JP2005162787A - 樹脂組成物およびそれを用いた基板 - Google Patents

樹脂組成物およびそれを用いた基板 Download PDF

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Abstract

【課題】基板を低熱膨張化するとともに加工性を良好にする。
【解決手段】シアネート樹脂と、たとえばシリカ等の球状の第一の充填材と、たとえば焼成タルク等の板状または繊維状の第二の充填材と、を含む樹脂組成物が提供される。ここで、充填材の含有量は、樹脂組成物全体の40重量%以下とする。第一および第二の充填材の少なくともいずれか一方の線膨張係数が1ppm/℃以下である。また前記第1および第二の充填材として、線膨張係数が5ppm/℃以下の材料を用いた組成物が好ましい。該樹脂組成物は硬化させて、厚さ方向の線膨張係数が35ppm/℃以下の基板となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物およびそれを用いた基板に関する。
プリント配線板等の基板を構成するプリプレグは、通常、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性の樹脂組成物をガラスクロス等の基材に含浸した後、加熱乾燥、反応する工程により得られる。このようにして得られたプリプレグを用いて、銅張り積層板やプリント配線板等が製造される。
近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、さらには高密度実装化等が進んでいる。そのため、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等は、従来にも増して、小型化かつ高密度化が進んでいる。これに伴い、このようなプリント配線板において、高耐熱性、低熱膨張化が求められている。
そこで、本発明者らは、プリント配線板を低熱膨張化する技術の検討を行った。その結果、プリント配線板用の銅箔付き絶縁シートを構成する樹脂組成物としてシアネート樹脂を用いることにより、プリント配線板の線膨張係数を低くすることができることを見出した(特許文献1)。
特開2002−299834号公報
しかし、本発明者らのさらなる検討により、樹脂組成物としてシアネート樹脂を用いたプリプレグを積層させたプリント配線板においても、加工性の観点から、さらなる改良の余地があることが判明した。
本発明は上記事情を踏まえてなされたものであり、本発明の目的は、低熱膨張化を実現するとともに、加工性を良好にした樹脂組成物および基板を提供することにある。
本発明者らは、プリント配線板等の基板の低熱膨張化を実現するために、シアネート樹脂および充填材を含む樹脂組成物を用いた場合、ドリル加工時にドリルの摩耗が生じやすいことを発見した。本発明者らは、このようなドリルの摩耗を低減するために、樹脂組成物に含まれる材料の検討を行い、以下の本発明に想到するにいたった。また、本発明者らは、基板の弾性率、または硬度を所定範囲とすることにより、このようなドリルの摩耗性を低減することができることを見出した。
本発明によれば、シアネート樹脂と、充填材とを含む樹脂組成物であって、充填材は、球状の第一の充填材と、板状または繊維状の第二の充填材と、を含む樹脂組成物が提供される。シアネート樹脂は、ノボラック型シアネート樹脂とすることができるが、本発明はこれに限定されない。また、ここで、シアネート樹脂は、そのプレポリマーも含む。本発明の樹脂組成物は、プリント配線板を構成する材料として用いることができる。
本発明において、樹脂組成物は、充填材を必須成分として含む。これにより、基板を低熱膨張化することができる。ここで、板状または繊維状の充填材は、薄片状の充填材も含む。このように、球状の充填材と板状または繊維状の充填材とを併用することにより、樹脂組成物の流動性を良好に制御することができる。これにより、樹脂組成物の加工性を良好にすることができる。
本発明の樹脂組成物において、充填材の含有量は、樹脂組成物全体の40重量%以下とすることができる。
樹脂組成物における充填材の含有量をこの範囲とすることにより、樹脂組成物により基板を作製した場合に、基板のドリル加工を行う際のドリルの摩耗を低減することができる。上述したように、球状の充填材に加えて板状または繊維状の充填材を併用することにより、樹脂組成物における充填材の含有量を低くしても、樹脂組成物の流動性を良好に保つことができる。
本発明の樹脂組成物において、第一の充填材および第二の充填材の少なくともいずれか一方の線膨張係数を1ppm/℃以下とすることができる。
このような材料を用いることにより、樹脂組成物により基板を作製した場合に、基板を効果的に低熱膨張化することができる。また、基板の機械的特性や電気的特性を良好にすることができる。
本発明の樹脂組成物において、第一の充填材および第二の充填材として、線膨張係数が5ppm/℃以下の材料を用いることができる。
このような材料を用いることにより、樹脂組成物により基板を作製した場合に、基板を低熱膨張化することができる。また、基板の機械的特性や電気的特性を良好にすることができる。なお、充填材の線膨張係数の下限はとくに限定されないが、たとえば0.1ppm/℃以上とすることができる。
本発明の樹脂組成物において、第一の充填材および第二の充填材のうち、線膨張係数の大きい方の充填材の含有量を、樹脂組成物全体の35重量%未満とすることができる。
このような構成とすることにより、樹脂組成物により基板を作製した場合に、基板を低熱膨張化することができる。また、基板の電気的特性を良好にすることができる。
本発明の樹脂組成物において、第二の充填材は、焼成タルクとすることができる。
第二の充填材として焼成タルクを用いることにより、樹脂組成物により基板を作製した場合に、基板のドリル加工性を良好にすることができる。また、基板を低熱膨張化することができる。なお、焼成タルクの含有量は、樹脂組成物全体の35重量%未満とすることができる。これにより、基板の電気的特性を良好にすることができる。また、焼成タルクの含有量をこの程度とすることにより、基板の剥離を低減することができる。
本発明の樹脂組成物において、第一の充填材は、シリカとすることができる。
第一の充填材としてシリカを用いることにより、樹脂組成物により基板を作製した場合に、基板を効果的に低熱膨張化することができる。なお、シリカとしては、溶融シリカを用いることができる。また、シリカの平均粒径は、2μm以下とすることができる。これにより、樹脂組成物の流動性を良好にし、樹脂組成物により基板を作製した場合に、基板のドリル加工性を良好にすることができる。
本発明によれば、上記樹脂組成物を硬化させた基板が提供される。ここで、基板の厚さ方向の線膨張係数は、35ppm/℃以下とすることができる。電子機器の高機能化に対応するためには、基板の線膨張係数をこの程度とすることが好ましい。線膨張係数の下限はとくに限定されないが、たとえば5ppm/℃以上とすることができる。これにより、基板上に銅等の導体を形成した場合に、基板と導体との線膨張係数の差を小さくすることができ、導体との界面の応力歪みを低減することができ、剥離等を起こさないようにすることができる。
本発明の基板は、バーコール硬度が80未満とすることができる。これにより、基板へのドリル加工時に、ドリルの摩耗を低減することができ、加工性を良好にすることができる。なお、基板のバーコール硬度の下限は、基板の性能を維持することができる範囲であればとくに限定されないが、たとえば40以上とすることができる。このような範囲とすることにより、基板の剛直性を適度に保つことができる。
本発明の基板は、弾性率が25GPa未満とすることができる。これにより、基板へのドリル加工時に、ドリルの摩耗を低減することができ、加工性を良好にすることができる。なお、基板の弾性率の下限も、基板の性能を維持することができる範囲であればとくに限定されないが、たとえば15GPa以上とすることができる。このような範囲とすることにより、基板の剛直性を適度に保つことができる。
本発明によれば、シアネート樹脂と、充填材と、を含む樹脂組成物を硬化させた基板であって、バーコール硬度が80未満である基板が提供される。これにより、基板へのドリル加工時に、ドリルの摩耗を低減することができ、加工性を良好にすることができる。
本発明によれば、シアネート樹脂と、充填材と、を含む樹脂組成物を硬化させた基板であって、弾性率が25GPa未満である基板が提供される。これにより、基板へのドリル加工時に、ドリルの摩耗を低減することができ、加工性を良好にすることができる。
本発明の基板において、厚さ方向の線膨張係数が35ppm/℃以下とすることができる。これにより、基板と半導体素子との接続信頼性を高めることができる。
本発明の基板において、充填材の含有量が、樹脂組成物全体の40重量%以下とすることができる。これにより、基板のドリル加工性を良好にすることができる。
なお、本発明の樹脂組成物において、シアネート樹脂は、第1のシアネート樹脂と、第1のシアネート樹脂よりも重量平均分子量の低い第2のシアネート樹脂と、を含むことができる。これにより、プリプレグに可撓性を付与することができる。また、本発明の樹脂組成物は、硬化触媒をさらに含むことができる。このような硬化触媒として、フェノール樹脂を用いることができる。また、本発明の樹脂組成物は、第1および第2のシアネート樹脂よりも吸湿性が低い樹脂をさらに含むことができる。このような樹脂として、エポキシ樹脂を用いることができる。
第1のシアネート樹脂の重量平均分子量は、2,000以上とすることができる。第2のシアネート樹脂の重量平均分子量は、1,500以下とすることができる。第2のシアネート樹脂および/または硬化剤の少なくとも一方が常温で液状とすることができる。
本発明によれば、低熱膨張化を実現するとともに、加工性を良好にした基板が提供される。
以下、本発明の樹脂組成物および基板について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、シアネート樹脂および充填材を含む。本発明の基板は、たとえば、樹脂組成物を基材に含浸させて形成されたプリプレグに金属箔を積層して形成される。
まず、樹脂組成物について説明する。
本実施の形態において、樹脂組成物は、シアネート樹脂および/またはそのプレポリマーを含む。このような樹脂組成物を用いてプリント配線板等の基板を作製した場合に、基板を高耐熱かつ低熱膨張とすることができる。
シアネート樹脂および/またはそのプレポリマーは、たとえばハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させることにより得ることができる。樹脂組成物は、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することもできる。
樹脂組成物がシアネート樹脂を含むことにより、プリプレグの耐熱性(ガラス転移温度、熱分解温度)を向上することができる。またプリプレグの熱膨張係数、とくにプリプレグの厚さ方向の熱膨張係数を低下することができる。プリプレグの厚さ方向の熱膨張係数が低下すると、多層プリント配線の応力歪みを軽減できる。さらに、微細な層間接続部を有する多層プリント配線板においては、その接続信頼性を大幅に向上することができる。
具体的には、シアネート樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でもノボラック型シアネート樹脂を含むことが好ましい。
シアネート樹脂としてノボラック型シアネート樹脂を用いることにより、架橋密度増加による耐熱性向上と、樹脂組成物等の難燃性を向上することができる。ノボラック型シアネート樹脂は、その構造上ベンゼン環の割合が高く、炭化しやすいためと考えられる。ノボラック型シアネート樹脂としては、たとえば式(I)で示されるものを使用することができる。
Figure 2005162787
前記式(I)で示されるノボラック型シアネート樹脂のnは、とくに限定されないが、1〜10が好ましく、とくに1〜7が好ましい。下限をこのような範囲とすることにより、ノボラック型シアネート樹脂の結晶化を抑えることができ、汎用溶媒に対する溶解性を良好にすることができ、取り扱いが容易となる。また、上限をこのような範囲とすることにより、架橋密度を適度にすることができ、吸水性の低下や、硬化物の脆さ等を抑えることができる。
シアネート樹脂および/またはそのプレポリマーの重量平均分子量は、とくに限定されないが、500〜4,500が好ましく、とくに600〜3,000が好ましい。下限をこのような範囲とすることにより、プリプレグを作製した場合のタック性の発生を抑えることができ、プリプレグ同士が接触したときに互いに付着したり、樹脂の転写が生じたりすることを防ぐことができる。また、上限をこのような範囲とすることにより、反応速度を適切にすることができ、銅張り積層板とした場合の成形不良を防ぐことができ、また層間ピール強度の低下を抑えることができる。ここで、シアネート樹脂の重量平均分子量は、たとえばゲルパーミエションクロマトグラフィーを用いたポリスチレン換算で測定することができる。以下においても同様である。
シアネート樹脂の含有量は、とくに限定されないが、樹脂組成物全体の5〜90重量%とすることができ、好ましくは10〜50重量%とすることができる。下限をこのような範囲とすることにより、耐熱性や低熱膨張化する効果を充分保つことができる。また、上限をこのような範囲とすることにより、架橋密度を適度にすることができ、自由体積を抑えて耐湿性の低下を防ぐことができる。
本実施の形態における樹脂組成物は、さらに、シアネート樹脂よりも吸湿性が低い樹脂を含むことができる。これにより、とくに吸湿後の半田耐熱性等を向上することができる。
吸湿性が低い樹脂としては、たとえば酸素原子(とくに水酸基の型)の含有量が少ない樹脂が好ましく用いられる。酸素原子の含有量が5重量%以下の樹脂がより好ましく用いられる。また、結晶化度、充填度が大きく、構成分子がC、H、Cl、Fのいずれかのみを含むものが好ましい。このような樹脂として、たとえば、樹脂骨格にナフタレン骨格、ビフェニル骨格、シクロペンタジエン骨格から選ばれる1種以上が導入された樹脂を挙げることができる。
吸湿性が低い樹脂として、エポキシ樹脂を用いることができる。これにより、シアネート樹脂との反応性を向上することができる。エポキシ樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもアリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、吸湿半田耐熱性を向上することができる。アリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に一つ以上のアリールアルキレン基を有するエポキシ樹脂のことをいう。たとえばキシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂が好ましい。ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は、たとえば式(II)で示すことができる。
Figure 2005162787
上記式(II)で示されるビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂のnは、とくに限定されないが、1〜10が好ましく、とくに2〜5が好ましい。下限をこのような範囲とすることにより、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂の結晶化を抑えることができ、汎用溶媒に対する溶解性を良好にすることができ、取り扱いが容易となる。また、上限をこのような範囲とすることにより、流動性を良好にすることができ、成形性を高めることができる。更に、前述のシアネート樹脂および/またはそのプレポリマー(とくにノボラック型シアネート樹脂)とアリールアルキレン型エポキシ樹脂(とくにビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂)との組合せを用いて銅張り積層板を作製した場合、優れた寸法安定性を得ることができる。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、とくに限定されないが、重量平均分子量500〜20,000が好ましく、とくに800〜15,000が好ましい。下限をこのような範囲とすることにより、プリプレグを作製した場合のタック性の発生を抑えることができる。また、上限をこのような範囲とすることにより、基材への含浸性を良好にすることができ、均一な製品を得ることができる。前記エポキシ樹脂の含有量は、とくに限定されないが、樹脂組成物全体の1〜80重量%とすることができ、好ましくは2〜40重量%とすることができる。下限をこのような範囲とすることにより、シアネート樹脂の反応性を良好にすることができ、また、得られる製品の耐湿性を良好にすることができる。また、上限をこのような範囲とすることにより、耐熱性の低下を抑えることができる。
さらに、本実施の形態における樹脂組成物は、硬化触媒を含むことができる。これにより、シアネート樹脂の架橋密度を制御することができる。
硬化触媒は、シアネート樹脂の硬化触媒として、公知のものを用いることができる。たとえば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト等の有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物、フェノール樹脂および有機酸等が挙げられる。これらを単独またはこれらの混合物として用いることができる。これらの中でもフェノール樹脂が好ましく用いられる。
前記硬化触媒の含有量は、とくに限定されないが、たとえば、樹脂組成物全体の0.01〜5重量%とすることができ、好ましくは0.05〜3重量%とすることができる。硬化触媒の含有量が前記範囲内であると、良好な耐湿性、耐熱性を得ることができる。
また、前記吸湿性の低い樹脂を含有し、その硬化剤としても作用する硬化触媒を用いる場合の硬化触媒の含有量は、前記吸湿性の低い樹脂官能基当量の50〜100%官能基当量が好ましく、かつ樹脂組成物全体の20重量%以下が好ましい。硬化剤の含有量が前記範囲内であると、良好な耐湿性、耐熱性を得ることができる。
また、前記吸湿性の低い樹脂の硬化剤としても作用する硬化触媒は、とくに限定されないが、常温で液状のものを使用することができる。
硬化触媒として用いる場合、フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アリールアルキレン型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でもアリールアルキレン型フェノール樹脂が好ましく用いられる。これにより、さらに耐熱性を向上させることができる。アリールアルキレン型フェノール樹脂としては、たとえばキシリレン型フェノール樹脂、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂等が挙げられる。ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂は、たとえば式(III)で示すことができる。
Figure 2005162787
上記式(III)で示されるビフェニルジメチレン型フェノール樹脂のnは、とくに限定されないが、1〜12が好ましく、とくに2〜8が好ましい。下限をこのような範囲とすることにより、耐熱性を保つことができる。また、上限をこのような範囲とすることにより、他の樹脂との相溶性を良好にすることができ、作業性を良好にすることができる。シアネート樹脂および/またはそのプレポリマーとアリールアルキレン型フェノール樹脂との組合せにより、架橋密度をコントロールし、金属と樹脂との密着性を向上することができる。とくにノボラック型シアネート樹脂を用いた場合、より一層このような効果を得ることができる。
本実施の形態において、フェノール樹脂は、硬化触媒として機能するとともに、エポキシ樹脂の硬化剤としても機能する。フェノール樹脂の含有量は、とくに限定されないが、樹脂組成物全体の5〜40重量%とすることができ、好ましくは8〜20重量%とすることができる。下限をこのような範囲とすることにより、耐熱性を良好に保つことができる。また、上限をこのような範囲とすることにより、低熱膨張の特性を保つことができる。前記フェノール樹脂の重量平均分子量は、とくに限定されないが、重量平均分子量400〜18,000が好ましく、とくに500〜15,000が好ましい。下限をこのような範囲とすることにより、プリプレグへのタック性の発生を抑えることができる。また、上限をこのような範囲とすることにより、プリプレグ作製時の基材への含浸性を良好にすることができ、均一な製品を得ることができる。
本実施の形態における樹脂組成物は、充填材を含む。充填材は、球状の第一の充填材と、板状または繊維状の第二の充填材とを含む。第一の充填材および第二の充填材としては、無機材料を用いることができる。樹脂組成物に充填材を含有させることにより、樹脂組成物を用いてプリント配線板等の基板を作製した場合に、基板を低熱膨張化することができる。また、樹脂組成物に充填材を含有させることにより、樹脂組成物の流動性を制御することができ、基板への成形性を良好にすることができる。さらに、樹脂組成物に充填材を含有させることにより、基板の難燃性の向上が図られる。
本実施の形態において、樹脂組成物が球状の第一の充填材を含むので、樹脂組成物の流動性をより制御しやすくすることができる。これにより、樹脂フロー状態を良好にすることができる。樹脂フロー状態を良好にすることができると、プリプレグを基板に成形する際の成形性を向上することができる。このような球状の第一の充填材の平均粒径は、とくに限定されないが、2μm以下とすることが好ましく、とくに0.2〜1μmとすることが好ましい。第一の充填材の平均粒径が前記範囲内であると、樹脂の流動性をより良好に制御することができる。また、マイクロクラックの成長を抑制でき、基板のドリル加工性を良好にすることができる。第一の充填材の平均粒径の下限を0.2μm以上とすることにより、チキソ性を抑えることができ、樹脂の流動性を良好にすることができるため、プリプレグを基板に成形する際の成形性を良好にすることができる。また、第一の充填材の平均粒径の上限を2μm以下とすることにより、基板のドリル加工時のドリルの磨耗を低減することができる。
上述したように、樹脂組成物中に充填材を含有させることにより、基板を低膨張化したり、樹脂組成物の流動性を制御したり、基板の難燃性を向上させることができる。しかし、樹脂組成物中の充填材の含有量が多すぎると、樹脂組成物を硬化させた基板のドリル加工性が低下してしまう。このような観点からは、充填材の含有量は、樹脂組成物全体の40重量%以下とすることが好ましい。樹脂組成物中の充填材の含有量をこの程度にすることにより、樹脂組成物を硬化させた基板の硬度を低く保つことができる。また、基板の弾性率を低く保つこともできる。これにより、基板のドリル可能性を良好にすることができる。
ところで、充填材として球状の第一の充填材のみを用いると、樹脂組成物中の充填材の含有量をある程度多くしないと、樹脂組成物の樹脂フローが大きくなりすぎ、プリプレグを基板に成形する際に加工性が低下してしまう場合がある。本実施の形態において、樹脂組成物は、球状の第一の充填材に加えて、板状または繊維状の第二の充填材を含むので、樹脂組成物中の充填材の含有量が上記範囲となるように制御しつつ、樹脂組成物の流動性を良好に制御することができる。これにより、樹脂組成物の成形性を良好にすることができる。
また、充填材としては、線膨張係数の低い材料が好ましく用いられる。本実施の形態において、第一の充填材としては、線膨張係数が1ppm/℃以下の材料を用いることができる。より好ましくは、第一の充填材としては、線膨張係数が0.6ppm/℃以下の材料を用いることができる。このような材料としては、シリカ等の酸化物が好ましく用いられる。また、シリカの中でも溶融シリカがより好ましい。これにより、基板をより低熱膨張化することができる。とくに、基板の厚さ方向の熱膨張係数を低下することができる。樹脂組成物にこのような材料を含有させることにより、この樹脂組成物により構成される基板の線膨張係数を効果的に低くすることができる。
また、第二の充填材としても、線膨張係数の低い材料が好ましく用いられる。たとえば、第二の充填材として、線膨張係数が5ppm/℃以下の材料を用いることが好ましい。より好ましくは、第二の充填材としては、線膨張係数が2ppm/℃以下の材料を用いることができる。これにより、この樹脂組成物により構成される基板の線膨張係数を低くすることができる。
このような材料としては、タルクが好ましく用いられる。これにより、基板の硬度を低くするとともに、線膨張係数を低くすることができる。また、タルクの中でも、焼成タルクがより好ましく用いられる。第二の充填材として焼成タルクを用いることにより、プリプレグや基板における剥離や絶縁性低下等の問題を低減することができる。なお、第二の充填材として、焼成タルクとタルクを併用して用いることもできる。これにより、プリプレグや基板における剥離を低減することができるとともに、ドリル加工性等の加工性を良好にすることができる。
また、上述したものに加えて、充填材として、クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、アルミナ等をさらに含有させることもできる。この場合も、充填材全体の含有量は、樹脂組成物全体の40重量%以下とすることが好ましい。
なお、充填材の含有量の下限は、とくに限定されないが、基板の低熱膨張をある程度に保つためには、樹脂組成物全体に対して10重量%以上、より好ましくは20重量%以上とすることができる。充填材の含有量の範囲をこのような範囲とすることにより、基板を低熱膨張、低吸水とすることができる。また、充填材の含有量をこのような範囲とすることにより、樹脂組成物にチキソ性を付与することができる。樹脂組成物にチキソ性が付与されると、樹脂組成物からプリプレグをプレス成形する際に、樹脂フローを良好に制御することができる。
さらに、本実施の形態の樹脂組成物では、とくに限定されないが、カップリング剤を用いることが好ましい。カップリング剤は樹脂と充填材の界面の濡れ性を向上させることにより、基材に対して樹脂および充填材を均一に定着させ、耐熱性、とくに吸湿後の半田耐熱性を改良するために配合する。カップリング剤としては通常用いられるものならどのようなものでも使用できるが、これらの中でもエポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アミノシランカップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。これにより、充填材界面との濡れ性が高く、耐熱性向上の点で好ましい。本実施の形態において、カップリング剤は、充填材に対して0.05重量%以上、3重量%以下とすることが望ましい。下限をこのような範囲とすることにより、充填材を充分に被覆することができ、充分な耐熱性を得ることができる。上限をこのような範囲とすることにより、反応への影響を与えることなく、曲げ強度等も良好に保つことができる。
本実施の形態の樹脂組成物では、必要に応じて、上記成分以外の添加物を特性を損なわない範囲で添加することができる。
次に、本実施の形態におけるプリプレグについて説明する。
本実施の形態のプリプレグは、上記樹脂組成物を基材に含浸して構成される。これにより、成形性に優れたプリプレグを得ることができる。
プリプレグは、シート状基材と樹脂組成物を含む。シート状基材としては、たとえばガラス織布、ガラス不繊布、ガラスペーパー等のガラス繊維基材、紙(パルプ)、アラミド、ポリエステル、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂等の有機繊維からなる織布や不織布、金属繊維、カーボン繊維、鉱物繊維等からなる織布、不織布、またはマット類等が挙げられる。これらの基材は単独または混合して使用することができる。これらの中でも有機繊維で構成される不織布が好ましい。これにより、レーザービア加工性を向上することができる。また、ガラス繊維基材が好ましく用いられる。これにより、プリプレグの剛性、寸法安定性を向上することができる。また、ガラス繊維基材の中でも開繊加工されたものがより好ましく用いられる。これにより、レーザービア加工性をさらに向上することができる。開繊加工とは、タテ糸およびヨコ糸ともに隣り合う糸同士が実質的に隙間なく配列されたものをいう。
樹脂組成物のシート状基材への含浸方法としては、たとえばシート状基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターによる塗布する方法、スプレーにより吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、シート状基材を樹脂ワニスに浸漬する方法がより好ましく用いられる。これにより、シート状基材に対する樹脂組成物の含浸性を向上することができる。なお、シート状基材を樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
樹脂ワニスに用いられる溶媒は、樹脂組成物に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用することもできる。良好な溶解性を示す溶媒としては、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。樹脂ワニスの固形分は、とくに限定されないが、樹脂組成物の固形分30〜80重量%が好ましく、40〜70重量%がより好ましい。これにより、樹脂ワニスの基材への含浸性をさらに向上できる。
シート状基材に樹脂組成物を含浸させ、所定温度、たとえば90〜180℃で乾燥させることによりプリプレグを得ることができる。また、樹脂組成物が未硬化の状態でも使用することができる。さらには、硬化と未硬化との間における任意の半硬化の状態でも使用することができる。具体的には、プリプレグを構成する樹脂が未硬化の状態を維持したまま金属箔を積層し、回路形成することができる。
次に、積層板について説明する。
本実施の形態のプリント配線板は、上記のプリプレグの片面または両面に金属箔を積層して加熱加圧成形してなるものである。これにより、耐熱性、低膨張性および難燃性に優れた積層板を得ることができる。プリプレグ1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。また、プリプレグを2枚以上積層することもできる。プリプレグを2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。次に、プリプレグと金属箔とを重ねたものを加熱加圧成形することで積層板を得ることができる。前記加熱する温度は、とくに限定されないが、120〜220℃が好ましく、とくに150〜200℃が好ましい。前記加圧する圧力は、とくに限定されないが、1.5〜5MPaが好ましく、とくに2〜4MPaが好ましい。 また、必要に応じて高温槽等で150〜300℃の温度で後硬化を行ってもかまわない。前記金属箔を構成する金属としては、たとえば銅または銅系合金、アルミまたはアルミ系合金等を挙げることができる。金属箔の厚さは、3〜70μmとすることができる。
つづいて、このようにして形成されたプリント配線板には、回路加工が施され、回路が形成される。ここでは、ドリル加工を必要とする多層プリント配線板として両面板について説明する。まずは、積層板に、プリント配線板として、層間接続が必要となる部位にドリルで孔を開ける。次に、この孔に銅等によるメッキを施す。その後、金属箔面へのエッチングレジスト層の形成、所定の回路パターンの露光、エッチングレジスト層の現像、現像されたエッチングレジスト層をマスクとする金属箔のエッチング、エッチングレジスト層の除去等の工程を経て回路加工される。
つづいて、このようにして形成された積層板には、回路加工が施され、回路が形成される。
以下、本発明を実施例および参照例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)樹脂ワニスの調製
シアネート樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30、重量平均分子量1,300)32.5重量部;
吸湿性の低い樹脂として、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000SH)18.4重量部;
硬化触媒として、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7851−3H)14.1重量部;
エポキシシラン型カップリング剤(日本ユニカー株式会社製、A−187)0.2重量部;
第一の充填材として、平均粒径0.5μmの球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製、SO−25H)10重量部;および、
第二の充填材として、焼成タルク(富士タルク工業株式会社製、ST−100)25重量部;
を添加し、メチルエチルケトンに常温で溶解し、高速攪拌機で10分間攪拌して樹脂ワニスを得た。
(2)プリプレグの作製
上述の樹脂ワニスをガラス繊維基材(厚さ90μm、日東紡績製、WEA−2116)に含浸し、120℃の加熱炉で2分乾燥してワニス固形分(プリプレグ中の樹脂とシリカの占める成分)が約50%のプリプレグを得た。
(3)積層板の作製
上述のプリプレグを所定枚数重ね、両面に銅箔(古河サーキットホイル社製、GTS−MP、厚さ18μm)を重ねて、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形することによって、厚さ0.4mmの両面銅張り積層板を得た。
このような両面銅張り積層板のドリル加工性、厚さ方向の熱(線)膨張係数、ガラス転移点、弾性率、およびバーコール硬度を評価および測定した。
なお、各評価については以下の方法で行った。
(a)ドリル加工性
得られた銅張り積層板を2枚重ね、0.3mmピッチでドリル加工を行った。ドリル径は、150μmφ(九州住電精密株式会社製、PQF015)を用いた。ドリルの磨耗性については、2,000ヒット後のドリル先端の磨耗量を相対比(実施例1を1とした)として求めた。ドリルの加工状態については、ドリル孔の断面サンプルを蛍光浸透液(マークテック社製、OD−2800N)に浸漬後、蛍光顕微鏡で観察し、蛍光浸透液の染み込み量が15μm未満のものを○、15μm以上30μm未満のものを△、30μm以上のものを×とした。
(b)厚さ方向の熱膨張係数
得られた銅張り積層板の銅箔をエッチングし、5×5mmのテストピースを切り出し、TMA(TAインスツルメント社製 TMA2940)を用いて厚さ方向の熱膨張係数を昇温速度10℃/分で測定した。
(c)ガラス転移点
得られた銅張り積層板の銅箔をエッチングし、10×60mmのテストピースを切り出し、DMA(TAインスツルメント社製 DMA983)を用いて5℃/分で昇温したときのtanδのピーク位置をガラス転移点とした。
(d)弾性率
得られた銅張り積層板の銅箔をエッチングし、25.4×50mmのテストピースを切り出し、テンシロン(オリエンテック製 テンシロンUTA-25KN)を用いて曲げ弾性率を測定した。試験速度は、0.5mm/分で行った。
(e)バーコール硬度
得られた銅張り積層板の銅箔をエッチングし、その表面硬度をバーコール硬度計(コールマン社製、GYZJ934.1)を用いて測定した。
(実施例2)
充填材として焼成タルクにかえて、タルク(富士タルク工業株式会社製、LMP)25重量部を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
(参照例1)
充填材として、平均粒径0.5μmの球状溶融シリカ35重量部を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
(参照例2)
充填材として、焼成タルク35重量部を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
(参照例3)
シアネート樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂25重量部;
吸湿性の低い樹脂として、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂14.2重量部;
硬化触媒として、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂10.8重量部;
エポキシシラン型カップリング剤0.3重量部;
第一の充填材として、平均粒径0.5μmの球状溶融シリカ25重量部;および、
第二の充填材として、焼成タルク25重量部を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
(参照例4)
シアネート樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂20重量部;
吸湿性の低い樹脂として、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂11.3重量部;
硬化触媒として、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂8.7重量部;
エポキシシラン型カップリング剤0.3重量部;
第一の充填材として、平均粒径0.5μmの球状溶融シリカ10重量部;および、
第二の充填材として、焼成タルク50重量部を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
(参照例5)
シアネート樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂20重量部;
吸湿性の低い樹脂として、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂11.3重量部;
硬化触媒として、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂8.7重量部;
エポキシシラン型カップリング剤0.3重量部;および、
充填材として、平均粒径0.5μmの球状溶融シリカ60重量部を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
(参照例6)
シアネート樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂20重量部;
吸湿性の低い樹脂として、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂11.3重量部;
硬化触媒として、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂8.7重量部;
エポキシシラン型カップリング剤0.3重量部;および、
充填材として、タルク60重量部を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
上述の実施例および参照例により得られた結果を図1に示す。
実施例1および実施例2で作製した積層板においては、ドリルの摩耗も低減でき、蛍光蛍光浸透液の染み込みも少なく、ドリル加工性が良好であった。また、厚さ方向の線膨張係数が35ppm/℃以下と良好であった。これらの例において得られた積層板の弾性率は23GPa以下、バーコール硬度が75以下であり、このように弾性率またはバーコール硬度を所定の範囲としたことにより、ドリル加工性を良好にすることができたと考えられる。
一方、参照例2および参照例6においても、積層板の弾性率は20GPa未満、バーコール硬度が65以下であり、ドリルの摩耗性を低減することができた。しかし、参照例6においては、蛍光浸透液の染み込み量が多いという問題があった。これは、第二の充填材であるタルクの含有量が高いため、ドリル加工時にクラックが生じやすくなったためと考えられる。
参照例1においては、第一の充填材のみを用いているため、樹脂組成物の流動性が良すぎて積層板の作製時の成形性が悪いという問題があった。また、第一の充填材であるシリカの含有量が高いため、実施例1および実施例2のものに比べてドリルの摩耗も生じやすかった。
参照例2においては、第二の充填材のみを用いているため、積層板の線膨張係数が50ppm/℃となり、実施例1および実施例2のものに比べて高くなった。
参照例3においては、実施例1および実施例2のものに比べてドリルの摩耗が生じやすかった。これは、樹脂組成物中の充填材の含有量が高いためと考えられる。参照例3の積層板の弾性率およびバーコール硬度は実施例1および実施例2の弾性率およびバーコール硬度に比べて高く、ドリルの摩耗の生じやすさに対応している。
参照例4においては、実施例1および実施例2のものに比べてドリルの摩耗が生じやすかった。ここで、実施例4における第一の充填材の含有量は、実施例1および実施例2における第一の充填材の含有量と同等であるが、充填材全体の含有量が高いために、ドリルの摩耗が生じやすくなったと考えられる。参照例4の積層板の弾性率およびバーコール硬度は実施例1および実施例2の弾性率およびバーコール硬度に比べて高く、ドリルの摩耗の生じやすさに対応している。
参照例5においては、実施例1および実施例2のものに比べてドリルの摩耗が非常に生じやすかった。ここで、第一の充填材の含有量が高いために、ドリルの摩耗が生じやすかったと考えられる。参照例5の積層板の弾性率およびバーコール硬度は実施例1および実施例2の弾性率およびバーコール硬度に比べて高く、ドリルの摩耗の生じやすさに対応している。
参照例6においては、第二の充填材のみを用いているため、積層板の線膨張係数が40ppm/℃となり、実施例1および実施例2のものに比べて高くなった。また、上述したように、蛍光浸透液の染み込み量が多いという問題があった。
以上の結果から、積層板は、バーコール硬度が80未満となるように形成することが好ましいことが判明した。より好ましくは、積層板は、バーコール硬度が75以下となるように形成することができる。これにより、上記実施例で示したように、積層板へのドリル加工時のドリルの摩耗を低減することができる。また、積層板は、弾性率が25GPa未満となるように形成することが好ましいことが判明した。より好ましくは、積層板は、弾性率が23GPa以下となるように形成することができる。これにより、上記実施例で示したように、積層板へのドリル加工時のドリルの摩耗を低減することができる。
また、以上の結果から、第一の充填材としてシリカを用いた場合、シリカの含有量を樹脂組成物全体の35重量%未満とすることがより好ましいことが判明した。これにより、積層板にドリル加工する際に、ドリルの摩耗を低減することができる。また、第二の充填材としてタルクまたは焼成タルクを用いた場合、タルクまたは焼成タルクの含有量を樹脂組成物(カップリング剤等の添加物を除く)の35重量%未満とすることがより好ましいことが判明した。これにより、積層板の線膨張係数を所望の範囲に抑えることができる。また、ドリル加工時のクラックの発生を低減することができる。
以上、本発明を実施の形態および実施例に基づいて説明した。この実施の形態および実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
以上の実施の形態において、第一の充填材および第二の充填材の2種の充填材を用いた例を説明したが、たとえば充填材以外の材料により、樹脂組成物の流動性を良好に制御することができれば、たとえばシリカのみの一種の充填材を用いることもできる。この場合も、ドリル加工性を良好にするためには、充填材の含有量は、樹脂組成物全体の40重量%以下とすることが好ましい。
実施例における評価結果を示す図である。

Claims (11)

  1. シアネート樹脂と、充填材とを含む樹脂組成物であって、
    前記充填材は、球状の第一の充填材と、板状または繊維状の第二の充填材と、を含む樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物において、
    前記充填材の含有量が、樹脂組成物全体の40重量%以下である樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂組成物において、
    前記第一の充填材および前記第二の充填材の少なくともいずれか一方の線膨張係数が1ppm/℃以下である樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の樹脂組成物において、
    前記第一の充填材および前記第二の充填材として、線膨張係数が5ppm/℃以下の材料を用いた樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4いずれかに記載の樹脂組成物において、
    前記第一の充填材および前記第二の充填材のうち、線膨張係数の大きい方の充填材の含有量が、樹脂組成物全体の35重量%未満である樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5いずれかに記載の樹脂組成物において、
    前記第二の充填材が焼成タルクである樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6いずれかに記載の樹脂組成物において、
    前記第一の充填材がシリカである樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至7いずれかに記載の樹脂組成物を硬化させた基板。
  9. 請求項8に記載の基板において、
    厚さ方向の線膨張係数が35ppm/℃以下である基板。
  10. 請求項8または9に記載の基板において、
    バーコール硬度が80未満である基板。
  11. 請求項8乃至10いずれかに記載の基板において、
    弾性率が25GPa未満である基板。
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