JP2005173029A - 反射防止膜を有する光学素子及び反射防止膜の設計方法 - Google Patents

反射防止膜を有する光学素子及び反射防止膜の設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 全体として大きな透過光量を有する光学素子及び係る光学素子の反射防止膜の設計方法を提供する。
【解決手段】 レンズ1の表面に反射防止膜2を有する光学素子であって、前記レンズ1の有効径E内の前記反射防止膜2を領域aに分割する場合の各領域aにおける入射光量比pと、各領域aにおける光の反射率rとの積p×rの総和が最小となるように前記反射防止膜2の膜厚が設定されている光学素子及びその反射防止膜の設計方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、反射防止膜を有する光学素子に関し、特に光ピックアップ装置、半導体装置、内視鏡等に用いる大きな開口数(NA)を有する光学素子、及び光通信に用いるボール状の光学素子に好適な光学素子及び反射防止膜の設計方法に関する。
光ピックアップ装置や半導体装置の対物レンズの表面には、入射光を効率よく透過させるために反射防止膜がコーティングされている。例えば単層の反射防止膜は、反射防止膜表面での反射光と、反射防止膜とレンズの境界での反射光との光路差が波長の1/2の奇数倍となってこれらの光が干渉により打ち消し合う厚さになるように設計される。一般的にはレンズの中心(光線入射角度が0°)付近で反射防止効果が最大となるような膜厚に設計する場合が多く、このように設計された反射防止膜の反射率は、入射光が反射防止膜に垂直となる領域で最小値を示す。
対物レンズは、集光すべき光がその表面の中心に垂直(光線入射角度が0°)に入射するように配置されるが、対物レンズのレンズ面は曲面であるため、垂直入射の条件をほぼ満たすのは光軸周辺の極めて限られた範囲のみである。レンズ周辺部では、光線入射角度が大きいので反射防止膜の設計条件から大きくずれてしまい、入射光の反射率が高い。
反射防止膜は真空蒸着法、スパッタ法、CVD法等により形成されている。これらの方法により反射防止膜を形成すると、レンズ周辺部の光学膜厚がレンズ中心部に比較して小さくなる傾向がある。このためレンズ周辺部においては反射防止膜の光学膜厚が小さく、設計膜厚からずれてしまう上、上述のように光線入射角度が大きいので、反射防止効果が十分に得られず、反射光量が非常に多い。従って、このような光学素子には、中心部の透過光量は多いものの、素子全体としては透過光量が十分でないという問題がある。
特開2001-52366号(特許文献1参照)は、所定波長のレーザー光を発する光源と、前記光源からのレーザー光を光ディスクの記録面上に収束させる対物レンズとを備え、前記対物レンズの表面には反射防止膜が施され、前記反射防止膜の設計基準波長(垂直入射時に最小の反射率を示す波長)が、前記レーザー光の波長より長く設定されている光ヘッドの光学系を開示している。また前記反射防止膜の設計基準波長は、前記レーザー光の波長より50〜60 nm長いのが好ましいことが記載されている。
単層の反射防止膜の場合、設計基準波長を長くするには、反射防止膜の物理膜厚を大きくするので、この光学系の反射防止膜の物理膜厚は、設計基準波長をレーザー光の波長としたものより大きくなる。このためレンズ中心部における反射率は最適化された値ではないものの、レンズ周辺部における反射率は比較的小さい。レンズ周辺部の面積はレンズの表面積の多くの割合を占めるので、この光学系の対物レンズ透過する光量の総和は、レーザー光の波長を設計基準波長としたものと比較して小さいことが多い。しかしながら、透過光量の総和はレンズの曲率や照射する光の波長にも依存するものであり、レンズの形状によっては十分な透過光量を有する光学素子を得らないという問題がある。
特開2001-52366号公報
従って、本発明の目的は、反射防止膜を有し、素子全体での透過光量の多い光学素子及び係る光学素子の反射防止膜を設計する方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、(a) レンズ表面に反射防止膜を有する光学素子であって、反射防止膜が有効径内で複数の領域に分割し、(i) 領域毎に求めた反射光量の総和が最小となるように設計されているか、(ii) 領域毎に求めた膜透過光量の総和が最大となるように設計されているものは、素子全体として大きな透過光量を有すること、及び(b) レンズの有効径内を基板傾斜角度範囲Δθに分割し、前記基板傾斜角度範囲Δθ毎に前記レンズの入射光量比と、前記反射防止膜の反射率及び/又は透過率とを求め、その積の総和を用いると、素子全体で大きな透過光量を有するように前記反射防止膜を設計できることを発見し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の第一の光学素子は、レンズ表面に反射防止膜を有する光学素子であって、前記反射防止膜は、前記レンズの有効径内の前記反射防止膜を複数の領域に分割し、前記領域毎に反射光量を求め、前記反射光量の総和が最小となるように設計されていることを特徴とする。
各領域における反射光量は、各領域内における反射率を一定と近似して求められているのが好ましい。各領域における反射光量は、各領域における入射光量比pと、各領域における光の反射率rとの積p×rとされているのが好ましい。
本発明の第二の光学素子は、レンズ表面に反射防止膜を有する光学素子であって、前記反射防止膜は、前記レンズの有効径内の前記反射防止膜を複数の領域に分割し、前記領域毎に膜透過光量を求め、前記膜透過光量の総和が最大となるように設計されていることを特徴とする。
各領域における膜透過光量は、各領域内における膜透過率を一定と近似して求められているのが好ましい。各領域における膜透過光量は、各領域における入射光量比pと、各領域における光の膜透過率tとの積p×tであるのが好ましい。
いずれの光学素子においても、前記レンズの基板傾斜角度θにより前記反射防止膜が分割されて前記領域が設定されているのが好ましい。
第一の光学素子の好ましい一例は、前記レンズの基板傾斜角度範囲Δθにおける前記光学膜厚を一定として前記基板傾斜角度範囲Δθ毎に求めた反射率R(Δθm)と、前記基板傾斜角度範囲Δθ毎に求めた前記レンズの入射光量比P(Δθm)とから計算される入射光量比・反射率P(Δθm)×R(Δθm)の総和が最小となるように前記反射防止膜の膜厚が設定されていることを特徴とする。
第二の光学素子の好ましい一例は、前記レンズの基板傾斜角度範囲Δθにおける前記光学膜厚を一定として求めた各基板傾斜角度範囲Δθの膜透過率T(Δθm)と、前記基板傾斜角度範囲Δθ毎に求めた前記レンズの入射光量比P(Δθm)とから計算される入射光量比・膜透過率P(Δθm)×T(Δθm)の総和が最大となるように前記反射防止膜の膜厚が設定されていることを特徴とする。
前記基板傾斜角度θにおける前記反射防止膜の光学膜厚D(θ)は下記式(1)
D(θ)= D0・(cosθ)x ・・・(1)
(ただしθはレンズの基板傾斜角度を示し、D0は前記レンズの中心における前記反射防止膜の光学膜厚を示し、Xは0以上1以下の定数を示す。)により表されるのが好ましい。
本発明の光学素子の好ましい一実施例は、前記レンズの屈折率は1.55〜1.85であり、前記反射防止膜は1.35〜1.5の屈折率を有する単層であり、前記有効径内における前記基板傾斜角度θは0〜70°であり、前記レンズの中心における前記反射防止膜の光学膜厚は0.3λ〜0.5λ(ただしλは前記光学素子に照射される光の波長を示す。)であることを特徴とする。
本発明の光学素子の別の実施例は、前記レンズの屈折率は1.55〜1.85であり、前記反射防止膜は1.95〜2.25の屈折率を有する少なくとも1つの高屈折率層と、1.35〜1.5の屈折率を有する少なくとも1つの低屈折率層を交互に有し、前記有効径内における前記反射防止膜表面の基板傾斜角度は0〜70°であることを特徴とする。
反射防止膜が多層の場合、前記レンズ側から順に光学膜厚0.062λ〜0.084λの高屈折率層、光学膜厚0.079λ〜0.107λの低屈折率層、光学膜厚0.156λ〜0.212λの高屈折率層、光学膜厚0.046λ〜0.062λの低屈折率層、光学膜厚0.583λ〜0.789λの高屈折率層、光学膜厚0.054λ〜0.074λの低屈折率層、光学膜厚0.106λ〜0.144λの高屈折率層、及び光学膜厚0.339λ〜0.459λの低屈折率層(ただし光学膜厚はレンズの中心におけるものを示し、λは前記光学素子に照射される光の波長を示す。)からなるのが好ましい。
本発明の第一の反射防止膜設計方法は、光学素子のレンズ表面に設ける反射防止膜を設計するもので、前記レンズの有効径内を基板傾斜角度範囲Δθ毎に分割し、前記基板傾斜角度範囲Δθ毎に前記レンズの入射光量比P(Δθm)及び前記反射防止膜の反射率R(Δθm)を求め、前記入射光量比P(Δθm)と前記反射率R(Δθm)の積の総和が最小となるようにすることを特徴とする。
反射率R(Δθm)は、前記基板傾斜角度範囲Δθにおける反射防止膜の膜厚を一定として求めるのが好ましい。
本発明の第二の反射防止膜設計方法は、光学素子のレンズ表面に設ける反射防止膜を設計するもので、前記レンズの有効径内を基板傾斜角度範囲Δθ毎に分割し、前記基板傾斜角度範囲Δθ毎に前記レンズの入射光量比P(Δθm)及び前記反射防止膜の膜透過率T(Δθm)を求め、前記入射光量比P(Δθm)と前記膜透過率T(Δθm)の積の総和が最大となるようにすることを特徴とする。
膜透過率T(Δθm)は、前記基板傾斜角度範囲Δθにおける反射防止膜の膜厚を一定として求めるのが好ましい。
いずれの設計方法においても、基板傾斜角度θにおける前記反射防止膜の光学膜厚D(θ)が下記式(1)
D(θ)= D0・(cosθ)x ・・・(1)
(ただしθはレンズの基板傾斜角度を示し、D0は前記レンズの中心における前記反射防止膜の光学膜厚を示し、Xは0以上1以下の定数を示す。)により表されるとして、前記入射光量比・反射率P(Δθm)×R(Δθm)を求めるのが好ましい。
本発明の光学素子は、領域に分割されてそれ毎に求められた反射光量の合計が最小となるか、膜透過光量の合計が最大となるように設計された反射防止膜を具備する。このため、素子全体として大きな透過光量を有し、入射した光線を有効に透過することができる。本発明の反射防止膜の設計方法は、レンズの有効径内を基板傾斜角度範囲Δθに分割し、前記基板傾斜角度範囲Δθ毎にレンズの入射光量比、並びに反射防止膜の反射率及び/又は膜透過率を求め、その積から前記基板傾斜角度範囲Δθの反射光量及び/又は膜透過光量を求める。このため、前記基板傾斜角度範囲Δθ毎の反射光量及び/又は膜透過光量を効率よく計算することができる。
[1] 反射防止膜の設計方法
レンズ表面に形成する反射防止膜のうち、レンズの有効径E内に該当する部分を微小な領域aに分割し、領域a毎に反射光量及び/又は膜透過光量を求める。反射光量は光線の反射率rと入射光量比pとの積により表すことができ、膜透過光量は光線の膜透過率tと入射光量比pとの積により表すことができる。入射光量比pは、光学素子の有効径E内に入射する光のうち、各領域aに入射する光の割合を示す。
領域a内において、反射防止膜2の反射率と膜厚、又は膜透過率と膜厚が一定であると近似できるように、領域aを設定するのが好ましい。例えば領域aが十分に小さい時、領域a内では反射率r及び膜透過率t、並びに反射防止膜2の膜厚は一定であると近似することができる。またレンズが光軸を中心とする回転対称形である場合は、レンズの光軸を中心とする円上では、反射防止膜の反射率r及び膜透過率tは一定である。このためレンズの光軸を中心とする同心円によって分割する領域aを設定し、その反射率r及び/又は膜透過率tを計算することにより、効率よく反射光量及び/又は膜透過光量を求めることができる。以下、この同心円によって反射防止膜を分割し、反射防止膜を設計する方法を説明する。
図1は本発明の光学素子の一例を示す。図1に示す光学素子は、表面1a側に凸状の第一の面11を有するレンズ1と、第一の面11に成膜された反射防止膜2とからなる。光学素子の裏面1b側は、凹状の第二の面12となっている。図中の反射防止膜2は、実際より厚く描かれている。簡単のために、反射防止膜2は単層構造であり、光学素子の表面1aから波長λの平行光が入射するとして、この反射を防止する反射防止膜2の設計について説明する。
(1) 第一の方法
(a) 基板傾斜角度範囲Δθ
図4は、反射防止膜2の設計方法の一例を示す。まずレンズ1の有効径E内に該当する部分の反射防止膜を分割する。具体的には、第一の面11に複数の基板傾斜角度範囲Δθを設定する。本明細書中、基板傾斜角度範囲Δθは、基板傾斜角度θによって分割した第一の面上の領域を示す。基板傾斜角度θは、図2に示すように、第一の面11の中心110に接する面Foと、第一の面11上の点tに接する面Fとのなす角度を示す。
有効径E内の部分における最大基板傾斜角度θが70°のレンズの場合、図1に示すように、基板傾斜角度範囲Δθを10°とすると、第一の面11は7分割される。基板傾斜角度範囲Δθを小さく設定するほど反射防止膜2の膜厚を精度良く設計できるが、実用的には1°〜10°程度であり、基板傾斜角度範囲Δθの数は2〜100程度である。便宜上、各基板傾斜角度範囲Δθを中心110側から順にΔθ1、Δθ2・・Δθm・・Δθ7(mは1〜7までの整数を示す。)として以下説明する。
(b) 光線入射角度
光学素子上の点における光線入射角度は、光学素子の形状及び入射光の性質(平行光、拡散光又は収束光のいずれであるか等)により、幾何学的に求めることができる。入射光が平行光の場合、光学素子の光線入射角度は反射防止膜2の基板傾斜角度θに等しい。
反射防止膜2の厚さは一様ではないので、点tにおけるレンズ1の基板傾斜角度θと、点t上の反射防止膜2上の点t'における基板傾斜角度とは、厳密にいうと異なっている。しかし反射防止膜2の厚さは非常に小さいために、その差も基板傾斜角度θと比較して非常に小さい。このため反射防止膜2の基板傾斜角度θをレンズ1の基板傾斜角度θと同じであるとして反射率又は膜透過率を求めても差し支えない。基板傾斜角度範囲Δθmの各点における基板傾斜角度θの平均値又は中央値をその基板傾斜角度範囲Δθmの基板傾斜角度θmとして用いるのが好ましい。
(c) 光学膜厚D(θ)
反射防止膜2の光学膜厚D(θ)を基板傾斜角度範囲Δθ毎に求める。光学膜厚は基板傾斜角度θに依存し、基板傾斜角度範囲Δθにおける反射防止膜2の光学膜厚D(θ)は、下記式(1)
D(θ)= D0・(cosθ)x ・・・(1)
(ただし、θは基板傾斜角度を示し、D0はレンズの中心における反射防止膜2の光学膜厚を示し、Xは0以上1以下の定数を示し、0°<θ90°である。)により表すことができる。光学膜厚D(θ)はθの増加に伴って小さくなる。Xは反射防止膜2の成膜条件(成膜方法、成膜材料、成膜装置等)に依存する定数である。
図5は、基板傾斜角度θと反射防止膜2の膜厚比D(θ)/D0との関係の一例を示す。この反射防止膜2は、第一の面11に、真空蒸着法(減圧度1×10-6 Torr、真空蒸着4分)により、フッ化マグネシウムからなる反射防止膜2を形成したものである。このグラフは、(cosθm)0.7に近似される。
レンズ中心における反射防止膜2の光学膜厚D0は下記式(2)
D0 = n・d0 ・・・(2)
(ただし、nは波長λにおける反射防止膜2の屈折率を示し、d0はレンズの中心における反射防止膜の物理膜厚を示す。)により表される。上記式(2)及び下記式(1)からレンズ1の基板傾斜角度範囲Δθmに成膜した反射防止膜2の物理膜厚dmを求めることができる。
(d) 光学特性値
各基板傾斜角度範囲Δθmの光学特性値は、その角度範囲における
(i) 入射光の波長、
(ii) 入射媒質(通常は空気)の屈折率、
(iii) 出射媒質(レンズ等の基板)の屈折率、
(iv) 光線入射角度、
(v) 膜層数、
(vi) 各層の屈折率及び
(vii) 各層の膜厚
から計算できる。(i)〜(vii) により光学特性値を求められるのは、反射防止膜2の光学特性値が反射率及び透過率に依存し、吸収率は無視できるためである。
一般に、光学特性値は反射率、透過率及び吸収率に依存し、これらの間には下記式(3):
反射率 + 透過率 + 吸収率 = 1(100%) ・・・(3)
が成立することが知られている。よって光学特性値を正確に計算するためには、反射率や透過率の他に吸収率も考慮する必要がある。しかし、光学素子の反射防止膜の材料としては、光の吸収が無い物質又は非常に少ない物質を用いるのが一般的であるので、光学特性値の計算において吸収を考慮する必要は非常に小さい。反射防止膜材料の吸収率を無視できるとすると、下記式(4):
反射率 + 透過率 = 1(100%) ・・・(4)
が成り立つ。なお光学特性値に有意な影響を与えるほど反射防止膜による吸収率が大きい場合は、吸収率を考慮して光学特性値を求める必要がある。
上記式(4) に示すように、反射率R(Δθm)と膜透過率T(Δθm)には相関があり、反射率R(Δθm)が大きいほど膜透過率T(Δθm)は小さい。このため反射防止膜2の設計に当たっては、反射率R(Δθm)に着目しても良いし、膜透過率T(Δθm)に着目しても良い。具体的には各基板傾斜角度範囲Δθの反射率R(Δθm)から反射光量の総和(有効径E内全体の反射光量)を求め、これが最小となるように反射防止膜2の膜厚を決定しても良いし、各基板傾斜角度範囲Δθの膜透過率T(Δθm)から膜透過光量の総和(有効径E内全体の膜透過光量)を求め、これが最大となるようにしても良い。以下、反射率R(Δθm)を用いて反射防止膜2の膜厚を決定する場合を例にとって説明する。
図1に示す光学素子の反射防止膜2に入射する光h1の波長はλであり、入射媒質は空気である。また反射防止膜2は単層からなり、上述のとおり各基板傾斜角度範囲Δθの膜厚は式(1) により求められる。入射光h1は平行光であるので、光線入射角は基板傾斜角度θに等しい。このように特定のレンズ1の反射防止膜2を設計する場合、上述のパラメータのうち(i) 〜(v) は決まっているので、(vi) 反射防止膜2の屈折率及び(vii) 膜厚を決定すれば、反射率R(Δθm)は光線入射角度毎に一義的に定まる。なお反射率R(Δθm)の具体的な計算方法は非常に複雑であるので詳述しない。
(e) 入射光量比P(Δθm)
入射光量比P(Δθm)は、(各基板傾斜角度範囲Δθに入射する光量)/(レンズ1の有効径E内部に入射する全入射光量)の比率を示す。レンズ1への入射光h1は平行光であるので、入射光量比P(Δθm)は有効径E内のレンズ1の断面積に対する各基板傾斜角度範囲Δθの投影面積の比率に相当する。基板傾斜角度範囲Δθの投影面積は、レンズ1の形状及び光線入射角度から幾何学的に計算することができる。
図1(b) に示すように、各基板傾斜角度範囲Δθの投影面積はレンズの光軸から離れるほど大きくなるので、入射光量比P(Δθm)もレンズの光軸から離れるほど大きくなる。すなわちP(Δθ1)<P(Δθ2)<・・・<P(ΔθM)という関係がある。
(f) 入射光量比・反射率P(Δθm)×R(Δθm)
入射光量比と反射率R(Δθm)の積、入射光量比・反射率P(Δθm)×R(Δθm)を計算する。各基板傾斜角度範囲Δθmの面積を比較すると、図1(b) に示すようにΔθ1が最小である。このためΔθ1においては光がほぼ垂直に入射し、反射率R(Δθ1)は小さいものの、基板傾斜角度範囲Δθ1を透過する光量は他のΔθmと比較して大きいとは限らない。このように各Δθmの透過光量は、光線入射角等によって決まる反射率R(Δθm)と、入射光量比P(Δθm)とに依存する。
入射光量比・反射率P(Δθm)×R(Δθm)は、反射防止膜2上で反射率R(Δθm)を示す部分の面積比を反射率R(Δθm)に乗じたものであるので、一定の反射率を示す領域がレンズ1に占める割合をその反射率に加味した値と言える。反射防止膜2の設計に入射光量比・反射率P(Δθm)×R(Δθm)を用いることにより、各基板傾斜角度範囲Δθに入射する光の反射率だけでなく、その反射率を示す部分の面積比を反映させることができる。
(g) 入射光量比・反射率P(Δθm)×R(Δθm)の総和Sm(R)
入射光量比・反射率の総和Sm(R)は下記式(5)
Figure 2005173029
(ただし、θは基板傾斜角度を示し、Mは基板傾斜角度範囲の数を示し、P(Δθm)は入射光量比を示し、R(Δθm)は反射率を示す。)により表される。
上述のように、P(Δθm)はレンズ1の形状等から幾何学的に求められる。R(Δθm)は反射防止膜2の屈折率n及び膜厚を決定すれば、一義的に決定する。反射防止膜2の膜厚は一様ではないが、膜厚分布は反射防止膜2の成膜方法、成膜装置等により決定するものである。このため中心110における物理膜厚d0が決定すると反射防止膜2の形状も決定し、各基板傾斜角度範囲Δθにおける膜厚も一義的に決定する。従って、総和Sm(R)は反射防止膜2の屈折率nと、物理膜厚d0との関数である。
入射光を有効に透過する光学素子を作製するには、総和Sm(R)を最小にするのが好ましい。このためレンズ1上に形成する反射防止膜2を設計する場合、総和Sm(R)を最小にするように屈折率nと物理膜厚d0を決定する。そのためには、種々の屈折率n及び物理膜厚d0について総和Sm(R)を計算し、総和Sm(R)が最小値をとるように屈折率n及び物理膜厚d0を求めれば良い。屈折率nは反射防止膜2の材料によって決まるので、材料を選択して屈折率nを一定とし、物理膜厚d0のみを変数として総和Sm(R)を求めるのが実用的である。
反射防止膜2が複数の層からなる場合、各層毎に種々の屈折率n及び物理膜厚d0について総和Sm(R)をそれぞれ計算し、各層の総和Sm(R)の合計が最小となるように屈折率n及び物理膜厚d0を決定すれば良い。
(2) 第二の方法
光学特性値として反射防止膜2の膜透過率T(Δθm)を用いる方法を以下に説明する。この方法は、入射光量比・膜透過率P(Δθm)×T(Δθm)の総和Sm(T)を求め、それが最大になるように屈折率n及び物理膜厚d0を決定する以外、反射率R(Δθm)を用いる場合と同じであるので相違点のみ以下に説明する。
特定のレンズ1の反射防止膜2を設計する場合、膜透過率T(Δθm)についても、上述の光学特性値のパラメータのうち(i) 〜(v) は決まっているので、(vi) 反射防止膜2の屈折率及び(vii) 膜厚を決定すれば、膜透過率T(Δθm)は光線入射角度毎に一義的に定まる。なお膜透過率T(Δθm)の具体的な計算方法は非常に複雑であるので詳述しない。
入射光量比と、膜透過率T(Δθm)の積である入射光量比・膜透過率P(Δθm)×T(Δθm)を計算する。基板傾斜角度範囲Δθmに形成された反射防止膜2を透過する光量は、光線入射角等によって決まる膜透過率T(Δθm)と、入射光量比P(Δθm)とに依存する。入射光量比・膜透過率P(Δθm)×T(Δθm)は、反射防止膜2上で膜透過率T(Δθm)を示す部分の面積の比率を膜透過率T(Δθm)に乗じたものであるので、一定の膜透過率を示す領域がレンズ1で占める割合をその膜透過率に加味した値と言える。反射防止膜2の設計に入射光量比・膜透過率P(Δθm)×T(Δθm)を用いることにより、各基板傾斜角度範囲Δθに入射する光の膜透過率だけでなく、その膜透過率T(Δθm)を示す部分の面積比も反映させることができる。
入射光量比・膜透過率の総和Sm(T)は下記式(6)
Figure 2005173029
(ただし、θは基板傾斜角度を示し、Mは基板傾斜角度範囲の数を示し、P(Δθm)は入射光量比を示し、T(Δθm)は膜透過率を示す。)により表される。総和Sm(T)も反射防止膜2の屈折率nと、反射防止膜2の物理膜厚d0との関数である。
入射光を有効に透過する光学素子を作製するには、総和Sm(T)を最大にするのが好ましい。このためレンズ1上に形成する反射防止膜2を設計する場合、総和Sm(T)を最大にするように屈折率nと物理膜厚d0を決定する。種々の屈折率n及び物理膜厚d0を式(6) に代入して総和Sm(T)をそれぞれ計算し、総和Sm(T)が最大となる屈折率n及び物理膜厚d0を求めれば良い。
(2) 反射防止膜の作製
反射防止膜2の作製方法は特に限定されず、一般的な方法によって作製することができる。例えば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、熱CVD、プラズマCVD、光CVD等の化学蒸着法、ゾル−ゲルコート液を使ったディッピング法、スピン法、スプレー法等が挙げられる。
例えばレンズ1に単層の反射防止膜2を形成する場合、蒸着時間等を適宜設定することにより、物理膜厚d0を所望の大きさにすることができる。例えばフッ化マグネシウムからなる反射防止膜2の物理膜厚d0が120 nm程度となるように反射防止膜2を成膜する場合、蒸着時間は4〜5分程度である。
レンズ1に複数層の反射防止膜2を形成する場合も単層膜の場合と同様である。まず各層ごとに反射防止膜材料を選択して各層の屈折率nを決定し、総和Sm(R)を最小にする(又は総和Sm(T)を最大にする)光学膜厚D0から、レンズ中心110における物理膜厚d0を決定する。この物理膜厚d0になるように蒸着時間等を設定し、単層膜の場合と同様の操作で順次各層を形成すればよい。
[2] 光学素子
本発明の光学素子は、レンズ1と反射防止膜2を有している。図1に示す例では第一の面11にのみ反射防止膜2が成膜されているが、反射防止膜2はレンズ1の第一の面11と第二の面12とに成膜されているのが好ましい。反射防止膜2の膜厚はレンズ1の有効径E内の透過光量が最大になるように設計されている。このため曲率の大きなレンズ1の周辺部においても、比較的多くの透過光量を得ることができる。このような膜厚を有する反射防止膜2は、本発明の光学素子の製造方法により作製することができる。
レンズ1の屈折率は1.55〜1.85であるのが好ましい。屈折率が1.55未満であると、有効な反射防止効果が得られない。屈折率1.55〜1.85の物質としては、Lak14ガラスが挙げられる。
反射防止膜2は単層であっても、複数層であっても良い。単層の場合、1.35〜1.5の屈折率を有するのが好ましい。屈折率が1.5超であると、有効な反射防止特性を示さない。屈折率1.35〜1.5の物質の例としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。単層の場合、レンズ1の中心における反射防止膜2の光学膜厚は0.3λ〜0.5λであるのが好ましい。
複数層の場合、1.95〜2.25の屈折率を有する少なくとも1つの高屈折率層と、1.35〜1.5の屈折率を有する少なくとも1つの低屈折率層を交互に有するのが好ましい。異なる屈折率の層が積層していると、接合界面で光の位相や振幅が変化し、各界面からの光の干渉により反射光が強めあったり弱めあったりする。この性質を利用して光が弱め合うように、異なる屈折率の層を交互に積層することにより、優れた反射防止特性を有する反射防止膜を形成することができる。高屈折率層の材料としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン等が挙げられる。低屈折率層の材料としてはフッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、二酸化ケイ素等が挙げられる。
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
(1) 反射防止膜の膜厚の設計
LAK14ガラスからなる対物レンズ1(両面非球面レンズ、屈折率n=1.72)の第一の面11にフッ化マグネシウム(屈折率n= 1.38)からなる反射防止膜2を成膜する場合のR(Δθm)を基板傾斜角度範囲Δθ毎に計算した。また反射防止膜2の入射光量比P(Δθm)を基板傾斜角度範囲Δθ毎に計算した。このレンズの有効径E内の基板傾斜角度θは0〜70°であった。基板傾斜角度範囲Δθは10°とし、各基板傾斜角度範囲Δθの中央値をθとした。各基板傾斜角度範囲Δθにおける入射光量比P(Δθm)を表1に示す。
Figure 2005173029
積P(Δθm)×R(Δθm)の総和Sm(R)を計算し、レンズ表面の中央における光学膜厚D0を求めたところ、0.45λ(nm)であった。
(2) 反射防止膜の成膜
フッ化マグネシウムを蒸発源とし、約10-5 Torrに減圧した真空チャンバ内で真空蒸着を行うことにより対物レンズ1の表面1aにフッ化マグネシウムからなる反射防止膜2を形成させた。真空蒸着時間は約4分であった。
(3) 光学素子表面1aの光透過率の測定
(2) で得られた光学素子に波長405 nmの単色光を照射して、光学素子表面1aの光透過率を測定した。結果を表4に示す。また光線入射角度10°毎に求めた反射防止膜2の反射率R(Δθm)のグラフを図6に示す。
実施例2
酸化ジルコニウム(屈折率n= 2.04)からなる薄膜と、フッ化マグネシウム(屈折率n= 1.38)からなる薄膜がレンズ表面に交互に形成された8層構成の反射防止膜を想定した以外実施例1と同様にして、各薄膜のレンズの中心における光学膜厚D0を求めた。各薄膜の光学膜厚を表2に示す。また反射防止膜の光学膜厚を表2のとおりとした以外実施例1と同様にして対物レンズ表面に反射防止膜を成膜し、得られた光学素子の表面1aの光透過率を測定した。結果を表4に示す。また実施例1と同様に求めた反射率R(Δθm)のグラフを図6に示す。
Figure 2005173029
注 層No.は、レンズ側から順にNo.1、No.2、・・・・No.8とする。
比較例1
レンズの中心で反射率が最小となるように光学膜厚を設定した以外実施例1と同様にして、フッ化マグネシウムからなる膜を成膜した。このフッ化マグネシウム膜の光学膜厚D0は0.25λであった。得られた光学素子の表面1aの光透過率を測定した。結果を表4に示す。また実施例1と同様にして求めた反射率R(Δθm)のグラフを図6に示す。
比較例2
レンズの中心で最小の反射率を有するように光学膜厚を設定し、酸化ジルコニウムからなる薄膜と、フッ化マグネシウムからなる薄膜とをレンズ表面にこの順で形成した以外実施例1と同様にして、二層膜を成膜した。各薄膜の光学膜厚を表3に示す。また得られた光学素子の表面1aの光透過率を測定した。結果を表4に示す。また実施例1と同様にして反射率R(Δθm)を測定した。結果を表4に示す。また実施例1と同様にして求めた反射率R(Δθm)のグラフを図6に示す。
Figure 2005173029
注 層No.は、レンズ側から順にNo.1、No.2とする。
比較例3
反射防止膜を有しない光学素子の表面1aの光透過率を測定した。結果を表4に示す。また実施例1と同様に求めた反射率R(Δθm)のグラフを図6に示す。
Figure 2005173029
注 −は、反射防止膜が成膜されていないことを示す。
本発明の光学素子の一例を示し、(a) は縦断面図であり、(b) は上面図である。 図1に示す光学素子の部分拡大断面図である。 図1に示す光学素子の別の部分拡大断面図である。 反射防止膜の設計方法を示すフローチャートである。 基板傾斜角度θと膜厚比D(θ)/D0との関係を示すグラフである。 基板傾斜角度θと反射率R(Δθm)との関係を示すグラフである。
符号の説明
1・・・光学素子
11・・・第一の面
12・・・第二の面
1a・・・表面
1b・・・裏面
2・・・反射防止膜

Claims (18)

  1. レンズ表面に反射防止膜を有する光学素子であって、前記反射防止膜は、前記レンズの有効径内の前記反射防止膜を複数の領域に分割し、前記領域毎に反射光量を求め、前記反射光量の総和が最小となるように設計されていることを特徴とする光学素子。
  2. 請求項1に記載の光学素子において、各領域における前記反射光量が、各領域内における反射率を一定と近似して求められていることを特徴とする光学素子。
  3. 請求項1又は2に記載の光学素子において、各領域における前記反射光量が、各領域における入射光量比pと、各領域における反射率rとの積p×rであることを特徴とする光学素子。
  4. レンズ表面に反射防止膜を有する光学素子であって、前記反射防止膜は、前記レンズの有効径内の前記反射防止膜を複数の領域に分割し、前記領域毎に膜透過光量を求め、前記膜透過光量の総和が最大となるように設計されていることを特徴とする光学素子。
  5. 請求項4に記載の光学素子において、各領域における前記膜透過光量が、各領域内における膜透過率を一定と近似して求められていることを特徴とする光学素子。
  6. 請求項4又は5に記載の光学素子において、各領域における前記膜透過光量が、各領域における入射光量比pと、各領域における膜透過率tとの積p×tであることを特徴とする光学素子。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の光学素子において、前記レンズの基板傾斜角度θにより前記反射防止膜が分割されて前記領域が設定されていることを特徴とする光学素子。
  8. 請求項1〜3、7のいずれかに記載の光学素子において、前記レンズの基板傾斜角度範囲Δθ毎に求めた前記反射防止膜の反射率R(Δθm)と、前記基板傾斜角度範囲Δθ毎に求めた前記レンズの入射光量比P(Δθm)とから計算される入射光量比・反射率P(Δθm)×R(Δθm)の総和が最小となるように前記反射防止膜の膜厚が設定されていることを特徴とする光学素子。
  9. 請求項4〜7のいずれかに記載の光学素子において、前記レンズの基板傾斜角度範囲Δθ毎に求めた前記反射防止膜の膜透過率T(Δθm)と、前記基板傾斜角度範囲Δθ毎に求めた前記レンズの入射光量比P(Δθm)とから計算される入射光量比・膜透過率P(Δθm)×T(Δθm)の総和が最大となるように前記反射防止膜の膜厚が設定されていることを特徴とする光学素子。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載の光学素子において、前記基板傾斜角度θにおける前記反射防止膜の光学膜厚D(θ)が下記式(1)
    D(θ)= D0・(cosθ)x ・・・(1)
    (ただしθはレンズの基板傾斜角度を示し、D0は前記レンズの中心における前記反射防止膜の光学膜厚を示し、Xは0以上1以下の定数を示す。)により表されることを特徴とする光学素子。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の光学素子において、前記レンズの屈折率は1.55〜1.85であり、前記反射防止膜は1.35〜1.5の屈折率を有する単層であり、前記有効径内における前記基板傾斜角度θは0〜70°であり、前記レンズの中心における前記反射防止膜の光学膜厚は0.3λ〜0.5λ(ただしλは前記光学素子に照射される光の波長を示す。)であることを特徴とする光学素子。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の光学素子において、前記レンズの屈折率は1.55〜1.85であり、前記反射防止膜は1.95〜2.25の屈折率を有する少なくとも1つの高屈折率層と、1.35〜1.5の屈折率を有する少なくとも1つの低屈折率層を交互に有し、前記有効径内における前記反射防止膜表面の基板傾斜角度は0〜70°であることを特徴とする光学素子。
  13. 請求項12に記載の光学素子において、前記反射防止膜が、前記レンズ側から順に光学膜厚0.062λ〜0.084λの高屈折率層、光学膜厚0.079λ〜0.107λの低屈折率層、光学膜厚0.156λ〜0.212λの高屈折率層、光学膜厚0.046λ〜0.062λの低屈折率層、光学膜厚0.583λ〜0.789λの高屈折率層、光学膜厚0.054λ〜0.074λの低屈折率層、光学膜厚0.106λ〜0.144λの高屈折率層、及び光学膜厚0.339λ〜0.459λの低屈折率層(ただし光学膜厚は前記レンズの中心におけるものを示し、λは前記光学素子に照射される光の波長を示す。)からなることを特徴とする光学素子。
  14. 光学素子のレンズ表面に設ける反射防止膜を設計する方法において、前記レンズの有効径内を基板傾斜角度範囲Δθ毎に分割し、前記基板傾斜角度範囲Δθ毎に前記レンズの入射光量比P(Δθm)及び前記反射防止膜の反射率R(Δθm)を求め、前記入射光量比P(Δθm)と前記反射率R(Δθm)の積の総和が最小となるように前記反射防止膜を設計することを特徴とする方法。
  15. 請求項14に記載の設計方法において、前記基板傾斜角度範囲Δθにおける前記反射防止膜の膜厚を一定として前記反射率R(Δθm)を求めることを特徴とする方法。
  16. 光学素子のレンズ表面に設けられた反射防止膜を設計する方法において、前記レンズの有効径内を基板傾斜角度範囲Δθに分割し、前記基板傾斜角度範囲Δθ毎に前記レンズの入射光量比P(Δθm)及び前記反射防止膜の膜透過率T(Δθm)を求め、前記入射光量比P(Δθm)と前記膜透過率T(Δθm)の積の総和が最大となるように前記反射防止膜を設計することを特徴とする方法。
  17. 請求項16に記載の設計方法において、前記基板傾斜角度範囲Δθにおける前記反射防止膜の膜厚を一定として前記膜透過率T(Δθm)を求めることを特徴とする方法。
  18. 請求項14〜17のいずれかに記載の設計方法において、前記基板傾斜角度θにおける前記反射防止膜の光学膜厚D(θ)が下記式(1)
    D(θ)= D0・(cosθ)x ・・・(1)
    (ただしθは基板傾斜角度を示し、D0は前記レンズの中心における前記反射防止膜の光学膜厚を示し、Xは0以上1以下の定数を示す。)により表されるとすることを特徴とする方法。
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