JP2005153583A - 車両用ブレーキ液圧発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 液圧制御手段の正常時には良好なブレーキフィーリングを確保すると共に、異常時には大きな制動力を付与し得る液量をホイールシリンダに供給する。
【解決手段】 ブレーキ操作部材(BP)に連動する第1ピストン(シミュレータピストンSP)と、これにストロークを付与する弾性部材(E2)と、前方にマスタ液圧室(C1)を形成すると共に後方にシミュレータ室(C4)を形成する第2ピストン(マスタピストンMP)を備え、切換手段(環状溝G2及びシール部材S2)によって、シミュレータ室と大気圧リザーバ(RS)の連通・遮断を選択的に切り換える。ストローク規制手段(NS等)によって、ハウジング(HS)に対する第1ピストンの最大ストローク(D1)を、ハウジングに対する第2ピストンの最大ストローク(D2)と第2ピストンに対する第1ピストンの最大ストローク(D3)との和よりも小さい値に規制する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両用ブレーキ液圧発生装置に関し、特に、ストロークシミュレータ及びマスタシリンダを備えた車両用ブレーキ液圧発生装置に係る。
ストロークシミュレータ及びマスタシリンダを備えた車両用ブレーキ液圧発生装置として種々の構成のものが知られているが、ブレーキ操作部材に連動して前後動する第1ピストンと、第1ピストンに対しブレーキ操作部材の操作力に応じたストロークを付与する弾性部材と、シリンダハウジング内に摺動自在に収容されて前方にマスタ液圧室を形成すると共に、後方且つ第1ピストンの前方にシミュレータ室を形成し、第1ピストン及び弾性部材を介して伝達されるブレーキ操作部材の操作力に応じて前後動する第2ピストンとを備え、シミュレータ室と大気圧リザーバとの連通・遮断を切換手段によって選択的に切り換えるように構成したものがあり、例えば下記の特許文献1に開示されている。
一般的に、ストロークシミュレータは、液圧制御手段の正常時には、即ち、マスタシリンダとホイールシリンダとの連通路が遮断されているときには、ブレーキ操作部材に対しブレーキ操作力に応じたストロークが生ずるように構成されている。そして、特許文献1に記載のブレーキ制御装置においては、ストロークシミュレータはブレーキ操作部材とマスタピストンとの間に介装されており、液圧制御手段の異常時に、即ち、マスタシリンダからホイールシリンダに液圧が供給されるときに、ストロークシミュレータのストロークに応じて、ブレーキペダルを大きくストロークさせることが必要となることに鑑み、マスタピストンの動きに応じてシミュレータ室と大気圧室との連通を遮断する連通遮断手段が設けられている。
また、シリンダハウジング内に摺動自在に収容されて前方にマスタ液圧室を形成し、ブレーキ操作部材に連動して前後動する第1ピストンと、前方にシミュレータ室を形成し、第1ピストン及びマスタ液圧室の液圧を介して伝達されるブレーキ操作部材の操作力に応じて前後動する第2ピストンと、第2ピストンに対しブレーキ操作部材の操作力に応じたストロークを付与する弾性部材とを備え、シミュレータ室と大気圧リザーバとの連通・遮断を切換手段によって選択的に切り換えるように構成したものがあり、下記の特許文献2に開示されている。
更に、特許文献2には、シリンダハウジング内に摺動自在に収容されて前方にマスタ液圧室を形成し、ブレーキ操作部材に連動して前後動する第1ピストンと、前方にシミュレータ室を形成し、第1ピストン及びマスタ液圧室の液圧を介して伝達されるブレーキ操作部材の操作力に応じて前後動する第2ピストンと、シミュレータ室に連通し、シミュレータ室の出力液圧に応じた液量を吸収して第2ピストンに対しブレーキ操作部材の操作力に応じたストロークを付与する吸収体を備え、この吸収体の作動・非作動を切換手段によって選択的に切り換えるように構成したものも開示されている。
特開平11−59349号公報 特表2001−526150号公報
ところで、一般的にブレーキ液圧系のブレーキ液に混在した空気を除去するため所謂エア抜き作業が行われるが、前掲の特許文献1及び2に記載の装置においては、車両に搭載後に、エア抜き作業を行う際には切換手段が作動してもブレーキ液が十分に充填されていないため、ストロークシミュレータのストロークを抑えることができず、ストロークシミュレータとマスタシリンダの両方が同時にストロークすることになる。このため、ストロークシミュレータとマスタシリンダとが最大ストロークとなってもブレーキ操作部材が車両のフロアなどに干渉しないように、ストロークシミュレータの最大ストロークとマスタシリンダの最大ストロークとの和を適切な値に設定しておく必要がある。
これに対し、例えば、ブレーキ液圧系に配設される液圧制御手段の正常時には良好なブレーキフィーリングを確保し得るようにストロークシミュレータの最大ストロークを設定すると、液圧制御手段の異常時にはマスタシリンダの最大ストロークが車両を停止させる必要最小限の液量をホイールシリンダに供給し得るように構成することが精々であり、信頼性という点で更に改善の余地がある。
そこで、本発明は、ストロークシミュレータ及びマスタシリンダを備えた車両用ブレーキ液圧発生装置において、ブレーキ液圧系に配設される液圧制御手段の正常時には良好なブレーキフィーリングを確保し得ると共に、液圧制御手段の異常時には大きな制動力を付与し得る液量をホイールシリンダに供給することができる車両用ブレーキ液圧発生装置を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するため、本発明は、請求項1に記載のように、ブレーキ操作部材に連動して前後動する第1ピストンと、該第1ピストンに対し前記ブレーキ操作部材の操作力に応じたストロークを付与する弾性部材と、シリンダハウジング内に摺動自在に収容されて前方にマスタ液圧室を形成すると共に、後方且つ前記第1ピストンの前方にシミュレータ室を形成し、前記第1ピストン及び前記弾性部材を介して伝達される前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて前後動する第2ピストンと、大気圧リザーバと、前記シミュレータ室と前記大気圧リザーバとの連通・遮断を選択的に切り換える切換手段とを備えた車両用ブレーキ液圧発生装置において、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを、前記シリンダハウジングに対する前記第2ピストンの最大ストロークと前記第2ピストンに対する前記第1ピストンの最大ストロークとの和よりも小さい値に規制するストローク規制手段を備えることとしたものである。
また、本発明は、請求項2に記載のように、ブレーキ操作部材に連動して前後動する第1ピストンと、シリンダハウジング内に摺動自在に収容されて前方にマスタ液圧室を形成すると共に、後方且つ前記第1ピストンの前方にシミュレータ室を形成し、前記第1ピストン及び前記シミュレータ室の液圧を介して伝達される前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて前後動する第2ピストンと、前記シミュレータ室の出力液圧に応じた液量を吸収して前記第1ピストンに対し前記ブレーキ操作部材の操作力に応じたストロークを付与する吸収手段と、該吸収手段の作動・非作動を選択的に切り換える切換手段とを備えた車両用ブレーキ液圧発生装置において、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを、前記シリンダハウジングに対する前記第2ピストンの最大ストロークと前記第2ピストンに対する前記第1ピストンの最大ストロークとの和よりも小さい値に規制するストローク規制手段を備えたものとしてもよい。
上記車両用ブレーキ液圧発生装置において、前記ストローク規制手段は、請求項3に記載のように、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを、前記第2ピストンに対する前記第1ピストンの最大ストロークより大きく設定するとよい。
更に、本発明は、請求項4に記載のように、シリンダハウジング内に摺動自在に収容されて前方にマスタ液圧室を形成し、ブレーキ操作部材に連動して前後動する第1ピストンと、前方にシミュレータ室を形成し、前記第1ピストン及び前記マスタ液圧室の液圧を介して伝達される前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて前後動する第2ピストンと、該第2ピストンに対し前記ブレーキ操作部材の操作力に応じたストロークを付与する弾性部材と、大気圧リザーバと、前記シミュレータ室と前記大気圧リザーバとの連通・遮断を選択的に切り換える切換手段とを備えた車両用ブレーキ液圧発生装置において、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを、前記シリンダハウジングに対する前記第2ピストンの最大ストロークと前記第2ピストンに対する前記第1ピストンの最大ストロークとの和よりも小さい値に規制するストローク規制手段を備えたものとしてもよい。
あるいは、本発明は、請求項5に記載のように、シリンダハウジング内に摺動自在に収容されて前方にマスタ液圧室を形成し、ブレーキ操作部材に連動して前後動する第1ピストンと、前方にシミュレータ室を形成し、前記第1ピストン及び前記マスタ液圧室の液圧を介して伝達される前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて前後動する第2ピストンと、前記シミュレータ室に連通し、前記シミュレータ室の出力液圧に応じた液量を吸収して前記第2ピストンに対し前記ブレーキ操作部材の操作力に応じたストロークを付与する吸収手段と、該吸収手段の作動・非作動を選択的に切り換える切換手段とを備えた車両用ブレーキ液圧発生装置において、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを、前記シリンダハウジングに対する前記第2ピストンの最大ストロークと前記第2ピストンに対する前記第1ピストンの最大ストロークとの和よりも小さい値に規制するストローク規制手段を備えたものとしてもよい。
上記車両用ブレーキ液圧発生装置において、前記ストローク規制手段は、請求項6に記載のように、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを、前記シリンダハウジングに対する前記第2ピストンの最大ストロークより大きく設定するとよい。
そして、前記ストローク規制手段は、請求項7に記載のように、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを調整する規制ストローク設定手段を備えたものとするとよい。尚、前記規制ストローク設定手段としては、請求項8に記載のように前記第1ピストンに螺合したピストンストッパを備えたもの、請求項9に記載のように前記第1ピストンに圧入したピストンストッパを備えたもの、そして、請求項10に記載のように前記第1ピストンに変形固定したピストンストッパを備えたものとすることができる。
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1、2、4及び5に記載のストローク規制手段を備えた装置においては、エア抜き作業を行う際にブレーキ操作部材が車両のフロアなどに干渉することをストローク規制手段によって防止できるので、液圧制御手段の正常時には良好なブレーキフィーリングを確保し得ると共に、液圧制御手段の異常時には大きな制動力を付与し得る液量をホイールシリンダに供給することができ、信頼性が向上する。
また、前記ストローク規制手段を請求項3又は6に記載のように構成すれば、万一、切換手段に異常が発生し、液圧制御手段の異常時にストロークシミュレータのストロークを抑えることができない状態となっても、車両を停止させるのに必要最小限の液量をホイールシリンダに供給することができる。
そして、前記ストローク規制手段は、請求項7に記載のように規制ストローク設定手段を備えたものとすれば、容易に車種毎の規制ストロークを設定することができる。この規制ストローク設定手段は、請求項8、9及び10に記載のように構成すれば、容易に車種毎の規制ストロークを設定することができ、安価な装置となると共に、液圧制御手段の異常時に最大の制動力を付与し得る液量をホイールシリンダに供給し得る構成とすることができ、信頼性が一層向上する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態における車両用ブレーキ液圧発生装置は、図1に示すように、マスタシリンダMCとストロークシミュレータSMが一体的に構成され、ハウジングHS内に、本発明の第2ピストンたるマスタピストンMPが摺動自在に収容され、更に、このマスタピストンMP内に、本発明の第1ピストンたるシミュレータピストンSPが摺動自在に収容されている。ハウジングHSは前方(図1の左方)が閉塞された有底筒体で、凹部B1と小径孔B2及び大径孔B3の段付孔から成るシリンダ孔(シリンダボア)が形成されると共に、後方の開口端部B4の内面に螺子溝が形成されている。
更に、小径孔B2の内面にシール用の環状溝G1が形成されると共に、大径孔B3の内面に、軸方向に所定幅を有する環状溝G2が形成されている。環状溝G1には断面カップ形状の環状のシール部材S1が保持される。そして、ハウジングHSの側面には、凹部B1に開口するポートP1と、小径孔B2近傍の大径孔B3に開口するポートP2が形成されている。尚、凹部B1、小径孔B2、大径孔B3、開口端部B4、並びに環状溝G1及びG2は、ハウジングHSの軸に沿って中ぐり加工を行うことによって形成することができるので、ハウジングHSは単一の金属部品で構成することができる。
一方、マスタピストンMPは、前方に開口する凹部M1が形成されると共に、後方に開口する凹部が形成され、後方の凹部には小径孔M2及び大径孔M3の段付孔から成るシリンダボアが形成されると共に、大径孔M3の開口端近傍の内面に環状溝MGが形成されている。また、マスタピストンMPの側面に、凹部M1に開口するポートP3と小径孔M2に開口するポートP4が形成されている。そして、マスタピストンMPの中間部外周にランド部L1が形成されると共に、後方部外周にランド部L2が形成されており、これらのランド部の各々に形成された環状溝に断面カップ形状の環状のシール部材S2及びS3が夫々保持される。
シミュレータピストンSPは、マスタピストンMPの大径孔M3内に摺動自在に収容される大径のピストン部SP1と、その後方に延出する小径の軸部SP2から成り、ピストン部SP1に形成された環状溝に断面カップ形状の環状のシール部材S4が保持される。尚、軸部SP2は、ブレーキ操作部材たるブレーキペダルBPに連結される。
上記の構成になる各部品を組付手順例に沿って説明すると、先ず、マスタピストンMPの小径孔M2及び大径孔M3内に、シミュレータ用の弾性部材として機能する圧縮スプリングE2が収容された後、シール部材S4が装着されたシミュレータピストンSPが大径孔M3内に液密的摺動自在に収容され、ピストン部SP1の前方にシミュレータ室C4が形成される。このようにピストン部SP1が大径孔M3内に収容された状態で、マスタピストンMPの環状溝MGにCリングCRが嵌合され、圧縮スプリングE2の付勢力によるシミュレータピストンSPの後方移動が阻止される。これにより、マスタピストンMP(第2ピストン)に対するシミュレータピストンSP(第1ピストン)の最大ストローク(D3)が設定される。そして、マスタピストンMPのランド部L1及びL2に夫々シール部材S2及びS3が装着される。
次に、ハウジングHSの環状溝G1にシール部材S1が装着され、ハウジングHSの凹部B1及びマスタピストンMPの凹部M1内に、復帰スプリングとして機能する圧縮スプリングE1が収容され、マスタピストンMPが小径孔B2及び大径孔B3内に嵌合される。これにより、マスタピストンMPはシール部材S1及びシール部材S3を介して液密的摺動自在に収容される。
このようにマスタピストンMPがハウジングHSの小径孔B2及び大径孔B3内に収容された状態で、外周面に螺子溝が形成されたナット形状の環状係止部材であるストッパNHが、ハウジングHSの開口端部B4内に螺合され、圧縮スプリングE1の付勢力によるマスタピストンMPの後方移動が阻止される。これにより、ハウジングHSに対するマスタピストンMP(第2ピストン)の最大ストローク(D2)が設定される。また、ピストンストッパNSによって、ストッパNH(ひいてはハウジングHS)に対するシミュレータピストンSP(第1ピストン)の最大ストローク(D1)が設定される。ピストンストッパNSは一対のナットから成り、シミュレータピストンSPの後方の螺子部に対し、例えば両側から締め付けられるように構成されているので、所定の位置で固定された後は容易に回転しない。
ストッパNHとピストンストッパNSとの間の距離(D1)は、予め設定された寸法の各部品に対し、以下の関係となるように設定される。即ち、ピストンストッパNSの軸部SP2に対する固定位置を調整することによって、ハウジングHS(図1ではストッパNH)に対するシミュレータピストンSP(第1ピストン)の最大ストローク(D1)が、ハウジングHSに対するマスタピストンMP(第2ピストン)の最大ストローク(D2)とマスタピストンMP(第2ピストン)に対するシミュレータピストンSP(第1ピストン)の最大ストローク(D3)との和よりも小さい値(D1<(D2+D3))に規制される。而して、ピストンストッパNSによって規制ストローク設定手段が構成されており、このピストンストッパNSを含み、上記の各部品の寸法関係を調整することによって、ストローク規制手段が構成される。
また、本実施形態においては、ハウジングHSに対するシミュレータピストンSP(第1ピストン)の最大ストローク(D1)が、マスタピストンMP(第2ピストン)に対するシミュレータピストンSP(第1ピストン)の最大ストローク(D3)より大きい値に設定されている(D1>D3)。更に、ハウジングHSに対するシミュレータピストンSP(第1ピストン)の最大ストローク(D1)は、ハウジングHSに対するマスタピストンMP(第2ピストン)の最大ストローク(D2)より若干小さい値に規制されている(D1<D2)。尚、これらについては後述する。
上記のように組み付けられると、マスタシリンダMC内には、マスタピストンMPの前方にマスタ液圧室C1が形成され、ポートP1から(後述する電磁開閉弁NOを介して)ホイールシリンダWCに連通するように構成されている。また、ハウジングHSの内周面の、シール部材S1とシール部材S2との間に大気圧室C2が形成されると共に、シール部材S2とシール部材S3との間に環状室C3が形成されて、大気圧室C2はポートP2を介して大気圧リザーバRSに常時連通するように構成されている。従って、マスタピストンMPが図1に示す初期位置にあるときには、マスタ液圧室C1はポートP3を介して大気圧室C2に連通し、ひいてはポートP2を介して大気圧下の大気圧リザーバRSに連通する。一方、マスタピストンMPが初期位置から第1のストロークD4以上前方に移動したときにはポートP3の開口部がシール部材S1によって遮蔽され、マスタ液圧室C1と大気圧室C2及び大気圧リザーバRSとの連通が遮断されるように構成されている。
また、マスタピストンMPが図1に示す初期位置にあるときには、大気圧室C2と環状室C3はシール部材S2と環状溝G2との間の間隙CLを介して連通しており、シミュレータ室C4はポートP4を介して環状室C3及び大気圧室C2に連通し、ポートP2を介して大気圧リザーバRSに連通するように構成されている。そして、マスタピストンMPが初期位置から(第1のストロークより大の)第2のストロークD5以上前方に移動したときには、シール部材S2と大径孔B3の内面によって環状室C3ひいてはシミュレータ室C4と大気圧室C2との連通が遮断されるように構成されており、これによって本発明の切換手段が構成されている。
上記のように構成された車両用ブレーキ液圧発生装置は、図2に示すように接続されて車両用液圧ブレーキ装置が構成される。図2において、ポートP1は常開の電磁開閉弁NOを介して各車輪のホイールシリンダ(代表してWCで表わす)に接続されており、この電磁開閉弁NOとホイールシリンダWCとの間の液圧路に、運転者のブレーキ操作とは無関係に所定の液圧を発生し出力する液圧源PGが接続されている。
上記液圧源PGは、電子制御装置ECUによって制御される電動モータMと、この電動モータMによって駆動される液圧ポンプHPを備え、その入力側が大気圧リザーバRSに連通接続され、出力側がアキュムレータACに連通接続されている。本実施形態では出力側に圧力センサSpsが接続されており、電子制御装置ECUによって圧力センサSpsの検出圧力が監視される。この監視結果に基づき、アキュムレータACの液圧が所定の上限値と下限値の間の圧力に維持されるように、電子制御装置ECUにより電動モータMが制御される。
そして、電磁開閉弁NOとホイールシリンダWCとの間の液圧路に対し、常閉型の第1の比例電磁弁SV1を介してアキュムレータACが接続され、液圧源PGの出力液圧が調圧されてホイールシリンダWCに供給されるように構成されている。また、電磁開閉弁NOとホイールシリンダWCとの間の液圧路は、常閉型の第2の比例電磁弁SV2を介して大気圧リザーバRSに接続され、ホイールシリンダWCの液圧が減圧されて調圧されるように構成されている。而して、液圧源PG、第1及び第2の比例電磁弁SV1及びSV2、電子制御装置ECU、並びに以下のセンサ等によって液圧制御手段PCが構成される。
本実施形態においては、ポートP1と電磁開閉弁NOとの間の液圧路に圧力センサSmcが接続されると共に、電磁開閉弁NOとホイールシリンダWCとの間の液圧路に圧力センサSwcが接続されている。また、ブレーキペダルBPには、そのストロークを検出するストロークセンサBSが配置されており、これらの検出信号が電子制御装置ECUに入力するように構成されている。これらのセンサにより、マスタ液圧室C1の出力液圧、ホイールシリンダWCのブレーキ液圧、及びブレーキペダルBPのストロークが監視される。更に、アンチロック制御等の種々の制御に供される車輪速度センサ、加速度センサ等のセンサ(代表してSNで表わす)が設けられており、これらの検出信号も電子制御装置ECUに入力するように構成されている。
上記の構成に成る本実施形態の車両用ブレーキ液圧発生装置を備えた液圧ブレーキ装置の作動について説明する。先ず、液圧制御手段PCが正常時には、図2の電磁開閉弁NOがオンとされてポートP1とホイールシリンダWCとの間の連通が遮断され、ストロークセンサBS及び圧力センサSmcの検出値に基づきブレーキ操作量に応じた液圧が液圧源PGからホイールシリンダWCに供給される。即ち、圧力センサSwcによって検出されたホイールシリンダ液圧が目標ホイールシリンダ液圧となるように、第1の比例電磁弁SV1及び第2の比例電磁弁SV2への出力電流が適宜制御される。而して、ホイールシリンダWCには、液圧制御手段PCによってブレーキペダルBPの操作に応じた液圧が供給される。
この場合の車両用ブレーキ液圧発生装置においては、マスタピストンMP(第2ピストン)は、略ポートアイドル分(第1のストロークD4)だけ前進するのみで、マスタ液圧室C1と大気圧室C2との連通が遮断された後は殆ど前進しないため、シール部材S2とハウジングHSに形成された環状溝G2との間の間隙CLを介してシミュレータ室C4と大気圧室C2(ひいては大気圧リザーバRS)とが連通し、シミュレータ室C4は大気圧下にある。従って、ブレーキペダルBPの操作に応じてシミュレータピストンSP(第1ピストン)に付与されるブレーキ操作力が圧縮スプリングE2の取り付け荷重以上になると、圧縮スプリングE2が圧縮され、シミュレータピストンSPにブレーキ操作力に応じたストロークが生じる。
これに対し、液圧源PG等の液圧制御手段PCに異常が生じたときには、電磁開閉弁NOが非励磁(OFF)とされて開位置とされ、図2に示すようにポートP1とホイールシリンダWCとが連通した状態となる。また、第1の比例電磁弁SV1及び第2の比例電磁弁SV2も非励磁(OFF)とされて閉位置とされ、ホイールシリンダWCに対し液圧源PGからは液圧が供給されない状態となる。この状態でブレーキペダルBPが操作されると、ブレーキペダルBPの操作に応じてポートP1からホイールシリンダWCに液圧が供給される。このブレーキペダルBPの操作に応じてマスタピストンMPが第2のストロークD5以上前進すると、シール部材S2が、ハウジングHSに形成された大径孔B3に当接し、シミュレータ室C4と大気圧室C2との連通が遮断される。従って、この後のブレーキペダルBPの操作に応じて圧縮スプリングE2が圧縮されることなく、即ちシミュレータピストンSP(第1ピストン)はマスタピストンMP(第2ピストン)に対し殆ど前進することなく、マスタピストンMP(第2ピストン)が前進し、マスタ液圧室C1からホイールシリンダWCに液圧が供給される。この場合において、ハウジングHSに対するマスタピストンMP(第2ピストン)の最大ストローク(D2)は充分大きく設定されており、ブレーキペダルBPの操作に応じて大きな制動力を付与し得る液量をホイールシリンダWCに供給することができる。
次に、ブレーキ液圧系のブレーキ液に混在した空気を除去するための所謂エア抜き作業を行う際の作動について説明する。従来周知であるホイールシリンダWCのブリーダプラグ(図示せず)を開放した状態で、ブレーキ操作部材たるブレーキペダルBPを踏み込み操作すると、第1ピストンたるシミュレータピストンSP及び第2ピストンたるマスタピストンMPが共に前進移動するが、ピストンストッパNSがハウジングHSに螺着されたストッパNHに当接するとブレーキペダルBPの踏み込みが阻止される。従って、ブレーキ液に混在した空気の除去作業中にブレーキペダルBPが車両のフロア等に干渉することを適切に防止することができる。
また、前述のように、ハウジングHSに対するシミュレータピストンSP(第1ピストン)の最大ストローク(D1)が、ハウジングHSに対するマスタピストンMP(第2ピストン)の最大ストローク(D2)より小さい値に規制されている。従って、車種毎にブレーキペダルBPに対する規制ストロークを設定する必要がある場合にも、車種毎にハウジングHSに対するマスタピストンMP(第2ピストン)の最大ストローク(D2)を設定することなく、液圧制御手段PCの異常時に最大限に高い制動力を確保し得る液量をホイールシリンダWCに供給することができる。もっとも、上記の最大ストローク(D1)を最大ストローク(D2)より大きく設定することとしてもよい。
更に、前述のように、ハウジングHSに対するシミュレータピストンSP(第1ピストン)の最大ストローク(D1)が、マスタピストンMP(第2ピストン)に対するシミュレータピストンMP(第1ピストン)の最大ストローク(D3)より大きい値に設定されている。従って、万が一、例えばシール部材S2のシール機能に異常が発生するなど切換手段に異常が発生し、液圧制御手段PCの異常時にストロークシミュレータSMのストロークを抑えることができない状態となっても、車両を停止させるのに必要最小限の液量をホイールシリンダWCに供給することができる。
図3は本発明の他の実施形態を示すもので、図1の構成要素と実質的に同じ構成要素には同一の符号を付しており、ポートP1は図2の電磁開閉弁NOを介してホイールシリンダWCに接続され、図2と同様に構成されている。本実施形態では、シミュレータ室C4の出力液圧に応じた液量を吸収してシミュレータピストンSP(第1ピストン)に対しブレーキペダルBPの操作力に応じたストロークを付与する吸収手段として、吸収装置ABが設けられると共に、この吸収装置ABの吸収作動と非作動を選択的に切り換える切換手段として、常閉の電磁開閉弁で構成された切換弁CH1が設けられ、この切換弁CH1を介して環状室C3が吸収装置ABに接続されている。また、圧縮スプリングE7は、シミュレータピストンSPの復帰スプリングとして機能するようマスタピストンMPの小径孔M2及び大径孔M3内に収容されている。シール部材S3の後方(且つシール部材S5の前方)には大気圧室C11が構成されており、ポートP6を介して常時大気圧リザーバRSに連通している。尚、シール部材S5はストッパNHの内側に形成された環状溝に嵌合されている。
吸収装置ABは、シリンダ状のハウジングAH内に、ピストン部材APがシール部材S6を介して液密的摺動自在に収容され、圧縮スプリングE3によって液圧室C5側に押圧されるように構成されたものである。この吸収装置ABは切換弁CH1が開位置にあるときに、環状室C3と液圧室C5が連通するように接続されている。そして、図3の実施形態においても、ハウジングHSに対するシミュレータピストンSP(第1ピストン)の最大ストローク(D1)が、ハウジングHSに対するマスタピストンMP(第2ピストン)の最大ストローク(D2)とマスタピストンMP(第2ピストン)に対するシミュレータピストンSP(第1ピストン)の最大ストローク(D3)との和よりも小さい値(D1<(D2+D3))に規制されている。
また、本実施形態においても、ハウジングHSに対するシミュレータピストンSP(第1ピストン)の最大ストローク(D1)が、マスタピストンMP(第2ピストン)に対するシミュレータピストンSP(第1ピストン)の最大ストローク(D3)より大きい値に設定されている(D1>D3)。本実施形態では、シミュレータピストンSPの軸部SP2の所定位置にピストンストッパNPが圧入固定され、規制ストローク設定手段が構成されている。
而して、本実施形態においても、ブレーキ液圧系のブレーキ液に混在した空気を除去すべくエア抜き作業を行う際には、ブレーキペダルBPを踏み込み操作すると、第1ピストンたるシミュレータピストンSP及び第2ピストンたるマスタピストンMPが共に前進移動するが、ピストンストッパNPがハウジングHSのストッパNHに当接するとブレーキペダルBPの踏み込みが阻止されるので、ブレーキペダルBPが車両のフロア等に干渉することを適切に防止することができる。
図4は本発明の更に他の実施形態を示すもので、図1の構成要素と実質的に同じ構成要素には同一の符号を付しているが、本実施形態では、図1のマスタピストンMPとシミュレータピストンSPの配置が逆になっており、これに応じてポートP1及びP2が図1とは異なる位置に形成されている。即ち、本実施形態においては、ハウジングHSAには凹部B11と、小径孔B12及びB14並びに大径孔B13及びB15の段付孔から成るシリンダ孔(シリンダボア)が形成されると共に、後方の開口端部B16の内面に螺子溝が形成されており、第1ピストンたるマスタピストンMPAの前方にマスタ液圧室C6が形成され、更にその前方に配設される第2ピストンたるシミュレータピストンSPAの前方にシミュレータ室C7が形成されている。
更に、小径孔B12の内面に断面カップ形状の環状のシール部材S7及びS8が配設され、両者間に大気圧室C8が形成されている。同様に、小径孔B14の内面に断面カップ形状の環状のシール部材S9及びS10が配設され、両者間に大気圧室C2が形成されている。ハウジングHSの側面には前方から順に、凹部B11に開口するポートP7と、大気圧室C2に開口するポートP5と、マスタ液圧室C6に連通するポートP1と、大気圧室C2に開口するポートP2が形成されている。
そして、本実施形態のマスタピストンMPAは、前方に開口する凹部M4が形成されると共に、後方に延出する軸部MP2が形成されている。この軸部MP2の所定位置に環状溝が形成され、この環状溝にピストンストッパNCが変形固定(かしめ結合)されている。一方、シミュレータピストンSPAは前方に開口し凹部B11と共にシミュレータ室C7を形成する凹部M5が形成され、マスタピストンMPAの前方に配置されている。これらマスタピストンMPAとシミュレータピストンSPAとの間は、復帰スプリングとして機能する圧縮スプリングE4がリテーナRTを介して装着されており、両ピストン間にマスタ液圧室C6が形成されている。これに対し、シミュレータピストンSPAの凹部M5内には弾性部材として機能する圧縮スプリングE5が収容されており、圧縮スプリングE5の取り付け荷重は圧縮スプリングE4の取り付け荷重より小さく設定されている。
本実施形態においては、後方のマスタ液圧室C6が、ポートP1から図2の電磁開閉弁NOを介してホイールシリンダWCに接続されており、前方のシミュレータ室C7は、ポートP7から、切換手段を構成する常閉の電磁開閉弁の切換弁CH2を介して大気圧リザーバRSに接続されている。そして、図4に示すように、ハウジングHSA(ストッパNH)に対するマスタピストンMPA(第1ピストン)の最大ストローク(d1)が、ハウジングHSAに対するシミュレータピストンSPA(第2ピストン)の最大ストローク(d2)とシミュレータピストンSPA(第2ピストン)に対するマスタピストンMPA(第1ピストン)の最大ストローク(d3)との和よりも小さい値(d1<(d2+d3))に規制されている。
また、本実施形態においては、ハウジングHSAに対するマスタピストンMPA(第1ピストン)の最大ストローク(d1)が、ハウジングHSAに対するシミュレータピストンSPA(第2ピストン)の最大ストローク(d2)より大きい値となるように設定されており、ピストンストッパNCによって規制ストローク設定手段が構成されている。
上記の構成に成る本実施形態の車両用ブレーキ液圧発生装置を備えた液圧ブレーキ装置の作動について説明する。先ず、図2の液圧制御手段PCが正常時には、図4の切換弁CH2が開位置に切り換えられると共に、図2の電磁開閉弁NOがオンとされてポートP1とホイールシリンダWCとの間の連通が遮断される。この状態で、液圧制御手段PCが前述の実施形態と同様に制御され、ブレーキペダルBPの操作に応じた液圧がホイールシリンダWCに供給される。この場合において、ブレーキペダルBPの操作に応じてシミュレータピストンSPA(第2ピストン)に付与されるブレーキ操作力が圧縮スプリングE5の取り付け荷重以上になると、圧縮スプリングE5が圧縮され、シミュレータピストンSPAとマスタピストンMPA(第1ピストン)が一体的に前進する。マスタピストンMPAがポートP3を閉じる距離分前進すると、マスタ液圧室C6は密閉室となるため、その後マスタピストンMPAはシミュレータピストンSPAに対し殆ど前進することなく、一体的に前進することになる。このとき、開位置の切換弁CH2を介してシミュレータ室C7は大気圧下にある。従って、ブレーキペダルBPの操作に応じて圧縮スプリングE5が圧縮され、シミュレータピストンSPAひいてはマスタピストンMPAにブレーキ操作力に応じたストロークが生じる。
これに対し、液圧源PG等の液圧制御手段PCに異常が生じたときには、図4の切換弁CH2が非励磁とされて閉位置に切り換えられると共に、図2の電磁開閉弁NOが開位置とされて、図2に示すようにポートP1とホイールシリンダWCとが連通した状態となる。また、第1の比例電磁弁SV1及び第2の比例電磁弁SV2も非励磁(OFF)とされて閉位置とされ、ホイールシリンダWCに対し液圧源PGからは液圧が供給されない状態となる。従って、ブレーキペダルBPが操作されてシミュレータピストンSPA(第2ピストン)がポートP4を閉じる距離分前進し、シミュレータ室C7と大気圧リザーバRSとの連通が遮断されると、その後シミュレータピストンSPAは殆ど前進せず、代わって、マスタピストンMPA(第1ピストン)がブレーキペダルBPの操作に応じて前進し、マスタ液圧室C6(ポートP1)からホイールシリンダWCに液圧が供給される。
本実施形態においても、ブレーキ液圧系のブレーキ液に混在した空気を除去すべくエア抜き作業を行う際には、ブレーキペダルBPを踏み込み操作すると、第1ピストンたるマスタピストンMPA及び第2ピストンたるシミュレータピストンSPAが共に前進移動するが、ピストンストッパNCがハウジングHSAのストッパNHに当接するとブレーキペダルBPの踏み込みが阻止されるので、ブレーキペダルBPが車両のフロア等に干渉することを適切に防止することができる。
また、前述のように、ハウジングHSAに対するマスタピストンMPA(第1ピストン)の最大ストローク(d1)が、ハウジングHSAに対するシミュレータピストンSPA(第2ピストン)の最大ストローク(d2)より大きい値に設定されている。従って、万が一、切換弁CH2に異常が発生し、液圧制御手段PCの異常時にストロークシミュレータSMのストロークを抑えることができない状態となっても、車両を停止させるのに必要最小限の液量をホイールシリンダWCに供給することができる。
図5は、図4の実施形態に対し、シミュレータ室C7の出力液圧に応じた液量を吸収してシミュレータピストンSPA(第2ピストン)に対しブレーキペダルBPの操作力に応じたストロークを付与する吸収手段として、吸収装置AB2を付加した実施形態を示すもので、図4の構成要素と実質的に同じ構成要素には同一の符号を付しており、ポートP1は図2の電磁開閉弁NOを介してホイールシリンダWCに接続され、図2と同様に構成されている。本実施形態では、シミュレータ室C7の出力液圧に応じた液量を吸収してシミュレータピストンSPA(第2ピストン)に対しブレーキペダルBPの操作力に応じたストロークを付与する吸収手段として、吸収装置AB2が設けられると共に、この吸収装置AB2の吸収作動と非作動を選択的に切り換える切換手段として、常閉の電磁開閉弁で構成された切換弁CH3が設けられている。また、圧縮スプリングE8は、シミュレータピストンSPAの復帰スプリングとして機能するようシミュレータピストンSPAの凹部M5内に収容されており、圧縮スプリングE8の取り付け荷重は圧縮スプリングE4の取り付け荷重より小さく設定されている。
図5に示すように、吸収装置AB2は、シリンダ状のハウジング内に、ピストン部材AP2がシール部材S11及びS12を介して液密的摺動自在に収容され、圧縮スプリングE6によって液圧室C5側に押圧されるように構成されたものである。更に、ピストン部材AP2のシール部材S12の前後には制御室C9及び大気圧室C10が形成されており、大気圧室C10が大気圧リザーバRSに常時連通接続されると共に、ピストン部材AP2の初期位置においては制御室C9が大気圧リザーバRSに連通し、ピストン部材AP2の移動に応じてシール部材S12によって制御室C9と大気圧リザーバRSとの連通が遮断されるように構成されている。更に、上記の切換弁CH3によって制御室C9と大気圧リザーバRSとを連通・遮断し得るように構成されている。
そして、図5の実施形態においても、ハウジングHSA(ストッパNH)に対するマスタピストンMPA(第1ピストン)の最大ストローク(d1)が、ハウジングHSAに対するシミュレータピストンSPA(第2ピストン)の最大ストローク(d2)とシミュレータピストンSPA(第2ピストン)に対するマスタピストンMPA(第1ピストン)の最大ストローク(d3)との和よりも小さい値(d1<(d2+d3))に規制されている。また、ハウジングHSA(ストッパNH)に対するマスタピストンMPA(第1ピストン)の最大ストローク(d1)が、ハウジングHSAに対するシミュレータピストンSPA(第2ピストン)の最大ストローク(d2)より大きい値となるように設定されている。
而して、本実施形態においても、ブレーキ液圧系のブレーキ液に混在した空気を除去すべくエア抜き作業を行う際には、ブレーキペダルBPを踏み込み操作すると、第1ピストンたるマスタピストンMPA及び第2ピストンたるシミュレータピストンSPAが共に前進移動するが、ピストンストッパNCがハウジングHSAのストッパNHに当接するとブレーキペダルBPの踏み込みが阻止されるので、ブレーキペダルBPが車両のフロア等に干渉することを適切に防止することができる。尚、上記の何れの実施形態においても、タンデムマスタシリンダを構成することとしてもよい。
本発明の一実施形態に係る車両用ブレーキ液圧発生装置の断面図である。 本発明の一実施形態に係る車両用ブレーキ液圧発生装置を備えた車両用液圧ブレーキ装置の概要を示す構成図である。 本発明の他の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧発生装置の断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧発生装置の断面図である。 本発明の別の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧発生装置の断面図である。
符号の説明
MC マスタシリンダ
SM ストロークシミュレータ
HS,HSA ハウジング
BP ブレーキペダル
MP,MPA マスタピストン
SP,SPA シミュレータピストン
E1,E2,E3,E4,E5,E6,E7,E8 圧縮スプリング
C1,C6 マスタ液圧室
C2,C8,C10,C11 大気圧室
C3 環状室
C4,C7 シミュレータ室
C5 液圧室
C9 制御室
PG 液圧源
RS 大気圧リザーバ
NO 電磁開閉弁
SV1 第1の比例電磁弁
SV2 第2の比例電磁弁
AB,AB2 吸収装置
CH1,CH2,CH3 切換弁

Claims (10)

  1. ブレーキ操作部材に連動して前後動する第1ピストンと、該第1ピストンに対し前記ブレーキ操作部材の操作力に応じたストロークを付与する弾性部材と、シリンダハウジング内に摺動自在に収容されて前方にマスタ液圧室を形成すると共に、後方且つ前記第1ピストンの前方にシミュレータ室を形成し、前記第1ピストン及び前記弾性部材を介して伝達される前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて前後動する第2ピストンと、大気圧リザーバと、前記シミュレータ室と前記大気圧リザーバとの連通・遮断を選択的に切り換える切換手段とを備えた車両用ブレーキ液圧発生装置において、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを、前記シリンダハウジングに対する前記第2ピストンの最大ストロークと前記第2ピストンに対する前記第1ピストンの最大ストロークとの和よりも小さい値に規制するストローク規制手段を備えたことを特徴とする車両用ブレーキ液圧発生装置。
  2. ブレーキ操作部材に連動して前後動する第1ピストンと、シリンダハウジング内に摺動自在に収容されて前方にマスタ液圧室を形成すると共に、後方且つ前記第1ピストンの前方にシミュレータ室を形成し、前記第1ピストン及び前記シミュレータ室の液圧を介して伝達される前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて前後動する第2ピストンと、前記シミュレータ室の出力液圧に応じた液量を吸収して前記第1ピストンに対し前記ブレーキ操作部材の操作力に応じたストロークを付与する吸収手段と、該吸収手段の作動・非作動を選択的に切り換える切換手段とを備えた車両用ブレーキ液圧発生装置において、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを、前記シリンダハウジングに対する前記第2ピストンの最大ストロークと前記第2ピストンに対する前記第1ピストンの最大ストロークとの和よりも小さい値に規制するストローク規制手段を備えたことを特徴とする車両用ブレーキ液圧発生装置。
  3. 前記ストローク規制手段は、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを、前記第2ピストンに対する前記第1ピストンの最大ストロークより大きく設定して成ることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用ブレーキ液圧発生装置。
  4. シリンダハウジング内に摺動自在に収容されて前方にマスタ液圧室を形成し、ブレーキ操作部材に連動して前後動する第1ピストンと、前方にシミュレータ室を形成し、前記第1ピストン及び前記マスタ液圧室の液圧を介して伝達される前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて前後動する第2ピストンと、該第2ピストンに対し前記ブレーキ操作部材の操作力に応じたストロークを付与する弾性部材と、大気圧リザーバと、前記シミュレータ室と前記大気圧リザーバとの連通・遮断を選択的に切り換える切換手段とを備えた車両用ブレーキ液圧発生装置において、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを、前記シリンダハウジングに対する前記第2ピストンの最大ストロークと前記第2ピストンに対する前記第1ピストンの最大ストロークとの和よりも小さい値に規制するストローク規制手段を備えたことを特徴とする車両用ブレーキ液圧発生装置。
  5. シリンダハウジング内に摺動自在に収容されて前方にマスタ液圧室を形成し、ブレーキ操作部材に連動して前後動する第1ピストンと、前方にシミュレータ室を形成し、前記第1ピストン及び前記マスタ液圧室の液圧を介して伝達される前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて前後動する第2ピストンと、前記シミュレータ室に連通し、前記シミュレータ室の出力液圧に応じた液量を吸収して前記第2ピストンに対し前記ブレーキ操作部材の操作力に応じたストロークを付与する吸収手段と、該吸収手段の作動・非作動を選択的に切り換える切換手段とを備えた車両用ブレーキ液圧発生装置において、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを、前記シリンダハウジングに対する前記第2ピストンの最大ストロークと前記第2ピストンに対する前記第1ピストンの最大ストロークとの和よりも小さい値に規制するストローク規制手段を備えたことを特徴とする車両用ブレーキ液圧発生装置。
  6. 前記ストローク規制手段は、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを、前記シリンダハウジングに対する前記第2ピストンの最大ストロークより大きく設定して成ることを特徴とする請求項4又は5記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
  7. 前記ストローク規制手段は、前記シリンダハウジングに対する前記第1ピストンの最大ストロークを調整する規制ストローク設定手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の車両用ブレーキ液圧発生装置。
  8. 前記規制ストローク設定手段は、前記第1ピストンに螺合したピストンストッパを備えたことを特徴とする請求項7記載の車両用ブレーキ液圧発生装置。
  9. 前記規制ストローク設定手段は、前記第1ピストンに圧入したピストンストッパを備えたことを特徴とする請求項7記載の車両用ブレーキ液圧発生装置。
  10. 前記規制ストローク設定手段は、前記第1ピストンに変形固定したピストンストッパを備えたことを特徴とする請求項7記載の車両用ブレーキ液圧発生装置。
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