JP2005161785A - 製缶時の耐疵付き性に優れたラミネート鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】製缶後の外面がラミネート面である用途に使用されるラミネート鋼板であって、前記鋼板側に飽和ポリエステル樹脂とアイオノマー樹脂の混合物からなる樹脂層(A)を有し、前記外面側に結晶性飽和ポリエステル樹脂層(B)を有するPET樹脂皮膜を形成し、かつ、前記PET樹脂皮膜のラミネート面における表面粗度が0.14μmRa以上であることを特徴とする製缶時の耐疵付き性に優れたラミネート鋼板およびその製造方法
【選択図】 図4
Description
ラミネート鋼板を製造する方法としては、予め成形された熱可塑性樹脂フィルムを熱圧着により表面処理鋼板(以下、鋼板という)に接着させる熱ラミネート法、一対のロールで圧接された予熱してある鋼板と一方のロールの界面近傍にTダイより高温の熱可塑性樹脂膜を供給し、鋼板に接着させるTダイラミネート法とがある。
しかし、このように従来のPETラミネート鋼板は、樹脂皮膜の材質を工夫して疵付きにくくしているものの、非ラミネート鋼板と兼用の製缶機で製造することが多く、ラミネート鋼板表面の樹脂膜は非ラミネート鋼板の金属面や塗装面に比べ疵が入りやすいという問題点があった。
そこで、従来は疵が入らない程度までラミネート面に油を塗って加工し、製品によってはその後脱脂工程を必要としていた。
なお、樹脂層の表面粗度を規定した従来技術としては、特開2000-272048号公報や特開2000-190423号公報に艶消し表面を有する鋼板や耐衝撃性に優れた鋼板が開示されているが、本発明が課題とする製缶時の耐疵付き性という観点から粗度を規定したものはなかった。
(1)製缶後の外面がラミネート面である用途に使用されるラミネート鋼板であって、前記鋼板側に飽和ポリエステル樹脂とアイオノマー樹脂の混合物からなる樹脂層(A)を有し、前記外面側に結晶性飽和ポリエステル樹脂層(B)を有するPET樹脂皮膜を形成し、かつ、前記PET樹脂皮膜のラミネート面における表面粗度が0.14μmRa以上であることを特徴とする製缶時の耐疵付き性に優れたラミネート鋼板。
(2)前記ラミネート面の表面粗度が0.14〜0.20μmRaであることを特徴とする(1)に記載の製缶時の耐疵付き性に優れたラミネート鋼板。
(3)(1)または(2)に記載のラミネート鋼板をTダイラミネート法により製造する方法であって、
前記Tダイから流下する樹脂膜を鋼板表面に圧着する圧着ロールを、表面粗度が1.0μmRa以上のゴムロールとすることを特徴とする製缶時の耐疵付き性に優れたラミネート鋼板の製造方法。
(4)前記ゴムロールの表面粗度を1.0〜1.2μmRaとすることを特徴とする(3)に記載の製缶時の耐疵付き性に優れたラミネート鋼板の製造方法。
(5)前記ゴムロールをシリコンロールとすることを特徴とする(3)または(4)に記載の製缶時の耐疵付き性に優れたラミネート鋼板の製造方法。
図1は、本発明に用いるTダイラミネート装置を示す図である。
図1において、1は鋼板、2は樹脂、2´はラミネート面、3はTダイ、4は巻き付けロール、5は圧着ロールを示す。
加熱・溶融された樹脂2はTダイ3から流下して、巻き付けロール4と圧着ロール5の間に挟み込まれ、鋼板1の表面に圧着されて、鋼板表面に厚さ10〜30μmの樹脂膜を形成する。
図2に示すように、本発明のラミネート鋼板は、鋼板1の片面に、飽和ポリエステル樹脂とアイオノマー樹脂の混合物からなる樹脂層(A)を有し、その外面側に結晶性飽和ポリエステル樹脂層(B)を有するPET樹脂皮膜が形成されている。
飽和ポリエステル樹脂とアイオノマー樹脂の混合物からなる樹脂層(A)は鋼板との密着性が良好なので、鋼板側に配置されている。
また、外面側に配置されている結晶性飽和ポリエステル樹脂層(B)は硬質の樹脂層なので疵付きを低減することができる。
本発明者等は、ラミネート面の粗度と耐疵付き性との関係について種々の実験を行った結果、表面粗度が0.14μmRa以上であれば耐疵付き性が良好であることを見出した。
この原因は、ラミネート面の表面粗度が小さいと、製缶用の金型との接触面積が大きくなるため滑りにくいためラミネート面が金型によって疵つく可能性が高い一方で、ラミネート面の表面粗度が大きいと、製缶用の金型との接触面積が小さくなるため滑り易いためラミネート面が金型によって疵付きにくいものと考えられる。
なお、前記ラミネート面の表面粗度が0.20μmRaを超えるとラミネート面の光沢がなくなるので、外観を重視する場合にはラミネート面の表面粗度を0.14〜0.20μmRaとすることが好ましい。
本発明においては、樹脂膜を圧着する圧着ロールの表面粗度が1.0μmRa以上のゴムロールとすることが好ましい。
圧着ロールの表面粗度を1.0μmRa以上とすることによって、ラミネート面に転写された表面粗度を0.14μmRa以上とすることができる。
また、圧着ロールの表面粗度が1.2μmRaを超えるとロールの研磨目がラミネート面に転写されるため、外観を重視する場合には前記ゴムロールの表面粗度を1.0〜1.2μmRaとすることが好ましい。
また、本発明に用いる圧着ロールは、PET樹脂に対する離形性を有し十分な耐熱性を持つもので、図3の左側に示す比較例のように、耐熱性ゴムの外面にテフロンチューブ(テフロンは登録商標)を有するものでもよいが、テフロンチューブは比較的耐久性が悪く、短時間で交換する必要がある。
一方、図3の右側に示す本発明例のように、テフロンチューブの代わりにシリコンゴムからなるゴムロールとすることによって、交換までの操業時間を伸ばすことができる。
図4において、横軸が圧着ロールの表面粗度(μmRa)、縦軸がラミ面粗度(μmRa)を示す。
図4に示すように、圧着ロールの表面粗度が大きいほど、ラミネート面の粗度も大きくなり、圧着ロールの表面粗度が1.0(μmRa)以上のとき、ラミネート面の粗度を適正範囲である0.14(μmRa)以上とすることができる。
また、圧着ロールの表面粗度が1.2(μmRa)を超えるとロール研磨目がラミネート面に転写されるので、圧着ロールの表面粗度の好ましい範囲は1.0〜1.2(μmRa)である。
2 樹脂
2´ラミネート面
3 Tダイ
4 巻き付けロール
5 圧着ロール
Claims (5)
- 製缶後の外面がラミネート面である用途に使用されるラミネート鋼板であって、前記鋼板側に飽和ポリエステル樹脂とアイオノマー樹脂の混合物からなる樹脂層(A)を有し、前記外面側に結晶性飽和ポリエステル樹脂層(B)を有するPET樹脂皮膜を形成し、かつ、前記PET樹脂皮膜のラミネート面における表面粗度が0.14μmRa以上であることを特徴とする製缶時の耐疵付き性に優れたラミネート鋼板。
- 前記ラミネート面の表面粗度が0.14〜0.20μmRaであることを特徴とする請求項1に記載の製缶時の耐疵付き性に優れたラミネート鋼板。
- 請求項1または請求項2に記載のラミネート鋼板をTダイラミネート法により製造する方法であって、
前記Tダイから流下する樹脂膜を鋼板表面に圧着する圧着ロールを、表面粗度が1.0μmRa以上のゴムロールとすることを特徴とする製缶時の耐疵付き性に優れたラミネート鋼板の製造方法。 - 前記ゴムロールの表面粗度を1.0〜1.2μmRaとすることを特徴とする請求項3に記載の製缶時の耐疵付き性に優れたラミネート鋼板の製造方法。
- 前記ゴムロールをシリコンロールとすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の製缶時の耐疵付き性に優れたラミネート鋼板の製造方法。
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