JP2005154644A - 平版印刷版用版面洗浄剤及び平版印刷版の洗浄方法 - Google Patents

平版印刷版用版面洗浄剤及び平版印刷版の洗浄方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 平版印刷版の非画像部に発生した汚れ現象に対して優れた汚れ除去能力を有し、かつ不感脂化作用を十分に継続して発揮でき、また、安全性が高く作業性の良い平版印刷版用版面洗浄剤を提供する。
【解決手段】 スプレー塗布用の乳化型平版印刷版用版面洗浄剤であって、粘度が2×10-3〜30×10-3kg/m/s(2〜30cp)の範囲にあり、表面張力が3.5×10-2〜6.8×10-2N/m(35〜68dyne/cm)の範囲にある平版印刷版用版面洗浄剤;上記の平版印刷版用版面洗浄剤を、回転中の印刷機上の版面にスプレー塗布することを含む、平版印刷版の洗浄方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は平版印刷版のスプレー塗布用版面洗浄剤に関し、より詳しくは平版印刷版の非画像領域の汚れに対する汚れ除去能力、不感脂化作用、並びに安全性及び生産性を兼ね備えた版面洗浄剤に関する。本発明はさらに、このような版面洗浄剤をスプレー塗布することによる平版印刷版の洗浄方法に関する。
平版印刷は、水と油が本質的に混り合わない性質を巧みに利用した印刷方式であり、印刷版面は水を受容し油性インキを反撥する領域と水を反撥して油性インキを受容する領域からなり、前者が非画像域であり、後者が画像域である。従ってその均衡が崩れ、例えば非画像域の親水性が何らかの原因で劣化するとしばしばその領域にインキが付着し、いわゆる「地汚れ」となる。このような地汚れが発生する場合は多種多様であるが、代表的なものは平版印刷版を高耐刷力とするために施されるバーニング等の処置を施した場合や、平版印刷版の版面を不感脂化ガムで保護することなく大気中に放置した場合がある。このような現象は、印刷時に印刷機のトラブル又は休憩時間等で印刷機を停止した場合等においても同様に起きることがある。従って通常、印刷機を停止する場合、印刷関係者等は不感脂化ガム液を塗布する習慣がある。また、不感脂化ガムが塗布されていない平版印刷版の非画像域に親油性の物が付着し放置された場合、その部分が感脂化され、汚れとなる。例えば指紋等の跡が印刷物の背景に現れるのも同様な原因によるものである。更にまた、非画像域に傷が付いた場合であり、この場合は傷の中にインキが詰まり、次第に感脂化されて汚れとなる。
上述のような、汚れの発生した平版印刷版は、版面のインキを除去するとともに、非画像域の親水性を回復せしめるためのいわゆる版面洗浄剤(プレートクリーナーと呼ぶこともある。)で処理されるものが通例である。
かかる版面洗浄剤の一つとして、従来珪酸塩水溶液からなるものが知られていた(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この版面洗浄剤は不感脂化作用が極めて高いという効果を有するものの、アルカリ性のため水性アルカリ現像液で現像される感光性平版印刷版、例えば特公昭43−28403号、米国特許第3,046,120号明細書等に記載されているo−キノンジアジド化合物からなる感光層を有するポジ作用感光性平版印刷版又は特開昭54−98613号、英国特許1,350,521号に記載されているような酸性基を有するバインダーとジアゾ樹脂からなる感光層を有するネガ作用感光性平版印刷版等から製版された平版印刷版に使用すると画像域の一部が侵されたり、インキの付着性が劣化するという問題があった。
他方、蓚酸を用いたプレートクリーナーが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この蓚酸を用いたクリーナーは不感脂化力が弱く、金属支持体を腐食する作用が強いため、アルミニウム板を支持体とする通常の感光性平版印刷版(PS版と称されている。)の支持体表面に施されている親水層(例えば米国特許第2,714,066号明細書に記載されているような親水化処理により形成された層)が破壊され、汚れを引起し易いので金属支持体には適性がない。
一般に印刷中に汚れが発生した場合は先ず版面のインキを洗浄剤(灯油又は炭化水素系溶剤)で除去し、次いで不感脂化処理剤で処理する。上記のような従来の版面洗浄剤も、版面をインキ洗浄剤で洗浄した後に施こす必要があるため、版面洗浄剤処理をするときには処理工程が2工程となり繁雑である。そのため近年両機能を統合させた、即ち、インキ洗浄剤作用及び不感脂化作用を兼ね備えた乳化型版面洗浄剤も開発されている。乳化型版面洗浄剤ではアルカリ性の乳化型版面洗浄剤が提案されており(例えば、特許文献3参照。)、また、酸性の乳化型版面洗浄剤が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
一方乳化型版面洗浄剤の油相には、一般的に芳香族炭化水素を多く含んだ炭化水素系の溶剤が、平版印刷版に付着しているインキを溶出除去する作用を有するものとして使用されている。近年、この芳香族炭化水素系の溶剤は、人体に悪影響を与える化合物といわれ、大きい問題を有している。そこで、この芳香族炭化水素系の代替溶剤として脂肪族炭化水素系等の提案がなされている。このように、版面洗浄剤に含ませる溶剤の観点から、例えば、特定の鎖状脂肪族飽和炭化水素を含む乳化型版面洗浄剤が提案されており(特許文献5参照。)、また、特定のエステル化合物を含む乳化型版面洗浄剤が提案されている(特許文献6参照)。
従来の平版印刷版用版面洗浄剤は、指紋、傷等の汚れが印刷物に発生した場合、印刷機を停止して、版面洗浄剤をスポンジや布に付けて、版面に塗り付け、その後、水を含んだスポンジ等で版面に塗られた版面洗浄剤を拭き取る作業をしていた。上記の作業は、印刷機をある時間、稼動させた後、停止させ洗浄作業をし、また再稼動させるという繰返しが必要となり、すなわち印刷機を断続的に稼動させることになるため、生産性に問題がある。さらに、印刷版を円筒型の版胴に装着している印刷機の構造上、一度に印刷版面全体を処理することができない。特に汚れが印刷版面の広い範囲に存在する場合、印刷機を停止させ、汚れた版面の一部を洗浄した後、再度印刷機を動かして版面を少しずらして別の部分を洗浄するという作業を、複数回にわたり実施しなくてはならない。このため汚れが発生すると長時間印刷機が停止することになり、生産性の点で大きな問題である。また、印刷機の停止を避けるため、印刷オペレーターが手にスポンジを持ち、回転している版胴上の版面を洗浄することは、印刷機に巻き込まれる恐れがあり、安全性の問題がある。
特開昭60−147395号公報 米国特許第3,489,561号明細書 特開昭52−15702号公報 特開昭53−2102号公報 特開平11−288104号公報 特開2000−221696号公報
本発明の目的は、平版印刷版の非画像部に発生した汚れ現象に対して優れた汚れ除去能力を有し、かつ不感脂化作用を十分に継続して発揮でき、また、安全性が高く作業性の良い平版印刷版用版面洗浄剤を提供することである。本発明の目的はまた、回転中の印刷機上の版面に版面洗浄剤をスプレー塗布することで、安全性と生産性の高い平版印刷版の洗浄方法を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研修を重ねた結果、平版印刷版用版面洗浄剤を版面にスプレー塗布することに注目し、所定の粘度及び表面張力を有する乳化型の版面洗浄剤が適当であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
従って、本発明は、スプレー塗布用の乳化型平版印刷版用版面洗浄剤であって、粘度が2×10-3〜30×10-3kg/m/s(2〜30cp)の範囲にあり、表面張力が3.5×10-2〜6.8×10-2N/m(35〜68dyne/cm)の範囲にある平版印刷版用版面洗浄剤である。
本発明の乳化型版面洗浄剤の組成としては、(1)水溶性高分子化合物、(2)リン酸、重合リン酸、そのアルカリ金属塩、有機ホスホン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物、(3)硝酸塩、(4)硫酸塩又は重硫酸塩、及び(5)水などを含む水相と、(6)炭化水素系溶剤などを含む油相とからなるものが挙げられる。
本発明の乳化型版面洗浄剤は、各種成分を適宜な量で含めて上記の粘度範囲及び上記の表面張力範囲にすることができる。
本発明のスプレー塗布用の乳化型平版印刷版用版面洗浄剤の実施態様として、粘度が2×10-3〜30×10-3kg/m/s(2〜30cp)の範囲にあり、表面張力が3.5×10-2〜6.8×10-2N/m(35〜68dyne/cm)の範囲にあり、その油相が下記(A)及び/又は(B)を含有する乳化型平版印刷版用版面洗浄剤が挙げられる。
(A)下記一般式[I]又は[II]で表される化合物から選ばれる少なくとも一種:
3C−(CH2)n−COOR1 [I]
3C−CH(OH)−COOR2 [II]
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素原子数8〜18の脂肪族炭化水素基を表し、nは0又は1〜2の整数を示す。);
(B)炭素原子数18〜36の分岐を有する鎖状脂肪族飽和炭化水素から選ばれる少なくとも一種。
本発明はさらに、平版印刷版の洗浄方法であって、粘度が2×10-3〜30×10-3kg/m/sの範囲にあり、表面張力が3.5×10-2〜6.8×10-2N/mの範囲にある乳化型の版面洗浄剤を、回転中の印刷機上の版面にスプレー塗布することを含む平版印刷版の洗浄方法に向けられている。
本発明の平版印刷版用版面洗浄剤は、回転中の印刷機上の版面へスプレー塗布により良好に適用でき、印刷時に発生した地汚れ、指紋、傷等の汚れを、印刷機を止めないで即ち印刷機を稼動させた状態で版面へスプレー塗布することにより除去することができる。よって、印刷機の停止、稼動を繰り返す必要があった従来の洗浄方法よりも、本発明の平版印刷版用版面洗浄剤によれば安全性及び生産性に優れた版面洗浄方法が可能となる。
本発明の平版印刷版用版面洗浄剤はまた、既存の版面洗浄剤に見られる、特定の版にのみ適性を有する;一部の版に対しては画像を傷つけたりインキ着肉性を悪化させたり或いは非画像部の親水層を腐食し破壊する;非画像部の親水層の傷に起因する汚れの回復能力が劣る、といったような欠点を克服することができる。本発明の平版印刷版用版面洗浄剤はネガ又はポジのいずれのPS版(CTP版を含む)から作成された平版印刷版にも有用である。さらに本発明の版面洗浄剤は、平版印刷版の非画像部の親水層に発生した傷などのために生じる地汚れを防止する作用や、回復した親水性を維持、強化する働きが極めて強力である。
本発明の平版印刷版用版面洗浄剤にとりわけ、上記式[I]又は[II]にて示される脂肪酸エステル化合物類及び/又は分岐を有する鎖状脂肪族飽和炭化水素を含ませることで、上述の効果をより高めることができる。また、これらの化合物を含ませることで、従来乳化しにくかった脂肪族系炭化水素溶剤をよりよく乳化することができるので、芳香族系炭化水素溶剤を使用するよりも臭気の上で改良でき、安全性を高めることができる。上記脂肪酸エステル化合物類は環境上安全性の高いインキ溶出成分であるので、本発明の版面洗浄剤に優れたインキ溶出性を与える。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のスプレー塗布用の乳化型平版印刷版用版面洗浄剤は、粘度が2×10-3〜30×10-3kg/m/s(2〜30cp)の範囲にあり、及び表面張力が3.5×10-2〜6.8×10-2N/m(35〜68dyne/cm)の範囲にある平版印刷版用版面洗浄剤である。粘度が2×10-3kg/m/sよりも低いと版面にスプレー塗布した液滴がブランケット胴に落下して、輪転機においては断紙となる場合がある。一方30×10-3kg/m/sより高いとスプレー塗布した液滴が均一にならないため、版面洗浄効果が低下する傾向がある。より好ましい粘度は3×10-3〜25×10-3kg/m/sの範囲である。
また、本発明のスプレー塗布用の乳化型平版印刷版用版面洗浄剤の表面張力は、3.5×10-2〜6.8×10-2N/mの範囲にあり、好ましくは4.0×10-2〜6.5×10-2N/mの範囲である。3.5×10-2N/mよりも低いと版面にスプレー塗布した液が拡がりすぎて液滴の塗布膜が薄くなり、版面洗浄効果が低下する傾向がある。一方、6.8×10-2N/mより高いとスプレー塗布した液滴が拡がらず、均一な版面洗浄効果が得られない。
上記の粘度及び表面張力は液温が約25℃での測定値である。版面洗浄剤の粘度測定は、例えばB型粘度計を用いて実施することができ、例えばTOKIMEC社製のB型粘度計(No.1 アダプター)を用いることができる。また、表面張力の測定は、例えばSHIMADZU CORPORATIONのMODEL DNを用いて測定することができる。
本発明のスプレー塗布用の乳化型平版印刷版用版面洗浄剤は、pH1〜4の酸性版面洗浄剤としてもよいし、pH10〜14のアルカリ性版面洗浄剤としてもよい。
本発明のスプレー塗布用の乳化型平版印刷版用版面洗浄剤は一般に、(1)水溶性高分子化合物、(2)リン酸、重合リン酸、そのアルカリ金属塩、有機ホスホン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物、(3)硝酸塩、(4)硫酸塩又は重硫酸塩、及び(5)水などを含む水相と、(6)炭化水素系溶剤などを含む油相とからなる。さらに、必要に応じて、(7)界面活性剤、(8)湿潤剤、(9)チキソトロピー剤、(10)pH調整剤、その他、防腐剤(殺菌剤)、着色剤などを含ませることができる。
上記成分(1)の水溶性高分子化合物の具体例としては、デキストリン、サイクロデキストリン、アルギン酸塩、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等)、アラビアゴム、大豆多糖類等の天然物とその変性体及びポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、アクリル酸共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体等の合成物が挙げられる。これらの物質は単独又は混合して使うことができる。版面洗浄剤を所定の粘度範囲(2×10-3〜30×10-3kg/m/s)とするため、その使用量は版面洗浄剤の総質量に基づいて0.1〜10質量%が適当であり、より好ましくは0.3〜5.0質量%の範囲から選ぶことができる。
上記成分(2)としては例えばリン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、ピロ燐酸、ピロ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸カリウム、ピロ燐酸リチウム、トリポリ燐酸、トリポリ燐酸ナトリウム、トリポリ燐酸カリウム、トリポリ燐酸リチウム、テトラ燐酸、テトラ燐酸ナトリウム、テトラ燐酸カリウム、テトラ燐酸リチウム、ヘキサメタ燐酸、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸カリウム、ヘキサメタ燐酸リチウム、メチレンジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン1,1−ジスルホン酸、ニトリロトリスホスホン酸、N−カルボキシメチルN,N−ジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミン−テトラ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン−テトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミン−ペンタ(メチレンホスホン酸)、N,N−ジ(カルボキシメチル)−N−メチレンホスホン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジ(メチレンホスホン酸)、N−ヒドロキシメチル−N,N’N’−エチレンジアミントリス(メチレンホスホン酸)、N−ヒドロキシエチル−N’,N’−ジエチルエチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラ(メチレンホスホン酸)、ジ(2−ヒドロキシプロピレン)トリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリ(2−ヒドロキシプロピレン)テトラアミンヘキサ(メチレンホスホン酸)等を挙げることができる。これらの化合物は市販品として入手でき、例えばモンサント・ケミカル・カンパニー (Monsanto Chemical Company)から「DEQUEST類」としてまたフィリップ・A・ハント・ケミカル・コーポレーション (Philip A Hant Chemical Corp)のウエイランドケミカル部門 (Wayland Chemical Division ) から「WAYPLEX」類として市販されている。上記のような化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができ、本発明による版面洗浄剤の総質量を基準に0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲となるように含有させられる。
本発明に使用される成分(3)の硝酸塩としては、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ニッケル、硝酸ビスマス、硝酸錫、硝酸ストロンチウム、硝酸セシウム、硝酸セリウムのような硝酸の金属塩および硝酸アンモニウムが挙げられる。本発明で使用される水溶性の硝酸金属塩の使用範囲は全組成物質量の0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜2質量%である。
本発明に使用される成分(4)の硫酸塩又は重硫酸塩は例えば硫酸塩としては硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム等を挙げることができる。重硫酸塩は一般式M(HSO4)n(但し、Mは金属を示し、nはMの価数を示す。)で表わされ、例えば硫酸水素ストロンチウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素カルシウム、硫酸水素タリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素鉛、硫酸水素ビスマス、硫酸水素マグネシウム、硫酸水素ロジウム等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて使用でき、本発明による版面洗浄剤の総質量を基準として0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲で含有させられる。
本発明の版面洗浄剤の水相の残余の成分は水であるが、その量は、本発明の版面洗浄剤の総質量に対して45〜95質量%が適しており、より好ましくは50〜90質量%である。
一方、本発明の版面洗浄剤の油相には、成分(6)の炭化水素系溶剤を併用することができる。この成分(6)としては、通常印刷インキの洗浄に使われている石油留分で沸点が120〜350℃のものが特に有用である。そのような炭化水素系溶剤の具体例としては例えば、日本石油化学(株)の製品で、沸点150〜200℃のクレンゾル、ドライソルベント、Aソルベント、Kソルベント、ミネラルスピリットA及びハイアロム25、沸点200〜250℃の殺虫ソルベント、フォッグソルベント及びノンサルファーソルベント、沸点250〜300℃の3号ソルベント、4号ソルベント、5号ソルベント、6号ソルベント及び7号ソルベントなどがある。この炭化水素系溶剤の使用範囲は全組成物質量の2〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%である。成分(6)は、成分(5)の水と混ざり合わないため、使用する時に充分混合分散した状態で用いる。このとき分散の安定性を高める目的で、成分(7)の界面活性剤を添加することが有用である。本発明に使用できる界面活性剤としてはアニオン型界面活性剤およびノニオン型界面活性剤がある。
アニオン型界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルベンゼンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
また、ノニオン型界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類などが挙げられる。その中でもポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類等が好ましく用いられる。これらの界面活性剤は二種以上併用してもよい。また、使用量は特に限定されるものではないが、好ましい範囲は全組成物質量の0.2〜10質量%である。
上記成分の他、版面洗浄剤には良好な広がり特性を与え、乾燥を抑えて使用適性を良好ならしめる一種又はそれ以上の湿潤剤(成分(8))も有用である。適当な湿潤剤は一般式:HO−(R−O)n−H(式中RはCm2m(m=2〜6)であり、nは1〜500である)で表される化合物である。好ましい化合物の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等であ、り他の湿潤剤としてはグリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトールが有用である。湿潤剤の使用量は全組成物質量の0.5〜10質量%の範囲で効果が認められ、より好ましくは1〜5質量%の範囲である。
成分(9)のチキソトロピー剤は、粘度を調整するために用いてもよい。スプレー噴射の際は、液粘度が低下し良好な作業性を与える。一方、印刷機を停止した状態では液粘度が高まり、印刷版表面からの洗浄剤脱落を防止する。
適当なチキソトロピー剤としては、珪酸の微粉末、パミス、炭酸カルシウム、ゼオライト等が挙げられる。使用量は全組成物質量の0.1〜5.0質量%の範囲が適当であり、好ましくは0.2〜3.0質量%の範囲である。
本発明の版面洗浄剤は、前述のように酸性のものは pH1〜4の範囲に調整される。このような pH範囲に調整するために使用される pH調整剤(成分(10))としては硫酸、亜りん酸、くえん酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、酒石酸、りんご酸、乳酸、レブリン酸、酪酸、マレイン酸、ピコリン酸などの酸が使用され、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリを併用してもよい。
上記成分の他、防腐剤(殺菌剤)、着色剤等を添加することができる。防腐剤として、フェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、ジヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンズイソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類ピリジン、キノリングアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキザゾール、オキサジン誘導体、ブロモニトロアルコール系の例えば2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール等が挙げられる。防腐剤の好ましい添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して安定に効力を発揮する量であって、一般的に版面洗浄剤の総質量に基づいて0.01〜3質量%付近で添加され、また、種々のカビや細菌に効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
着色剤は本発明の版面洗浄剤に所望の色調を付与して視覚的コントラストを与えるために使用されるものであり、広範囲の染料から選択することができる。特に好ましい着色剤としては青色、紫色、紅色等の色調が好適に使用される。具体的にはクリスタルバイオレット、サフラニン、ブリリアントブルー、マラカイトグリーン、アシドローダミンB等が挙げられる。その使用量は、本発明の版面洗浄剤の総質量に対して0.0001〜0.11質量%が適当であり、より好ましくは0.0003〜0.05質量%の範囲である。
本発明の版面洗浄剤をアルカリ性版面洗浄剤とする場合は、(1)水溶性高分子化合物、(11)一般式M2O・nSiO2〔Mはアルカリ金属、−N(CH3)4、−N(CH2CH3)4、−N(CH2OH)4又は−N(C24OH)4、nは1〜3.2〕で表わされるケイ酸塩の水溶液又コロイド溶液、(5)水を含む水相と、(6)炭化水素系溶剤を含んでもよい油相からなる。この組成物には更に成分(7)界面活性剤、(8)湿潤剤、(12)モリブデン酸、ホウ酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸及びこれらの水溶性塩から選ばれた少くとも一種、(10) pH調整剤を必要に応じて含有させることができる。
成分(11)のケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ルビジウム、ケイ酸セシウム、テトラメチルアンモニウムシリケート、テトラエチルアンモニウムシリケート、テトラメタノールアンモニウムシリケート、テトラエタノールアンモニウムシリケートなどがあげられる。又、コロイド溶液としては LuDoxという商品名で DuPont 社より入手できる、コロイダルシリカも同様に使用できる。本発明で使用される珪酸塩の使用範囲は全組成物質量の1〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%である。アルカリ性版面洗浄剤において、成分(6)の炭化水素系溶剤の使用範囲は全組成物質量の1〜10質量%、より好ましくは2〜7質量%である。この水相と油相は混ざり合わないため、使用するときは充分に混合分散した状態で用いる。分散の安定性を高める目的で成分(7)の界面活性剤の添加が有用である。成分(1)、(7)、(8)の種類及び使用量は、酸性の版面洗浄剤と同じである。
版面洗浄剤の作用効果としては、親水層に発生した傷のために生じる地汚れを防止する作用や回復した親水性を維持強化する働きがある。この作用は成分(12)としてモリブデン酸、ホウ酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸及びそれらの水溶性塩、好ましくはアルカリ金属塩及びアンモニウム塩から選ばれた少くとも一種類を併用することによって強化される。例えばモリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸アンモニウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸リチウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、トリポリリン酸リチウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸リチウム等を挙げることができる。該化合物は全組成物質量の0..1〜10質量%の範囲で使用され、より好ましくは0.2〜5質量%の範囲である。
一般式M2O・nSiO2で表わされる成分(11)はpH10〜14の範囲で版面洗浄剤の汚れ除去能力を最も高くする。このpH範囲に調整するため、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の pH調整剤(10)を用いる。アルカリ性版面洗浄剤には、上記の成分の他にパミス、シリカ粉末、ゼオライト等の粒状粉末、防腐剤、殺菌剤、着色剤等を添加してもよい。アルカリ性版面洗浄剤は水相のpH値が好ましくは11〜14、より好ましくは11.5〜13の範囲で特にすぐれた性能を発揮する。従ってこのようなpH範囲となるよう pH調整剤、例えばリン酸や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が必要により加えられる。
本発明のスプレー塗布用の乳化型平版印刷版用洗浄剤にはまた、好ましい態様として、その油相に(A)下記一般式[I]又は[II]で表される化合物から選ばれる少なくとも一種:
3C−(CH2)n−COOR1 [I]
3C−CH(OH)−COOR2 [II]
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素原子数8〜18の脂肪族炭化水素基を表し、nは0又は1〜2の整数を示す。)
を含有させることができる。
上記一般式[I]又は[II]で表される脂肪族カルボン酸エステル化合物は具体的に、酢酸、プロピオン酸、酪酸又は乳酸のエステルである。式中、R1及びR2で示される炭素原子数8〜18の脂肪族炭化水素基は具体的に、不飽和又は飽和でもよく、直鎖状でも分岐状でもよい。該脂肪族炭化水素基の炭素原子数が8未満であると、インキ溶出性は優れているが、印刷版の感光層の印刷耐刷力を劣化しやすいという問題を有している。一方炭素原子数が18を超えると、インキに対する溶出性が劣化する傾向があり好ましくない。
本発明に使用するのに好ましいカルボン酸エステル化合物はとして、酢酸、酪酸、乳酸などのオクチル、2−エチルヘキシル、カプリル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、オレイルの各エステルが挙げられる。特に好ましいものとしては、乳酸オクチル、乳酸2−エチルヘキシル、乳酸カプリル、乳酸ノニル、乳酸デシル、乳酸ラウリル、乳酸セチル、酪酸2−エチルヘキシル、酪酸セチルなどである。これらのうち、乳酸エステル化合物は特に、各種のインキに対して溶出性が優れた効果を発揮し、また、一方、印刷版の感光層に対しても影響が少ないので、好ましく使用することができる。これら脂肪族カルボン酸エステル化合物は1種単独でも、あるいは2種以上併用して使用することもできる。
本発明の乳化型の平版印刷版用版面洗浄剤におけるカルボン酸エスエル化合物の含有量は、経済性を考慮して、版面洗浄剤の全質量に基づいて0.5〜15質量%が適当であり、好ましくは1〜10質量%の範囲である。
本発明のスプレー塗布用の乳化型平版印刷版用洗浄剤にはまた、好ましい態様として、その油相に(B)炭素原子数18〜36の分岐を有する鎖状脂肪族飽和炭化水素から選ばれる少なくとも一種を含ませてもよい。
本発明で使用する(B)炭素原子数18〜36の分岐を有する鎖状脂肪族飽和炭化水素において、その分岐は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基等が挙げられる。中でもメチル基が好ましい。このような鎖状脂肪族飽和炭化水素の具体例としてテルペン系化合物が挙げられる。テルペン系化合物としてジテルペン(C5×4)、セスタテルペン(C5×5)、トリテルペン(C5×6)などがあるが、中でもトリテルペンに属する、スクワランという名称でも知られている2,6,10,15,19,23−ヘキサメチルテトラコサン(C3062)が好ましく使用できる。2,6,10,15,19,23−ヘキサメチルテトラコサンは鉱油系炭化水素と比べて油性が少なく、湿潤性により優れた機能を有しており、また、油性成分として特に乳化しやすく安定性が高いという特徴を有している。この化合物は、天然物原料であるサメの肝油から抽出しものが主であったが、近年は合成法によって製造され、原料的に安定している。例えば、日光ケミカル社製のニッコールスクワラン(商品名)がある。
炭素原子数18〜36の分岐を有する鎖状脂肪族飽和炭化水素の別の具体例として、炭素原子数28の直鎖脂肪族飽和炭化水素鎖の4位と10位にメチル基が結合したもの(C3062)や、炭素原子数24の直鎖脂肪族飽和炭化水素鎖の2位及び6位にメチル基が結合したもの(C2654)が挙げられる。
本発明の平版印刷版用版面洗浄剤における炭素原子数18〜36の分岐を有する鎖状脂肪族飽和炭化水素の含有量は、良好なインキ溶解性と良好な不感脂化効果を発揮させる兼ね合いから、版面洗浄剤の全質量に基づいて2〜20質量%が適当であり、好ましくは3〜15質量%である。
本発明の平版印刷版用版面洗浄剤は、一般的乳化のO/W型又はW/O型の乳化物として常法に従って製造することができる。
本発明のスプレー塗布用の乳化型平版印刷版用洗浄剤は、市販のスプレー容器に収容して使用することができる。本発明の乳化型平版印刷版用洗浄剤の使用方法として、印刷機が稼動している状態で搭載された平版印刷版の版面へスプレーにて適用することが挙げられる。本発明の版面洗浄剤を版面へスプレー塗布するときの塗布量は、10〜100ml/m2が適当であり、好ましくは20〜80ml/m2である。
以下に本発明の乳化型平版印刷版版面洗浄剤を実施例をもって説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお「部」及び「%」は他に指定のない限り、それぞれ質量部および質量%を示す。
[実施例1]
純水563gにアラビアゴム(グレードHPタイプ)27gを加温しながら溶解した。次にヘキサメタリン酸ナトリウム10gを攪拌しながら溶解し、順次硝酸マグネシウム7g、硫酸水素ナトリウム1.7gを添加し、リン酸(85%)5g、湿潤剤としてグリセリン17g、防腐剤として4−イソチアゾリン-3−オン誘導体0.7gを混合して水相を調製した。
一方、脂肪族炭化水素溶剤エクゾールD−80(エクソン化学(株)製)50g、乳化剤としてペレックスOT−P(花王(株)ジアルキルスルホン酸塩)7g、ネオペレックスF−60(花王(株)ドデシルベンゼンスルホン酸塩)3g、エマルゲン105(花王(株)ポリオキシエチレンラウリルエーテル)1.7gを溶解した油相を調製した。
次に、上記のように調製した水相を攪拌加温し35〜40℃に調整し、この水相にゆっくりと油相を滴下し分散液を作成し、ホモジナイザーを通して、乳白色の乳化溶液に純水で1000mlに補正して乳化型の版面洗浄剤を作成した。
この版面洗浄剤を25℃に調温して粘度と表面張力を測定した。粘度はTOKIMEC社製のB型粘度計(No.1 アダプター)を用いて測定したところ、12.2×10-3kg/m/s(12.2cp)であった。表面張力はSHIMADZU CORPORATIONのMODEL DNを用いて測定したところ4.8×10-2N/m(48dyne/cm)であった。
一方平版印刷版としてV5(富士写真フィルム(株)製陽極酸化マルチグレンタイプポジ型PS版)を画像露光し、PS自動現像機PS900Vを用いて、ポジ用現像液DP−4(水で8倍に希釈)水溶液で現像後、水洗、乾燥した。上記印刷版を4分割し表1に示す条件で版を処理し、汚れ除去能力についてテストを実施した。







Figure 2005154644
このように作成した版をハイデルベルグSOR−M型印刷機上に装着させ、印刷開始後、プレートA〜Cの非画像部に汚れが発生したことが確認されたので、上記の版面洗浄剤を印刷中にスプレーで70ml/m2塗布した。
塗布後、7〜10枚で完全にインキが着肉した正常な印刷物が得られた。そして3万枚印刷しても一度も汚れを発生することはなかった。印刷上の画像部の網点を観察したが、版面洗浄剤で処理しないDと比較しても網点の大きさ、摩耗の度合いの違いは見られなかった。なお、上記洗浄剤処理しなかった正常プレートDと比較して、インキ付着汚れなどすべてに正常な印刷物が得られた。
[実施例2]
下記処方(単位:グラム(g))の水相と油相を実施例1と同様な方法で調製し、純水で全量1000mlに補正して乳化型版面洗浄剤を得た。
[水相]
純水 593.0
セロゲン6A(第1工業薬品(株)カルボキシメチルセルロース) 3.3
水溶性大豆多糖類(分析値:ガラクトース 43.6%、
アラビノース 22.5%、ガラクツロン酸 2.2%など含有) 17.0
リン酸 10.0
ピロリン酸カリウム 7.0
硝酸アンモニウム 3.0
グリセリン 17.0
4−イソチアゾリン−3−オン誘導体 0.7
(苛性ソーダでpH2.0に調整)
[油相]
スクワラン(日光ケミカル社製) 80.0
エクゾールD−80 50.0
乳酸2−エチルヘキシル 10.0
乳酸ラウリル 7.0
ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル 3.0
(エマルゲン705 花王(株)製)
ジアルキルスルホコハク酸塩 5.0
(ラピゾールB−80 日本油脂(株)製)
ソルビタンモノオレート 3.0
(ノニオンOP−80 日本油脂(株)製)
こうして調製した版面洗浄剤について、実施例1と同様に粘度と表面張力を測定した。
粘度が15.1×10-3kg/m/s(15.1cp)であった。表面張力が5.1×10-2N/m(51dyne/cm)であった。
実施例1と同様の版材を用い、同様の方法で汚れ除去性を評価した。印刷開始後、非画像部に汚れが発生したプレートA〜Cに、上記の版面洗浄剤を印刷中にスプレーで80ml/m2塗布した。
塗布後、7〜10枚で完全にインキが着肉した正常な印刷物が得られた。そして3万枚印刷しても一度も汚れを発生することはなかった。印刷上の画像部の網点を観察したが、版面洗浄剤で処理しないDと比較しても網点の大きさ、摩耗の度合いの違いは見られなかった。なお、上記洗浄剤処理しなかった正常プレートDと比較して、インキ付着汚れなどすべてに正常な印刷物が得られた。
[実施例3]
実施例2で調製した版面洗浄剤を、ネガ型PS版に適用した場合の性能を評価した。
平版印刷版としてFNS−A(富士写真フィルム(株)製、陽極酸化、親水化処理を施したネガ型PS版)を画像露光し、PS自動現像機PS900Nを用い、ネガ用現像液DN−3C(水で2倍希釈)水溶液で現像、水洗、乾燥した。上記印刷版を4分割し、表1に示す条件で版を処理し、汚れ除去能力について実施例1と同様にテストを実施した。印刷開始後、非画像部に汚れが発生したプレートA〜Cに、上記の版面洗浄剤を印刷中にスプレーで70ml/m2塗布した。塗布後、鮮明な印刷物を得るまでの不良印刷物数は10〜20枚であり、良好な結果であった。また、3万枚印刷しても一度も汚れは発生せず、版面上の画像の網点を観察した結果、洗浄剤処理しない正常プレートDと比較しても網点の大きさ、摩耗の度合いの違いは見られなかった。
[比較例1]
実施例1で調製した版面洗浄剤においてアラビアゴムの添加量を55gとした以外は、実施例1と同様にして版面洗浄剤を作成した。こうして作成した版面洗浄剤の粘度と表面張力を実施例1と同様にして測定したところ、粘度が35×10-3kg/m/s(35cp)で、表面張力が4.9×10-2N/m(49dyne/cm)であった。
実施例1と同様の版材を用い、同様の方法で汚れ除去性を評価した。印刷開始後、非画像部に汚れが発生したプレートA〜Cに、上記の版面洗浄剤を印刷中にスプレーで70ml/m2塗布した。その結果、液滴が均一に噴霧できず、塗布されない部分が発生した。プレートA〜Cの塗布されない部分に、それぞれ空気酸化汚れ、傷汚れ、及びオイル汚れが発生した。
[比較例2]
実施例1で調製した版面洗浄剤においてアラビアゴムの添加量を0.8gとした以外は、実施例1と同様にして版面洗浄剤を作成した。こうして作成した版面洗浄剤の粘度と表面張力を実施例1と同様にして測定したところ、粘度が1.8×10-3kg/m/s(1.8cp)で、表面張力が4.7×10-2N/m(47dyne/cm)であった。
実施例1と同様の版材を用い、同様の方法で汚れ除去性を評価した。印刷開始後、非画像部に汚れが発生したプレートA〜Cに、上記の版面洗浄剤を印刷中にスプレーで70ml/m2塗布した。その結果、液滴がブランケット胴に落下して、印刷紙がブランケットに付着するトラブルが発生した。また、プレートBに傷汚れが発生した。
[比較例3]
実施例1の油相において、ペレックスOT−Pの添加量を0.7g、ネオペレックスF−60の添加量を0.3g、エマルゲン105の添加量を0.17gとした以外は、実施例と同様にして版面洗浄剤を作成した。こうして作成した版面洗浄剤の粘度と表面張力を実施例1と同様にして測定したところ、粘度が11.7×10-3kg/m/s(11.7cp)で、表面張力が6.9×10-2N/m(69dyne/cm)であった。
実施例1と同様の版材を用い、同様の方法で汚れ除去性を評価した。印刷開始後、非画像部に汚れが発生したプレートA〜Cに、上記の版面洗浄剤を印刷中にスプレーで70ml/m2塗布した。その結果、液滴が版面に拡がらず、塗布されない部分が発生した。プレートA〜Cの塗布されない部分に、それぞれ空気酸化汚れ、傷汚れ、及びオイル汚れが発生した。
[比較例4]
実施例1の油相において、ペレックスOT−Pの添加量を70g、ネオペレックスF−60の添加量を30g、エマルゲン105の添加量を17gとした以外は、実施例と同様にして版面洗浄剤を作成した。こうして作成した版面洗浄剤の粘度と表面張力を実施例1と同様にして測定したところ、粘度が11.8×10-3kg/m/s(11.8cp)で、表面張力が3.4×10-2N/m(34dyne/cm)であった。
実施例1と同様の版材を用い、同様の方法で汚れ除去性を評価した。印刷開始後、非画像部に汚れが発生したプレートA〜Cに、上記の版面洗浄剤を印刷中にスプレーで70ml/m2塗布した。その結果、液の塗布量が少なく、プレートBに傷汚れが発生した。
上記結果を表2に示す。
Figure 2005154644

以上の結果から、本発明の所定の粘度及び表面張力を有する版面洗浄剤によれば、回転中の印刷機上の版面へスプレー塗布することで版面へ良好に塗布することができ、且つ優れた汚れ除去能力を発揮することが判る。

Claims (3)

  1. スプレー塗布用の乳化型平版印刷版用版面洗浄剤であって、粘度が2×10-3〜30×10-3kg/m/sの範囲にあり、表面張力が3.5×10-2〜6.8×10-2N/mの範囲にある平版印刷版用版面洗浄剤。
  2. スプレー塗布用の乳化型平版印刷版用版面洗浄剤であって、粘度が2×10-3〜30×10-3kg/m/sの範囲にあり、及び表面張力が3.5×10-2〜6.8×10-2N/mの範囲にあり、その油相が下記(A)及び/又は(B)を含有する平版印刷版用版面洗浄剤:
    (A)下記一般式[I]又は[II]で表される化合物から選ばれる少なくとも一種
    3C−(CH2)n−COOR1 [I]
    3C−CH(OH)−COOR2 [II]
    (式中、R1及びR2はそれぞれ炭素原子数8〜18の脂肪族炭化水素基を表し、nは0又は1〜2の整数を示す。);
    (B)炭素原子数18〜36の分岐を有する鎖状脂肪族飽和炭化水素から選ばれる少なくとも一種。
  3. 平版印刷版の洗浄方法であって、粘度が2×10-3〜30×10-3kg/m/sの範囲にあり、表面張力が3.5×10-2〜6.8×10-2N/mの範囲にある乳化型の版面洗浄剤を、回転中の印刷機上の版面にスプレー塗布することを含む平版印刷版の洗浄方法。
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