JP2005162972A - 制振材 - Google Patents

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Abstract

【課題】重量や剛性の増加を抑制して、より幅広い温度領域での制振性が向上されている制振材を提供する。
【解決手段】本発明の制振材は、アスファルト、無機充填材、及びポリ乳酸系樹脂材料を含有し、前記ポリ乳酸系樹脂材料は、ガラス転移点を有し、且つ融点を持たないか若しくは80℃以上の融点を有することを特徴とする。この制振材では、制振性に寄与する損失正接値が特異的に高いポリ乳酸系樹脂材料が含まれることによって制振性能が向上されている。80℃未満の領域に融点を有しないポリ乳酸系樹脂材料、特に融点が存在しないポリ乳酸系樹脂材料を含有する場合、振動の損失に寄与する非晶部位が多く、良好な制振性が付与されている。ポリ乳酸系樹脂材料は、より少ない含有量で制振性能を向上できるため、制振材の剛性の増加は抑制されているため、施工時や使用時におけるヒビや割れの発生頻度の増加は抑制されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、構造体の振動面や隙間などに設けられる制振材に関し、特に、車両、船舶、建物などの壁、床、天井などの仕切り面に設けるのに好適な制振材に関する。
アスファルトは、道路舗装や、車両、船舶、建物などの制振材として使用されている。アスファルトは、制振性能及び遮音性能を有しており、さらに、充填剤の他、ポリマー等を添加したり、ポリマー層を付与したりして他の性質が付加された状態で使用する方法が開示されている。例えば、制振性、吸音性、シール性に優れる隙間充填用の積層体として、油展1,2−ポリブタジエンと熱可塑性重合体、無機充填剤等を含有する樹脂層と、アスファルト層とを備える積層体が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、衝撃吸収材、振動吸収材として使用可能なポリウレタン化合物において、振動減衰性を向上させるためにアスファルトを混合することが記載されている(例えば、特許文献2参照)。あるいは、道路舗装に利用されるアスファルトにおいて、低温でも施行可能で轍ができにくい舗装が可能なアスファルト組成物として、骨材と、アスファルトとポリエステル系重合体、例えば、ポリ−ε−カプロラクトンやポリ−β−プロピオラクトン、ポリグリコリド、ポリ乳酸等を含む組成物が記載されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2003−1762号公報 特開平10−330451号公報 特開平4−8766号公報 特開2002−285082号公報
ところで、アスファルトは、一般に、例えば、10〜20℃、あるいはそれ以下等の比較的低温の領域で良好な制振性を発揮するが、例えば、図1の比較例1で示すように、温度が上がるにつれて、指数関数的に制振性能が低下してしまう。このため、車両や建築物など、20℃を越える温度下に晒される構造体において、特に、夏季や晴天時に容易に車内温度が40℃以上となり得る車両においては、高温において、制振性能が低下し、好ましくない振動が発生するおそれがある。高温での制振性能を向上させる方法として、制振材の厚みを増大する方法と、ゴムやアクリル樹脂などの樹脂系成分を添加する方法が公知である。しかしながら、前者では、制振材の容積、重量が大きくなる。また、後者では、樹脂系成分を増大させるにつれて、制振材の剛性が高くなり、ひびや割れが形成されやすくなり、また、敷設場所に沿うように敷設することが困難になる。
そこで、本発明では、重量や剛性の増加を抑制して、より幅広い温度領域での制振性が向上されている制振材を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、アスファルト、無機充填材、及びポリ乳酸系樹脂材料を含有する制振材であって、前記ポリ乳酸系樹脂材料は、ガラス転移点を有し、且つ融点を持たないか若しくは80℃以上の融点を有することを特徴とする。
第1発明によれば、制振性に寄与する損失正接値が特異的に高いポリ乳酸系樹脂材料が含まれることによって制振性能が向上されている。80℃以下の領域に融点を有しないポリ乳酸系樹脂材料、特に融点が存在しないポリ乳酸系樹脂材料を含有する場合、振動の損失に寄与する非晶部位が多く、良好な制振性が付与されている。ポリ乳酸系樹脂材料は、より少ない含有量で制振性能を向上できるため、制振材の剛性の増加は抑制されており、ポリ乳酸系樹脂材料を添加することによる施工時や使用時におけるヒビや割れの発生頻度の増加が抑制されている。
なお、ポリ乳酸系樹脂材料とは、ポリ乳酸のホモポリマー及び乳酸単位を含む種々の共重合体(以下、単に「ポリ乳酸系樹脂」ともいう。)を含み、適宜、ポリ乳酸系樹脂に混合された状態で本来のポリ乳酸系樹脂のガラス転移点とは異なるガラス転移点を有する材料に調製されたブレンド体をも含む。
また、「ガラス転移点を有し、且つ融点を持たないか若しくは80℃以上の融点を有する」ポリ乳酸系樹脂材料とは、以下の材料を意味する。すなわち、融点が存在しないポリ乳酸系樹脂材料は、非晶性で、結晶構造を有しない材料である。一方、80℃以上の融点を有するポリ乳酸系樹脂材料は、少なくとも部分的に結晶構造を有しており、本願発明では、とりわけ80℃未満では、固体状態を維持する材料である。例えば、ポリ乳酸系樹脂材料が共重合体である場合には、2つ以上の融点が80℃以上(を超える)温度領域に有する材料である。更に、これらのポリ乳酸系樹脂材料は、ガラス転移が観察できる程度の非晶性構造を有しているものである。
本発明の第2発明は、第1発明においてポリ乳酸系樹脂材料は、10℃以上80℃以下にガラス転移点を有する制振材である。
第2発明による制振材では、ガラス転移点付近に損失正接値の極大が存在するポリ乳酸系樹脂材料においてガラス転移点が10℃以上80℃以下であるものが選択されているため、より広い温度領域、例えば60℃以下や70℃以下における制振性が良好である。
本発明の第3発明は、第1又は第2発明において、ポリ乳酸系樹脂材料は、10℃以上80℃以下の異なる温度にガラス転移点を有する2種以上のポリ乳酸系樹脂を含有する制振材である。
第3発明による制振材では、60℃〜70℃付近までのより広い範囲においてポリ乳酸系樹脂材料による制振性能が向上されている。
本発明の第4発明は、第1ないし第3発明において、ポリ乳酸系樹脂材料は、ポリ乳酸とテルペンフェノール共重合体とを含有する制振材である。
第4発明による制振材では、テルペンフェノール共重合体によって乳酸単位より構成されるポリマーの結晶性が低下され、且つ乳酸単位より構成されるポリマー鎖の運動を拘束、あるいは活性化させることによって、ガラス転移点がより高くまたは低く調整されたポリ乳酸系樹脂材料により、特に、60〜70℃付近における制振性が向上されている。
本発明の第5発明は、第1ないし第4発明において、ポリ乳酸系樹脂材料中のポリ乳酸系樹脂は、制振材の全重量の4.0%以上10.0%以下である制振材である。
第5発明の制振材では、ポリ乳酸系樹脂によって制振性が良好に向上されているとともに、アスファルトによる柔軟性や弾性が良好に保持されている。
また、本発明の第6発明は、アスファルトと、無機充填材と、ポリ乳酸系樹脂材料とを含有し、前記ポリ乳酸系樹脂材料は10℃以上80℃以下の温度において損失正接値の極大値を有することを特徴とする、制振材である。
第6発明によれば、ポリ乳酸系樹脂材料の損失正接値の極大が10℃以上80℃以下の範囲にあるため、ポリ乳酸系樹脂材料に起因する制振の効果が10℃以上80℃以下、及びその周辺においてより大きくなる。このため、制振性を求める温度領域に損失正接値の極大値を有するポリ乳酸系樹脂材料が含まれ、アスファルトが含まれる制振材では、重量や剛性の増加が抑制された状態で制振性がより広い温度領域で良好になっている。
また、第7発明は、第6発明において、ポリ乳酸系樹脂材料の損失正接値の極大値が1.0以上である制振材である。
第7発明によれば、損失正接値の極大値が1.0以上であるポリ乳酸系樹脂材料が含まれており、より少ない量のポリ乳酸系樹脂材料によって有意の制振性が発揮される制振材となっている。
本発明によれば、重量や剛性の増加を抑制して、より幅広い温度領域での制振性が向上されている制振材を提供することにより、制振材の施工や設置が容易で、所定の温度領域において良好に制振することができる。
以下に本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明に係る制振材は、アスファルト、無機充填材、及びポリ乳酸系樹脂材料を含有する制振材であって、前記ポリ乳酸系樹脂材料は、ガラス転移点を有し、且つ融点が存在しないか若しくは80℃以上であることを特徴とする。これらの配合割合は、特に限定されないが、アスファルトは100重量部以上200重量部以下、無機充填材は100重量以上300重量部以下、ポリ乳酸系樹脂材料は10重量部以上100重量部以下であることが好ましい。特に、アスファルトが200重量部を超えると耐熱性が低下しすぎるおそれがある。また、ポリ乳酸系樹脂材料が10重量部未満であると、ポリ乳酸系樹脂材料による効果が得られにくい。以下、各成分について説明する。
アスファルトは、特に限定されず、天然由来、あるいは石油資源由来の公知のアスファルトを使用することができる。具体的には、例えば、天然由来のアスファルトとして、ギルソナイト、グラルマイト、グランスピッチ等のアスファルタイト、トリニダットアスファルトなどのレークアスファルト、ロックアスファルトを用いることができる。また、石油資源由来のアスファルトとしては、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファルト、カットバックアスファルトなどを用いることができる。アスファルトは、JISK2207の規定に基づく針入度が10〜200であることが好ましい。また、好ましくは、JISK2207の規定に基づく軟化点が30〜100℃のアスファルトを用いる。典型的には、ストレートアスファルト、ブローンアスファルトが好適である。
無機充填材は、公知の種々の種類を使用することができ、特に限定されない。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、タルク、クレー、酸化亜鉛等の顔料類、マイカ、アルミナ、プラスチックバルーン、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、炭素中空球等の中空状充填材を使用することができる。無機充填材のうち、顔料類などでは、表面が脂肪酸等で処理されている材料であると、制振材材料中に良好に分散させることができ、好ましい。無機充填材の存在により、アスファルトの制振性、特に−10℃〜10℃までの低温における制振性が良好に向上されている。
また、副資材としては、上述のものの他、繊維がある。繊維は、特に限定されず、公知の繊維を使用することができ、合成樹脂繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、カーボン繊維を用いることができる。繊維が添加されている制振材は、剛性が高くなるため、好ましい。添加される繊維の繊維径や繊維長は特に限定されず、制振材に好ましい剛性や制振性を付与できればよい。例えば、車両の車体の各部位に設けられる制振材では、繊維径2〜100μm、繊維長1.5〜15mmのフィラーが好適である。
無機充填材は、上述の粒状、あるいは粉状の顔料や各種バルーンを単独又は複数組み合わせて使用することができ、これらの材料に組み合わせて1種以上の繊維を組み合わせることが好ましい。
ポリ乳酸系樹脂材料は、乳酸単位を有する高分子鎖を含むポリ乳酸系樹脂を含有する樹脂材料である。ポリ乳酸系樹脂材料は、ポリ乳酸系樹脂を1種以上含んでいる。
ポリ乳酸系樹脂は、乳酸単位を有するポリマー又はポリマーに所定の添加剤が所定量だけ添加されているポリマー混合物であって、融点が存在しない又は80℃以下に融点を有しない材料である。具体的には、ポリ乳酸系樹脂は、ポリ乳酸ホモポリマー、ポリ乳酸共重合体、またはポリ乳酸ブレンド体の少なくとも一種を含む。
ここで、ポリ乳酸系樹脂、特にポリ乳酸は、ガラス転移点付近において制振性能の指標の1つである損失正接が極大を示す。このため、所定の温度付近にガラス転移点を有するポリ乳酸系樹脂を用いることにより、当該所定の温度付近での制振性を向上させることができる。したがって、通常の使用状態で起こり得る温度範囲内にガラス転移点を有するポリ乳酸系樹脂を用いることが好ましく、特に、アスファルトによって制振性が確保されない温度領域、例えば、10℃以上にガラス転移点を有するポリ乳酸系樹脂が好ましい。例えば、車両では、0℃〜10℃以上80℃以下における制振性がポリ乳酸系樹脂によって向上されることが好ましく、ガラス転移点が10℃以上80℃以下のポリ乳酸系樹脂を用いることが好ましい。また、制振材に含まれるポリ乳酸系樹脂は、一種類でもよいが、異なるガラス転移点を有する二種以上であると、より広い温度領域においてより良好な制振性を有する制振材となるため、好ましい。
また、ポリ乳酸系樹脂材料は、結晶性が高くないことが好ましい。ポリ乳酸系樹脂材料においては、制振性能は、結晶を構成しない非晶部位に依るところが大きい。このため、80℃以下において融点を有しないポリ乳酸系樹脂材料が選択される。実質的には、ポリ乳酸系樹脂材料は融点を有しないことが好ましい。すなわち、明確な融点を有しない程度に、溶融に必要な熱エネルギーが一定でない非晶部位を多く有するポリ乳酸系樹脂材料であると、損失正接がより高いため、好ましい。
ここで、本明細書におけるポリ乳酸系樹脂材料の損失正接値(tanδ)は、以下に示す式により算出される値である。
Tanδ=G”/G’
ここで、G’は貯蔵弾性率、G”は損失弾性率
損失正接値(tanδ)は、JIS K7244に準拠する動的機械特性の曲げ振動試験により測定される値とする。また、貯蔵弾性率および損失弾性率は、JIS K7244に準拠する動的粘弾性測定を以下の試験条件で行うことによって得られる値とする。
試験片形状:L55mm×W10mm×D1mm
昇温速度:5℃/min、歪み:0.05%、周波数:1Hz、試験温度:−50℃〜200℃
ポリ乳酸系樹脂材料は、10℃以上80℃以下の範囲に損失正接値の極大値を有することが好ましい。この場合、アスファルトによって制振性を得にくい温度領域での制振性が、ポリ乳酸系樹脂材料によって向上される。ポリ乳酸系樹脂、特にポリ乳酸では、その損失正接値の極大値は、ガラス転移点またはその近傍であることがわかっており、ガラス転移点を選択することにより、損失正接値の温度領域をある程度特定することができる。
また、ポリ乳酸系樹脂材料の損失正接値の極大値は、1.0以上であると、制振性が良好に付与されるため、好ましい。より好ましくは、損失正接値の極大値は、2.0以上である。
ポリ乳酸ホモポリマーとしてはD−乳酸、L−乳酸のいずれかのみからなるポリマーでも良いが、結晶性が低いポリマーであることが好ましいため、D−乳酸とL−乳酸とが混在するポリマーが好ましい。例えば、D−乳酸とL−乳酸との存在比は、モル比においてL/D=75/25〜25/75の範囲であると、十分に結晶性が低くなり、好ましい。ポリ乳酸ホモポリマーの製造方法は、特に限定されず、乳酸モノマーの直接脱水縮合や、乳酸ダイマーであるL−ラクチド(2つのL−乳酸の環状2量体)、D−ラクチド(2つのD−乳酸の環状2量体)、メソ−ラクチド(D−乳酸とL−乳酸との環状2量体)の少なくとも一種の開環重合によって得ることができる。これにより、D−乳酸またはL−乳酸のホモポリマー又はD−乳酸とL−乳酸との共重合体が得られる。なお、ポリ−L−乳酸の一般的なガラス転移点は60℃前後である。
ポリ乳酸共重合体は、乳酸またはラクチドと、これらとは異なるモノマー又はダイマー等のオリゴマー、あるいはポリマーといった他の成分とを重合して得られるポリマーである。乳酸と重合される他の成分は、重合によってポリエステルの分子鎖を形成し得る分子群である。このような分子群には、例えば、ジカルボン酸および多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、また末端にこれらの基を有するポリマー、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネートを挙げることができる。
具体的には、例えば、ジカルボン酸として、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などが挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールにエチレンオキサイドを付加反応させて得られるものなど芳香族多価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール等の脂肪族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテルグリコールが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等を挙げることができる。また、ラクトンとしては、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
これらのポリ乳酸系樹脂(ポリ乳酸ホモポリマー、またはポリ乳酸共重合体)は、特に限定されないが、重量平均分子量で2000以上、1000000以下であることが好ましい。特に、耐湿熱安定性の観点から、重量平均分子量が50000以上、300000以下であることが好ましい。ただし、本発明におけるポリ乳酸系樹脂のうち、非晶部位が制振性に寄与するため、重量平均分子量が50000以下である比較的低分子量においても良好な特性が得られる。重量平均分子量が2000未満では加水分解が進行しやすく安定性の観点から好ましくない。また、重量平均分子量が1000000を超える場合は、溶融粘度が高く混練分散性の観点から好ましくない。
これらのポリ乳酸系樹脂は、ガラス転移点を制御できる制御成分を含有していても良い。これら制御成分が添加されることにより、ポリ乳酸系樹脂のガラス転移点を上昇、あるいは下降させることが可能になる。制御成分としては、公知の可塑剤、テルペンフェノール共重合体が含まれる。
可塑剤は、ポリ乳酸系樹脂にブレンドされて、ガラス転移点を低下させることができる。このような可塑剤としては、公知の可塑剤を用いることができる。例えば、乳酸誘導体、芳香族二塩基酸エステル類、脂肪族二塩基酸エステル類を用いることができ、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、グリコール酸誘導体、エーテルエステル誘導体、グリセリン誘導体、アルキルリン酸エステル、ジアルキルエーテル、ジエステル、トリカルボン酸エステル、ポリエステル、ポリグリコールジエステル、アルキルアルキルエーテルジエステル、脂肪族ジエステル、アルキルエーテルモノエステル、クエン酸エステル、芳香族炭化水素よりなる群から選択される一種以上を用いることができる。フタル酸ジエステル、エーテルエステルは、好適に使用することができる。より詳細には、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、エチルフタリルエチルグリコレート、トリエチレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、アセチルクエン酸トリブチル、トリアセチンよりなる群から選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。また、ポリ乳酸の溶解性パラメータ(SP(σ)値)は9.7前後であることから、このポリ乳酸の溶解性パラメータに近い溶解性パラメータを有する可塑剤であると、相溶性が高く、好ましい。したがって、SP(σ)値が9.0〜11.0の範囲である可塑剤が好ましく、9.0未満、又は11.0を超えると混合状態が不安定になりやすい。より好ましくは、9.5〜10.5の範囲である可塑剤を用いる。
可塑剤が添加されているポリ乳酸系樹脂では、可塑剤がポリ乳酸またはポリ乳酸共重合体の分子鎖間の滑りを向上させて可塑化する。したがって、可塑剤は、分子鎖の間において十分な滑りの効果を奏するように、重量平均分子量100〜5000であることが好ましい。重量平均分子量が100未満の可塑剤では小さすぎて良好な可塑効果が得られにくい。重量平均分子量5000を超える可塑剤では大きすぎて、特に液化、気化が不良であり、良好な可塑効果が得られにくい。より好ましくは、可塑剤の重量平均分子量は200〜3000である。
可塑剤のポリ乳酸系樹脂への添加量は、特に限定されないが、好ましくは、ポリ乳酸系樹脂に対して5.0重量部以上30.0重量部以下である。この範囲であると、良好に可塑化されてガラス転移点が下がる。
テルペンフェノール共重合体は、天然又は合成の環状テルペンとフェノール類との共重合を用いて得られる共重合体である。より詳細には、以下の共重合体を挙げることができる。
a)環状テルペン1分子に対してフェノール類2分子の割合で付加させた環状テルペン/フェノール類1モル/2モル付加体。
b)環状テルペン/フェノール類1モル/2モル付加体をアルデヒド類又はケトン類と縮重合させて得られるポリ環状テルペン/フェノール類1モル/2モル付加体。
c)環状テルペン1分子に対してフェノール類1分子の割合で付加させた環状テルペン/フェノール類1モル/1モル付加体をアルデヒド類又はケトン類と縮重合させて得られるポリ環状テルペン/フェノール類1モル/1モル付加体。
これらの少なくとも1種を主成分として含むことが好ましく、これ以外のテルペンフェノール共重合体を含んでいても良い。また、テルペン重合体が含まれてもよく、テルペン重合体を単独、またはテルペンフェノール共重合体の1種以上と混合して用いても良い。
テルペンフェノール共重合体は、そのフェノールの付加形態によって、ガラス転移点を上昇させる効果、または下降させる効果を有する。典型的には、ガラス転移点を上昇させるテルペンフェノール共重合体は、常温で固体状態を保持し得る共重合体である。このようなテルペンフェノール共重合体は、例えば、フリーデルクラフツ反応によってテルペン類にフェノール類を付加することによって得ることができ、例えば、環状テルペン1モルに対してフェノール類0.1〜12モルを付加させることができる。このようなテルペンフェノール共重合体が添加されているポリ乳酸系樹脂、特にポリ乳酸では、テルペンフェノール共重合体の存在によってポリ乳酸の結晶形成が阻害されるため、ガラス転移点が上昇する。これにより、より高温における制振性が高いポリ乳酸形樹脂となる。
また、ガラス転移点を下降させるテルペンフェノール共重合体は、典型的には常温で液体状態を保持し得る共重合体である。このようなテルペンフェノール共重合体は、例えば、テルペン類に酸性下での付加反応によってフェノール類を付加することによって得られ、例えば、環状テルペン1モルに対してフェノール類0.5〜6モルを付加させることができる。このようなテルペンフェノール共重合体が添加されているポリ乳酸系樹脂では、可塑剤を添加した場合と同様、ポリ乳酸系樹脂の滑りが向上し、ガラス転移点が下降する。
テルペンフェノール共重合体のポリ乳酸系樹脂への添加量は、重量比においてポリ乳酸/テルペンフェノール共重合体=30/80〜90/10の範囲であることが好ましい。テルペンフェノール共重合体の割合がポリ乳酸との和の重量に対して10%未満であると、テルペンフェノール共重合体による結晶形成の阻害やガラス転移点の低下があまり現われない。一方、テルペンフェノール共重合体の割合がポリ乳酸との和の重量に対して80%を超えると、ポリ乳酸系樹脂に由来する損失正接値が低下し、良好な制振性が得られにくい。テルペンフェノール共重合体は、接着性改良性能も有しており、混練分散性や設置部位への固着強度の向上にも寄与し得る。
これらのポリ乳酸系樹脂材料におけるポリ乳酸ホモポリマーあるいはポリ乳酸共重合体、ポリ乳酸ブレンド体は、カルボキシル末端が、カルボジイミド、エポキシド、オキサゾリン、オキサジン、アジリジン、ジオール、長鎖アルコール、イソシアネート等によって処理されていても良い。これらによってカルボキシル基が封止されているポリ乳酸系樹脂材料では、耐加水分解性あるいは耐生分解性が向上されており、耐水性、耐用性が良好である。
なお、ポリ乳酸系樹脂材料には、ポリ乳酸系樹脂の他、公知の副資材、添加剤が含有されていても良いことは、もちろんである。例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、フィラー、帯電防止剤、離型剤、香料、滑剤、難燃剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、核形成剤などが含まれていてよい。例えば、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などを使用できる。熱安定剤としては、カルボジイミド類の他、上記酸化防止剤を熱安定剤に兼用してもよく、さらにカルボジイミド類と上記酸化防止剤とが組み合わせて添加されていると相乗効果が期待でき、好ましい。また、光安定剤、紫外線吸収材としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードアミン類、ベンゾエート類などのラジカル捕集剤が、特に有効である。
ポリ乳酸系樹脂の制振材中における量は、使用される主たる温度域、例えば、10℃以上60℃以下、10℃以上70℃以下において良好であり、混合組成物、すなわち制振材の成形性や曲げ剛性が確保される範囲である。例えば、制振材の全重量に対して4.0%以上10.0%以下であると、制振性の向上及び弾性や柔軟性の維持が良好であり、好ましい。4.0%未満であると、制振性の向上が得られにくい。また、10.0%を超えると、溶融時のまとまりが悪化し成形性が低下したり、アスファルトによる低温での制振性が低下したりしやすい。
ポリ乳酸系樹脂材料の製造方法は、特に限定されず、上述の性質を備えるポリ乳酸系樹脂が得られれば良い。公知の種々の方法を用いることができる。好ましい方法の例としては、特開平7−33861号公報、特開昭59−96123号公報、高分子討論会予稿集44巻3198−3199頁、米国特許4057537号明細書、公開欧州特許出願第261572号明細書、Polymer Bulletin, 14, 491−495(1985)、Makromol Chem., 187, 1611−1628(1986)、特開平7−247345号公報等の文献に記載されている重合方法や精製操作がある。これらは、公知の方法であるため、詳細な説明は省略する。
これらの材料を用いて制振材を製造する方法は特に限定されない。典型的には、アスファルトと無機充填材とポリ乳酸系樹脂材料とを同時に混練するか、アスファルトと無機充填材とを混連後、ポリ乳酸系樹脂材料を混合した後、圧延成形によって板状に成形する。具体的には、ディゾルバー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、オープンニーダー、真空ニーダー等の混合分散機に、加熱溶融したアスファルトとともに無機充填材およびポリ乳酸系樹脂材料を投入して混合と同時に混練することができる。その後、カレンダーローラなど圧延機によって所望の厚さのシート状、あるいは板状の制振材に成形することができる。あるいは、アスファルトを加熱溶融させるときにポリ乳酸系樹脂材料を投入して混合しておき、その後、無機充填材などを混練して圧延成形することができる。すなわち、制振材の中においては、ポリ乳酸系樹脂材料の形状、状態は特に限定されず、粉状、粒子状で存在していてもよいし、アスファルトと溶融混合された状態であっても良い。
なお、制振材は、典型的には、板状に形成されるが、設置部位に合わせて種々の形状に形成されていて良い。板状の制振材は、適宜、設置される部位の形状にカットされたり、あるいは曲げられたりして、容易に施工でき、好ましい。この制振材は、接着剤や固定具などによって制振使用とする部分に設けることができるが、アスファルトが融着可能な構成面に沿って設ける場合は、加熱によってアスファルトを熱軟化することにより、融着によって固定することができる。接着剤を用いる形態では、予め、制振材は、制振材の一面又は両面に接着剤を塗布して剥離紙を貼った状態や、剥離紙を備える粘着シートや接着テープなどを貼った状態に形成されていても良い。
本発明に係る制振材は、自動車や電車等を含む車両や、船舶などの乗用あるいは運送用の構造体や、建築物、橋梁などの土木構造体など、あるいは、工場等で使用される各種装置など、制振が必要と考えられる種々の部位で使用することができる。特に、振動を伝達する面に面接触させた状態で使用される制振材に好適であり、例えば、車両、船舶、あるいは建築物へ施工される制振材に好適である。例えば、車両では、フロアパネル、ダッシュパネル等のパネル類やトランクルーム構成面などに設けられる制振材により好ましい。
本発明に係る制振材は、アスファルトおよび適宜、無機充填材によって比較的低温、例えば10℃以下において良好な制振性を有するとともに、損失正接値が高いポリ乳酸系樹脂材料によってより高温における制振性を確保することができる。したがって、例えば、10℃以上70℃以下において良好な制振性を維持する制振材になっている。特に、ポリ乳酸系樹脂材料は、損失正接値が高いため、より少ない量で制振性を発揮することができるため、アスファルトを主成分とする制振材が有する、柔軟性や剛性の低下が抑制されている。したがって、従来と同様の作業性を維持するとともにヒビや割れの発生も低下されている。
以下に実施例を記載するが、本発明は当然ながらこれに制限されない。
(試験条件)
実施例におけるポリ乳酸の損失正接値(tanδ)は、(株)島津製作所製動的粘弾性測定装置DVA-300を用いて、JIS K7244に準拠する動的機械特性の曲げ振動試験を下記条件にて実施することにより測定した。
試験片形状:L55mm×W10mm×D1mm
昇温速度 :5℃/min
歪み振幅 :0.05%
周波数 :1Hz
試験温度 :―50℃〜200℃
(ポリ乳酸系樹脂Aの生成)
L−ラクチド72.5重量部とD−ラクチド27.5重量部とを、窒素雰囲気下にて溶融混合し、開環重合触媒としてオクチル酸スズ10ppmを添加して攪拌しながら温度190℃で24時間重合反応させた。次に、未反応ラクチドが1000ppm以下になるよう十分に脱揮して既存のペレタイザを用いてチップ状のポリ乳酸系樹脂Aを得た。
ポリ乳酸系樹脂Aは、重量平均分子量153000であり、ガラス転移点52.0℃で、融点は観測されなかった。また、L−乳酸/D−乳酸の配合モル比は71.0/29.0だった。ポリ乳酸系樹脂Aの損失正接値の極大値は4.47であった。
(ポリ乳酸系樹脂Bの生成)
L−ラクチド100重量部を窒素雰囲気下で溶融混合し、開環重合触媒としてオクチル酸スズ10ppmを添加し攪拌しながら温度190℃で24時間重合反応させた。次に、未反応ラクチドが1000ppm以下になるよう十分に脱揮して既存のペレタイザにてチップ状のポリ乳酸系樹脂Bを得た。
ポリ乳酸系樹脂Bは、重量平均分子量は156000であり、ガラス転移点は62.0℃、融点は175.0℃であった。L−乳酸/D−乳酸の配合モル比は98.0/2.0だった。ポリ乳酸系樹脂Bの損失正接値の極大値は2.67であった。
(ポリ乳酸系樹脂Cの生成)
ポリ乳酸系樹脂A100重量部に対して、アセチルクエン酸トリブチルエステルを、定量ポンプで調整して20重量部となるように添加し、2軸混練押出し機で溶融混合してから押出し成形して、チップ状のポリ乳酸系樹脂Cを得た。なお、アセチルクエン酸トリブチルエステルは、可塑剤であり、新日本理化(株)製「サンソサイザーATBC」を用いた。
ポリ乳酸系樹脂Cのガラス転移点は24.9℃、融点は観測されなかった。ポリ乳酸系樹脂Cの損失正接値の極大値は2.59であった。
(ポリ乳酸系樹脂Dの生成)
ポリ乳酸系樹脂Bに等重量のテルペンフェノール共重合体をV型ブレンダに投入してドライブレンドした後、2軸混練押出し機で溶融混合してから押出し成形して、チップ状のポリ乳酸系樹脂Dを得た。なお、テルペンフェノール共重合体としては、ヤスハラケミカル(株)製「マイティエースK−125」を用いた。
ポリ乳酸Dのガラス転移点は70.2℃であり、融点は観測されなかった。ポリ乳酸系樹脂Dの損失正接値の極大値は2.25であった。
なお、ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量については、GPC分析によるポリスチレン換算値であり、ガラス転移点及び融点は、走査型示差熱量計(DSC)により測定した。また、ポリ乳酸系樹脂中のL−乳酸とD−乳酸との存在比は、光学分割カラムを用いたHPLCによる分析によって算出した。
(制振材試料の作成)
実施例1,2,6,7について、表1に示す配合により、アスファルトを加熱溶融した後、フィラー(無機充填材)、アクリル繊維、適宜、再生ポリエチレン、およびポリ乳酸系樹脂材料を添加してオープンニーダーで混練し、ロール式の圧延機で厚さ2.0mmのシート状の制振材を成形した。
実施例3〜5について、表1に示す配合により、アスファルトを加熱溶融させるとともに、ポリ乳酸系樹脂を添加して溶融混合させた後、充填材、アクリル繊維を添加してオープンニーダーで混練し、ロール式の圧延機で厚さ2.0mmのシート状の制振材を成形した。
実施例8〜10について、表2に示す配合により、アスファルトを加熱溶融した後、充填材、アクリル繊維、石油樹脂、ブタジエン樹脂、発泡剤、及びポリ乳酸系樹脂材料を添加してオープンニーダーで混練し、ロール式の圧延機で厚さ1.5mmのシート状の制振材を成形した。
また、比較例1は、表1に示すように、ポリ乳酸系を含まない他は、実施例2と同じ配合で同じ方法によりシート状の制振材に成形した。
また、比較例2は、表2に示すように、ポリ乳酸系樹脂を含まない他は、実施例8と同じ配合で同じ方法によりシート状の制振材に成形した。
Figure 2005162972

Figure 2005162972
ポリ乳酸系樹脂は、予めチップを冷凍粉砕して微粉化したものを使用した。実施例1〜5、実施例8〜10については、ポリ乳酸系樹脂材料としてポリ乳酸系樹脂Aのみを使用した。また、実施例6では、ポリ乳酸系樹脂Aとポリ乳酸系樹脂Cとを重量比1:1で使用した。実施例7では、ポリ乳酸系樹脂Dのみを使用した。
また、全ての実施例及び比較例において、アスファルトは、昭和シェル石油(株)製のストレートアスファルト60/80を、フィラーとしては関東粉化工業(有)製のPA−1(タルク)を、それぞれ使用した。
また、アクリル繊維は(株)桐山化成製のS−Aを、再生ポリエチレンは(株)桐山化成製のR−PEを、石油樹脂は東邦化学工業(株)製のハイレジン#90を、ブタジエン樹脂はJSR(株)製のRB820を、発泡剤は永和化成工業(株)製のFE788を、それぞれ使用した。
(制振性の試験)
厚さ0.8mmの鋼板に各実施例および比較例の制振材を140℃で30分かけて加熱融着し、室温まで冷却した。これを試験片として糸で吊るして一端に加振し、他端で振動を検知する、いわゆる共振法(日本音響材料協会出版「騒音対策ハンドブック」438頁に記載の共振法を参照)により、20℃、40℃、60℃、70℃、80℃における損失係数(η)を求めた。なお、この損失係数(η)は、数値が大きいほど制振効果が高く、0.05以上において制振性能を備える、とされる。実施例1〜7および比較例1の結果を図1に、実施例8〜10および比較例2の結果を図2に、それぞれ示す。
図1に示す結果より、ポリ乳酸系樹脂を含有する実施例1〜7のいずれにおいても40℃〜60℃の範囲においてポリ乳酸系樹脂を含有しない比較例1よりも高い制振性を備えることが明らかとなった。特に、ポリ乳酸系樹脂を重量にして4.0%以上含有する実施例1,2,5〜7では、50℃以下の温度において損失係数が0.05以上を保っており、良好な制振性を備えることが明らかとなった。さらに、ポリ乳酸系樹脂を重量にして10.0%以上含有する実施例2,5〜7では、60℃以下の範囲において損失係数0.05以上を保っていることが明らかとなり、より良好な制振性を備えていることが明らかとなった。なお、ポリ乳酸系樹脂を重量で17.75%含む実施例7では、混練時のまとまりが悪く、成形性が低下していた。また、アスファルトに依存するより低い温度領域、例えば30℃以下での損失係数の低下が大きかった。
また、図2に示す結果より、石油樹脂、ブタジエン樹脂、発泡剤を含有する制振材において、さらにポリ乳酸系樹脂を含有する実施例8〜10は、ポリ乳酸系樹脂を含有しない比較例2と比較して、いずれも60℃〜80℃の領域においてより高い制振性を示した。特に、実施例8〜10では、70℃においても損失係数が0.05を超えており、より広い温度領域で良好な制振性を保持することが明らかとなった。
(遮音性の試験)
実施例2と比較例1の制振性の試験で作成した試験片と同様の試験片を用いてJIS A1416の規定に基づく遮音性測定装置により、音響透過損失値を測定した。測定周波数は1/3オクターブバンドごととし、中心周波数における音圧レベルを測定した。結果を図2に示す。
図3に示すように、ポリ乳酸系樹脂材料の添加によって、遮音性が低下しないことが明らかとなった。特に、比較例1と比べて、実施例2では重量が減少しているのにも関わらず、遮音性が低下していないことから、本願組成を有する材料は、遮音性をも向上させ得ることが明らかとなった。すなわち、アスファルト、無機充填材、およびポリ乳酸系樹脂材料を含有する本発明の制振材は、より広い温度領域での制振性とともに、良好な遮音性をも備え得ることが明らかとなった。
実施例1から7および比較例1における温度と損失係数との関係を示すグラフである。 実施例8から10および比較例2における温度と損失係数との関係を示すグラフである。 実施例1と比較例1の透過損失を示すグラフである。

Claims (7)

  1. アスファルト、無機充填材、及びポリ乳酸系樹脂材料を含有する制振材であって、
    前記ポリ乳酸系樹脂材料は、ガラス転移点を有し、且つ融点を持たないか若しくは80℃以上の融点を有することを特徴とする、制振材。
  2. ポリ乳酸系樹脂材料は、10℃以上80℃以下にガラス転移点を有する、請求項1に記載の制振材。
  3. ポリ乳酸系樹脂材料は、10℃以上80℃以下の異なる温度にガラス転移点を有する2種以上のポリ乳酸系樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の制振材。
  4. ポリ乳酸系樹脂材料は、ポリ乳酸系樹脂とテルペンフェノール共重合体とを含有する、請求項1から3のいずれかに記載の制振材。
  5. ポリ乳酸系樹脂材料中のポリ乳酸系樹脂は、制振材の全重量の4.0%以上10.0%以下である、請求項1から4のいずれかに記載の制振材。
  6. アスファルトと、無機充填材と、ポリ乳酸系樹脂材料とを含有し、前記ポリ乳酸系樹脂材料は10℃以上80℃以下の温度において損失正接値の極大値を有することを特徴とする、制振材。
  7. ポリ乳酸系樹脂材料の損失正接値の極大値が1.0以上である、請求項6に記載の制振材。

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