JP2005162774A - 高断熱性スチレン系樹脂発泡体およびその製造方法 - Google Patents

高断熱性スチレン系樹脂発泡体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】環境適合性、断熱性および難燃性に優れたスチレン系樹脂発泡体を提供する。
【解決手段】スチレン系樹脂を押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡体であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、発泡剤として、a)炭素数が3〜5である飽和炭化水素2〜6重量部と、b)塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテルより選ばれる少なくとも1種1〜7重量部と、c)第三成分の発泡剤0.1〜5重量部とを使用し、かつ、d)ハロゲン系難燃剤0.1〜20重量部と、断熱性向上剤としてe)表面処理酸化チタン0.2〜6重量部とを含有し、密度が20〜50kg/m3、かつ径0.25mm以下の気泡と径0.3〜1.0mmの気泡より構成され、これらの気泡が気泡膜を介して海島状に分散し、発泡体断面積あたりに占める気泡径0.25mm以下の気泡の面積比率が10〜90%である発泡体。
【選択図】なし

Description

本発明は、環境適合性に優れ、かつ断熱性および難燃性に優れたスチレン系樹脂発泡体およびその製造方法に関する。
スチレン系樹脂を押出機などにて加熱溶融し、ついで発泡剤を添加し、冷却させ、これを低圧域に押出すことにより発泡体を連続的に製造する方法は既に知られており、発泡剤にフロン類を用いる方法も知られている。
しかしながら、フロン類はオゾン層保護などの観点から、可能ならば代替していくことが望まれている。
フロン類以外の発泡剤を用いるスチレン系樹脂発泡体および製造方法として、発泡剤にプロパン、ブタン、あるいはそれらの混合物、あるいは該炭化水素と塩化メチル、塩化エチル、あるいはそれらの混合物との混合物を用いたスチレン系樹脂発泡体およびその製造方法が、特開平10−237210号公報(特許文献1)に開示されている。さらに該公報では、JIS A9511に規定する難燃性を満たすため、ヘキサブロモシクロドデカンまたはテトラブロモビスフェノールAを1〜3重量%用い、発泡剤であるプロパン、ブタンの発泡体中での残存ガス量を、それぞれ3.5重量%以下、2.0重量%以下に調整することが開示されている。
しかしながら、前記公報に記載されている発明で得られるフロン類を用いない発泡体におけるプロパン、ブタンの残存量では、たとえばJIS A9511に規定される押出法ポリスチレンフォーム保温板3種に要求されているような、高度な断熱性を有する発泡体は得られにくく、断熱性を高めようとしてプロパン、ブタンの残存量を多くすると、難燃性が充分でなくなる。
特開2002−194129号公報(特許文献2)には、スチレン系樹脂100重量部に対して、発泡剤として、炭素数が3〜5である飽和炭化水素2〜5重量部、および、塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテルおよび水よりなる群から選ばれる少なくとも1種2.5〜6重量、さらにハロゲン系難燃剤0.1〜10重量部、酸化チタン0.1〜10重量部を含有させて押出発泡して、発泡体を構成する気泡が、気泡径0.25m以下の気泡と気泡径0.3〜1mmの気泡よりなり、気泡径0.25mm以下の気泡が発泡体断面あたり10〜90%を占める気泡構造を有するスチレン系樹脂発泡体を得ることが記載されている。
この公報に記載された技術は、前記特定の発泡剤組成に加えて、発泡体に大小気泡が混在する特定の気泡構造を持たせ、かつ該特定の気泡構造における気泡膜に熱線反射率の高い酸化チタンを分散させることによって輻射熱伝導を低減せしめ、それにより良好な断熱性能と難燃性を達成しようとするものである。
しかしながら、使用する酸化チタンがハロゲン系難燃剤の共存下において熱履歴の影響を受けやすく、熱線反射能が低下するため、所期の断熱性能が得られないことがあった。
特開平10−237210号公報 特開2002−194129号公報
このような状況の下、本発明が解決しようとする課題は、特許文献2の技術において、ハロゲン系難燃剤の共在下における酸化チタンの熱線反射能の劣化を防止し、それによって、高い断熱性能を有すると共に、JIS A9511に規定される高度の難燃性を十分に満足するスチレン系樹脂発泡体およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究をした結果、亜鉛化合物を除く表面処理剤で表面処理されてなり、かつ表面処理量が3%以上60%以下である酸化チタンを用いることにより、ハロゲン系難燃剤の共在下における酸化チタンの熱線反射能の劣化を防止し、それによって、高い断熱性能を有すると共に、JIS A9511に規定される高度の難燃性が得られ、高い断熱性能と難燃性が両立されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、下記のスチレン系樹脂発泡体およびその製造方法を提供する。
(1)スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を添加し、これを押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡体であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、発泡剤として、a)炭素数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種2〜6重量部と、b)塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物1〜7重量部と、c)第三成分の発泡剤(フロン系発泡剤を除く)0.1〜5重量部とを使用し、かつ、スチレン系樹脂100重量部に対して、難燃剤としてd)ハロゲン系難燃剤の少なくとも1種0.1〜20重量部と、断熱性向上剤としてe)亜鉛化合物を除く表面処理剤で表面処理されてなり、かつ表面処理量が3%以上60%以下である酸化チタン0.2〜6重量部とを含有し、発泡体密度が20〜50kg/m3であり、かつ、発泡体の気泡が主として気泡径0.25mm以下の気泡と気泡径0.3〜1.0mmの気泡より構成され、これらの気泡が気泡膜を介して海島状に分散し、発泡体断面積あたりに占める気泡径0.25mm以下の気泡の面積比率が10〜90%であることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体。
(2)炭素数が3〜5である飽和炭化水素が、プロパン、n−ブタン、イソブタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の飽和炭化水素である前記(1)項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
(3)第三成分の発泡剤が、水、二酸化炭素、窒素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の無機系発泡剤、および/または、メチルアルコール、エチルアルコールから選ばれる少なくとも1種のアルコール類からなる前記(1)項または(2)項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
(4)ハロゲン系難燃剤が、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、テトラブロモビスフェノールAビス(アリルエーテル)、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種のハロゲン系難燃剤である前記(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
(5)酸化チタンが、ケイ素系化合物、アルミナ系化合物、またはこれらの混合物で表面処理された酸化チタンである前記(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
(6)スチレン系樹脂100重量部に対して、ベントナイト、ヘクトライト、無機多孔質物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物0.2〜10重量部を含有する前記(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
(7)第三成分の発泡剤が、水である前記(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
(8)さらに、スチレン系樹脂100重量部に対して、リン酸エステル系化合物;シアヌル酸、イソシアヌル酸またはこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物0.1〜6重量部を含有する前記(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
(9)フロン系の発泡剤を含まず、JIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板2種または3種の規格に合致した、断熱性と難燃性とを共に有する前記(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
(10)断熱性が、熱伝導率で0.034W/mK以下である前記(9)項に記載の断熱性スチレン系樹脂発泡体。
(11)断熱性が、熱伝導率で0.028W/mK以下である前記(9)項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
(12)難燃性が、JIS A9511に規定する燃焼性の測定において、3秒以内に炎が消えて、残じんがなく、燃焼限界指示線を越えて燃焼しないという条件を満たす前記(9)項〜(11)項のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
(13)スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を添加し、これを押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡体の製造方法であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、発泡剤として、a)炭素数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種2〜6重量部と、b)塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物1〜7重量部と、c)第三成分の発泡剤(フロン系発泡剤を除く)0.1〜5重量部とを含有させ、かつ、難燃剤としてd)ハロゲン系難燃剤の少なくとも1種0.1〜20重量部と、断熱性向上剤としてe)亜鉛化合物を除く表面処理剤で表面処理されてなり、かつ表面処理量が3%以上60%以下である酸化チタン0.2〜6部とを含有させて押出発泡し、発泡体密度が20〜50kg/m3であり、かつ、発泡体の気泡が主として気泡径0.25mm以下の気泡と気泡径0.3〜1.0mmの気泡より構成され、これらの気泡が気泡膜を介して海島状に分散し、発泡体断面積あたりに占める気泡径0.25mm以下の気泡の面積比率が10〜90%であるスチレン系樹脂発泡体を得ることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
本発明によれば、環境適合性に優れ、かつ断熱性、難燃性の優れたスチレン系樹脂発泡体を安定的に製造することが可能となる。本発明のスチレン系樹脂発泡体は、その優れた難燃性、断熱性の点から、特に建築用断熱材の用途に有用である。
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、特に限定されるものではなく、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体あるいはその誘導体から得られるランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレンなどがあげられる。これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
スチレンと共重合可能な単量体としては、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系化合物、ブダジエンなどのジエン系化合物あるいはその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物などがあげられる。これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
スチレン系樹脂の中では、加工性の面からスチレンホモポリマーが好ましい。
本発明は、発泡剤として、a)炭素数3〜5の飽和炭化水素の1種または2種以上、b)塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、およびc)第三成分の発泡剤(フロン系発泡剤を除く)を併用することを特徴とする。
本発明で用いられる炭素数3〜5の飽和炭化水素としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタンなどがあげられる。炭素数3〜5の飽和炭化水素の中では、発泡性と発泡体の断熱性能の点から、プロパン、n−ブタン、イソブタン、またはプロパン、n−ブタン、イソブタンよりなる群から選ばれる2種または3種の混合物が好ましく、高い断熱性能を所望する場合には、n−ブタン、イソブタン、またはn−ブタンとイソブタンの混合物がより好ましく、さらに高い断熱性能を所望する場合にはイソブタンが最も好ましい。
第三成分の発泡剤としては、発泡性、発泡体成形性などの点から、水、二酸化炭素、窒素などの無機系発泡剤や、メチルアルコール、エチルアルコールなどのアルコール類が好ましく、本発明における大小気泡が混在する特定の気泡構造を得るのが容易な点からは、水がより好ましい。第三成分の発泡剤を用いることで、本発明における特定の気泡構造が得られるばかりでなく、良好な可塑化効果や発泡助剤効果が得られ、押出圧力を低減し、安定的に発泡体の製造が可能となる。
本発明のスチレン系樹脂発泡体の製造時に、スチレン系樹脂中に添加または注入される発泡剤の量としては、発泡倍率の設定値などに応じて適宜かわるものではあるが、通常、発泡剤の合計量をスチレン系樹脂100重量部に対して2〜20重量部とするのが好ましく、より好ましくは3〜18重量部である。発泡剤の添加量が前記範囲未満では発泡倍率が低く、樹脂発泡体としての軽量、断熱などの特性が発揮されにくい場合があり、一方前記範囲を超えると過剰な発泡剤量のため発泡体中にボイドなどの不良を生じる場合がある。
各発泡剤成分の添加量に関しては、スチレン系樹脂100重量部に対して、a)炭素数が3〜5である飽和炭化水素の1種または2種以上の量は2〜6重量部であり、b)塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の量は1〜7重量部であり、c)第三成分の発泡剤の量は0.1〜5重量部である。炭素数3〜5の飽和炭化水素の量が前記範囲より少ないと、得られる発泡体の断熱性が劣る場合があり、前記範囲より多いと所望の難燃性が得られない傾向がある。また、塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の量が前記範囲より少ないと、押出機内における圧力を低下させるために樹脂温度を上げる必要があり、結果として独立気泡率の低下を引き起こす場合があり、前記範囲より多いと可塑性が高くなりすぎ、押出機内のスチレン系樹脂と発泡剤との混練状態が不均一となり、押出機の圧力制御が難しくなる傾向がある。また、第三成分の発泡剤の量が前記範囲より少ないと本発明における大小気泡が混在する特定の気泡構造を得られにくく、一方前記範囲より多いと押出機内のスチレン系樹脂と発泡剤との混練状態が不均一となり、押出機の圧力制御が難しくなる傾向がある。
また、本発明では、前記a)、b)、c)の発泡剤成分に加えて、さらにその他の発泡剤を使用してもよい。かかるその他の発泡剤としては、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類や、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類や、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトンなどのケトン類や、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類などの有機発泡剤や、たとえばアゾ化合物などの化学発泡剤などを用いることができる。これらその他の発泡剤は単独または2種以上混合して使用することができる。これらその他の発泡剤は、発泡体の製造、発泡体の外観や物性を損なわない程度に添加することができる。
発泡剤を添加または注入する際の圧力は、特に制限するものではなく、押出機などの内圧力よりも高い圧力であればよい。
本発明により得られたスチレン系樹脂発泡体には、発泡剤として、少なくとも、a)炭素数が3〜5である飽和炭化水素の1種または2種以上が含有される。発泡体中に残存する発泡剤における炭素数が3〜5である飽和炭化水素の量が前記範囲(スチレン系樹脂100重量部に対して、2〜6重量部)より少なくなると良好な断熱性能が得られにくい傾向がある。
得られたスチレン系樹脂発泡体中における、炭素数3〜5の飽和炭化水素の残存含有量は、飽和炭化水素化合物の種類、発泡体の密度などによっても異なるが、一般に発泡体100重量部に対して、2〜6重量部であることが好ましい。さらに好ましくは、プロパンでは2.5〜6重量部、n−ブタン、イソブタンの単独または混合物では2〜6重量部、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタンの単独または2種以上の混合物では2〜6重量部が、断熱性能と難燃性の点から好ましい。
本発明では、スチレン系樹脂発泡体中に、難燃剤として、d)ハロゲン系難燃剤の少なくとも1種を含有させ、さらに好ましくは、ハロゲン系難燃剤の少なくとも1種とリン酸エステル系化合物(ハロゲン非含有リン酸エステル系化合物とハロゲン含有リン酸エステル系化合物とを含む);シアヌル酸、イソシアヌル酸またはこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを共存させる。これによって、燃焼性の高い炭化水素を発泡剤として用いた場合でも、JIS A9511に規定される高度の難燃性を達成することができるという特徴を有する。前記ハロゲン含有リン酸エステル系化合物は、樹脂の難燃剤として知られているが、発泡剤として燃焼性の高い炭化水素を用いた発泡体における、燃焼時の炭化水素の着火あるいは燃焼を抑制することは知られていない。
本発明で使用されるハロゲン系難燃剤(前記ハロゲン含有リン酸エステル系化合物を除く)としては、たとえば、臭素系難燃剤として、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタンなどの脂肪族あるいは脂環式炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエタン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリブロモフェノールとの付加物などの臭素化ビスフェノール類およびその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノールとの付加物のエポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ビス(2,4,6ートリブロモフェノキシ)エタンなどの臭素系芳香族化合物、臭素化アクリル系樹脂、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどの臭素化シアヌレートまたはイソシアヌレート誘導体、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミドなどがあげられる。塩素系難燃剤として、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカンなどの塩素化脂肪族化合物、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環式化合物などがあげられる。中でも、難燃性の点から臭素系難燃剤が好ましく、特にスチレン系樹脂との相溶性などの点からヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、テトラブロモビスフェノールAビス(アリルエーテル)、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートが好ましい。ハロゲン系難燃剤の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部であり、好ましくは1〜15重量部である。ハロゲン系難燃剤の含有量が前記範囲未満では、本発明の目的とする難燃性が得られがたい傾向があり、一方前記範囲を超えると、発泡体製造の際の成形性などを損なう場合がある。
本発明で使用されるリン酸エステル系化合物のうち、ハロゲン非含有リン酸エステル系化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート(アルキル基としてはの炭素数1〜12のものが好ましい)、トリブトキシエチルホスフェートなどのトリアルコキシアルキルホスフェート(アルコキシアルキル基としては炭素数2〜12のものが好ましい)、ジアルキルホスフェート(アルキル基としては炭素数1〜12のものが好ましい)、モノイソデシルホスフェートなどのモノアルキルホスフェート(アルキル基としては炭素数1〜12のものが好ましい)、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの脂肪族系リン酸エステル類、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシリルジフェニルホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェートなどのトリアリールホスフェート(アルール基はアルキル基、フェニル基などで置換されていてもよい)、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジフェニル(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェートなどのジアリールアルキルホスフェート(アリール基、アルキル基は置換されていてもよい)などの芳香族系リン酸エステル類などがあげられる。さらに、リン酸エステル基を2つ以上有するリン酸エステル類があげられる。これらハロゲン非含有リン酸エステル系化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
本発明で使用されるリン酸エステル系化合物のうち、ハロゲン含有リン酸エステル系化合物としては、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどのトリス(ハロゲン化アルキル)ホスフェートなどがあげられる。これらハロゲン含有リン酸エステル系化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
前記リン酸エステル系化合物の中では、ハロゲン系難燃剤との組み合わせにおける相乗効果が大きい点から、ハロゲン含有リン酸エステル系化合物として、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートが好ましく、ハロゲン非含有リン酸エステル系化合物として、トリフェニルホスフェートが好ましい。
前記リン酸エステル系化合物の含有量は、難燃性および燃焼時に揮発する炭化水素の着火・燃焼抑制相乗効果が得られるように、スチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜6重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部、特に好ましくは0.2〜3重量部である。リン酸エステル系化合物の含有量が前記範囲未満では、相乗効果が得られにくい傾向があり、一方前記範囲を超えると、発泡体製造の際の成形性などを損なう場合がある。
本発明で使用するシアヌル酸、イソシアヌル酸またはこれらの誘導体から選ばれる窒素含有化合物(ただし、ハロゲン原子を含有するものを除く)の具体例としては、シアヌル酸、メチルシアヌレートなどのモノアルキルシアヌレート、ジエチルシアヌレートなどのジアルキルシアヌレート、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレートなどのトリアルキルシアヌレート、フェニルシアヌレート、ジフェニルシアヌレート、トリフェニルシアヌレート、ジメチルフェニルシアヌレートなどのジアルキルフェニルシアヌレート、イソシアヌル酸、メチルイソシアヌレートなどのモノアルキルイソシアヌレート、ジエチルイソシアヌレートなどのジアルキルイソシアヌレート、トリメチルイソシアヌレート、トリエチルイソシアヌレートなどのトリアルキルイソシアヌレート、フェニルイソシアヌレート、ジフェニルイソシアヌレート、トリフェニルイソシアヌレート、ジメチルフェニルイソシアヌレートなどのジアルキルフェニルイソシアヌレート、モノ(2−アミノエチル)イソシアヌレートなどのモノ(アミノアルキル)イソシアヌレート、ジ(2−アミノエチル)イソシアヌレートなどのジ(アミノアルキル)イソシアヌレート、トリ(2−アミノエチル)イソシアヌレートなどのトリ(アミノアルキル)イソシアヌレート、トリ(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリ(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートなどのトリ(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート、ジ(ヒドロキシメチル)イソシアヌレートなどのジ(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートなどのビス(カルボキシアルキル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートなどの1,3,5−トリス(カルボキシアルキル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートなどがあげられる。これら窒素含有化合物は単独または混合して使用できる。中でも、ハロゲン系難燃剤との組み合わせにおける相乗効果が大きいなどの点から、イソシアヌル酸が好ましい。窒素含有化合物の含有量は、難燃性および燃焼時に揮発する炭化水素の着火・燃焼抑制相乗効果が得られるように、スチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜6重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部、特に好ましくは0.5〜4重量部である。窒素含有化合物の含有量が前記未満では、相乗効果が得られにくい傾向があり、一方前記範囲を超えると、発泡体製造の際の成形性などを損なう場合がある。
本発明においては、ハロゲン系難燃剤と、リン酸エステル系化合物(ハロゲン非含有リン酸エステル系化合物とハロゲン含有リン酸エステル系化合物とを含む);シアヌル酸、イソシアヌル酸またはこれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上の窒素含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを併用することで、燃焼性の高い炭化水素を用いた発泡体における、燃焼時の炭化水素の着火あるいは燃焼をより一層効果的に抑制することができる。
本発明においては、ハロゲン系難燃剤と、さらにリン酸エステル系化合物(ハロゲン非含有リン酸エステル系化合物とハロゲン含有リン酸エステル系化合物とを含む);シアヌル酸、イソシアヌル酸またはこれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上の窒素含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を前述した適量の範囲で併用することで、その難燃に対する寄与機構は未だ定かではないが、おそらくはスチレン系樹脂発泡体燃焼時に発生するラジカルをハロゲンにより捕捉し、また、分解、溶融などにより発生する不燃ガスが燃焼箇所周辺の酸素濃度の低下、難燃性被膜あるいは炭化発泡皮膜の形成により難燃層あるいは断熱層を形成するといった燃焼阻害の相乗効果が奏されるものと推察され、高い難燃性が得られ易くなる傾向がある。
すなわち、発泡剤として飽和炭化水素を用いた場合、発泡体の燃焼時に発泡体から残留発泡剤が大気中に放出され、該発泡剤が燃焼することで、該発泡剤の燃焼熱により発泡体の表面融解が生じて延焼する傾向がある。しかしながら、これらの傾向についても、ハロゲン系難燃剤、さらにはリン酸エステル系化合物(ハロゲン非含有リン酸エステル系化合物とハロゲン含有リン酸エステル系化合物とを含む);シアヌル酸、イソシアヌル酸またはこれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上の窒素含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加することにより、残留発泡剤の燃焼を阻害することで、極めて軽減させ得るか、ないしは無くすることができるという優れた効果が得られ、適量を使用することで優れた難燃性と成形加工の安定性を有する発泡成形品が得られるようになる。リン酸エステル系化合物(ハロゲン非含有リン酸エステル系化合物とハロゲン含有リン酸エステル系化合物とを含む);シアヌル酸、イソシアヌル酸またはこれらの誘導体から選ばれる窒素含有化合物の中では、相乗効果などが優れている点から、リン酸エステル系化合物(ハロゲン非含有リン酸エステル系化合物とハロゲン含有リン酸エステル系化合物とを含む)が好ましい。
本発明は、e)亜鉛化合物を除く表面処理剤で表面処理してなり、かつ表面処理量が3%以上60%以下である酸化チタンを断熱性向上剤として、スチレン系樹脂100重量部に対して0.2〜6重量部含有させることを特徴とする。
断熱性向上剤としての酸化チタンは、前記大小気泡が混在する特定の気泡構造における気泡膜に分散されることによりその高い熱線反射能を利用して、輻射熱伝導を低減せしめ、それにより良好な断熱性能を達成しようとするものである。従来から知られている表面処理酸化チタンとしては、亜鉛化合物で表面処理したものが一般的である。しかし、亜鉛化合物で表面処理した酸化チタンは、ハロゲン系難燃剤の共存下において、熱履歴の影響を受けて熱安定性が低下し、それにより熱線反射能が低下する傾向があり、安定的に本発明のような断熱性能と難燃性能の両立に優れる発泡体を得ようとすると、断熱性能に不具合が生じる場合がある。さらに、亜鉛化合物で表面処理した酸化チタンは、大小気泡が混在する特定の気泡構造の形成を阻害する傾向にある。
しかるに、断熱性向上剤として前記特定の表面処理酸化チタンを使用すると、ハロゲン系難燃剤の共存下においても熱安定性が優れているため、熱線反射能の劣化が防止されること、さらに大小気泡が混在する特定の気泡構造の形成をむしろ促進することが見出された。それにより本発明では、安定的に断熱性能と難燃性能の両立に優れるスチレン系樹脂発泡体が得られる。
本発明に使用する酸化チタンにおける表面処理剤としては、酸化ケイ素などのケイ素系化合物、アルミナ系化合物、これらの混合物などがあげられる。表面処理法は特に制限されず、通常の方法が採用できる。
本発明では、表面処理量が3%以上60%以下、好ましくは3%以上55%以下の酸化チタンを使用する。ここで、表面処理量とは、表面処理前の酸化チタン100重量%に対する付着された表面処理剤の重量%を表わす。表面処理量が前記範囲未満であると、酸化チタンが表面に剥き出しになる傾向にあり熱安定性が低下する。一方表面処理量が前記範囲を超えると、酸化チタンの熱線反射能が低下し断熱性向上剤として機能しえない傾向にある。
本発明で使用される表面処理酸化チタンは、熱線反射能、隠蔽・分散性などの点から、平均一次粒子径が0.10〜0.35μmであるのが好ましく、より好ましくは0.15〜0.30μmである。
前記のごとき特定の表面処理酸化チタンとしては、市販品としては堺化学(株)製のR7E、R62N、R32N、A−190などがある。
本発明においては、前記特定の表面処理酸化チタンの含有量は、スチレン系樹脂100重量部に対して0.2〜6重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部である。酸化チタンの含有量が前記範囲未満の場合や前記範囲を超える場合は、断熱性向上剤としての機能が顕著に表われない傾向にある。
本発明のスチレン系樹脂発泡体は、発泡体の気泡が主として気泡径0.25mm以下の気泡と気泡径0.3〜1.0mmの気泡より構成され、これらの気泡が気泡膜を介して海島状に分散し、発泡体断面積あたりに占める気泡径0.25mm以下の気泡の面積比率が10〜90%である特徴的な気泡構造を有するものである。この大小気泡が混在する気泡構造を有する発泡体の断熱性能が優れているのは、従来の均一な気泡構造を有する発泡体では均一な気泡構造を通って移動する熱流が、大小気泡が混在する気泡構造を有する発泡体においては、気泡径0.3〜1.0mmの大気泡の周囲に存在する微細な気泡径0.25mm以下の小気泡によって分断されるためと推定されている。
前記特定の気泡構造の発泡体において、発泡体断面積あたりに占める気泡径0.25mm以下の気泡の面積比率は10〜90%であり、より好ましくは20〜90%、さらに好ましくは30〜90%、最も好ましくは40〜90%である。前記したように小気泡の面積比率が大きいほど断熱性能が向上するので好ましい。
本発明では、前記大小気泡が混在する気泡構造を得るために、ベントナイト、ヘクトライト、無機多孔質物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を使用するのが好ましい。これら化合物は、主に第三成分発泡剤(たとえば水)を吸収する吸収媒体として作用し、第三成分のスチレン系樹脂中への均一分散を可能にする。
本発明でいうベントナイトとは、主成分がモンモリロナイト(約1nmの薄いケイ酸塩層からなり、その板状結晶粒子の層表面はマイナスに帯電し、層間にはナトリウムやカルシウムのような交換性陽イオンを介在して電荷的に中性を保っており、水が接触すると層間の交換性陽イオンに水分子が水和し、層間が膨潤する粘土鉱物)であり、石英、α―クリストバライト、オパール、長石、雲母などの随伴鉱物を含んだ塩基性粘土鉱物である。本発明に用いられるベントナイトの例としては、天然ベントナイト、精製ベントナイトがあげられる。また、有機ベントナイト、アニオン系ポリマー変性モンモリロナイト、シラン処理モンモリロナイト、高極性有機溶剤複合モンモリロナイトなどのモンモリロナイト変性処理生成物もその範疇に含まれる。
また、本発明に用いられるヘクトライトの例としては、天然ヘクトライト、合成ヘクトライトがあげられる。また、有機処理、アニオン系ポリマー変性、シラン処理などの変性処理生成物もその範疇に含まれる。
また、本発明に用いられる無機多孔質物質としては、二酸化ケイ素、シリカゲル、活性炭、ゼオライト、ケイ酸カルシウムなどがあげられる。
第三成分発泡剤の吸収媒体としては、前記吸収媒体に加えて、ラポナイト、膨潤性フッ素雲母などの吸収性あるいは吸収膨潤性の粘土およびこの有機化処理品、吸水性高分子化合物などの1種または2種以上を併用することも可能である。
ベントナイト、ヘクトライト、無機多孔質物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の配合量は、スチレン系樹脂100重量部に対して0.2〜10重量部が好ましく、より好ましくは1〜5重量部である。該化合物の配合量が前記範囲より少ないと、本発明の目的とする特定の気泡構造が得られがたい傾向があるばかりか、第三成分発泡剤の吸収量および/または吸着量が不充分となり、押出機内で第三成分発泡剤の分散不良による気孔が発生し成形体不良になる傾向がある。一方前記範囲より多い量では、押出機内でゲルの分散不良が発生し、気泡むらができ、発泡体の断熱性能の悪化とバラツキを生じ易くなる。
本発明においては、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲内で、シリカ、タルク、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、他の難燃剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有させることができる。
本発明では、スチレン系樹脂100重量部に対して、発泡剤として、a)炭素数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種2〜6重量部と、b)塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物1〜7重量部と、c)第三成分の発泡剤0.1〜5重量部とを使用し、かつ、難燃剤として、d)ハロゲン系難燃剤の少なくとも1種0.1〜20重量部と、断熱性向上剤として、e)亜鉛化合物を除く表面処理剤で表面処理されてなり、かつ表面処理量が3%以上60%以下である酸化チタン0.2〜6部とを組み合わせ使用し、発泡体の気泡が主として気泡径0.25mm以下の気泡と気泡径0.3〜1.0mmの気泡より構成され、これらの気泡が気泡膜を介して海島状に分散し、発泡体断面積あたりに占める気泡径0.25mm以下の気泡の面積比率が10〜90%である発泡体構造を有する発泡体を得ることで、発泡剤にフロン類を用いることなく、JIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板2種、好ましくは3種の規格に合致した、断熱性と難燃性を共に有するスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。すなわち、断熱性が、熱伝導率で0.034W/mK以下、好ましくは0.028W/mK以下であり、かつ難燃性が、JIS A9511に規定する燃焼性の測定において、3秒以内に炎が消えて、残じんがなく、燃焼限界指示線を越えて燃焼しないという条件を満たすスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。
ここで、JIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板2種または3種とは、正確にはJIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板2a種もしくは2b種、または、3a種もしくは3b種をいう。JIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板2a種と2b種とでは、熱伝導率の規格は同一であり、またJIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板3a種と3b種とでは、熱伝導率の規格は同一である。さらに、JIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板2a種または2b種、3a種または3b種とでは、燃焼性の規格はすべて同一である。このような点から、本発明で押出法ポリスチレンフォーム保温板の断熱性、難燃性についていうときは、JIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板2種、3種と簡略化した表現を使用する。
JIS A9511に規定される押出法ポリスチレンフォーム保温板2種、好ましくは3種の規格に合致する、断熱性と難燃性を共に有するスチレン系樹脂押出発泡体を得るための好ましい実施態様はつぎのとおりである。発泡剤としては、a)炭素数が3〜5である飽和炭化水素の中で、好ましくはn−ブタンおよび/またはイソブタンを用い、特に好ましくはイソブタンを用い、c)第三成分発泡剤として、特に好ましくは水を用いる。難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤として前述したいずれの化合物も好ましく用いることができるが、特に好ましくはヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、テトラブロモビスフェノールAビス(アリルエーテル)、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどの1種または2種以上である。好ましくはハロゲン系難燃剤と併用する難燃剤としては、前述したいずれの化合物も好ましく用いることができるが、中でもリン酸エステル系化合物が好ましく、特にトリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(以上、ハロゲン含有リン酸エステル系化合物)、トリフェニルホスフェート(ハロゲン非含有リン酸エステル系化合物)などの1種または2種以上が好ましい。
本発明のスチレン系樹脂発泡体は、(1)スチレン系樹脂にハロゲン系難燃剤、亜鉛化合物以外の表面処理剤で表面処理されてなり、かつ表面処理量が3%以上60%以下である酸化チタン、必要に応じて、ベントナイト、ヘクトライト、無機多孔質物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、リン酸エステル系化合物;シアヌル酸、イソシアヌル酸またはこれらの誘導体から選ばれる窒素含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、その他の添加剤を混合した後加熱溶融する、(2)スチレン系樹脂を加熱溶融した後に、ハロゲン系難燃剤、亜鉛化合物以外の表面処理剤で表面処理されてなり、かつ表面処理量が3%以上60%以下である酸化チタン、必要に応じて、ベントナイト、ヘクトライト、無機多孔質物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、リン酸エステル系化合物;シアヌル酸、イソシアヌル酸またはこれらの誘導体から選ばれる窒素含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、その他の添加剤を添加混合する、(3)あらかじめスチレン系樹脂にハロゲン系難燃剤、、亜鉛化合物以外の表面処理剤で表面処理されてなり、かつ表面処理量が3%以上60%以下である酸化チタン、必要に応じて、ベントナイト、ヘクトライト、無機多孔質物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、リン酸エステル系化合物;シアヌル酸、イソシアヌル酸またはこれらの誘導体から選ばれる窒素含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、その他の添加剤を混合した後、加熱溶融した組成物を準備し、あらためて押出機に供給し加熱溶融するなどの各種方法で、スチレン系樹脂、ハロゲン系難燃剤、亜鉛化合物以外の表面処理剤で表面処理されてなり、かつ表面処理量が3%以上60%以下である酸化チタン、必要に応じて、ベントナイト、ヘクトライト、無機多孔質物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、リン酸エステル系化合物;シアヌル酸、イソシアヌル酸またはこれらの誘導体から選ばれる窒素含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、その他の添加剤を押出機などの加熱溶融混練手段に供給し、任意の段階で高圧条件下で、発泡剤をスチレン系樹脂に添加し、流動ゲルとなし、押出発泡に適する温度に冷却し、該流動ゲルをダイを通して低圧領域に押出発泡して、発泡体を形成することにより製造される。
スチレン系樹脂と発泡剤などの添加剤を加熱溶融混練する際の加熱温度、溶融混練時間および溶融混練手段については特に制限するものではない。加熱温度は、使用するスチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよいが、難燃剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、たとえば150〜220℃程度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間あたりの押出量、溶融混練手段などによって異なるので一概には決定することができないが、スチレン系樹脂と発泡剤が均一に分散混合するのに要する時間が適宜選ばれる。また溶融混練手段としては、たとえばスクリュー型の押出機などがあげられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば特に限定はない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるため、スクリュー形状については、低剪断タイプのスクリューを用いる方が好ましい。
また、発泡成形方法も特に制限されないが、たとえば、スリットダイより圧力開放して得られた発泡体をスリットダイと密着または接して設置した成形金型および成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する一般的な方法を用いることができる。
本発明の発泡体の厚さは特に制限されず、用途に応じて適宜選択される。たとえば、建材などの用途に使用される断熱材の場合、好ましい断熱性、曲げ強度および圧縮強度を付与せしめるためには、シートのような薄いものよりも、通常の板状物のように厚さのあるものが好ましく、通常1〜150mm、好ましくは10〜100mmである。また、本発明の発泡体の密度については、軽量でかつ優れた断熱性および曲げ強度、圧縮強度を付与せしめるためには、20〜50kg/m3であるのが好ましい。
つぎに本発明のスチレン系樹脂発泡体およびその製造方法を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。なお、特に断らない限り「部」は重量部を、「%」は重量%を表わす。
得られた発泡体の特性として、発泡体密度、小気泡占有面積比率、発泡体熱伝導率、発泡体燃焼性、発泡体外観を下記の方法にしたがって調べ、かつ総合評価を行なった。なお、各特性の測定は、とくに断らない限り、製造直後の発泡体について行なった。
1)発泡体密度(kg/m3
発泡体密度は、つぎの式に基づいて求め、単位をkg/m3に換算して示した。
発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3
2)小気泡占有面積比率(%)
気泡径0.25mm以下の気泡の発泡体の断面積あたりの占有面積比率を以下のようにして求めた。ここで、気泡径0.25mm以下の気泡とは、円相当直径が0.25mm以下の気泡とする。
a)走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、品番:S−450)にて30倍に拡大して発泡体の縦断面を写真撮影する。
b)撮影した写真の上にOHPシートを置き、その上に厚さ方向の径が7.5mmよりも大きい気泡(実寸法が0.25mmより大きい気泡に相当する)に対応する部分を黒インキで塗りつぶして写しとる(一次処理)。
c)画像処理装置((株)ピアス製、品番:PIAS−II)に一次処理画像を取り込み、濃色部分と淡色部分を、すなわち黒インキで塗られた部分か否かを識別する。
d)濃色部分のうち、直径7.5mm以下の円の面積に相当する部分、すなわち、厚さ方向の径は長いが、面積的には直径7.5mm以下の円の面積にしかならない部分を淡色化して、濃色部分の補正を行なう。
e)画像解析計算機能中の「FRACTAREA(面積率)」を用い、画像全体に占める気泡径7.5mm以下(濃淡で分割した淡色部分)の面積比率を次式により求める。
小気泡占有面積比率(%)=(1−濃色部分の面積/画像全体の面積)×100
3)発泡体熱伝導率(W/mK)
発泡体熱伝導率はJIS A9511に準じて測定した。測定は製造後30日経過した発泡体について行なった。
また、断熱性の評価として、JIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板2種の熱伝導率の規格(0.034W/mK以下)に合格するものを「OK」とし、そうでないものを「NG」とした。
4)発泡体燃焼性
製造後14日経過した発泡体について、JIS A9511に準じて、厚さ10mm、長さ200mm、幅25mmの試験片(試験片の個数5)を用いて燃焼試験(測定方法A)を行ない、下記の基準にしたがい燃焼性を評価した。ここで、JIS A9511に規定する燃焼性の規格とは、前記燃焼試験において「3秒以内に炎が消えて、残じんがなく、燃焼限界指示線を越えて燃焼しない」ことをいう。
○:JIS A9511に規定する燃焼性の規格に合格
×:JIS A9511に規定する燃焼性の規格に不合格
5)発泡体外観
目視にて発泡体の外観を検査し、外観が極めて良好なものを「◎」、良好なものを「○」、ボイドや割れなどの著しい外観不良なものを「×」とした。
6)総合評価
総合評価して、極めて優れるものを「◎」、優れるものを「○」、各特性について、何らかの問題を抱えるものを「×」とした。
実施例1
ポリスチレン樹脂(鐘淵化学(株)製、商品名:KPS、メルトインデックス(MI):3.1)100部に対して、添加剤としてタルク0.5部とステアリン酸カルシウム0.3部、ケイ素化合物で表面処理した酸化チタン3部(堺化学(株)製、商品名:R7E、表面処理剤:SiO2・Al23、表面処理量:約5%、平均一次粒子径:0.23μm)、ハロゲン系難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)3部、ベントナイト1.0部、二酸化ケイ素0.2部をドライブレンドし、得られた樹脂混合物を口径65mmのものと口径90mmのものを直列に連結した二段押出機へ約80kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した樹脂混合物を、200℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練し、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度を120℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より大気中へ押し出し、厚さ約40mm、幅約150mmの直方体状の押出発泡体を得た。このとき発泡剤として、ポリスチレン樹脂100部に対してプロパン3.0部、塩化メチル4.5部、水0.4部を、それぞれ別のラインから、前記口径65mmの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の口金と反対側の端部側に接続される側の端部)から前記樹脂中に圧入した。得られた発泡体の特性を表1に示す。
実施例2
酸化チタンの種類を堺化学(株)製の商品名R62N(表面処理剤:SiO2・Al23、表面処理量:約11%、平均一次粒子径:0.26μm)に変更した以外は実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示す。
実施例3
酸化チタンの種類を堺化学(株)製の商品名R32N(表面処理剤:Al23、表面処理量:約7%、平均一次粒子径:0.23μm)に変更した以外は実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示す。
実施例4
酸化チタンの種類を堺化学(株)製の商品名A−190(表面処理剤:Al23、表面処理量:約4%、平均一次粒子径:0.15μm)に変更した以外は実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示す。
実施例5
塩化メチルを塩化エチルに変更した以外は、実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示す。
実施例6
発泡剤をイソブタン3.7部、塩化メチル4部、水0.7部に変更し、ベントナイトを合成ヘクトライト0.3部に変更し、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)の量を4部に変更し、あらたにトリフェニルホスフェート(味の素ファインテクノ(株)製、商品名:レオフォスTPP)0.7部を添加した以外は、実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表1に示す。
実施例7
発泡剤をイソブタン3.7部、ジメチルエーテル1.5部、水0.7部に変更し、ベントナイトを合成ヘクトライト0.3部に変更し、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)の量を4.0部に変更し、あらたにトリフェニルホスフェート(味の素ファインテクノ(株)製、商品名:レオフォスTPP)0.7部を添加した以外は、実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表2に示す。
実施例8
発泡剤をイソブタン3.7部、ジメチルエーテル1.5部、水0.7部に変更し、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)の量を4.0部に変更し、あらたにトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学(株)製、商品名:CR900)1.0部を添加した以外は、実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表2に示す。
実施例9
発泡剤をイソブタン3.7部、ジメチルエーテル1.5部、水0.7部に変更し、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)の量を4.0部に変更し、あらたにトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学(株)製、商品名:CR900)1.0部、イソシアヌル酸2.0部を添加した以外は、実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表2に示す。
実施例10
発泡剤をイソブタン3.7部、ジメチルエーテル1.5部、水0.7部に変更し、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)をトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート5.0部に変更した以外は、実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表2に示す。
比較例1
酸化チタンを使用しなかった以外は、実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表2に示す。
比較例2
酸化チタンの種類を、亜鉛化合物で表面処理した酸化チタン(堺化学(株)製、商品名:R650)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表2に示す。
比較例3
プロパンをイソブタン3.7部に変更し、酸化チタンの種類を、亜鉛化合物で表面処理した酸化チタン(堺化学(株)製、商品名:R650)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。得られた発泡体の特性を表2に示す。
Figure 2005162774
Figure 2005162774
表1、2における難燃剤(1)〜(5)は次の化合物を表わす。
難燃剤(1):ヘキサブロモシクロドデカン
難燃剤(2):トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート
難燃剤(3):トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート
難燃剤(4):トリフェニルホスフェート
難燃剤(5):イソシアヌル酸
表1、2に示される結果から明らかなように、実施例1〜10の発泡体は、高度な難燃性能と断熱性能が両立されているものである。とくに、飽和炭化水素としてイソブタンを使用する実施例6〜10の発泡体は、JIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板3種の熱伝導率の規格(0.028W/mK以下)を満足している。
一方、断熱性向上剤としての酸化チタンを使用しない比較例1の発泡体は、発泡体熱伝導率が高く、JIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板2種の熱伝導率の規格(0.034W/mK以下)を満足しないものである。
また、断熱性向上剤として亜鉛化合物で表面処理した酸化チタンを使用する比較例2の発泡体は、JIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板2種の熱伝導率の規格(0.034W/mK以下)を満足するものであるが、比較例1との対比から明らかなように酸化チタンを添加することにより、むしろ小気泡占有面積比率が低くなっている。
また、飽和炭化水素としてイソブタンを使用し、断熱性向上剤として亜鉛化合物で表面処理した酸化チタンを使用する比較例3の発泡体は、JIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板3種の熱伝導率の規格(0.028W/mK以下)を満足するものであるが、比較例1との対比から明らかなように酸化チタンを添加することにより、むしろ小気泡占有面積比率が低くなっており、しかも難燃性がJIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板の規格を満足しないものである。
これに対して、実施例では、とくに実施例1〜4と比較例1、2(いずれも飽和炭化水素としてプロパンを使用)との対比から明らかなように、ケイ素化合物で表面処理した酸化チタンを使用することによって、小気泡占有面積比率がより一層高くなっており、それにより発泡体熱伝導率がより低くなっている。また実施例6〜10と比較例3(いずれも飽和炭化水素としてイソブタンを使用)との対比から明らかなように、ケイ素化合物で表面処理した酸化チタンを使用することによって、小気泡占有面積比率がより一層高くなっており、それにより発泡体熱伝導率がより低くなっている。

Claims (13)

  1. スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を添加し、これを押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡体であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、発泡剤として、a)炭素数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種2〜6重量部と、b)塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物1〜7重量部と、c)第三成分の発泡剤(フロン系発泡剤を除く)0.1〜5重量部とを使用し、かつ、スチレン系樹脂100重量部に対して、難燃剤としてd)ハロゲン系難燃剤の少なくとも1種0.1〜20重量部と、断熱性向上剤としてe)亜鉛化合物を除く表面処理剤で表面処理されてなり、かつ表面処理量が3%以上60%以下である酸化チタン0.2〜6重量部とを含有し、発泡体密度が20〜50kg/m3であり、かつ、発泡体の気泡が主として気泡径0.25mm以下の気泡と気泡径0.3〜1.0mmの気泡より構成され、これらの気泡が気泡膜を介して海島状に分散し、発泡体断面積あたりに占める気泡径0.25mm以下の気泡の面積比率が10〜90%であることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体。
  2. 炭素数が3〜5である飽和炭化水素が、プロパン、n−ブタン、イソブタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の飽和炭化水素である請求項1に記載のスチレン系樹脂発泡体。
  3. 第三成分の発泡剤が、水、二酸化炭素、窒素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の無機系発泡剤、および/または、メチルアルコール、エチルアルコールから選ばれる少なくとも1種のアルコール類からなる請求項1または2に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  4. ハロゲン系難燃剤が、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、テトラブロモビスフェノールAビス(アリルエーテル)、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種のハロゲン系難燃剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
  5. 酸化チタンが、ケイ素系化合物、アルミナ系化合物、またはこれらの混合物で表面処理された酸化チタンである請求項1〜4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
  6. スチレン系樹脂100重量部に対して、ベントナイト、ヘクトライト、無機多孔質物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物0.2〜10重量部を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  7. 第三成分の発泡剤が、水である請求項1〜6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
  8. さらに、スチレン系樹脂100重量部に対して、リン酸エステル系化合物;シアヌル酸、イソシアヌル酸またはこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物0.1〜6重量部を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
  9. フロン系の発泡剤を含まず、JIS A9511に規定する押出法ポリスチレンフォーム保温板2種または3種の規格に合致した、断熱性と難燃性とを共に有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
  10. 断熱性が、熱伝導率で0.034W/mK以下である請求項9に記載のスチレン系樹脂発泡体。
  11. 断熱性が、熱伝導率で0.028W/mK以下である請求項9に記載のスチレン系樹脂発泡体。
  12. 難燃性が、JIS A9511に規定する燃焼性の測定において、3秒以内に炎が消えて、残じんがなく、燃焼限界指示線を越えて燃焼しないという条件を満たす請求項9〜11のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
  13. スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を添加し、これを押出発泡してなるスチレン系樹脂発泡体の製造方法であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、発泡剤として、a)炭素数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種2〜6重量部と、b)塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物1〜7重量部と、c)第三成分の発泡剤(フロン系発泡剤を除く)0.1〜5重量部とを含有させ、かつ、難燃剤としてd)ハロゲン系難燃剤の少なくとも1種0.1〜20重量部と、断熱性向上剤としてe)亜鉛化合物を除く表面処理剤で表面処理してなり、かつ表面処理量が3%以上60%以下である酸化チタン0.2〜6部とを含有させて押出発泡し、発泡体密度が20〜50kg/m3であり、かつ、発泡体の気泡が主として気泡径0.25mm以下の気泡と気泡径0.3〜1.0mmの気泡より構成され、これらの気泡が気泡膜を介して海島状に分散し、発泡体断面積あたりに占める気泡径0.25mm以下の気泡の面積比率が10〜90%であるスチレン系樹脂発泡体を得ることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
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