JP2005166075A - 光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1基板1上に光記録層2が形成された光記録ディスク3と、第2基板4上に光記録層が形成されてもよいダミーディスク6とが、第1基板1と第2基板4とが外側となるように紫外線硬化型のカチオン重合性の接着剤層7で貼り合わされてなる光記録媒体において、光記録ディスク3と接着剤層7との間及びダミーディスク6と接着剤層7との間の少なくともいずれかの間に紫外線硬化インク層5が形成されている場合に、その紫外線硬化インク層5の表面抵抗値を1.0×1014Ω以上とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、DVD(デジタルビデオディスク)等の光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近注目されている光記録媒体としては、光記録ディスクにダミーディスクを貼り合わせた片面DVD等の片面記録タイプの光記録媒体(特許文献1参照)や、2枚の光記録ディスクを貼り合わせた両面DVD等の両面記録タイプの光記録媒体(特許文献2参照)が挙げられる。
【0003】
片面記録タイプの光記録媒体は、図1に示すように、第1基板1上に光記録層2が形成された光記録ディスク3と、第2基板4上に光記録媒体の装飾層あるいはレーベル印刷層として機能する紫外線硬化インク層5が形成されたダミーディスク6とが、接着剤層7により第1基板1と第2基板4とが外側になるように貼り合わされた構造を有する。また、図2に示すように、紫外線硬化インク層5が第2基板4側から装飾インク層5aと白色インク層5bとの多層構造となっている場合や、更に光記録層2上に有機保護層として紫外線硬化インク層8が形成されている場合もある。
【0004】
ところで、光記録ディスク3とダミーディスク6とを貼り合わせる際、紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤をスクリーン印刷法等により成膜した接着剤層7を介して貼り合わせることが提案されている(特許文献3参照)。このようなカチオン重合性接着剤は遅硬化性であるので、紫外線照射の後にでも光記録ディスク3とダミーディスク6とを貼り合わせることができる。しかも重合時の収縮率が小さいので、光記録媒体における反りの発生を大きく抑制することができる。
【0005】
また、両面記録タイプの光記録媒体は、図3に示すように、第1基板31上に第1光記録層32及びその上に有機保護層として第1紫外線硬化インク層33が形成された第1光記録ディスク34と、第2基板35上に第2光記録層36が形成された第2光記録ディスク37とが、接着剤層38により第1基板31と第2基板35とが外側となるように貼り合わされた構造を有する。また、一般的には、第2光記録ディスク37の第2光記録層36上にも有機保護層として第2紫外線硬化インク層39が形成されている(図4参照)。このような両面記録タイプの光記録媒体の場合も、第1光記録ディスク34と第2光記録ディスク37とを貼り合わせる際に、紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤が使用されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平09−147428号公報
【特許文献2】
特開平07−126577号公報
【特許文献3】
特開平09−249734号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような片面記録タイプの光記録媒体の製造時に、遅硬化性の紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤を使用して光記録ディスク3とダミーディスク6とを貼り合わせた場合、紫外線硬化インク層5及び紫外線硬化インク層層8に対する接着剤層7の密着力は基本的には十分であるが、光記録媒体の普及に伴い、接着剤層7の密着力を更に向上させることが強く求められている。
【0008】
同様に、上述した両面記録タイプの光記録媒体においても、第1紫外線硬化インク層33及び第2紫外線硬化インク層39に対する紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤からなる接着剤層38の密着力を更に向上させることが強く求められている。
【0009】
本発明は、以上の従来の技術の課題を解決しようとするものであり、紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤からなる接着剤層により2枚のディスクが貼り合わされた片面記録タイプの光記録媒体又は両面記録タイプの光記録媒体において、接着剤層とそれに接触する紫外線硬化インク層(装飾層もしくは有機保護層)との間の密着力を更に向上させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤からなる接着剤層に接触する紫外線硬化インク層の表面抵抗値を、特定の値以上に設定することにより、接着剤層の密着力が大きく向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、本発明は、第1基板上に光記録層が形成された第1ディスクと、第2基板上に光記録層が形成されてもよい第2ディスクとが、第1基板と第2基板とが外側となるように紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤からなる接着剤層で貼り合わされてなる光記録媒体において、第1ディスクと接着剤層との間及び第2ディスクと接着剤層との間の少なくともいずれかの間に紫外線硬化インク層が形成されており、且つその紫外線硬化インク層の表面抵抗値が1.0×1014Ω以上であることを特徴とする光記録媒体を提供する。
【0012】
ここで、光記録層が、第1ディスクのみに存在する場合は片面記録タイプの光記録媒体であり、第1ディスクだけでなく第2ディスクにも存在する場合には両面記録タイプの光記録媒体となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の片面記録タイプの光記録媒体は、従来の片面記録タイプの光記録媒体と同様の層構造を有しており、図1に示すように、第1基板1上に光記録層2が形成された光記録ディスク3と、第2基板4上に、光記録層を形成せずに、紫外線硬化型のラジカル重合性インク組成物等を塗布し硬化させて成膜した装飾層としての紫外線硬化インク層5(光記録媒体の装飾あるいはレーベル印刷として機能)が形成されたダミーディスク6とが、紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤からなる接着剤層7により第1基板1と第2基板4とが外側になるように貼り合わされた構造を有する。
【0015】
なお、装飾層としての紫外線硬化インク層5には、公知の顔料や染料、更に必要に応じて界面活性剤や分散剤等が含有されている。
【0016】
また、図2に示すように、紫外線硬化インク層5が第2基板4側から装飾インク層5aと白色インク層5bとの多層構造となっている場合や、更に光記録層2上に光記録層2を保護する有機保護層として、紫外線硬化型のラジカル重合性インク組成物を塗布し硬化させて成膜した紫外線硬化インク層8が形成されている場合もある。
【0017】
なお、有機保護層としての紫外線硬化インク層8には、通常、顔料や染料を含有させず、成膜性を向上させるためのレベリング剤等を含有させる。
【0018】
このような構造を有する本発明の片面記録タイプの光記録媒体においては、紫外線の照射により硬化した紫外線硬化インク層5(並びに紫外線硬化インク層8)の表面抵抗値が1.0×1014Ω以上となっている。このような高い表面抵抗値を有する紫外線硬化インク層5(並びに紫外線硬化インク層8)に対しては、紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤からなる接着剤層7が良好に密着することができる。反対に紫外線の照射により硬化した紫外線硬化インク層5(並びに紫外線硬化インク層8)の表面抵抗値が1.0×1014Ω未満であると、それらと接着剤層7との間の密着性が不十分となる。
【0019】
この理由は明確ではないが、高い表面抵抗値を示すことは、カチオン重合を阻害するようなイオン性物質(例えば、塩類、金属酸化物等)の紫外線硬化インク層5(並びに紫外線硬化インク層8)の表面における濃度が低いことを意味し、そのためにカチオン重合反応が阻害されることなく進行するためであると考えられる。
【0020】
硬化後の紫外線硬化インク層5(並びに紫外線硬化インク層8)の表面抵抗値の調整は、例えば、使用する紫外線硬化型のラジカル重合性インク組成物に添加するイオン性物質の種類や量を加減することにより行うことができる。
【0021】
なお、硬化した紫外線硬化インク層5(並びに紫外線硬化インク層8)の表面張力は、低すぎると紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤で濡れにくくなるので、好ましくは400μN/cm以上、より好ましくは450μN/cm以上に調整する。表面張力の調整は、レベリング剤等の添加により行うことができる。
【0022】
紫外線硬化インク層5は、紫外線の照射により硬化可能な成膜成分(例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、アクリル系モノマーや他のモノマー(例えば、「紫外線硬化システム(p259−302(光重合性モノマーの一覧表))第2版」、加藤清視著、総合技術センター発行(平成2年))と、着色成分(例えば、カーミン6B、フタロシアニンブルー等の有機顔料、二酸化チタン等の白色顔料)と、充填剤(例えば、クレイ、タルク等)と、光重合開始剤(例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、前述の「紫外線硬化システム(p102−115(光重合開始剤一覧表))」参照))と、必要に応じてレベリング剤(例えば、フッ素系レベリング剤等)とを均一に混合して得られる紫外線硬化型のラジカル重合性インク組成物を、スクリーン印刷法等により第2基板4上に塗工し、紫外線を照射することにより形成することができる。
【0023】
また、有機保護層としての紫外線硬化インク層8は、紫外線硬化インク層5の場合と同様に、紫外線の照射により硬化可能な成膜成分と、必要に応じてレベリング剤(例えば、フッ素系レベリング剤等)とを均一に混合して得られる紫外線硬化型のラジカル重合性インク組成物(例えば、SK5110、ソニーケミカル社製)をスクリーン印刷法等により光記録ディスク3の光記録層2上に塗工し、紫外線を照射することにより形成することができる。
【0024】
紫外線硬化インク層5(並びに紫外線硬化インク層8)の厚みは、特に限定されないが、通常5〜20μmである。
【0025】
なお、図2に示すように、紫外線硬化インク層5を第2基板4側から装飾インク層5aと白色インク層5bとの多層構造とする場合、装飾インク層5aとしては、カーボンインクを用いてオフセット印刷法又はスクリーン印刷法により成膜したものを挙げることができる。また、基板に受容層を形成することが許容される場合には、インクジェット記録方法あるいは昇華型熱転写記録方法等により形成したものを装飾インク層5aとして使用することもできる。白色インク層5bは、顔料として白色顔料を必ず使用する以外、前述の紫外線硬化インク層5と同様な構成とすることができる。
【0026】
装飾インク層5a及び白色インク層5bの厚みは、前述した紫外線硬化インク層5の厚みの範囲中で適宜選択することができる。
【0027】
本発明の光記録媒体において、接着剤層7は、遅硬化性の紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤を成膜したものである。このような紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、特開平9−249734号公報の請求項1並びに段落(0015)〜(0025)に開示されたエポキシ樹脂組成物を好ましく使用することができる。
【0028】
接着剤層7の厚みは、特に限定されないが、通常5〜100μmである。
【0029】
接着剤層7は、紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤を必要に応じて溶媒にて適当な粘度に調整した後に、スピンコート法あるいはスクリーン印刷法により、光記録ディスク3の光記録層2(もしくは紫外線硬化インク層8)上に又はダミーディスク6の紫外線硬化インク層5上に成膜したものである。この接着剤層7で光記録ディスク3とダミーディスク6とを貼り合わる場合、接着剤層7に紫外線を照射して遅硬化性のカチオン重合反応を開始させた後に貼り合わせる。
【0030】
図1及び図2に示したような片面記録タイプの光記録媒体の他の構成、即ち、光記録ディスク3を構成する第1基板1、光記録層2、ダミーディスク6を構成する第2基板4等については、従来の光記録媒体と同様の構成とすることができる。例えば、第1基板1及び第2基板4としては、透明なポリカーボネートディスクを好ましく使用することができる。また、光記録層2としては、アルミ薄膜、金薄膜、銀薄膜等に微小ピットが形成された金属層等を使用することができる。微小ピットの形成方法は常法に従って行うことができる。
【0031】
次に、本発明の両面記録タイプの光記録媒体について説明する。
【0032】
本発明の両面記録タイプの光記録媒体は、従来の両面記録タイプの光記録媒体と同様の層構造を有しており、図3に示すように、第1基板31上に第1光記録層32、及びその上に紫外線硬化型のラジカル重合性インク組成物を塗布し硬化させて成膜した有機保護層としての第1紫外線硬化インク層33が形成された第1光記録ディスク34と、第2基板35上に第2光記録層36が形成された第2光記録ディスク37とが、紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤からなる接着剤層38により第1基板31と第2基板35とが外側となるように貼り合わされた構造を有する。また、一般的には、第2光記録ディスク37の第2光記録層36上にも有機保護層として第2紫外線硬化インク層39が形成されている(図4参照)。
【0033】
このような構造を有する本発明の両面記録タイプの光記録媒体においても、図1及び図2において説明した本発明の片面記録タイプの光記録媒体と同様に、紫外線の照射により硬化した第1紫外線硬化インク層33(並びに第2紫外線硬化インク層39)の表面抵抗値が1.0×1014Ω以上となっている。これにより接着剤層38と第1紫外線硬化インク層33(並びに第2紫外線硬化インク層39)とを良好に密着させることができる。
【0034】
なお、両面記録タイプの光記録媒体の各構成要素は、片面記録タイプの光記録媒体の対応する構成要素と同様のものを使用することができる。
【0035】
本発明の光記録媒体は、以下に説明するように製造することができる。この場合、インク組成物の塗布方法、紫外線照射条件(光源、波長、出力、温度等)等の製造条件については、公知の装置や技術を適宜利用することができる。
【0036】
(図1に示す片面記録タイプの光記録媒体の製造例)
まず、第2基板上に装飾層形成用の紫外線硬化型のラジカル重合性インク組成物を塗布した後に、紫外線を照射して硬化させて紫外線硬化装飾インク層を形成することによりダミーディスクを作成する。そして更にその上に紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤を成膜した後、紫外線を照射し、遅硬化性のカチオン重合性接着剤のカチオン重合反応を開始させる。次に、カチオン重合反応進行中のカチオン重合性接着剤層の成膜面に、予め光記録層が第1基板上に設けられた光記録ディスクの当該光記録層を貼り合わせ、その状態でカチオン重合性接着剤層のカチオン重合反応を完遂させ、接着剤層を硬化形成する。これにより図1に示す光記録媒体が得られる。
【0037】
(図2に示す片面記録タイプの光記録媒体の製造例)
まず、第2基板上に予め設けられた装飾インク層の上に紫外線硬化型のラジカル重合性白色インク組成物を塗布し、紫外線を照射して硬化させて2層構造の紫外線硬化装飾インク層を形成することによりダミーディスクを作成する。更にその上に紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤を成膜し、遅硬化性のカチオン重合性接着剤のカチオン重合反応を開始させる。このダミーディスクとは別に、第1基板上に予め設けられた光記録層の上に紫外線硬化型のラジカル重合性有機保護インク組成物を塗布し、紫外線を照射して硬化させて紫外線硬化有機保護インク層を形成することにより光記録ディスクを作成する。そして、この光記録ディスクの紫外線硬化有機保護インク層面を、ダミーディスクのカチオン重合反応進行中のカチオン重合性接着剤層の成膜面に貼り合わせ、その状態でカチオン重合性接着剤層のカチオン重合反応を完遂させ、接着剤層を硬化形成する。これにより、図2に示す光記録媒体が得られる。
【0038】
(図3に示す両面記録タイプの光記録媒体の製造例)
まず、第1基板上に予め設けられた第1光記録層の上に紫外線硬化型のラジカル重合性有機保護インク組成物を塗布し、紫外線を照射して硬化させて紫外線硬化有機保護インク層を形成することにより第1光記録ディスクを作成する。更にその上に紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤を成膜し、遅硬化性のカチオン重合性接着剤のカチオン重合反応を開始させる。このカチオン重合反応進行中のカオチン重合性接着剤層の成膜面に、予め第2光記録層が第2基板上に設けられた第2光記録ディスクの当該第2光記録層を貼り合わせ、その状態でカチオン重合性接着剤層のカチオン重合反応を完遂させ、接着剤層を硬化形成する。これにより図3に示す光記録媒体が得られる。
【0039】
(図4に示す両面記録タイプの光記録媒体の製造例)
まず、第1基板上に予め設けられた第1光記録層の上に紫外線硬化型のラジカル重合性有機保護インク組成物を塗布し、紫外線を照射して硬化させて紫外線硬化有機保護インク層を形成することにより第1光記録ディスクを作成する。更にその上に紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤を成膜し、遅硬化性のカチオン重合性接着剤のカチオン重合反応を開始させる。これとは別に、第2基板上に予め設けられた第2光記録層の上に紫外線硬化型のラジカル重合性有機保護インク組成物を塗布し、紫外線を照射して硬化させて紫外線硬化有機保護インク層を形成することにより第2光記録ディスクを作成する。この第2光記録ディスクの紫外線硬化有機保護インク層面を、第1光記録ディスクのカチオン重合反応進行中のカオチン重合性接着剤層の成膜面に貼り合わせ、その状態でカチオン重合性接着剤層のカチオン重合反応を完遂させ、接着剤層を硬化形成する。これにより図4に示す光記録媒体が得られる。
【0040】
以上のようにして得られる光記録媒体は、紫外線硬化インク層とカチオン重合性接着剤層との密着性が非常に良好であり、機械的性質に優れ、記録安定性にも優れた光記録媒体であり、DVDとして非常にすぐれた性能を発揮できる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、以下の実施例においては、紫外線硬化インク層と紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤との密着力を評価するために、装飾インク層及び光記録層は設けなかった。
【0042】
実施例1〜4、及び比較例1,2
(評価用媒体の作成)
厚さ0.6mmで直径120mmのポリカーボネート製透明基板に、表1の組成の紫外線硬化型ラジカル重合性インク組成物をスクリーン印刷により10μm厚に塗布し、ラジカル重合させるために紫外線を照射し硬化させ、紫外線硬化インク層を形成し、2枚のダミーディスクを作成した。
【0043】
次に、一方のダミーディスクの紫外線硬化インク層上に、スルホニウム塩を使用した市販の紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤を、加熱溶解後に三本ロールにより混合し、スクリーン印刷により40μm厚となるように成膜した。
【0044】
次いで、カチオン重合性接着剤の成膜面から800mJ/cm2のエネルギー密度でメタルハロゲンランプより紫外線を照射して、遅硬化性のカチオン重合性接着剤のカチオン重合反応を開始させた。
【0045】
次に、カチオン重合反応進行中のカチオン重合性接着剤層の面に、他方のダミーディスクの紫外線硬化インク層面を50kg/1discの力で貼り合わせ、その状態を20分間保持することによりカチオン重合性接着剤層のカチオン重合反応を完遂させた。これにより評価用の実施例1〜4の光記録媒体を得た。
【0046】
なお、比較例1及び2の光記録媒体は、表2の表面抵抗を有する紫外線硬化型インク組成物を使用してダミーディスクを作製する以外は、実施例1〜4と同様に作製した。
【0047】
【表1】
【0048】
(評価)
得られたダミーディスクの紫外線硬化インク層の表面抵抗値を、JIS C6481に準拠する表面抵抗計(HP4329A、ヒューレットパカード社製)を用いて測定した。また、紫外線硬化インク層の表面に(ぬれ指数標準液(和光純薬工業(株)製)を一滴垂らし、インク層の表面が十分に濡れたときの基準液が示す表面張力を紫外線硬化インク層の表面張力とした。得られた結果を表2に示す。
【0049】
また、得られた評価用光記録媒体の端部に直径5mmの貫通孔を設け、その近辺を約1cm程度引き剥がし、形成された2つの孔のそれぞれに紐を通し、それらの紐をテンシロン引張試験機(オリエンテック社製)で180度方向に1000mm/分の速度で引き剥がし、そのときに要した力を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
表2からわかるように、表面抵抗値が1×1014Ω以上の紫外線硬化インク層を有する実施例1〜4の光記録媒体のディスク密着性は非常に良好であった。その場合、表面張力が400μN/cm以上であった。
【0052】
なお、表面抵抗値が1×1014Ω未満の比較例1及び2の光記録媒体は、ディスク密着性が実施例1〜4の光記録媒体に比べ大きく劣っていた。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、装飾層もしくは有機保護層として機能する紫外線硬化インク層と紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤層が接触するように2枚のディスクを貼り合わせてDVD等の光記録媒体を製造する際に、紫外線硬化インク層とカチオン重合性接着剤層との密着性を向上させることができ、従って得られる光記録媒体は、機械的性質に優れ、記録安定性にも優れたものとなり、DVDとして非常にすぐれた性能を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】片面記録タイプの光記録媒体の概略断面図である。
【図2】片面記録タイプの光記録媒体の概略断面図である。
【図3】両面記録タイプの光記録媒体の概略断面図である。
【図4】両面記録タイプの光記録媒体の概略断面図である。
【符号の説明】
1 第1基板、2 光記録層、3 光記録ディスク、4 第2基板、5,8 紫外線硬化インク層、6 ダミーディスク、7 接着剤層
Claims (7)
- 第1基板上に光記録層が形成された第1ディスクと、第2基板上に光記録層が形成されてもよい第2ディスクとが、第1基板と第2基板とが外側となるように紫外線硬化型のカチオン重合性接着剤からなる接着剤層で貼り合わされてなる光記録媒体において、第1ディスクと接着剤層との間及び第2ディスクと接着剤層との間の少なくともいずれかの間に紫外線硬化インク層が形成されており、且つその紫外線硬化インク層の表面抵抗値が1.0×1014Ω以上であることを特徴とする光記録媒体。
- 第2基板上に光記録層が形成されておらず、且つ紫外線硬化インク層が第2ディスクと接着剤層との間に装飾層として形成されている請求項1記載の光記録媒体。
- 更に、紫外線硬化インク層が第1ディスクと接着剤層との間にも有機保護層として形成されている請求項2記載の光記録媒体。
- 第2基板上に光記録層が形成されておらず、且つ紫外線硬化インク層が第1ディスクと接着剤層との間に有機保護層として形成されている請求項1記載の光記録媒体。
- 第2基板上に光記録層が形成されており、且つ紫外線硬化インク層が有機保護層として形成されている請求項1記載の光記録媒体。
- 紫外線硬化インク層が第1ディスクと接着剤層との間及び第2ディスクと接着剤層との間の双方に有機保護層として形成されている請求項5記載の光記録媒体。
- 紫外線硬化インク層の表面張力が400μN/cm以上である請求項1〜6のいずれかに記載の光記録媒体。
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