JP4213371B2 - 光情報記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報記録媒体に関し、特に、ヒートモードによる追記型の光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
高品位テレビジョン(HDTV:High Definition Television)画質のBSデジタル放送の開始を間近に控え、HDTV画質のBSデジタル放送を2時間程度にわたって録画することができる大容量記録媒体の開発が進んでいる。次世代光ディスクとして有力視されている青紫色レーザ光源用の光ディスクは、基板上に形成された記録層が、厚さ0.1mm〜0.3mmの薄型カバー層で覆われている。この光ディスクを用いたシステムでは、ピックアップに0.65以上の高い開口数(NA:Numerical Aperture、以下、単に「NA」と称する。)の対物レンズを使用してレーザ光のビームを絞るとともに、光ディスクの薄型カバー層側からレーザ光を照射して記録を行い、片面記録容量で22.5Gバイトという大容量化を実現している。
また、ISOM2000では、相変化媒体で青紫色レーザーを使用したDVR−Blueが発表されている。
【0003】
しかしながら、この青紫色レーザ光源用の光ディスクでは、光記録媒体の高密度化の一つの方法として、使用するレーザーの短波長化、対物レンズの高NA化により行われてきた。その場合、レーザースポットが小さくなり、ピックアップとメディアとの距離(ワーキングディスタンス)が狭くなることにより、従来の光記録媒体では影響を受け難かった媒体表面の粗さの影響を受けることが問題として挙げられる。
即ち、通常は非接触であるディスクとピックアップとが、ディスクの面ブレや振動により瞬間的に接触してしまう。その結果ディスク表面に傷がつき易くなり、再生時のエラーの原因となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑み、その問題点を解決することを目的としてなされたものである。すなわち本発明は、ジッタが良好で、ディスク表面の傷つき性を向上させた光情報記録媒体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、本発明者は、光情報記録媒体のカバー層の突起個数を規定することにより、優れた記録特性を有した光情報記録媒体が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
【0006】
トラックピッチ200〜400nm、溝深さ20〜150nmの基板上に、光反射層と、波長450nm以下のレーザ光により情報の記録が可能である記録層と、接着剤からなる接着層と、厚みが0.01〜0.5mmであるカバー層と、が順次形成された光情報記録媒体であって、
前記カバー層の表面に、下記の条件で原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した、高さ20nm以上の突起が30μm2当たり15〜100個存在し、かつ、前記高さ20nm以上の突起の内、高さ100nm以上の突起が1〜5個存在することを特徴とする光情報記録媒体である。
−条件−
装置:セイコーインスツルメンツ社製 SPA500
モード:AFMモード(コンタクトモード)
測定用探針:SI AF01(バネ定数 0.1N/m)
測定範囲:10μm角
スキャンライン:512×512
スキャンスピード:2Hz
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の光情報記録媒体は、トラックピッチ200〜400nm、溝深さ20〜150nmの基板上に、光反射層と、波長450nm以下のレーザ光により情報の記録が可能である記録層と、接着剤からなる接着層と、厚みが0.01〜0.5mmであるカバー層と、が順次形成された光情報記録媒体であって、カバー層の表面に、後述する条件で原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した、高さ20nm以上の突起が3高さ20nm以上の突起が30μm2当たり15〜100個存在し、かつ、前記高さ20nm以上の突起の内、高さ100nm以上の突起が1〜5個存在することを特徴とする。以下、各層について説明する。
【0008】
尚、本発明の光情報記録媒体では、カバー層の表面に紫外線硬化樹脂がオーバーコートされていてもよく、その場合本発明においては、上記紫外線硬化樹脂の表面をカバー層の表面と定義する。
これにより、上記紫外線硬化樹脂の表面に、高さ20nm以上の突起が30μm2当たり15〜100個存在し、かつ、前記高さ20nm以上の突起の内、高さ100nm以上の突起が1〜5個存在する場合は、本発明に包含される。
【0009】
[基板]
本発明における基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネートが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚さは、1.1±0.3mmとすることが好ましい。
【0010】
基板には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プリグルーブ)が形成されている。より高い記録密度を達成するためにCD−RやDVD−Rに比べて、より狭いトラックピッチのプレグルーブが形成された基板を用いることが好ましい。プリグルーブのトラックピッチは、200〜400nmの範囲にとすることを必須とし、好ましくは、280〜340nmの範囲とする。また、プレグルーブの深さ(溝深さ)は、20〜150nmの範囲とすることを必須とし、好ましくは、30〜80nmの範囲とする。
【0011】
なお、後述する光反射層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
該下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
【0012】
[光反射層]
本発明における光反射層に用いられる光反射性物質は、レーザ光に対する反射率が70%以上であれば何れでも構わない。
上記レーザ光に対する反射率が70%以上である光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Au、Ag、あるいは、Au、Agの合金であり、特に好ましくは、Au、Ag、あるいは、Au、Agを主成分とする合金である。
【0013】
光反射層は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより基板上に形成することができる。光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
【0014】
[記録層]
本発明における記録層は、上記光反射層上に形成され、波長450nm以下のレーザ光により情報の記録が可能であり、記録物質としての色素を含有していることが好ましい。当該記録層に含有される色素としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられ、なかでも、フタロシアニン色素が好ましい。
【0015】
また、上記記録層に用いられる色素としては、極大吸収波長は、400nm以下であることが好ましい。これにより、400nmより長波長のレーザを使用しても良好な記録再生が達成できる、という利点が得られる。
【0016】
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、および同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
【0017】
記録層は、色素等の記録物質を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を基板表面に形成された光反射層上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
【0018】
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する記録物質の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0019】
結合剤を使用する場合に、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に記録物質に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。このようにして調製される塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
【0020】
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。記録層は単層でも重層でもよい。また、記録層の層厚は、一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜100nmの範囲にある。
【0021】
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
【0022】
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0023】
[接着層]
本発明における接着層は、上記記録層と後述するカバー層との接着性を高めるために形成される。接着層を形成する接着剤としては、紫外線硬化樹脂あるいは粘着剤であることが好ましい。接着層の厚さは、弾力性を持たせるため、1〜1000μmの範囲が好ましく、5〜500μmの範囲がより好ましく、10〜100μmの範囲が特に好ましい。
【0024】
一方、本発明において「粘着剤」とは、両面テープやラベルの裏等に塗布されているような非常にわずかな圧力で瞬間的に接着する接着剤をいう。
【0025】
ここで、上記記録層中に含有されている色素の接着剤への溶解率は、当該接着層を構成する接着剤の0.1質量%以下であることが好ましく、0.00001〜0.01質量%であることがより好ましい。これにより、ムラのない色素層(記録層)が確実に得られ、記録時にきれいなピットが形成され、良好な再生が確保される。
従って、溶解率が、0.1質量%を超えないように接着剤を適宜選択して使用することが好ましい。
【0026】
上記溶解率は、以下に説明するようにして測定することが好ましい。
紫外線硬化樹脂を使用する場合は、硬化前の紫外線硬化樹脂に、記録層を構成する色素を徐々に添加し、このときの透過率を吸光度計で測定し、その透過率から溶解率を測定する。
粘着剤を使用する場合も、粘着剤中の接着剤成分を、紫外線硬化樹脂の場合と同様にして、必要に応じて適当な溶剤に溶解し、これに、記録層を構成する色素を徐々に添加し、このときの透過率を吸光度計で測定し、その透過率から溶解率を測定する。
【0027】
接着剤として紫外線硬化樹脂を使用する場合は、該紫外線硬化樹脂をそのまま、もしくはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、記録層上にこれを塗布し、カバー層を形成して、該カバー層上から紫外線を照射して、接着剤を硬化させることで、接着層を形成することができる。
【0028】
ディスクの反りを防止するため、接着層を構成する紫外線硬化樹脂は硬化収縮率の小さいものが好ましい。このような紫外線硬化樹脂としては、例えば、大日本インク社製の「SD−640」等の紫外線硬化樹脂を挙げることができる。また、SD−347(大日本インク社製)、SD−694(大日本インク社製)、SKCD1051(SKC社製)等を使用することができる。
【0029】
接着剤として粘着剤を使用する場合は、該粘着剤を適当な大きさに調節し、記録層上に貼付し、セパレータ等を剥して、カバー層を設ければよい。
粘着材として、両面接着テープを使用する場合、該両面接着テープの基材としては、特に制限されるものでなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル等のプラスチックフィルムや、クラフト紙、上質紙、クレコート紙、和紙等の紙、レーヨン、ポリエステル等の不織布、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維よりなる織布、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の金属箔が用いられるが、基材上に離型剤層をスジ状に均一に塗布する点からは、プラスチックフィルムが好ましい。
【0030】
また、両面接着テープに使用される離型剤としては、シリコーン系離型剤や長鎖アルキル系離型剤等の従来から使用されている各種離型剤を適宜選択して用いることができる。
【0031】
さらに、接着に寄与する接着剤としては、何ら限定されず例えば、アクリル系粘着剤や、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)等のゴム系粘着剤を適宜選択して用いることができる。
【0032】
[カバー層]
本発明におけるカバー層は、光情報記録媒体内部への水分の侵入を防ぐために形成されたもので、記録再生に使用するレーザー光に対して、透過率80%以上の材質であることが好ましい。具体的には、ポリカーボネート(帝人製ピュアエース、帝人化成製パンライト)、三酢酸セルロース(富士フイルム製フジタック)、PET(東レ製ルミラー)が好ましく、中でもポリカーボネート、三酢酸セルロースがより好ましい。
【0033】
さらに、既述の如く、本発明の光情報記録媒体では、カバー層の表面に紫外線硬化樹脂がオーバーコートされていてもよく。その場合本発明においては、上記紫外線硬化樹脂の表面をカバー層の表面と定義する。
これにより、上記紫外線硬化樹脂の表面が下記に示す突起を有していれば、本発明に包含される。
【0034】
本発明におけるカバー層は、表面に、後述する条件で原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した、高さ20nm以上の突起が30μm2当たり15〜100個存在し、かつ、前記高さ20nm以上の突起の内、高さ100nm以上の突起が30μm2当たり1〜5個存在することを特徴とし、上記高さ100nm以上の突起が30μm2当たり1〜4個存在することが好ましい。
【0035】
上記高さ20nm以上の突起が30μm2当たり15個未満であるとピックアップが地肌に直接接触する面積が増え、結果としてディスク表面が傷ついてしまう。又ジッタも悪化する。一方、上記高さ100nm以上の突起が30μm2当たり6個以上の場合は、ピックアップと粗大突起が衝突して削れが発生し、その削れ粉がディスク表面を傷つけてしまい、結果としてディスク表面が傷ついてしまう。更に、上記高さ100nm以上の突起が30μm2当たり0個の場合は、ピックアップがディスク表面に直接接触する面積が大きくなり、結果としてディスク表面が傷ついてしまう。
【0036】
本発明におけるカバー層の突起の個数は、カバー層を構成する樹脂の種類、製膜方法、フィラーの有無・種類、更には基板の表面粗さ、光反射層の作製条件、記録層の種類・製膜条件、接着層の種類・塗布条件によって決まる。カバー層には、紫外線吸収剤を含有させておいてもよい。この場合、室内灯下に保存しておいても、色素層の劣化を抑えることができる。
【0037】
カバー層は、接着層を構成する光硬化性樹脂を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を所定温度で記録層上に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜上に、例えばプラスチックの押出加工で得られた三酢酸セルロースフィルム(TACフィルム)をラミネートし、ラミネートしたTACフィルムの上から光を照射して塗布膜を硬化させて、形成される。前記TACフィルムとしては、紫外線吸収剤を含むものが好ましい。本発明におけるカバー層の厚さは、0.01〜0.5mmの範囲であり、好ましくは0.05〜0.2mmの範囲、より好ましくは0.08〜0.13mmの範囲である。
【0038】
粘度制御のため、塗布温度は23〜50℃の範囲が好ましく、24〜40℃の範囲がより好ましく、25〜37℃の範囲がさらに好ましい。
ディスクの反りを防止するため、塗布膜の照射はパルス型の光照射器(好ましくは、紫外線照射器)を用いて行うのが好ましい。パルス間隔はmsec以下が好ましく、μsec以下がより好ましい。1パルスの照射光量は特に制限されないが、3kW/cm2以下が好ましく、2kW/cm2以下がより好ましい。
また、照射回数は特に制限されないが、20回以下が好ましく、10回以下がより好ましい。
【0039】
<本発明の光情報記録媒体を使用した情報の記録方法および再生方法>
次に、本発明の光情報記録媒体への情報の記録方法および記録した情報の再生方法について説明する。
光情報記録媒体への情報の記録は、例えば、次のように行われる。
まず、光情報記録媒体を定線速度または定角速度にて回転させながら、カバー層側から記録用のレーザ光を照射する。このレーザ光の照射により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録される。
【0040】
450nm以下(好ましくは380〜434nm)の発振波長を有するレーザ光源としては、例えば400〜410nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ、中心発振波長405nmの青緑色半導体レーザ等を挙げることができる。記録密度を高めるために、より短波長のレーザを得ることが可能な青紫色半導体レーザまたはSHGレーザを用いることが特に好ましい。また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.7以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。
【0041】
一方、記録された情報の再生は、光情報記録媒体を上記と同一の定線速度で回転させながらレーザ光をカバー層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
【0042】
また、記録物質として色素等の有機化合物を含有する記録層を備えた光情報記録媒体の例について説明したが、記録層は、相変化により記録を行う相変化記録層、光磁気により記録を行う光磁気記録層であってもよい。例えば、相変化記録層とする場合には、誘電体層はZnS−SiO2等から構成し、光透過層の代わりに誘電体層を設ける。また、相変化記録層には、記録物質としてSb、Te、Ag、In等のカルコゲナイド等の金属化合物を使用することができる。
【0043】
【実施例】
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
厚さ1.1mm、直径120mmのスパイラル状のグルーブ(深さ100nm、幅0.120μm、トラックピッチ300nm)を有する射出成形ポリカーボネート樹脂(帝人社製ポリカーボネート、商品名パンライトAD5503)基板のグルーブを有する面上に、Agをスパッタして100nmの膜厚の光反射層を形成し、その後、色素としてオラゾールブルGN(cibaスペシャリティケミカル社製)を2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールと混ぜ2時間超音波を行って溶解した。この色素塗布液をスピンコート法により回転数を300rpmから4000rpmまで変化させながら23℃50%RHの条件で塗布した。その後、23℃50%RHで2時間保存し、その後、紫外線硬化接着剤(大日本インキ化学社製SD−347、色素の溶解率0.05質量%)をスピンコート法により100〜300rpmで塗布し、カバー層用シートとして、表1に示す突起数に制御した膜厚80μmの三酢酸セルロース膜A(商品名:フジタック、富士写真フイルム社製)を重ね合わせ、その後300rpmから4000rpmまで変化させながら全面に紫外線硬化接着剤を広げた後、紫外線照射ランプにて紫外線を照射して硬化させ、サンプル(光情報記録媒体)を作製した。
【0045】
なお、上記サンプル(光情報記録媒体)のカバー層表面の30μm2当たりの高さ20nm以上の突起及び高さ100nm以上の突起の数は、原子間力顕微鏡(AFM)で測定したもので、その詳細な条件は下記のとおりである。
[条件]
装置:セイコーインスツルメンツ社製 SPA500
モード:AFMモード(コンタクトモード)
測定用探針:SI AF01(バネ定数 0.1N/m)
測定範囲:10μm角
スキャンライン:512×512
スキャンスピード:2Hz
【0046】
(評価)
上記作製した光情報記録媒体について、波長405nmのレーザー光で、NA0.85ピックアップを積んだ再生評価機(パルステック社製:DDU1000)にて記録後、繰り返し1000回再生を行った。その時のジッタの増加を測定し、ディスク表面の傷を目視にて判定した。その結果を表1に示す。
【0047】
(実施例2)
実施例1において用いた三酢酸セルロース膜Aの代わりに、三酢酸セルロースC(フジタック、富士写真フイルム社製)の上に、マット剤としてのシリカと、バインダーとしての三酢酸セルロースからなるマット層を設けて表1に示す突起数に制御した膜厚80μmの三酢酸セルロース膜Bに変更した以外、実施例1と同様に光情報記録媒体を作製し、同様の測定・評価を行った。その結果を表1に示す。
【0048】
(実施例3)
実施例1のカバー層上に紫外線硬化接着剤(大日本インキ化学社製SD−347)をスピンコート法により100〜300rpmで塗布し、その後300〜4000rpmまで変化させながら全面に接着剤を広げた後、紫外線照射ランプにて紫外線を照射し、紫外線硬化接着剤をオーバーコートして表1に示す突起数である光情報記録媒体を作製し、同様の測定・評価を行った。その結果を表1に示す。
【0049】
(比較例1)
実施例1において用いた三酢酸セルロース膜Aの代わりに、表1に示す突起数を有する膜厚80μmの三酢酸セルロース膜C(マット層を設けなかった点を除いて実施例2で用いたカバー層と同じもの)に変更した以外、実施例1と同様に光情報記録媒体を作製し、同様の測定・評価を行った。その結果を表1に示す。
【0050】
(比較例2)
実施例1において用いた三酢酸セルロースAの代わりに、表1に示す突起数である膜厚80μmのポリカーボネートフィルム(商品名:パンライトPC2151(光学用)、帝人化成社製)に変更した以外、実施例1と同様に光情報記録媒体を作製し、同様の測定・評価を行った。その結果を表1に示す。
【0051】
(比較例3)
実施例1のカバー層上に紫外線硬化接着剤(大日本インキ化学社製SD−347)をスピンコート法により100〜300rpmで塗布し、その後300〜4000rpmまで変化させながら全面に接着剤を広げた後、紫外線照射ランプにて紫外線を照射し、紫外線硬化接着剤をオーバーコートして表1に示す突起数である光情報記録媒体を作製し、同様の測定・評価を行った。その結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1は、所定の突起数である実施例は、1000回再生後のジッタが良好で、傷も発生していないことを示している。
【0054】
【発明の効果】
本発明は、ジッタが良好で、ディスク表面の傷つき性を向上させた光情報記録媒体を提供することが出来る。
Claims (1)
- トラックピッチ200〜400nm、溝深さ20〜150nmの基板上に、光反射層と、波長450nm以下のレーザ光により情報の記録が可能である記録層と、接着剤からなる接着層と、厚みが0.01〜0.5mmであるカバー層と、が順次形成された光情報記録媒体であって、
前記カバー層の表面に、下記の条件で原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した、高さ20nm以上の突起が30μm2当たり15〜100個存在し、かつ、前記高さ20nm以上の突起の内、高さ100nm以上の突起が1〜5個存在することを特徴とする光情報記録媒体。
−条件−
装置:セイコーインスツルメンツ社製 SPA500
モード:AFMモード(コンタクトモード)
測定用探針:SI AF01(バネ定数 0.1N/m)
測定範囲:10μm角
スキャンライン:512×512
スキャンスピード:2Hz
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