JP2005150043A - 有機el発光素子 - Google Patents

有機el発光素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2005150043A
JP2005150043A JP2003389902A JP2003389902A JP2005150043A JP 2005150043 A JP2005150043 A JP 2005150043A JP 2003389902 A JP2003389902 A JP 2003389902A JP 2003389902 A JP2003389902 A JP 2003389902A JP 2005150043 A JP2005150043 A JP 2005150043A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
layer
light emitting
light
anode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003389902A
Other languages
English (en)
Inventor
Noboru Kurata
昇 倉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Holdings Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Electric Holdings Ltd filed Critical Fuji Electric Holdings Ltd
Priority to JP2003389902A priority Critical patent/JP2005150043A/ja
Publication of JP2005150043A publication Critical patent/JP2005150043A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract


【課題】有機発光層から生じる光の直接光と反射光との干渉によって取り出し可能な光が減少することを改善し、発光効率を向上させることが可能なトップエミッション型有機EL発光素子を提供すること。
【解決手段】基板と、該基板の上に積層される反射面を有する陽極と、該陽極の上に積層される少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、該有機EL層の上に積層される透明陰極とを有する有機EL発光素子において、上記反射面から上記有機発光層における上記陽極側界面までの光学距離dと、上記有機発光層から発する光の最短波長λとが下式(1)の関係を満たすように正孔注入層および正孔輸送層を設定する。
Figure 2005150043

【選択図】なし

Description

本発明は、カラーテレビ、パソコン、パチンコ台などの表示デバイスの発光源となる有機EL発光素子に関し、特に、発光効率を向上させたトップエミッション方式の有機EL発光素子に関する。
1987年にイーストマンコダック社のC,W,Tangによって有機化合物の薄膜積層構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL発光素子」と称する)が報告され(非特許文献1を参照)、今日に至るまでに様々な有機EL発光素子が報告されている。有機EL発光素子は、基板と下部電極と少なくとも有機発光層を含む有機EL層と上部電極とから概略構成され、それらは自発光性であるため視認性に優れ、かつ完全な固体であるため衝撃耐性および取り扱い性に優れている。そのため、有機EL発光素子を適用させた高性能の表示デバイスが注目されている。より高性能の表示デバイスを提供するために、有機EL発光素子の発光効率を向上させることは極めて重要な課題である。
有機EL発光素子の構造は、基板側から光を取り出す「ボトムエミッション型」と、光を基板と反射側(上部電極側)から取り出す「トップエミッション型」とに大別される。ボトムエミッション型有機EL発光素子の代表的な構成を図1に示す。ボトムエミッション型有機EL発光素子は、基板10と、下部電極(透明電極)20aと、正孔注入層30と、正孔輸送層40と、有機発光層50と、電子輸送層60と、電子注入層70と、上部電極(金属電極)80aとから概略構成される。トップエミッション型有機EL発光素子の代表的な構成を図2に示す。トップエミッション型有機EL発光素子は、基板10と、反射膜20bと、下部電極(透明電極)20aと、正孔注入層30と、正孔輸送層40と、有機発光層50と、電子輸送層60と、電子注入層70と、上部電極(透明電極)80bとから概略構成される。
有機EL発光素子では、有機EL層の有機発光層から生じた光は、直に発光素子の外部に向かう直接光と、反射面で一度反射された後に外部に向かう反射光とに分けられ、発光素子の発光効率を向上させるためには反射光を効率的に利用する必要がある。そのため、例えば、ボトムエミッション型有機EL発光素子では、上部電極をAl膜などの金属膜から形成することにより反射面を形成している(図1を参照)。また、トップエミッション型有機EL発光素子では、下部電極側に平滑化したAl、Ni、またはCrなどの金属膜を設けることにより反射面を形成している(図2を参照)。Al膜は、光に対して高い反射率を有するため、有機発光層から生じた光を基板側に効率良く反射させることが可能である。
一方、有機EL発光素子を適用する表示デバイスの分野では、近年、アクティブマトリックス駆動方式の発光素子を用いたディスプレイの開発が盛んに行われている。アクティブマトリックス駆動方式のディスプレイでは、スイッチング発光素子として薄膜トランジスタ(TFT)を設けた基板の上に複数個の有機EL発光素子を形成し、それらを光源として使用する。しかし、現状ではTFTまたは有機EL発光素子の特性のバラツキが大きいため、特性のバラツキを補正するための様々な駆動回路が必要とされている。そのような駆動回路が基板上に追加されると回路が複雑になり、一画素を駆動するのに必要とされるTFTの数が増加してしまう。そのため、アクティブマトリックス駆動方式のディスプレイにボトムエミッション型有機EL発光素子を適用すると、TFTの数の増加に伴って下部電極の透明領域の面積が減少し、光の取り出しを可能とする面積が減少してしまう。したがって、このような状況下では、有機EL発光素子の構造をボトムエミッション型よりもトップエミッション型とする方が光の取り出しにおいて有利であると考えられている(特許文献1を参照)。しかしながら、いずれの発光素子を用いた場合であっても、直接光と反射光とが干渉によって互いに弱め合うと取り出し可能な光の量が減少し、発光効率が低下してしまうという解決すべき課題がある。そこで、直接光と反射光との干渉を制御することにより有機EL発光素子の発光効率を向上させる試みがなされている。
例えば、第1透明電極、発光層および第2透明電極を有する有機EL発光素子と、該発光素子を制御するスイッチング素子を有する駆動層と、該駆動層の外部に配置される反射膜とを備える有機発光表示装置において、駆動層の膜厚を最適化することが開示されている(特許文献2を参照)。この開示では、発光部から直に素子外部へ向かう直接光と、反射膜で一度反射された後に素子外部へ向かう反射光とが互いに強め合う(同相的に干渉し合う)条件となるように駆動層の膜厚を規定している。
また、基板上に、発光取り出し可能な透明な第1電極と、第2電極との間に挟持された、正孔輸送層および少なくとも有機化合物からなる発光層を含む薄膜層が形成された有機電界発光装置において、薄膜層の正孔輸送層/発光層界面から第2電極までの光路長を最適化することが開示されている(特許文献3を参照)。この開示もまた、直接光と反射光とが互いに強め合う条件となるように各層の膜厚を規定している。
さらに、基板上に、第1透明電極、有機正孔注入層、有機正孔輸送層、有機発光層、有機電子輸送層、有機電子注入層と透明電極とを有する第2透明電極、および保護層を順次有する有機発光素子において、全反射が起こらないようにするために、発光中心波長から保護層の全膜厚を規定することが開示されている(特許文献4を参照)。
特開2001−176660号公報 特開2002−252087号公報 特開2002−299062号公報 特開2003−68472号公報 C.W.Tang,S.A.VanSlyke,Appl.Phys.Lett.,51,913(1987)
上述のように、有機EL発光素子における直接光および反射光を同相的に干渉させることで発光効率を向上させることは可能であるが、干渉を効率良く強め合わせるには発光中心波長をできるだけシャープに(できるだけ単一光に近い状態に)する必要がある。すなわち、先に示した技術は、同相的な干渉条件を満たす特定波長の光に関しては効果的であるが、その他、広い波長領域の発光を対象とした場合には効果的ではない。広い波長領域の発光において、直接光と反射光とが同相的な干渉を起こすと、波長によって強めあう場合と弱めあう場合とが生じる。その結果、発光効率が低下するだけでなく、発光スペクトルが変化することにより、発光層から発した光の本来の色味が変化することになる。そのため、広い波長領域の発光における干渉を制御し、発光効率を高める技術が望まれている。一方、色変換方式またはカラーフィルタ方式の発光素子では、発光層から発した光を色変換素子またはカラーフィルタを介して所望の色に調整した後に素子の外部に出光させる。そのため、色変換方式またはカラーフィルタ方式を適用する発光素子において、発光層から発した光は、特定の波長を有するものではなく、広い波長領域にわたるものであることが望ましい。
以上のような状況に鑑み、本発明は、高性能なアクティブマトリックス型ディスプレイの実現化に向けて、広い波長領域において、高効率な発光を達成することが可能なトップエミッション型有機EL発光素子を提供することを課題とする。
トップエミッション型有機EL発光素子において、有機EL層から発した光は上部の透明電極を通過し素子外部へ向かって発光する。この場合、光は各層において光学的干渉を受けるが、最も大きな干渉は直接素子の上部透明電極側へ向かう直接光と、いったん基板側に向かい反射面で反射された後に上部透明電極側に向かう反射光との干渉である。本発明者らはトップエミッション型有機EL発光素子における光の取り出し効率について鋭意検討した結果、反射光と直接光とが互いに干渉しない条件となるように有機EL層の有機発光層界面から反射面までの光学距離を規定することよって、素子の発光効率を向上させることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
一般に、光学距離(光路長)dとは、屈折率nの媒質中を距離lだけ光線が通過した場合においてnlとして定義されている。したがって、トップエミッション型有機EL発光素子において、反射光の干渉を有機EL層の有機発光層界面から反射面までの光学距離dは、有機発光層界面と反射面との間に介在する層の屈折率および膜厚によって変化する。介在する層が複数存在する場合には、各層における光学距離の総和が全体の光学距離となる。より具体的には、有機発光層界面と反射面との間に正孔輸送層、正孔注入層および透明陰極が順に介在する場合、それらの屈折率および膜厚をそれぞれd1、n1、d2、n2、d3、n3とすると、光学距離dはd1*n1+d2*n2+d3*n3となる。
ここで、直接光と反射光とが互いに強め合う干渉条件は、光学距離dと波長λとが、以下に示す式(A)の関係を満たすときである。
Figure 2005150043
上式において、光学距離dが最も短い場合となるm=1の場合について検討すると、光学距離dがλ/4となる条件を満たしたときに同相的な干渉が起こることになる。
一方、直接光と反射光とが互いに弱めあう干渉条件は、光学距離dと波長λとが、以下に示す式(B)の関係を満たすときである。
2d=λL (L=1,2,3…) (B)
上式において、光学距離dが最も短い場合となるL=1の場合について検討すると、光学距離dがλ/2となる条件を満たしたときに逆相的な干渉が起こることになる。
したがって、同相的干渉および逆相的干渉のいずれの干渉も起こらないようにするためには、光学距離dがλ/4よりも小さくなるようにすれば良い。
一般に、広い波長領域の発光における干渉について考えると、発光スペクトルにおいて最も短い波長(以後、最短波長「λ」と称す)が先の条件を満たせば、かかる最短波長λよりも長波長側に現れる波長の発光についても自ずと上記の条件を満たすことになる。そのため、本発明の有機EL発光素子は、基板と、該基板の上に積層される反射面を有する陽極と、該陽極の上に積層される少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、該有機EL層の上に積層される透明陰極とを有するものであって、上記反射面から上記有機発光層における上記陽極側界面までの光学距離dと、上記有機発光層から発する光の最短波長λとが下式(1)の関係を満たすことを特徴とする。
Figure 2005150043
ここで、陽極は、有機発光層から発する光に対して50%以上の反射率を有し、かつ4eV以上の仕事関数を有する金属膜から形成されることが好ましい。また、陽極と有機発光層との間に正孔輸送層を有し、有機発光層と透明陰極との間に電子注入層を有することが好ましい。
なお、本発明において使用される用語「広い波長領域の発光」とは、有機発光層から発した光の波長領域幅が50nmを超えることを意味し、好ましくは可視光領域全体となる400〜800nmの波長領域にわたる発光を示すものとする。また、本明細書において使用される用語「最短波長」とは、広範囲の波長領域において、最も短波長側に現れる波長を意味する。より具体的には、発光スペクトルにおける最大強度の1%の強度に相当する、最も短波長側に現れる地点の波長を意味するものとする。1%の強度であれば、その波長が干渉によって強めあったとしても2倍以下にしかならず、発光スペクトル自体には影響を与えないと考えられる。
本発明によれば、広い波長領域の発光において、直接光と反射光との干渉によって取り出し可能な光の損失を改善することが可能となる。また、発光層から発する光の本来の色を変化させることなく取り出すことも可能となり、優れた発光効率を有し、高品質のトップエミッション型有機EL発光素子を提供することが可能となる。
以下、本発明の有機ELについて詳細に説明する。本発明の有機EL発光素子はトップエミッション型の素子として構成され、基板と、該基板の上に積層される反射面を有する陽極と、該陽極の上に積層される少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、該有機EL層の上に積層される透明陰極とを有し、上記反射面から上記有機発光層における上記陽極側界面までの光学距離dと、上記有機発光層から発する光の最短波長λとが以下に示す式(1)の関係を満たすことを特徴とする。
Figure 2005150043
反射面から有機EL層の有機発光層の陽極側界面までの光学距離dを式(1)の条件を満たすように規定することによって、有機発光層からの直接素子外部へ出光する直接光と、反射面で反射された後に素子外部へ出光する反射光との間で干渉が起こらないことになる。その結果、有機発光層から発する光の損失が減少し、発光効率を向上させることが可能となる。上述のように本発明の有機EL発光素子では、反射面と有機発光層の陽極側界面との光学距離dが式(1)の条件を満たす範囲であれば、素子の構造は必ずしも重要ではない。しかしながら、有機発光層において、より効率良く発光させるためには、陽極側の正孔注入効率および陰極側の電子注入効率を高めるために追加の層を設けることが望ましい。より具体的には、陽極側には、正孔注入層および正孔輸送層などを追加してもよい。また、陰極側には、電子輸送層、電子注入層およびバッファ層などを追加してもよい。本発明にもとづく有機EL発光素子の一例を図3に示す。図3に示す有機EL発光素子は、基板10の上に、金属膜からなる陽極20b、正孔注入層30、正孔輸送層40、有機発光層50、電子輸送層60、電子注入層70と、透明電極からなる陰極80bとが順次積層された構造を有する。
以下、有機EL発光素子の各構成エレメントについて説明する。
基板は、ガラス基板、シリコン基板、金属基板、またはポリエチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン等のプラスチック基板などの慣用のものを適宜用いることができる。また、駆動用素子としてTFTが既に形成されているTFT基板であってもよい。
陽極は、有機発光層から生じた光を陰極側に効率良く反射させるための反射面を有する。より具体的には、陽極は、有機EL層から生じた光の波長領域(好ましくは400〜800nm)において50%以上、好ましくは80%以上の反射率を有する単層膜または積層膜から形成されることが好ましい。代表的なトップエミッション型有機EL発光素子における陽極は、基板上に設けられる反射性の金属膜と、該金属膜の上に設けられる透明電極とから構成される。透明電極には、多くの場合、IZO(インジウムスズ酸化物)またはITO(インジウム亜鉛酸化物)などの透明導電性酸化物が使用される。陽極を金属膜と透明電極とから構成する場合、透明電極は光学距離dを決定する要因の一つとなる。この場合、透明電極を構成する透明導電性酸化物の屈折率は概ね2〜2.4であり、光学距離dに大きな影響を及ぼすことになる。したがって、有機発光層の屈折率を約1.8、膜厚を50nmとする場合、上式(1)の条件下において、透明電極として許容される膜厚は実質的にはないに等しい。そのため、本発明では反射性の金属膜自体を陽極として構成することが好ましい。陽極として好ましい金属膜は、有機EL層から生じた光の波長領域(好ましくは400〜800nm)において50%以上、より好ましくは80%以上の反射率を有するものである。また、陽極は正孔の注入効率を高めるために、仕事関数が4eV以上、より好ましくは4.75eV以上となるものが好ましい。特に限定されるものではないが、好適な金属膜として、Ag、Al、Ni、Cr、MoまたはWなどの金属からなる金属膜、およびそれら金属を含む化合物からなる金属膜が挙げられる。なお、陽極として使用する金属膜の仕事関数は、金属材料を適宜選択するだけでなく、金属膜表面に、紫外線、オゾン、または酸素プラズマ照射、あるいはエッチングなどの各種表面処理を施すことによって制御することも可能である。陽極の形成は、スパッタ法、イオンプレーティング法または蒸着法などの任意の成膜法を用いて実施することが可能である。
有機EL層は、陽極および陰極に電圧が印加されることによって生じる正孔および電子が再結合することで発光する有機発光層を少なくとも含み、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。トップエミッション型有機EL発光素子ではIZOまたはITOなどの透明電極を陰極として使用することに起因して陰極からの電子の注入効率が低下するため、電子注入層を設けて注入効率の低下を改善することが好ましい。
特に限定されるものではないが、有機EL層の構成例を以下に示す。
(1)有機発光層/正孔注入層
(2)電子注入層/有機発光層/正孔注入層
(3)電子注入層/有機発光層/正孔輸送層/正孔注入層
(4)電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層
なお、上述の(1)〜(4)のように構成される有機EL層において、有機発光層または正孔注入層に陽極が接続され、有機発光層、電子輸送層または電子注入層に陰極が接続される。
以下、有機EL層を構成する各層の材料について簡単に説明する。しかし、各層の材料は以下の記載に限定されるものではなく、当技術分野において公知のものを使用することが可能である。
正孔注入層は、陽極から有機発光層への正孔の注入を容易にするための層である。正孔注入層は、フタロシアニン類(銅フタロシアニンなど)またはインダンスレン系化合物などを用いて形成することができる。正孔注入層は、蒸着などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。
正孔輸送層は、陽極から注入される正孔を有機発光層へと輸送し、その一方で陰極から注入される電子の移動を阻止するための層である。正孔輸送層の材料としては、TPD、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルビフェニルアミン(α−NPD)、4,4’,4”−トリス(N−3−トリル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N,N’,N’−テトラビフェニル−4,4’−ビフェニレンジアミン(TBPB)などのトリアリールアミン系材料を含む公知の材料を用いることができる。正孔輸送層は、蒸着などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。
有機発光層の材料は、所望の色調に応じて選択することが可能である。例えば青色から青緑色の発光を得るためには、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などを使用することが可能である。また、種々の波長域の発光を得るためには、ホスト化合物(ジスチリルアリーレン化合物、TPD、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)など)にドーパント(ペリレン、キナクリドン類、ルブレンなど)を添加したものを使用することが可能である。なお、有機発光層の材料としてAlqを使用した場合には、有機発光層と電子輸送層との機能を兼ねることも可能である。有機発光層は、蒸着などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。
電子輸送層は、陰極から注入される電子を有機発光層へと輸送し、その一方で陽極から注入される正孔の移動を阻止するための層である。電子輸送層の材料としては、2−(4−ビフェニル)−5−(p−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルキノキサリン類、アルミニウムのキノリノール錯体類(たとえばAlq)などを用いることができる。電子輸送層は、蒸着などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。
電子注入層は、陽極から有機発光層への電子の注入を容易にするための層である。電子注入層として一つには仕事関数の小さなLi、Na、K、Csなどのアルカリ金属、Ba、Srなどのアルカリ土類金属や希土類金属、もう一つには化合物(フッ化物)の薄い下層と薄いAl層を用いる。電子注入層は、蒸着などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。
トップエミッション型有機EL発光素子では、光を陰極側から取り出すため、陰極は透明電極として構成する必要がある。したがって、陰極は、波長領域400〜800nmの発光に対して好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の透過率を有することが好ましい。特に限定されるものではないが、IZOまたはITOなどの透明導電性酸化物からなる膜を陰極として好適に使用することが可能である。透明陰極の形成は、スパッタ法、イオンプレーティング法または蒸着法などの任意の成膜法を用いて実施することが可能である。しかし、有機EL層へのダメージができるだけ小さくなるように成膜条件を適宜調整することが望ましい。
以上、説明したように、本発明によれば、有機発光層から生じる広い波長領域(概ね400〜800nmの範囲)の発光に対して、最短波長λ、および反射面から有機発光層の陽極側界面までの光学距離dを式(1)の関係を満たすように規定することによって、有機発光層から生じる発光の直接光と反射光との干渉が起こらないようにすることが可能である。すなわち、正孔注入層、正孔輸送層の膜厚、屈折率を設定することにより、特定の波長のみではなく広い波長領域の発光において光の取り出し効率を向上させることが可能となる。代表的な材料を使用して構成される正孔注入層および正孔輸送層の屈折率は、それぞれ1.5〜1.9程度である(エリプソメータを用い、波長500nmにおいて測定した場合)。したがって、例えば、最短波長λが525nmの場合、光学距離dを131nm未満とすることにより発光効率を向上させることが可能となる。正孔注入層および正孔輸送層の膜厚は、それぞれ上式(1)の関係を満たす範囲であれば、特に限定されるものではない。したがって、上式(1)の関係を満たす範囲であれば、正孔注入層または正孔輸送層のいずれかを省略することも可能である。なお、陰極の膜厚は特に限定されるものではないが、干渉による光の取り出し効率の低下が起こらないように、干渉条件によって、または実験によって最適化することが好ましい。
以上、本発明の有機EL発光素子について説明したが、素子は単一の発光部を有する構造に限定されるものではなく、ディスプレイなどの応用に向けて複数の発光部をマトリックス状に配列させた構造としてもよい。この場合、基板上に設けられる下部電極(陽極)の形状および駆動回路は特に限定されるものではなく、アクティブマトリックス駆動方式またはパッシブマトリックス駆動方式のどちらを選択してもよい。
さらに、本発明の有機EL発光素子は、カラーフィルタまたは色変換フィルタと組み合わせることも可能である。この場合、カラーフィルタまたは色変換フィルタとして、複数種の色透過部または色変換部(たとえば赤色、緑色、青色)を有するものを用いることにより、多色表示ディスプレイを形成することも可能となる。カラーフィルタまたは色変換フィルタは、特に限定されるものではないが、陰極の上に貼り合わせることによって容易に設置することが可能である。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、それらは本発明を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。なお、以下の実施例に記載される材料の略語は以下の通りである。
αNPD:4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
Alq:トリス(8−キノリノール)アルミニウム
IZO:インジウム−亜鉛酸化物
(実施例1〜4)
ガラス基板上に、CrをDCスパッタリング法より堆積させることによって、膜厚100nmの陽極を形成した。Cr膜の成膜は、室温下において、スパッタリングガスとしてArを用い、300Wのスパッタパワーを印加することにより実施した。
次に、陽極が形成された基板を有機蒸着装置内に移動させ、有機EL層を構成する各層の成膜を実施した。先ず、正孔輸送層として、予め規定されたそれぞれの膜厚(20、40、60、80nm)のαNPD層を成膜した。なお、αNPD層の成膜は、真空蒸着装置内で、1×10−5Paの真空度、2〜4Å/sの蒸着レートで実施した。
次に、αNPD層の上に膜厚60nmのトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)層を積層した。このAlq層は有機発光層および電子輸送層として機能する。なお、Alq層の成膜は、真空蒸着装置内で、1×10−5Paの真空度、2〜4Å/sの蒸着レートで実施した。
さらに、Alq層の上に、電子注入層としてMg/Ag合金膜を膜厚5nmで成膜した。成膜は、2元同時蒸着法を用い、MgおよびAgの蒸着レートにおける割合(Mg:Ag)が9:1となるような条件下で実施した。
最後に、Mg/Agの合金膜の上に、スパッタリングにより陰極としてIZOを膜厚220nmで形成した。ターゲットにはIn/(In+Zn)=0.83であるものを使用し、Ar:O混合ガス雰囲気下で、真空度0.2Pa、スパッタリング出力2W/cmの条件下で成膜を実施した。
以上のようにして、基板上に、金属電極(Cr:100nm)、それぞれ膜厚の異なる正孔輸送層(αNPD層:20、40、60、80nm)、有機発光層(Alq:60nm)、電子注入層(Mg/Ag:5nm)、透明陰極(IZO:220nm)とから構成される有機EL発光素子を作製した。
得られた有機EL発光素子は、αNPDとAlqとの界面において、最短波長525nmで発光した。なお、エリプソメーター(波長525nm)によって測定されたαNPDの屈折率が1.6であったことを考慮して、最短波長とαNPDの膜厚との関係から算出される各発光素子における光学距離dを表1に示す。また、各々の有機EL発光素子を100cd/mの輝度で点灯させ、その際の電流を測定し、電流効率を求めることにより、各素子の発光効率を評価した。その結果を図4のグラフに示す。
(比較例1〜3)
正孔輸送層としてαNPD層をそれぞれ規定の膜厚(100、120、160nm)で成膜することを除き、先に示した実施例1〜4の手順と同様にして有機EL発光素子を作製した。すなわち、基板上に、金属電極(Cr:100nm)、それぞれ膜厚の異なる正孔輸送層(αNPD層:100、120、160nm)、有機発光層(Alq:60nm)、電子注入層(Mg/Ag:5nm)、透明陰極(IZO:220nm)とから構成される有機EL発光素子を作製した。
得られた有機EL発光素子は、αNPDとAlqとの界面において、最短波長525nmで発光する。なお、エリプソメーター(波長525nm)によって測定されたαNPDの屈折率が1.6であったことを考慮して、最短波長とαNPDの膜厚との関係から算出される各発光素子における光学距離dを表1に示す。また、各々の有機EL発光素子を100cd/mの輝度で点灯させ、その際の電流を測定し、電流効率を求めることにより各素子の発光効率を評価した。その結果を図4のグラフに示す。
Figure 2005150043
図4のグラフから明らかなように、実施例1〜4の有機EL発光素子は、比較例1〜3の発光素子と比較して高い発光効率を示している。これは光学距離dが干渉を起こさない範囲内にあることに起因して光学的干渉による出射光の低減が効果的に改善されたことを意味している。
すなわち、αNPDの屈折率をnNPDとし、αNPDの膜厚をdNPDと示すと、発光面から直にAlqおよびIZOを透過して素子外部へ出射する直接光と、αNPDを透過し陽極(反射面)で反射した後にαNPD、AlqおよびIZOを透過して素子外部へ出射する反射光との光路差は2nNPDNPDであり、光学距離dはnNPDNPDとなる。その際、実施例1〜4の発光素子におけるαNPDの各膜厚は、式(1)で示される光学距離dの条件を満たすものである(dがλ/4よりも小さくなる)。一方、比較例1〜3の発光素子におけるαNPDの各膜厚は、式(1)で示される光学距離dの条件を満たさないものである。特に、比較例3については、弱め合いの干渉が起こる条件となる(式(B)を満たす)ため、発光効率が著しく低下している。
従来のボトムエミッション型有機EL発光素子の構成例を示す模式的断面図である。 従来のトップエミッション型有機EL発光素子の構成例を示す模式的断面図である。 本発明の有機EL発光素子の構成例を示す模式的断面図である。 実施例1〜4および比較例1〜3の有機EL発光素子における正孔輸送層の膜厚と電流効率との関係を示すグラフである。
符号の説明
10 基板
20a 陽極(透明電極)
20b 陽極(金属膜)
30 正孔注入層
40 正孔輸送層
50 有機発光層
60 電子輸送層
70 電子注入層
80a 陰極(金属膜)
80b 陰極(透明電極)

Claims (4)

  1. 基板と、該基板の上に積層される反射面を有する陽極と、該陽極の上に積層される少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、該有機EL層の上に積層される透明陰極とを有する有機EL発光素子であって、
    前記反射面から前記有機発光層における前記陽極側界面までの光学距離dと、前記有機発光層から発する光の最短波長λとが下式(1)
    Figure 2005150043
    の関係を満たすことを特徴とする有機EL発光素子。
  2. 前記陽極は、前記有機発光層から発する光に対して50%以上の反射率を有し、かつ4eV以上の仕事関数を有する金属膜から形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機EL発光素子。
  3. 前記陽極と前記有機発光層との間に正孔輸送層を有し、前記有機発光層と前記透明陰極との間に電子注入層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL発光素子。
  4. 前記光の発光波長領域幅が50nmを超えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の有機EL発光素子。
JP2003389902A 2003-11-19 2003-11-19 有機el発光素子 Pending JP2005150043A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003389902A JP2005150043A (ja) 2003-11-19 2003-11-19 有機el発光素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003389902A JP2005150043A (ja) 2003-11-19 2003-11-19 有機el発光素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005150043A true JP2005150043A (ja) 2005-06-09

Family

ID=34696491

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003389902A Pending JP2005150043A (ja) 2003-11-19 2003-11-19 有機el発光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005150043A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006100245A (ja) * 2004-09-03 2006-04-13 Stanley Electric Co Ltd El素子
JP2006165034A (ja) * 2004-12-02 2006-06-22 Stanley Electric Co Ltd 有機el素子
WO2007004476A1 (en) * 2005-06-30 2007-01-11 Canon Kabushiki Kaisha Multi-color display apparatus
JP2007066601A (ja) * 2005-08-30 2007-03-15 Victor Co Of Japan Ltd 有機el表示装置
WO2011125090A1 (ja) * 2010-04-02 2011-10-13 株式会社 日立製作所 有機発光装置およびこれを用いた光源装置
JP2012028064A (ja) * 2010-07-21 2012-02-09 Canon Inc 有機el表示装置
JP2013179026A (ja) * 2011-08-12 2013-09-09 Canon Inc 有機el素子、及びこれを用いた発光装置、画像形成装置、発光素子アレイ、撮像装置、表示装置
WO2015001785A1 (ja) * 2013-07-04 2015-01-08 パナソニック株式会社 発光素子、表示装置及び発光素子の製造方法
JP2020140911A (ja) * 2019-02-28 2020-09-03 セイコーエプソン株式会社 画像表示装置および虚像表示装置

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006100245A (ja) * 2004-09-03 2006-04-13 Stanley Electric Co Ltd El素子
JP2006165034A (ja) * 2004-12-02 2006-06-22 Stanley Electric Co Ltd 有機el素子
US8063558B2 (en) 2005-06-30 2011-11-22 Canon Kabushiki Kaisha Multi-color display apparatus
JP2007043097A (ja) * 2005-06-30 2007-02-15 Canon Inc 多色表示装置
WO2007004476A1 (en) * 2005-06-30 2007-01-11 Canon Kabushiki Kaisha Multi-color display apparatus
JP2007066601A (ja) * 2005-08-30 2007-03-15 Victor Co Of Japan Ltd 有機el表示装置
WO2011125090A1 (ja) * 2010-04-02 2011-10-13 株式会社 日立製作所 有機発光装置およびこれを用いた光源装置
US8866131B2 (en) 2010-04-02 2014-10-21 Hitachi, Ltd. Organic light-emitting device and light source apparatus using same
JP5621842B2 (ja) * 2010-04-02 2014-11-12 株式会社日立製作所 有機発光装置およびこれを用いた光源装置
JP2012028064A (ja) * 2010-07-21 2012-02-09 Canon Inc 有機el表示装置
JP2013179026A (ja) * 2011-08-12 2013-09-09 Canon Inc 有機el素子、及びこれを用いた発光装置、画像形成装置、発光素子アレイ、撮像装置、表示装置
WO2015001785A1 (ja) * 2013-07-04 2015-01-08 パナソニック株式会社 発光素子、表示装置及び発光素子の製造方法
JPWO2015001785A1 (ja) * 2013-07-04 2017-02-23 株式会社Joled 発光素子、表示装置及び発光素子の製造方法
JP2020140911A (ja) * 2019-02-28 2020-09-03 セイコーエプソン株式会社 画像表示装置および虚像表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4886352B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP5024124B2 (ja) 有機電界発光素子および表示装置
KR101199695B1 (ko) 유기 이엘 소자
US20080284325A1 (en) Organic electroluminescent device and method for preparing the same
US7029767B2 (en) Organic electroluminescent device and method for manufacturing same
US20060049419A1 (en) Light emitting diode device
JP2008028371A (ja) 有機発光装置
JP2009295581A (ja) 有機電界発光表示装置
JPH11260562A (ja) 有機elカラーディスプレイ
JPWO2009069434A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
KR20150124010A (ko) 백색 유기 발광 소자
JPWO2004091262A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ
WO2009119591A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2010119503A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
JP4479171B2 (ja) 表示素子
JP2005150043A (ja) 有機el発光素子
JP2008112976A (ja) 有機電界発光素子、表示装置、および電子機器
JP2006041395A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
US20120119199A1 (en) Organic electroluminescent display device
JP4366686B2 (ja) 有機el素子の製造方法
JP2002260858A (ja) 発光素子及びその製造方法
JP2005150042A (ja) 有機el発光素子
Raychaudhuri et al. Performance enhancement of top‐and bottom‐emitting organic light‐emitting devices using microcavity structures
JP2006066553A (ja) 有機el素子およびその製造方法
KR100790672B1 (ko) 유기 일렉트로루미네센스 소자 및 유기 일렉트로루미네센스디스플레이

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060414

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090130

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100105