JP2005161251A - 有機材料の精製装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 付着した有機材料の回収ロスが全くなくなり、有機材料の使用効率を極めて高くすることができる有機材料の精製装置を提供する。
【解決手段】 有機材料Mを昇華させて純度を高める有機材料の精製装置において、真空引き可能になされ、一端にガス導入口40を、他端にガス排出口42を有し、内部に所定の距離だけ離間させた第1保持部と第2保持部を有する昇華用容器22と、第1保持部に設定された有機材料を収納する保持容器24と、保持容器を有機材料の昇華温度以上に加熱する第1の加熱手段26と、第2保持部に設定され、再固化した有機材料を回収する着脱自在の複数の回収ブロック28A〜28Cと、複数の回収ブロックが配置された領域だけに温度勾配がつくように加熱する第2の加熱手段30とからなり、第1保持部は複数の回収ブロックのうち、最も純度の高い有機材料が付着した回収ブロックも設定できるようする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機材料の精製装置に関するものである。
有機材料の分離、精製方法は溶解度の温度変化を利用する再結晶法、溶媒による溶解度の違いを利用する抽出法、液体物質の揮発性の違いを利用する蒸留法(揮発性の小さいものは減圧蒸留や水蒸気蒸留を用いる)、固定物質の揮発性の違いを利用する昇華法、クロマトグラフィ固体吸着剤表面への吸着、或いは固体表面に固定されている溶媒への溶解を利用するクロマトグラフィー法等がある。一般的に有機溶媒に可溶な物質であれば、再結晶法や、クロマトグラフィなどによって純度の高い生成物を取り出すことができるが、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(以下「Alq3」とも称す)のような有機EL(エレクトロルミネッセンス)発光材料やペンタセンのような有機半導体材料は有機溶媒に比較的不溶な材料が多く存在する。こうした有機材料に比較的不溶な有機材料の純度を高める精製法は昇華精製法が適している。
ここで従来の一般的な精製装置について説明する。図5は例えば特許文献1等に開示されているような従来の有機材料の精製装置を示す概略構成図である。図中には記入していないが、この精製装置2はロータリーポンプを用いた真空排気系を有している。この精製装置2は石英ガラスよりなる筒体状の昇華用容器4、加熱ヒータ6、8、10、ガス導入口12、ガス排出口14、昇華精製材料を回収する石英ガラス製の筒体状の回収容器16を有している。精製されるべき有機材料Mを石英ガラスよりなる蒸発皿18に収容して、この蒸発皿18を精製装置2の昇華用容器4内に導入し、内部を0.01Torr(1.3Pa)まで真空排気する。真空度が所定の値になったならば不活性ガスとして、例えばArをガス導入口12より導入する。昇華用容器4の内部が1気圧以上となったならばガス排気口14を開ける。有機EL材料、有機半導体材料などの有機材料Mはヒータ6によって加熱される。この有機材料Mの昇華温度以上の温度で加熱することで有機材料は昇華する。
上記回収容器16を取り巻く前段のヒータ8は昇華温度より低温に制御され、後段のヒータ10は昇華温度より高温の温度で厳密に設定制御され、これにより内部の回収容器16に温度勾配を持たせている。図5には回収容器16の温度プロフィールが併せて記載されている。ヒータ6で昇華した有機材料Mは回収容器16内でその温度勾配によって分離されることとなる。すなわち、昇華されている有機材料がこの回収容器16内を通過する時にその昇華温度以下になるので不純物濃度に応じて異なった温度で再固化し、この回収容器16の内壁に回収有機材料M1が付着することになる。そして回収容器16の内壁に付着した回収有機材料M1の内で高純度に精製された部分のみを薬さじ等で掻き出し、それを回収することで第2回目の昇華精製の対象となる有機材料Mが得られることとなる。そして、このような昇華精製工程を数回繰り返すことで純度の高い有機材料が得られる。
特開2003−95992号公報
しかしながら、回収容器16の内壁に付着している回収有機材料M1から純度の比較的高い部分のみを掻き取り等によって取り出す場合、これを完全に取り出すことは難しく、取り残しが生じて材料の回収効率が非常に悪い、という問題があった。そのため、こうした方法で昇華精製を数回繰り返し行うと材料のロス分が大きくなって材料使用効率に大きく低下することになる。また、こうした昇華精製材料の回収をできるだけ多く行うとすると作業時間もかかってしまう、という問題もあった。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、回収有機材料の付着した回収容器から昇華精製した有機材料を取り出す作業を行わず、この回収容器をそのまま新たな昇華用容器として用いることにより、付着した有機材料の回収ロスが全くなくなり、有機材料の使用効率を極めて高くすることができる有機材料の精製装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、有機材料を昇華させてその純度を高める有機材料の精製装置において、真空引き可能なように密封され、かつ一端にガス導入口を、他端にガス排出口を有し、内部に前記ガス導入口から前記ガス排出口方向に沿って所定の距離だけ離間させた第1保持部と第2保持部を有する昇華用容器と、前記第1保持部に設定された前記有機材料を収納する保持容器と、前記保持容器を前記有機材料の昇華温度以上に加熱する第1の加熱手段と、前記第2保持部に設定され、前記第1の加熱手段により昇華されて再固化した前記有機材料を回収する着脱自在の複数の回収ブロックと、前記複数の回収ブロックが配置された領域だけに温度勾配がつくように前記複数の回収ブロックを加熱する第2の加熱手段と、からなり、前記第1保持部は、前記複数の回収ブロックのうち、最も純度の高い有機材料が付着した回収ブロックも設定できるようにしたことを特徴とする有機材料の精製装置である。
本発明によれば、昇華した有機材料を回収する回収容器を複数の回収ブロックで形成し、最も純度の高い有機材料の付着した回収ブロックを、次の有機材料の精製のための保持容器として用いることができるので、有機材料の回収ロスを低減し、有機材料の回収効率を向上させることができる。
以下に、本発明に係る有機材料の精製装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明の有機材料の精製装置を示す概略構成図、図2は図1中のA−A線矢視断面図、図3は回収容器を形成する回収ブロックの1つを示す斜視図である。図示するように、この有機材料の精製装置20は、真空引き可能なように密封され、かつ一端にガス導入口40を、他端にガス排出口42を有し、内部に上記ガス導入口40から上記ガス排出口42方向に沿って所定の距離だけ離間させた第1保持部43と第2保持部45を有する昇華用容器22と、上記第1保持部43に設定された精製されるべき有機材料M(M1)を収納する保持容器24と、上記保持容器24を上記有機材料の昇華温度以上に加熱する第1の加熱手段26と、上記第2保持部45に設定され、上記第1の加熱手段26により昇華されて再固化した上記有機材料を回収する着脱自在の複数、図示例では3つの連設してなる回収ブロック28A、28B、28Cと、上記複数の回収ブロックが配置された領域だけに温度勾配がつくように上記複数の回収ブロックを加熱する第2の加熱手段30とからなり、上記第1保持部43は、上記複数の回収ブロックのうち、最も純度の高い有機材料が付着した回収ブロックも設定できるようになっている。
具体的には、上記昇華用容器22は、例えば石英ガラスにより長尺な円筒体上に成形されており、その一端部にシール部材32を介して前方蓋部34が気密に取り付けられ、他端部にシール部材36を介して後方蓋部38が気密に取り付けられている。そして、上記前方蓋部34には、必要なガス、例えば不活性ガスとてArガスを導入するガス導入口40が形成される。また後方蓋部38には、ガス排出口42が形成され、これには例えばロータリポンプ等を介設した真空排気系(図示せず)が接続される。上記保持容器24は、ここでは円筒状に成形されており、これを構成する材料、内径及び外径の寸法は、上記回収ブロック28Bと同一に成形されており、互いに置換可能になされている。尚、後述するように、不純物が最も多い有機材料を用いた第1回目の昇華精製工程を行う時は、この保持容器24に替えて図5に示す蒸発皿18を用いる。
また第1の加熱手段26は、上記保持容器24が設置される部分の昇華用容器22の外周側を取り囲むようにリング状に成形されており、この保持容器24を有機材料M(M1)の昇華温度以上に加熱してこれを昇華し得るようになっている。また上記回収容器28は、上記保持容器24よりも雰囲気ガス流の下流側に位置されている。図3では代表として回収ブロック28Bの斜視図を示している。この回収容器28は、上述のように、ここでは同一寸法の円筒状の3つの回収ブロック28A、28B、28Cよりなり、これらをガス流れ方向へ連設して設けている。図示例では、ガス流の上流側から下流側に向けて回収ブロック28A、28B、28Cの順序で設けている。各回収ブロック28A〜28Cは、例えばカーボン等よりなり、昇華用容器22の内壁に、着脱可能となるように遊嵌状態で装着されている。
また図2にも示すように、上記第2の加熱手段30は、上記回収容器28が設置される部分の昇華用容器22の外周側を取り囲むようにしてリング状に形成されている。そして、特に、この第2の加熱手段30は、上記回収ブロック28A〜28Cの数に対応させてここでは3つの加熱ヒータ30A、30B、30Cに分割して、各回収ブロック28A〜28Cに対応させて設けられている。そして、各加熱ヒータ30A〜30Cは、個別に独立して制御可能になされており、この回収容器28の長手方向に沿って有機材料の昇華温度を途中に含むような温度勾配(図1に併記した温度分布を参照)を実現し得るようになっている。
図示例では、上流側の回収ブロック28Aの温度を昇華温度よりも低く設定し、中央の回収ブロック28Bの温度を昇華温度と略同じになるように設定し、下流側の回収ブロック28Cの温度を昇華温度よりも高く設定している。この時の昇華温度をToとすると、温度勾配の最大量ΔTは±40℃程度である。
上記のように各回収ブロック28A〜28Cを温度制御することにより、昇華されて流れてくる有機材料を再固化させて上記各回収ブロック28A〜28Cの内壁面に付着させて回収有機材料M1として回収し得るようになっている。この場合、昇華温度に設定されている中央の回収ブロック28Bの内壁に付着する回収有機材料M1の純度が最も高くなる。またここで、この中央の回収ブロック28Bの材料、および寸法は、後述する真空蒸着装置の蒸発容器であるるつぼ内へも収容できるように構成されている。
次に、以上のように構成された本発明装置の動作について説明する。
まず、本発明の有機材料の精製装置20で昇華精製処理を何ら行っていない、例えば市販の比較的純度の低い有機材料に対して1回目の精製処理を行う場合には、第1の加熱手段26の部分に設置される保持容器24としては、例えば図5で示した従来の蒸発皿18を用いる。この蒸発皿18に精製装置20で1回も昇華精製処理を行っていない有機材料Mを収容し、この蒸発皿18を昇華用容器22内の第1の加熱手段26の部分に設置し、昇華用容器22内を密閉する。尚、この有機材料Mは例えば有機半導体材料や有機EL材料等である。
そして、この昇華用容器22内を図示しないロータリポンプで真空引きして例えば0.01Torr(1.3Pa)まで真空排気する。そして、この真空度になったならば、不活性ガスとして例えばArガスをガス導入口40から昇華用容器22内へ導入し、内部圧力が1気圧程度になるように圧力調整を行い、この圧力を維持する。これと同時に、第1の加熱手段26により蒸発皿18(図5参照)を有機材料Mの昇華温度以上に加熱してこの有機材料Mを徐々に昇華させる。これにより発生した有機材料MのガスはArガスと共に下流側に流れて行く。
ここで、ガス流の下流側に位置する回収容器28の3つの筒体状の回収ブロック28A〜28Cは、この周囲を取り囲む第2の加熱手段30により所定の温度に加熱されており、図1に示す温度プロフィールに示すように有機材料の昇華温度T0を中心とした例えば直線状の温度勾配がつけられており、厳密に温度制御されている。具体的には、上流側の回収ブロック28Aの温度は昇華温度T0より少し低く、下流側の回収ブロック28Cの温度は昇華温度T0より少し高く、中流側(中央)の回収ブロック28Bの温度は、その中間、すなわち昇華温度T0と略同じ温度に設定され、この結果、図1に示すような温度プロフィールが得られる。尚、この温度プロフィールは単に一例を示したに過ぎず、例えば中央の回収ブロック28Bを中心として上流側の温度が高く、下流側の温度が低くなるように設定してもよい。
この結果、上記筒体状の各回収ブロック28A〜28Cの内周面には、ガス状の材料が再固化して付着し、回収有機材料M1として回収されることになる。この場合、有機材料の昇華温度T0よりも低い温度領域(回収ブロック28A)と高い温度領域(回収ブロック28C)に付着した回収有機材料M1は純度が低くて例えば廃棄されるが、中央の回収ブロック28Bに付着した回収有機材料M1の純度は高い状態となっている。このようにして、蒸発皿18内の有機材料Mよりも純度の高い有機材料を回収有機材料M1(回収ブロック28Bに付着)として回収することができる。このようにして1回目の昇華精製処理を終了する。
次に、2回目の昇華精製処理を行う時には、上記回収有機材料M1が付着している中央の回収ブロック28Bを取り出し、これを、先の蒸発皿18に替えて第1の加熱手段26の部分に位置させる。図1はこのような2回目以降の昇華精製処理の時の状態を示している。また中央の回収ブロック28Bとしては同種のものを複数個予め用意しておき、他の回収ブロック28Bを第2の加熱ヒータ30Bの部分に装着する。そして、前述したような条件と同様な処理条件で2回目の昇華精製処理を行う。これにより、新たに設けた中央の回収ブロック28Bには、1回目の回収有機材料M1よりも更に高純度の有機材料が回収されることになる。以後、上記したように中央の回収ブロック28Bを交換しつつこの回収有機材料M1の付着した回収ブロック28Bを保持容器24として用いることにより、この昇華精製処理を適当な回数だけ繰り返し行って所望する高純度の有機材料を得ることができる。これにより、有機材料をロスすることなく、この純度を向上させることができる。尚、上記回収ブロック28A〜28Cの数は3個に限定されず、2以上ならばいくつでもよい。
次に、上記のようにして高純度に精製された有機材料を用いて必要とする基板にこの有機材料を蒸着させる。図4はこの蒸着処理を行う真空蒸着装置を示す概略図である。この真空蒸着装置50では、真空引き可能になされた真空チャンバー52を有している。そして、この真空チャンバー52の例えば天井部に基板ホルダ54を設け、これに蒸着を行う基板56を取り付けて保持させている。また、この基板56に対向する真空チャンバー52の底部には、るつぼ58を設置し、これを直流電源60より給電される加熱ヒータ62により加熱し得るようになっている。
ここで、このるつぼ58は、上記回収容器28の中央の回収ブロック28Bと同じ材料、例えばカーボンにより形成されており、このるつぼ58の寸法は、この中に上記回収ブロック28Bを収容できるような大きな寸法に設定されている。従って、真空蒸着処理時には、このるつぼ58内に上記高純度の回収有機材料M1が付着した状態の回収ブロック28Bを収容し、この状態で真空蒸着処理を行うことになる。これによって高純度の有機材料を無駄なく効率的に使用することができる。ここではるつぼ58と回収ブロック28Bの材料を同一のカーボンにより形成したが、これに限定されず、この回収ブロック28Bをるつぼ58内へ直接収容して蒸着処理を行えるような材料であるならば、どのような材料を用いてもよい。
上記したような真空蒸着処理の一例を示す。
まず、ゲート膜として低抵抗のSi基板、ゲート酸化膜としてSiO を形成した基板上に有機材料として2回昇華精製処理したペンタセン有機半導体を真空蒸着装置50より50nmの厚さで蒸着して成膜した。更にこの上にAuをソース電極とドレイン電極として50μm間隔でチャネルが形成できるようにそれぞれ100nm厚さで形成して有機薄膜トランジスタとした。このトランジスタは良好な動作をすることが確認できた。
本発明の有機材料の精製装置を示す概略構成図である。 図1中のA−A線矢視断面図である。 回収容器を形成する回収ブロックの1つを示す斜視図である。 蒸着処理を行う真空蒸着装置を示す概略図である。 従来の有機材料の精製装置を示す概略構成図である。
符号の説明
20…精製装置、22…昇華用容器、24…保持容器、26…第1の加熱手段、28…回収容器、28A〜28C…回収ブロック、30…第2の加熱手段、30A〜30C…加熱ヒータ、40…ガス導入口、42…ガス排出口、43…第1保持部、45…第2保持部、M…有機材料、M1…回収有機材料。

Claims (1)

  1. 有機材料を昇華させてその純度を高める有機材料の精製装置において、
    真空引き可能なように密封され、かつ一端にガス導入口を、他端にガス排出口を有し、内部に前記ガス導入口から前記ガス排出口方向に沿って所定の距離だけ離間させた第1保持部と第2保持部を有する昇華用容器と、
    前記第1保持部に設定された前記有機材料を収納する保持容器と、
    前記保持容器を前記有機材料の昇華温度以上に加熱する第1の加熱手段と、
    前記第2保持部に設定され、前記第1の加熱手段により昇華されて再固化した前記有機材料を回収する着脱自在の複数の回収ブロックと、
    前記複数の回収ブロックが配置された領域だけに温度勾配がつくように前記複数の回収ブロックを加熱する第2の加熱手段と、からなり、
    前記第1保持部は、前記複数の回収ブロックのうち、最も純度の高い有機材料が付着した回収ブロックも設定できるようにしたことを特徴とする有機材料の精製装置。

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