JP2005163842A - コントロールケーブルの連結装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 コントロールケーブル40の端部に固定されるアイエンド10は、金属製の軸受部材36と、この軸受部材36の外周に固定されたダンパ部材38を有する。軸受部材36の先端24はダンパ部材38の先端より突出しており、その先端24がワッシャ28の貫通孔19に差し込まれる。貫通孔19に差し込まれた軸受部材36の先端24は外側にかしめられ、これによって軸受部材36にワッシャ28が固定されている。抜止部材26は、連結軸22の先端に形成された係合部20に係合し、アイエンド10を抜止する。
【選択図】 図1
Description
図8に示すように、コントロールケーブル91(正確にはインナーケーブル)の末端にはアイエンド94が固定される。アイエンド94は、その一端にコントロールケーブル91が固定されるアイロッド92と、アイロッド92の他端に設けられたリング部93を備える。リング部93には、金属製の軸受部材89と、その軸受部材89に焼付け等によって固定・一体化されたダンパ部材90が嵌合する。軸受部材89には、レバー96に立設された連結軸95が挿し込まれ、これによってアイエンド94は連結軸95に回動自在に支持される。
アイエンド94の抜止めには、ワッシャ(座金、エンドプレート等)97と、いわゆるベータピン99が用いられる。ワッシャ97は、連結軸95の先端に遊嵌される。連結軸95の先端(ワッシャ97の表面より突出する部分)には、軸心に対して直角にピン孔98が貫通している。ピン孔98には、ベータピン99の直線部が通され、その湾曲部を連結軸95の外周に係合することで、連結軸95にベータピン99が係止される。これによって、アイエンド94が連結軸95から脱落することが防止される。なお、アイエンド94の抜止めには、ベータピン99以外にもE型ないしC型止め輪や、割りピン・人形ピン等を利用することもある。
かかる問題を解決するために、特許文献1に開示の技術が提案されている。特許文献1に開示された技術では、ワッシャ(座金)は、座板部と、この座板部の裏面に設けられた円筒状のブッシュを備え、これらは樹脂材料によって一体成形されている。アイエンドのリング部には、従来と同様、金属製のスリーブ(図8の軸受部材89に相当)と、このスリーブに焼付けによって一体化されたダンパ部材が嵌合している。ワッシャに設けられたブッシュは、アイエンドのスリーブ内に挿し込まれてスリーブと嵌合し、スリーブ(すなわち、アイエンド)に組み付けられるようになっている。コントロールケーブルを連結軸に連結する際は、予めアイエンドのスリーブにワッシャを組付けて一体化しておく。次いで、アイエンドに組み付けられたワッシャのブッシュに連結軸を挿し込み、クリップによって抜け止めを行う。したがって、アイエンドにワッシャが一体化された状態で連結作業を行うことができるため、その連結作業を容易に行うことができる。
仮に、アイエンドのリング部形状を大きくすることとすると、これによって連結装置の大型化、ひいては入力装置の大型化を招くこととなり好ましくない。また、ダンパ部材の体積を小さくすることとすると、コントロールケーブルに作用する荷重(操作者の操作力)と、ダンパ部材のたわみの関係が変化することとなる。この「荷重−たわみ」特性は、操作者の操作フィーリングに大きく影響するため、ダンパ部材の体積を変更することは難しい。また、スリーブの体積を小さくすることとすると、コントロールケーブルの端部に固定されるアイエンドの質量が減少し、コントロールケーブルの振動特性が悪化する。自動車等の変速機では、変速装置側からコントロールケーブルを介して入力装置側に振動が伝達される。このため、コントロールケーブルの振動特性が悪化し、入力装置側の振動が大きくなると、操作者に不快感を与えることとなる。
この連結装置は、コントロールケーブルの端部に固定されるアイエンドと、ワッシャと、抜止部材とを有する。アイエンドは、連結軸を回動自在に支持する金属製の軸受部材と、その軸受部材の外周に固定されたダンパ部材とを有し、軸受部材の先端はダンパ部材の先端よりも突出している。また、ワッシャは、軸受部材の先端が挿し込まれる貫通孔を有し、その貫通孔に軸受部材の先端が挿し込まれた状態で軸受部材とワッシャの少なくとも一方が機械的に変形することで軸受部材の先端外周にワッシャが移動不能に固定されている。そして、抜止部材は、連結軸が軸受部材の基端部側から当該軸受部材に挿し込まれたときに当該軸受部材の先端から突出する部位にある連結軸の係止部に係合することを特徴とする(手段1)。
(手段1に記載の連結装置の作用と効果)
この連結装置では、軸受部材にワッシャが固定される。このため、コントロールケーブルを連結軸に連結する際にワッシャのみが脱落することはなく、その連結作業を容易に行うことができる。また、軸受部材の先端をダンパ部材の先端より突出させ、その軸受部材の先端外周にワッシャが固定される。したがって、リング部の形状を変更する必要はなく、また、軸受部材及びダンパ部材の体積を小さくする必要も生じない。また、軸受部材とワッシャとが別々に製作され、軸受部材とワッシャの少なくとも一方を機械的に変形させることで両者が固定される。したがって、両者の形状を複雑にする必要はなく、また、簡易な機械加工によって両者が固定されるため、製作コストを低く抑えることができる。
ここで、上記「ワッシャ」には、座金やエンドプレート等の他にも種々のものが含まれ、例えば、プッシュナット等のワッシャの機能を有する部材も「ワッシャ」に相当する。
また、上記「抜止部材」には、アイエンドが連結軸から脱落することを防止するための機能を有する種々のものが含まれ、例えば、ベータピン、クリップ、止め輪、割りピン等が相当する。
(手段2に記載の連結装置の作用と効果)
この連結装置では、ワッシャの裏面と軸受部材の先端面が当接する状態で、軸受部材の先端に形成された突片が外側にかしめられ、ワッシャが軸受部材に固定されている。このため、軸受部材に対するワッシャの固定位置が安定し、その組付け精度を上げることができる。
(手段3に記載の連結装置の作用と効果)
この連結装置では、ワッシャに第1平板部より連結軸の先端側にオフセットした第2平板部が設けられ、この第2平板部によって抜止部材を連結軸の係止部に案内することができる。このため、抜止部材の係止部への取付けを容易に行うことができる。また、軸受部材に形成された突片は、第2平板部から先端側に突出しないようにできるため、抜止部材の係止部への取付けの邪魔となることが防止される。
(手段4に記載の連結装置の作用と効果)
この連結装置では、ワッシャの貫通孔に軸受部材の先端を圧入することで、ワッシャが軸受部材に固定される。そして、軸受部材の先端が連結軸の係止部の位置と略一致する。このため、抜止部材を係止部に取付ける際は、軸受部材の先端を利用して抜止部材を係止部に案内することができるため、その取付作業を容易に行うことができる。
アイロッド12の他端にはリング部14が設けられている。リング部14は、樹脂又は金属で一体成形されており、その中心に貫通孔14aが形成されている。貫通孔14aには、金属製の軸受部材36と、この軸受部材36に焼付けなどによって固定されたダンパ部材38がきつめに嵌合されている。
なお、本実施形態では、ワッシャ28の第1平板部18の表面からピン孔20の下端までの距離と、第1平板部18の表面から第2平板部16の表面までの距離が略同一となっている。したがって、ピン孔20にベータピン26を挿し込む際は、ワッシャ28の第2平板部16を利用してベータピン26の高さ方向の位置決めを行うことができる。これによって、ベータピン26の組付け作業の容易化が図られている。
また、ワッシャ28は、軸受部材36の先端外周に固定されているだけなので、リング部14の形状を変更する必要はなく、また、ダンパ部材38の体積を変更する必要もない。このため、シフトフィーリングに悪影響を与えることなく、連結作業の容易化を実現できる。
また、軸受部材36とワッシャ28が別体で製作され、軸受部材36の突部24をかしめることで両者が固定されるため、複雑な機械加工等を必要とせず、その製作コストを低く抑えることができる。また、軸受部材36とワッシャ28を単純な形状とすることができるため、従来用いられていた構成(図8)からの変更を最小限とすることができる。
さらに、軸受部材36にワッシャ28を固定して一体化することで、ワッシャ28の分だけコントロールケーブル40の先端(アイエンド10)の質量(すなわち、振動特性に寄与する質量)が増加し、コントロールケーブル40の振動特性を向上することができる。すなわち、ワッシャ28が軸受部材36に固定されていない状態では、ワッシャ28はコントロールケーブル40と別々に運動するため、コントロールケーブル40の振動特性の向上に寄与しない。しかしながら、ワッシャ28をアイエンド10(軸受部材36)に固定することで、アイエンド10とワッシャ28が一体となって運動し、その質量が増加することによって振動特性を向上することができる。なお、振動特性を改善するためのコントロールケーブル40の質量増加は、連結装置全体の質量増加を招くことなく行うことができる(ワッシャ28の質量は変化しないため)。
比較例における各部の質量は、下記の表2に示すようになった。表2から明らかなように、比較例では軸受部材の質量増加によって、ダンパ部材の質量が減少し、総質量(振動性能に影響する総質量を含む)については本実施例と同様になっている。なお、比較例についても上述した振動特性の評価試験を行い、本実施例と略同一の振動特性を有することを確認した。
12:アイロッド
14:リング部
26:ベータピン
28:ワッシャ
36:軸受部材
38:ダンパ部材
Claims (4)
- 入力装置に入力される操作者の操作力をコントロールケーブルを介して変速装置に伝達することで変速装置を遠隔操作する変速機において、入力装置又は変速装置に設けられた連結軸にコントロールケーブルを連結する連結装置であって、
その連結装置は、コントロールケーブルの端部に固定されるアイエンドと、ワッシャと、抜止部材とを有し、
アイエンドは、連結軸を回動自在に支持する金属製の軸受部材と、その軸受部材の外周に固定されたダンパ部材とを有し、軸受部材の先端はダンパ部材の先端よりも突出しており、
ワッシャは、軸受部材の先端が挿し込まれる貫通孔を有し、その貫通孔に軸受部材の先端が挿し込まれた状態で軸受部材とワッシャの少なくとも一方が機械的に変形することで軸受部材の先端外周にワッシャが移動不能に固定されており、
抜止部材は、連結軸が軸受部材の基端部側から当該軸受部材に挿し込まれたときに当該軸受部材の先端から突出する部位にある連結軸の係止部に係合することを特徴とするコントロールケーブルの連結装置。 - 軸受部材は、筒部と、その筒部の先端面から突出する突片を有し、
軸受部材の突片がワッシャの貫通孔に挿し込まれ、筒部先端面とワッシャ裏面とが当接する状態で突片が外側にかしめられることで、ワッシャが軸受部材に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のコントロールケーブルの連結装置。 - ワッシャは、その裏面が筒部先端面に当接する第1平板部と、第1平板部の外周側に形成され、第1平板部より連結軸の先端側にオフセットされた第2平板部とを有し、第1平板部の表面から第2平板部の表面までの距離と第1平板部の表面から係止部までの距離とが略同一となることを特徴とする請求項2に記載のコントロールケーブルの連結装置。
- ワッシャの貫通孔の径は、軸受部材先端の外径より小さく、その貫通孔に軸受部材先端が圧入されることでワッシャが軸受部材に固定されており、
軸受部材の先端と連結軸に形成された係止部の位置とが略一致することを特徴とする請求項1に記載のコントロールケーブルの連結装置。
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