジなどの画像属性に対応する分割領域は画像内容に応じて複雑に入り組むようになる。
このため、第3実施形態の画像処理部20は、像域分離処理機能と像域対応の画像処理を行なう機能とを備えている。具体的には、像域分離処理を行なうための構成として、先ず画像入力部120が取り込んだ処理対象画像に基づいてリアルタイムで像域を識別する像域分離処理部180を有している。
たとえば、像域分離処理部180は、入力デバイスである画像取得部10にて読み取ったRGB色空間(入力デバイス依存の色空間)の画像データRGBをデバイス非依存の色空間であるLab色空間の画像データLabに変換してから像域分離処理を行ない、タグデータTagを生成する。
画像取得部10にて読み取られた画像には、たとえば、キャラクタ、矩形図形、円、線、写真画像(自然画像)、網点画像などの画像要素(画像オブジェクト)が含まれる。像域分離処理部180は、画像データLabで示されるビットマップデータの画素ごとに、これら画像要素を、公知の像域分離の手法を用いて、自然画像領域、図形領域、文字/線画領域、などに分離して、当該画素が表現する画像要素の属性を示すタグデータTagを生成する。たとえば、タグデータとしてNビットを割り当てることとすれば、最大で2のN乗種類に区別することができる。
像域分離の手法としては、たとえば、文字エッジの特徴を反映した数種類のパターンを用意し、パターンマッチングを行なうことにより文字部を分離する。また、網点の山ピークと谷ピークとを注目画素とその周囲の画素の濃度から判断して網点領域を分離する。また、読取対象原稿の網点構成に対応する検知マスクパターン(線数や角度、網点サイズなどに応じたもの)を複数種類用意しておき、パターンマッチングを行なうことにより網点領域を分離してもよい。また、L,a,bの各データを用いて無彩色部(たとえば黒部)と有彩色部とを分離する。
像域分離処理部180は、生成したタグデータTagをパラメータ設定部862とエリアTAG生成部872に通知する。ここで、従来であれば、この画像属性を識別するためのタグデータTagを画像データに付加することで、画素データの座標上の位置を確認しなくても、各画素データと画像属性の対応付けを明確になるようにし、後段の画像処理モジュールにて、それぞれの処理パラメータと画素位置とを対応させながら、所定の画像処理を行なうようにしている。
しかしながら、本実施形態では、像域分離処理部180にて像域分離される像域数と、前処理部160が備える個々の前処理部161〜16sの数とは必ずしも等しいものとならない。特に、像域数より処理モジュール数が少ない場合において、各像域に適用すべきパラメータの種類が処理モジュール数よりも多い場合には、そのままでは対処できなくなる。そこで、生成したタグデータTagを選択制御部860に送り、この選択制御部860にて、少ない数の前処理部160にても対処可能なように修正する。
選択制御部860は、第1実施形態のエリアTAG生成部872に代えて、TAG生成部876を有している。このTAG生成部876は、本発明に係る制御信号生成部の一例であって、像域分離処理部180により像域分離された複数の処理対象領域と、各処理対象領域に適用すべき画像処理パラメータPとを対応付けたタグデータD160を、像域分離処理部180からのタグデータTagに基づいて生成し、前処理部160に制御信号として通知する。
前処理部160は、処理手法そのものは共通するが、それぞれ異なる画像処理パラメータF1〜Psにて個別に所定の前処理を行なう複数の機能ブロックと、各機能ブロックから出力された処理済み画像データVout の何れかを、TAG生成部876からのタグデータD160に基づいて選択出力する切替選択部170とを有している。図示した例では、第1〜第sの前処理部(各々を161,162,…,16sとする)を有している。
選択制御部860のパラメータ設定部862は、画像処理パラメータF1〜Fsを対応する前処理部161〜16sに設定する。TAG生成部876は、各処理対象領域と、それぞれの処理対象領域に適用すべき画像処理パラメータF1〜Fsとを対応付けたタグデータD160を生成し、前処理部160の切替選択部170に通知する。
その設定手法としては、上記第1実施形態における第1〜第4の手法と同様に、機能ブロック数S(ただしS≠1)が像域分離数N以下のときには、適用可能な画像処理パラメータP1〜Ppの中で、該当する頻度の高いものや、最大値および最小値並びにその間で均等分割した値、あるいは代表値とそれに連続する幾つかのものなど、適用可能な画像処理パラメータPをS個だけ選択して、S個の前処理に関わる各機能ブロックに設定する手法を採る。
これにより、前処理部160における前処理に際して、前処理部160内の機能ブロック数Sが、2以上であって領域数Nよりも少ない場合に、その領域に適用すべき画像処理パラメータ値の種類数が機能ブロック数Sを超える場合であっても、タグデータD160に基づいて、像域分離された領域ごとに画像処理パラメータを変えながら適切な前処理を行なうことができる。
すなわち、前処理部160では、前処理部161〜16sのそれぞれが並行して、たとえば領域N1に対応した画像処理パラメータP1、領域N2に対応した画像処理パラメータP2といったように、異なる画像処理パラメータPでコントラスト調整(濃度調整)処理、色補正処理、あるいはフィルタ処理などの前処理を行なった後に、タグデータD160を基に、それぞれの処理結果V161〜V16sの中から何れか1つを切替選択部170が選択し、これを出力データV160として出力することができる。
したがって、像域分離処理部180を用いて像域分離した領域(ここでは特に像域)ごとに、文字モード/写真モード/ネガポジなどの属性を設定することができ、像域ごとに各モードに適したフィルタ処理やシャープネス調整の強度を設定することができる。
<第4実施形態;後処理部への適用>
図14は、図1に示した構成のカラー複写装置1に設けられた画像処理部20の第4実施形態を説明するブロック図である。この第4実施形態の画像処理部20は、Nアップ時や特定領域の各処理対象画像に対して、異なった画像処理パラメータを用いて、コントラスト調整(濃度調整)、色補正処理、フィルタ処理、TRC(Tone Reproduction Control)補正(階調補正)などの所定の画像処理(後処理)を、第3実施形態と同様に、文字モード/写真モード/ネガポジなどの画像属性に応じて行なう点に特徴を有する。画像属性が、個々の画素について判定するので、文字モード/写真モード/ネガポジなどの画像属性に対応する分割領域は画像内容に応じて複雑に入り組むようになる。
このため、第4実施形態の画像処理部20は、像域分離処理を行なうための構成として、第3実施形態と同様に、画像入力部120が取り込んだ処理対象画像に基づいてリアルタイムで像域を識別する像域分離処理部180を有している。また、選択制御部860は、第3実施形態と同様に、TAG生成部876を有している。このTAG生成部876は、像域分離処理部180により像域分離された複数の処理対象領域と、各処理対象領域に適用すべき画像処理パラメータPとを対応付けたタグデータD680を生成し、後処理部680に通知する。
後処理部680は、処理手法そのものは共通するが、それぞれ異なる画像処理パラメータG1〜Gsにて個別に所定の前処理を行なう複数の機能ブロックと、各機能ブロックから出力された処理済み画像データVout の何れかを、TAG生成部876からのタグデータD680に基づいて選択出力する切替選択部690とを有している。図示した例では、第1〜第sの後処理部(各々を681,682,…,68sとする)を有している。
選択制御部860のパラメータ設定部862は、画像処理パラメータG1〜Gsを対応する後処理部681〜68sに設定する。TAG生成部876は、各処理対象領域と、それぞれの処理対象領域に適用すべき画像処理パラメータG1〜Gsとを対応付けたタグデータD680を生成し、後処理部680の切替選択部690に通知する。
その設定手法としては、上記第1実施形態における第1〜第4の手法と同様に、機能ブロック数S(ただしS≠1)が像域分離数N以下のときには、適用可能な画像処理パラメータP1〜Ppの中で、該当する頻度の高いものや、最大値および最小値並びにその間で均等分割した値、あるいは代表値とそれに連続する幾つかのものなど、適用可能な画像処理パラメータPをS個だけ選択して、S個の前処理に関わる各機能ブロックに設定する手法を採る。
これにより、後処理部680における後処理に際して、後処理部680内の機能ブロック数Sが、2以上であって領域数Nよりも少ない場合に、その領域に適用すべき画像処理パラメータ値の種類数が機能ブロック数Sを超える場合であっても、タグデータD680に基づいて、像域分離された領域ごとに画像処理パラメータを変えながら適切な後処理を行なうことができる。
すなわち、後処理部680では、後処理部681〜68sのそれぞれが並行して、たとえば領域N1に対応した画像処理パラメータP1、領域N2に対応した画像処理パラメータP2といったように、異なる画像処理パラメータPでコントラスト調整(濃度調整)、色補正処理、フィルタ処理、TRC補正などの後処理を行なった後に、タグデータD680を基に、それぞれの処理結果V681〜V68sの中から何れか1つを切替選択部690が選択し、これを出力データV680として出力することができる。
したがって、像域分離処理部180を用いて像域分離した領域(ここでは特に像域)ごとに、文字モード/写真モード/ネガポジなどの属性を設定することができ、像域ごとに各モードに適した色補正やTRC補正の強度を設定することができる。
<第5実施形態;第1〜第4実施形態の総合適用>
図15は、図1に示した構成のカラー複写装置1に設けられた画像処理部20の第5実施形態を説明するブロック図である。この第5実施形態の画像処理部20は、上述した第1〜第4実施形態の構成を全て備えている構成例を示している。
このような構成とすることで、上記第1〜第4実施形態で説明した各々の効果を享受できる画像処理装置を構成することができる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、上記実施形態では、下地除去処理部420などに設定可能な処理パラメータを予め複数個用意しておき、最大値や最大頻度のものなど最初に選択すべきものをその範囲から選択するようにしていたが、これに限らず、領域画像にて検知した結果に基づく最初に設定すべき値は無段階(つまり連続値の中の何れか)としておいてもよい。
1…カラー複写装置、10…画像取得部、20…画像処理部20、30…画像出力部30、120…画像入力部、140…下地検知部、160…前処理部、170…切替選択部、180…像域分離処理部、420…下地除去処理部、430…切替選択部、680…後処理部、690…切替選択部、720…出力データ処理部、860…選択制御部、862…パラメータ設定部、864…下地除去量設定部、872…エリアTAG生成部、874…開口部検出部、876…TAG生成部、920…画像記憶部、922…記憶制御部