JP2005149809A - 赤外線電球及び加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の赤外線電球は、長手方向に延びる形状を有する1又は複数個の発熱体と、非晶質ガラスで形成され発熱体を封止した第1のガラス管と、筒状であってその中の空洞部に第1のガラス管を配置した第2のガラス管と、所定の幅で長手方向に延びる反射板と、を有し、第2のガラス管は、外周部に所定の幅で長手方向に延びる開口部を有し、反射板は、第2のガラス管の開口部を塞ぐように配置される。
【選択図】図1
Description
典型的な従来の加熱装置(例えば加熱調理器)は、加熱対象である調理物を上側に配置し、下側に石英ガラス管内に発熱体を封止したランプ形状のヒータを有する構造であった。このような従来の加熱調理器では、調理物から油脂分や塩分を含んだ液体が落下して石英ガラス管の表面に直接付着する場合があった。このような場合、石英管からの輻射光が遮られ、加熱効率が低下するという問題があった。石英管の表面に塩分を含んだ液体が付着した状態で、石英管の表面が700℃を越えるとアルカリ成分と石英が反応して、石英管が失透する現象が起こり、最悪の場合には石英管の強度が低下し破損するという問題があった。
従来例の加熱装置は、赤外線電球の後方に半円筒形状の反射板を有し、赤外線の輻射強度を局所的に強くして、集中的に調理物を加熱している。
本発明は、上記の問題を解決するためになされるものであり、取り外し可能な2重のガラス管を有し、赤外線電球の失透を防ぎ、且つ使い勝手の良い赤外線電球及びその赤外線電球を用いた加熱装置を提供することを目的とする。
本発明は、赤外線電球の輻射分布を改善し、赤外線放射強度が高く、指向性のある電球において長期間使用できる構成を有する赤外線電球及びその赤外線電球を用いた加熱装置を提供することを目的とする。
断面が放物線形状の反射板は、焦点に配置した発熱体が放射する赤外線を、放物線の中心軸と平行な方向に全て反射する。従って、特定の方向への指向性を有する輻射分布の(所定の方向への高い赤外線放射強度を有する)反射板として、断面が放物線の形状の反射板は理想的である。しかし、反射板の断面を放物線形状に加工することは困難であり、断面が放物線形状の反射板は、断面が球面形状の反射板と較べてコストが非常に高くなる。第1のガラス管の中心軸を、第2のガラス管の中心軸から偏心させ、断面が球面形状の反射板に近づけた位置に配置することにより、断面が球面形状の反射板の所定の部分が、発熱体を焦点とする放物線に近似する。これにより、特定の方向への改善された指向性を有する輻射分布の(所定の方向への高い赤外線放射強度を有する)反射板を有する赤外線電球を実現できる。
本発明は、赤外線電球の輻射分布を改善し、赤外線放射強度が高く、指向性のある電球において長期間使用できる構成を有する赤外線電球及びその赤外線電球を用いた加熱装置を実現できるという有利な効果が得られる。
図1〜3を用いて、実施の形態1の赤外線電球及び加熱装置について説明する。図1は本発明の実施の形態1の赤外線電球の構造を示す図である。図1において、上下に示した実施の形態1の赤外線電球は、その中央部分を省略したものであり、連続した構造を有している。実施の形態1の赤外線電球は、第1のガラス管1、発熱体2、放熱ブロック3、内部リード線4、コイル状部5、スプリング状部6、モリブデン箔7、外部リード線8、第2のガラス管9、反射板10を有する。実施の形態1の赤外線電球は、第1のガラス管1と第2のガラス管9及び反射板10とで二重に発熱体を覆う構造を有する。実施の形態1の赤外線電球は、反射板10により特定の方向への指向性を有する輻射分布(所定の方向への高い赤外線放射強度)を有する。
第1のガラス管1内に封入された板状の発熱体2は、黒鉛などの結晶化炭素、抵抗値調整物質、及びアモルファス炭素の混合物からなる炭素系物質で形成されている。この発熱体2の形状は板状であり、例えば、幅Tmm、厚みtmm、長さ300mmに形成されている。T≧5tに設定することにより、Tmmの幅部に垂直な方向に強い指向性を有する輻射強度分布特性が得られる。なお、板状形状は多角形形状でも良い。炭素系物質の赤外線放射率は78〜84%と高いため、炭素系物質を発熱体として用いることで、赤外線電球の赤外線放射率が高くなる。また平板状であることから余分な加熱に要するエネルギーが必要でないなど大きな特徴を有している。炭素系物質は、温度と抵抗の関係を表す温度抵抗特性がわずかに負或いは正の特性を有しているため、通電開始の瞬間の突入電流が小さく、制御回路も簡単なものでよい。突入電流が小さいのでノイズによる周辺機器への影響も無い。
図1に示すように、内部リード線4のコイル状部5が放熱ブロック3の外周面に密着して巻回され電気的に接続されている。内部リード線4のスプリング状部6は、放熱ブロック3の外周面から所定の間隔を有して配置されており、発熱体2の膨張による寸法変化を吸収できるように構成されている。
このように組み立てられた発熱体2を透明な第1のガラス管1に挿入し、内部にアルゴンガス等の不活性ガスを満たした後、モリブデン箔7を含む第1のガラス管1の端部を溶融し平板状に押しつぶして封止する(「封止部」と呼ぶ。)。
外部リード線8に電力を印加すると、発熱体2に電流が流れ、その電流に対する発熱体の抵抗により熱が生じる。このとき、発熱体からは赤外線が輻射される。赤外線電球は、発熱体2の発熱温度が1500℃以下で定常状態になるように設計されている。
第2のガラス管は略半円筒状の形状であって、外周部に所定の幅で長手方向に延びる開口部を有する。実施の形態1において、所定の幅は第2のガラス管の直径より小さい。第2のガラス管は長手方向に延びる開口部を有することにより、保持部材(図4、5に示す。)から簡単に着脱できる構造になっている。
第2のガラス管9の両端と反射板10の両端とで開口を形成し、その開口から空洞部に空気が移動することにより、赤外線電球の配置された空洞部の温度上昇が抑制される。その結果、赤外線電球において高温に弱い部分、例えば石英ガラスの封止部、リード線部が、熱により破損したり劣化することを防止している。
本発明に係る実施の形態1の赤外線電球において、発熱体2は反射板内径よりEの距離に配設されている。発熱体2の中心軸に垂直な断面において、反射板の断面形状は発熱体の中心軸を焦点(反射板の内径から距離E)とする放物線に近似している。放物線の焦点とは、焦点に配置された点光源から放射された光が放物線によって反射されて平行光になる点を意味する。発熱体は板状であって、発熱体のもっとも幅が広い面に垂直でその長手方向に延びる中心線を通る面が、反射板の長手方向に延びる中心線を略通る。
これにより、第1のガラス管1と第2のガラス管9と反射板10とは、簡単に取り外しができる状態で、保持部材によって固定される。
輻射強度分布曲線21及び22は、発熱体2に一定の電圧を印加したとき、発熱体2の中心軸から一定の距離の地点における微少な一定の面積内に到達する赤外線量を測定して得た。図2において、半径方向の単位はW/cm2である。
実線で示す輻射強度分布曲線22は、反射板10を有する実施の形態1の赤外線電球の輻射強度分布曲線である。反射板10を有する赤外線電球は、反射板10を有していない赤外線電球と比較して、X軸方向の輻射強度が約2倍である。発熱体2を近似的に反射板10の放物線の焦点に置くことにより、優れた指向性(一方向への高い集熱率)を得ることができる。
赤外線電球から放射される放射光のピーク波長(2〜3μm)は、食品を構成している有機物質や、水分の吸収波長と合致するため、本発明に係る加熱調理器は短時間で食品の加熱が可能となる。
第2のガラス管は、半円筒状で形成されているので、調理物から飛散した油脂分や水分が第2のガラス管に落下したとき、その低部に流れていく構造である。第2のガラス管が失透し又は汚れた場合であっても、簡単に取り外しができ、第2のガラス管を清掃して付着した飛散物を取り除き、又は第2のガラス管のみを取り替えることができる。この結果、加熱調理器は、常に綺麗で清潔な状態で使用できる。
このような構成を持つ赤外線電球を使用した加熱調理器により、加熱効果を高め使い勝手の良い商品を提供することができる。長時間使用しても加熱調理器自体の汚染が防止され、赤外線電球の輻射光の減衰が少なく、調理効率の低下しにくい加熱調理器を提供できる。
図3は簡略化のため、一つの赤外線電球を用いた加熱調理器で説明したが、複数の赤外線電球を用いても同様の効果が得られる。
図6を用いて、実施の形態2の赤外線電球を説明する。図6は本発明の実施の形態2の赤外線電球の長手方向に垂直な断面図である。実施の形態2の赤外線電球が実施の形態1の赤外線電球と異なるところは、反射板63の第2のガラス管62の開口部の塞ぎ方である。実施の形態2の赤外線電球は、反射板63の背面と第2のガラス管62の開口部の長手方向に延びる端部とが密着する構造である。
これにより、第1のガラス管1と第2のガラス管62及び反射板63とは、簡単に取り外しができる状態で、保持部材によって固定される。
底板45及び上板46の構造は実施の形態1と同一である。底板45及び上板46は、第1のガラス管1を所定の力で保持する。
2 発熱体
3 放熱ブロック
4 内部リード線
5 コイル状部
6 スプリング状部
7 モリブデン箔
8 外部リード線
9、62 第2のガラス管
10、63 反射板
30 加熱調理器の外壁
31 加熱調理器の内壁
Claims (20)
- 長手方向に延びる形状を有する1又は複数個の発熱体と、非晶質ガラスで形成され前記発熱体を封止した第1のガラス管と、筒状であってその中の空洞部に前記第1のガラス管を配置した第2のガラス管と、所定の幅で長手方向に延びる反射板と、を有し、
前記第2のガラス管は、外周部に所定の幅で長手方向に延びる開口部を有し、
前記反射板は、前記第2のガラス管の開口部を塞ぐように配置されることを特徴とする赤外線電球。 - 前記発熱体を25℃環境において定格で加熱した時、前記第2のガラス管の外周表面の温度が、全ての部分において600℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線電球。
- 前記発熱体を25℃環境において定格で加熱した時、前記第2のガラス管の外周表面の温度が、全ての部分において550℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線電球。
- 前記第2のガラス管が石英ガラスを含む耐熱性ガラスであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの請求項に記載の赤外線電球。
- 前記第1のガラス管の中心軸が、前記第2のガラス管の中心軸から偏心していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかの請求項に記載の赤外線電球。
- 前記反射板の長手方向に平行な端部の近傍と、前記第2のガラス管の内壁とが密着する構造を有することを特徴とする請求項1に記載の赤外線電球。
- 前記反射板の背面と、前記第2のガラス管の開口部の長手方向に延びる端部とが密着する構造を有することを特徴とする請求項1に記載の赤外線電球。
- 前記反射板が前記第2のガラス管に密着する方向に付勢するバネ性を有することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の赤外線電球。
- 反射板の幅方向の両端部が外側にカーリングし又は外側に曲げ加工されることを特徴とする請求項1に記載の赤外線電球。
- 前記第1のガラス管の中心軸に垂直な断面において、前記反射板の断面形状が、前記第1のガラス管の中心軸を焦点とする放物線に近似することを特徴とする請求項1に記載の赤外線電球。
- 前記発熱体は板状であって、前記発熱体の最も幅が広い面に垂直でその長手方向に延びる中心線を通る面が、前記反射膜又は前記反射板の長手方向に延びる中心線を略通ることを特徴とする請求項1に記載の赤外線電球。
- 前記第1及び第2のガラス管並びに前記反射板の両端部をそれぞれ保持する1個又は2個の保持部材を更に有することを特徴とする請求項1に記載の赤外線電球。
- 前記保持部材は、前記保持部材と前記第1のガラス管とを所定の固定部材で固定し、前記保持部材と前記第2のガラス管とをバンドで固定する構造を有することを特徴とする請求項12に記載の赤外線電球。
- 前記第2のガラス管の両端が開口していることを特徴とする請求項1に記載の赤外線電球。
- 前記第1のガラス管は両端に前記発熱体に通電するための金属端子を有し、前記金属端子は前記第2のガラス管の両端より外側に配置されることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかの請求項に記載の赤外線電球。
- 前記発熱体が、炭素系物質で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかの請求項に記載の赤外線電球。
- 前記反射板は、ステンレス、金、銀、酸化アルミニウム、ニッケル又はアルミニウムで形成されることを特徴とする請求項1に記載の赤外線電球。
- 請求項1から請求項17のいずれかの請求項に記載の赤外線電球を有することを特徴とする加熱装置。
- 前記発熱体が炭素系物質で形成された請求項14に記載の赤外線電球と、前記赤外線電球の発熱体をその内側に配置し内側と外側とを略仕切る内壁と、前記赤外線電球を格納する筐体と、を有し、
前記内壁は、互いに対向しそれぞれ前記赤外線電球の第2のガラス管の両端が挿入された穴を有する2つの壁を有することを特徴とする加熱装置。 - 前記加熱装置が、焼肉器、加熱調理器、オーブン、加熱暖房機又は電気ストーブであることを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の加熱装置。
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