JP2005163061A - 水素吸蔵複合体およびその製造方法 - Google Patents

水素吸蔵複合体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低温下での水素放出特性の良好な水素吸蔵材料を提供する。加えて、大気に曝された場合にも、酸化反応が進行し難い水素吸蔵材料を提供する。
【解決手段】 水素吸蔵材料を、BCC相(体心立方構造)とC14型ラーベス相(六方晶系MgZn2型構造)との混相からなり、該BCC相の重量割合は2wt%以上50wt%未満である水素吸蔵複合体とする。この水素吸蔵複合体において、特に、BCC相の重量割合を2wt%以上20wt%未満とし、かつ、C14型ラーベス相の格子体積を0.165nm3以上0.166nm3以下とする。あるいは、BCC相の重量割合を20wt%以上50wt%未満とし、C14型ラーベス相の格子体積を0.164nm3以上0.166nm3以下とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、可逆的に水素を吸蔵・放出することのできる水素吸蔵複合体およびその製造方法に関し、詳しくは、低温下でも水素を放出することのできる低温特性に優れた水素吸蔵複合体およびその製造方法に関する。
近年、二酸化炭素の排出による地球の温暖化等の環境問題や、石油資源の枯渇等のエネルギー問題から、クリーンな代替エネルギーとして水素エネルギーが注目されている。水素エネルギーは、例えば、電気自動車用電源等に利用される燃料電池を始めとして、様々な用途への利用が期待されている。水素エネルギーの実用化にむけて、水素を安全に貯蔵、輸送する技術の開発が重要となる。水素の貯蔵方法にはいくつかの候補があるが、なかでも水素を吸蔵・放出することのできる水素吸蔵材料を用いる方法が有望である。水素吸蔵材料として、活性炭、フラーレン、ナノチューブ等の炭素材料や、水素吸蔵合金等の開発が進められている。水素吸蔵合金は、水素を金属水素化物という固体の形で大量に貯蔵できることから、輸送可能な水素の貯蔵媒体として期待が大きい。
水素吸蔵合金として、種々の組成の合金が挙げられる。例えば、TiCrV系合金等のBCC構造を有する合金は、室温下で大量の水素を吸蔵することが知られている。また、特許文献1には、Vを含まないTiCrMn系合金において、BCC相を50wt%以上とすることで、上記TiCrV系合金等と同等の水素吸蔵放出特性を実現できる旨記載されている。
特開平10−298681号公報
しかしながら、BCC構造を有する合金は、0℃以下の低温ではほとんど水素を放出しない。そのため、低温下での使用を想定した場合、大気圧以上の圧力下で合金から取り出せる水素量が少なく、実用上問題となる。また、上記特許文献1に記載のTiCrMn系合金では、BCC相の重量割合を50wt%以上と大きくして、水素吸蔵量を増加させているにすぎない。そのため、BCC合金における上述した低温下での水素放出特性を向上させるものではない。
一方、AB2型ラーベス相合金は、低温から常温までの広い温度範囲で水素を吸蔵・放出できることが知られている。しかし、水素との反応速度が大きいため、例えば、水素の吸蔵・放出に伴う微粉化により活性面が表出した状態では、非常に活性が高くなる。したがって、そのような活性な状態で大気に曝された場合には、同合金の表面が急激に酸化される。そして、酸化反応による発熱により、合金自体の温度が急激に上昇して、不具合を生じるおそれがある。
本発明は、これら二つの問題を鑑みてなされたものであり、低温下での水素放出特性の良好な水素吸蔵材料を提供することを課題とする。加えて、大気に曝された場合にも、酸化反応が進行し難い水素吸蔵材料を提供することを課題とする。
本発明の水素吸蔵複合体は、BCC相(体心立方構造)とC14型ラーベス相(六方晶系MgZn2型構造)との混相からなり、該BCC相の重量割合は2wt%以上50wt%未満であることを特徴とする。本発明の水素吸蔵複合体は、水素吸蔵量の大きなBCC相と、低温下での水素放出特性の良好なC14型ラーベス相との両相からなる。また、BCC相の重量割合は所定の範囲に特定される。そのため、本発明の水素吸蔵複合体では、両相の特性が効果的に発揮される。すなわち、本発明の水素吸蔵複合体によれば、水素を大量に貯蔵することができ、貯蔵した水素を低温下でも充分取り出すことができる。
また、C14型ラーベス相は、水素の吸蔵・放出に伴い微粉化し易いのに対し、BCC相は微粉化し難い。本発明の水素吸蔵複合体では、BCC相とC14型ラーベス相とが隣接した状態にある。そのため、水素の吸蔵・放出を繰り返しても、C14型ラーベス相の微粉化が抑制される。
さらに、BCC相には、水素を放出した後でも、比較的多くの水素が残存している。例えば、本発明の水素吸蔵複合体が、水素の吸蔵・放出後に大気に曝された場合、C14型ラーベス相では酸化反応が進行し、温度が上昇すると考えられる。しかし、発生した熱はBCC相へ伝達し、BCC相に残存していた水素の放出が促進される。水素の放出反応は吸熱反応であるため、水素の放出に伴い温度は低下する。その結果、C14型ラーベス相での温度上昇は緩和され、酸化が抑制されると考えられる。
このように、C14型ラーベス相の微粉化および温度上昇が抑制されるため、本発明の水素吸蔵複合体は、大気に曝された場合でも酸化反応が進行し難い。なお、後の実施形態において、酸化反応の抑制に最適な態様について述べる。
本発明の水素吸蔵複合体の製造方法は、特に限定されるものではない。しかし、本発明の製造方法によれば、本発明の水素吸蔵複合体を簡便に製造することができる。すなわち、本発明の製造方法は、BCC相(体心立方構造)とC14型ラーベス相(六方晶系MgZn2型構造)との混相からなり、該BCC相の重量割合は2wt%以上50wt%未満である水素吸蔵複合体の製造方法であって、BCC構造を有するBCC合金と、C14型ラーベス相合金とを混合し、1100℃以上1750℃以下の温度で加熱することにより、該BCC合金と該C14型ラーベス相合金とを部分溶解させて複合化することを特徴とする。
本発明の製造方法では、BCC合金とC14型ラーベス相合金とを混合し、部分溶解させて複合化する。ここで、部分溶解とは、両合金を完全に溶解して合金化するのではなく、両合金の一部を溶解することを意味する。よって、本製造方法では、加熱温度を1100℃以上1750℃以下と低く設定している。また、BCC合金とC14型ラーベス相合金との混合割合、および加熱する温度等を調整することにより、BCC相の重量割合を変化させることができる。このように、本発明の製造方法によれば、上記本発明の水素吸蔵複合体を簡便に製造することができる。
本発明の水素吸蔵複合体では、BCC相およびC14型ラーベス相の特性が効果的に発揮される。したがって、本発明の水素吸蔵複合体によれば、水素を大量に貯蔵することができ、かつ、貯蔵した水素を低温下でも充分取り出すことができる。さらに、BCC相の重量割合とC14型ラーベス相の格子体積とが最適化されれば、本発明の水素吸蔵複合体は、大気に曝されても酸化し難い。また、本発明の製造方法によれば、本発明の水素吸蔵複合体を簡便に製造することができる。
以下、本発明の水素吸蔵複合体およびその製造方法について詳細に説明する。なお、本発明の水素吸蔵複合体およびその製造方法は、下記の実施形態に限定されるものではない。本発明の水素吸蔵複合体およびその製造方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
〈水素吸蔵複合体〉
本発明の水素吸蔵複合体は、BCC相(体心立方構造)とC14型ラーベス相(六方晶系MgZn2型構造)との混相からなり、該BCC相の重量割合は2wt%以上50wt%未満である。本発明の水素吸蔵複合体の結晶構造は、例えば、CuΚα線を用いた粉末法によるX線回折測定により特定すればよい。この場合、X線回折パターンにおけるラーベス相の(004)面の反射強度(ピーク面積)と、BCC相の(200)面の反射強度(ピーク面積)とから、BCC相の重量割合を求めることができる。
本発明の水素吸蔵複合体では、BCC相の重量割合は、BCC相とC14型ラーベス相との合計を100wt%とした場合の2wt%以上50wt%未満とする。BCC相が50wt%以上では、低温下で水素が充分放出されないからである。低温下での水素放出特性をより向上させるためには、BCC相の重量割合を30wt%以下とすることが望ましい。20wt%以下とするとより好適である。一方、BCC相が2wt%未満では、大気中での酸化反応の進行を抑制することが難しい。また、平衡水素圧(解離圧)が高くなるため、実用的な圧力範囲における水素吸蔵量が減少する。大気中での酸化抑制効果と水素吸蔵量とを考慮した場合には、BCC相の重量割合を5wt%以上とすることが望ましい。10wt%以上とするとより好適である。
さらに、BCC相の重量割合とC14型ラーベス相の格子体積とを最適化することで、低温下での水素放出量を確保しつつ、大気中での酸化反応の進行を効果的に抑制することができる。
例えば、C14型ラーベス相の格子体積が小さいほど、水素の吸蔵、放出過程における解離圧の差(ヒステリシス)は大きくなる。ヒステリシスが大きいと、水素の吸蔵、放出に伴って微粉化し易い。その結果、大気に曝された場合、C14型ラーベス相の酸化反応が進行し易くなる。一方、C14型ラーベス相の格子体積が大きくなると、解離圧は低下する。よって、低温下で放出できる水素量が減少してしまう。
上述したように、BCC相の重量割合が大きいほど、酸化抑制効果は高くなる。したがって、BCC相の重量割合とC14型ラーベス相の格子体積とを最適に組合せることで、C14型ラーベス相の微粉化を効果的に抑制することができる。その結果、本発明の水素吸蔵複合体では、大気に曝された場合でも、酸化反応はほとんど進行しない。具体的には、BCC相の重量割合が2wt%以上20wt%未満の場合には、C14型ラーベス相の格子体積を0.165nm3以上0.166nm3以下とすることが望ましい。また、BCC相の重量割合が20wt%以上50wt%未満の場合には、C14型ラーベス相の格子体積を0.164nm3以上0.166nm3以下とすることが望ましい。
C14型ラーベス相の格子体積は、例えば、CuΚα線を用いた粉末法によるX線回折測定により求めればよい。この場合、X線回折パターンにおける(110)面の回折角から格子定数a(nm)を求め、(004)面の回折角から格子定数c(nm)を求める。これら格子定数の値から、式[S=√3・a2・c/2]により、格子体積S(nm3)を算出すればよい。
本発明の水素吸蔵複合体は、上記結晶構造を有するものであれば、その組成が特に限定されるものではない。例えば、低温での水素吸蔵量が大きいという観点から、Ti、Cr、Mnを含む組成が望ましい。さらに、酸化反応の抑制を考慮した場合には、Ti、Cr、Mnに加えてV、Mo、W、Al等を含むことが望ましい。特に、Ti、Cr、V、Mnからなる組成は、低温での水素吸蔵量が大きく、酸化反応も進行し難いため好適である。具体的には、Ti0.339Cr0.326Mn0.2540.081、Ti0.325Cr0.339Mn0.2300.106、Ti0.317Cr0.343Mn0.2120.129、Ti0.352Cr0.324Mn0.2820.042、Ti0.289Cr0.362Mn0.1900.159、Ti0.239Cr0.362Mn0.2110.129、Ti0.314Cr0.363Mn0.2630.060等が挙げられる。
〈水素吸蔵複合体の製造方法〉
本発明の水素吸蔵複合体の製造方法では、BCC構造を有するBCC合金と、C14型ラーベス相合金とを混合し、1100℃以上1750℃以下の温度で加熱することにより、該BCC合金と該C14型ラーベス相合金とを部分溶解させて複合化する。
使用するBCC合金、C14型ラーベス相合金は、目的とする水素吸蔵複合体に応じて、適宜選択すればよい。例えば、TiCrVMn四元系の水素吸蔵複合体を製造する場合には、BCC合金として、Ti0.26Cr0.340.40、Ti0.15Cr0.500.35、Ti0.26Cr0.500.25、Ti0.16Cr0.400.45、Ti0.17Cr0.480.35等を用いればよい。また、C14型ラーベス相合金として、TiCrMn、Ti1.1CrMn、Ti1.2Cr1.2Mn0.8、Ti1.2CrMn、Ti1.2Cr1.4Mn0.6、Ti1.2Cr1.9Mn0.1、Ti1.1Cr1.2Mn0.8等を用いればよい。特に、解離圧の高いTiCrMn、Ti1.1CrMn等を用いると好適である。
BCC合金およびC14型ラーベス相合金は、それぞれの一種ずつを用いてもよく、また、それぞれから選ばれる二種以上を用いてもよい。両合金の混合は、乳鉢、ボールミル等の通常の混合手段を用いて行えばよい。
両合金を混合した後、所定の温度に加熱して、両合金を部分溶解させて複合化する。加熱時の雰囲気は、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気とすることが望ましい。また、加熱温度は1100℃以上1750℃以下とする。1100℃未満では、部分溶解が不充分であり、反対に、1750℃を超えると、完全に溶解してしまうからである。加熱時間は、合金の量等に応じて適宜決定すればよく、例えば0.05〜1時間程度とすればよい。そして、加熱後に自然冷却することで、本発明の水素吸蔵複合体を得ることができる。
なお、BCC合金とC14型ラーベス相合金との混合割合、および加熱する温度等により、生成されるBCC相の重量割合、およびC14型ラーベス相の格子体積が変化する。例えば、加熱温度が同じであれば、BCC合金の混合割合を大きくするほど、製造された水素吸蔵複合体におけるBCC相の重量割合は大きくなる。したがって、両合金の混合割合および加熱温度等を適宜調整して、目的とする水素吸蔵複合体を得ればよい。
上記実施の形態に基づいて、種々の水素吸蔵複合体を製造した。そして、製造した水素吸蔵複合体に対し、常温および低温下で水素を吸蔵・放出させ、その有効水素量を測定するとともに、水素吸蔵・放出後の大気曝露試験を行った。以下、順に説明する。
(1)第一シリーズの水素吸蔵複合体
(a)水素吸蔵複合体の製造
BCC合金としてTi0.26Cr0.340.40を、C14型ラーベス相合金としてTiCrMnを用いて、種々の水素吸蔵複合体を製造した。まず、Ti0.26Cr0.340.40をアーク溶解法により製造した。原料として使用したチタン、クロム、バナジウムは、いずれも純度99%以上であり、原料の均一性を高めるため、3〜4回再溶解した。同様に、TiCrMnをアーク溶解法により製造した。原料として使用したチタン、クロム、マンガンは、いずれも純度99%以上であり、原料の均一性を高めるため、3〜4回再溶解した。
次に、Ti0.26Cr0.340.40とTiCrMnとを、下記表1に示す種々の割合で混合し、アルゴンガス雰囲気中、同表1に示す各温度にてそれぞれ0.05〜1時間程度加熱した。その後、自然冷却して種々の水素吸蔵複合体を得た。
得られた水素吸蔵複合体について、CuΚα線を用いた粉末法によるX線回折測定を行った。そして、X線回折パターンにおける(004)面の反射強度と、(200)面の反射強度とから、BCC相の重量割合(wt%)を求めた。また、X線回折パターンにおける(110)面の回折角から格子定数a(nm)を、(004)面の回折角から格子定数c(nm)をそれぞれ求め、式[S=√3・a2・c/2]により、格子体積S(nm3)を算出した。
(b)有効水素量の測定および大気曝露試験
製造した各水素吸蔵複合体に、所定の条件下で水素を吸蔵・放出させ、各水素吸蔵複合体の水素吸蔵・放出量を、PCT特性測定装置(鈴木商館社製)を用いて測定した。水素吸蔵・放出量の測定は、二つの条件で行った。一つは、温度−40℃、圧力0.1〜9MPaにて行った。もう一つは、温度25℃、圧力0.1〜25MPaにて行った。ここで、各条件下で水素吸蔵複合体から放出された水素の重量を、水素吸蔵複合体の重量で除した値を有効水素量とした。また、水素吸蔵・放出後の各水素吸蔵複合体を大気に曝し、目視観察により急激な酸化反応の有無を調べた。水素吸蔵複合体の各条件下における有効水素量、および大気中での酸化の有無を、製造時の加熱温度、BCC相の重量割合等とともに表1に示す。なお、表1には、原料として使用したBCC合金(Ti0.26Cr0.340.40)、C14型ラーベス相合金(TiCrMn)についての結果も併せて示す。
Figure 2005163061
表1に示すように、BCC相の重量割合が2wt%以上50wt%未満である水素吸蔵複合体では、−40℃という低温下でも水素が放出されることがわかる。またそれらの有効水素量は0.60wt%以上であり、BCC相を含まないTiCrMnの有効水素量(0.45wt%)より大きくなった。一方、BCC相のみからなるTi0.26Cr0.340.40の低温下での有効水素量は0wt%であり、Ti0.26Cr0.340.40は低温下では全く水素を放出しないことがわかる。同様に、BCC相の重量割合が50wt%を超え、68wt%である水素吸蔵複合体も、低温になると水素をほとんど放出しなかった。
また、BCC相の重量割合が20wt%以上50wt%未満であり、かつC14型ラーベス相の格子体積が0.164nm3以上0.166nm3以下である四種類の水素吸蔵複合体では、大気に曝されても急激な酸化反応は見られなかった。これは、BCC相の重量割合とC14型ラーベス相の格子体積とが上記範囲に特定されたことで、水素吸蔵・放出に伴う微粉化が効果的に抑制され、酸化反応が進行し難くなったためと考えられる。
なお、BCC合金とC14型ラーベス相合金との混合割合が同じであっても、加熱温度が異なれば、BCC相の重量割合は変化した。また、加熱温度が同じであれば、BCC合金の混合割合を大きくするほど、BCC相の重量割合は大きくなった。
(2)第二シリーズの水素吸蔵複合体
(a)水素吸蔵複合体の製造
BCC合金としてTi0.26Cr0.340.40を、C14型ラーベス相合金としてTi1.1CrMnを用い、上記(1)(a)と同様にして種々の水素吸蔵複合体を製造した。すなわち、アーク溶解法により製造したTi0.26Cr0.340.40とTi1.1CrMnとを、下記表2に示す種々の割合で混合し、アルゴンガス雰囲気中、同表2に示す各温度にてそれぞれ0.05〜0.1時間程度加熱した。その後、自然冷却して種々の水素吸蔵複合体を得た。
得られた水素吸蔵複合体について、CuΚα線を用いた粉末法によるX線回折測定を行い、上記同様に、BCC相の重量割合および格子体積S(nm3)を求めた。
(b)有効水素量の測定および大気曝露試験
製造した各水素吸蔵複合体に、上記同様の二つの条件下で水素を吸蔵・放出させ、各水素吸蔵複合体の水素吸蔵・放出量を、PCT特性測定装置(鈴木商館社製)を用いて測定した。ここで、各条件下で水素吸蔵複合体から放出された水素の重量を、水素吸蔵複合体の重量で除した値を有効水素量とした。また、水素吸蔵・放出後の各水素吸蔵複合体を大気に曝し、目視観察により急激な酸化反応の有無を調べた。水素吸蔵複合体の各条件下における有効水素量、および大気中での酸化の有無を、製造時の加熱温度、BCC相の重量割合等とともに表2に示す。
Figure 2005163061
表2に示すように、BCC相の重量割合が2wt%以上50wt%未満である水素吸蔵複合体では、−40℃という低温下でも水素が放出されることがわかる。またそれらの有効水素量は1.0wt%以上であり、BCC相を含まないTi1.1CrMnの有効水素量(1.0wt%)と同等以上であった。一方、BCC相のみからなるTi0.26Cr0.340.40は、低温下では全く水素を放出しない。同様に、BCC相の重量割合が50wt%を超える水素吸蔵複合体も、低温になると水素をほとんど放出しなかった。
また、BCC相の重量割合が2wt%以上20wt%未満であり、かつC14型ラーベス相の格子体積が0.165nm3以上0.166nm3以下である四種類の水素吸蔵複合体では、大気に曝されても急激な酸化反応は見られなかった。これは、BCC相の重量割合とC14型ラーベス相の格子体積とが上記範囲に特定されたことで、水素吸蔵・放出に伴う微粉化が効果的に抑制され、酸化反応が進行し難くなったためと考えられる。
なお、BCC合金とC14型ラーベス相合金との混合割合が同じであっても、加熱温度が異なれば、BCC相の重量割合は変化した。加熱温度が1300℃付近で、BCC相の生成の傾向が変化すると考えられる。また、加熱温度が同じであれば、BCC合金の混合割合を大きくするほど、BCC相の重量割合は大きくなった。
以上より、本発明の水素吸蔵複合体は、低温下でも水素を放出でき、また、BCC相の重量割合とC14型ラーベス相の格子体積とが最適化されれば、大気に曝されても酸化反応が進行し難いことが確認された。

Claims (5)

  1. BCC相(体心立方構造)とC14型ラーベス相(六方晶系MgZn2型構造)との混相からなり、
    該BCC相の重量割合は2wt%以上50wt%未満である水素吸蔵複合体。
  2. 前記BCC相の重量割合は2wt%以上20wt%未満であり、
    前記C14型ラーベス相の格子体積は0.165nm3以上0.166nm3以下である請求項1に記載の水素吸蔵複合体。
  3. 前記BCC相の重量割合は20wt%以上50wt%未満であり、
    前記C14型ラーベス相の格子体積は0.164nm3以上0.166nm3以下である請求項1に記載の水素吸蔵複合体。
  4. Ti、Cr、V、Mnを含む請求項1に記載の水素吸蔵複合体。
  5. BCC相(体心立方構造)とC14型ラーベス相(六方晶系MgZn2型構造)との混相からなり、該BCC相の重量割合は2wt%以上50wt%未満である水素吸蔵複合体の製造方法であって、
    BCC構造を有するBCC合金と、C14型ラーベス相合金とを混合し、1100℃以上1750℃以下の温度で加熱することにより、該BCC合金と該C14型ラーベス相合金とを部分溶解させて複合化する水素吸蔵複合体の製造方法。
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