JP2005155809A - 防振装置 - Google Patents

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Yuji Muto
雄二 武藤
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昌 星野
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Abstract

【目的】直交3軸方向X,Y,Zのうち、同一平面内におけるX,Y方向のバネ比調節を容易かつ自由にできるようにする。
【構成】主たる振動の入力方向であるZ軸方向にて、インシュレータ4を挟んで第1の連結部材5と第2の連結部材6を配置し、第1の連結部材5を第2の連結部材6の周囲に同心円状をなす円筒状にする。第1の連結部材5のインシュレータ4側となるインシュレータ側端面8のZ軸方向における高さをX,Y方向で異ならせて低部10,高部11とし、先端頂部7との間隔を変化させ、先端頂部7とインシュレータ側端面8間におけるインシュレータ4のボリュームを変えてバネ比を変える。
【選択図】図4

Description

この発明は、トランスミッションマウント等に使用される防振装置に係り、特に同一平面内の直交2方向におけるバネ比を任意変更可能にしたものに関する。
トランスミッションマウント等に使用する防振装置として、主たる振動の入力方向(これをZ軸方向とする)において、ゴム等のインシュレータを挟んで第1の連結部材と第2の連結部材を配置し、第1の連結部材をトランスミッション等の振動源へ取付け、第2の連結部材を車体へ取付けたものがある。この場合には、Z軸と直交する同一平面内における直交2方向(以下、これをX,Y軸方向という)のバネをx、yとすれば、バネ比x:yがほぼ1:1となる。
しかし、X,Y軸方向、例えば、車体の前後方向と左右方向でバネ定数を変化させてバネ比を、x:y=1:y/x(y/xは1より小)としてバネ比に方向性を与えることを要求される場合がある。このためインシュレータの肉厚をX,Y方向で変化させることによりバネ比の方向性を得たものが公知である(特許文献1参照)。
特開平7−293626号公報
上記インシュレータの肉厚によりバネ比を変化させる場合は、インシュレータが弾性体であるため、無制限に肉厚変化を生じさせることはできず、自ずから制約があるため、バネ比を自由に設定することができない。
また、インシュレータ4の肉厚を変化させると、Z方向のバネ(これをzとする)にも影響を生じ、x:y:zの3軸方向におけるバネ比のバランスが乱れやすくなるため、これを調整することが困難になる。
そこで、Z軸方向のバネ定数に影響を与えることなく、XY方向等のZ軸と直交する方向におけるバネ比をの由な設定を可能にすることを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、振動伝達を低減する防振装置であって、防振用の弾性部材であるインシュレータと、これを挟んで配置される一対の第1及び第2の連結部材とを備えたものにおいて、
前記第1の連結部材は、略円筒状をなして前記第2の連結部材に対して略同心状に配置するとともに、
前記インシュレータとの連結側であるインシュレータ側端面の高さを周方向で変化させることにより、前記第2の連結部材のインシュレータ側端面との間隔を周方向で変化させたことを特徴とする。
請求項2の発明は上記請求項1において、前記第1の連結部材のインシュレータ側端面は周方向へ90°間隔にて高さが変化することにより同一平面内における直交する2方向で高さを異ならせたことを特徴とする。
第1の連結部材のインシュレータ側端面の高さを周方向で変化させたので、第1の連結部材と第2の連結部材間における間隔が周方向で変化し、その結果インシュレータの厚みが変化する。しかも、このバネ比の変化は、第1の連結部材のインシュレータ側端面における形状変化によるので、Z軸方向のバネ定数に与える影響が小さく、Z軸と直交する同一平面内の2方向XYにおけるバネ比をより大きく、かつ自由に変化させることが可能になった。
請求項2によれば、第2の連結部材におけるインシュレータ側端面の変化が周被告へ90°間隔で生じるので、直交2方向であるX,Y軸方向におけるバネ比を変化させることができる。
以下、図面に基づいて実施形態を説明する。図1は本形態に係る防振装置の使用状態を示し、振動発生源である自動車のトランストランスミッション1と、振動受け側となる車体2との振動伝達経路中に防振装置3が配置され、トランスミッション1から車体2への振動伝達を遮断もしくは低減する。
図中のZは主たる振動の入力方向を示し、図の上下方向と一致する。またZ軸方向とも一致する。防振装置3はゴム等の公知の防振用弾性部材からなるインシュレータ4を挟んで第1の連結部材5と第2の連結部材6がZ軸方向に沿って図の上下に配置される。
図2は防振装置3を図1の上方から示した図である。第1の連結部材5は第2の連結部材6よりも大径であり、かつ第2の連結部材6における先端頂部7の周囲を同心円状に囲むように配置されている。先端頂部7の端面は第2の連結部材6におけるインシュレータ側端面でもある。図中のX、YはZ軸との直交平面内において互いに直交する2軸であるX軸方向及びY軸方向を示す。なお、本実施形態ではX軸方向を車体の前後方向、Y軸方向を同左右方向に一致させるものとする。またZ軸方向を車体の上下方向とする。
図3は防振装置3の正面図をA、これと45°違いをB、90°違い(すなわち側面図)をCに並べて示す。これらは図2のA、B、C各矢示方向に対応している。第1の連結部材5はトランスミッション1側へ取付けられる略円筒状の部材であり、金属等適宜材料から形成される。
符号8は第1の連結部材5のインシュレータ側端面であり、Z軸方向における高さが周方向でH1〜H2と連続的かつ略階段状に変化している。符号9はインシュレータ側端面8の上に重なるインシュレータ4のフランジ9であり、9aはその先端における端面9aである。端面9aはフランジ9先端の肉厚を示し、この肉厚は周方向一定である。但し、フランジ9は、インシュレータ側端面8の高低変化に対応して周方向の高さが同じように変化している。
Bに示すように、インシュレータ側端面8は高さがH1なる低部10と、同H2なる高部11及びこれら低部10と高部11との間を連結する斜め部12を備える。A〜Cを参照すると明らかなように、インシュレータ側端面8は、全体が周方向にて連続かつ略階段状に変化している。また、90°違いで低部10と高部11の位置が図の上下で逆転している。なお、フランジ9の端面9aもインシュレータ側端面8と一緒に変化する。
図4は図2の4−4線断面であり、第1の連結部材5は中央に大径の貫通穴5aを有する。この貫通穴5aの内径は第2の連結部材6における頂部7の外径よりも大きく、頂部7は貫通穴5aに対して同心配置され、第1の連結部材5と第2の連結部材6の相対移動により、貫通穴7の内側を軸心方向へ進退自在である。
インシュレータ側端面8のうち貫通穴5aへ臨む内側部分は面取りされてR部13をなす。また、第1の連結部材5のうち貫通穴5aを囲む部分における肉厚内には上端面から図の下方へナット穴14が設けられ、ここでボルト15を介してトランスミッション1へ連結される。ナット穴14は周方向4ヵ所に90°間隔で形成される。
第2の連結部材6は先端頂部7へ向かって山形断面をなす。頂部7の裾部となる側面は全周が凹曲面のR状面16をなし、このR状面16がR部13と対面している。第2の連結部材6の中央には図の下方へ延びるナット穴17が形成され、ここへ入れられたボルト18により車体2と連結される。これらR部13とR状面16の間にインシュレータ4が一体焼付けされている。
インシュレータ4はリング状をなし、第1の連結部材5側では、一部がインシュレータ側端面8の面に沿って径方向へ広がるフランジ9をなす。他の一部は第1の連結部材5の内周面に沿って図の上方へ延びる内側被覆部19をなす。インシュレータ4の図における上部には、内側被覆部19から先端頂部7に向かって凹面状をなす内面20が形成されている。
また、インシュレータ4の第2の連結部材6側は、第2の連結部材6の外周面に沿って形成される全周の外側被覆部21をなす。インシュレータ4の図における下部には、外側被覆部21から先端頂部7に向かってドーム状をなす主体部22が形成されている。
この図に明らかなように、先端頂部7は第1の連結部材5の内周面と間隔を保ち、第1の連結部材5の内側空間内へ進退可能な位置にあり、先端頂部7とインシュレータ側端面8はインシュレータ4で連結される。
先端頂部7とインシュレータ側端面8の位置関係は、図示の負荷前状態のとき、先端頂部7がインシュレータ側端面8よりも低くなり、第1の連結部材5と第2の連結部材6のX,Y方向における相対変位時には、先端頂部7とインシュレータ側端面8の間でインシュレータ4がせん断及び圧縮変形するようになっている。
また、インシュレータ側端面7と図左側に示すインシュレータ側端面8の低部10との間隔をa、先端頂部7と図右側におけるインシュレータ側端面8の高部11との間隔をbとすれば、a<bとなっている。すなわち、インシュレータ側端面8の高さの差、H1−H2=Dが生じている。
先端頂部7の高さは低部10とほぼ等しく、高部11とはH1−H2=Dなる差だけ上下に離れている。したがって、低部10と先端頂部7との間におけるインシュレータ4のボリュームV1と、高部11と先端頂部7との間におけるV2とは、V1<V2なる相違がある。
言い換えれば、前後方向(X方向)がボリュームV2と大きく、左右方向(Y方向)がボリュームV1と小さくなる。このボリュームの相違はバネ定数に影響する。すなわち第1の連結部材5と第2の連結部材6が振動によりX又はY方向へ相対的に動くと、インシュレータ4のうち、先端頂部7とインシュレータ側端面8との間のボリューム部分が、せん断及び圧縮変形してバネを生じる。このバネ定数はボリュームが大きいほど大きくなる。
したがって、インシュレータ4のバネ定数は、前後方向(X方向)が大きく、左右方向(Y方向)が小さくなる。バネ比は、x:y=1:y/xとなる。ここでy/xは1より小さい値であり、例えば、0.2等となる。この値は、高さの差Dを変化させることにより、設計目的に応じて自由に設定できる。すなわち、直交する2方向XYにおけるバネ比を任意に決定して、バネ比に方向性を与えることができる。
また、頂部7の位置を変化させることにより、Z軸方向のバネzに対してx、yのバネ比を変化させることができる。すなわち、頂部7の位置を図の上方へ移して高くすれば、バネ比z:x:y=1:x/z:y/zは、zに対してx、yが相対的に大きくなる(x/z、y/zが大きくなる)。逆に、頂部7の位置を図の下方へ移して低くすれば、バネ比はzに対してx、yが相対的に小さくなる(x/z、y/zが小さくなる)。したがって、頂部7の高さを変化させることにより、バネ比設定における自由度が大きくなる。
次に、本実施形態の作用を説明する。図4において、第1の連結部材5と第2の連結部材6が振動によりX又はY方向へ相対的に動くと、先端頂部7とインシュレータ側端面8との間におけるインシュレータ4のボリュームがV1,V2と相違するため、異なるバネ定数を生じ、バネ比x:yは、1:y/x(y/xは1より小)となる。
したがって、従来では困難であったバネ比x:yを十分に大きくすることができる。そのうえバネ比の値を自由に設定できる。
しかも、従来のようにインシュレータ4の肉厚により、方向性を形成したものと異なり、インシュレータ側端面8の形状により方向性を形成するので、インシュレータ4の肉厚を変化させる場合におけるような制約が無く、自由にバネ比を設定できる。
また、インシュレータ4の肉厚を変化させないので、Z方向のバネ定数に影響を与えず、x:y:zの3軸方向における全体的なバネ比のバランスを乱さずに、x,yのバネ比だけを調整でき、インシュレータ4全体におけるバネ比の調整が容易になる。但し、頂部7の高さを変えてx、yに対するzのバネ比を調整することも必要により任意にできる。したがって、多様なバネ比設定が可能となり、バネ比設定における自由度が大きくなる。
なお、本願発明は上記実施形態に限定されず、種々に変形や応用が可能であり、例えば、本願発明の対象となる防振装置はエンジンマウント等の異なる種々の用途のものが可能である。また、図4中に仮想線で示すように、すぐりを設けて肉抜きすれば、さらにボリュームの変化を大きくかつ容易に実現させることができる。
本形態に係る防振装置の使用状態 防振装置の平面図 防振装置の正面図等を示す図 図2の4−4線断面図
符号の説明
1:トランスミッション、2:車体、3:防振装置、4:インシュレータ、5:第1の連結部材、6:第2の連結部材、7:インシュレータ側端面、8:端面、9:フランジ、10:低部、11:高部、12:斜め部、13:インシュレータ側端面

Claims (2)

  1. 振動伝達を低減する防振装置であって、防振用の弾性部材であるインシュレータと、これを挟んで配置される一対の第1及び第2の連結部材とを備えたものにおいて、
    前記第1の連結部材は、略円筒状をなして前記第2の連結部材に対して略同心状に配置するとともに、
    前記インシュレータとの連結側であるインシュレータ側端面の高さを周方向で変化させることにより、前記第2の連結部材のインシュレータ側端面との間隔を周方向で変化させたことを特徴とする防振装置。
  2. 前記第1の連結部材のインシュレータ側端面は周方向へ90°間隔にて高さが変化することにより同一平面内における直交する2方向で高さを異ならせたことを特徴とする請求項1の防振装置。

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