JP2005151813A - 粉体麹の製麹方法およびその粉体麹を用いた飲食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来製鞠が困難とされていた芋類や穀類を原料として麹を効率的に最適な条件で培養できる粉体麹の製麹方法とその粉体麹を用いた飲食品を提供する。
【解決手段】芋類の粉体もしくは穀類の粉体またはこれらの混合物の粉体に対して、所定量の水を添加して、機械式ミキサーにより該粉体と前記水とを均一に混合し、前記粉体に前記水が均一に分散された加水粉体に調整する。次いで、該加水粉体を蒸気加熱または直接加熱によりアルファ化処理した後、これに麹菌を植え付けて培養し、粉体麹を製麹する。また、該粉体麹を用いて芋類や穀類を醗酵・醸造させて飲食品を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、酒類等の醗酵飲食品の製造に用いられる粉体麹の製麹方法に係り、特に、焼酎に使用可能な粉体麹を製造するための製麹方法と、その粉体麹を用いて製造された飲食品に関する。
従来、食品素材中の澱粉や蛋白質を麹の酵素力で分解することにより作る醗酵食品が多くある。この麹のほとんどは米、麦などの穀類や大豆などに麹菌を繁殖させたものである。焼酎などに使用される芋麹として、サツマイモで麹が作られた例があるが、蒸したサツマイモは水分が多すぎ、また全体が団子状になってしまい菌糸の回りがよくない。このため、生の切芋を砕いて、さらにこれを蒸した所謂蒸し切芋を使うなどの工夫がなされている。しかし酵素力価が弱いことや風味に劣るなどの理由からほとんど実用化されなかった。従って、例えば、本格サツマイモ焼酎といわれるものであってもその麹は米で作られ、これに蒸したサツマイモを添加する形をとっているのが主体で、生成されたアルコールの約3分の1から2分の1程度は米澱粉に由来し、香味に関しても同様である。この意味から、サツマイモの風味豊かな、真に純粋なサツマイモ焼酎、サツマイモ味噌、サツマイモ酢といえる製品はほとんど存在していない。これに対して、サツマイモから芋麹を造り、その芋麹を用いた酒類、食品の製造する技術が、例えば、特許文献1または特許文献2などに開示されている。
特許文献1に開示されている発明は、主に焼酎の原料となる芋麹の製造法とその芋麹を用いた焼酎に関するもので、生芋をミンチ状に細刻し、これを乾燥させて30〜50%の含水状態で麹菌を散布し培養して芋麹を得、これを用いて芋焼酎を製造している。また、特許文献2に開示されている発明は、焙炒処理した芋類、それを製麹してなる焙炒芋麹およびそれらを用いる酒類、食品の製造方法に関するもので、芋類を裁断して裁断物とし、その裁断物を焙炒し、焙炒した裁断物を製麹して芋麹を得、これを用いて酒類、食品を製造している。ところが、これら発明に開示されているカットして細かくした芋類を用いて麹を製麹する方法では、麹菌を育成するために添加する水の分布がムラになり易く、また、麹菌の菌糸が裁断物の内部にまで繁殖した所謂はぜ込みの良い麹を造ることが困難で、良好な菌の育成に支障を来たすおそれがある。また、芋粉に比べてコストが高くなるという問題があり、コストが安くできる方法が求められている。
一方、米や麦などの穀類を用いる製麹方法においては、例えば原料米を用いて麹を製麹する場合のように、玄米を搗精して白米とし、これを一夜水に漬け、通常1時間程度、長くても一晩程度水切りを行った後、蒸気で蒸すため、蒸米にするまでの原料処理工程に、多大な時間を要する。また、麹菌の菌糸が米粒の内部にまで繁殖した所謂はぜ込みの良い麹を造ることが難しい、また、原料米のコストが割高で、麹が安価に入手できないという問題点があった。これに対して、未利用または安価な穀類の粉体を用いて原料処理工程の簡素化とコスト低減を図った製麹技術が特許文献3、特許文献4、特許文献5などに開示されている。
特許文献3に開示されている発明は、味噌を主体とする醸造品の製造に用いられる麹の製造法、特に米、麦などの穀類の粉体を用いて酵素力価の高い麹を得る粉麹の製造法に関するものであり、噴流状に供給される穀類の粉体に、20〜30質量%の水を連続的に添加して混合した後、蒸気で蒸してアルファ化し、この蒸し穀類に麹菌の胞子を接種して培養するものである。これによって、穀物麹を製麹する際に、白米を蒸米にするまでの原料処理工程に要する時間を大幅に短縮できるとしている。また、特許文献4に開示されている発明は、味噌を主体とする醸造品の製造に用いられる麹を米に比べ安価な小麦粉を原料とし、小麦麹を製麹する方法に関するものであり、廃分1%以下の小麦粉に水を30〜50質量%添加し、混練して生地を調整し、この生地を蒸した後に種麹を植え付けて培養するものである。これによって、安価な小麦粉を用いて小麦麹を製造でき、しかもこの小麦麹を使用して米味噌は米麹を使用して製造した味噌と遜色のない調合味噌を製造できるとしている。また、特許文献5に開示されている発明は、炒った澱粉末の流動層を形成しつつ澱粉末麹を製麹する方法とその装置に関するもので、加水して種麹を添加して混合した澱粉末を流動式製麹機内で浮遊支持して流動層を形成しながら培養して製麹するものである。これにより、菌糸の成長、酵素生産の最適条件の制御が容易で、品質が均等化し自動化が容易となり、装置も小型化できるとしている。
特開2002−330749号公報 特開2000−95523号公報 特開平7−227273号公報 特開平6−292561号公報 特開平6−7151号公報
しかしながら、特許文献3に開示されている穀物麹の製麹法は噴射状に供給される穀物の粉体に水を連続的に添加して混合した後、麹を培養する工程において、添加する水分が少ないので、粉体と水とを混合する方法によっては水分の分布にムラが生じて、麹菌の生育にムラが生じて良好な麹が得られない等の不都合がある。また、特許文献4に開示されている小麦麹の製麹法は、小麦粉に水を添加し、混合してから生地を調整した後、麹を培養するものであるので、この生地が団子状になって、麹菌の菌糸が生地の内部まで繁殖した所謂はぜ込みの良い麹を造ることが困難である。また、特許文献5に開示されている澱粉末麹の製麹では、種菌と水を添加した澱粉末を浮遊させて流動層を保持させながら麹菌を培養するので、製麹工程が煩雑なものとなるといった不都合があった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来製麹が困難とされていた芋類や穀類を原料として麹を効率的に最適な条件で培養できる粉体麹の製麹方法とその粉体麹を用いた飲食品を提供することにある。
以上のような課題に鑑み、本発明者らは、芋類や穀類を粉体化して、この粉体を原料とし、粉体に添加する水の調整および添加された水の分布ムラをなくすことにより最適な条件で麹を培養できることに着目して鋭意研究を重ね、製麹工程に入る前の芋類や穀類の粉体に水を添加する工程において、パドル羽根を備えた機械式ミキサーで混合することにより、粉体に水が均一に混合・分散されて粉体麹を安定的に製造できることを見出して、本発明を完成するに至った。
本発明は、より具体的には以下のようなものを提供する。
(1) 芋類もしくは穀類またはこれらの混合物の粉体および/またはデンプン粉に対して、所定量の水を添加して、機械式ミキサーにより該粉体と前記水とを均一に混合し、前記粉体に前記水が均一に分散された加水粉体に調整し、次いで、該加水粉体はアルファ化処理された後、種麹が植え付けられて培養されることを特徴とする粉体麹の製麹方法。
(1)によれば、芋類もしくは穀類またはこれらの混合物の粉体および/またはデンプン粉(以下、粉体と称する)に麹菌の生育に必要な水分が所定量添加されて、機械式ミキサーにより均一に混合されているので、麹の生育に好適な量の水が粉体に均一に分散され、水分が少ないことにより粉体が製麹機の中で舞うなどのトラブルが発生することなく、また、水分が多すぎて粉体に団子状の塊を生じ、菌糸の回りが悪くなって、菌糸が粉体全体に均一に繁殖した所謂はぜ込みの良い麹を造ることができないといった不都合が起こることなく、最適な菌の生育が維持され、良好な麹を得ることができる。
粉体に対する水分の添加比は、粉体が芋類であるか穀類であるか、また、温度や湿度が高いか低いかによって変動するが、好ましくは25〜50質量%、より好ましくは30〜50質量%、最も好ましくは35〜45質量%の範囲が有効である。水の添加比が、この範囲より低い場合は、粉体がパサパサの状態となり粉体が製麹機の中で舞うなどのトラブルが発生したり、また、麹菌の生育が妨げられるので不適であり、また、この範囲を超える場合には、加水粉体に粘りを生じ団子状態となり、麹菌の生育を妨げ、良好な麹が得られないことになる。
また、粉体と水の混合が不均一であると、粉体中の水分の分布にムラを生じることになり、部分的に水の添加比が25質量%より低くてパサパサの状態の部分や50質量%を超えて粉体が凝集して塊状態の部分ができ、上記の問題が発生することになるので、麹菌の生育に必要な水分を粉体に均一に混合して分散させることが必要とされるのである。
粉体に水を均一に混合するための機械式ミキサーとしては、円筒状撹拌槽に回転軸とこの回転軸に多数のパドル羽根が設けられた撹拌機であって、羽根の高速回転により連続的に、粉体と水とを混合、分散しながら排出口へと加水粉体を移動させることのできるものであるものが好ましい。このミキサーはパドルの羽根の角度を変えることにより滞留時間も任意に調整できるので、粉体の種類に応じて良好な混合条件が適宜設定できる。
また、水が均一に混合、分散された加水粉体のアルファ化(糊化)処理は、この加水粉体を30〜60分程度かけて90〜100℃の蒸気で蒸す、あるいは直接加熱することで行われる。このアルファ化処理により粉体は糖化酵素の作用を受けやすい形となる。尚、このアルファ化の処理としては、これに限定されるものでなく、例えばこの他に電子レンジ等の電磁波を利用したり、遠赤外線を利用する等の方法であってもよい。また、このアルファ化は粉体に予め処理しておいても良い。
蒸気などで蒸されてアルファ化処理された粉体に種菌を噴霧する等で植え付け、培養させて製麹する方法としては、特に限定されるものでなく、従来の米麹や麦麹を製麹する方法と同様に、円盤型製麹機またはドラム式製麹機を用いて行うことができる。また、古来からの麹箱を用いる方法であってもよい。粉体を製麹することで、粉体の相互間に空隙が無数に存在する非常にポーラスな状態で菌糸が生育されることになり、所謂はぜ込みの良い麹を造ることができる。尚、麹菌の培養は、麹菌の種類にもよるが、一般的に温度を30〜40℃程度に調整した雰囲気下で培養し、42〜48時間で出麹する。
具体的には、種麹を植えた後は麹菌が白麹菌と黒麹菌の場合、40℃、湿度100%の雰囲気下で培養し、麹の温度は32℃程度から20時間で最高品温約40℃に到達、その後湿度を90%にして、40℃の雰囲気下で33時間程度まで培養する。その後、温度を徐々に下げ35時間目以降は35℃以下で培養を行い、42〜48時間で出麹する。また、麹菌が黄麹菌の場合は、20時間目に40℃に到達後、30時間程度で42℃まで到達し、その後42〜48時間目まで維持して出麹する。
ここで、出麹とは、蒸し粉体に種麹を植え付け、十分に麹菌が繁殖したら、一次仕込み用に麹を移すことをいう。
本発明に適用できる粉体としては、サツマイモ、ジャガイモなどの芋類やそば、小麦、栗、黍、コーン、米等の穀類を乾燥して製粉機等で粉体化したものが挙げられる。特に、従来、麹の製麹が困難とされているサツマイモなどの芋類やそばなどの穀類にも適用できる点に特徴を有する。
ここで、製麹とは、蒸気で蒸す等によりアルファ化処理された芋類や穀類に種麹(麹菌)を散布して麹を造ることを意味する。また、アルファ化とは、芋類や穀類に含まれる澱粉が水分と熱により糊状化することを意味し、糊化とも言われる。このアルファ化処理することで、麹菌の繁殖を容易にして麹を造りやすくしたり、醪中で酵素作用を受け易くなる。また、種麹とは、麹を造る“種”の麹菌を意味し、黄麹菌、黒麹菌、白麹菌等が一般に使用される。
(2) 予めアルファ化処理が施された芋類もしくは穀類またはこれらの混合物を製粉して粉体および/またはデンプン粉を得、該粉体に対して所定量の水を添加して、機械式ミキサーにより前記粉体と前記水とを均一に混合し、前記粉体に前記水が均一に分散された加水粉体に調整し、次いで、該加水粉体に種麹が植え付けられて培養されることを特徴とする粉体麹の製麹方法。
(2)によれば、予め芋類や穀類にアルファ化処理を施して、これを乾燥して製粉化しているので、粉体に水を添加してミキサーで混合して均一に分散させた後、冷却等の工程を経ずに直ちに製麹する作業を行うことができる。このアルファ化処理としては、芋類や穀類を例えば30〜60分といった所定の時間かけて、90〜100℃の蒸気で蒸す、あるいは直接加熱する等で行われる。また、前述したように、電子レンジ等の電磁波を利用したり、遠赤外線を利用する方法であってもよい。
このように、予めアルファ化処理しておくことで、水分調整後すぐに使用することが可能となり、蒸す時間や冷却に要する工程を簡略化することが可能となる。
(3) 前記粉体に対する水の混合比は、該粉体の重量の25質量%から50質量%であることを特徴とする(1)または(2)に記載の粉体麹の製麹方法。
(3)によれば、粉体の水分量が25質量%から50質量%に調整されるので、製麹する際にトラブルを生じることなく、良好な麹を製造することができる。すなわち、前述したように、水分が少ないと粉体が製麹機の中で舞うなどのトラブルが発生したり、麹菌の生育を妨げることになる。一方、水分が多すぎると粉体に団子状の塊を生じ、菌糸の回りが悪くなって、菌糸が粉体全体に均一に繁殖した所謂はぜ込みの良い麹を造ることができないことになる。また、雑菌汚染の可能性がある。
(4) 前記粉体に対する水の混合比は、該粉体の重量の30質量%から50質量%であることを特徴とする(1)または(2)に記載の粉体麹の製麹方法。
上記の粉体に対する水の混合比は、30質量%から50質量%に調整されることで、製麹する際にトラブルを生じることがより少なくなり、良好な麹を製造することができる。
(5) 前記粉体に対する水の混合比は、該粉体の重量の35質量%から45質量%であることを特徴とする(1)または(2)に記載の粉体麹の製麹方法。
上記の粉体に対する水の混合比は、35質量%から45質量%に調整されることで、製麹する際にトラブルを生じることがより少なくなり、また、粉体に団子状態の発生がより生じ難くなり、さらに良好な麹を製造することができる。
(6) 前記ミキサーは、円筒状撹拌槽に回転軸と該回転軸に配設された複数個のパドル羽根とを備え、前記粉体と前記水とを混合しながら連続的に移送する連続移送式ミキサーであることを特徴とする(1)から(5)いずれか記載の粉体麹の製麹方法。
(6)によれば、粉体は水が添加された後、複数個のパドル羽根を備えた連続移送式ミキサーにより混合されるので、添加された水が回転するパドル羽根によって粉体に均一に分散されながら連続的に排出口へと移送されることになる。これによって、水が粉体に均一に分散された加水粉体に調整される。尚、この円筒状撹拌槽に回転軸と該回転軸に配設された複数個のパドル羽根とを備え、前記粉体と前記水とを混合しながら連続的に移送する連続移送式ミキサーとしては、例えばパドルスミキサーが挙げられる。
(7) 前記ミキサーは、パドルスミキサーであることを特徴とする(1)から(6)いずれか記載の粉体麹の製麹方法。
(7)によれば、粉体に水を添加して混合するのに、パドルスミキサーを用いているので、水が粉体に均一に混合、分散されることになる。これによって、水が粉体に均一に分散された加水粉体に調整される。
(8) 前記粉体は、芋類を粉体化した芋粉および/または芋類のデンプン粉であることを特徴とする(1)から(7)いずれか記載の粉体麹の製麹方法。
(8)によれば、粉体はサツマイモなどの芋類を粉体化した芋粉および/または芋類のデンプン粉とすることで、従来のサツマイモ等の芋類を蒸して砕いて調整した原料からでは、水分が過多で、団子状になってしまい、菌糸の繁殖が悪く、雑菌に汚染されやすいとして麹を良好に製麹できなかったという問題が解消され、良好なサツマイモなどの芋麹を造ることができることになる。
(9) (1)から(8)いずれか記載の製麹方法に基づく粉体麹を用いてなる飲食品。
上記の(1)〜(8)の製麹方法で、サツマイモ、ジャガイモなどの芋類やそばや小麦などの穀類に拘らず効率的に良好な粉体麹が製麹できるので、それぞれの芋類や穀類を原料として、それと同じ原料の麹を用いて醗酵・醸造した飲食品が製造できることになり、混ざり物のないそれぞれの原料による独特の風味を呈する飲食品を得ることができる。また、粉体麹を各種ブレンドすることにより、好みや趣向に合わせた飲食品を製造することもできる。
(10) 前記粉体麹がサツマイモの芋粉を製麹して得られたものであって、該粉体麹を用いて醗酵させた醪を蒸留して得られた焼酎であることを特徴とする(9)に記載の飲食品。
上記の(1)〜(8)の製麹方法で、サツマイモ等の芋類を粉体化した芋粉から、芋類の麹を良好に製麹できるので、サツマイモ等の芋類を原料とする焼酎などの飲食品を、例えば米麹などといった原料の芋類以外のものを使用しないで醗酵・醸造して製造できることになる。これによって、純粋の甘味のある独特の風味を呈する芋焼酎の製造が可能となる。
(11) 芋類を粉体化した芋粉および/または芋類のデンプン粉から得られたことを特徴とする芋麹。
従来、製麹することが難しいとされてきた芋麹は、芋粉および/または芋類のデンプン粉から製麹されることを特徴とする。
以上説明したように本発明に係る粉体麹の製麹方法によれば、粉体に所定量の水を添加してパドル羽根を備えた機械式ミキサーで混合して、水分を粉体全体に均一に分散させ、その後、種麹を植え付けて培養して粉体麹を製麹するので、水分の調整が容易であると共に、水分が均一に分散されているので、粉体が凝集して団子状の塊を生じ難く、効率的に麹菌が粉体全体に生育した良好な麹を得ることができる。また、麹菌を生育させるに必要な水分は、粉体に水を添加することで調整できるので、従来の米麹や麦麹のように原料を蒸して麹を製麹する方法では、水分が多すぎ、団子状になったりして麹を製麹するのが困難であったサツマイモ、ジャガイモなどの芋類やそば、小麦、粟、黍、コーンなどの穀類を用いて良好な麹を製麹することができることになる。また、製麹としては、原料が粉体であるので、一般に行われている機械製麹機を適用できると共に、粉体を移送しながら連続的に麹を製造することも可能であり、大量の麹を製造することができる。
また、本発明に係る粉体麹の製麹方法では、サツマイモ、ジャガイモなどの芋類やそば、小麦などの穀類に拘らず効率的に良好な粉体麹が製麹できるので、これらの粉体麹を用いてそれぞれの芋類や穀類を原料として醗酵・醸造することで、それぞれの原料に合った独特の風味を呈する飲食品を得ることができる。また、ブレンドすることにより、好みや趣向に合わせた飲食品も製造することもできる。
以下、本発明に係る粉体麹の製麹方法および該粉体菌を用いた飲食品について、より詳しく説明する。図1は、本発明に係る粉体麹の製麹方法を説明するための各工程を示すブロック図である。
本発明において、対象となる粉体は、芋類もしくは穀類またはこれらの混合物を粉末化したものおよび芋類、穀類のデンプンであって、芋類としては、サツマイモ、ジャガイモなどが例として挙げられる。また、穀類としては、そば、小麦、粟、黍、コーン、米などが例として挙げられる。また、デンプン粉としては芋デンプンやタピオカデンプン等の各種芋類、穀類のデンプン粉が挙げられる。特に、従来、製麹が困難とされてきた芋類やそばなどの穀類に適用できる。
これらの芋類や穀類の粉末化は通常行われている方法で得ることができる。例えば、サツマイモなどの芋類の場合、生芋を洗浄し適度の大きさに細刻し、次いでこれを熱風乾燥等で乾燥し、この乾燥したものを製粉機等で粉砕して得ることができる。粉体の粒度としてはメッシュサイズで80〜200メッシュ程度が好ましい。
本発明に係る粉体麹の製麹方法は、図1に示すように、芋類もしくは穀類またはこれらの混合物の粉体に水を添加して混合して加水粉体とする工程(以下、工程aと称す)と、この加水粉体を蒸気などで蒸してアルファ化(糊化)する工程(以下、工程bと称す)と、冷却する工程(以下、工程cと称す)、蒸した粉体に麹菌の菌糸を植え付ける工程所謂種切り工程(以下、工程dと称す)と、麹菌を培養する工程(以下、工程eと称す)と、を含む。
まず、工程aにおいて、連続的に供給される粉体に水を粉体100重量に対し水25〜50重量の割合で連続的に添加されて、パドル羽根を備えた機械式ミキサーで均一に混合される。
この機械式ミキサーは、円筒状撹拌槽に回転軸と該回転軸に所定間隔で配設された複数個のパドル羽根とを備え、粉体と水とを混合しながら連続的に粉体を移送する連続移送式のミキサーであって、粉体を掻き上げながら移動させることのできるパドル羽根を備えているので、粉体を搬送しながら粉体全体に均一に水分を短時間に分散させ、水分が均一に分散された加水粉体を得ることができる。また、パドル羽根の角度等を変えることにより、撹拌槽内の滞留時間を調整することができるので、粉体の性状に応じて最適な混合条件を設定できる。
尚、この工程aにおいて、粉体に水分を均一に分散させることが良好な麹を造るための条件であり、本実施態様では上記の機械式ミキサーとしてパドルスミキサーを使用することで含水量の均一な加水粉体を得ているが、これに限定されるものではない。
この機械式ミキサー(パドルスミキサー)は、図2および図3に示すように、横長円筒形状のハウジング2、ハウジング2の内部に形成されている横長円筒形状の粉体混合室3、ハウジング2の上部または側部(ここでは上部)に粉体混合室3に連通させて設けられ外部から投入される原料を粉体混合室3に供給する粉体投入部4、粉体混合室3の下流側の領域で、例えばハウジング2の下部または側部(ここでは下部)に設けられた加水粉体を排出させる粉体排出部5と、を備えている。また、ハウジング2には、粉体混合室3を清掃したり、パドル羽根9の角度を調整するための開口部2aが形成されており、この開口部2aを覆う蓋6を備えている。
さらに、機械式ミキサー1は、粉体混合室3の内部に回転自在に水平に取り付けられている回転軸7(ここでは一軸構造)、回転軸7を回転自在に支持し、側壁2bに夫々取り付けられているベアリングユニット8、回転軸7の外径面に複数枚所定間隔又は適宜間隔で取り付けられているパドル羽根9を備えている。
粉体混合室3の内部は、図4に示すように、内部が空洞の円筒形状を成し、この粉体混合室3に粉体投入部4が連通するように形成されている。これにより、粉体投入部4の投入口に投下された粉体は、粉体投入部4を通過して粉体混合室3の内部に供給されるようになっている。粉体混合室3の中心部には、回転軸7が貫通されており、この回転軸7の外径面には、パドル羽根9が取り付けられている。パドル羽根9は、図2および図3に示すように、回転軸7の軸線に対して所定間隔(ここでは53mm程度)で複数本取り付けられている。パドル羽根9は、回転軸7から外周方向に突設されたパドルアーム9aとパドルアーム9aの先端に取り付けられている攪拌ブレード9bとから構成されている。攪拌ブレード9bは、板面が回転軸7に対して適宜斜めになるように取り付けられており、粉体混合室3の内部に供給された粉体を、斜めに取り付けられた攪拌ブレード9bで掻き上げて粉体を混合するようになっている。尚、攪拌ブレード9bは同様の効果が期待できれば、他の形状や配置でも構わない。パドル羽根9は、回転軸7に対して所定角度(ここでは45度)で、且つ、螺旋を描くようにして軸線方向の右端から左端にわたって所定間隔或いは適宜間隔(ここでは53mm程度)で半径方向に突設された複数のパドルアーム9aと、パドルアーム9aの先端に半径方向軸線に対して適宜の角度(ここでは約45度と約67.5度)で取り付けられた略T字形状等各種の形状の攪拌ブレード9bとからなり、粉体を掻き揚げるように構成している。攪拌ブレード9bの向きは同一方向でも良いし、隣接するもの同士で交差する方向に設定されても良く、掻き揚げ力の方向が交差すると、一層、攪拌が効果的に行なわれることになる。また、粉体排出部5近傍の撹拌ブレード9bの角度は0度として、粉体の排出を速めるようにしてもよい。
また、図示していないが、ベアリングユニット8の外部に取り付けられて回転軸7を駆動するギアードモータ等の駆動機構によって回転軸7が回転されるようになっている。
ここで、図2は、ハウジングの蓋を持ち上げた状態の機械式ミキサーを示す斜視図であり、図3は、ハウジングの蓋を閉めた状態の機械式ミキサーの横断面図である。図4は、図3のI−I断面図である。
粉体と水は、機械式ミキサー1の粉体投入部4の投入口から連続的に粉体混合室3に投入される。投入された粉体と水は、1000〜1800rpmで回転する回転軸7に配設されたパドル羽根9に掻き上げられながら撹拌・混合され、粉体投入部4側から粉体排出部5側に移送されて、加水粉体として粉体排出部5から連続的に排出される。尚、粉体混合室3の内部で連続的に行われる混合処理工程の攪拌処理時間は、粉体混合室3の容量や混合処理する粉体の種類により任意に決められるが、2〜3秒程度が好ましい。このようにして、粉体と水とが均一に分散された加水粉体を得ることができる。
粉体に対する水の添加比は、粉体が芋類であるか穀類であるか、また、その種類によって、また、温度や湿度が高いか低いかによって変動するが、好ましくは25〜50質量%、より好ましくは30〜50質量%、最も好ましくは35〜45質量%の範囲が有効である。水の添加比が、この範囲より低い場合は、粉体がパサパサの状態となり粉体が製麹機の中で舞うなどのトラブルが発生したり、麹菌の育成に水分が不足することになりために不適であり、また、この範囲を超える場合には、加水粉体に粘りを生じ団子状態となり、麹菌の育成を妨げて良好な麹が得られないことになる。
次に、この機械式ミキサーによる混合で水が均一に分散された加水粉体は、工程bの蒸し器に移されて、所定時間、所定温度でアルファ化(糊化)処理される。蒸し器としては、種々のものを使用することができる。例えば、ご飯蒸し器、蒸籠などが挙げられるが、生産性の面から連続蒸し米機などの連続蒸し器が好ましい。蒸し時間は、一般に20分〜2時間、好ましくは30〜50分である。また、蒸気の温度は、通常95〜100℃の範囲である。この蒸し工程bでアルファ化(糊化)処理がされて、粉体は糖化酵素の作用を受けやすい形となる。尚、このアルファ化処理は事前に行われていてもよい。例えば、粉体として予め蒸気加熱または直接加熱によりアルファ化処理が施された芋類もしくは穀類またはこれらの混合物を乾燥して製粉したものを使用してもよい。このようにアルファ化(糊化)された粉体を使用する場合には、工程bおよび工程cは省略してよい。尚、このアルファ化処理は、蒸気による蒸煮でなくても直接に加熱することで行ってもよい。また、この他に電子レンジ等の電磁波を利用したり、遠赤外線を利用する方法であってもよい。
このようにして蒸された粉体は、工程cで一般に25〜45℃、好ましくは30〜40℃に冷却される。25℃よりも低温まで冷却すると、この後の工程dで植え付ける種麹の繁殖力が低下するので好ましくない。また、45℃より高くなると同じく種麹の繁殖が低下するので好ましくない。
工程cで冷却された蒸し粉体は、工程dにおいて、種麹が植え付けられる。種麹の接種(植え付け)方法としては、種麹の胞子を散布する、或いは予め水に均一に懸濁したものを散布する等で行われる。また、種麹の麹菌の種類および使用量は、製造する酒類や味噌・醤油等の飲食品に合せて適宜選定される。例えば、種麹の麹菌の種類として、清酒を製造する場合には黄麹菌、焼酎を製造する場合には黒麹菌或いは白麹菌または黄麹菌、味噌・醤油を製造する場合には黄麹菌或いは黒麹菌が使用される。また、その使用量は蒸し粉体1kgに対して、一般に200〜1000mg程度の割合で植え付けられる。
このように種麹が植え付けられた蒸し粉体は、工程eにおいて、培養(製麹)される。この製麹方法としては、古来からの麹箱を用いる方法によっても、円盤型製麹機やドラム型製麹機などの機械製麹機によってもよい。製麹の条件は、特に限定されるものではなく、製麹された粉体麹を用いて醗酵・醸造して製造される酒類などの飲食品の旨味に応じて適宜設定されるが、一般には温度は25〜45℃、好ましくは30〜40℃であり、時間は一般に24〜60時間、好ましくは40〜50時間で調整することができる。また、種麹の植え付け量は一般に原料の粉体100kg当たり100g程度接種である。
このようにして得られた粉体麹は、酒類または発酵食品の製造に用いることができる。例えば、清酒を製造する場合には、米を原料として、酒母や各醪仕込み段階において、穀類(米)の粉体麹を用いる。焼酎を製造する場合には、そば、麦、米、芋、サトウキビ、粟、コーンなどを原料として、醪仕込み段階において、各原料から製麹して造った粉体麹を用いる。醤油を製造する場合には、大豆を原料として、盛り込みの段階において、穀類(米)の粉体麹を用いる。味噌を製造する場合には、大豆を原料として、仕込み段階において、穀類(米)の粉体麹を用いる。
このように、本発明に係る粉体麹の製麹方法でこれまで製麹が難しいとされてきた穀類や芋類でも麹を造ることができるようになるので、酒類や醗酵食品は原料と同じ種類の原料から製麹した麹を用いることができ、それぞれの原料に合った独特の風味を呈するものが製造できることになる。また、これらの麹をブレンドすることによって、好みや趣向に合わせた酒類や醗酵食品を製造することも可能である。
例えば、サツマイモなどの芋類を原料にした酒類や食品は、掛け原料としてサツマイモ等の芋類、麹としてサツマイモの芋粉麹を用いればよい。この際、醪性状の改良や発酵の促進等のために酵素剤の使用は任意であり、動物、植物、微生物由来の酵素剤を用いればよい。添加量は目的とする製造物の種類、原料の種類、特性等に応じて適宜設定すれば良い。例えば、焼酎を製造する場合、一次仕込みにペクチナーゼ、セルラーゼを添加することで、軟らかい醪になり、仕込み初期で発酵が非常に旺盛となり、二次仕込みにグルコアミラーゼを添加することは、二次仕込みの発酵が促進されるから好ましい。本発明の酒類、食品の製造方法における仕込み方法は、限定されず、一段(次)仕込み、二段(次)仕込み、三段(次)仕込み、多段(次)仕込み等が可能であり、麹歩合も任意である。例えば、焼酎を製造する場合、芋麹の酸度に応じて、一次原料における麹歩合を決定することは、酸度低下による微生物汚染及び酸度上昇による酵母の弱体化を防御する点から好ましい。
尚、ここでいう酒類、食品とは、食品として、芋粉の麹および/または麹の処理物(芋あめ、麹の乾燥物、麹の凍結物、麹の乾燥凍結物、麹の自己消化物、該消化物の液分又は固形分等)、芋粉麹を用いた醸造食品(みそ、醤油、酢、発酵調味料)、芋類および芋粉麹を用いた甘酒(アルコールを含有しない)等、酒類として、芋類および芋粉麹を用いた酒類(焼酎、雑酒)等が挙げられる。
また、醤油、味噌の製造において、従来の米麹を用いる代わりに、米に比べ価格の安い小麦粉から製麹した麹を用いた醤油、味噌を製造することもできる。すなわち、蒸し大豆または煮大豆および食塩と混合し、これを原料とし、小麦麹を用いて熟成させることによって、醤油、味噌が出来上がる。味噌の特性を調整するために、味噌原料に例えば、米麹や、種水等を配合してもよい。また、醗酵工程を促進させるために、微生物(乳酸菌や酵母など)を添加してもよい。
このように、芋類や穀類を粉体化して、この粉体から麹を製造できるので、より安い原料を用いて酒類や醗酵食品を製造できることになる。また、好みや趣向に合わせた酒類や醗酵食品を製造することも可能となる。
以下、本発明の実施例としてサツマイモを原料とした芋粉麹の製麹方法およびこの芋粉麹を用いて醗酵・醸造して製造した芋焼酎について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
原料としては、芋焼酎に通常使用される黄金千貫を用い、洗浄して傷、汚れ等を除去した生芋を適宜の大きさに細刻し、熱風乾燥等で乾燥した後、製粉機等で粉砕してメッシュサイズ80〜100程度の粒度で、水分9%程度に調整された芋粉とした。この芋粉100kgに水を約31kg添加し(水分が乾燥粉体に対して40質量%となるように調整)、西村機械製作所製パドルスミキサー(形式:PSM−250型)を用いて混合して、水が粉体に均一に分散された加水粉体に調整した。このパドルスミキサーによる混合は、回転軸の回転速度は1200rpmで、混合時間(粉体および水がミキサーに投入されてから排出口より流出するまでの時間)は、2〜3秒とした。
尚、この水分比については、パドルスミキサーを使用して自動製麹適性を試験して、その結果を表1に示した。
Figure 2005151813
この結果より、水分含量が25%より低いと粉体に湿り気が不足してパサパサの状況となり、粉体が製麹機の中で舞う等のトラブルが発生し不適であり、また50%を超えると団子状態となり良好な麹は得られなかった。これによって、粉体麹の製麹に対する適正な水分含量は25〜50%、より好ましくは30〜45%であることが見出された。尚、本実施例では水分量は製麹適正が最適であった40%を採用した。
また、この加水粉体について、任意の5箇所をサンプリングして水分を測定したところ、目標水分40質量%に対し40.63%、40.56%、39.98%、40.15%、40.08%という値で、水が均一に分散されていることが確認された。測定はサンプル2gを採取し、島津製作所製水分測定装置EB−340MOCを用いて計測した。
その後、この調整された加水粉体を蒸し器にて温度95〜100℃の蒸気で40分間蒸煮し、蒸煮後、約35℃までに冷却し、永田醸造機械(株)製100kgスケールの自動円盤製麹機を用いて焼酎用白麹菌(河内源一郎商店製)を種菌として植え付けて培養し芋粉麹を得た。麹菌の培養としては、40℃、湿度100%の雰囲気下で培養し、麹の温度は32℃程度から20時間で最高品温約40℃に到達、その後湿度を90%にして、40℃の雰囲気下で33時間程度まで培養する。その後、温度を徐々に下げ35時間目以降は35℃以下で培養を行い、42〜48時間で出麹した。
上記の製麹で得られた芋粉麹について、通常芋焼酎に使用される米麹および特開2001−95523号公報に開示された製法で得られた芋麹(宝焙炒芋麹)と対比して麹の酵素力価を測定した。その結果を表2に示した。
Figure 2005151813
この結果より、本発明で得られる芋粉麹の活性については、焼酎醸造に必要なグルコアミラーゼをはじめとする糖化酵素およびその他酵素は通常の米麹及び焙炒芋麹の活性よりも遜色はなくむしろ良好なものであった。
次に、上記で得られた芋粉麹を用いて、表3に示す芋焼酎の仕込み配合で以下のようにして芋焼酎の製造を行った。
Figure 2005151813
芋粉麹1000g、汲み水1200ml、酵母(焼酎用協会2号酵母)約1mlを、約15l容量のタンクに仕込み、通常の醗酵法にて一次醗酵を行い、約28℃の雰囲気下で5日間にて醗酵を終了した。
一次醗酵を終了した一次醪の総量は約1900mlであり、これを二次醗酵の仕込みとして、蒸煮芋5000gと、汲み水3000mlを同一タンク内に投入して通常の醗酵法にて二次醗酵を行い、約28℃の雰囲気下で10日間にて醗酵を終了した。この二次醗酵後の醪の性状は表4の通りであった。尚、表4には、芋粉麹の代わりに米麹を用いて醗酵させた醪の性状を比較して示している。
Figure 2005151813
表4に示すように、焼酎醸造において健全な発酵に必要とされる麹の酸度については米麹と同等以上の酸度が得られ問題なかった。また表2で示した酵素活性の裏づけとなるように醪の発酵は良好であり、最終的に蒸留前に生成されたアルコールは米麹と比較し遜色がなく問題なかった。
次いで、二次仕込みによる芋焼酎醪6000mlを通常の常圧蒸留法(蒸気吹込み型)にて蒸留してアルコール度37%の芋焼酎の原酒2300mlを得た。この原酒を3ヶ月間貯蔵後アルコール度数25%に割水した後、選抜されたパネラー6名により官能評価を実施した。その結果を米麹で醗酵させ製造した比較品と対比して表5に示した。
Figure 2005151813
その結果、表5に示すように芋粉麹を用いた芋焼酎は華やかな香り、スパイシーな香りを有しており、対比の米麹で醗酵させた比較品と比較しても良好な酒質であり、差別化されていた。
以上の実施例の如く、本発明に係る製麹方法で製造した芋粉麹を用いて醸造した芋焼酎において、芋粉麹は米麹と比較し焼酎醸造に適した酵素力価を有しており、さらに、この芋粉麹を用いた焼酎も良好な酒質であり、米麹から製造された酒とは差別化されたものであることが確認された。
本発明に係る粉体麹の製麹方法を説明するための各工程を示すブロック図である。 ハウジングの蓋を持ち上げた状態の機械式ミキサーを示す斜視図である。 ハウジングの蓋を閉めた状態の機械式ミキサーの横断面図である。 図3のI−I断面図である。
符号の説明
1 機械式ミキサー(パドルスミキサー)
2 ハウジング
3 粉体混合室
4 粉体投入部
5 粉体排出部
6 蓋
7 回転軸
8 ベアリングユニット
9 パドル羽根
9a パドルアーム
9b 撹拌ブレード

Claims (11)

  1. 芋類もしくは穀類またはこれらの混合物の粉体および/またはデンプン粉に対して、所定量の水を添加して、機械式ミキサーにより該粉体と前記水とを均一に混合し、前記粉体に前記水が均一に分散された加水粉体に調整し、
    次いで、該加水粉体はアルファ化処理された後、種麹が植え付けられて培養されることを特徴とする粉体麹の製麹方法。
  2. 予めアルファ化処理が施された芋類もしくは穀類またはこれらの混合物を製粉して粉体および/またはデンプン粉を得、
    該粉体に対して所定量の水を添加して、機械式ミキサーにより前記粉体と前記水とを均一に混合し、前記粉体に前記水が均一に分散された加水粉体に調整し、
    次いで、該加水粉体に種麹が植え付けられて培養されることを特徴とする粉体麹の製麹方法。
  3. 前記粉体に対する水の混合比は、該粉体の重量の25質量%から50質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の粉体麹の製麹方法。
  4. 前記粉体に対する水の混合比は、該粉体の重量の30質量%から50質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の粉体麹の製麹方法。
  5. 前記粉体に対する水の混合比は、該粉体の重量の35質量%から45質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の粉体麹の製麹方法。
  6. 前記ミキサーは、円筒状撹拌槽に回転軸と該回転軸に配設された複数個のパドル羽根とを備え、前記粉体と前記水とを混合しながら連続的に移送する連続移送式ミキサーであることを特徴とする請求項1から5いずれか記載の粉体麹の製麹方法。
  7. 前記ミキサーは、パドルスミキサーであることを特徴とする請求項1から6いずれか記載の粉体麹の製麹方法。
  8. 前記粉体は、芋類を粉体化した芋粉および/または芋類のデンプン粉であることを特徴とする請求項1から7いずれか記載の粉体麹の製麹方法。
  9. 請求項1から8いずれか記載の製麹方法に基づく粉体麹を用いてなる飲食品。
  10. 前記粉体麹がサツマイモの芋粉を製麹して得られたものであって、
    該粉体麹を用いて醗酵させた醪を蒸留して得られた焼酎であることを特徴とする請求項9に記載の飲食品。
  11. 芋類を粉体化した芋粉および/または芋類のデンプン粉から得られたことを特徴とする芋麹。
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