JP2005170711A - 光学素子及びその成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 CCDやCMOS等のセンサに使用される光学素子において、ゴーストを防止できる光学素子を提供する。
【解決手段】 表面精度の高い光学機能面と、その外周に形成されるフランジとからなり、有効径における高い表面精度を確保するために、前記有効径よりも若干大きな光面径を有する光学機能面を形成した光学素子において、前記光面径よりも成形型による型割径を大きくし、光面径の外側に型割り位置を配置した。
【選択図】 図6

Description

本発明は、CCDやCMOS等のセンサに使用される光学素子に関し、特にゴーストを防止できる光学素子及びその成形方法に関する。
近年、携帯電話等に装着される小型デジタルカメラの高機能化・高精度化にともない、それに使用される小型センサレンズの高精度化が望まれている。
図9は、携帯電話等に装着される小型デジタルカメラのセンサ(CCDやCMOS等)を使ったレンズの構成を示すものである。
図9に示すセンサレンズ100は、第1ないし第3の光学素子101〜103を接着剤104で鏡筒105に固定するとともに、この鏡筒付き光学素子をカバーガラス107付きの取り付けホルダー106に取り付けたものである。このセンサレンズ100では、鏡筒105の集光口105aから入射した光が、前記第1ないし第3レンズ101〜103によって収束し、センサ結像面108において結像する。
センサレンズに使用される光学素子は、例えばガラス研磨レンズや、ガラスモールドレンズ、プラスチックレンズなどがあり、これらの光学素子は、表面精度が高い光学機能面と、その外周に形成されるフランジとから構成される。
表面精度の高い光学機能面と、その外周に形成されたフランジとからなる光学素子を使用したセンサレンズでは、光学素子の光学機能面外に入射された光の散乱などによって、センサ結像面に悪影響がおよび、ゴーストやフレアが発生する。例えば、鏡筒などのメカ部品や光学素子等の内面反射によって、所定以外の光(散乱光)が発生し、この散乱光がセンサ結像面に到達して、ゴーストやフレアが発生する。そこで、フランジなどの光学機能面外に入射した光線による散乱光がセンサ結像面に行くのを遮断するストッパー109を設け、前記散乱光によるゴーストやフレアを防止したセンサレンズが知られている。(例えば、特許文献1及び2を参照)
実開平2−107111号公報 特開2003−298885号公報
しかしながら、フランジなどの光学機能面外に入射された光の散乱光を遮断するストッパー109を設けたセンサレンズにおいても、完全にゴーストを無くすことはできていなかった。そして小型デジタルカメラの高機能化・高精度化にともなって、わずかなゴーストでも、その機能や精度に大きく影響してきた。
上記のわずかなゴーストを防止するための対策としては、ストッパー109の内径を小さくすることが考えられる。しかし、ストッパー109の内径を小さくした場合、中央光束と比較して周辺光束の光量が落ちてしまい、画像のスミが暗くなってしまうといった弊害が発生していた。
そこで、本発明では、ストッパーの内径を小さくすることなく、ゴーストを防止できる光学素子を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明は、表面精度の高い光学機能面と、その外周に形成されるフランジとからなり、有効径における優れた高い表面精度を確保するために、前記有効径よりも若干大きな光面径を有する光学機能面を形成した光学素子において、前記光面径よりも成形型による型割径を大きくし、光面径の外側に型割り位置を配置した。
本発明の光学素子によれば、ストッパーの内径を小さくすることなくゴーストを防止することができるため、周辺光束の光量が減少せず、画像のスミが暗くなるといった弊害がない。また特殊な後加工を施すことなく、ゴーストを防止した光学素子を取得することができ、ゴーストを防止した光学素子を容易に成形することができる。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照にして説明する。
図1に示すように、表面精度の優れた光学機能面1と、その外周に形成されるフランジ2とからなる光学素子10では、有効径における優れた表面精度を確保するために、前記有効径よりも若干大きな光面径を有する光学機能面1が形成されている。
つまり光学素子10を成形するにあたって、有効径よりも光面径を若干大きく設計した光学機能面を形成し、有効径の精度を確保していた。なお有効径の精度を確保するには、前記有効径に対して光面径を0.1mm程度(有効径に対して2%程度)大きく設計すれば充分であった。
図2に、表面精度の高い光学機能面を有する光学素子10を成形するときに使用する成形型20を示す。
表面精度の高い光学機能面1と、その外周に形成されるフランジ1とからなる光学素子10を成形するにあたって、表面精度が高い転写面22A,24Aを有する中子22,24を備える一対の金型(上型21と下型22)からなる成形型20を使用する。そして、前記中子22,24の転写面22A,24Aによって光学素子10の光学機能面1を形成する。
図2(a)に示すように、中子22を備える上型21と、中子24を備える下型23とに囲まれたキャビティ25に、ゲート26から樹脂材料を流し込み、表面精度が高い光学機能面を有する光学素子を成形する。
なお従来は、図2(b)に示すように、光学素子10の光学機能面の光面径と同一の型割径(転写面径)の中子22,24を使用し、表面精度の高い光学機能面を有する光学素子を成形していた。
本願の発明者は、光学素子の光学機能面の光面径と同一の型割径(転写面径)である中子を使用して、表面精度の高い光学機能面を形成した光学素子を使用したセンサレンズにおいて、ゴーストが発生する原因を究明すべく以下の検討を行った。
図3は、ゴーストの発生原因として考えられる光学素子の面反射を示すものである。
図9に示すように、第1ないし第3光学素子101〜103を備えるセンサレンズ100において、ゴーストの発生原因として考えられる光学素子の面反射は、図3(a)に示すように、第2光学素子102の光学機能面102aで起こる場合と、図3(b)に示すように、第2光学素子102のフランジ102b,102cで起こる場合と、図3(c)に示すように、第3光学素子のフランジ103aで起こる場合とが想定できる。
そこでまず、ゴーストの発生原因が第2光学素子102の光学機能面102aにおける面反射によるものか否かを検討した。
センサレンズに使用される光学素子には、反射防止用のコーティングが施されている。しかし反射防止コートを施した光学素子であっても、2〜4%の反射がおこる。このわずかな反射がゴースト発生要因かどうかを検証すべく、コート特性の異なる反射防止コートを光学素子にコーティングし、センサレンズ100のゴーストの位置や量に変化が生じるか否かを検討した。(図9を参照)
しかし第2光学素子にコート特性の異なる反射防止コートをコーティングしても、ゴーストの位置や量に変化は認められなかった。すなわち、第2光学素子102の光学機能面102aにおける面反射によって、ゴーストが発生したのではないことが検証できた。
次に、ゴーストの発生原因がフランジにおける面反射によるものか否かを検討した。
センサレンズにはストッパーが設けられ、前記ストッパーによってフランジに入射した光線による散乱光がセンサ結像面に行くのを遮断するように設計されている。またフランジの形状は、内面反射をシュミレーションしてゴーストが発生しないように設計されている。しかしフランジにおける内面反射が100%シュミレーションできていない可能性がある。従って第2光学素子102と第3光学素子103のフランジを粗面加工または遮光加工し、センサレンズ100のゴーストの位置や量に変化が生じるか否かを検討した。(図9を参照)
この実験では、光学素子のフランジを粗面加工または遮光加工するにあたって、図4(a)に示すように、第2光学素子102の第1フランジ面102b若しくは第2フランジ面102cを粗面加工または遮光加工し、それぞれのフランジにおける内面反射を検討した(図3(b)を参照)。また図4(b)に示すように、第3光学素子103のフランジ面103aを粗面加工または遮光加工し、フランジにおける内面反射を検討した(図3(c)を参照)。
その結果、第1フランジ面102bを粗面加工した第2光学素子102を使用した場合に、センサレンズ100のゴーストの位置が変化し、また第1フランジ面102bを遮光加工した第2光学素子102を使用した場合に、センサレンズ100のゴーストを防止することができた。
そして本願の発明者は、光学素子の光学機能面の光面径と同一の型割径(転写面径)である中子を使用して表面精度の高い光学機能面を形成した光学素子では、光学機能面1とフランジ2との境界に配置された型割り位置3にバリが発生していることをみいだし、このバリがセンサレンズのゴーストの原因であることを究明した。
すなわち、表面精度の高い光学機能面を成形するために転写面の表面精度が高い中子22,24を使用して成形した光学素子では、前記中子22,24と金型(上型21,下型23)の境界の僅かな隙間に樹脂材料が入り込んでバリが発生し、図5に示すように、光学素子の光学機能面1とフランジ2との境界(型割り位置3)に形成されたバリによって、ゴーストが発生していたことをみいだした。
そこでこの発明では、表面精度の高い有効径を確保すべく設計される光面径に対して、成形型による型割径を大きくし、表面精度の高い光学機能面1と、その外周に形成されたフランジ2とからなる光学素子10において、光面径の外側に型割り位置を配置し、センサレンズにおけるゴーストを防止する光学素子を提供した。
図6を参照して、この発明による光学素子及びその成形方法を説明する。図6は、光学素子とその成形型(上型21と中子22)を示す図である。
図6(a)に示すように、表面精度の高い光学機能面と、その外周に形成されるフランジとからなり、有効径における高い表面精度を確保するために、前記有効径よりも若干大きな光面径を有する光学機能面を形成した光学素子10を成形するにあたって、光学機能面の光面径と同一の型割径(転写面径)の中子22を用いて成形した光学素子では、光面径と型割径とが同一であり、光学機能面1とフランジ2の境界に型割り位置3が配置される。
そこでこの発明では、表面精度の高い光学機能面と、その外周に形成されるフランジとからなり、有効径における高い表面精度を確保するために、前記有効径よりも若干大きな光面径を有する光学機能面を形成した光学素子10を成形するにあたって、図6(b)に示すように、光学機能面の光面径よりも大きな型割径(転写面径)を有する中子24を用い、光面径よりも成形型による型割径を大きくし、光面径の外側に型割り位置3を配置した光学素子10を成形した。
なお、光学機能面の有効径に対して、型割径を10%以上大きく設計することが好ましい。図6(b)に示す実施例では、レンズ径がφ4〜φ7の光学素子10において、有効径に対して型割径を0.2〜0.5mm程度大きく設計した。
図7に、この発明による光学素子とその成形型(上型21と中子22)を示す。
表面精度の高い転写面22Aを有する中子22を使用して、表面精度の高い光学機能面を有する光学素子10を成形するにあたって、光学機能面の終端形状を延長させるようにして中子22の型割径(転写面径)を大きくした中子を用い、光学素子の光面径よりも外側に型割り位置を配置するように設計した場合、光学機能面の層厚やフランジの形状が大幅に変わってしまう。
そこで図7に示す実施例では、光学機能面の終端(光面径の端部)において、光学機能面の終端形状とは逆向きのR形状をつけて、型割り位置を光面径よりも外側に配置した光学素子を成形した。これによって光学素子の形状を大幅な設計変更することなく、光面径よりも型割り径を大きくし、光面径の外側に型割り位置を配置することができる。
なお、光学機能面の終端形状とは逆向きのR形状のかわりに、光学機能面の終端形状とは逆向きの斜めの直線形状をつけてもよい。
図8に、この発明による光学素子を使用したセンサレンズ100を示す。
図8に示すように、光学機能面の終端(光面径の端部)において光学機能面の終端形状とは逆向きのRをつけることによって、型割り位置3を光面径よりも外側に配置した光学素子をセンサレンズに使用し、前記光学素子の型割り位置3をセンサレンズのストッパー109の内径よりも外側に配置することによって、前記型割り位置3に形成されたバリによって光の散乱が発生しても、散乱光が前記ストパー109で遮断され、センサレンズのゴーストを防止することができた。
光学素子を示す図である。 光学素子の成形型を示す図である。 光学素子の面反射によって発生するゴーストを示す図である。 ゴーストの発生原因を検討する実験で使用する光学素子を示す図である。 型割り位置で発生するゴーストの発生を示す図である。 この発明による光学素子及びその成形型を説明する図である。 この発明による光学素子及びその成形型を示す図である。 この発明による光学素子を使用したセンサレンズを示す図である。 従来技術による光学素子を使用したセンサレンズを示す図である。
符号の説明
10 光学素子
1 光学機能面
2 フランジ
3 型割り位置
20 成形型
21 上型
23 下型
22,24 中子
22A,24A 転写面
25 キャビティ
26 ゲート

Claims (3)

  1. 表面精度の高い光学機能面と、その外周に形成されるフランジとからなり、有効径における高い表面精度を確保するために、前記有効径よりも若干大きな光面径を有する光学機能面を形成した光学素子において、
    前記光面径よりも成形型による型割径を大きくし、光面径の外側に型割り位置を配置したことを特徴とする光学素子。
  2. 光学機能面の有効径に対して、型割径が10%以上大きいことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 転写面の表面精度が高い中子(22,24)を備える一対の金型(21,23)を用い、光学素子(10)を成形するにあたって、
    光学機能面の光面径よりも大きな型割径を有する中子を用い、光面径の外側に型割り位置を配置した光学素子を成形することを特徴とする光学素子の成形方法。
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