本発明は、ネックレス、ブレスレット等の装身具の連結部や携帯ストラップ、ネックストラップ等の連結部に用いるものであって、頭部後方等、目視のできない範囲において着脱する場合であっても、ワンプッシュで簡易迅速に着脱することのできる連結具に関するものである。
ネックレス等の装身具の連結具としては、例えば、図18に示すように、径の細い筒状の輪91を外装部として、この外装部内に、つまみ93を備えた棒状の輪92と図示しないバネを嵌挿して構成したものがある。このような連結具90は、外観上の制約で小型にして簡素な構造であることが要求されるネックレス等の装身具としてその必要性を具備するため、従来より一般的に用いられている。しかし、この連結具90では、装身具の着脱を行うには、小さなつまみ93を図中矢印方向に引きながら装着しなければならず、例えばネックレスの着脱が通常頭部の後方の目視できない範囲でなされたり、ブレスレットの着脱が片方の手のみでなされることを考えると、このような装着作業は必ずしも容易なものとは言えなかった。
そこで、従来より、装身具の連結部品においては、装身具の着脱を容易にするべく種々の工夫がなされている。例えば、下記特許文献1は、バネと係合突起を備えた筒状金具に、縦あるいは周状に溝の刻まれた挿入金具を、この係合突起と縦溝とを係合させることによって挿入金具を筒状金具に挿入し、係合突起が周状の溝に達した段階で挿入金具を回転させることによって装身具の取付けを行えるように構成したものである。
特開平7−213317号公報
しかしながら、上記の従来技術において、挿入金具を筒状金具に連結するには、小さな挿入金具を筒状金具の縦溝に合わせて挿入し、さらに周溝に沿って回転させる必要があり、この連結作業は非常に煩雑なものであった。
また、挿入のきっかけとなる筒状金具の縦溝の数は、直径上に設けられた2箇所のみで、挿入時には必ず筒状金具の係合突起をこの縦溝に合わせて挿入しなければならないことから、この点からも連結作業が容易であるとは言いがたかった。
さらに、上記の連結具では、切り離す際にも、筒状金具のバネの付勢力に抗して挿入金具を押しながら回転させなければならず、例えばネックレスのように、頭部後方等、目視のできない範囲において着脱する装身具に用いた場合に、その着脱を容易に行うことはできなかった。このように、装身具等の連結具としては、より簡単に着脱可能な技術の提案が望まれていた。
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、頭部後方等の目視できない範囲において着脱する場合あるいは片手のみで着脱を行う場合であっても、ワンプッシュで簡易迅速に着脱することのできる連結具を提供することにある。
上記の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、筒状の連結凹部と、前記連結凹部に挿入されることにより装身具を連結する連結凸部とを有する連結具において、前記連結凸部は、回転部とこれを回転可能に保持する保持部とを有し、前記回転部の外周には、係合突起が設けられ、前記連結凹部の内周には、前記係合突起に係合する係合部が設けられ、前記連結凹部に前記連結凸部が挿入された状態で、前記連結凹部及び前記連結凸部のいずれか一方が互いに近接する方向に押圧される毎に、前記係合突起が、前記係合部に係合する係合位置と前記係合部から解放される解放位置との間で交互に移動可能となるように、前記押圧方向の力を前記回転部の回動に変換する変換部が設けられていることを特徴とする。
以上のような請求項1の発明では、連結凸部の回転部に設けられた係合突起が、連結凹部に設けられた係合部と係合し、連結凹部及び連結凸部の一方が押圧されるたびに、係合突起が、前記係合部に係合する係合位置と前記係合部から解放される解放位置との間で交互に移動するので、連結凸部または連結凹部を連結方向に押圧するだけで、連結具の連結及び切り離しができるため、この連結具にネックレス等の装身具を取付けた場合に、そのネックレスの着脱を、例えば頭部の後方等の直接目視できないところにおいても容易に行うことができる。
請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、前記変換部は、前記回転部と前記保持部との接触面に設けられ、互いに接触する方向に付勢される毎に、前記回転部を回動させるカム機構と、前記連結凹部及び前記連結凸部のいずれか一方が押圧された場合に、前記回転部を前記保持部に接触する方向に付勢し、押圧が解除された場合に、前記連結凹部及び前記連結凸部が互いに離脱する方向に付勢する付勢部と、を有することを特徴とする。
以上のような請求項2の発明では、請求項1における変換部として、回転部と保持部との接触面にカム機構を設けて回転部の回転を可能とすることにより、係合突起の係合位置と解放位置への移動がスムーズかつ正確に行えるようになる。また、例えばバネ等の弾性体からなる付勢部を用いることによって、回転部と保持部とが近接する方向に押圧された場合には、それらの接触面の接触を支持することができると共に、押圧が解除された場合には、連結凹部及び連結凸部が離脱する方向に付勢することができるので、ワンプッシュでの連結及び切り離しをより容易に行うことが可能となる。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記係合部の間には、前記連結凸部の挿入時に、前記係合突起を通過させる係合溝が設けられ、前記連結凹部には、前記係合突起を前記各係合溝に誘導するガイドが設けられていることを特徴とする。
以上のような請求項3の発明では、係合部の間に係合溝を設けることにより、係合突起と係合部の係合を支持することができると共に、この係合溝に係合突起を誘導するガイドが設けられているため、連結凸部の挿入時に係合突起を係合溝に合わせて挿入しなくとも、ガイドに沿って挿入することができるので、連結凸部の連結凹部への挿入作業がより容易に行えるようになる。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、前記カム機構は、前記係合突起の一部であることを特徴とする。
以上のような請求項4記載の発明では、係合突起がカム機構も兼ねるため、より簡素な構成の連結具を提供することできる。
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、前記回転部の挿入先端面は、略球面状であることを特徴とする。
以上のような請求項5の発明では、連結凸部を連結凹部に挿入するに際して、例えば、連結凹部と連結凸部の挿入方向中心軸がずれた状態で挿入しようとした場合であっても、回転部の先端面が球面形状であるため、この回転部が連結凹部の開口部に引っかかることなく連結凹部に挿入されるようになる。特に、請求項3の構成と組み合わせた場合には、連結凸部と連結凹部の中心軸の位置関係および係合突起と係合溝の位置関係がずれていても、そのずれを補正して連結することが可能となる。
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の発明において、前記連結凸部は、連結時において、その外周を前記連結凹部に覆われていることを特徴とする。
以上のような請求項6の発明では、連結凸部を連結凹部によって覆うことによって、両部材の連結が確実となり、連結凸部の連結凹部内での遊動等が生じなくなるともに、連結時には、この連結凹部の外装により連結凸部の挿入方向がガイドされるため、装着感が向上する。
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明において、前記連結凸部と前記連結凹部とは、連結時において互いに回動自在に構成されていることを特徴とする。
以上のような請求項7の発明では、ネックレス等の装身具を取りつける場合に、ネックレス等がよじれたままの状態で、連結凸部と連結凹部とを連結したとしても、連結時においても連結凸部あるいは連結凹部のいずれかを回転させることができるため、このよじれを容易に修正することが可能となる。
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の発明において、前記連結凸部及び前記連結凹部の連結方向と反対の端部には、装身具を接続する接続部が設けられていることを特徴とする。
以上のような請求項8の発明では、装身具を接続する接続部が、連結凹部及び連結凸部に一体あるいは取付ける態様で設けられているため、既存のネックレスやブレスレットの連結具に代えて取付けることが可能であると共に、一つの連結具で多数の装身具に利用することができる。
以上説明したように、本発明の連結具によれば、カム機構を用いてこのカムの係合によって連結具の連結及び切り離しを行うため、例えば、この連結具を備えた装身具等を目視のできない範囲において着脱する場合あるいは片手のみで着脱を行う場合であっても、ワンプッシュで簡易迅速に着脱することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照して具体的に説明する。
〔1.第1の実施形態〕
〔1−1.第1の実施形態の構成〕
第1の実施形態に係る連結具1は、図1に示すように、カムを備えた連結凸部2と内部にバネを備えた筒状の連結凹部3とからなる。
(1) 連結凸部の構成
この連結凸部2は、図1または図2に示すように、周面に係合突起23を備えた回転部21と、この回転部21を回動可能に保持する保持部22とからなる。
回転部21は、円筒形の軸部21aと、同じく円筒形で係合突起23を備える回転ヘッド21bとからなる。図2において回転ヘッド21bの断面図に示すように、この回転ヘッド21bには、係合突起23が等間隔に4つ設けられている。また、回転ヘッド21bの係合突起23を除いた外周と保持部22の外周とは同一に構成され、軸部21aの外周と保持部22の内周とは略同一に構成されている。
ここで、この回転ヘッド21bの周状に設けられる係合突起23の構成は、図2の等間隔に4つ設けた態様に限られず、図3(a)に示すように120゜の間隔で3つ設けたり、図4(a)に示すように72゜の間隔で5つ設ける等、その構成は任意である。ただし、後述する係合溝との関係上、少なくとも等間隔で設ける必要がある。また、ある程度小型化、部材自体の簡略化の観点からは係合突起を3つあるいは4つで構成するのが望ましい。
回転ヘッド21bの下端部には山切りにカットされたカム24aが設けられ、保持部22の上端部には同じく山切りにカットされたカム24bが設けられている。そして、これらのカムが相互に噛合って、回転ヘッド21bと保持部22との回動を制御している。さらに具体的には、このカム24a、24bは、回転ヘッド21b及び保持部22の円周上に沿って、一つの山型の噛合いを1とすると、等間隔に8つの噛合いが設けられている。また、回転ヘッド21bに均等に配置された係合突起23の下端部は、この山切りカットされたカム24aの一斜辺を形成し、すべて同一の方向に(ここでは右下がり)傾斜付けられている。
なお、このカム24の構成は、このような山切りにカットしたものに限られず、上下が噛合い、回転ヘッド2bの回動が保持部22によって制御されるようなものであれば、例えば、図5に示すように、波切りにカットした構成としても良い。ただし、係合突起23は、後述する連結凹部3に設けられた係合部と係合することから、その下端部に傾斜面を有する必要がある。したがって、構成の簡略化からは、この係合突起23の形状に合わせて山切りとするのが最適である。
一方、保持部22には、図2に示すように、カム24bの一つの噛合いにおける頂点Vの直線状を中心とする固定突起25が設けられている。この固定突起25は、後述する連結凸部2を連結凹部3に挿入した際に、連結凹部3の係合溝33と係合して、両者の回転を制御するものである。また、保持部22の連結方向と反対の端部には、ネックレス等の装身具と接続する輪を備えた接続部26を嵌め込む接続受け部27が設けられている。
ここで、係合突起23と固定突起25とは、その周面と平行な幅Wは、後述する係合溝33の幅を基準として略同一に構成されているが、その外周方向への厚さは、係合突起23の厚さT1が固定突起25の厚さT1’よりも厚く構成されている。また、この固定突起25は上記の通り、カム24bの頂点Vの下部に設けられているため、回転ヘッド21bと保持部22がカム24a、24bを介して噛合った場合には、図2に示すように係合突起23の中心Mは、固定突起25の中心である直線L上からずれた状態となる。
このような構成からなる回転部21と保持部22とは、図2に示す通り、軸部21aが保持部22の筒内に嵌挿されているが、この場合、回転部21が保持部22に対して回動自在に保たれるように、連結方向A−A’に対して摺動可能に接続されている。すなわち、回転部21は、保持部22に対して連結方向に若干の遊びPがある。
また、本実施形態における回転部21と保持部22の接続方法としては、軸部21aに保持部22の内周径よりも若干大きい径を有するネジSを用いて、ネジ留めすることとしている。なお、この構成は、実施形態の一例に過ぎず、回転部21の遊びPが維持される限りは、いずれの態様でもよい。例えば、図6に示すように、接続部とネジSとを共通の部材とした接続部28として構成することも可能である。
(2) 連結凹部の構成
連結凹部3は、図1に示すとおり、連結凸部2を挿入する側に開口部31を備える筒状体で、開口部31と反対の端部には、筒内部に向かってバネ32が設けられている。このバネ32は、連結凸部2が連結凹部3に挿入された場合に、回転部21の先端面を押圧し、この回転部21を保持部22に接触する方向(反連結方向A’)に付勢すると共に、この回転部21の押圧が解除された場合に、連結凹部3及び連結凸部2が互いに離脱する方向(反連結方向A’)に付勢するものである。そして、上記連結凸部2におけるカム24とこのバネ32とによって、連結凸部2挿入時の押圧方向に対する力を、回転部21の回動方向に変換する変換部を構成している。また、当該端部の外部方向には、ネックレス等の装身具と接続する輪を備えた接続部36が設けられている。
開口部31付近には、図7(a)の連結凹部3の一部を展開した図に示すとおり、連結凹部3の内周面に沿って、上記係合突起23あるいは固定突起25と係合する係合溝33(33A及び33B)が設けられている。この係合溝33の数は、固定突起25と同一であり、本実施形態では内周面上に等間隔に8つ設けられている。
また、図7(b)の断面図に示すように、この8つある係合溝33は、その構成の相違から、90゜間隔で4ずつを一組として係合溝33Aと33Bとに分けられ、係合溝33Bは後述する係合部34の一部をなすと共に、これら各係合溝はその厚さT2、T2’が異なっている。
すなわち、係合溝33のうち、係合部34の一部を構成しない係合溝33Aの厚さT2は、連結凸部2の係合突起23の厚さT1と略同一である。また、係合部34の一部を構成する係合溝33Bの厚さT2’は、連結凸部2の固定突起25の厚さT1’の厚さと略同一に構成されている。つまり、係合溝33のうち33Aの4つの溝は、連結凸部2が挿入される際に固定突起25を通過させるが、係合突起23は通過させないように構成されている。一方、33Bの4つの溝は、係合突起23及び固定突起25ともに通過させるように構成されている。
係合部34は、上記係合溝33を挟む形で設けられており、図7(a)に示す通り、係合溝33Bとその一部を共有する連結係合部34aと、係合溝33の間隙にのみ設けられている送り係合部34bとが一組となって、全部で4組設けられている。この連結係合部34aは、係合突起23が係合する係合し連結凸部2と連結凹部3の連結を実現するものであり、送り係合部34bは、連結係合部34aから移動してくる係合突起23を係合溝33方向へ送り出し、連結凸部2と連結凹部3の連結を解放するものである。
また、この係合部34の高さH’は、図2に示す連結凸部2の保持部22の高さHよりも短く構成されており、連結凸部2がバネ32の付勢力に抗して挿入された場合には、この係合部34の上部に少なくとも係合突起23が突出するように構成されている。また、この係合部34の上端部には、連結係合部34aあるいは送り係合部34bともに同一の角度を有する傾斜面F、F’が設けられており、この傾斜角度は、係合突起23の下端部と同一となっている。
〔1−2.第1の実施形態の作用効果〕
以上のような構成からなる本実施形態の連結具1は、具体的に以下のように作用する。なお、本実施形態の作用を示す図8及び図9においては、説明の便宜ため、係合突起23と係合部34について、ハッチングを施して強調した。
(1) 連結
まず、連結作用について、図2及び図8を用いて説明する。連結凸部2に設けられた回転部21の係合突起23を、連結凹部3の開口部31から係合溝33に合わせて挿入すると、この回転ヘッド21bの先端面が連結凹部3内に設けられたバネ32に当接する。この状態からさらに係合突起23が係合溝33を通過し、回転ヘッド21bが係合溝33及び係合部34を超える位置まで移動すると、連結凸部2の固定突起25が係合溝33によって連結凸部の回転方向に対して固定された状態となる。
また、回転ヘッド21bは、バネ32の付勢力によって連結反対方向に押圧されるため、回転ヘッド21bと保持部22のカム24a、24bが噛合った状態となる。ここで上記の通り、係合突起23と固定突起25は、カム24が噛合った状態では挿入方向同一直線L状に位置しないため、係合突起23は、係合溝33とずれた状態、すなわち、連結凹部の連結係合部34aの傾斜面Fに連結方向直線上で重なった状態となる(図8(a)参照)。
この状態において挿入方向への押圧を停止すると、バネ32の付勢力により、この連結凸部2は反連結方向A’に押し返されるが、その際、カム24の噛合いが外れ、回転ヘッド21bが回動可能な状態となる。そうすると、係合突起23が連結係合部34aの傾斜面Fを滑って、連結係合部34aの係合溝33A上の位置まで移動し、これにより連結凸部2と連結凹部3が連結される(図8(b)参照)。また、この際、固定突起25は、係合溝33によって、回転方向の動きを規制された状態であるため、連結凸部2と連結凹部3とは回転しない。
(2) 切り離し
次に切り離し作用について、図9を参照して説明する。切り離しを行うには、まず、連結凸部2あるいは連結凹部3のいずれかを再度連結方向Aへ押圧する。そうすると、挿入時と同様、回転部21がバネ32の付勢力に抗して、連結方向Aに移動する。そして、係合突起23と連結係合部34aの係合が解除されると共に、回転ヘッド21bは係合部34上にまで移動する(図9(a)参照)。この際、回転ヘッド21bの先端面はバネ32によって反連結方向A’に付勢されているため、回転ヘッド21bと保持部22のカム24a及び24bは噛合う状態となる。
挿入時同様、この状態においては、係合突起23と固定突起25は、挿入方向同一直線L上に位置しないため、係合突起23は、係合溝33とずれた状態、すなわち、連結係合部34aに隣接する送り係合部34bの傾斜面F’に掛かった状態となる(図9(a)参照)。
この状態において、連結方向Aへの押圧を止めると、バネ32の付勢力によりこの連結凸部2は、反連結方向A’へ押し返されるが、同時に回転ヘッド21bと保持部22とを近接させる力も解放されるため、カム24の噛合いが外れ、回転ヘッド21bが回動可能な状態となる。そうすると、回転ヘッド21bは、バネ32の押圧力にしたがって、係合突起23が送り係合部34bの傾斜面Fを滑りながら回転し、係合溝33B上に達する(図9(b)参照)。そして、回転ヘッド21bは、さらにバネ32の付勢力により反連結方向に押し出され、これにより連結凸部2と連結凹部3は切り離されることとなる。
(3) 効果
以上のような本実施形態の連結具1では、連結凸部2の回転部21に設けられた係合突起23が、連結凹部3に設けられた係合部34と係合し、連結凹部3及び連結凸部2の一方が押圧されるたびに、係合突起23が係合位置である連結係合部34aと連結解放位置である送り係合部34bとを移動するので、連結凸部2または連結凹部3を連結方向に押圧するだけで、連結具1の連結及び切り離しができる。そのため、この連結具1を備えたネックレス等の装身具の着脱を、例えば頭部の後方等の直接目視できないところにおいても容易に行うことができる。
また、回転部21の回転ヘッド21bと保持部22との接触面にカム24を設けて回転ヘッド21bを回動可能とすることにより、係合突起23の連結係合部24aへの係合、および送り係合部24bへの移動がスムーズかつ正確に行えるようになる。また、連結凹3内部にバネ32を設けて連結凸部2の回転ヘッド21bを反連結方向に押圧することによって、このバネ32が、連結凸部2が押圧され回転部21と保持部22近接するのを支持することとなるため、カム24の噛合いを確実に行うことができるようになる。さらに、このバネ32は、連結凸部2及び連結凹部3の切り離す際に、連結凸部2の押圧が解除された場合には、連結凸部2及び連結凹部3が反連結方向A’に付勢する。これにより、連結凸部2あるいは連結凹部3を挿入方向に単に押圧するだけで連結及び切り離し行うことが可能となる。
〔2.第2の実施形態〕
本実施形態に係る連結具40について、図10を用いて説明する。同図に示すように、連結具40は、上記第1の実施形態の連結具1の連結凸部2と連結凹部3に改良を施したものである。具体的には、回転部21の挿入先端部に球面状の先端面Gを設けると共に、回転ヘッド21bの先端角部もカットした連結凸部2と、開口部31に係合溝33に向かってV字状の切り込みを持ったガイド35を設けた連結凹部3とを有するものである。なお、その他の構成に関しては、上記第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
以上のような連結具40では、連結凹部3の係合溝33に向かって設けられたV字上のガイド35によって、連結凸部2の挿入時に回転部21に設けられた係合突起23を係合溝33に合わせなくとも、連結凸部2が連結方向に押圧されれば、係合突起23は、ガイド35の傾斜に沿って係合溝33まで移動するので、連結凸部2の連結凹部3への挿入作業がより容易に行えるようになる。
また、回転部21の挿入面には、球面状の先端面Gが設けられ、さらに、回転ヘッド21bの先端角部もカットされているので、連結凸部2を連結凹部3に挿入するに際して、例えば、連結凸部2と連結凹部3の挿入方向中心軸がずれた状態で、すなわち回転部21と連結凹部3の開口部31が当接したような状態で挿入しようとした場合であっても、回転部21の先端面Gが球面形状であるため、この回転部21が連結凹部3の開口部31に引っかかることなく挿入することができる。
このように、本実施形態の連結具40では、連結凸部2と連結凹部3における中心軸の位置関係及び係合突起23と係合溝33の位置関係がずれていても、そのずれを補正して連結することができるので、ネックレス等の装身具を頭部の後方等、直接目視できないところにおいて、装着する場合にも、簡易迅速に取付けを行うことができる。
〔3.他の実施形態〕
本発明は、上記のような実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すような種々の態様を包含するものであり、目的や用途に応じて適宜最適な態様を選択して実施することができるものである。例えば、本実施形態において、連結凸部における係合突起あるいは連結凹部における係合溝の数は、回転部の回転と係合という本発明の作用効果が保持される限り、取付部材の用途、大きさ等によって適宜変更可能である。
また、例えば、図11に示すように、係合突起23とカム24aとを双方の機能を兼ねた係合突起23’として構成することも可能である。このように構成することにより、上記実施形態の連結具に加えて、さらに、連結具をより簡素な態様によって構成することが可能となる。なお、この図11では上記第1の実施形態において図3に示した係合突起が3つ設けられ、固定突起が6つ設けられた構成を採用している。
また、上記実施形態において、連結凹部3に設けられている弾性部材としてバネ32のみを取り上げたが、これはあくまでも最適な例であって、上記のバネ32の場合と同様に作用する弾性を有するものであれば、いずれの材料または構成を採りうる。例えば、弾性部材としては、シリコーンゴムや合成ゴムを用いることも可能である。
ネックレス等の装身具を取り付ける接続部についても、上記の実施形態に示した接続部26、27のような構成以外に、例えば、図12に示すように、回転部21と保持部22とを連結させる軸部21aにワイヤ29等を取付け、その先端を輪状にして接続部30として構成することもできる。
また、上記実施形態で示した連結凹部3側の接続部36の取付け方法も、例えば、連結凹部3に対して一体的に成形する態様、ねじ込むことによって取付ける態様や単に連結凹部3に対して嵌め込む態様あるいは半田付けする態様等、いずれの構成でもよい。
このように、装身具を接続する接続部を、連結凸部2及び連結凹部3に対して一体的あるいは付属的に取付けるように設けることにより、本発明の連結具を既存のネックレスやブレスレットの連結具に代えて取付けることができたり、一つの連結具で多数の装身具に利用することができ、利便性の高い連結具を提供することができる。
また、図13に示すように、連結具50の連結凹部3の外装で、連結凸部2全体を被覆するように構成することも可能である。このように構成することにより、両部材の連結が確実となり、連結凸部2の連結凹部3内での遊動等が生じなくなるともに、連結時には、この連結凹部3の外装により連結凸部2の挿入方向がガイドされるため、装着感が向上する。
本発明では、さらに、図14(a)に示すように、保持部22と軸部21aとを接続するネジSの調整によって、連結凸部2の回転ヘッド21bと保持部22のカム24a、24b間に生ずる遊びP’を長くした連結具60を構成することも可能である。この遊びP’は、同図(a)に示すように、連結凸部2と連結凹部3とを連結時に、保持部22を反連結方向に引っ張った場合において固定突起25が係合溝33から解放される位置まで移動する程度に十分に長く構成されている。したがって、同図(b)に示すように、連結凸部2を連結凹部3に連結され、保持部22が反連結方向に引っ張られた状態においては、固定突起25が連結回転方向に対しての係合溝33の拘束から解放された状態となり、連結された連結凹部2と連結凹部3は、相互に回動可能となる。
このように、カム24a及び24b間に遊びP’を長く持たせることにより、連結凸部2と連結凹部3とが相互に回動自在となるため、例えば、この連結具60を介して、ネックレスを取りつける場合に、ネックレスをよじれたままの状態で取りつけたとしても、連結凸部2あるいは連結凹部3のいずれかが回動することによって、このよじれを容易に修正することが可能である。
また、図6に示すように接続部とネジSとを共通の部材として接続部28を構成した場合、あるいは図12に示すように回転部21と保持部22とを連結させる軸部21aにワイヤ29等を取付け、その先端を輪状にして接続部30として構成した場合には、連結時の回転ヘッド21bの回転に伴って、この接続部も回転してしまうこととなるが、上記の連結具60では、連結凸部2及び連結凹部3のいずれか回動可能となっているため、このような連結時における、ねじれが生じるのを防ぐことができる。
なお、上記のように遊びP’を長く構成した場合には、保持部22は、係合溝33によって拘束されていないため連結凹部3に対して遊動した状態となっている。そのため、このような構成を用いる場合には、例えば図14(a)に示すように、連結凹部3で連結凸部2を覆うように構成することによって、連結凸部2あるいは連結凹部3の軸方向左右への遊動を押さえるように構成すると良い。
また、上記のような図6または図12に示す構成では、部品点数を簡略化するという大きなメリットがある反面、これをネックレス等に用いた場合には、上記の通りねじれの影響を受けることが考えられる。そのため、このような構成の接続部は、連結具を用いて一つの輪を連結するネックレスやブレスレット等に用いるよりも、例えば図15に示すような、携帯電話Mに取りつける携帯ストラップであって、接続部26及び36のそれぞれに別個の輪を連結したもの等、ねじれの影響を受けにくい部材の連結具として用いるのがよい。
本発明の連結具における各部材の大きさや厚さ等は、用途に応じて適宜変更可能である。また、上記実施形態においては、本発明の連結具を構成する材料を特に限定していないが、例えば、連結凸部及び連結凹部における突起や溝等のカム機構部分には、プラスチック等の可塑性の樹脂や金属類を用いるのがよい。一方、装身具等と連結する接続部分に関しては、いずれの材料を用いて構成しても良く、例えば、プラスチック等の樹脂、金属を始め、ゴム等の弾性体で構成することも可能である。
また、連結具の内部構造の作用効果を維持できる範囲で、連結凸部と連結凹部の外装は、自由に構成することができる。例えば、図16(a)〜(c)に示すように、取付ける装身具のデザインに応じて、星型の連結具70aや球状の連結具70b、あるいはひし形の連結具70c等に構成することができる。また、この連結具自体を装身具の装飾部として、デザイン性を持たせることも可能である。
さらに、本発明の連結具は、上記のような装身具等の連結部分に用いるものに限られず、例えば、図17に示すように、カーテンフックとカーテンロールとの間を連結する連結具80として用いることも可能である。すなわち、連結具80は、連結凸部2の連結方向反対端部にカーテンを取りつけるカーテンフック81を設け、連結凹部3の連結方向反対端部に図示しないカーテンレールと噛合ってレール上を回転しながら移動するカーテンロール82と、このカーテンロール82と連結凹部3とを接続する接続支持部83とを備えるものである。
このように、本発明の連結具をカーテンフックとカーテンロールの連結部分として用いることによって、従来カーテンフックをカーテンロールに設けられた小さい輪を目掛けて引っ掛けることにより連結していた両部材を、ワンプッシュによって連結及び切り離しが可能となるので、仮に手の届きにくい高所において連結及び切り離しの作業を行わなければならないような場合であっても容易に行うことができるようになる。
本発明の第1の実施形態の全体構成を示す模式図。
本発明の第1の実施形態における連結凸部の構成を示す模式図及び断面図。
本発明の第1の実施形態における連結凸部の他の構成を示す断面図(a)及び(b)。
本発明の第1の実施形態における連結凸部の構成を示す断面図(a)及び(b)。
本発明の第1の実施形態の他の構成を示す模式図。
本発明の第1の実施形態の他の構成を示す模式図。
本発明の第1の実施形態における連結凹部の構成を示す展開図(a)及び断面図(b)。
本発明の第1の実施形態の作用を示す模式図。
本発明の第1の実施形態の作用を示す模式図。
本発明の第2の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
従来の連結具を示す模式図。
符号の説明
1、40、50、60、70、80、90…連結具
2…連結凸部
2b…回転ヘッド
3…連結凹部
21…回転部
21a…軸部
21b…回転ヘッド
22…保持部
23…係合突起
23’…結合突起
24、24a、24b…カム
25…固定突起
26、28、30、36…接続部
27…接続受け部
29…ワイヤ
31…開口部
32…バネ
33、33A、33B…係合溝
34…係合部
34a…連結係合部
34b…送り係合部
35…ガイド
F、F’…傾斜面
G…先端面
S…ネジ
本発明は、ネックレス、ブレスレット等の装身具の連結部や携帯ストラップ、ネックストラップ等の連結部に用いるものであって、頭部後方等、目視のできない範囲において着脱する場合であっても、ワンプッシュで簡易迅速に着脱することのできる連結具に関するものである。
ネックレス等の装身具の連結具としては、例えば、図18に示すように、径の細い筒状の輪91を外装部として、この外装部内に、つまみ93を備えた棒状の輪92と図示しないバネを嵌挿して構成したものがある。このような連結具90は、外観上の制約で小型にして簡素な構造であることが要求されるネックレス等の装身具としてその必要性を具備するため、従来より一般的に用いられている。しかし、この連結具90では、装身具の着脱を行うには、小さなつまみ93を図中矢印方向に引きながら装着しなければならず、例えばネックレスの着脱が通常頭部の後方の目視できない範囲でなされたり、ブレスレットの着脱が片方の手のみでなされることを考えると、このような装着作業は必ずしも容易なものとは言えなかった。
そこで、従来より、装身具の連結部品においては、装身具の着脱を容易にするべく種々の工夫がなされている。例えば、下記特許文献1は、バネと係合突起を備えた筒状金具に、縦あるいは周状に溝の刻まれた挿入金具を、この係合突起と縦溝とを係合させることによって挿入金具を筒状金具に挿入し、係合突起が周状の溝に達した段階で挿入金具を回転させることによって装身具の取付けを行えるように構成したものである。
特開平7−213317号公報
しかしながら、上記の従来技術において、挿入金具を筒状金具に連結するには、小さな挿入金具を筒状金具の縦溝に合わせて挿入し、さらに周溝に沿って回転させる必要があり、この連結作業は非常に煩雑なものであった。
また、挿入のきっかけとなる筒状金具の縦溝の数は、直径上に設けられた2箇所のみで、挿入時には必ず筒状金具の係合突起をこの縦溝に合わせて挿入しなければならないことから、この点からも連結作業が容易であるとは言いがたかった。
さらに、上記の連結具では、切り離す際にも、筒状金具のバネの付勢力に抗して挿入金具を押しながら回転させなければならず、例えばネックレスのように、頭部後方等、目視のできない範囲において着脱する装身具に用いた場合に、その着脱を容易に行うことはできなかった。このように、装身具等の連結具としては、より簡単に着脱可能な技術の提案が望まれていた。
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、頭部後方等の目視できない範囲において着脱する場合あるいは片手のみで着脱を行う場合であっても、ワンプッシュで簡易迅速に着脱することのできる連結具を提供することにある。
上記の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、筒状の連結凹部と、前記連結凹部に挿入されることにより連結される連結凸部とを有する連結具において、前記連結凸部は、回転部とこれを回転可能に保持する保持部とを有し、前記回転部の外周には、係合突起が設けられ、前記連結凹部の内周には、前記係合突起に係合する係合部が設けられ、前記連結凹部に前記連結凸部が挿入された状態で、前記連結凹部及び前記連結凸部のいずれか一方が互いに近接する方向に押圧される毎に、前記係合突起が、前記係合部に係合する係合位置と前記係合部から解放される解放位置との間で交互に移動可能となるように、前記押圧方向の力を前記回転部の回動に変換する変換部が設けられていることを特徴とする。
以上のような請求項1の発明では、連結凸部の回転部に設けられた係合突起が、連結凹部に設けられた係合部と係合し、連結凹部及び連結凸部の一方が押圧されるたびに、係合突起が、前記係合部に係合する係合位置と前記係合部から解放される解放位置との間で交互に移動するので、連結凸部または連結凹部を連結方向に押圧するだけで、連結具の連結及び切り離しができるため、この連結具にネックレス等の装身具を取付けた場合に、そのネックレスの着脱を、例えば頭部の後方等の直接目視できないところにおいても容易に行うことができる。
請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、前記変換部は、前記回転部と前記保持部との接触面に設けられ、互いに接触する方向に付勢される毎に、前記回転部を回動させるカム機構と、前記連結凹部及び前記連結凸部のいずれか一方が押圧された場合に、前記回転部を前記保持部に接触する方向に付勢し、押圧が解除された場合に、前記連結凹部及び前記連結凸部が互いに離脱する方向に付勢する付勢部と、を有することを特徴とする。
以上のような請求項2の発明では、請求項1における変換部として、回転部と保持部との接触面にカム機構を設けて回転部の回転を可能とすることにより、係合突起の係合位置と解放位置への移動がスムーズかつ正確に行えるようになる。また、例えばバネ等の弾性体からなる付勢部を用いることによって、回転部と保持部とが近接する方向に押圧された場合には、それらの接触面の接触を支持することができると共に、押圧が解除された場合には、連結凹部及び連結凸部が離脱する方向に付勢することができるので、ワンプッシュでの連結及び切り離しをより容易に行うことが可能となる。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記係合部の間には、前記連結凸部の挿入時に、前記係合突起を通過させる係合溝が設けられ、前記連結凹部には、前記係合突起を前記各係合溝に誘導するガイドが設けられていることを特徴とする。
以上のような請求項3の発明では、係合部の間に係合溝を設けることにより、係合突起と係合部の係合を支持することができると共に、この係合溝に係合突起を誘導するガイドが設けられているため、連結凸部の挿入時に係合突起を係合溝に合わせて挿入しなくとも、ガイドに沿って挿入することができるので、連結凸部の連結凹部への挿入作業がより容易に行えるようになる。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、前記カム機構は、前記係合突起の一部であることを特徴とする。
以上のような請求項4記載の発明では、係合突起がカム機構も兼ねるため、より簡素な構成の連結具を提供することできる。
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、前記回転部の挿入先端面は、略球面状であることを特徴とする。
以上のような請求項5の発明では、連結凸部を連結凹部に挿入するに際して、例えば、連結凹部と連結凸部の挿入方向中心軸がずれた状態で挿入しようとした場合であっても、回転部の先端面が球面形状であるため、この回転部が連結凹部の開口部に引っかかることなく連結凹部に挿入されるようになる。特に、請求項3の構成と組み合わせた場合には、連結凸部と連結凹部の中心軸の位置関係および係合突起と係合溝の位置関係がずれていても、そのずれを補正して連結することが可能となる。
請求項6の発明は、請求項1から5記載のいずれか1項に記載において、前記連結凸部は、連結時において、その外周を前記連結凹部に覆われていることを特徴とする。
以上のような請求項6の発明では、連結凸部を連結凹部によって覆うことによって、両部材の連結が確実となり、連結凸部の連結凹部内での遊動等が生じなくなるともに、連結時には、この連結凹部の外装により連結凸部の挿入方向がガイドされるため、装着感が向上する。
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明において、前記連結凸部と前記連結凹部とは、連結時において互いに回動自在に構成されていることを特徴とする。
以上のような請求項7の発明では、ネックレス等の装身具を取りつける場合に、ネックレス等がよじれたままの状態で、連結凸部と連結凹部とを連結したとしても、連結時においても連結凸部あるいは連結凹部のいずれかを回転させることができるため、このよじれを容易に修正することが可能となる。
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の発明において、前記連結凸部及び前記連結凹部の連結方向と反対の端部には、装身具を接続する接続部が設けられていることを特徴とする。
以上のような請求項8の発明では、装身具を接続する接続部が、連結凹部及び連結凸部に一体あるいは取付ける態様で設けられているため、既存のネックレスやブレスレットの連結具に代えて取付けることが可能であると共に、一つの連結具で多数の装身具に利用することができる。
請求項9の発明は、装身具が請求項1乃至8に記載の連結具を備えることを特徴とする。
以上のような請求項9の発明では、上記請求項1乃至8に記載の連結具を備えることによって、ワンプッシュで装身具の連結及び切り離し行うことができるので、例えば、ネックレス等の着脱を、頭部の後方等の直接目視できないところにおいても容易に行うことができたり、ブレスレット等の着脱を片手のみでも容易に行うことができる。
請求項10の発明は、携帯ストラップが請求項1乃至7に記載の連結具を備えることを特徴とする。また、請求項11の発明は、カーテンフックが請求項1乃至7に記載の連結具を備えることを特徴とする。
このように、携帯ストラップやカーテンフック等、連結具を必要とする物品において、上記請求項1乃至7の連結具を用いることによって、その着脱を著しく容易にすることができる。特に、請求項11の発明では、上記請求項1乃至7における連結具をカーテンフックに用いることによって、従来カーテンフックをカーテンロールに設けられた小さい輪を目掛けて引っ掛けることにより連結していた作業を、ワンプッシュによって連結及び切り離しが可能となるので、仮に手の届きにくい高所において連結及び切り離しの作業を行わなければならないような場合であっても容易に行うことができるようになる。
以上説明したように、本発明の連結具によれば、カム機構を用いてこのカムの係合によって連結具の連結及び切り離しを行うため、例えば、この連結具を備えた装身具等を目視のできない範囲において着脱する場合あるいは片手のみで着脱を行う場合であっても、ワンプッシュで簡易迅速に着脱することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照して具体的に説明する。
〔1.第1の実施形態〕
〔1−1.第1の実施形態の構成〕
第1の実施形態に係る連結具1は、図1に示すように、カムを備えた連結凸部2と内部にバネを備えた筒状の連結凹部3とからなる。
(1) 連結凸部の構成
この連結凸部2は、図1または図2に示すように、周面に係合突起23を備えた回転部21と、この回転部21を回動可能に保持する保持部22とからなる。
回転部21は、円筒形の軸部21aと、同じく円筒形で係合突起23を備える回転ヘッド21bとからなる。図2において回転ヘッド21bの断面図に示すように、この回転ヘッド21bには、係合突起23が等間隔に4つ設けられている。また、回転ヘッド21bの係合突起23を除いた外周と保持部22の外周とは同一に構成され、軸部21aの外周と保持部22の内周とは略同一に構成されている。
ここで、この回転ヘッド21bの周状に設けられる係合突起23の構成は、図2の等間隔に4つ設けた態様に限られず、図3(a)に示すように120゜の間隔で3つ設けたり、図4(a)に示すように72゜の間隔で5つ設ける等、その構成は任意である。ただし、後述する係合溝との関係上、少なくとも等間隔で設ける必要がある。また、ある程度小型化、部材自体の簡略化の観点からは係合突起を3つあるいは4つで構成するのが望ましい。
回転ヘッド21bの下端部には山切りにカットされたカム24aが設けられ、保持部22の上端部には同じく山切りにカットされたカム24bが設けられている。そして、これらのカムが相互に噛合って、回転ヘッド21bと保持部22との回動を制御している。さらに具体的には、このカム24a、24bは、回転ヘッド21b及び保持部22の円周上に沿って、一つの山型の噛合いを1とすると、等間隔に8つの噛合いが設けられている。また、回転ヘッド21bに均等に配置された係合突起23の下端部は、この山切りカットされたカム24aの一斜辺を形成し、すべて同一の方向に(ここでは右下がり)傾斜付けられている。
なお、このカム24の構成は、このような山切りにカットしたものに限られず、上下が噛合い、回転ヘッド2bの回動が保持部22によって制御されるようなものであれば、例えば、図5に示すように、波切りにカットした構成としても良い。ただし、係合突起23は、後述する連結凹部3に設けられた係合部と係合することから、その下端部に傾斜面を有する必要がある。したがって、構成の簡略化からは、この係合突起23の形状に合わせて山切りとするのが最適である。
一方、保持部22には、図2に示すように、カム24bの一つの噛合いにおける頂点Vの直線状を中心とする固定突起25が設けられている。この固定突起25は、後述する連結凸部2を連結凹部3に挿入した際に、連結凹部3の係合溝33と係合して、両者の回転を制御するものである。また、保持部22の連結方向と反対の端部には、ネックレス等の装身具と接続する輪を備えた接続部26を嵌め込む接続受け部27が設けられている。
ここで、係合突起23と固定突起25とは、その周面と平行な幅Wは、後述する係合溝33の幅を基準として略同一に構成されているが、その外周方向への厚さは、係合突起23の厚さT1が固定突起25の厚さT1’よりも厚く構成されている。また、この固定突起25は上記の通り、カム24bの頂点Vの下部に設けられているため、回転ヘッド21bと保持部22がカム24a、24bを介して噛合った場合には、図2に示すように係合突起23の中心Mは、固定突起25の中心である直線L上からずれた状態となる。
このような構成からなる回転部21と保持部22とは、図2に示す通り、軸部21aが保持部22の筒内に嵌挿されているが、この場合、回転部21が保持部22に対して回動自在に保たれるように、連結方向A−A’に対して摺動可能に接続されている。すなわち、回転部21は、保持部22に対して連結方向に若干の遊びPがある。
また、本実施形態における回転部21と保持部22の接続方法としては、軸部21aに保持部22の内周径よりも若干大きい径を有するネジSを用いて、ネジ留めすることとしている。なお、この構成は、実施形態の一例に過ぎず、回転部21の遊びPが維持される限りは、いずれの態様でもよい。例えば、図6に示すように、接続部とネジSとを共通の部材とした接続部28として構成することも可能である。
(2) 連結凹部の構成
連結凹部3は、図1に示すとおり、連結凸部2を挿入する側に開口部31を備える筒状体で、開口部31と反対の端部には、筒内部に向かってバネ32が設けられている。このバネ32は、連結凸部2が連結凹部3に挿入された場合に、回転部21の先端面を押圧し、この回転部21を保持部22に接触する方向(反連結方向A’)に付勢すると共に、この回転部21の押圧が解除された場合に、連結凹部3及び連結凸部2が互いに離脱する方向(反連結方向A’)に付勢するものである。そして、上記連結凸部2におけるカム24とこのバネ32とによって、連結凸部2挿入時の押圧方向に対する力を、回転部21の回動方向に変換する変換部を構成している。また、当該端部の外部方向には、ネックレス等の装身具と接続する輪を備えた接続部36が設けられている。
開口部31付近には、図7(a)の連結凹部3の一部を展開した図に示すとおり、連結凹部3の内周面に沿って、上記係合突起23あるいは固定突起25と係合する係合溝33(33A及び33B)が設けられている。この係合溝33の数は、固定突起25と同一であり、本実施形態では内周面上に等間隔に8つ設けられている。
また、図7(b)の断面図に示すように、この8つある係合溝33は、その構成の相違から、90゜間隔で4ずつを一組として係合溝33Aと33Bとに分けられ、係合溝33Bは後述する係合部34の一部をなすと共に、これら各係合溝はその厚さT2、T2’が異なっている。
すなわち、係合溝33のうち、係合部34の一部を構成しない係合溝33Aの厚さT2は、連結凸部2の係合突起23の厚さT1と略同一である。また、係合部34の一部を構成する係合溝33Bの厚さT2’は、連結凸部2の固定突起25の厚さT1’の厚さと略同一に構成されている。つまり、係合溝33のうち33Aの4つの溝は、連結凸部2が挿入される際に固定突起25を通過させるが、係合突起23は通過させないように構成されている。一方、33Bの4つの溝は、係合突起23及び固定突起25ともに通過させるように構成されている。
係合部34は、上記係合溝33を挟む形で設けられており、図7(a)に示す通り、係合溝33Bとその一部を共有する連結係合部34aと、係合溝33の間隙にのみ設けられている送り係合部34bとが一組となって、全部で4組設けられている。この連結係合部34aは、係合突起23が係合する係合し連結凸部2と連結凹部3の連結を実現するものであり、送り係合部34bは、連結係合部34aから移動してくる係合突起23を係合溝33方向へ送り出し、連結凸部2と連結凹部3の連結を解放するものである。
また、この係合部34の高さH’は、図2に示す連結凸部2の保持部22の高さHよりも短く構成されており、連結凸部2がバネ32の付勢力に抗して挿入された場合には、この係合部34の上部に少なくとも係合突起23が突出するように構成されている。また、この係合部34の上端部には、連結係合部34aあるいは送り係合部34bともに同一の角度を有する傾斜面F、F’が設けられており、この傾斜角度は、係合突起23の下端部と同一となっている。
〔1−2.第1の実施形態の作用効果〕
以上のような構成からなる本実施形態の連結具1は、具体的に以下のように作用する。なお、本実施形態の作用を示す図8及び図9においては、説明の便宜ため、係合突起23と係合部34について、ハッチングを施して強調した。
(1) 連結
まず、連結作用について、図2及び図8を用いて説明する。連結凸部2に設けられた回転部21の係合突起23を、連結凹部3の開口部31から係合溝33に合わせて挿入すると、この回転ヘッド21bの先端面が連結凹部3内に設けられたバネ32に当接する。この状態からさらに係合突起23が係合溝33を通過し、回転ヘッド21bが係合溝33及び係合部34を超える位置まで移動すると、連結凸部2の固定突起25が係合溝33によって連結凸部の回転方向に対して固定された状態となる。
また、回転ヘッド21bは、バネ32の付勢力によって連結反対方向に押圧されるため、回転ヘッド21bと保持部22のカム24a、24bが噛合った状態となる。ここで上記の通り、係合突起23と固定突起25は、カム24が噛合った状態では挿入方向同一直線L状に位置しないため、係合突起23は、係合溝33とずれた状態、すなわち、連結凹部の連結係合部34aの傾斜面Fに連結方向直線上で重なった状態となる(図8(a)参照)。
この状態において挿入方向への押圧を停止すると、バネ32の付勢力により、この連結凸部2は反連結方向A’に押し返されるが、その際、カム24の噛合いが外れ、回転ヘッド21bが回動可能な状態となる。そうすると、係合突起23が連結係合部34aの傾斜面Fを滑って、連結係合部34aの係合溝33A上の位置まで移動し、これにより連結凸部2と連結凹部3が連結される(図8(b)参照)。また、この際、固定突起25は、係合溝33によって、回転方向の動きを規制された状態であるため、連結凸部2と連結凹部3とは回転しない。
(2) 切り離し
次に切り離し作用について、図9を参照して説明する。切り離しを行うには、まず、連結凸部2あるいは連結凹部3のいずれかを再度連結方向Aへ押圧する。そうすると、挿入時と同様、回転部21がバネ32の付勢力に抗して、連結方向Aに移動する。そして、係合突起23と連結係合部34aの係合が解除されると共に、回転ヘッド21bは係合部34上にまで移動する(図9(a)参照)。この際、回転ヘッド21bの先端面はバネ32によって反連結方向A’に付勢されているため、回転ヘッド21bと保持部22のカム24a及び24bは噛合う状態となる。
挿入時同様、この状態においては、係合突起23と固定突起25は、挿入方向同一直線L上に位置しないため、係合突起23は、係合溝33とずれた状態、すなわち、連結係合部34aに隣接する送り係合部34bの傾斜面F’に掛かった状態となる(図9(a)参照)。
この状態において、連結方向Aへの押圧を止めると、バネ32の付勢力によりこの連結凸部2は、反連結方向A’へ押し返されるが、同時に回転ヘッド21bと保持部22とを近接させる力も解放されるため、カム24の噛合いが外れ、回転ヘッド21bが回動可能な状態となる。そうすると、回転ヘッド21bは、バネ32の押圧力にしたがって、係合突起23が送り係合部34bの傾斜面Fを滑りながら回転し、係合溝33B上に達する(図9(b)参照)。そして、回転ヘッド21bは、さらにバネ32の付勢力により反連結方向に押し出され、これにより連結凸部2と連結凹部3は切り離されることとなる。
(3) 効果
以上のような本実施形態の連結具1では、連結凸部2の回転部21に設けられた係合突起23が、連結凹部3に設けられた係合部34と係合し、連結凹部3及び連結凸部2の一方が押圧されるたびに、係合突起23が係合位置である連結係合部34aと連結解放位置である送り係合部34bとを移動するので、連結凸部2または連結凹部3を連結方向に押圧するだけで、連結具1の連結及び切り離しができる。そのため、この連結具1を備えたネックレス等の装身具の着脱を、例えば頭部の後方等の直接目視できないところにおいても容易に行うことができる。
また、回転部21の回転ヘッド21bと保持部22との接触面にカム24を設けて回転ヘッド21bを回動可能とすることにより、係合突起23の連結係合部24aへの係合、および送り係合部24bへの移動がスムーズかつ正確に行えるようになる。また、連結凹3内部にバネ32を設けて連結凸部2の回転ヘッド21bを反連結方向に押圧することによって、このバネ32が、連結凸部2が押圧され回転部21と保持部22近接するのを支持することとなるため、カム24の噛合いを確実に行うことができるようになる。さらに、このバネ32は、連結凸部2及び連結凹部3の切り離す際に、連結凸部2の押圧が解除された場合には、連結凸部2及び連結凹部3が反連結方向A’に付勢する。これにより、連結凸部2あるいは連結凹部3を挿入方向に単に押圧するだけで連結及び切り離し行うことが可能となる。
〔2.第2の実施形態〕
本実施形態に係る連結具40について、図10を用いて説明する。同図に示すように、連結具40は、上記第1の実施形態の連結具1の連結凸部2と連結凹部3に改良を施したものである。具体的には、回転部21の挿入先端部に球面状の先端面Gを設けると共に、回転ヘッド21bの先端角部もカットした連結凸部2と、開口部31に係合溝33に向かってV字状の切り込みを持ったガイド35を設けた連結凹部3とを有するものである。なお、その他の構成に関しては、上記第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
以上のような連結具40では、連結凹部3の係合溝33に向かって設けられたV字上のガイド35によって、連結凸部2の挿入時に回転部21に設けられた係合突起23を係合溝33に合わせなくとも、連結凸部2が連結方向に押圧されれば、係合突起23は、ガイド35の傾斜に沿って係合溝33まで移動するので、連結凸部2の連結凹部3への挿入作業がより容易に行えるようになる。
また、回転部21の挿入面には、球面状の先端面Gが設けられ、さらに、回転ヘッド21bの先端角部もカットされているので、連結凸部2を連結凹部3に挿入するに際して、例えば、連結凸部2と連結凹部3の挿入方向中心軸がずれた状態で、すなわち回転部21と連結凹部3の開口部31が当接したような状態で挿入しようとした場合であっても、回転部21の先端面Gが球面形状であるため、この回転部21が連結凹部3の開口部31に引っかかることなく挿入することができる。
このように、本実施形態の連結具40では、連結凸部2と連結凹部3における中心軸の位置関係及び係合突起23と係合溝33の位置関係がずれていても、そのずれを補正して連結することができるので、ネックレス等の装身具を頭部の後方等、直接目視できないところにおいて、装着する場合にも、簡易迅速に取付けを行うことができる。
〔3.他の実施形態〕
本発明は、上記のような実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すような種々の態様を包含するものであり、目的や用途に応じて適宜最適な態様を選択して実施することができるものである。例えば、本実施形態において、連結凸部における係合突起あるいは連結凹部における係合溝の数は、回転部の回転と係合という本発明の作用効果が保持される限り、取付部材の用途、大きさ等によって適宜変更可能である。
また、例えば、図11に示すように、係合突起23とカム24aとを双方の機能を兼ねた係合突起23’として構成することも可能である。このように構成することにより、上記実施形態の連結具に加えて、さらに、連結具をより簡素な態様によって構成することが可能となる。なお、この図11では上記第1の実施形態において図3に示した係合突起が3つ設けられ、固定突起が6つ設けられた構成を採用している。
また、上記実施形態において、連結凹部3に設けられている弾性部材としてバネ32のみを取り上げたが、これはあくまでも最適な例であって、上記のバネ32の場合と同様に作用する弾性を有するものであれば、いずれの材料または構成を採りうる。例えば、弾性部材としては、シリコーンゴムや合成ゴムを用いることも可能である。
ネックレス等の装身具を取り付ける接続部についても、上記の実施形態に示した接続部26、27のような構成以外に、例えば、図12に示すように、回転部21と保持部22とを連結させる軸部21aにワイヤ29等を取付け、その先端を輪状にして接続部30として構成することもできる。
また、上記実施形態で示した連結凹部3側の接続部36の取付け方法も、例えば、連結凹部3に対して一体的に成形する態様、ねじ込むことによって取付ける態様や単に連結凹部3に対して嵌め込む態様あるいは半田付けする態様等、いずれの構成でもよい。
このように、装身具を接続する接続部を、連結凸部2及び連結凹部3に対して一体的あるいは付属的に取付けるように設けることにより、本発明の連結具を既存のネックレスやブレスレットの連結具に代えて取付けることができたり、一つの連結具で多数の装身具に利用することができ、利便性の高い連結具を提供することができる。
また、図13に示すように、連結具50の連結凹部3の外装で、連結凸部2全体を被覆するように構成することも可能である。このように構成することにより、両部材の連結が確実となり、連結凸部2の連結凹部3内での遊動等が生じなくなるともに、連結時には、この連結凹部3の外装により連結凸部2の挿入方向がガイドされるため、装着感が向上する。
本発明では、さらに、図14(a)に示すように、保持部22と軸部21aとを接続するネジSの調整によって、連結凸部2の回転ヘッド21bと保持部22のカム24a、24b間に生ずる遊びP’を長くした連結具60を構成することも可能である。この遊びP’は、同図(a)に示すように、連結凸部2と連結凹部3とを連結時に、保持部22を反連結方向に引っ張った場合において固定突起25が係合溝33から解放される位置まで移動する程度に十分に長く構成されている。したがって、同図(b)に示すように、連結凸部2を連結凹部3に連結され、保持部22が反連結方向に引っ張られた状態においては、固定突起25が連結回転方向に対しての係合溝33の拘束から解放された状態となり、連結された連結凹部2と連結凹部3は、相互に回動可能となる。
このように、カム24a及び24b間に遊びP’を長く持たせることにより、連結凸部2と連結凹部3とが相互に回動自在となるため、例えば、この連結具60を介して、ネックレスを取りつける場合に、ネックレスをよじれたままの状態で取りつけたとしても、連結凸部2あるいは連結凹部3のいずれかが回動することによって、このよじれを容易に修正することが可能である。
また、図6に示すように接続部とネジSとを共通の部材として接続部28を構成した場合、あるいは図12に示すように回転部21と保持部22とを連結させる軸部21aにワイヤ29等を取付け、その先端を輪状にして接続部30として構成した場合には、連結時の回転ヘッド21bの回転に伴って、この接続部も回転してしまうこととなるが、上記の連結具60では、連結凸部2及び連結凹部3のいずれか回動可能となっているため、このような連結時における、ねじれが生じるのを防ぐことができる。
なお、上記のように遊びP’を長く構成した場合には、保持部22は、係合溝33によって拘束されていないため連結凹部3に対して遊動した状態となっている。そのため、このような構成を用いる場合には、例えば図14(a)に示すように、連結凹部3で連結凸部2を覆うように構成することによって、連結凸部2あるいは連結凹部3の軸方向左右への遊動を押さえるように構成すると良い。
また、上記のような図6または図12に示す構成では、部品点数を簡略化するという大きなメリットがある反面、これをネックレス等に用いた場合には、上記の通りねじれの影響を受けることが考えられる。そのため、このような構成の接続部は、連結具を用いて一つの輪を連結するネックレスやブレスレット等に用いるよりも、例えば図15に示すような、携帯電話Mに取りつける携帯ストラップであって、接続部26及び36のそれぞれに別個の輪を連結したもの等、ねじれの影響を受けにくい部材の連結具として用いるのがよい。
本発明の連結具における各部材の大きさや厚さ等は、用途に応じて適宜変更可能である。また、上記実施形態においては、本発明の連結具を構成する材料を特に限定していないが、例えば、連結凸部及び連結凹部における突起や溝等のカム機構部分には、プラスチック等の可塑性の樹脂や金属類を用いるのがよい。一方、装身具等と連結する接続部分に関しては、いずれの材料を用いて構成しても良く、例えば、プラスチック等の樹脂、金属を始め、ゴム等の弾性体で構成することも可能である。
また、連結具の内部構造の作用効果を維持できる範囲で、連結凸部と連結凹部の外装は、自由に構成することができる。例えば、図16(a)〜(c)に示すように、取付ける装身具のデザインに応じて、星型の連結具70aや球状の連結具70b、あるいはひし形の連結具70c等に構成することができる。また、この連結具自体を装身具の装飾部として、デザイン性を持たせることも可能である。
さらに、本発明の連結具は、上記のような装身具等の連結部分に用いるものに限られず、例えば、図17に示すように、カーテンフックとカーテンロールとの間を連結する連結具80として用いることも可能である。すなわち、連結具80は、連結凸部2の連結方向反対端部にカーテンを取りつけるカーテンフック81を設け、連結凹部3の連結方向反対端部に図示しないカーテンレールと噛合ってレール上を回転しながら移動するカーテンロール82と、このカーテンロール82と連結凹部3とを接続する接続支持部83とを備えるものである。
このように、本発明の連結具をカーテンフックとカーテンロールの連結部分として用いることによって、従来カーテンフックをカーテンロールに設けられた小さい輪を目掛けて引っ掛けることにより連結していた両部材を、ワンプッシュによって連結及び切り離しが可能となるので、仮に手の届きにくい高所において連結及び切り離しの作業を行わなければならないような場合であっても容易に行うことができるようになる。
本発明の第1の実施形態の全体構成を示す模式図。
本発明の第1の実施形態における連結凸部の構成を示す模式図及び断面図。
本発明の第1の実施形態における連結凸部の他の構成を示す断面図(a)及び(b)。
本発明の第1の実施形態における連結凸部の構成を示す断面図(a)及び(b)。
本発明の第1の実施形態の他の構成を示す模式図。
本発明の第1の実施形態の他の構成を示す模式図。
本発明の第1の実施形態における連結凹部の構成を示す展開図(a)及び断面図(b)。
本発明の第1の実施形態の作用を示す模式図。
本発明の第1の実施形態の作用を示す模式図。
本発明の第2の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
従来の連結具を示す模式図。
符号の説明
1、40、50、60、70、80、90…連結具
2…連結凸部
2b…回転ヘッド
3…連結凹部
21…回転部
21a…軸部
21b…回転ヘッド
22…保持部
23…係合突起
23’…結合突起
24、24a、24b…カム
25…固定突起
26、28、30、36…接続部
27…接続受け部
29…ワイヤ
31…開口部
32…バネ
33、33A、33B…係合溝
34…係合部
34a…連結係合部
34b…送り係合部
35…ガイド
F、F’…傾斜面
G…先端面
S…ネジ
本発明は、ネックレス、ブレスレット等の装身具の連結部や携帯ストラップ、ネックストラップ等の連結部に用いるものであって、頭部後方等、目視のできない範囲において着脱する場合であっても、ワンプッシュで簡易迅速に着脱することのできる連結具に関するものである。
ネックレス等の装身具の連結具としては、例えば、図18に示すように、径の細い筒状の輪91を外装部として、この外装部内に、つまみ93を備えた棒状の輪92と図示しないバネを嵌挿して構成したものがある。このような連結具90は、外観上の制約で小型にして簡素な構造であることが要求されるネックレス等の装身具としてその必要性を具備するため、従来より一般的に用いられている。しかし、この連結具90では、装身具の着脱を行うには、小さなつまみ93を図中矢印方向に引きながら装着しなければならず、例えばネックレスの着脱が通常頭部の後方の目視できない範囲でなされたり、ブレスレットの着脱が片方の手のみでなされることを考えると、このような装着作業は必ずしも容易なものとは言えなかった。
そこで、従来より、装身具の連結部品においては、装身具の着脱を容易にするべく種々の工夫がなされている。例えば、下記特許文献1は、バネと係合突起を備えた筒状金具に、縦あるいは周状に溝の刻まれた挿入金具を、この係合突起と縦溝とを係合させることによって挿入金具を筒状金具に挿入し、係合突起が周状の溝に達した段階で挿入金具を回転させることによって装身具の取付けを行えるように構成したものである。
特開平7−213317号公報
しかしながら、上記の従来技術において、挿入金具を筒状金具に連結するには、小さな挿入金具を筒状金具の縦溝に合わせて挿入し、さらに周溝に沿って回転させる必要があり、この連結作業は非常に煩雑なものであった。
また、挿入のきっかけとなる筒状金具の縦溝の数は、直径上に設けられた2箇所のみで、挿入時には必ず筒状金具の係合突起をこの縦溝に合わせて挿入しなければならないことから、この点からも連結作業が容易であるとは言いがたかった。
さらに、上記の連結具では、切り離す際にも、筒状金具のバネの付勢力に抗して挿入金具を押しながら回転させなければならず、例えばネックレスのように、頭部後方等、目視のできない範囲において着脱する装身具に用いた場合に、その着脱を容易に行うことはできなかった。このように、装身具等の連結具としては、より簡単に着脱可能な技術の提案が望まれていた。
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、頭部後方等の目視できない範囲において着脱する場合あるいは片手のみで着脱を行う場合であっても、ワンプッシュで簡易迅速に着脱することのできる連結具を提供することにある。
上記の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、筒状の連結凹部と、前記連結凹部に挿入されることにより装身具を連結する連結凸部とを有する連結具において、前記連結凸部は、回転部とこれを回転可能に保持する保持部とを有し、前記回転部の外周には、係合突起が設けられ、前記連結凹部の内周には、前記係合突起に係合する係合部が設けられ、前記連結凹部に前記連結凸部が挿入された状態で、前記連結凹部及び前記連結凸部のいずれか一方が互いに近接する方向に押圧される毎に、前記係合突起が、前記係合部に係合する係合位置と前記係合部から解放される解放位置との間で交互に移動可能となるように、前記押圧方向の力を前記回転部の回動に変換する変換部が設けられていることを特徴とする。
以上のような請求項1の発明では、連結凸部の回転部に設けられた係合突起が、連結凹部に設けられた係合部と係合し、連結凹部及び連結凸部の一方が押圧されるたびに、係合突起が、前記係合部に係合する係合位置と前記係合部から解放される解放位置との間で交互に移動するので、連結凸部または連結凹部を連結方向に押圧するだけで、連結具の連結及び切り離しができるため、この連結具にネックレス等の装身具を取付けた場合に、そのネックレスの着脱を、例えば頭部の後方等の直接目視できないところにおいても容易に行うことができる。
請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、前記変換部は、前記回転部と前記保持部との接触面に設けられ、互いに接触する方向に付勢される毎に、前記回転部を回動させるカム機構と、前記連結凹部及び前記連結凸部のいずれか一方が押圧された場合に、前記回転部を前記保持部に接触する方向に付勢し、押圧が解除された場合に、前記連結凹部及び前記連結凸部が互いに離脱する方向に付勢する付勢部と、を有することを特徴とする。
以上のような請求項2の発明では、請求項1における変換部として、回転部と保持部との接触面にカム機構を設けて回転部の回転を可能とすることにより、係合突起の係合位置と解放位置への移動がスムーズかつ正確に行えるようになる。また、例えばバネ等の弾性体からなる付勢部を用いることによって、回転部と保持部とが近接する方向に押圧された場合には、それらの接触面の接触を支持することができると共に、押圧が解除された場合には、連結凹部及び連結凸部が離脱する方向に付勢することができるので、ワンプッシュでの連結及び切り離しをより容易に行うことが可能となる。
請求項3の発明は、請求項2に記載の発明において、前記カム機構は、前記係合突起の一部であることを特徴とする。
以上のような請求項3記載の発明では、係合突起がカム機構も兼ねるため、より簡素な構成の連結具を提供することできる。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、前記係合部の間には、前記連結凸部の挿入時に、前記係合突起を通過させる係合溝が設けられ、前記連結凹部には、前記係合突起を前記各係合溝に誘導するガイドが設けられていることを特徴とする。
以上のような請求項4の発明では、係合部の間に係合溝を設けることにより、係合突起と係合部の係合を支持することができると共に、この係合溝に係合突起を誘導するガイドが設けられているため、連結凸部の挿入時に係合突起を係合溝に合わせて挿入しなくとも、ガイドに沿って挿入することができるので、連結凸部の連結凹部への挿入作業がより容易に行えるようになる。
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、前記回転部の挿入先端面は、略球面状であることを特徴とする。
以上のような請求項5の発明では、連結凸部を連結凹部に挿入するに際して、例えば、連結凹部と連結凸部の挿入方向中心軸がずれた状態で挿入しようとした場合であっても、回転部の先端面が球面形状であるため、この回転部が連結凹部の開口部に引っかかることなく連結凹部に挿入されるようになる。特に、請求項3の構成と組み合わせた場合には、連結凸部と連結凹部の中心軸の位置関係および係合突起と係合溝の位置関係がずれていても、そのずれを補正して連結することが可能となる。
請求項6の発明は、請求項1から5記載のいずれか1項に記載において、前記連結凸部は、連結時において、その外周を前記連結凹部に覆われていることを特徴とする。
以上のような請求項6の発明では、連結凸部を連結凹部によって覆うことによって、両部材の連結が確実となり、連結凸部の連結凹部内での遊動等が生じなくなるともに、連結時には、この連結凹部の外装により連結凸部の挿入方向がガイドされるため、装着感が向上する。
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明において、前記連結凸部と前記連結凹部とは、連結時において互いに回動自在に構成されていることを特徴とする。
以上のような請求項7の発明では、ネックレス等の装身具を取りつける場合に、ネックレス等がよじれたままの状態で、連結凸部と連結凹部とを連結したとしても、連結時においても連結凸部あるいは連結凹部のいずれかを回転させることができるため、このよじれを容易に修正することが可能となる。
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の発明において、前記連結凸部及び前記連結凹部の連結方向と反対の端部には、装身具を接続する接続部が設けられていることを特徴とする。
以上のような請求項8の発明では、装身具を接続する接続部が、連結凹部及び連結凸部に一体あるいは取付ける態様で設けられているため、既存のネックレスやブレスレットの連結具に代えて取付けることが可能であると共に、一つの連結具で多数の装身具に利用することができる。
以上説明したように、本発明の連結具によれば、カム機構を用いてこのカムの係合によって連結具の連結及び切り離しを行うため、例えば、この連結具を備えた装身具等を目視のできない範囲において着脱する場合あるいは片手のみで着脱を行う場合であっても、ワンプッシュで簡易迅速に着脱することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照して具体的に説明する。
〔1.第1の実施形態〕
〔1−1.第1の実施形態の構成〕
第1の実施形態に係る連結具1は、図1に示すように、カムを備えた連結凸部2と内部にバネを備えた筒状の連結凹部3とからなる。
(1) 連結凸部の構成
この連結凸部2は、図1または図2に示すように、周面に係合突起23を備えた回転部21と、この回転部21を回動可能に保持する保持部22とからなる。
回転部21は、円筒形の軸部21aと、同じく円筒形で係合突起23を備える回転ヘッド21bとからなる。図2において回転ヘッド21bの断面図に示すように、この回転ヘッド21bには、係合突起23が等間隔に4つ設けられている。また、回転ヘッド21bの係合突起23を除いた外周と保持部22の外周とは同一に構成され、軸部21aの外周と保持部22の内周とは略同一に構成されている。
ここで、この回転ヘッド21bの周状に設けられる係合突起23の構成は、図2の等間隔に4つ設けた態様に限られず、図3(a)に示すように120゜の間隔で3つ設けたり、図4(a)に示すように72゜の間隔で5つ設ける等、その構成は任意である。ただし、後述する係合溝との関係上、少なくとも等間隔で設ける必要がある。また、ある程度小型化、部材自体の簡略化の観点からは係合突起を3つあるいは4つで構成するのが望ましい。
回転ヘッド21bの下端部には山切りにカットされたカム24aが設けられ、保持部22の上端部には同じく山切りにカットされたカム24bが設けられている。そして、これらのカムが相互に噛合って、回転ヘッド21bと保持部22との回動を制御している。さらに具体的には、このカム24a、24bは、回転ヘッド21b及び保持部22の円周上に沿って、一つの山型の噛合いを1とすると、等間隔に8つの噛合いが設けられている。また、回転ヘッド21bに均等に配置された係合突起23の下端部は、この山切りカットされたカム24aの一斜辺を形成し、すべて同一の方向に(ここでは右下がり)傾斜付けられている。
なお、このカム24の構成は、このような山切りにカットしたものに限られず、上下が噛合い、回転ヘッド2bの回動が保持部22によって制御されるようなものであれば、例えば、図5に示すように、波切りにカットした構成としても良い。ただし、係合突起23は、後述する連結凹部3に設けられた係合部と係合することから、その下端部に傾斜面を有する必要がある。したがって、構成の簡略化からは、この係合突起23の形状に合わせて山切りとするのが最適である。
一方、保持部22には、図2に示すように、カム24bの一つの噛合いにおける頂点Vの直線状を中心とする固定突起25が設けられている。この固定突起25は、後述する連結凸部2を連結凹部3に挿入した際に、連結凹部3の係合溝33と係合して、両者の回転を制御するものである。また、保持部22の連結方向と反対の端部には、ネックレス等の装身具と接続する輪を備えた接続部26を嵌め込む接続受け部27が設けられている。
ここで、係合突起23と固定突起25とは、その周面と平行な幅Wは、後述する係合溝33の幅を基準として略同一に構成されているが、その外周方向への厚さは、係合突起23の厚さT1が固定突起25の厚さT1’よりも厚く構成されている。また、この固定突起25は上記の通り、カム24bの頂点Vの下部に設けられているため、回転ヘッド21bと保持部22がカム24a、24bを介して噛合った場合には、図2に示すように係合突起23の中心Mは、固定突起25の中心である直線L上からずれた状態となる。
このような構成からなる回転部21と保持部22とは、図2に示す通り、軸部21aが保持部22の筒内に嵌挿されているが、この場合、回転部21が保持部22に対して回動自在に保たれるように、連結方向A−A’に対して摺動可能に接続されている。すなわち、回転部21は、保持部22に対して連結方向に若干の遊びPがある。
また、本実施形態における回転部21と保持部22の接続方法としては、軸部21aに保持部22の内周径よりも若干大きい径を有するネジSを用いて、ネジ留めすることとしている。なお、この構成は、実施形態の一例に過ぎず、回転部21の遊びPが維持される限りは、いずれの態様でもよい。例えば、図6に示すように、接続部とネジSとを共通の部材とした接続部28として構成することも可能である。
(2) 連結凹部の構成
連結凹部3は、図1に示すとおり、連結凸部2を挿入する側に開口部31を備える筒状体で、開口部31と反対の端部には、筒内部に向かってバネ32が設けられている。このバネ32は、連結凸部2が連結凹部3に挿入された場合に、回転部21の先端面を押圧し、この回転部21を保持部22に接触する方向(反連結方向A’)に付勢すると共に、この回転部21の押圧が解除された場合に、連結凹部3及び連結凸部2が互いに離脱する方向(反連結方向A’)に付勢するものである。そして、上記連結凸部2におけるカム24とこのバネ32とによって、連結凸部2挿入時の押圧方向に対する力を、回転部21の回動方向に変換する変換部を構成している。また、当該端部の外部方向には、ネックレス等の装身具と接続する輪を備えた接続部36が設けられている。
開口部31付近には、図7(a)の連結凹部3の一部を展開した図に示すとおり、連結凹部3の内周面に沿って、上記係合突起23あるいは固定突起25と係合する係合溝33(33A及び33B)が設けられている。この係合溝33の数は、固定突起25と同一であり、本実施形態では内周面上に等間隔に8つ設けられている。
また、図7(b)の断面図に示すように、この8つある係合溝33は、その構成の相違から、90゜間隔で4ずつを一組として係合溝33Aと33Bとに分けられ、係合溝33Bは後述する係合部34の一部をなすと共に、これら各係合溝はその厚さT2、T2’が異なっている。
すなわち、係合溝33のうち、係合部34の一部を構成しない係合溝33Aの厚さT2は、連結凸部2の係合突起23の厚さT1と略同一である。また、係合部34の一部を構成する係合溝33Bの厚さT2’は、連結凸部2の固定突起25の厚さT1’の厚さと略同一に構成されている。つまり、係合溝33のうち33Aの4つの溝は、連結凸部2が挿入される際に固定突起25を通過させるが、係合突起23は通過させないように構成されている。一方、33Bの4つの溝は、係合突起23及び固定突起25ともに通過させるように構成されている。
係合部34は、上記係合溝33を挟む形で設けられており、図7(a)に示す通り、係合溝33Bとその一部を共有する連結係合部34aと、係合溝33の間隙にのみ設けられている送り係合部34bとが一組となって、全部で4組設けられている。この連結係合部34aは、係合突起23が係合する係合し連結凸部2と連結凹部3の連結を実現するものであり、送り係合部34bは、連結係合部34aから移動してくる係合突起23を係合溝33方向へ送り出し、連結凸部2と連結凹部3の連結を解放するものである。
また、この係合部34の高さH’は、図2に示す連結凸部2の保持部22の高さHよりも短く構成されており、連結凸部2がバネ32の付勢力に抗して挿入された場合には、この係合部34の上部に少なくとも係合突起23が突出するように構成されている。また、この係合部34の上端部には、連結係合部34aあるいは送り係合部34bともに同一の角度を有する傾斜面F、F’が設けられており、この傾斜角度は、係合突起23の下端部と同一となっている。
〔1−2.第1の実施形態の作用効果〕
以上のような構成からなる本実施形態の連結具1は、具体的に以下のように作用する。なお、本実施形態の作用を示す図8及び図9においては、説明の便宜ため、係合突起23と係合部34について、ハッチングを施して強調した。
(1) 連結
まず、連結作用について、図2及び図8を用いて説明する。連結凸部2に設けられた回転部21の係合突起23を、連結凹部3の開口部31から係合溝33に合わせて挿入すると、この回転ヘッド21bの先端面が連結凹部3内に設けられたバネ32に当接する。この状態からさらに係合突起23が係合溝33を通過し、回転ヘッド21bが係合溝33及び係合部34を超える位置まで移動すると、連結凸部2の固定突起25が係合溝33によって連結凸部の回転方向に対して固定された状態となる。
また、回転ヘッド21bは、バネ32の付勢力によって連結反対方向に押圧されるため、回転ヘッド21bと保持部22のカム24a、24bが噛合った状態となる。ここで上記の通り、係合突起23と固定突起25は、カム24が噛合った状態では挿入方向同一直線L状に位置しないため、係合突起23は、係合溝33とずれた状態、すなわち、連結凹部の連結係合部34aの傾斜面Fに連結方向直線上で重なった状態となる(図8(a)参照)。
この状態において挿入方向への押圧を停止すると、バネ32の付勢力により、この連結凸部2は反連結方向A’に押し返されるが、その際、カム24の噛合いが外れ、回転ヘッド21bが回動可能な状態となる。そうすると、係合突起23が連結係合部34aの傾斜面Fを滑って、連結係合部34aの係合溝33A上の位置まで移動し、これにより連結凸部2と連結凹部3が連結される(図8(b)参照)。また、この際、固定突起25は、係合溝33によって、回転方向の動きを規制された状態であるため、連結凸部2と連結凹部3とは回転しない。
(2) 切り離し
次に切り離し作用について、図9を参照して説明する。切り離しを行うには、まず、連結凸部2あるいは連結凹部3のいずれかを再度連結方向Aへ押圧する。そうすると、挿入時と同様、回転部21がバネ32の付勢力に抗して、連結方向Aに移動する。そして、係合突起23と連結係合部34aの係合が解除されると共に、回転ヘッド21bは係合部34上にまで移動する(図9(a)参照)。この際、回転ヘッド21bの先端面はバネ32によって反連結方向A’に付勢されているため、回転ヘッド21bと保持部22のカム24a及び24bは噛合う状態となる。
挿入時同様、この状態においては、係合突起23と固定突起25は、挿入方向同一直線L上に位置しないため、係合突起23は、係合溝33とずれた状態、すなわち、連結係合部34aに隣接する送り係合部34bの傾斜面F’に掛かった状態となる(図9(a)参照)。
この状態において、連結方向Aへの押圧を止めると、バネ32の付勢力によりこの連結凸部2は、反連結方向A’へ押し返されるが、同時に回転ヘッド21bと保持部22とを近接させる力も解放されるため、カム24の噛合いが外れ、回転ヘッド21bが回動可能な状態となる。そうすると、回転ヘッド21bは、バネ32の押圧力にしたがって、係合突起23が送り係合部34bの傾斜面Fを滑りながら回転し、係合溝33B上に達する(図9(b)参照)。そして、回転ヘッド21bは、さらにバネ32の付勢力により反連結方向に押し出され、これにより連結凸部2と連結凹部3は切り離されることとなる。
(3) 効果
以上のような本実施形態の連結具1では、連結凸部2の回転部21に設けられた係合突起23が、連結凹部3に設けられた係合部34と係合し、連結凹部3及び連結凸部2の一方が押圧されるたびに、係合突起23が係合位置である連結係合部34aと連結解放位置である送り係合部34bとを移動するので、連結凸部2または連結凹部3を連結方向に押圧するだけで、連結具1の連結及び切り離しができる。そのため、この連結具1を備えたネックレス等の装身具の着脱を、例えば頭部の後方等の直接目視できないところにおいても容易に行うことができる。
また、回転部21の回転ヘッド21bと保持部22との接触面にカム24を設けて回転ヘッド21bを回動可能とすることにより、係合突起23の連結係合部24aへの係合、および送り係合部24bへの移動がスムーズかつ正確に行えるようになる。また、連結凹3内部にバネ32を設けて連結凸部2の回転ヘッド21bを反連結方向に押圧することによって、このバネ32が、連結凸部2が押圧され回転部21と保持部22近接するのを支持することとなるため、カム24の噛合いを確実に行うことができるようになる。さらに、このバネ32は、連結凸部2及び連結凹部3の切り離す際に、連結凸部2の押圧が解除された場合には、連結凸部2及び連結凹部3が反連結方向A’に付勢する。これにより、連結凸部2あるいは連結凹部3を挿入方向に単に押圧するだけで連結及び切り離し行うことが可能となる。
〔2.第2の実施形態〕
本実施形態に係る連結具40について、図10を用いて説明する。同図に示すように、連結具40は、上記第1の実施形態の連結具1の連結凸部2と連結凹部3に改良を施したものである。具体的には、回転部21の挿入先端部に球面状の先端面Gを設けると共に、回転ヘッド21bの先端角部もカットした連結凸部2と、開口部31に係合溝33に向かってV字状の切り込みを持ったガイド35を設けた連結凹部3とを有するものである。なお、その他の構成に関しては、上記第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
以上のような連結具40では、連結凹部3の係合溝33に向かって設けられたV字上のガイド35によって、連結凸部2の挿入時に回転部21に設けられた係合突起23を係合溝33に合わせなくとも、連結凸部2が連結方向に押圧されれば、係合突起23は、ガイド35の傾斜に沿って係合溝33まで移動するので、連結凸部2の連結凹部3への挿入作業がより容易に行えるようになる。
また、回転部21の挿入面には、球面状の先端面Gが設けられ、さらに、回転ヘッド21bの先端角部もカットされているので、連結凸部2を連結凹部3に挿入するに際して、例えば、連結凸部2と連結凹部3の挿入方向中心軸がずれた状態で、すなわち回転部21と連結凹部3の開口部31が当接したような状態で挿入しようとした場合であっても、回転部21の先端面Gが球面形状であるため、この回転部21が連結凹部3の開口部31に引っかかることなく挿入することができる。
このように、本実施形態の連結具40では、連結凸部2と連結凹部3における中心軸の位置関係及び係合突起23と係合溝33の位置関係がずれていても、そのずれを補正して連結することができるので、ネックレス等の装身具を頭部の後方等、直接目視できないところにおいて、装着する場合にも、簡易迅速に取付けを行うことができる。
〔3.他の実施形態〕
本発明は、上記のような実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すような種々の態様を包含するものであり、目的や用途に応じて適宜最適な態様を選択して実施することができるものである。例えば、本実施形態において、連結凸部における係合突起あるいは連結凹部における係合溝の数は、回転部の回転と係合という本発明の作用効果が保持される限り、取付部材の用途、大きさ等によって適宜変更可能である。
また、例えば、図11に示すように、係合突起23とカム24aとを双方の機能を兼ねた係合突起23’として構成することも可能である。このように構成することにより、上記実施形態の連結具に加えて、さらに、連結具をより簡素な態様によって構成することが可能となる。なお、この図11では上記第1の実施形態において図3に示した係合突起が3つ設けられ、固定突起が6つ設けられた構成を採用している。
また、上記実施形態において、連結凹部3に設けられている弾性部材としてバネ32のみを取り上げたが、これはあくまでも最適な例であって、上記のバネ32の場合と同様に作用する弾性を有するものであれば、いずれの材料または構成を採りうる。例えば、弾性部材としては、シリコーンゴムや合成ゴムを用いることも可能である。
ネックレス等の装身具を取り付ける接続部についても、上記の実施形態に示した接続部26、27のような構成以外に、例えば、図12に示すように、回転部21と保持部22とを連結させる軸部21aにワイヤ29等を取付け、その先端を輪状にして接続部30として構成することもできる。
また、上記実施形態で示した連結凹部3側の接続部36の取付け方法も、例えば、連結凹部3に対して一体的に成形する態様、ねじ込むことによって取付ける態様や単に連結凹部3に対して嵌め込む態様あるいは半田付けする態様等、いずれの構成でもよい。
このように、装身具を接続する接続部を、連結凸部2及び連結凹部3に対して一体的あるいは付属的に取付けるように設けることにより、本発明の連結具を既存のネックレスやブレスレットの連結具に代えて取付けることができたり、一つの連結具で多数の装身具に利用することができ、利便性の高い連結具を提供することができる。
また、図13に示すように、連結具50の連結凹部3の外装で、連結凸部2全体を被覆するように構成することも可能である。このように構成することにより、両部材の連結が確実となり、連結凸部2の連結凹部3内での遊動等が生じなくなるともに、連結時には、この連結凹部3の外装により連結凸部2の挿入方向がガイドされるため、装着感が向上する。
本発明では、さらに、図14(a)に示すように、保持部22と軸部21aとを接続するネジSの調整によって、連結凸部2の回転ヘッド21bと保持部22のカム24a、24b間に生ずる遊びP’を長くした連結具60を構成することも可能である。この遊びP’は、同図(a)に示すように、連結凸部2と連結凹部3とを連結時に、保持部22を反連結方向に引っ張った場合において固定突起25が係合溝33から解放される位置まで移動する程度に十分に長く構成されている。したがって、同図(b)に示すように、連結凸部2を連結凹部3に連結され、保持部22が反連結方向に引っ張られた状態においては、固定突起25が連結回転方向に対しての係合溝33の拘束から解放された状態となり、連結された連結凹部2と連結凹部3は、相互に回動可能となる。
このように、カム24a及び24b間に遊びP’を長く持たせることにより、連結凸部2と連結凹部3とが相互に回動自在となるため、例えば、この連結具60を介して、ネックレスを取りつける場合に、ネックレスをよじれたままの状態で取りつけたとしても、連結凸部2あるいは連結凹部3のいずれかが回動することによって、このよじれを容易に修正することが可能である。
また、図6に示すように接続部とネジSとを共通の部材として接続部28を構成した場合、あるいは図12に示すように回転部21と保持部22とを連結させる軸部21aにワイヤ29等を取付け、その先端を輪状にして接続部30として構成した場合には、連結時の回転ヘッド21bの回転に伴って、この接続部も回転してしまうこととなるが、上記の連結具60では、連結凸部2及び連結凹部3のいずれか回動可能となっているため、このような連結時における、ねじれが生じるのを防ぐことができる。
なお、上記のように遊びP’を長く構成した場合には、保持部22は、係合溝33によって拘束されていないため連結凹部3に対して遊動した状態となっている。そのため、このような構成を用いる場合には、例えば図14(a)に示すように、連結凹部3で連結凸部2を覆うように構成することによって、連結凸部2あるいは連結凹部3の軸方向左右への遊動を押さえるように構成すると良い。
また、上記のような図6または図12に示す構成では、部品点数を簡略化するという大きなメリットがある反面、これをネックレス等に用いた場合には、上記の通りねじれの影響を受けることが考えられる。そのため、このような構成の接続部は、連結具を用いて一つの輪を連結するネックレスやブレスレット等に用いるよりも、例えば図15に示すような、携帯電話Mに取りつける携帯ストラップであって、接続部26及び36のそれぞれに別個の輪を連結したもの等、ねじれの影響を受けにくい部材の連結具として用いるのがよい。
本発明の連結具における各部材の大きさや厚さ等は、用途に応じて適宜変更可能である。また、上記実施形態においては、本発明の連結具を構成する材料を特に限定していないが、例えば、連結凸部及び連結凹部における突起や溝等のカム機構部分には、プラスチック等の可塑性の樹脂や金属類を用いるのがよい。一方、装身具等と連結する接続部分に関しては、いずれの材料を用いて構成しても良く、例えば、プラスチック等の樹脂、金属を始め、ゴム等の弾性体で構成することも可能である。
また、連結具の内部構造の作用効果を維持できる範囲で、連結凸部と連結凹部の外装は、自由に構成することができる。例えば、図16(a)〜(c)に示すように、取付ける装身具のデザインに応じて、星型の連結具70aや球状の連結具70b、あるいはひし形の連結具70c等に構成することができる。また、この連結具自体を装身具の装飾部として、デザイン性を持たせることも可能である。
さらに、本発明の連結具は、上記のような装身具等の連結部分に用いるものに限られず、例えば、図17に示すように、カーテンフックとカーテンロールとの間を連結する連結具80として用いることも可能である。すなわち、連結具80は、連結凸部2の連結方向反対端部にカーテンを取りつけるカーテンフック81を設け、連結凹部3の連結方向反対端部に図示しないカーテンレールと噛合ってレール上を回転しながら移動するカーテンロール82と、このカーテンロール82と連結凹部3とを接続する接続支持部83とを備えるものである。
このように、本発明の連結具をカーテンフックとカーテンロールの連結部分として用いることによって、従来カーテンフックをカーテンロールに設けられた小さい輪を目掛けて引っ掛けることにより連結していた両部材を、ワンプッシュによって連結及び切り離しが可能となるので、仮に手の届きにくい高所において連結及び切り離しの作業を行わなければならないような場合であっても容易に行うことができるようになる。
本発明の第1の実施形態の全体構成を示す模式図。
本発明の第1の実施形態における連結凸部の構成を示す模式図及び断面図。
本発明の第1の実施形態における連結凸部の他の構成を示す断面図(a)及び(b)。
本発明の第1の実施形態における連結凸部の構成を示す断面図(a)及び(b)。
本発明の第1の実施形態の他の構成を示す模式図。
本発明の第1の実施形態の他の構成を示す模式図。
本発明の第1の実施形態における連結凹部の構成を示す展開図(a)及び断面図(b)。
本発明の第1の実施形態の作用を示す模式図。
本発明の第1の実施形態の作用を示す模式図。
本発明の第2の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
本発明の他の実施形態の構成を示す模式図。
従来の連結具を示す模式図。
符号の説明
1、40、50、60、70、80、90…連結具
2…連結凸部
2b…回転ヘッド
3…連結凹部
21…回転部
21a…軸部
21b…回転ヘッド
22…保持部
23…係合突起
23’…結合突起
24、24a、24b…カム
25…固定突起
26、28、30、36…接続部
27…接続受け部
29…ワイヤ
31…開口部
32…バネ
33、33A、33B…係合溝
34…係合部
34a…連結係合部
34b…送り係合部
35…ガイド
F、F’…傾斜面
G…先端面
S…ネジ