JP2005154084A - テープの巻き取り方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速で磁気テープの巻き取りができ、巻き姿を良好にできる磁気テープの巻き取り方法及び装置を提供する。
【解決手段】巻取ハブ2の軸心を水平になるように配置し、巻取ハブの軸心とその軸心とが略平行になるように、巻取ハブのテープ走行方向上流側に設けられた第一のローラ50によりテープの巻取ハブへの進入方向を規制し、テープが巻取ハブに巻き取られてなるテープロール1’と接するとともに、巻取ハブの軸心とその軸心とが略平行になるように設けられたフランジ付きの第二のローラ52によりテープの幅方向の位置を規制し、巻取ハブの軸心とその軸心とが略平行になるように設けられた第三のローラ54によりテープロールの最外周にあるテープを押圧する。そして、第三のローラの軸心の、水平方向の角度ずれθX が0.18度以下になるように設定する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、テープの巻き取り方法及び装置に係り、特に、高速で磁気テープの巻き取りができ、巻き姿を良好にできるテープの巻き取り方法及び装置に関する。
カセットテープやビデオテープを始めとして、コンピュータのデータバックアップ用にも使用されている各種のいわゆるパンケーキ(巻取ハブに磁気テープを巻回したテープ巻取体)は、ロール状に巻回された幅広な帯状の磁気テープ原反を、送り出し側から引き出して搬送させながら裁断部で複数の幅狭な磁気テープに裁断して、巻き取り側のフランジレス型のハブに巻き取ることにより製造される。
このようなパンケーキは、生産性の点より、巻き取った磁気テープ長さが可能な限り長いものが望まれ、同様の点で、巻き取り速度が可能な限り速い巻き取り方法が望まれている。
このような課題に対応すべく、パンケーキを製造するための、磁気テープの巻き取り方法及び装置として、従来より高速巻き取りを可能とする各種の方式が知られている(特許文献1〜3参照)。
たとえば、特許文献1によれば、パンケーキの直前の位置規制ローラと、パンケーキと接触するエッジ規制ローラと押圧ローラとを組み合わせて磁気テープを巻き取る構成が提案されている。特許文献2によれば、3個以上の規制ローラにより、磁気テープの段落ちや巻き乱れを減少させる構成が提案されている。特許文献3によれば、パンケーキと接触する主タッチローラとその手前に設けたガイドローラとを備えるヘッド部により、高速巻き取りを可能とする構成が提案されている。
特開昭62−31645号公報 特開平5−159284号公報 特開平7−296556号公報
ところで、近年において、磁気テープの用途として、バックアップコンピュータの磁気記録媒体用が主流となっている。このようなバックアップコンピュータの用途の場合、磁気テープの表面にサーボ信号が記録される。この際、サーボ信号を書き込む前のパンケーキの巻き姿が重要になってくる。すなわち、巻き姿が悪ければ、サーボ信号が正確に記録されず、品質上問題となる。また、巻き姿が悪ければ、保管時や輸送時等において磁気テープのエッジ部に損傷を与えやすい。
特に、近年の磁気テープは、薄厚で平滑なテープが多く、従来の磁気テープと比べて巻き取りが難しくなっており、上記欠陥が問題となっている。図9は、磁気テープ1の巻き姿が悪い各例を示す概念図である。同図において、パンケーキ3の断面が示されている。パンケーキ3は巻取ハブ2に磁気テープ1を巻回することにより形成される。各図において、磁気テープ1は、ガイドローラ4、4にガイドされて巻回されている。
図9(a)及び(b)は、スタート時に磁気テープ1をガイドローラ4のフランジで規制できない巻き不良である。このうち、(a)は磁気テープ1を巻取ハブ2に巻き付ける際に、ガイドローラ4のフランジより磁気テープが飛び出した状態5であり、増速時の飛び出し欠陥とも称される。(b)は、磁気テープ1がガイドローラ4のフランジに入っていた状態より、フランジ外に飛び出した状態6である。
図9(c)は、「巻き乱れ」と称されている欠陥のうち「ザラ巻き」と称される欠陥であり、磁気テープ1の端面が揃っていない状態7である。そして、磁気テープ1の端面が揃っていない状態で巻き取られることにより、磁気テープ1の端面がガイドローラ4のフランジで擦られて傷となる「端面擦れ」と称される他の「巻き乱れ」をも生じる。
図9(d)は、「飛び出し」と称されている欠陥であり、磁気テープ1が巻取ハブ2にかなりの長さ巻き付けられた状態で、磁気テープ1がガイドローラ4のフランジに入っていた状態より、フランジ外に飛び出した状態8である。
このように、上記のような欠陥が問題となっているにもかかわらず、従来の技術によっては、現状ではこれらの欠陥を除去できない状態にある。前述した特許文献1〜3においても、巻取ハブ2とガイドローラ4との微妙な位置調整機能を備えていないので、上記のような欠陥には十分な対策とはなっていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高速で磁気テープの巻き取りができ、巻き姿を良好にできるテープの巻き取り方法及び装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、テープを巻取ハブに巻き取るテープの巻き取り方法において、前記巻取ハブの軸心を水平になるように配置し、前記巻取ハブの軸心とその軸心とが略平行になるように、前記巻取ハブのテープ走行方向上流側に設けられた第一のローラにより前記テープの前記巻取ハブへの進入方向を規制し、前記テープが前記巻取ハブに巻き取られてなるテープロールと接するとともに、前記巻取ハブの軸心とその軸心とが略平行になるように設けられたフランジ付きの第二のローラにより前記テープの幅方向の位置を規制し、前記巻取ハブの軸心とその軸心とが略平行になるように設けられた第三のローラにより前記テープロールの最外周にある前記テープを押圧し、前記第三のローラの軸心の、水平方向の角度ずれθX が0.18度以下になるように設定することを特徴とするテープの巻き取り方法、及びこれに使用される装置を提供する。
本発明によれば、巻取ハブを軸心が水平になるように配置し、この巻取ハブと軸心が略平行になるように第一〜第三のローラを配置し、テープのテープロールへの巻き取りを規制する。そして、テープロールと接するように設けられる第三のローラによりテープを押圧する構成において、この第三のローラの軸心の水平方向の角度ずれθX が0.18度以下になるように制御する。これにより、第三のローラによるテープの押圧が正確に行え、テープとテープロールとの間の空気を押し出し、巻き姿を良好にできる。その結果、高速でテープの巻き取りができ、巻き姿を良好にできるテープの巻き取りが可能となる。
本発明において、前記第三のローラの軸心の、鉛直方向の角度ずれθY が0.36度以下になるように制御することが好ましい。このように、第三のローラの軸心の鉛直方向の角度ずれθY を制御することによっても、第三のローラによるテープの押圧が正確に行え、テープとテープロールとの間の空気を押し出し、巻き姿を良好にできる。その結果、高速でテープの巻き取りができ、巻き姿を良好にできるテープの巻き取りが可能となる。
また、本発明において、前記第二のローラの軸心の、水平方向の角度ずれθX が0.32度以下になるように制御することが好ましい。このように、第二のローラの軸心の水平方向の角度ずれθX を制御することによっても、第二のローラによるテープの幅方向の位置規制が正確に行え、高速でテープの巻き取りができ、巻き姿を良好にできるテープの巻き取りが可能となる。
また、本発明において、前記第二のローラの軸心の、鉛直方向の角度ずれθY が0.45度以下になるように制御することが好ましい。このように、第二のローラの軸心の鉛直方向の角度ずれθY を制御することによっても、第二のローラによるテープの幅方向の位置規制が正確に行え、高速でテープの巻き取りができ、巻き姿を良好にできるテープの巻き取りが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、第三のローラの軸心の、水平方向の角度ずれθX を0.18度以下に設定することにより第三のローラによるテープの押圧が正確に行え、テープとテープロールとの間の空気を押し出しつつ巻き姿を良好にでき、その結果、高速で、巻き姿の良好なテープの巻き取りが可能となる。
以下、添付図面にしたがって本発明に係るテープの巻き取り方法及び装置の好ましい実施の形態について、磁気テープを巻き取る場合について詳説する。図1は、本発明が適用されるパンケーキの製造装置10の構成を示す概念図であり、図2は裁断装置14の側面図であり、図3は磁気テープの巻き取り装置15を示す構成図である。
図1に示されるように、このパンケーキの製造装置10は、主として、ロール状に巻回された磁気テープ原反20を送り出す送り出し装置11と、幅広な帯状の磁気テープ原反20を複数の幅狭な磁気テープ1、1…に裁断する裁断装置14と、磁気テープを巻取ハブ2に巻き取る巻き取り装置15、15と、で構成される。
送り出し装置11のハブ12(巻芯)には、ロール状に巻回された磁気テープ原反20が装着される。磁気テープ原反20は、通常、非磁性支持体上に強磁性微粒子を含む磁性層が塗布法や真空蒸着法等により形成され、その磁性層に配向処理、乾燥処理、表面処理等が行われることによって製造される。
裁断装置14は、幅広で帯状の磁気テープ原反20を上下一対の回転刃30、32により複数本の磁気テープ1、1、…に裁断する装置であり、図2に示されるように、受け刃としてローラ状に形成された複数の回転下刃30、30…と、回転下刃30との間で磁気テープ原反20に剪断力を与えて裁断する薄円盤状の複数の回転上刃32、32…とで構成される。
回転下刃30は、下側シャフト34にスペーサ36を介して嵌合固定され、回転上刃32は、下側シャフト34と平行な上側シャフト38にスペーサ40を介して嵌合固定され、回転上刃32と回転下刃30との刃先部分が互いに重なり合うように配置されている。そして、回転上刃32は図示しないバネにより図2の軸方向右側に付勢され、回転上刃32の刃先部分が回転下刃30の刃先部分に当接した状態で位置決めされる。
上側シャフト38と下側シャフト34はそれぞれ回転速度を自由に可変可能なモータ41、43に接続され、回転上刃32と回転下刃30の周速度を個別に可変できるようになっている。
図1において、送り出し装置11と裁断装置14との間には、磁気テープ原反20の搬送路を形成する複数のガイドローラ22、22…と、磁気テープ原反20の搬送速度を規制するグルーブドサクションドラム24が設けられる。グルーブドサクションドラム24は、回転速度を自由に可変可能なモータ(図示せず)に接続され、グルーブドサクションドラム24の周面に磁気テープ原反20を吸着して回転することにより、磁気テープ原反20の搬送速度を任意に可変する。
そして、巻き取り装置15における巻取ハブ2の巻芯18の回転速度は、このグルーブドサクションドラム24の周速度を基準として制御される。なお、磁気テープ原反20の搬送速度を規制する手段としてはグルーブドサクションドラム24に限定されず、磁気テープ原反20を挟持搬送するピンチローラを使用することもできる。
裁断装置14とそれぞれの巻取ハブ2との間にはテンションローラ28が設けられ、裁断時における磁気テープ原反20の搬送方向のテンションが任意に調整される。
図3に示されるように、巻き取り装置15は、巻取ハブ2と、第一のローラである位置規制ローラ50と、第二のローラであるエッジ規制ローラ52と、第三のローラである押圧ローラ54とを備えている。
位置規制ローラ50は、第一アーム60の基端部(図の左端部)近傍に軸受51を介して回動自在に支持されている。エッジ規制ローラ52は、第一アーム60の先端部(図の右端部)近傍に支持機構56を介して回動自在に支持されている。押圧ローラ54は、第二アーム62の先端部(図の左端部)近傍に支持機構58を介して回動自在に支持されている。
なお、本明細書においては、図3における、左右方向をX軸方向と、上下方向をZ軸方向と、紙面に垂直な方向をY軸方向とし、以降の図においても共通して使用する。すなわち、X軸方向及びY軸方向を水平方向と、Z軸方向を鉛直方向とする。
巻取ハブ2は、軸心が水平になるように図示しない装置本体(躯体)に設けられ、矢印で示されるように反時計方向に回転駆動される。この巻取ハブ2に磁気テープ1が巻き取られて、テープロール1’が形成されている。そして、所定長さの磁気テープ1が巻き取られたテープロール1’が、製品としてのパンケーキ3となる。
第一のローラである位置規制ローラ50は、巻取ハブ2のテープ走行方向上流側に、この巻取ハブ2と軸心が略平行になるように、第一アーム60に軸受51を介して設けられるフランジ付きのローラである。図4に示されるように、位置規制ローラ50は、フランジ50B付きのローラであり、ローラ50Aの表面は中高(Crown)をつけて形成されている。こ位置規制ローラ50はステンレス鋼による一体物である。ローラ50Aの幅は、磁気テープ1の幅と略同一に形成されている。フランジ50B、50Bは、内径部から外径部に向かって間隔が大きくなるように傾斜したテーパ面50C、50Cを内面に有する。この位置規制ローラ50は、磁気テープ1のテープロール1’への進入方向を規制する。
第二のローラであるエッジ規制ローラ52は、テープロール1’と接するとともに、巻取ハブ2と軸心が略平行になるように第一アーム60に設けられるフランジ付きのローラである。図5は、エッジ規制ローラ52の平面図(a)及び側面図(b)である。円筒状のローラ52Aの両側にフランジ52B、52Bが設けられており、ローラ52Aとフランジ52B、52Bとはローラ52Aの内部に配されたころがり軸受け52D、52Dを介して連結されている。したがって、フランジ52B、52Bはローラ52Aに対して回動自在となっている。
ローラ52Aの幅は、磁気テープ1の幅より若干小さく形成されている。ローラ52Aはポリアセタールで形成されているが、これ以外の各種樹脂、たとえば各種エンジニアリングプラスチックスで形成されてもよい。フランジ52Bの内側面は、ローラ52Aの外径と同一の内径部から外径部に向かって間隔が大きくなるように傾斜したテーパ面52C、52Cに形成されている。フランジ52Bはステンレス鋼で形成されている。フランジ52Bのテーパ面52Cの表面粗さRaは0.15μm以下とすることが好ましい。このような平滑なテーパ面52Cとすることにより、磁気テープ1のエッジ部に欠陥を生じさせなくすることができる。
このエッジ規制ローラ52は、磁気テープ1の幅方向の位置を規制する。すなわち、磁気テープ1のエッジがテーパ面52Cに当接することにより、磁気テープ1の幅方向の位置が規制される。磁気テープ1の幅方向の位置を良好に規制して、巻き姿を良好にするためには、テーパ面52Cの傾斜角度θC を2〜15度の範囲とすることが好ましい。また、ローラ52Aの幅を磁気テープ1の幅の95〜99%の範囲とすることが好ましい。
エッジ規制ローラ52を第一アーム60上で支持する支持機構56(調整機構)、及びエッジ規制ローラ52の誤差(角度ずれ)を補正する構成の詳細については、後述する。
エッジ規制ローラ52は、支持機構56に回動自在に支持されている。支持機構56は第一アーム60の先端部に支持されている。第一アーム60は、基端部に設けられた支点60Aを中心として、図示しない装置本体(躯体)に回動自在に支持されている。また、第一アーム60は、ばねよりなる付勢手段60Bによりテープロール1’側(反時計方向)に付勢されている。これにより、エッジ規制ローラ52がテープロール1’に所定圧力で押圧される。この押圧力は、テープロール1’の回転によって、エッジ規制ローラ52がテープロール1’から離れないような所定の力とすることが好ましい。この押圧力は、磁気テープ1の幅、テープロール1’の回転数、磁気テープ1の材質等に応じて適宜の値が採り得る。なお、付勢手段60Bとしては、図示のもの以外に、エアシリンダ等の公知の手段が採用できる。
第三のローラである押圧ローラ54は、テープロール1’の最外周にある磁気テープ1を押圧するとともに、巻取ハブ2と軸心が略平行になるように第二アーム62に設けられる円柱状のローラである。押圧ローラ54はウレタンゴムで形成されているが、これ以外の各種合成ゴム、たとえばシリコンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム等で形成することもできる。押圧ローラ54は磁気テープ1を押圧することにより、磁気テープ1とテープロール1’との間の空気を押し出し、巻き姿を良好にするために設けられる。押圧ローラ54の幅は、磁気テープ1の幅より若干小さいことが好ましい。押圧ローラ54の幅が、磁気テープ1の幅より大きいと、押圧ローラ54の表面が凹状に変形し、磁気テープ1の巻き不良となりやすいからである。
押圧ローラ54を第二アーム62上で支持する支持機構58(調整機構)、及び押圧ローラ54の誤差(角度ずれ)を補正する構成の詳細については、後述する。
押圧ローラ54は、支持機構58に回動自在に支持されている。支持機構58は第二アーム62の先端部に支持されている。第二アーム62は、基端部に設けられた支点62Aを中心として、図示しない装置本体(躯体)に回動自在に支持されている。また、第二アーム62は、ばねよりなる付勢手段62Bによりテープロール1’側(時計方向)に付勢されている。これにより、押圧ローラ54がテープロール1’に所定圧力で押圧される。この押圧力は、テープロール1’の回転によって、押圧ローラ54がテープロール1’から離れないような所定の力とすることが好ましい。この押圧力は、磁気テープ1の幅、テープロール1’の回転数、磁気テープ1の材質等に応じて適宜の値が採り得る。なお、付勢手段62Bとしては、図示のもの以外に、エアシリンダ等の公知の手段が採用できる。
次に、本発明の特徴部分である、エッジ規制ローラ52及び押圧ローラ54の位置制御について説明する。エッジ規制ローラ52及び押圧ローラ54は、本来その軸心が巻取ハブ2の軸心と平行になるように設けられるものである。しかし、エッジ規制ローラ52、第一アーム60、押圧ローラ54、第二アーム62等のセッティング等において、誤差(角度ずれ)を生じることもある。このような場合に、巻き取り不良となることが多かった。
そこで、本発明者は、誤差(角度ずれ)と巻き取り不良との関係を検討し、最適な巻き取り状態を繰り返し再現できる条件を見い出した。以下、エッジ規制ローラ52の誤差(角度ずれ)の態様について、図5により説明する。なお、押圧ローラ54の誤差(角度ずれ)の態様についても同様であることより、エッジ規制ローラ52の説明で代表させることとする。
図5において、(a)は、エッジ規制ローラ52の平面図であり、エッジ規制ローラ52の軸心CLの水平方向の角度ずれθX を示す。すなわち、エッジ規制ローラ52がZ軸回りにθX 回転した状態を示す。(b)は、エッジ規制ローラ52の側面図であり、エッジ規制ローラ52の軸心CLの鉛直方向の角度ずれθY を示す。すなわち、エッジ規制ローラ52がX軸回りにθY 回転した状態を示す。
このようにエッジ規制ローラ52及び押圧ローラ54に誤差(角度ずれ)があると、巻き取り不良となることが多いことより、エッジ規制ローラ52の支持機構56及び押圧ローラ54の支持機構58に、誤差(角度ずれ)を補正できる調整機構を採用した。図6は、押圧ローラ54の支持機構58を示す側面図である。
押圧ローラ54の軸心方向に設けられた貫通孔に軸53が嵌合され、この軸53の両端にころがり軸受(ベヤリング)53Aが嵌着されている。軸53両端のころがり軸受53A、53Aは軸受ボックス70、70で支持され、軸受ボックス70、70は角度補正テーブル72上に固定されている。更に角度補正テーブル72はベーステーブル76上に取り付けられている。角度補正テーブル72の左端部は、ベーステーブル76上に固定され、角度補正テーブル72の右端部は、ベーステーブル76上に飛び出した調整ボルト78の先端で支持されている。この調整ボルト78は、ベーステーブル76右端部に設けられた貫通するねじ孔に螺合されている。したがって、ベーステーブル76の下側よりボルト78の頭部を回動させることにより、調整ボルト78の先端の飛び出し高さが調整可能となっている。
なお、角度補正テーブル72には、回転ヘッド等が搭載されており、この回転ヘッド等の微動により微細なθ方向の調整(たとえば、θ方向で0.01度単位の調整)が可能なものを使用することが好ましい。同様に、ベーステーブル76のねじ孔及び調整ボルト78のねじも微細なピッチとして、Y方向の微細な調整を可能とすることが好ましい。
以上の構成により、角度補正テーブル72により、押圧ローラ54の水平方向の角度ずれθX が調整可能となり、ベーステーブル76と調整ボルト78との組み合わせにより、押圧ローラ54の鉛直方向の角度ずれθY が調整可能となった。すなわち、押圧ローラ54の軸心の、水平方向の傾斜角度ずれθX 及び鉛直方向の傾斜角度ずれθY が0.18度以下になるように調整可能となっている。
以上、図6によって説明した、押圧ローラ54の支持機構58に、誤差(角度ずれ)を補正できる構成は、エッジ規制ローラ52の支持機構56にも同様に採用される。したがって、支持機構56の説明及び図示は省略する。なお、図6に示される構成をエッジ規制ローラ52の支持機構56に適用した場合には、図示される押圧ローラ54が図5に示されるフランジ付きのエッジ規制ローラ52に変更されるのみである。
次に、上記のように構成されたパンケーキの製造装置10の作用を説明する。先ず、図1において、送り出し装置11のハブ12に巻回されたロール状の磁気テープ原反20は、ハブ12から連続的に引き出され、裁断装置14に搬送される。そして、裁断装置14で複数本の磁気テープ1に裁断されて、巻き取り装置15に搬送され、巻取ハブ2に巻き取られる。これにより、例えば磁気テープ原反20が100〜500本に裁断され、規定の幅寸法(例えば12.65mm、25.4mm、3.81mm等)の磁気テープ1が製造される。
図3において、巻き取り装置15では、位置規制ローラ50によって、磁気テープ1のテープロール1’への進入方向が規制される。次いで、エッジ規制ローラ52によって、磁気テープ1の幅方向の位置が規制される。次いで、押圧ローラ54によって、磁気テープ1とテープロール1’との間の空気が押し出され、巻き姿が良好に規制される。
この際、押圧ローラ54の軸心の、水平方向の傾斜角度ずれθX が0.18度以下になるように設定されるので、押圧ローラ54による磁気テープ1の押圧が正確に行え、磁気テープ1とテープロール1’との間の空気を押し出しつつ巻き姿を良好にでき、その結果、高速で、巻き姿の良好な磁気テープ1の巻き取りが可能となる。
この巻き取り装置15において、磁気テープ1の巻き取りが進行し、テープロール1’の外径が増加して行くに従い、第一アーム60は支点60Aを中心として図の矢印方向に回動し、また、エッジ規制ローラ52は、第一アーム60の回動により、適切な押圧力でのテープロール1’の押圧を維持する。
同様に、磁気テープ1の巻き取りが進行し、テープロール1’の外径が増加して行くに従い、第二アーム62は支点62Aを中心として図の矢印方向に回動し、また、押圧ローラ54は、第二アーム62の回動により、適切な押圧力でのテープロール1’の押圧を維持する。
以上、本発明に係る磁気テープの巻き取り方法及び装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、本実施形態では、磁気テープ原反20より裁断装置14を経て巻き取り装置15により巻き取られる態様が採られているが、予めスリット処理され、所定幅の磁気テープ1となっている状態から送り出される態様であってもよい。
また、巻き取り装置15の構成も本実施形態に拘束されるものではなく、各種の構成が採用できる。たとえば、本実施形態ではエッジ規制ローラ52と押圧ローラ54とが個別のアーム(第一アーム60及び第二アーム62)により支持されているが、これらがともに第一アーム60により支持される構成であってもよい。
更に、位置規制ローラ50が第一アーム60により支持されずに、巻き取り装置15の装置本体(躯体)に支持される構成であってもよい。
(実施例1)
図3に示される構成の巻き取り装置15を使用して、磁気テープ1の巻き取り試験を行った。磁気テープ1としては、予めスリット処理され、所定幅の磁気テープ1となっている状態から送り出される態様とした。この磁気テープ1は、幅が12.65mmであり、厚さが8.9μmのポリエステルベースのものである。パンケーキ3として、磁気テープ1の巻き取り長さを14000mに設定している。
本試験は、エッジ規制ローラ52の誤差(角度ずれ)に関する試験である。したがって、他の要因による影響を排除すべく、支持機構58によって押圧ローラ54の誤差(角度ずれ)が0になるように調整してある。磁気テープ1の走行速度を600m/分として巻取ハブ2巻き取り、その際、巻き取り欠陥が生じなかった巻き取り長さを「巻き取りOK長」として記録した。誤差量としてのθX (エッジ規制ローラ52の軸心の水平方向の角度ずれ)、及びθY (エッジ規制ローラ52の軸心の鉛直方向の角度ずれ)の2つのパラメータを変化させて、その際の巻き取りOK長を比較した。その際1つのパラメータ(たとえば、θX )を変化させる場合には、他のパラメータ(この場合、θY )の誤差(角度ずれ)は、0になるように調整した。
エッジ規制ローラ52によるテープロール1’への付勢力(タッチ圧)は2.22N(230g・f)とし、磁気テープ1のテンションは0.77N(80g・f)とした。また、磁気テープ1として湾曲のないものを選んで使用した。
なお、θX 及びθY の高精度の測定は、市販のハイトゲージ(シロ産業社製、商品番号:SHG−36)を使用して行った。このハイトゲージは、測定範囲が180度、最小読取値が0.01度のものである。使用に際し、測定子の先端部をローラの形状に合うように改良した。
図7は、誤差(角度ずれ)と巻き取りOK長との関係を示すグラフである。同図において、縦軸は、巻き取りOK長(単位:m)であり、横軸は、誤差(角度ずれ)の量(単位:度)である。同図のグラフに示される実施例の結果によれば、設定した磁気テープ1の巻き取り長さ(14000m)のパンケーキ3を得るには、θX (「X軸傾斜」と表示)が0.32度以下になるように制御すればよく、また、θY (「Y軸傾斜」と表示)が0.45度以下になるように制御すればよいことが解る。
(実施例2)
図3に示される構成の巻き取り装置15を使用して、磁気テープ1の巻き取り試験を行った。磁気テープ1としては、実施例1と同様に、予めスリット処理され、所定幅の磁気テープ1となっている状態から送り出される態様とした。この磁気テープ1は、幅が12.65mmであり、厚さが8.9μmのポリエステルベースのものである。パンケーキ3として、磁気テープ1の巻き取り長さを14000mに設定している。
本試験は、押圧ローラ54の誤差(角度ずれ)に関する試験である。したがって、他の要因による影響を排除すべく、支持機構56によってエッジ規制ローラ52の誤差(角度ずれ)が0になるように調整してある。磁気テープ1の走行速度を600m/分として巻取ハブ2巻き取り、その際巻き取り欠陥が生じなかった巻き取り長さを「巻き取りOK長」として記録した。誤差量としてのθX (押圧ローラ54の軸心の水平方向の角度ずれ)、及びθY (押圧ローラ54の軸心の鉛直方向の角度ずれ)の2つのパラメータを変化させて、その際の巻き取りOK長を比較した。その際1つのパラメータ(たとえば、θX )を変化させる場合には、他のパラメータ(この場合、θY )の誤差(角度ずれ)は、0になるように調整した。
押圧ローラ54によるテープロール1’への付勢力(タッチ圧)は2.22N(230g・f)とし、磁気テープ1のテンションは0.77N(80g・f)とした。また、磁気テープ1として湾曲のないものを選んで使用した。
図8は、誤差(角度ずれ)と巻き取りOK長との関係を示すグラフである。同図において、縦軸は、巻き取りOK長(単位:m)であり、横軸は、誤差(角度ずれ)の量(単位:度)である。同図のグラフに示される実施例の結果によれば、設定した磁気テープ1の巻き取り長さ(14000m)のパンケーキ3を得るには、θX (「X軸傾斜」と表示)が0.18度以下になるように制御すればよく、また、θY (「Y軸傾斜」と表示)が0.36度以下になるように制御すればよいことが解る。
以上に示した図7、8の結果より、第二、第三のローラの軸心を制御することにより、高速で、巻き姿の良好な磁気テープの巻き取りを可能とできることが確認された。
本発明に適用されるパンケーキの製造装置の構成を示す概念図 裁断装置の構成図 本発明に係る磁気テープの巻き取り装置の構成図 位置規制ローラの構成を示す概念図 エッジ規制ローラの角度ずれの態様を示す概念図 押圧ローラの支持機構を示す側面図 実施例の結果を示すグラフ 実施例の結果を示すグラフ 巻き取り不良状態を示すパンケーキの断面図
符号の説明
1…磁気テープ、2…巻取ハブ、3…パンケーキ、10…パンケーキの製造装置、11…送り出し装置、14…裁断装置、15…巻き取り装置、20…磁気テープ原反、50…位置規制ローラ50、52…エッジ規制ローラ、54…押圧ローラ、56、58…支持機構、60…第一アーム、62…第二アーム

Claims (6)

  1. テープを巻取ハブに巻き取るテープの巻き取り方法において、
    前記巻取ハブの軸心を水平になるように配置し、
    前記巻取ハブの軸心とその軸心とが略平行になるように、前記巻取ハブのテープ走行方向上流側に設けられた第一のローラにより前記テープの前記巻取ハブへの進入方向を規制し、
    前記テープが前記巻取ハブに巻き取られてなるテープロールと接するとともに、前記巻取ハブの軸心とその軸心とが略平行になるように設けられたフランジ付きの第二のローラにより前記テープの幅方向の位置を規制し、
    前記巻取ハブの軸心とその軸心とが略平行になるように設けられた第三のローラにより前記テープロールの最外周にある前記テープを押圧し、
    前記第三のローラの軸心の、水平方向の角度ずれθX が0.18度以下になるように設定することを特徴とするテープの巻き取り方法。
  2. 前記第三のローラの軸心の、鉛直方向の角度ずれθY が0.36度以下になるように設定することを特徴とする請求項1に記載のテープの巻き取り方法。
  3. 前記第二のローラの軸心の、水平方向の角度ずれθX が0.32度以下になるように設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のテープの巻き取り方法。
  4. 前記第二のローラの軸心の、鉛直方向の角度ずれθY が0.45度以下になるように設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテープの巻き取り方法。
  5. テープを巻取ハブに巻き取るテープの巻き取り装置において、
    軸心が水平になるように配置される前記巻取ハブと、
    前記巻取ハブのテープ走行方向上流側に、前記巻取ハブの軸心とその軸心とが略平行になるように設けられる第一のローラと、
    前記テープが前記巻取ハブに巻き取られてなるテープロールと接するとともに、前記巻取ハブの軸心とその軸心とが略平行になるように設けられるフランジ付きの第二のローラと、
    前記テープロールの最外周にある前記テープを押圧するとともに、前記巻取ハブの軸心とその軸心とが略平行になるように設けられる第三のローラと、を備え、
    前記第三のローラの軸心の、水平方向の角度ずれθX 及び/又は鉛直方向の角度ずれθY が0.18度以下になるような調整機構を備えることを特徴とするテープの巻き取り装置。
  6. 前記第二のローラの軸心の、水平方向の角度ずれθX 及び/又は鉛直方向の角度ずれθY が0.32度以下になるような調整機構を備えることを特徴とする請求項5に記載のテープの巻き取り装置。

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