JP2005156734A - 偏光板、およびそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
セルロースアシレートフイルムの偏光板保護フイルムに求められる低透湿率で高耐久性、低複屈折及び額縁現象が少なく、且つ偏光板貼合適性にすぐれたセルロースアシレートフイルムを提供すること。
【解決手段】
第1の保護フィルム、偏光子、第2の保護フィルムがこの順に積層してなる偏光板において、第2の保護フィルムが液晶セル側保護フィルムであって、第1の保護フィルムの透湿度が第2の保護フィルムの透湿度よりも低く、かつ第2の保護フィルムの厚さ方向レターデーションが30nm以下であることを特徴とする偏光板。
【選択図】 なし
Description
このような偏光板においてセルロースアシレートフイルムを保護膜として使用するときの欠点として透湿率が大きい事が挙げられている。偏光板保護膜の透湿率が大きいと、耐湿熱性が劣化し、偏光子において多ヨウ素イオンの解離、ヨウ素脱離などがおこり、偏光性能が低下する。そこで、従来、耐湿熱性の劣化を防止する技術が多く提案されているが、その多くはセルロースアシレートに疎水性の添加剤を添加してその透水率を低減する方法である。例えば、特許文献1には高分子化可塑剤をセルロースアシレートに添加する方法が示されている。また、特許文献2ではロジン系可塑剤を使用する方法が示されている。特許文献3には疎水性可塑剤と劣化防止剤を併用する方法が開示されている。さらに、特許文献4では二つ以上の芳香族環を含む化合物の使用が開示されている。一方、特許文献5ではセルロースアシレートの置換基を疎水的なものに変える方法が提案されている。
また、従来、偏光板に用いるセルロースアシレート保護フイルムは表裏2枚同じものを使用することが多かった(例えば特許文献13,14参照)。表裏で異なる保護フィルムを用いた例として、液晶セル側に光学補償フイルムを設けた例があるが、該光学補償フイルムの厚さ方向レターデーションは130nmであり、さらなる低レターデーション化が望まれていた。
一方、セルロースアシレートフイルムに添加する可塑剤や添加剤の中には複屈折を発現しやすいものが少なくない。特に、分子内に多数の芳香族環を有する可塑剤や添加剤は疎水化効果も大きいが、これらの中には大きな複屈折を発現するものも多い。従ってセルロースアシレートフイルムの低透湿率、低複屈折及び偏光板貼合適性をすべて同時に達成することは困難であった。特に、最近は液晶表示装置の薄型化が求められている。保護フイルムを薄くすると透湿率が増加するためセルロースアシレートフイルムの更なる疎水化が必要とされている。
また、本発明のもう一つの目的としては、大画面液晶表示装置でも長時間使用後の黒表示において画面周縁に光漏れが起こる所謂額縁現象が少なく、且つ偏光板加工の容易な偏光板の提供にある。
(1)第1の保護フィルム、偏光子、第2の保護フィルムがこの順に積層してなる偏光板において、第2の保護フィルムが液晶セル側保護フィルムであって、第1の保護フィルムの透湿度が第2の保護フィルムの透湿度よりも低く、かつ第2の保護フィルムの厚さ方向レターデーションが30nm以下であることを特徴とする偏光板。
(2)第1の保護フィルムと第2の保護フィルムの60℃95%RH24時間の透湿度の差が100〜3000g/m2・24hrであることを特徴とする上記(1)記載の偏光板。
(3)第1の保護フィルムの60℃95%RH24時間の透湿度が1800g/m2未満であることを特徴とする上記(1)〜(2)に記載の偏光板。
(4)第2の保護フィルムの60℃95%RH24時間の透湿度が1800〜2800g/m2であることを特徴とする上記(1)〜(3)に記載の偏光板。
(5)第1および第2の保護フィルムがセルロースアシレートフィルムであって、第2の保護フイルムの厚さが第1の保護フイルムの厚さよりも薄いことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の偏光板。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の偏光板を有する液晶表示装置。
(7)液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなり、少なくとも1枚の偏光板が上記(1)〜(5)のいずれかに記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
第1の保護フィルムの60℃95%RH24時間の透湿度は1800g/m2未満であることが好ましく、1000〜1500g/m2であることがさらに好ましい。
第2の保護フィルムの60℃95%RH24時間の透湿度は第一の保護フィルムの透湿度よりも大きければ特に限定はされないが、1800〜2800g/m2であることが好ましい。
(I) 2.4≦SA+SB≦3.0
(II) 1.5≦SA≦3.0
(III) 0≦SB≦0.8
ここで、式中SA及びSBはセルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換基を表し、SAはアセチル基の置換度、またSBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。
また、SBの置換度は0〜0.8であり、特には0〜0.6である。さらにSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましく、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。また更に、セルロースアシレートの6位のSAとSBの置換度の総和が0.8以上であり、さらには0.85であり特には0.90であるセルロースアシレートフィルムもあげることができる。これらのセルロースアシレートフィルムにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。
本発明で使用するセルロース誘導体フィルムは、フィルムを構成するポリマー成分が実質的に上記の定義を有するセルロース誘導体からなることが好ましい。『実質的に』とは、ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。フィルム製造の原料としては、セルロース誘導体粒子を使用することが好ましい。使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子径を有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子径を有することが好ましい。セルロース誘導体粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。
添加剤は固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば公技番号 2001−1745などに記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロース誘導体フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。これらは従来から知られている技術である。
さらにこれらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
まず、セルロース誘導体の溶液を作製するに際して好ましく用いられる塩素系有機溶媒について記載する。セルロース誘導体が溶解し流延・製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、その塩素系有機溶媒は特に限定されない。これらの塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、ジクロロメタンは少なくとも50質量%以上使用することが好ましい。併用される非塩素系有機溶媒について以下に記す。すなわち、好ましい非塩素系有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。二種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
本発明の好ましい主溶媒である塩素系有機溶媒の組合せとしては以下を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
・ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール(80/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/10/10/5/7、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5/8、質量部)、
・ジクロロメタン/酢酸メチル/ブタノール(80/10/10、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (50/20/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール (70/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール (60/20/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン (65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (70/10/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン (65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール (65/20/10/5、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール (65/20/10/5、質量部)、
などをあげることができる。
本発明においては、セルロース誘導体が溶解し流延,製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは非塩素系有機溶媒は特に限定されない。非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/プロパノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4、質量部)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(82/10/4/4、質量部)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(80/10/4/6、質量部)
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/10/10/5/7、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5/8、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/ブタノール(85/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/アセトン/メタノール/ブタノール(60/15/15/5/6、質量部)、
・酢酸メチル/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (50/20/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール (70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール (60/20/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン (65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ギ酸メチル/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン (65/10/10/5/5/5、質量部)、
・アセトン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール (65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール (65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/1,3ジオキソラン/エタノール/ブタノール (65/20/10/5、質量部)、
・1、3ジオキソラン/シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール (55/20/10/5/5/5、質量部)
などをあげることができる。
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4、質量部)でセルロースアシレート溶液を作製し、ろ過・濃縮後に2質量部のブタノールを追加添加
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/10/4/2、質量部)でセルロースアシレート溶液を作製し、ろ過・濃縮後に4質量部のブタノールを追加添加
・酢酸メチル/アセトン/エタノール(84/10/6、質量部)でセルロースアシレート溶液を作製し、ろ過・濃縮後に5質量部のブタノールを追加添加
本技術に用いるドープには、上記本技術の非塩素系有機溶媒以外に、ジクロロメタンを本技術の全有機溶媒量の10質量%以下含有させてもよい。
溶剤の選定はセルロースアシレートフイルムの透湿率への影響は少ない。一方使用する溶剤種によってセルロースアシレートフイルムの光学異方性は影響を受けやすいことを見出した。塩素系良溶剤とアルコール類との混合溶媒溶液から製膜したセルロースアシレートフイルムは光学異方性が小さくなる。一方非塩素系良溶媒を使用した場合は光学異方性が大きくなることが多い。酢酸メチル、酢酸エチル、蟻酸エチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンやシクロヘキサノンの如きケトン類を使用した溶液から製膜したセルロースエステルフイルムは厚さ方向のレターデーションが大きくなる傾向がある。従って偏光板の液晶セルと接触する側の保護フイルムには好ましくは良溶媒として塩素系溶媒を使用したものを用いる。しかし非塩素系溶媒を使用した場合でも、添加剤の工夫によって光学異方性を小さくすることは十分可能である。
700)を用い、25℃に於いて30度から140度まで10度間隔で測定した。得られたデータをBERRYプロット法にて解析した。なお、この解析に必要な屈折率はアッベ屈折系で求めた溶剤の値を用い、屈折率の濃度勾配(dn/dc)は、示差屈折計(大塚電子(株)製DRM−1021)を用い、光散乱測定に用いた溶剤、溶液を用いて測定した。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは特許2978219号に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されている45〜52.5%も好ましく用いることができる。
PVAはフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。
PVAフィルムの製造方法は、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。PVAフィルムの製造は、特許第3342516号、特開平09−328593号、特開平13−302817号、特開平14−144401号を参考にして行うことができる。
PVAフィルムの複屈折(△n)は小さいことが好ましく、特許第3342516号に記載されている複屈折が1.0×10-3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。但し、特開平14−228835号に記載されているように、PVAフィルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.02以上0.01以下としてもよいし、特開平14−060505号に記載されているように(nx+ny)/2−nzの値を0.0003以上0.01以下としてもよい。PVAフィルムの面内レターデーションは0nm以上100nm以下が好ましく、0nm以上50nm以下がさらに好ましい。また、PVAフィルムの膜厚方向レターデーションは0nm以上500nm以下が好ましく、0nm以上300nm以下がさらに好ましい。
この他、本発明の偏光板には、特許3021494号に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開平13−316492号に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm2当たり500個以下であるPVAフィルム、特開平14−030163号に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100重量部したり、 特開平06−289225号に記載されている可塑剤を15重量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムを好ましく用いることができる。
二色性分子はI3 -やI5 -などの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p39〜p45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/もしくはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。
これ以外にも、C.I.Direct Yellow 8、C.I.Direct Yellow 28、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 87、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Orange 26、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 106、C.I.Direct Orange 107、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Direct Red 240、C.I.Direct Red 242、C.I.Direct Red 247、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 51、C.I.Direct Violet 98、C.I.Direct Blue 15、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 98、C.I.Direct Blue 168、C.I.Direct Blue 202、C.I.Direct Blue 236、C.I.Direct Blue 249、C.I.Direct Blue 270、C.I.Direct Green 59、C.I.Direct Green 85、C.I.Direct Brown 44、C.I.Direct Brown 106、C.I.Direct Brown 195、C.I.Direct Brown 210、C.I.Direct Brown 223、C.I.Direct Brown 224、C.I.Direct Black 1、C.I.Direct Black 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 54等が、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の二色性染料等も好ましく使用することができる。各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもかまわない。二色性染料を用いる場合、特開平14−082222号に記載されているように、吸着厚みが4μm以上であってもよい。
偏光子の好ましい膜厚としては、5μm乃至40μmが好ましく、さらに好ましくは10μm乃至30μmである。偏光子の厚さと後述する保護膜の厚さの比を、特開平14-174727号に記載されている0.01≦A(偏光子膜厚)/B(保護膜膜厚)≦0.16範囲とすることも好ましい。
本発明では、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護膜貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けても構わない。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃以上60℃以下、5秒以上2000秒以下が好ましい。
染色工程は、特開2002−86554に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開平13−290025号に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
また、特許第3145747号に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加しても良い。
架橋剤としては米国再発行特許第232897号に記載のものが使用でき、特許第3357109号に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。
硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加しても良い。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
本発明では、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行うことが好ましく行われる。ホウ酸は1〜100g/リットル、ヨウ化カリウムは1〜120g/リットル、塩化亜鉛は0.01〜10g/リットル、硬膜時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ホウ酸は10〜80g/リットル、ヨウ化カリウムは5〜100g/リットル、塩化亜鉛は0.02〜8g/リットル、硬膜時間は30〜600秒がよく、液温度は20〜50℃がよい。
乾燥工程は、特開2002−86554で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許第3148513号に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号や特開平07−325218号に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングすることも好ましく行うことができる。
以下に本発明の偏光板についての具体的な実施態様を記述するが、これらに限定されるものではない。
JIS Z0208に示されている装置を使用して透湿率を測定する(カップ法)。但し温度は60℃、相対湿度は95%の条件で、24時間の水蒸気透過量を測定する。
偏光板について分光光度計により可視領域における並行透過率(Yp)、直交透過率(Yc)を求め、次式に基づいて偏光度Pを決定する。
P=[(Yp−Yc)/(Yp+Yc)]1/2
粘着剤を介してガラス板に偏光板を貼り付けYpとYcを測定し、初期偏光度P1を算出する。この偏光板をガラスに貼りつけた状態で60℃、95%RHの雰囲気に500時間放置した後、初期偏光度測定と同じように経時後の偏光度Pを測定する。偏光度変化P2−P1の値が−2%よりも大きいことが好ましく、−1%以下であれば更に好ましい。
実施例で作成した偏光板を透過軸に対して45度方向を長辺に、長辺方向に対して直角方向が短辺になるように、21cm×15cmサイズに2枚切り出した。1枚のガラス板の表裏に粘着剤を介してこの偏光板を透過軸が直交するように貼りあわせる。このガラス板を60℃のドライ空気高温槽中で17時間経時し、取り出して室温で1時間冷却する。ガラス板にバックライトを当てて肉眼観察し、周縁部の光漏れの程度を相対比較する。
セルロースアシレートフィルムを25℃60%RHにて24時間調湿後、エリプソメーター(M−150:日本分光(株)製)を用い、He−Neレーザーを用いて測定した。厚さ方向のレターデーション値(Rth)と面内レターデーション値(Re)とは、それぞれ下記式(1)および(2)にしたがって算出した。
Re=(nx−ny)×d
式(2):
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム平面内のx方向の屈折率であり、nyはフィルム平面内のy方向の屈折率であり、nzはフィルム面と直交する方向の屈折率であり、dはフィルムの厚み(nm)である。
本実施例で使用したセルロースアセテートは次の2種類である。
(1)セルロースアセテートA
全アセチル置換度2.82、6位アセチル置換度0.91、粘度平均重合度320、含水率0.2質量%、ジクロロメタン溶液中6質量%の粘度 305mPa・s、平均粒子径1.5mmであって標準偏差0.5mmである粉体。
(2)セルロースアセテートB
置換度2.78、粘度平均重合度305、6位アセチル基置換度0.90、アセトン抽出分は7質量%、重量平均分子量/数平均分子量比2.3、Tg160℃、含水率0.2質量%、ジクロロメタン溶液中6質量%の粘度350mPa・s、残存酢酸量が0.1質量%以下、Ca含有量65ppm、Mg26ppm、鉄0.8ppm、硫酸イオン18ppm、イエローインデックス1.9、遊離酢酸47ppm、平均粒子径1.5mmであって標準偏差0.5mmである粉体。
攪拌羽根を有し外周を冷却水が循環する400Lのステンレス製溶解タンクに、下記第一溶液組成にもとづいてまず溶媒を混合し、次いでセルロースアセテート以外の添加剤を溶解する。次に下記記述のセルローストリアセテート粉体(フレーク)を徐々に添加し、全体が300kgになるように仕込んだ。なお、溶媒であるジクロロメタン、ブタノール、メタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを利用した。
タンクを密閉し、タンク外周の冷却水を60℃に変えて撹拌しながら2時間溶解してセルロースアセテート溶液を調製した。次に本溶液を絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)でろ過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの濾紙(ポール社製、FH025)にて濾過した。
別のミキシングタンクに第二溶液組成の液を調製し、第一溶液474質量部と第二溶液25質量部を混合する。
第一溶液組成
セルロースアセテート 100質量部
メチレンクロライド 320質量部
メタノール 45質量部
可塑剤 (可塑剤種と添加量は表1に示す)
第二溶液組成
微粒子(二酸化ケイ素(粒径20nm)、モース硬度 約7) 0.5質量部
添加剤 (添加剤種と添加量は表1に示す)
メチレンクロライド 87質量部
メタノール 13質量部
攪拌羽根を有し外周を冷却水が循環する400Lのステンレス性溶解タンクに、下記の溶媒混合溶液によく攪拌・分散しつつ、下記記述のセルローストリアセテート粉体A(フレーク)を徐々に添加し、全体が200kgになるように仕込んだ。なお、溶媒である酢酸メチル、1−ブタノール、アセトン、エタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを利用した。まず、セルローストリアセテートの粉末は、分散タンクに紛体が投入されタンク内を1300Paに減圧し、攪拌剪断速度を最初は15m/sec(剪断応力5×104kgf/m/sec2)の周速で攪拌するディゾルバータイプの偏芯攪拌軸および、中心軸にアンカー翼を有して周速1m/sec(剪断応力1×104kgf/m/sec2)で攪拌する条件下で30分間分散した。分散の開始温度は25℃であり、冷却水を流水することにより最終到達温度を35℃とした。分散終了後、高速攪拌は停止し、アンカー翼の周速を0.5m/secとしてさらに100分間攪拌し、セルローストリアセテートフレークを膨潤させた。膨潤終了までは窒素ガスでタンク内を0.12MPaになるように加圧した。この際のタンク内の酸素濃度は2vol%未満であり防爆上で問題のない状態を保った。またドープ中の水分量は0.2質量%以下であることを確認した。ドープ組成は以下の通りである。
酢酸メチル 80.0質量部
アセトン 7.0質量部
エタノール 9.0質量部
1−ブタノール 4.0質量部
可塑剤 (可塑剤種と添加量は表1に示す)
添加剤 (添加剤種と添加量は表1に示す)
微粒子(二酸化ケイ素(粒径20nm)、モース硬度 約7) 0.5質量部
クエン酸エチルエステル 0.04質量部
(エステル置換数0,1,2及び3の構成比率がそれぞれ1%、29%、68%及び2%のもの)
なお、表1の紫外線吸収剤V1の構造を以下に示す。
表1のセルローストリアセテート溶液を、鏡面ステンレスドラム支持体上に流延した。ドラムから剥離後テンター部で乾燥し、更に多数のロール間を搬送しながら乾燥した後巻き取った。特開平7−112446号記載の乾燥パターンAないしBの間に合わせて乾燥し巻き取ることにより、面内レターデーション値を10nm未満に制御した。できたフイルムの厚さ、厚さ方向レターデーション(Rth)及び透湿率を測定した。その結果を表1に示す。
得られたフイルムは50℃の7%水酸化カリウム水溶液に3分間浸漬した後に水洗し乾燥した。
厚さ80μmのポリビニルアルコールフイルムを0.3%のヨウ素水溶液中で染色した後、4%のホウ酸水溶液、2%のヨウ化カリウム水溶液中で5倍まで延伸し、次いで50℃で4分間乾燥させて偏光子を得た。この偏光子の両面に表2に示す組合わせで、ポリビニルアルコール水溶液の接着剤を介して、上記ケン化処理したセルロースアセテートフイルムを貼り合わせ、得られた偏光板の初期偏光度、額縁現象及び偏光板耐久性を測定した。その結果を表2に示す。
11.保護フイルム
12.偏光子
13.保護フイルム
14.粘着剤
20.液晶セル
21.ガラス
22.液晶層
23.ガラス
30偏光板
31.保護フイルム
32.偏光子
33.保護フイルム
34.粘着剤
40.バックライトユニット
Claims (5)
- 第1の保護フィルム、偏光子、第2の保護フィルムがこの順に積層してなる偏光板において、第2の保護フィルムが液晶セル側保護フィルムであって、第1の保護フィルムの透湿度が第2の保護フィルムの透湿度よりも低く、かつ第2の保護フィルムの厚さ方向レターデーションが30nm以下であることを特徴とする偏光板。
- 第1の保護フィルムと第2の保護フィルムの60℃95%RH24時間の透湿度の差が100〜3000g/m2・24hrであることを特徴とする請求項1記載の偏光板。
- 第2の保護フィルムの60℃95%RH24時間の透湿度が1800〜2800g/m2であることを特徴とする請求項2に記載の偏光板。
- 第1および第2の保護フィルムがセルロースアシレートフィルムであって、第2の保護フイルムの厚さが第1の保護フイルムの厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板を有する液晶表示装置。
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