JP2005162712A - リポソーム製剤の製造方法、およびリポソーム製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、貯蔵安定性と生体内での安定性に優れるとともに、粘度の低いリポソーム製剤の製造方法、および該方法により得られたリポソーム製剤を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明のリポソーム製剤の製造方法は、5000ガウス以上の磁束密度を有する磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を0.2L/分以上の流速で通過させることを特徴とする。また、ニッケルおよび鉄を主成分として含有する平均粒径が10〜500μmの合金顆粒磁性粉末に対し、0.5(KOs)以上の交流磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を0.2L/分以上の流速で通過させることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、リポソーム膜の安定性が向上したリポソーム製剤の製造方法、および該方法により得られたリポソーム製剤に関する。
リポソームは、主にリン脂質によって形成される二分子膜(リポソーム膜)の閉鎖小胞体であり、生体膜と類似の構造や機能を有するため、従来から様々な研究材料として用いられてきている。このリポソームは、内部に有する水相には水溶性の薬効成分を、二分子膜の内部には油溶性の薬効成分を保持するという、いわゆるカプセル構造を構築できることから、診断、治療、化粧などの様々な分野で用いられてきている。さらに、近年では、薬物送達システム(DDS)への応用が盛んに研究されている。
このような薬効成分を内包したリポソームは、通常、分散液の状態で製剤として用いられているが、長期間保存しておいた場合にはリポソーム膜が不安定になるという問題があった。また、リポソーム製剤を生体内に投与した場合には、リポソーム膜が血液中で不安定になるため、所望のDDS効果が得られないという問題もあった。すなわち、脂質膜を構成する脂質同士が、わずかに乱れて、最密状態で並んでいない場合に、血中の電解質等の影響により、薬剤を内包しているリポソーム膜の構造が維持できなくなり、薬剤が流出してしまうためと考えられる。このような特徴は、DDSの一つの機能である徐放性を制御するのを難しくし、他の機能である薬剤の特定部位への送達においても、薬剤が途中でもれてしまうため、所望のDDS効果が得られないと考えられる。したがって、良好な貯蔵安定性と生体内での安定性とに優れるリポソーム製剤が求められていた。
そのような問題を解決するものとして、15℃でのpHが9.5以下でありかつアンモニアまたは水溶性アミンを含む緩衝液を分散液に含有させることによってリポソーム膜の安定性を向上させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような方法によっても、リポソーム製剤の貯蔵安定性と生体内での安定性には依然として問題があった。
さらに、近年ではリポソーム製剤の有する薬物送達システム(DDS)を用いて、造影剤への応用が検討されている。造影剤は、血管などを介して生体内に投与(注射)するものであるため、粘度が高いと短時間に投与するのが困難であり、患者に負担を与えるなどの問題があった。したがって、特に造影剤への応用を考えた場合、低粘度のリポソーム製剤が求められていた。
特表2000−515487号公報
本発明は、貯蔵安定性と生体内での安定性に優れるとともに、粘度の低いリポソーム製剤の製造方法、および該方法により得られたリポソーム製剤を提供することを目的とする。
本発明のリポソーム製剤の製造方法は、5000ガウス以上の磁束密度を有する磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を0.2L/分以上の流速で通過させることを特徴とする。
また、本発明のリポソーム製剤の製造方法は、ニッケルおよび鉄を主成分として含有する平均粒径が10〜500μmの合金顆粒磁性粉末に対し、0.5(KOs)以上の交流磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を0.2L/分以上の流速で通過させることを特徴とするリポソーム製剤の製造方法。
前記磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を2回以上通過させることが好ましい。
本発明のリポソーム製剤は、前記いずれかに製造方法により得られることを特徴とする。
本発明のリポソーム製剤の製造方法によれば、磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を通過させることにより、貯蔵安定性と生体内での安定性に優れるとともに、粘度の低いリポソーム製剤を製造することができる。さらに、このような製造方法によれば、加熱することなく殺菌することができるため、発熱性物質の現出もなく、薬物の担体や人工酸素運搬体として好適に使用することができる。
以下、本発明のリポソーム製剤の製造方法について詳細に説明する。
まず、第1の製造方法について説明する。なお、図面を用いて説明する場合において、同一の部分を示す場合には同一の符号を用いて説明する。
第1の製造方法
本発明のリポソーム製剤の第1の製造方法は、5000ガウス以上の磁束密度を有する磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を0.2L/分以上の流速で通過させる方法である。
リポソームの水性分散液は、水溶性薬剤が内包されたリポソームが水性溶媒中に分散している水性分散液である。このリポソームの水性分散液には、安定化剤、キレート剤、抗酸化剤、粘度調節剤、緩衝剤、pH調整剤などが溶解または分散していてもよい。このようなリポソームの水性分散液の調製は、各種の方法が知られているが、目的、特性、用途などに応じて適宜選択して行う。好ましくは、J.Mol.Biol.,13,238(1965)等に記載されているいわゆるBangham法、Proc.NatlAcad.Sci,U.S.A.,75,4194(1978)等に記載されている
いわゆる逆相蒸発法(REV法)、Langmuir.17,3898(2001)等に記載されている超臨界二酸化炭素を反応媒体としたリポソームの調製方法で調製することが好ましい。
水溶性薬剤としては、造影剤、抗酸化剤、抗菌剤、抗炎症剤、血行促進剤、美白剤、肌荒れ防止剤、老化防止剤、発毛促進剤、保湿剤、ホルモン剤、ビタミン類、色素、およびタンパク質類などが挙げられる。
リポソームとしては、多重層膜からなるリポソーム(Multilamellar vesicles; MLV)、粒径が大きい一枚膜のLUVからなるリポソーム(Large unilamellar veislcles)
、粒径が50nm未満の小さい一枚膜のSUVからなるリポソーム(Small unilamellar vesicles)が挙げられ、これらは混在していてもよい。
リポソームは、通常、脂質二重膜から形成されている。その脂質膜の成分として、通常リン脂質および/または糖脂質が好ましく使用される。
本発明のリポソームにおける好ましい中性リン脂質として、大豆、卵黄などから得られるレシチン、リゾレシチンおよび/またはこれらの水素添加物、水酸化物の誘導体を挙げることができる。これらは単独でも併用してもよい。
その他のリン脂質として、卵黄、大豆またはその他、動植物に由来するホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、合成により得られるホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストリルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステアロイルホス
ファチジルイノシトール(DSPI)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)などを挙げることができる。
これらのリン脂質は通常、単独で使用されるが、2種以上併用してもよい。ただし2種以上の荷電リン脂質を使用する場合には、負電荷のリン脂質同士または正電荷のリン脂質同士で使用することが、リポソームの凝集防止の観点から望ましい。中性リン脂質と荷電リン脂質を併用する場合、重量比として通常、200:1〜3:1、好ましくは100:1〜4:1、より好ましくは40:1〜5:1である。
糖脂質としては、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステルなどのグリセロ脂質、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシドG4などのスフィンゴ糖脂質などを挙げることができる。
必要に応じリポソームの膜構成成分として、上記脂質成分の他に他の成分を加えることもできる。その例として、膜安定化剤またはポリアルキレンオキシド基導入用アンカーとしてコレステロール、コレステロールエステルなどのステロール類、荷電物質であるジセチルホスフェートといったリン酸ジアルキルエステルなどが挙げられる。
本発明における好ましいリポソームの別の態様として、膜構成成分としてホスファチジルコリンおよびホスファチジルセリンからなる群より選ばれるリン脂質を用いることができ、両者を組み合わせてもよい。
第1の製造方法において、リポソームの水性分散液に印加される磁場は、5000ガウス以上の磁束密度、好ましくは5000〜15000ガウスの磁束密度を有していることが望ましい。さらに、リポソームの水性分散液の流速は、0.2L/分以上、好ましくは0.5〜1.5L/分であることが望ましい。
このような条件でリポソームの水性分散液を通過させることよって、リポソームの膜成分の配列(例えば、リン脂質分子の極性部分と疎水性部分の配向)がより規則的になると考えられ、その結果、貯蔵安定性と生体内での安定性に優れるリポソーム製剤を製造することができる。さらに、加熱することなく殺菌することができるため、膜成分の変性や破壊もなく、上記安定性に優れるリポソーム製剤を製造することができるため好ましい。またさらに、このような方法によれば、リポソームの水分散性が良好となり、均一なリポソーム分散液として粘度の低いリポソーム製剤を得ることができる。このようにリポソームの水分散性がよく、粘度の低いリポソーム製剤が得られるのは、経時などにより、リポソームの膜構成成分の規則的な構造が壊れ、解けかけた脂質が粒子間で相互作用することなく、リポソームが一つ一つ単一粒子の状態で分散しているためと推定される。
このような磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を複数回通過させることにより、上記効果がさらに向上する。通過させる回数は、2回以上、好ましくは2〜500回であることが望ましい。
このような磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を通過させることにより、殺菌効果に加えリポソームの膜成分の配列がより規則的になると考えられ、貯蔵安定性と生体内での安定性にさらに優れるリポソーム製剤を製造することができる。
本発明においては、リポソーム製剤が、磁場処理された水性分散液として得られる態様によって説明するが、さらにこの水性分散液を、凍結乾燥などにより乾燥して、リポソーム粉体としてもよい。
第1の製造方法においては、特に限定されないが、図1に例示されるような第1の磁場印加装置を用いてリポソーム製剤を調製することができる。図1に、第1の磁場印加装置1の概略断面図を示す。
図1に示すように、第1の磁場印加装置1は、収容本体2と、収容本体2を長手方向に貫通する流通管4と、流通管4側がN極となるように配置された永久磁石6と、流通管4側がS極となるように配置された永久磁石8とを備える。
永久磁石6と永久磁石8とは流通管4を介して対峙して設けられ、その間の流通管4内に、5000ガウス以上の磁束密度を有する磁場を印加する。このような磁場が形成されるのであれば、永久磁石6と永久磁石8との距離は特に限定されない。さらに、流通管4の材質や、径などは適宜定めることができる。
また、流通管4には、図示しない定量ポンプが備えられており、リポソームの水性分散液が流通管4内を所定の流量で流れるように構成されている。さらに、リポソームの水性分散液が循環するように構成され、前記の磁場が印加されている間に複数回通過可能に構成されていることが好ましい。
本発明に用いられる第1の磁場印加装置1は、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
このような第1の磁場印加装置1を用いることによって、第1の製造方法を実施することができる。
次に、リポソーム製剤の第2の製造方法について説明する。
第2の製造方法
本発明のリポソーム製剤の第2の製造方法は、ニッケルおよび鉄を主成分として含有する平均粒径が10〜500μmの合金顆粒磁性粉末に対し、0.5(KOs)以上の交流磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を0.2L/分以上の流速で通過させる方法である。
リポソームの水性分散液としては、第1の製造方法において用いたリポソームの水性分散液と同一のものが用いられる。
第2の製造方法において用いられる合金顆粒磁性粉末としては、ニッケルおよび鉄を主成分として含有する磁性粉末を用いることが好ましい。
ニッケル−鉄系合金顆粒磁性粉末は、基本的に強磁性元素であるNiとFeとを含むため、高い磁化量を有すると共に、良好な軟磁性特性を示す。また、ニッケル−鉄系合金顆粒磁性粉末は錆つき難く好ましく用いることができる。
このようなニッケル−鉄系合金顆粒磁性粉末の平均粒径は、10〜500μm、好ましくは20〜250μmであることが望ましい。
この粒子径範囲の磁性粉末を用いることにより、リポソームの膜成分の配列がより規則的になることで膜構造は強化され、貯蔵安定性と生体内での安定性に優れるリポソーム製剤を製造することができる。
第2の製造方法において、合金顆粒磁性粉末に対し印加される交流磁場は、0.5(KOs)以上、好ましくは0.5〜5(KOs)であることが望ましい。さらに、リポソームの水性分散液の流速は、0.2L/分以上、好ましくは0.5〜1.5L/分であることが望ましい。
第2の製造方法においては、上記の磁性粉末が印加された交流磁場と相互作用しているため、この磁性粉末が分散している中を通過するリポソーム粒子はより近接した状況で磁気作用を効果的に受ける。したがって、第2の方法は、第1の方法よりも、磁場を印加する距離が短くて済むなど効率的に上述の効果が得られる。
このような磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を複数回通過させることにより、上記効果がさらに増強される。通過させる回数は、2回以上、好ましくは3〜300回であることが望ましい。
このような磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を所定の回数通過させることにより、リポソームの膜成分がさらに規則的に配列することとなると考えられ、貯蔵安定性と生体内での安定性に特に優れるリポソーム製剤を製造することができる。
このような第2の製造方法においては、特に限定されないが、図2に例示されるような第2の磁場印加装置を用いてリポソーム製剤を調製することができる。図2に、第2の磁場印加装置10の概略図を示す。
図2に示すように、第2の磁場印加装置10は、流通管4と、流通管4の周囲に巻き回されているコイル12と、コイル12に高周波電流を印加する高周波電源14とを備える。さらに、流通管4内部には所定距離離間して、フィルター16,16'が設けられ、こ
のフィルター16,16'間にはニッケル−鉄系合金顆粒磁性粉末18が充填されている
。フィルター16,16'は複数の細孔を有しており、この細孔は、ニッケル−鉄系合金
顆粒磁性粉末18が通過せず、リポソーム製剤が通過可能な細孔径を有している。
また、流通管4には、図示しない定量ポンプが備えられており、リポソームの水性分散液が流通管4内を所定の流量で流れるように構成されている。さらに、リポソームの水性分散液が循環するように構成され、前記の磁場が印加されている間に複数回通過可能に構成されていることが好ましい。
このような第2の磁場印加装置10において、高周波電源14からコイル12に高周波電流を供給することによって、合金顆粒磁性粉末に対し、0.5(KOs)以上の交流磁場を印加することができる。
上記したように、第2の磁場印加装置10においては、コイルが流通管の周囲に巻き回されている例によって説明したが、2つの電磁石を流通管4を介して対峙するように配置し、ニッケル−鉄系合金顆粒磁性粉末18に対し上記範囲の交流磁場を印加可能に構成されていてもよい。
本発明に用いられる第2の磁場印加装置10は、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
このような第2の磁場印加装置10を用いることによって、第2の製造方法を実施することができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[製造例1]
リポソームの水性分散液(リポソームの水性分散液)の調製
ビーカー中の水素添加大豆レシチン634.9g、コレステロール312.2gおよびミリスチン酸52.9gに、2−プロパノール1.5Lを添加した後、70℃に加熱して、完全に溶解するまで攪拌した。これをアジホモミクサー(特殊機化工業社製)に投入した。その後、逆浸透水(RO水)1Lをアジホモミクサーに投入した。温度を70℃に保ち、100Torr(1.33×104 Pa)、パドル回転数100rpm、20〜80分間の減圧条件で2−プロパノールを減圧留去し、リポソームの水性分散液を得た。
[製造例2]
ニッケル−鉄系合金顆粒磁性粉末の調製
50%Ni・残部(50%)Feなる組成と、80%Ni・3%Mo・残部(17%)Feなる組成とを有する2種の合金粉末をアトマイズ法にて作製した。次に、これらの合金粉末を分級することにより、直径約40〜90[μm]の球状粒子の合金顆粒磁性粉末を得た。この合金顆粒磁性粉末の磁気特性を振動型磁力計にて測定したところ、保磁力は3[Oe]以下となったが、飽和磁化は50%Ni・50%Fe合金顆粒磁性粉末が約15[KG]となった。この合金顆粒磁性粉末にポリウレタンを被覆して実験用試料とした。
図1に示す第1の磁場印加装置1を用いて、リポソーム製剤を製造した。
永久磁石6と永久磁石8とによって、流通管4内に7500ガウスの磁束密度を有する磁場を形成し、製造例1で得られたリポソームの水性分散液1Lを、流通管4内に0.5L/分で25分間循環させた。リポソームの水性分散液は磁場を50回程度通過した。得られたリポソーム製剤の無菌状態、リポソームの安定性を以下の方法により確認した。無菌試験の結果、コロニー数は0であった。リポソームの安定性確認試験の結果、リポソームの保存安定性および生理食塩水に対する安定性の結果は、いずれもレベル5であった。
一方、処理前のリポソームの水性分散液は、無菌試験の結果、コロニー数は数千個であった、リポソームの保存安定性および生理食塩水に対する安定性の結果は、それぞれ3および2であった。
無菌試験
無菌試験は、クリーンベンチの中で約1gのリポソーム製剤を取り、滅菌した下記組成の寒天培地に塗抹し、72時間、35℃の条件で培養したときのコロニー数を確認することにより行った。
<SCDA培地(40.0g/1000mL)組成>
トリプトン(カゼインペプトン) 15.0g
ソイペプトン(ソーヤペプトン) 5.0g
塩化ナトリウム 5.0g
寒天抹 15.0g
精製水 1000mL
(pH7.3±0.1)
リポソーム製剤の安定性確認試験
(1)保存安定性
リポソームの分散液はやや白濁しており、保存安定性が悪い場合、濁り部分と透明な部分とに分離する。従ってリポソーム製剤の安定性を、分離する状態を観察することにより判断した。
リポソーム製剤を容器に入れ密閉後、37℃の恒温槽に静置した。7日後容器を取り出し、容器内のリポソーム製剤を観察し、以下の規準で評価した。
5: 製造直後と変化なし。
4: 製造直後より、白濁している。
3: わずかに、上澄みの層が見える。
2: 濁った層と透明の層の2層に分離している。
1: 脂質が完全に分離している。
(2)生理食塩水に対する安定性
リポソーム製剤1mlを生理食塩水9mlで希釈を行い、この希釈液を37℃で保管した。10分、30分、1時間、3時間、24時間経過ごとに希釈液の状態を観察し、以下規準で評価した。
5:24時間経過後も分散している。
4:24時間経過後に分離している。
3:3時間経過後に分離している。
2:1時間経過後に分離している。
1:10分経過後に分離している。
図2に示す第2の磁場印加装置10を用いて、リポソーム製剤を製造した。
高周波電源14からコイル12に高周波電流を供給し、ニッケル−鉄系合金顆粒磁性粉末18に対し、1.5(KOs)の交流磁場を形成し、製造例で得られたリポソームの水性分散液1Lを、流通管4内に0.5L/分で30分間循環させた。リポソームの水性分散液は磁場を60回通過した。得られたリポソーム製剤の無菌状態、リポソームの安定性を上記の方法により確認した。無菌試験の結果、コロニー数は0であった。リポソームの保存安定性および生理食塩水に対する安定性の結果は、いずれも5であった。
本発明のリポソーム製剤の製造方法によれば、磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を通過させることにより、貯蔵安定性と生体内での安定性に優れるとともに、粘度の低いリポソーム製剤を製造することができる。さらに、このような製造方法によれば、加熱することなく殺菌することができるため、発熱性物質の現出もなく、薬物の担体や人工酸素運搬体として好適に使用することができる。
図1は、本発明のリポソーム製剤の第1の製造方法に用いられる磁場印加装置1の概略断面図を示す。 図2は、本発明のリポソーム製剤の第2の製造方法に用いられる磁場印加装置10の概略図を示す。
符号の説明
1 … 第1の磁場印加装置
2 … 収容本体
4 … 流通管
6,8 … 永久磁石
10 … 第2の磁場印加装置
12 … コイル
14 … 高周波電源
16,16' … フィルター
18 … ニッケル−鉄系合金顆粒磁性粉末

Claims (4)

  1. 5000ガウス以上の磁束密度を有する磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を0.2L/分以上の流速で通過させることを特徴とするリポソーム製剤の製造方法。
  2. ニッケルおよび鉄を主成分として含有する平均粒径が10〜500μmの合金顆粒磁性粉末に対し、0.5(KOs)以上の交流磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を0.2L/分以上の流速で通過させることを特徴とするリポソーム製剤の製造方法。
  3. 前記磁場が印加されている間に、リポソームの水性分散液を2回以上通過させることを特徴とする請求項1または2に記載のリポソーム製剤の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とするリポソーム製剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011256199A (ja) * 2008-12-24 2011-12-22 Biomedcore Inc リポソームの製造方法ならびにコレステロール溶解方法

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