JP2005166135A - 光情報記録媒体 - Google Patents

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和子 花井
Hiroaki Takano
博昭 高野
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Abstract

【課題】 長期保存や走行環境による影響を受けず、常に安定した記録再生特性を有する光情報記録媒体を提供する。
【解決手段】 基板上に記録層を有し、該記録層上に接着層を介して透明シートが設けられてなる光情報記録媒体であって、
前記接着層がアミン化合物を含有してなることを特徴とする光情報記録媒体である。
前記接着層における前記アミン化合物の含有量は、0.02〜10.0質量%であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光情報記録媒体に関し、特にヒートモードによる光情報記録媒体に関する。
文字情報、画像情報、音声情報を大量に記録・再生するため、光情報記録媒体(例えば、DVD等)の記録密度の更なる向上が要請されつつある。特にデジタル・ハイ・ビジョンTV放送の録画に対応するため、いっそうの高密度記録化の研究がなされている。
そのような中、青紫色レーザーが開発されて以来、この青紫色レーザーと高NAピックアップとを使用した光ディスクシステムの開発が検討されている。そして、「ISOM2000」によりソニー(株)が、青紫色レーザーを使用した相変化記録媒体であるDVR−Blueシステムを発表した。DVR−Blueシステムにおける相変化記録媒体の層構成の特徴としては、レーザー光入射側にカバー層と呼ばれる厚さ0.1mmの透明層が設けられていることが挙げられる。
厚さ0.1mmの透明層を形成する方法として、例えば、透明なシートを紫外線硬化樹脂や感圧性粘着剤等による接着層を介して貼り合わせることが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
上記光情報記録媒体は、TV録画や、パーソナルコンピュータのデータストレージ等の用途で使用される。使用環境としては室温であることが多いが、実際に使用するドライブ内部は、その装置自身が発生する熱によりかなり高温になる場合がある。特に長時間、連続使用する場合にはドライブ内部の温度は40℃以上になる場合もある。当然、光ディスクはその温度変化を受けながら記録再生されることになり、温度変化による特性変化が少ないことが必要となる。このような使用環境で長年使われることを目的とするストレージ用媒体としては、特に長期の保存や使用に対する安定性が必要とされる。
一般に光情報記録媒体には、相変化材料や有機色素からなる記録層、および誘電体層が設けられている。カバー層を貼り合わせるために使用する紫外線硬化樹脂や感圧性粘着剤は、室温〜100℃程度の比較的低いガラス転移点(Tg)を持つものが多い。
そして、接着層や透明シートにもともと微量含まれている成分、または、長期の保存により発生する分解生成物が、中間層や記録層へマイグレートし、反応して析出物が生じたり、あるいは接着層や透明シートを着色したりすることがある。これらの現象が発生すると、記録特性が変化することになり安定な記録再生特性が得られない。
同様に、長期の保存や、長期保存を模した加熱加湿条件での保存により、析出物が生じたり、あるいは接着層や透明シートが着色したりすることがあると、記録特性が変化することになり安定な記録再生特性が得られない。特に記録材料に有機色素を使用した追記型光情報記録媒体は、記録部分の接着層が変形することにより得られる記録部分と未記録部分との反射率の差(変調度)を利用して高変調度を得る場合があり、着色や析出物により感度が違ってくることがある。
特開2000−285520号公報 特開2002−8265号公報 特開2000−67468号公報
以上から、本発明は、長期保存や走行環境による影響を受けず、常に安定した記録再生特性を有する光情報記録媒体を提供することを目的とする。
上記問題点を解決すべく、本発明者らは、保存性良好な接着層の開発を鋭意進め、長期にわたって安定な記録再生特性を得ることのできる光情報記録媒体を発明するに至った。
すなわち、本発明は、基板上に記録層を有し、該記録層上に接着層を介して透明シートが設けられてなる光情報記録媒体であって、
前記接着層がアミン化合物を含有してなることを特徴とする光情報記録媒体である。
前記接着層における前記アミン化合物の含有量は、0.02〜10.0質量%であることが好ましい。
本発明によれば、長期保存性に優れ、常に安定した記録再生特性を有する光情報記録媒体を提供することができる。
本発明の光情報記録媒体は、基板上に記録層が形成され、該記録層上に接着層を介して透明シートが設けられた構成となっている。
具体的には、基板上に反射層、記録層、中間層、接着層が順次形成され、該接着層上に透明シートを設けた構成等が挙げられる。
以下、上記構成を例に、本発明の光情報記録媒体について説明する。なお、本発明は、当該構成に限定されるものではない。
<基板>
基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、ガラス:ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィンが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚さは、0.5〜1.4mmとすることが好ましい。
基板には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プレグルーブまたはグルーブという)が形成されている。より高い記録密度を達成するためにCD−RやDVD−Rに比べて、より狭いトラックピッチのプレグルーブが形成された基板を用いることが好ましい。
具体的には、プレグルーブのトラックピッチは、300〜600nmであることが好ましい。また、プレグルーブの深さ(溝深さ)は、20〜150nmであることが好ましい。
なお、後述する反射層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
該下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり.好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
<反射層>
反射層には、レーザー光に対する反射率が高い光反射性物質が用いられる。当該反射率としては、70%以上であることが好ましい。
反射率の高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる、これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。
これらのうち好ましいものとしては、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼が挙げられる。そして、さらに好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金が挙げられ、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれらの合金が挙げられる。
反射層は、前述した光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより基板(グルーブが形成されている面)上に形成することができる。反射層の層厚は、10〜300nmとすることが好ましく、50〜200nmの範囲とすることがより好ましい。
なお、当該反射層は、以下の記録層の反射率が十分大きい場合には必ずしも必要ではない。
<記録層>
記録層は、基板のグルーブが形成された面(反射層が形成されている場合は当該反射層)上に形成される。
記録層は、有機色素を含有する層でも、相変化記録材料を含有する層(相変化記録層)でもよいが、明瞭なピットを形成しやすい点等を考慮すると、有機色素を含有する層であることが好ましい。
前記有機色素としては、トリアゾール系化合物、フタロシアニン化合物、ポリフィリン系化合物、アミノブタジエン系化合物、メロシアニン化合物、シアニン系化合物等でこれらの少なくとも一種であることが好ましい。フタロシアニン化合物としては、アルコキシ置換体、スルホンアミド置換体、スルフォモイル置換体、スルホン酸置換体の少なくとも一種であることが好ましい。
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−384207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、および同2000−158818号公報等に記載されている色素を併用することができる。
記録層は、上記有機色素(有機物等)等の記録物質を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して記録層塗布液を調製し、次いでこの記録層塗布液を基板もしくは基板上に形成された反射層上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。記録層塗布液中の記録物質の濃度は、0.01〜15質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜10質量%の範囲であることがより好ましく、0,5〜5質量%の範囲であることがさらに好ましく、0.5〜3質量%の範囲であることが最も好ましい。
また、記録物質等を溶解処理する方法としては、超音波処理、ホモジナイザー、加温等の方法を適用することができる。
記録層塗布液を調製する際の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する記録物質の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
結合剤を使用する場合に、結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリアクリル酸メチル,ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;等を挙げることができる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に記録物質に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1〜5倍量(質量比)の範囲にある。
このようにして調製される塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。記録層は単層でも重層でもよい。また、記録層の厚さは一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜100nmの範囲にある。
また、塗布温度としては、23〜50℃であれば特に問題はないが、好ましくは24〜40℃、さらに好ましくは25〜37℃である。
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭53−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、記録するための化合物の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
一方、記録層として相変化記録層を使用することもできる。相変化記録層は、レーザー光の照射によって結晶相と非晶相との相変化を繰り返すことができる材料からなる層である。
例えば、以下のような方法により結晶相と非晶相の相変化を繰り返すものが挙げられる。即ち、情報記録時は、集中したレーザー光パルスを短時間照射し、相変化記録層を部分的に溶融する。溶融した部分は熱拡散により急冷され、固化し、非晶状態の記録マークが形成される。また、消去時には、記録マーク部分にレーザー光を照射し、記録層の融点以下、結晶化温度以上の温度に加熱し、かつ除冷することによって、非晶状態の記録マークを結晶化し、もとの未記録状態に戻す。
相変化記録層を構成する材料の具体例としては、Sb−Te合金、Ge−Sb−Te合金、Pd−Ge−Sb−Te合金、Nb−Ge−Sb−Te合金、Pd−Nb−Ge−Sb−Te合金、Pt−Ge−Sb−Te合金、Co−Ge−Sb−Te合金、In−Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金、Ag−V−In−Sb−Te合金、Ag−Ge−In−Sb−Te合金、等が挙げられる。なかでも、多数回の書き換えが可能であることから、Ge−Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金が好ましい。
相変化記録層の層厚としては、10〜50nmとすることが好ましく、15〜30nmとすることがより好ましい
以上の相変化記録層は、スパッタ法、真空蒸着法などの気相薄膜堆積法、等によって形成することができる。
<中間層>
中間層は、上記記録層と後述する接着層との間に形成される任意の層である。記録層上に接着層を形成すると、接着層の接着剤もしくは粘着剤が記録層の有機物を溶解してしまうことがある。このような場合、中間層を設けることにより、接着剤等が記録層に直接接触することがなくなり、記録層が接着剤もしくは粘着剤によって溶解されるのを防止することができる。
上記中間層の厚さは、1〜300nmが好ましく、3〜110nmがより好ましい。
中間層を構成する材料としては、レーザー光を透過する材料であれば、特に制限はないが、誘電体であることが好ましく、より具体的には、ZnS、TiO2、SiO2、ZnS−SiO2、GeO2、Si34、Ge34、MgF2、ZnO−Ga23等の無機酸化物、窒素塗化物、硫化物が挙げられ、なかでもZnS−SiO2、もしくはS1O2が好ましい。
<接着層および透明シート>
透明シートは、光情報記録媒体内部を、化学的もしくは物理的変化から保護するために設けられる。
該透明シートは、記録層もしくは中間層上に、接着剤もしくは粘着剤からなる接着層を介して設けられる。
本発明者らの解析によると、保存による析出物の発生や接着層等の着色の原因は、接着層や透明シートにもともと微量含まれている酸性成分、あるいは長期の保存により接着層や透明シートから発生した微量の酸性の分解生成物が、中間層や記録層へマイグレートし反応して析出物となったり、あるいは接着層や透明シートを着色したりすることであることが判明した。
そこで、本発明の光情報記録媒体では、透明シートを固着させるための接着層にはアミン化合物が含有されている。
接着層にアミン化合物を含有させることで、保存や使用環境における温度や湿度の影響を受けず、常に安定した記録再生特性を有する光情報記録媒体とすることができる。すなわち、接着層あるいは透明シート中にもともと存在するか、あるいは保存やドライブ内での環境の影響により生成する酸性物質を接着層中にトラップし、中間層や記録層との反応による析出や着色、あるいは粘着層や透明シートの着色を防ぐことができる。
接着層に含有するアミン化合物としては、2−ブトキシ−5−オクチル−ジブチルアミノベンゼン、ヘキシルアミン、ペプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン等のアルキルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
アミン化合物の含有量は、接着層に対して0.02〜10.0質量%とすることが好ましく、0、1〜5.0質量%とすることがより好ましい。0.02〜10.0質量%とすることで、上記酸性物質を効率よくトラップすることができる。
アミン化合物は、後述する接着剤や粘着剤を調製する際に公知の方法で添加すればよい。接着層中のアミン化合物の含有量を上記範囲とするには、最終的に調製した接着剤や粘着剤中にアミン化合物の含有量が上記範囲にはいるようにすればよい。
また、塩基性の複素環化合物や、カルボン酸や石炭酸等の弱酸と強アルカリとの塩等の塩基性物質も併用することができる。塩基性物質を併用するには、着色の無いことや、接着層ポリマーとの相溶性や光に対する安定性を考慮する必要がある。揮発性があると保存中に効果が失われやすく、揮発しにくいことが必要である。かかる塩基性物質を適宜添加することで、アミン化合物と反応し難い酸性物質をトラップすることができたり、配合するアミン化合物や複素環化合物の析出を抑制することが可能となって、光情報記録媒体の長期保存性をより向上させることができる。
塩基性の複素環化合物の例としては、トリアジン等が挙げられる。カルボン酸と強アルカリとの塩としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の脂肪族長鎖カルボン酸と、アルカリ、アルカリ土類等の金属イオンとの塩等が挙げられる。その他に、塩基性物質として、石炭酸等の弱酸と強アルカリとの塩も併用可能で、その例としては、フェノール、クレゾール等とアルカリ、アルカリ土類等の金属イオンとの塩が挙げられる。
塩基性物質の添加量としては、接着層に対して0.01〜5.0質量%とすることが好ましく、0.1〜5.0質量%とすることがより好ましい。
0.01〜5.0質量%とすることで、アミン化合物による酸性物質のトラップ効果をより効率よく発揮させることができる。
接着層には、接着剤もしくは粘着剤を使用することが好ましく、生産性や耐久性を考慮すると、粘着剤を使用することが好ましい。
接着剤としては、光硬化性樹脂が好ましく、なかでもディスクの反りを防止するため、硬化収縮率の小さいものが好ましい。このような光硬化性樹脂としては、例えば、大日本インク社製の「SD−640」、「SD−347」等の紫外線硬化性樹脂(紫外線硬化性接着剤)を挙げることができる。
粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等が挙げられるが、ポリマー設計の容易さ、耐久性および透明シートとの接着性等を考慮すると、アクリル系を使用することが好ましい。
アクリル系粘着剤は,粘着性を付与する主モノマー、内部凝集性を与える共重合性モノマー(コモノマー)、架橋点となり接着性にも寄与する官能性モノマーを主成分とし,凝集力を向上させるための架橋剤等が適宜添加される。
主モノマーとしては、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート等が挙げられる。
コモノマーとしては、酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリルアマイド、スチレン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート等が挙げられる。
官能性モノマーとしては、メタクリル酸、アクリル酸等の不飽和一塩基酸、イタコン酸等の不飽和二塩基酸、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアマイド、メチロールアクリルアマイド、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸等が挙げられる。
なお、コモノマーや官能性モノマーを含まず、複数種の主モノマーで構成される場合もある。
架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネ−ト系等を適宜使用することが可能で、これらはアクリル系共重合体100質量部当たり、0.1〜10質量部添加することが好ましい。
これらのモノマーから得られるアクリル系共重合体としては、主モノマーが30〜90質量%、コモノマーが30〜90質量%、官能性モノマーが0.1〜10質量%であることが好ましく、これらに、例えば、イソシアネート系の架橋剤等を加えて、アクリル系の粘着剤が得られる。上記アクリル系共重合体の架橋前の平均分子量(重量平均分子量)は、10000〜150000であることが好ましい。
アクリル系共重合体の組成および平均分子量を上記の範囲とすることで、所望の接着層を形成し得る粘着剤とすることができる。
接着剤を使用して接着層を形成する場合は、まず、記録層上などの透明シート貼り合わせ面に接着剤を塗布する。その後、透明シートを被せてスピンコートして透明シートを貼り合わせ面に固着させる方法等を適用することができる。
一方、粘着剤を使用して接着層を形成する場合は、上記粘着剤を付与された透明シートを透明シート貼り合わせ面に貼り合わせる方法を適用することができる。
接着層の厚さは、5〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
透明シートの材料は、透明な材質であれば特に限定されないが、好ましくはポリカーボネート、三酢酸セルロース等であり、より好ましくは、23℃50%RHでの吸湿率が5%以下の材料である。
また、透明シートの厚さは、好ましくは、50〜95μmであり、より好ましくは、70〜90μmである。透明シートの厚さが50〜95μmの範囲にあることで、均一に塗布が可能となり、厚みムラ±3μmの規格を満足することができる。また、カバー層の厚さの規格(100μm)を満足することが可能となる。
なお、「透明」とは、記録用レーザー光および再生レーザー光を透過する(透過率:90%以上)ほどに透明であることを意味する。
次に、本発明の光情報記録媒体への情報の記録方法および記録した情報の再生方法について説明する。
光情報記録媒体への情報の記録は、例えば、次のようにして行われる。
まず、光情報記録媒体を定線速度にて回転させながら、透明シート側から記録用の500nm以下のレーザー光を照射する。
記録層が、有機色素を含有する層である場合、このレーザー光の照射により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ビットの生成)が生じてその光学的特性が変化する。この光学的特性の変化により、情報が記録される。
一方、記録層が相変化記録材料を含有する層である場合、このレーザー光の照射と急冷により、照射箇所が結晶学的な相変化(結晶状態から非晶質への変化)を起こし、情報が記録される。
500nm以下の発振波長を有するレーザー光源としては、例えば、390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザー、中心発振波長約430nmの青紫色SHGレーザー等を挙げることができる。
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズの開口率(NA)は0.7以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。
一方、記録された情報の再生は、光情報記録媒体を上記と同一の定線速度で回転させながら、情報の記録に使用したレーザーと同一波長もしくはそれ以下の波長のレーザー光を滋明シート側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
以下の実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(粘着剤付き透明シートの作製)
〔1〕調液:
アクリル系共重合体A(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1/1,以下同様)とイソシアネート系架橋剤(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1/1、以下、同様)とを、「アクリル系共重合体A:イソシアネート系架橋剤」が「100:1(質量比)」となるように混合し、さらに下記表1のアミン化合物を添加して混合し、粘着剤塗布液Aを作製した。
上記アクリル系共重合体Aの組成を以下に示す。
(1)主モノマー:n−ブチルアクリレート・・・40質量部、2−エチルヘキンルアクリレート・・・30質量部
(2)コモノマー:メチルアクリレー卜・・・25質量部
(3)官能性モノマー:アクリル酸・・・5質量部
〔2〕塗布・乾燥・巻取り:
ロール状に巻かれたポリエチレン製の離型フィルムを搬送しながら、粘着剤塗布液Aを連続的に、乾燥厚20μmになるように離型フィルムに塗布した。乾燥ゾーン(100℃)中で乾燥させた直後、同じくロール状に巻かれて搬送されたポリカーボネートフィルム(帝人製ピュアエース、厚さ80μmで片面に離型フィルムが設けられている)のポリカーボネート面と離型フィルムの粘着剤面とが貼り合わされるようにロール状に共巻した。共巻された状態で23℃50%RHの条件で72時間保持した。
〔3〕打ち抜き、水平保持:
作製する光情報記録媒体の基板と同一形状(内径:15mm、外径:120mm)になるように、離型フィルムが貼り合わされたポリカーボネートフィルムを打ち抜いて、光情報記録媒体用の透明シートを作製した。
(光情報記録媒体の作製)
スパイラル状のグルーブ(100nm、幅120nm,トラックピッチ320nm)を有する射出成形ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製ポリカーボネート、商品名バンライトAD5503)基板(厚さ1.1mm、内径15mm、外径120mm)のグルーブを有する面上に、Agをスパッタリングして100nmの膜厚の反射層を形成した。
その後、フタロシアニン系色素A(商品名:オラゾールブルーGN、cibaスペシャリティケミカル社製)を2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに添加し、2時間超音波処理を行って溶解し、色素塗布液を調製した。この色素塗布液を、スピンコート法により回転数を300rpmから4000rpmまで変化させながら23℃50%RHの条件で、反射層上に塗布し、記録層(厚さ80nm)を形成した。
23℃50%RHで1時間保存後、ZnS−SiO2を記録層上にスパッタリングして、厚さ5nmの中間層を形成した。
中間層を形成した後、上記作製した粘着剤付き透明シートの剥離シートをはがして、ローラによる押し圧手段を使用し中間層上に透明シートを貼り合わせて、光情報記録媒体を作製した。
〔実施例2〜5〕
粘着剤塗布液Aにさらに下記表1に示すよう塩基性化合物を添加した以外は、実施例1と同様にして透明シートを作製し、光情報記録媒体を作製した。
〔実施例6〕
透明シートとしてトリアセチルセルロースを用いた以外は、実施例1と同様にして透明シートを作製し、光情報記録媒体を作製した。
〔実施例7〜10〕
粘着剤塗布液Aにさらに下記表1に示すよう塩基性化合物を添加した以外は、実施例6と同様にして透明シートを作製し、光情報記録媒体を作製した,
〔比較例1〕
粘着剤塗布液Aにアミン化合物を添加しないことを除いては、実施例1と同様にして透明シートを作製し、光情報記録媒体を作製した。
〔比較例2〕
粘着剤塗布液Aにアミン化合物を添加しないことを除いては、実施例6と同様にして透明シートを作製し、光情報記録媒体を作製した。
Figure 2005166135
作製した光情報記録媒体を80℃,85%RH環境に保存し、1ヵ月後に光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡による観察を行った。
結果を下記表2に示す。
Figure 2005166135
上記結果より、実施例1〜10の光情報記録媒体では、保存による析出や着色が無く、良好な保存特性が得られた。特に、塩基性化合物をさらに添加した光記録媒体(実施例2〜5および実施例7〜10)では、走査型電子顕微鏡による観察でも良好であった。
また、実施例1〜10の光情報記録媒体について、記録再生特性を評価するため、マルチトラックのジッタを測定した。ジッタ測定における記録再生には、DDU1000(パルステック工業社製、NA:0.85、波長:403nm)を使用し、信号には、MSG2(パルステック工業社製)を使用した。また、クロック周波数は66MHz、線速度は5.4m/s、再生パワーは0.4mWとした。
実施例1〜10の光情報記録媒体のジッタはいずれも10%以下であり、常に安定した記録再生特性を有することが確認された。

Claims (2)

  1. 基板上に記録層を有し、該記録層上に接着層を介して透明シートが設けられてなる光情報記録媒体であって、
    前記接着層がアミン化合物を含有してなることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 前記接着層における前記アミン化合物の含有量が、0.02〜10.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
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