JP2005148061A - 共振分析を使用した超音波探知装置及び超音波探知方法 - Google Patents

共振分析を使用した超音波探知装置及び超音波探知方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005148061A
JP2005148061A JP2004306269A JP2004306269A JP2005148061A JP 2005148061 A JP2005148061 A JP 2005148061A JP 2004306269 A JP2004306269 A JP 2004306269A JP 2004306269 A JP2004306269 A JP 2004306269A JP 2005148061 A JP2005148061 A JP 2005148061A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
value
wave
time
spectrum
probe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004306269A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005148061A5 (ja
JP4640771B2 (ja
Inventor
Masayuki Hirose
正行 廣瀬
Mikio Hara
幹夫 原
Keiichi Aoki
圭一 青木
Norio Terada
典生 寺田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NIPPON PS KK
Original Assignee
NIPPON PS KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NIPPON PS KK filed Critical NIPPON PS KK
Priority to JP2004306269A priority Critical patent/JP4640771B2/ja
Publication of JP2005148061A publication Critical patent/JP2005148061A/ja
Publication of JP2005148061A5 publication Critical patent/JP2005148061A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4640771B2 publication Critical patent/JP4640771B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】 コンクリート内に埋め込まれたシース管内のグラウト材の充填度をコンクリート表面からの測定で検知する。
【解決手段】 解析装置11は、複数個の受信信号の加算平均波G(t)を得、基準時刻t以降が1.0(減衰せず)、tより前が1.0未満(減衰)の時系列関数TGC(t)をnp乗値(npは自然数)したものを前記加算平均波G(t)に乗じてGA(t)={TGC(t)}np・G(t)波を求め、GAj(t)をフーリエ変換してスペクトルFAj(f)を求め、このFAj(f)の各最大スペクトル値が1.0になるように基準化して{FAj(f)}npを求め、これを重ねて表示し、j=1〜(nc+1)の全てが重ね描きされるスペクトルを反射波スペクトルと判断し、jの値が増す毎に、スペクトル値が増幅してくるスペクトルが得られた場合、シース管内の充填物が不足していることを把握する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コンクリート内に埋め込まれたシース管の内部グラウトの充填度をコンクリート表面からの測定で検知するための共振分析を使用した超音波探知装置及び超音波探知方法に関する。
プレストレストコンクリート構造物の建設においては、配筋されたコンクリート内部に鋼製又はポリエチレン製シース管を配置し、管内部に配されたPC鋼棒を緊張した後、その内部にグラウト材(通常はセメントペースト)を注入する。このグラウト材は緊張されたPC鋼棒の防錆及びコンクリート付着による応力伝達を目的とするために、シース管内に完全に充填されることが必要である。そのため、当該構造物の安全性確保のために、シース管内部にグラウト材が完全に充填されたか否かを探知する方法の確立が強く要望されている。
特開2000−088819
しかしながら、従来、コンクリート内部に埋設されたシース管内にグラウト材が完全に充填されているか否かを、コンクリート表面で非破壊検査する方法は存在しなかった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、コンクリート内に埋め込まれたシース管内のグラウト材の充填度をコンクリート表面からの測定で検知することができる共振分析を使用した超音波探知装置及び超音波探知方法を提供することを目的とする。
本願第1発明に係る共振分析を使用した超音波探知装置は、コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されると共にセメントミルクなどの充填物が注入されたシース管を共振分析により検査する超音波探知装置において、前記シース管の上方のコンクリート面に所定の間隔で配置される超音波発信探触子及び超音波受信探触子と、前記発信探触子及び受信探触子の超音波発信及び受信を制御する制御装置と、前記受信探触子で得る受信信号を解析する解析装置とを有し、前記制御装置は、前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度、コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子にて受信するように制御し、前記解析装置は、その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求め、基準時刻t以降の時刻で1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増する時系列関数TGC(t)をn5乗倍(n5は1以上の整数)したものを前記加算平均波G(t)に乗じてGA(t)={TGC(t)}n5・G(t)波を求める際に、tの始点t及び終点t(t<t)の間をn(nは1以上の整数)個に分割し、jを1以上の整数として表される(n+1)個のt(但し、t=t+{(t−t)/n}×(j−1)、j=1〜(n+1))の各々について前記GA(t)を算出し、これをGA(t)とし、このGA(t)をフーリエ変換してスペクトルFA(f)を求め、このFA(f)の各最大スペクトル値が1.0になるように基準化した後、nを自然数として{FA(f)}npを求めて、これを重ねて表示し、j=1〜(n+1)毎の{FA(f)}npのスペクトル群の内、j=1〜(n+1)の全てが重ね描きされるスペクトルを反射波スペクトルと判断し、jの値が増す毎に、スペクトル値が増幅してくるスペクトルが得られた場合、シース管内で共振波が生じていると判断し、シース管内の充填物が不足していることを把握することを特徴とする。
本願第2発明に係る共振分析を使用した超音波探知装置は、コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されると共にセメントミルクなどの充填物が注入されたシース管を共振分析により検査する超音波探知装置において、前記シース管の上方のコンクリート面に所定の間隔で配置される超音波発信探触子及び超音波受信探触子と、前記発信探触子及び受信探触子の超音波発信及び受信を制御する制御装置と、前記受信探触子で得る受信信号を解析する解析装置とを有し、前記制御装置は、前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度、コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子にて受信するように制御し、前記解析装置は、その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求め、基準時刻tで1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、t以降の時刻で1.0未満又は0(減少関数)の時系列関数TGCX(t)を前記加算平均波G(t)に乗じてGA(t)=TGCX(t)・G(t)波を求める際に、tの始点t及び終点t(t<t)の間をn(nは1以上の整数)個に分割し、jを1以上の整数として表される(n+1)個のt(但し、t=t+{(t−t)/n}×(j−1)、j=1〜(n+1))の各々について前記GA(t)を算出し、これをGA(t)とし、このGA(t)をフーリエ変換してスペクトルFA(f)を求め、このFA(f)の各最大スペクトル値を比較し、この内最も大きいスペクトル値が1.0になるように基準化した後、nを自然数として{FA(f)}npを求めて、これを重ねて表示し、j=1〜(n+1)毎の{FA(f)}npのスペクトルの変化の推移で、シース管内の充填度を探知することを特徴とする。
本願第3発明に係る共振分析を使用した超音波探知装置は、音波(縦波)のコンクリート内に深さdで埋め込まれ管内に鋼棒が配置されたシース管(外径Φ)において、管内にグラウト材を連続的に注入する際に、その注入の精度をリアルタイムに検査する超音波装置において、前記シース管の上方のコンクリート面に所定間隔で配置される超音波発信探触子及び受信探触子と、前記発信探触子及び受信探触子の超音波発信及び受信を制御する制御装置と、前記受信探触子で得る受信信号を解析する解析装置とを有し、前記制御装置は、前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子により受信するように制御し、前記解析装置は、その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求め、この加算平均波の取得を、前記グラウト材の注入開始時点を1回目の取得時点として、外部から与えられる所定の時刻間隔で2回目以降の加算平均波G(t)(j=1〜n:nはそれまでに取得済みの加算平均波の数)を取得する毎に、下記第1工程及び第2工程の分析を繰り返し行う手段を有し、
前記第1工程はシース管外径Φ、コンクリート音速、シース管埋め込み深さdの組み合わせ毎に整理されたn1、n2、n3、fの係数表より、前記Φ、dと合致する0を含む1以上の整数n1、n2、n3とf値(Hz)を選定し、又はn1、n2、n3、f値を外部から与えた後、分析振動数の上限をfMAX(fがfMAX以上のときF(f)=0とする)とし、f=0で0.0、f=fMAXで1.0となる増加関数A(f)と、f=0で1.0、f=fMAXで0.0となる減少関数A(f)と、f=0で0.0、f=fで1.0となる増加関数とf=fで1.0、f≧2×fで0.0となる減少関数tpmp組合せ関数A(f)とを用いて、FA(f)={A(f)}n1・{A(f)}n2・{A(f)}n3・F(f)を算出し、GA(t)=∫−∞ (FA(f)・eiωt)dfを算出して、GA(t)を求めることであり、
前記第2工程は、外部から与えられる0を含む実数であるΔt(μ秒)を用い、基準時刻tで1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、t〜t+Δtの間の時刻で1.0、t+Δt以降の時刻で1.0未満又は0.0(減少関数)である時系列関数TGCX(t)を用いて、GB(t)=TGCX(t)×GA(t)を算出し、更にこのGB(t)から、FB(f)=∫−∞ (GB(t)・e−iωt)dtを算出し、npを外部から与えられる1以上の整数として、FB(f)のnp乗値{FB(f)}npを求めて、これを表示させ、j=1〜nにおける{FB(f)}npの任意の極大値を示すスペクトル値がjの増大に伴い減少又は増大していく時点をグラウトが進行していく段階と判断し、前記スペクトル値の減少又は増大が、jが増大していっても停止する状況になったとき、シース管内が完全にグラウトされたと判断することであることを特徴とする。
本願第4発明に係る共振分析を使用した超音波探知装置は、コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されると共にセメントミルクなどの充填物が注入されたシース管を振動数分析により検査する超音波探知装置において、前記シース管の上方のコンクリート面に所定の間隔で配置される超音波発信探触子及び超音波受信探触子と、前記発信探触子及び受信探触子の超音波発信及び受信を制御する制御装置と、前記受信探触子で得る受信信号を解析する解析装置とを有し、前記制御装置は、前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度、コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子にて受信するように制御し、前記解析装置は、その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求める処理を探知対象とする埋め込み深さが等しい複数(n個)のシース毎にこのシースのコンクリート面への垂直投影線分上に、前記発信探触子と受信探触子をその中心間距離をa(mm)として配置し、加算平均波G(t)(j=1〜n)を取得する第1工程と、基準時刻t(μ秒)で1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、Δt(μ秒)を所定値とし、t〜t+Δtの間を1.0、t+Δt以降の時刻で1.0未満又は0(減少関数)とする時刻関数TGCX(t)を、n5乗倍し(n5は1以上の整数)、これに前記加算平均波G(t)を乗じて、GA(t)=(TGCX(t))n5・G(t)波を求めた後、前記GA(t)をフーリエ変換し、FA(f)をFA(f)=∫−∞ (GA(t)・eiωt)dtで計算し、npを自然数として{FA(f)}npを計算する第2工程と、{FA(f)}npの中で最も大きいスペクトル値を1.0とする基準化を行って{FA(f)}npを比較表示し、特定の振動数fD1位置に大きなスペクトル値のスペクトルが立ち上がる1つ又は複数のシース(j=k)がある場合、この1つ又は複数のG(t)の加算平均波を得たシースの内部が空又は充填不足と判断する第3工程とを有することを特徴とする。
本願第5発明に係る共振分析を使用した超音波探知装置は、コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されると共にセメントミルクなどの充填物が注入されたシース管を振動数分析により検査する超音波探知装置において、前記シース管の上方のコンクリート面に所定の間隔で配置される超音波発信探触子及び超音波受信探触子と、前記発信探触子及び受信探触子の超音波発信及び受信を制御する制御装置と、前記受信探触子で得る受信信号を解析する解析装置とを有し、前記制御装置は、前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度、コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子にて受信するように制御し、前記解析装置は、その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求める処理を探知対象とする埋め込み深さが等しい複数(n個)のシース毎にこのシースのコンクリート面への垂直投影線分上に、前記発信探触子と受信探触子をその中心間距離をa(mm)として配し、加算平均波G(t)(j=1〜n)を取得する第1工程と、基準時刻t(μ秒)で1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、Δtを所定値としてt〜(t+Δt)の間を1.0、t+Δt以降の時刻で1.0未満又は0(減少関数)とする時系列関数TGCX(t)を、前記加算平均波G(t)波に乗じて、GA(t)=TGCX(t)・G(t)波を求めた後、前記GA(t)をフーリエ変換し、FA(f)=∫−∞ (GA(t)・e−iωt)dtを演算し、npを自然数として{FA(f)}npを計算する第2工程とを有し、前記第2工程は、{FA(f)}npの比較表示をj毎に{FA(f)}npの最大スペクトル値を1.0に基準化して行う第1解析部と、{FA(f)}npの比較表示を{FA(f)}np個々の最大スペクトル値をSとし、S(j=1〜n)の中で最も大きい値をSMAXとしたとき、SMAXを1.0に基準化して行う第2解析部とを有することを特徴とする。
本願第6発明に係る超音波探知方法は、音波(縦波)のコンクリート内に深さdで埋め込まれ管内に鋼棒が配置されたシース管(外径Φ)において、管内にグラウト材を連続的に注入する際に、その注入の精度をリアルタイムに検査する超音波探知方法において、超音波発信探触子及び受信探触子を前記シース管の上方のコンクリート面に所定間隔で配置し、前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子により受信するように制御し、その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求め、この加算平均波の取得を、前記グラウト材の注入開始時点を1回目の取得時点として、外部から与えられる所定の時刻間隔で2回目以降の加算平均波G(t)(j=1〜n:nはそれまでに取得済みの加算平均波の数)を取得する毎に、下記第1工程及び第2工程の分析を繰り返し行い、
前記第1工程はシース管外径Φ、コンクリート音速、シース管埋め込み深さdの組み合わせ毎に整理されたn1、n2、n3、fの係数表より、前記Φ、dと合致する0を含む1以上の整数n1、n2、n3とf値(Hz)を選定し、又はn1、n2、n3、f値を外部から与えた後、分析振動数の上限をfMAX(fがfMAX以上のときF(f)=0とする)とし、f=0で0.0、f=fMAXで1.0となる増加関数A(f)と、f=0で1.0、f=fMAXで0.0となる減少関数A(f)と、f=0で0.0、f=fで1.0となる増加関数とf=fで1.0、f≧2×fで0.0となる減少関数との組合せ関数A(f)とを用いて、FA(f)={A(f)}n1・{A(f)}n2・{A(f)}n3・F(f)を算出し、GA(t)=∫−∞ (FA(f)・eiωt)dfを算出して、GA(t)を求めることであり、
前記第2工程は、外部から与えられる0を含む実数であるΔt(μ秒)を用い、基準時刻tで1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、t〜t+Δtの間の時刻で1.0、t+Δt以降の時刻で1.0未満又は0.0(減少関数)である時系列関数TGCX(t)を用いて、GB(t)=TGCX(t)×GA(t)を算出し、更にこのGB(t)から、FB(f)=∫−∞ (GB(t)・e−iωt)dtを算出し、npを外部から与えられる1以上の整数として、FB(f)のnp乗値{FB(f)}npを求めて、これを表示させ、j=1〜nにおける{FB(f)}npの任意の極大値を示すスペクトル値がjの増大に伴い減少又は増大していく時点をグラウトが進行していく段階と判断し、前記スペクトル値の減少又は増大が、jが増大していっても停止する状況になったとき、シース管内が完全にグラウトされたと判断することであることを特徴とする。
本願第7発明に係る超音波探知方法は、コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されると共にセメントミルクなどの充填物が注入されたシース管を振動数分析により検査する超音波探知方法において、超音波発信探触子及び超音波受信探触子を、前記シース管の上方のコンクリート面に、探知対象とする埋め込み深さが等しい複数(n個)のシース毎に、このシースのコンクリート面への垂直投影線分上に、前記発信探触子と受信探触子の中心間距離をa(mm)として配置して超音波探知する方法であって、
前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度、コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子にて受信するように制御し、
その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求める処理を、
加算平均波G(t)(j=1〜n)を取得する第1工程と、
基準時刻t(μ秒)で1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、Δt(μ秒)を所定値とし、t〜t+Δtの間を1.0、t+Δt以降の時刻で1.0未満又は0(減少関数)とする時刻関数TGCX(t)を、n5乗倍し(n5は1以上の整数)、これに前記加算平均波G(t)を乗じて、GA(t)=(TGCX(t))n5・G(t)波を求めた後、前記GA(t)をフーリエ変換し、FA(f)をFA(f)=∫−∞ (GA(t)・eiωt)dtで計算し、npを自然数として{FA(f)}npを計算する第2工程と、
{FA(f)}npの中で最も大きいスペクトル値を1.0とする基準化を行って{FA(f)}npを比較表示し、特定の振動数fD1位置に大きなスペクトル値のスペクトルが立ち上がる1つ又は複数のシース(j=k)がある場合、この1つ又は複数のG(t)の加算平均波を得たシースの内部が空又は充填不足と判断する第3工程とにより行うことを特徴とする。
本願第8発明に係る超音波探知方法は、コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されると共にセメントミルクなどの充填物が注入されたシース管を振動数分析により検査する超音波探知方法において、超音波発信探触子及び超音波受信探触子を、前記シース管の上方のコンクリート面に、探知対象とする埋め込み深さが等しい複数(n個)のシース毎にこのシースのコンクリート面への垂直投影線分上に、前記発信探触子と受信探触子の中心間距離をa(mm)として配置して超音波探知する方法であって、
前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度、コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子にて受信するように制御し、
その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求める処理は、
加算平均波G(t)(j=1〜n)を取得する第1工程と、
基準時刻t(μ秒)で1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、Δtを所定値としてt〜(t+Δt)の間を1.0、t+Δt以降の時刻で1.0未満又は0(減少関数)とする時系列関数TGCX(t)を、前記加算平均波G(t)波に乗じて、GA(t)=TGCX(t)・G(t)波を求めた後、前記GA(t)をフーリエ変換し、FA(f)=∫−∞ (GA(t)・e−iωt)dtを演算し、npを自然数として{FA(f)}npを計算する第2工程とを有し、
前記第2工程は、{FA(f)}npの比較表示をj毎に{FA(f)}npの最大スペクトル値を1.0に基準化して行う第1解析部と、{FA(f)}npの比較表示を{FA(f)}np個々の最大スペクトル値をSとし、S(j=1〜n)の中で最も大きい値をSMAXとしたとき、SMAXを1.0に基準化して行う第2解析部とにより行うことを特徴とする。
本発明によれば、コンクリート内に埋め込まれたシース管内に充填物が充填されているか、又は充填不足が存在するかを、コンクリート表面からの測定で検知することができ、また、この充填度も検知することができる。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施形態に係る超音波探知装置を示すブロック図である。この超音波探知装置の回路構成は全ての実施形態に該当し、各実施形態における相違点は、固定ディスク25内に格納されたソフトウエアと、コントロール回路20における超音波の発信態様である。
被探知体30の表面に発信探触子4と受信探触子5が接触するように配置される。そして、発信探触子4には超音波探知装置の電流供給回路23から電流が供給され、発信探触子4から超音波が発信し、被探知体30内に入射する。また、受信探触子5が受信した超音波信号は、解析装置11に入力されて、後述のようにして解析される。この解析装置11においては、受信探触子5の受信信号がアンプ回路15により増幅されてフィルタ回路16に入力され、このフィルタ回路16により後述のごとくしてフィルタリングを受けた信号がADC(アナログディジタル変換回路)17によりデジタル信号に変換され、ゲートアレイ18を介してCPU(中央演算装置)19に入力される。HD(ハードディスク)25には解析処理アプリケーションソフトウエアと、CPU19により演算処理された時系列データが保存される。また、この解析結果は表示装置12にも入力されて表示される。更に、必要な情報がキーボード27からCPU19に入力されるようになっている。メモリ26はCPU19が演算する際にデータを一時的に格納するために使用される。また、CPU19からコントロール回路20に制御信号が出力され、コントロール回路20はアンプ回路15、フィルタ回路16、ADC17、ゲートアレイ18及び電流供給回路23に作動指令信号を出力する。
電流供給回路23は同軸ケーブル31を介して発信探触子4に接続されている。発信探触子4には、図3に示すように、基盤化したステップ型電圧発生器13と振動子28とが内蔵されている。ステップ型電圧発生器13には、図2に示すように、ステップ電圧駆動回路21及びステップ電圧発生回路22が設けられており、ステップ電圧駆動回路21で発生するステップ関数型電圧を振動子28に印加する。
超音波を被探知体30に入力する都度、受信探触子5で受信波を得る。この受信波は同軸ケーブル32を介して、解析装置11のアンプ回路15へ電圧の時間変動データとして送られる。アンプ回路15へ送られた前記時間変動データは、フィルタ回路16を経由してADC17に達する電圧のアナログ量がADC17によりデジタル量に変換され、ゲートアレイ18を介してCPU19に転送され、前記電圧デジタル値の時刻歴が表示装置12に表示される。
自動的に又はキーボード27を用いた外部からの指示で、電圧の増幅又は減幅及びローパス/ハイパスフィルタ処理の指令がCPU19に伝達され、CPU19はコントロール回路20を介してアンプ回路15及びフィルタ回路16を制御する。
図4に示すように、受信探触子5には100kHz乃至300kHzの範囲の特性の振動数における漸減型ハイパスフィルタ24、アンプ回路14及び振動子29が内蔵されている。
電流供給回路23はコントロール回路20により制御されて、所定の時間間隔で動作する。これにより、発信探触子4に内蔵された振動子から、前記所定の時間間隔で超音波が被探知体30に入射される。受信探触子5に内蔵された振動子29は超音波が入力する都度、被探知体30の音圧変化にともない振動が励起する。この振動励起で振動子29に生じる電圧の時間的変化が、受信探触子5内のフィルタ回路24及びアンプ回路14で1次処理される。
アンプ回路15及びフィルタ回路16の制御が終了した段階で、CPU19の指示でコントロール回路20がゲートアレイ18にADC17で得られる電圧に関する時刻歴デジタル量を、前記時刻歴を得る都度、指定回数加算し、加算平均時刻歴を作成し、表示装置12にその時刻歴をリアルタイム表示する。
ハイパスフィルタ及びアンプ回路は夫々受信探触子5と解析装置11の双方に内蔵されている。受信探触子5に内蔵されているハイパスフィルタ24及びアンプ回路14は受信波に対し、前述の如く、1次処理を行うものである。解析装置11に内蔵されるアンプ回路15とフィルタ回路16は、1次処理された受信波に対し、CPU19のコントロール下で微調整するものである。この微調整は装置機能の高度化のために必要とするものであることより、解析装置11内のアンプ回路15といフィルタ回路16は必ずしも必要としない。
次に、各実施形態で使用する周波数フィルタについて説明する。図5は第1の振動数フィルタA(f)及び第2の振動数フィルタA(f)の特性を示す図である。第1の振動数フィルタA(f)は、下記数式1で表わされる任意の関数P(t)に対して、下記数式2で表わされる関数PA(t)を作成するためのフィルタであり、図5に示すように、分析振動数の上限をfMAXとし、振動数と共に上昇する正弦関数である。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
但し、n1は自然数である。
第2の振動数フィルタA(f)は、下記数式3で表わされる任意の関数PA(t)を作成するためのフィルタであり、図5に示すように、分析振動数の上限をfMAXとし、振動数と共に減少する余弦関数である。
Figure 2005148061
但し、n2は自然数である。
第3の振動数フィルタA(f)は、数式1で表わされる任意の関数P(t)に対して、下記数式4で表わされる関数PA(t)を作成するためのフィルタであり、図6に示すように、振動数f、3f、5f、・・・で最大値となり、0、2f、4f、・・・で0となる正弦関数の絶対値で表わされる。
Figure 2005148061
但し、n3は自然数である。
なお、A(f)、A(f),A(f)の各フィルタは、プログラム上でディジタル処理されている。上述の数式2乃至4の3個の関数PA(t)は、次のような演算処理により短時間で求めることができる。
数式2のPA(t)については、Δt=1/(2×fMAX)として、下記数式5乃至数式7から関数Pn1(t)を求め、これを関数PA(t)とすることができる。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
(n1が奇数)
Figure 2005148061
(n1が偶数)
数式3のPA(t)については、Δt=1/(2×fMAX)として、下記数式8乃至数式10から関数Pn2(t)を求め、これを関数PA(t)とすることができる。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
(n2が奇数)
Figure 2005148061
(n2が偶数)
数式4のPA(t)については、Δt=1/(2×f)として、下記数式11乃至数式13から関数Pn3(t)を求め、これを関数PA(t)とすることができる。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
(n3が奇数)
Figure 2005148061
(n3が偶数)
次に、各実施形態で使用する時系列フィルタについて説明する。図7はTGC1(t)のフィルタ特性を示す波形図である。TGC1(t)はt=0で0であり、このt=0からt=tまで順次増加し、t=t以降の時刻で1.0の値となる時系列フィルタである。従って、TGC1n5(t)は図7に示すようになる。但し、n5は1以上の整数である。
TGC1(t)を用いてG(t)から切り出す波をGA(t)と表現すると、GA(t)は下記数式14にて示される。
Figure 2005148061
図8はTGC4のフィルタ特性を示す波形図である。TGC4(t)はt=0で0、t=tで1.0、t=2×t以降の時刻で0となる時刻0〜tを増加関数、時刻t〜2×tを減少関数とするフィルタである。このTGC4(t)を用いて、G(t)から切り出す波をGA(t)と表現すると、このGA(t)は下記数式15にて表される。但し、n5は1以上の整数である。この図8のフィルタは請求項8で規定されたものである。
Figure 2005148061
図9はTGC5のフィルタ特性を示す波形図である。TGC5(t)はt=t−Δt以前の時刻で0、t=tで1.0、t=t+Δt以降の時刻で0となる時刻t−△t〜tを増加関数、時刻t〜t+△tを減少関数とするフィルタである。但し、n5は1以上の整数である。このTGC5(t)を用いて、G(t)から切り出す波をGA(t)と表現すると、下記数式16が成立する。この図9のフィルタは、請求項9で規定されている。
Figure 2005148061
図10はTGC6の波形図である。TGC6(t)はt=t−Δta以前の時刻で0、t=t−Δtaからtの間を最大値1.0とする増加関数、t=tからt+Δtの間を1.0、t=t+Δtからt+Δt+Δtaの間を最大値1.0とする減少関数、t=t+Δt+Δta以降の時刻を0とする時系列フィルタである。TGC6(t)を用いて、G(t)から切り出す波をGA(t)と表現すると、GA(t)は下記数式17で表される。但し、n5は1以上の整数である。なお、図10に示すフィルタは、請求項10で規定されている。
Figure 2005148061
次に、本発明の共振分析による探知法の第1の基本原理について説明する。この共振分析法は、被探知体内の共振現象を起す探知対象物に対する新規な探知法であり、この共振分析法をコンクリートに埋め込まれたシース管の充填度の探知に使用する方法について、詳述する。
図11はシース管内のセメントミルク充填度の探知方法を示す模式図である。発信探触子211と受信探触子212をコンクリート218内のシース管215の直上のコンクリート表面に、その中心間距離をaとして配置する。シース管215内には、セメントミルク217が充填されているが、このシース管215内には、セメントミルク217が存在しない空隙216が存在する。
発信探触子211からコンクリート218内に発信される超音波はシース管215の表面で反射し、経路213で示すように、伝搬して受信探触子212で受信される。この受信された反射波を模式的に示せば、図12(a)のようになる。図12(a)に示すように、受信波(反射波)の起生状況は、最初に探触子間をコンクリート面で伝達する表面波2130が生じ、次に、経路213で伝搬するシース管215からの反射波が生じることになる。経路213の反射波としては、反射波(縦波)2131、反射波2132、及び反射波2133の3種類がある。即ち、反射波2131は、往路、復路を縦波とするもの、反射波2132(以下、モード変換波1という)は、往路を縦波、復路を横波とするもの、又は往路を横波、復路を縦波とするもの、反射波2133(以下、モード変換波2という)は往路及び復路を横波とするものである。
一方、シース管内部が空若しくは充填不足の場合、シース管に共振現象が生じ、シース管共振波214が発生する。このシース管共振波214には、図12(b)に示すように、反射波2131の縦波に対応する共振波2141と、反射波2132のモード変換波1に対応する共振波2142と、反射波2133のモード変換波2に対応する共振波2143とがある。
この場合に、図12(a)と図12(b)との対比から、反射波2131〜2133と共振波2141〜2143との基本的な違いは、(ア)反射波2131〜2133は強度が大きいが、直ちに減衰し、(イ)共振波2141〜2143は、反射波と比べて、その強度は極端に小さいが、減衰の程度が小さく、長時間継続することである。
前記(ア)、(イ)の物理現象を利用すれば、図11の態様で超音波を計測することにより、シース管内にセメントミルクが完全に充填されているか、いないかの探知が可能となる。この方法を、前記TGC1(t)フィルタを用いた場合で説明する。
図13(a)は、図12(a)の反射波G1(t)に、n5を1以上の整数としてtΤの値を反射波2131の起生時刻tとしたフィルタ関数TGC1n5(t)を乗じたときの波形図である。図13(b)は図12(b)の3つの共振波を加算し、B(t)=B(t)+B(t)+B(t)としたものに、前記TGC1n5(t)を乗じたときの波形図である。
一方、図14(a)、(b)は図13(a)、(b)の波形図と異なり、TGC1フィルタのtΤの値を、線分2136で示すt(t>t)に変更したフィルタ関数TGC1n5(t)を乗じたときの波形図である。
本願出願人は、反射波が大きく励起する振動数がf値として存在することをすでに開示した(PCT/JP01/10504)。図13(a)のTGC1n5(t)・G1(t)波を、前記f値を中心振動数とする狭帯域成分波とすれば、図13(b)のTGC1n5(t)・B1(t)の共振波の振動数はf値近傍の値となる。この現象はシース管の1次共振振動数をfS1とすればnを1以上の整数として、nのいずれかの値で得られるn×fS1の振動数が前記f値を中心振動数とする狭帯域スペクトルの帯域の中に存在することより生じる。この現象をスペクトル上で模式的に示せば、図15のようになる。反射波等のスペクトル値と共振波のスペクトル値とを比較すると、格段に前者のほうが大きくなることがわかる。
実際問題としては、図13(a)、(b)の波は重畳して(G(t)+B(t))受信されるので、図15の反射波スペクトルとシース管共振波スペクトルとを分離して把握することはできない。
一方、図14(a)のt=tとしたTGC1(t)を用いたTGC1n5(t)・(G1(t)+B(t))の波は、t=t以前の時刻の大きな強度の反射波が除去/低減されている。これにより、図15に対応するこの場合のスペクトル比較図は、図16(a)のようになる。
コンクリート内を伝達する超音波は路程が長く(受信時刻が遅く)なるほど加速度的に減衰すること、及び反射波などは一般的に1〜2波の波であること、共振波も路程が長くなると加速度的に減衰するとはいいながら、長時間継続することにより、反射波のスペクトル値と共振波のスペクトル値の相対強度が、図14のTGC1(t)算定用tΤ値を時刻歴後方へ移動していく経緯の中で逆転してくる。これより、図16(a)のスペクトル群の最大スペクトルを1.0に基準化して示せば、図16(b)の如きスペクトル比較図を得ることができる。
シース管内部が空、又は共振現象が生じる程度のセメントミルク充填不足の場合、前記スペクトル値の逆転現象が確実に生じる。しかしながら、シース管内部が充填されている場合は、シース管に共振波が生じないので、前述のスペクトル値の逆転現象は生じない。
従って、(シース管内部充填)か、又は(シース管内部空又は充填不足)かの判断を、共振現象の有無により容易に行うことができる。
「請求項1の第1の実施形態」
次に、この本発明の第1の基本原理に基づく本願請求項1の第1実施形態について説明する。即ち、コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されると共に充填物が注入されたシース管を共振分析により検査する超音波探知装置において、前記コンクリートの表面に所定間隔で超音波発信探触子及び超音波受信探触子を配置し、制御装置が前記発信探触子から超音波を連続して複数回発信させ、その都度シース管からの反射波を前記受信探触子にて受信するように制御する。解析装置が前記受信探触子の受信信号を解析する。この解析装置は、その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を得、基準時刻tT以降が1.0(減衰せず)、tより前が1.0未満(時刻が大きくなると漸増)の時系列関数TGC(t)をnp乗値(npは自然数)したものを前記加算平均波G(t)に乗じてGA(t)={TGC(t)}np・G(t)波を求める。この時系列関数TGC(t)は図7に示すフィルタ(TGC1(t))である。このGA(t)={TGC(t)}np・G(t)波を求める際に、前記基準時刻tとして、始点t1及び終点t2(t1<t2)の間を等間隔でnc(nc:1以上の整数)個で分割し、jを1以上の整数として表される(nc+1)個のt(但し、t=t1+{(t2−t1)/nc}×(j−1)、j=1〜(nc+1))の夫々について前記GA(t)を算出してこれをGA(t)とする。このGA(t)をフーリエ変換してスペクトルFA(f)を求め、このFA(f)の各最大スペクトル値が1.0になるように基準化した後、npを自然数として{FA(f)}npを求めて、これを重ねて表示する。そして、j=1〜(nc+1)毎の{FA(f)}npのスペクトル群のうち、j=1〜(nc+1)の全てが重ね描きされるスペクトルを反射波スペクトルと判断し、jの値が増す毎に、スペクトル値が増幅してくるスペクトルが得られた場合、シース管内で共振波が生じていると判断し、この共振波が生じた場合にシース管内の充填物が不足していることを把握する。
図17はシース管充填度測定方法を示すコンクリートモデルの一例であり、(a)は上面図、(b)は断面図である。例えば、400×600×350mmの直方体状コンクリートブロック43(縦波音速4500m/秒)内に、埋め込み深さ176mmで径52mmの鉄製シース管44がピッチ90mmで水平に埋め込まれている。シース管44と平行にピッチ90mm、埋め込み深さ35mmで、シース管44のコンクリート上面及び背面側に夫々4本(計8本)の異形直径16mmの鉄筋42が配筋されている。
各シース管内のセメントミルク充填度は、下記表1に示すとおりとする。
Figure 2005148061
そして、一例として、図17のコンクリートモデルの測点1、2、3のシース管直上のコンクリート表面に発信探触子40と受信探触子41とをその中心間距離aを60mmとして配置して計測する。探触子内の振動子は径40mm、共振振動数500kHzである。前記振動子にステップ関数型電圧150Vを所定の時刻間隔(例えば、5msec)で印加する都度、受信探触子で受信波を取得し、これらの受信波の加算平均波G(t)を求める。例えば、5msec間隔で300〜1000回の計測を行ってそれらの計測値を加算し、加算平均波G(t)を求める。このような多数の計測数でそれを加算するのは、それにより、再現性が良くなり、電気的ノイズの影響が低減されるからである。
加算平均波G(t)は下記数式により求まる。つまり、1対の発信探触子及び受信探触子を結ぶ線分を充填度を探知すべきシース管44の直上に合わせ、前記1対の発信探触子及び受信探触子の間の距離をaとして固定した配置計測で、又は前記1対の発信探触子及び受信探触子の間隔aをa乃至a (a≧a) の間で変動させた計測で、又は前記aをa至a (a≧a) の間で変動させながら前記線分上で1対の探触子を移動させる計測で、外部から入力されるnA(nAは自然数)値に基づき、nA個の受信波G(t)を求め、加算平均波G(t)を下記数式により算定する。
Figure 2005148061
測点1のセメントミルクが完全に充填されたシース管直上での前記G(t)波及び対応するスペクトルF(f)を図18に示す。前記G(t)とF(f)の関係は下記数式18に示すフーリエ変換式により与えられる。
Figure 2005148061
図18のG(t)波表示部に示すカーソル101は、図17に示す測点位置近傍の2つの16mm異形鉄筋からの反射波と探触子間でのコンクリート表面を伝達する表面波との重畳波の起生位置を示すものである。
このG(t)波と前記TGC1フィルタを適用いて、G(t)波にシース管の共振波が含まれているかいないかの分析を行った。
図19に示すGA(t)波は下記数式19でn5=16として求め、np=3として下記数式19のように{GA(t)}np表示したものである。
Figure 2005148061
数式19に対応するスペクトルFA(f)もFAnp(f)表示で同図19に示す。前記GA(t)とFA(f)の関係は下記数式20で示される。
Figure 2005148061
図19のGA(t)波表示部に示すカーソル102は図17のコンクリートモデルの底部からの反射波の起生時刻150μ秒を示すものである。これより数式19で用いたTGC1(t)はtΤ=150μ秒の時のフィルタ関数である。
前記tΤを徐々に時刻後方へ移動(値を大きくしていく)させながら、数式19のGA(t)波を求めていくと、図20に示す如きGAnp(t)、FAnp(f)を得ることができる。カーソル103位置の時刻300μ秒が、シース管内セメントミルクを透過してコンクリート表面から裏面の間を重複反射する波の起生位置を示す。カーソル位置102(前記重複反射の1回目の起生時刻150μ秒)とカーソル位置103との間の時間が、300−150=150μ秒となっているのが確認できる。
シース管にセメントミルクが完全充填されており、かつコンクリートが何ら問題なく緻密な場合、前記の如く、カーソル位置102及び103に示すコンクリート厚に関する反射波を取り出すことができる。
シース管充填度の探知では、コンクリート厚は既知なのが一般的である。これより、予めカーソル位置102及び103の時刻を予測可能である。その結果、図19、図20を求めた波形分析で前記予測したカーソル位置102,103に大きな振幅の波の起生がある時、この測点位置のシース管にはセメントミルクが完全充填されていると判断することもできる。
しかしながら、前記完全充填の判断は、とんでもない誤計測を行う場合もある。(イ)セメントミルク注入直後、硬化前のセメントミルクは超音波を殆ど透過しない。これより、完全充填であっても、前記カーソル位置102,103に相対的に大きな振幅の波が出現しない。これより、空又は充填不足と誤計測する。(ロ)発信探触子及び受信探触子のコンクリート面配置位置が、測定シース管直上からずれることもある。この場合、当該シース管内が空又は充填不足であっても、カーソル位置102,103に相対的に大きな振幅のコンクリート厚に関する反射波が出現する。これにより、完全充填と誤計測する。
前記(イ)、(ロ)のような場合でも、前述共振分析法を用いた波形分析を前記G(t)波に対して行えば、容易に、シース管内が空及び不完全充填の場合と完全充填の場合との識別を行うことができる。
図21は、図18のシース管内にセメントミルクが完全充填されているG(t)波にt=tΤでのTGC1フィルタを乗じて得たTGC1(t)・G(t)波を比較表示したものである。シース管からの反射波の起生時刻tを、シースかぶり厚180mm、コンクリート音速4.5mm/μ秒を用いて、t=2×180/4.5≒80μ秒と計算し、tを80から200μ秒までΔt=6μ秒として、換言するとt(=t)=80、t=200μ秒として、tΤ=t+(j−1)×Δt=80+(j−1)×6をj=1〜21ごとに計算する都度、下記数式21を用いてGA(t)を計算した後、下記数式22に示すFA()をフーリエの逆変換で求め、j=1〜21毎にFA(f)の最大スペクトル値を1.0に基準化して表示している。最大スペクトル値を持つスペクトルは、この基準化表示で、同一形状スペクトルになっている。他のスペクトルは、前記jの1〜21の変化の間で、徐々にスペクトル値が小さくなるか、又はスペクトル値がほとんど変化しないという現象が生じている。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
図22は図21のFA(f)、GA(t)、及びGA21(t)を4乗表示したものである。反射波2120に起因するスペクトル{FA(f)}のみがj=1〜21の全てで生じ、かつそのスペクトルの形状がj=1〜21で全く同一となっている。これより前記基準化表示では21本のスペクトルが重ね描きされ、1本のスペクトルとして視認できる。
一方、図23は測点3のシース管内が空の場合の図21の完全充填の場合に対応する前記基準化スペクトルの比較図である。図23は図21の場合と同様な処理で求めたものである。t=80μ秒として、j=1〜21のj値毎に、下記数式23でtを求め、その都度TGC1(t)を計算し、n5=8として数式21でGA(t)=TGC1 n5(t)・G(t)を求め、数式22でFA(f)を求め、j=1〜21毎にFA(f)の最大スペクトル値を1.0に基準化して示している。
Figure 2005148061
「請求項3の実施形態」
図示はしていないが、F(f)スペクトル及びFA(f)スペクトルにおいて、位置2140のスペクトル値が最も大きいことより、このスペクトルはG(t)波及びGA(t)波に含まれる反射波成分スペクトルの1つである。G(t)又はGA(t)波における共振波スペクトルは反射波スペクトルと比較して、極端にそのスペクトル値が小さいことより、位置2140のスペクトルが反射波スペクトルの1つであるといえる。
図23のスペクトルは広い帯域となっており、2140スペクトル以外の反射波スペクトルが数多く含まれている。これより、位置2140の近傍の狭帯域成分波で検討したほうが煩雑とならない。fMAX=2500kHzとする第1の振動数フィルタA(f)及び第2の振動数フィルタA(f)を用い、n1=2、n2=2800として下記数式24を計算し、フーリエの逆変換でGB(t)を下記数式25で求めた結果を比較表示したものが図24である。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
図24の比較表示でも、図23の場合と同様に、j毎にFB(f)の最大スペクトル値を1.0に基準化し、GB(t)、GB21(t)の各々の最大振幅値を1.0に基準化して示している。図25はj毎に{FB(f)}の最大スペクトル値を1.0に基準化し、GB (t)、{GB21(t)}の各々の最大振幅値を1.0に基準化して示したものである。
図25で、反射波2140のスペクトルはj=1至21の全てのスペクトルが1つのスペクトル形状で重ね描きされている。加えて、位置2141にj=13〜21でjの値が増すに従い、徐々にそのスペクトル値が増大するスペクトルを確認できる。この位置2141のスペクトルがシース管に生じる多数の共振スペクトルの中の1つである。
しかしながら、図16に示した反射波スペクトルと共振波スペクトルのスペクトル値の大小の逆転現象にまでは至ってない。
図25は、TGC1(t)算定用Δtを数式23に適用し、j毎にTGC1(t)を求めた。Δt=11μ秒とし、tをj=1のときt=80μ秒、j=2のときt=80+11=91μ秒、j=3のときt=80+11×2=102μ秒、・・・j=21のときt=80+11×(21−1)=300μ秒とし、数式21でGA(t)を、数式22でFA(f)を求め、数式24でFB(f)を、数式25でGB(t)を求めた後FB(f)、GB(t)を前述した基準化表示と累乗表示の組み合せで比較したものであった。
このΔtをΔt=13μ秒に変更し、j=21におけるtΤを前記300μ秒からtΤ=t=80+13×(21−1)=340μ秒に変更し、数式21でGA(t)を数式22でFA(f)を求め、数式26で分析振動数の上限をfMAXとする第1の振動数フィルタA(f)と第2の振動数フィルタA(f)を用いてFB(f)の代わりにFC(f)を求め、数式27でGC(t)を演算し、{FC(f)}np及び{GC(t)}np、{GC21(t)}npを前記の基準化表示と累乗表示の組み合せで比較表示したものを図26に示す。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
図26のFCnp (f)の基準化スペクトルは数式26でfMAX=2500kHz、n11=4、n21=10000として演算し、np=4として表示したものである。反射波2140のスペクトルは前記基準化表示でj=1〜21の21個のスペクトルが重ね描きされ、位置2141にシース管共振波スペクトルがjの値が増す都度スペクトル値が大きくなっていく様子を確認できる。分析例として示さないが、前記tの値をt±Δtに変化させていくと、反射波スペクトル2140とシース管共振波スペクトル2141のスペクトル値の大小関係が逆転する現象がFCnp (f)の基準化表示の場合で生じてくる。
次に、前記FCnp (f)のj=1〜(nc+1)の各々で、その最大スペクトル値を1.0とする基準化表示の効用について説明する。図27は、図26の基準化表示スペクトルの代わりにj=1〜(nc+1)のFCnp (f)の中で最も大きいスペクトル値を1.0とする絶対表示スペクトルを比較表示したものである。反射波2140のスペクトルのスペクトル値はj=1の時、最大値をとり、jの値が増えるに従い順次減少している。しかしながら、もともと強度の小さいシース管共振波2141のスペクトルの存在は明確に確認できない。
以上より、前記基準化表示の効用は、前記絶対表示で反射波スペクトルの中に埋もれているシース管共振波を、図26のシース管共振波2141に示す如く明敏に確認することである。
「請求項4の実施形態」
図21の位置2120の振動数及び図23の位置2140の振動数は、それぞれ充填シース管及び空のシース管からのスペクトル値が大きい反射波スペクトルの1つで、前述のごとく、f値と定義している。
図24及び図25は数式18に示す加算平均波G(t)=∫−∞ (F(f)eiωt)dfに数式21、22を、数式23の条件下で適用し、次に数式24、25を適用して得たFB(f)、GB(t)を用いて作成したものであった。前記G(t)、F(f)に最初、数式28、29を適用し、その後で数式30、31を、数式23の条件下で適用しても、図24及び図25を求めることもできる。但し、数式28において、f>2fのときA(f)=0.0である。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
ここで、A(f)、A(f)は分析の振動数上限をfMAXとする第1及び第2の振動数フィルタであり、A(f)はf=fとする第3の振動数フィルタである。n1〜n3の値を自動又は外部からのコントロールで、FA(f)がf値を中心振動数とする狭帯域スペクトルになるようにする。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
ところで、前記f値は1つではなく、複数存在する。他のf値を中心振動数とする狭帯域成分波を数式28、29で算定し、数式23の条件下で数式30、31の演算でGB(t)及びFB(f)を求めても、図22のシース管内充填に相当するスペクトル比較図(図示せず)、又は図25、図26のシース管内空に相当するスペクトル比較図(図示せず)を得ることができる。
なお、この複数のf値が自動的に又は容易なオペレーションで特定できる。
「請求項5の実施形態」
次に、請求項5の実施形態について説明する。図28は加算平均波G(t)にTGC6(t)を乗じてシース管表面からの縦波反射波を切り出したものである。即ち、TGC6フィルタ係数tをシース管縦波反射波の起生時刻とし、下記数式32によりt1を計算し、Δt=5μ秒、Δta=100μ秒、n5=200として、下記数式33により、G6(t)を計算し、数式34でF6(f)を計算し、G6(t)の最大振幅及びF6(f)の最大スペクトル値を1.0に基準化して、図28に太線で示している。加算平均波G(t)とそのフーリエスペクトルF(f)を破線で重ね描きしている。
Figure 2005148061
但し、dはシース管埋め込み深さ、cVはコンクリート音速4500/秒である。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
図28によれば、カーソル310位置がF6(f)の最大スペクトル値の振動数を特定している。加えてF(f)スペクトルの中の1つのスペクトルの振動数位置と合致している。この振動数114kHが、前記数式32、数式33の処理で加算平均波G(t)より切り出したシース管からの反射波の振動数であり、fD1値と定義する。シース管からの反射波が卓越する振動数は複数ある。図29の破線で示すFA(f)及びGA(t)は数式35で分析の上限振動数fMAXを2500kHzとする第1の振動数フィルタをA(f)、第2の振動数フィルタをA(f)とし、n1=4、n2を1以上の整数として徐々に大きな値としながらFA(f)を算定し、数式36でGA(t)を算定して夫々の最大スペクトル値を1.0、最大振幅値を1.0に基準化して示したものである。n2の値を増大する経緯の中でn2=2400となった時のFA(f)、GA(t)が図29の破線で示すスペクトル及び時系列波である。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
図29の実線で示すGA6(t)は、図28のG6(t)を求めた時と同様に、シース管からの反射波の起生時刻t1を80μ秒とし、t=t、Δt=5μ秒、Δta=100μ秒、n5=200として、数式37を用いて求めたものである。
Figure 2005148061
また実線で示すFA6(f)スペクトルは、前記GA6(t)をフーリエ変換する数式38を用いて算定した。
Figure 2005148061
第2のf値(fD2)らしきものがカーソル位置320(77kHz)で示され、このカーソルが実線で示すFA6(f)スペクトルの最大値位置及び点線で示すFA(f)スペクトルの1つのスペクトル起生位置と合致している。
次に、このカーソル位置320の振動数が第2のf値であるか否かについて検証する。
n2の値をさらに大きくして、前記FA6(f)とFA(f)スペクトルの変化を比較していくと、前記カーソル320位置が、シース管反射波のf値と確認できる。
図30は、n2の値をさらに増し、n1=4、n2=2800として比較表示したFA6(f)、FA(f)スペクトル及びGA6(t)、GA(t)波である。
図29と図30のスペクトルの比較において、FA(f)はn2の値が大きくなると(図29→図30)、スペクトルが低周波側へ移動しているが、FA6(f)のスペクトルはその帯域が徐々に狭くなるがほとんど移動せず、fD2の振動数を示すカーソル320の位置は変化しない。FA6(f)スペクトルはシース管反射波を切り出したGA6(t)波に対応することより、このカーソル320位置を第2のf値(fD2)と特定できる。
n2の値をさらに大きくし、n2=4000とした時の分析結果を図31に示す。FA(f)の大きなスペクトル値とFA6(f)のスペクトルピーク位置が合致し、fD3=41.4kHzと読み取れる。
図25、図26のカーソル位置2140が41.5kHzであった。これより、図25、図26の充填度分析は、第3のf値(fD3=41.4kHz)を用いた分析結果であったことがわかる。
「請求項10の実施形態」
以上、請求項5の実施形態を、TGCX(t)をTGC6(t)として説明した。分析例として示さないが、このTGCX(t)をTGC4(t)としても、又はTGC5(t)としても、図25、図26と同様な充填度分析結果を得ることができる。なお、これ等時系列関数を定義する所定値tは図1の装置の例えば27キーボードから入力するか又は数式32でtを求めt=tとしてもよい。他の所定値△t、△t及び△tはあらかじめ設定された値でもよいし、外部から27キーボードにより入力してもよい。なお、TGC6(t)は請求項10,TGC4(t)は請求項8、TGC5(t)は請求項9に対応する。
第1実施形態の最後に、図25、図26(f=41.5kHz)のシース管が空の場合の分析を、さらに低周波で行った分析例を示す。
図28乃至図31を得た経緯の中でn1=4、n2=9000とした時、図示しないが、f=20.8kHzが得られた。数式28でFA(f)の最大スペクトル値の振動数がf=20.8kHzになるように、n1=4、n2=9000、n3=0として数式29でGA(t)を求め、FA(f)をFA(f)表示したのが図32である。
一方、図33は、前記GA(t)波に数式30、31に示す共振分析をt=t=80μ秒(シース反射波起生時刻)、Δt=1.8μ秒、nc=20(t=t+nc×Δt)として行って得た{FB(f)}の比較表示をj=1〜(nc+1)の{FB(f)}の各々の最大スペクトル値を1.0に基準化して示したものである。反射波スペクトル372の左側に共振波スペクトルらしいスペクトル371が生じてくる。もし、スペクトル371が共振波スペクトルであるなら、前記Δtの値を大きくしていけば、スペクトル371の値は徐々に大きくなっていく。
図34は、前記Δtを1.8μ秒から3.9μ秒に変更した時の{FB(f)}の前記基準化表示の比較図である。スペクトル371がスペクトル381に示す如く、そのスペクトル値が大きくなっていく現象を確認できる。スペクトル381の値は、j=1で最小、jの値が増す毎に増大しj=21で最大となる。
Δtの値を3.9μ秒からさらに増大していくと、分析例として示さないが、381と382のスペクトル値の大小関係が逆転してくる。
以上低周波20.8kHzでの共振分析結果を示した。なお、前記t、nc、n5、npは外部から指示された値であり、tの値は数式32で計算された値である。tの値も外部から指示することで設定してもよい(請求項2)。
「請求項1の第2の実施形態」
次に、請求項1の第2の実施形態について説明する。第1実施形態はシース管埋め込み深さが180mmと比較的深い場合のものであった。本第2実施形態はシース管埋め込み深さが浅い場合の分析例である。
図35は、内部にセメントミルクが充填されていない埋め込み深さ120mm鋼製シース管(径52mm)の直上コンクリート面に、発信探触子と受信探触子をその中心間距離aを60mmとして配した時、1000個の受信波を加算平均したG(t)波と対応するスペクトルF(f)を表示したものである。用いた探触子及び探触子内振動子に印加する電圧は、第1実施形態の場合と同じである。
2192及び2193はシース管及び他の反射源からの反射波が、より多く含まれているスペクトルである。2191は電気的雑音などにより生じたスペクトルである。以降の分析処理で2191のスペクトルは邪魔なことより5kHzのハイパスフィルタをデジタル処理で行った波をG(t)、対応するスペクトルをF(f)として説明を続ける。
np=4としてGnp(t)及びFnp(f)表示したものを図36に示す。2201、2202に大きなスペクトル値を持つスペクトルを確認できる。これら2201,2202スペクトルは、前述した如くシース管及び他の反射源からの反射波などの成分をより多く含んだものとなる。
前述数式21を用い、コンクリート音速4mm/μ秒として、tΤの始点(j=1)をシース管反射波起生時刻t=120(mm)×2/4(mm/μ秒)=60μ秒とし、tΤの終点(j=21)を136μ秒とした時、数式21で求められるGA(t)を、数式22に適用しFA(f)を求め、np=4としてGAnp (t)及びFAnp (f)を前記の基準化表示で比較して図37に示す。
図36では横軸(振動数軸)を0〜78.125kHzとしているが、図37ではこれを0〜156.250kHzと2倍の帯域で表示している。
図37では58kHzの反射波スペクトル2202が前記基準化表示で枝分かれした2つのスペクトルとして、j=1〜21の全てで同一形状のまま重ね描きされている。一方、位置2203及び2204にj=21で最も大きく、jの値が小さくなる毎にスペクトル値が斬減するスペクトルの起生を確認できる。前記第1実施形態で示した図16に示す現象に照らせば、この場合のシース管内は空又は不完全充填と判断することができる。
ところで、2204位置のスペクトルは、実施例1の図26に示す2141のシース管共振波(35kHz)に比し、その振動数が80kHzと高振動数である。これより、tΤの終点が図26の分析の場合330μ秒であったが、図37の分析の場合、136μ秒としている。振動数が大きくなると、超音波の減衰率が大きくなることより生じる現象を考慮したためである。図37の分析で前記tΤをさらに時刻後方に移動していくと、高周波成分波は低周波成分波に比し、その減衰が加速度的に大きくなることより、2204のスペクトルは徐々に消滅していく。分析例として示さないがtΤの終点時刻が比較的早く、かつ位置2204が比較的高振動数にある時、例えばシース管位置後方に何らかの反射源があれば、この反射源の存在により、スペクトル2204が出現することがある。この場合、シース管内が完全充填であっても、空又は充填不足と誤計測することになる。
前記誤計測は以下の処理を継続することで回避できる。
図37は、tの始点を60μ秒、終点を136μ秒とする共振分析を図36のF(f)及びG(t)に対して行ったものであった。前記tΤの範囲では位置2202の振動数のスペクトルが支配的となったわけである。図36のF(f)スペクトルによれば、2201位置に低振動数の反射波スペクトルの存在を確認できる。このような低振動数の帯域波で、前記共振分析を行うと、前記何らかの反射源の存在による誤計測を回避できる。
図36のFnp(f) (np=4)に位置2205の振動数36.7kHzをfとする第3の振動数フィルタA(f)をn3回乗じた数式39でFD(f)を算定し、対応するGD(t)を数式40を用いて演算し、GD(t)に対する共振分析を数式41、42を用いて行い、得られたGE(t)、FE(t)の比較図を示したものが図38である。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
Figure 2005148061
Figure 2005148061
図38の比較表示ではFEnp (f)、GEnp(t)で表示している。なお、np=4とし、FEnp (f)はj=1〜21の各々で最大スペクトル値を1.0に基準化して比較している。
ここでtΤの始点は60μ秒、終点は250μ秒であった。tΤの終点が図39の高振動数での分析の時136μ秒だったものが、図38の低振動数での分析は250μ秒と後方の時刻になっている。
図38の2233のTGCj=21(t)によりGE(t)のシース管及びその近傍の反射波強度が、図37の場合に比し大きく減ぜられる。また、低振動数故に図37の高振動数分析の場合に比し、シース管共振波が長く継続することよりtの終点を時間軸後方へ移動していけば誤ることなく2231に示す如くj=1で最小値を持ち、jの値が増える毎に順次スペクトル値が大きくなるシース管共振スペクトルの起生を確認できる。なお、分析例として示さないが、前記第1及び第2実施形態において、数式18,28,35,39に示されるF(f)を振動数fの値にかかわらず、1.0と基準化して、前記分析処理を行っても、図26、27及び図38と同様の分析結果を得ることができる。なお、前記t、nc、n5、npは外部から指示された値であり、tの値は数式32で計算された値である。tの値も外部から指示することで設定してもかまわない。
次に、本発明の第2の基本原理について説明する。第1基本原理では、シース管内セメントミルクが完全充填か不完全充填かの探知法を示すものであった。しかしながら、不完全充填の場合、全くシース管内が空なのか、充填度が30%なのか、50%なのか、70%なのかの識別を可能とするものではなかった。第2基本原理は、完全充填の場合も含めてこの充填度を検知できる分析方法である。
図40は(a)が完全充填、(b)が充填不足、(c)が空の場合の強度の大きいシース管反射波及びシース管径路波の起生状況を模式的に示すものである。なお、符号220はシース管内のPC鋼棒である。図40(a)のシース管内にセメントミルクが完全充填された場合の受信波の一般的な形状を模式的に示せば図41の如くになる。一方、図40(b)のセメントミルクが充填不足の場合の受信波の一般的形状を模式的に示せば図42の如くになる。先ず、図41に示す各波の意味するところを説明する。
図40(a)のシース管表面からの反射波2241が図41に示す波2251乃至2253である。波2251は探触子−シース管表面の間を往路復路共、縦波で伝達する波である。波2252は探触子−シース管表面の間を往路を縦波、復路を横波、又は往路を横波、復路を縦波で伝達する波である(以下、モード変換波1という)。波2253は探触子−シース管表面の間を往路復路共、横波で伝達する波である(以下、モード変換波2という)。波2254は、図40のシース管内鋼棒220からの反射波2242であり、縦波と横波が混在したものとなる。波2255は、セメントミルク等を透過して、シース管底部で反射する波2243(図40参照)である。これより、波2251至2255が重畳して、重畳波2257を受信探触子で受信することになる。波2250のように強度の大きい波は探触子間でコンクリート面を伝達する表面波が支配的成分であり、反射波検出に当たり、妨害波となる。
一方、図42の波2250乃至2253の意味は、図41の場合と同じである。波2251の強度が、図40(a)の完全充填の場合(図41)に比して、図40(b)の充填不足の場合(図42)のほうが、格段に大きくなる。これは、シース管内部に図40(b)のような空隙があると、シース管表面反射波2241が管表面で全反射することに起因する現象である。波2256は、シース管内部のセメントミルクが充填不足を起こしていることにより生じる極めて特種な波である。図40(b)に示す管表面を回折する波がセメントミルク内に伝達し、経路2244で受信される波が波2256となる。受信探触子には、図42の波2251〜2256が重畳した重畳波2258が受信される。なお、図40(c)のシース管内部が空の場合、その受信波の模式図は説明するまでもなく、図42の受信波模式図において波2256の振幅を0とおいたものとなる。図40(c)の空シースの場合、生ずる回折波2245の経路の波は前記2256よりずっと後方に生ずる。
次に、本第2基本原理の重要な現象を、前述と重複する項目もあるが、更に説明する。
重要な現象1
図41、図42の模式図はシース管からの反射波が大きく励起する振動数(f)の帯域で示したものである。この帯域以外では前記模式図の如くはならない場合がある。
重要な現象2
前記f値を中心振動数とする狭帯域成分波においては、反射波2251至2253の振動数は概略等しい。反射境界でモード変換した波は、波長は変化するが振動数に変化は生じないという物理現象によるものである。
重要な現象3
(ア)前記f値付近の帯域の波では、シース管内部が空の場合、シース管の存在で起生する波で、反射波2251至2253の振動数は概略等しい。しかしながら、シース管埋め込み深さをd、計測点における探触子間距離をaとしたとき、
a≦0.6×dであれば、
波2251の振幅>波2252の振幅
波2251の振幅>波2253の振幅
となる。
(イ)シース管内部が完全充填の場合
波2251の振幅はシース管内部が空の場合に比して小さくなる。加えて、波2251乃至2253と波2254乃至2255の振動数は異なってくる。
(ウ)シース管内部が不完全充填の場合
波2251乃至2253の起生状況は(ア)のシース管内部が空の場合と同じである。しかしながら、波2256が波2251至2253に重畳する。重要な現象として、波2251至2253と波2256の振動数が異なっている。
重要な現象4.
シース管の存在により起生する波は、前述の波2251至2256以外に、シース管外周を回折する波があるが、起生位置が時間軸後方になる。本分析法の適用を、前記回折波起生時刻より早い時刻とすることで、分析から除外することができる。
本分析法は、シース管の存在で生じる前記第1〜第4の物理現象を利用するものである。前記TGC4、TGC5、TGC6のいずれかを用いて、下記数式43の演算で分析波GA(t)を求めることにより、この分析が成される。
Figure 2005148061
この数式43の意味するところをTGC6の場合で、図43を用いて説明する。図43のTGC6(t)の初期形状を決めるのに、Δt、Δta、及び自然数であるn5を多数の計測実験で決まる最適値に設定し、tを、シース管表面からの反射波の起生時刻付近tに設定し(付近とする理由と、その特定法は後記第3実施形態及び第8実施形態で詳述する。)、矢印2260で示す如く、この{TGC6(t)}n5を時間軸後方へ移動していくことを考える。破線で示す{TGC6(t)}n5が、この移動の終点とすれば、jの最大値はnc+1と表現できる。ここでncはt〜t間をnc個で等分するための数値である。
下記数式44のFA(f)をGA(t)のフーリエ変換で求め、FA(f)のjの値の増分毎のスペクトル形状の変化を比較することで、シース管の内部充填度を特定できる。
Figure 2005148061
「請求項6の実施形態」
次に、本発明のこの第2基本原理に基づく本発明(請求項6)の第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、第1実施形態の図17に示すシース管充填度測定コンクリートモデルで、第2基本原理を用いたシース管内部の充填度探知方法である。
本実施形態においては、解析装置は、複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を得、基準時刻tで1.0、tから離れた時刻で1.0未満(減衰)となる時系列関数TGCX(t)を前記加算平均波G(t)に乗じてGA(t)=TGCX(t)・G(t)波を求める。この場合に、前記基準時刻tとして、始点t1及び終点t2(t1<t2)の間を(t−t)/nc(nc:1以上の整数)間隔で分割し、jを自然数として表される(nc+1)個のt(但し、t=t1+{(t2−t1)/nc}×(j−1)、j=1〜(nc+1))の夫々について前記GA(t)を算出してこれをGAj(t)とする。そして、このGAj(t)をフーリエ変換してスペクトルFAj(f)を求め、このFAj(f)の各最大スペクトル値が1.0になるように基準化した後、npを自然数として、{FAj(f)}npを求めて、これを重ねて表示する。オペレータは、j=1〜(nc+1)毎の{FAj(f)}npのスペクトルの変化の推移で、シース管内の充填度を探知する。
第1実施形態との測定条件の違いは、用いた探触子振動子を径40mmから75mmに変更したことである。図44は図17内部が空のシース管のコンクリート面直上での加算平均波G(t)を数式43及び数式44に適用して得たFA(f)、GA(t)を、np=4として{GA(t)}np、{FA(f)}np表示で比較したものである。具体的には、図43のTGC6(t)フィルタの作成において、シース管表面からの反射波の起生時刻tを、シース埋め込み深さ180mm、コンクリートの音速を4.5mm/μ秒を用いて、t=2×180/4.5=80μ秒とし、t=80+Δt(Δt=10μ秒)、Δt=25μ秒、Δta=100μ秒、n5=50として、{TGC6j=1(t)}n5を作成し、t=112μ秒(路程換算 112×4.5/2=252mm)、nc=20として、数式43によりGA(t)をj=1〜21で作成し、数式44でFA(f)を求めた。実際の分析処理では前記△t、△ta、n5、(t−t)の値をあらかじめ定められている値又は外部から入力される値のいずれかにすればよい。
位置2271及び2272が重要な現象1で示したf値である。前述した如くf値は1つとは限らず複数存在する。また、j=1の{FA(f)}のスペクトル値が最も大きく、jの値が増えるに従い{FA(f)}のスペクトル値が小さくなっていくのは、重要な現象3の(ア)に示すとおりである。また2271、2272のFA(f)スペクトルの振動数がほとんど変化していないのは、重要な現象2に示す通りである。
このような{FA(f)}npが得られた時、シース管内部が空と判断する。図45は図17のシース管内部に50%だけセメントミルクが充填された場合の分析結果である。図44の分析比較図と全く同一の処理(t=90μ秒、Δt=25μ秒、Δta=100μ秒、n5=50、t=112μ秒)で得た{FA(f)}np、{GA(t)}np (np=4)の比較図である。2271位置の振動数fは図44の空シースのf値と全く合致し(f=73kHz)となっている。この2271位置のスペクトルは、図44のシース管内空の場合と同様j=1で最大スペクトル値となりjの値が大きくなるに従い、スペクトル値が漸減している。
さらに注目すべき現象としてj=7より順次漸増し、j=21で最大スペクトル値を持つスペクトル2273が起生してくる。この起生は重要な現象3の(ウ)に示すとおりである。
このような{FA(f)}npが得られた時、シース管内部が充填不足と判断する。ところで、図45の{FA(f)}np比較図には、前記以外に他の重要な現象が生じている。図40(b)の2243径路の波の伝達情況を拡大して図46に示す。
経路2243の波の受信時刻tφは、2241の反射波の受信時刻tより遅れて受信される。tφ算定式を例えば、数式45の如く仮定し、シース管径φと充填度gをパラメーターとして、多くの計測実験でB(φ、g)を求めておく。
Figure 2005148061
但し、gは充填度(%)
図17の計測では、50%充填というより
Figure 2005148061
=80+10+(52+82)/4.5=120μ秒
と略算できる。
「請求項11の実施形態」
一方、図45のスペクトル2273が図40に示す起生時刻tφの2244径路の波であることより、図43のTGC6n5 (t)のj値が下記数式46で算定されるjより大きくなる時、TGC6n5 (t)のフィルタの帯域の中に前記2244径路の波が含まれてくることになる。
Figure 2005148061
図45の分析例によれば、2273のスペクトルの起生が生じ始めるj値を読み取れば、j=7となる。この場合のt値を逆算すれば、下記数式47となる。
Figure 2005148061
これよりΔt=25μ秒、Δta=100μ秒、n5=50とした{TGC6(t)}n5を用いて得る図45の{FA(f)}npではt=t+10(後述数式48の導入を参照)とした時、j=6、又はjが7以上になると、図40(b)、図46に示す充填度が不足する場合に生ずる経路2244の波が順次増大し、図45に示すように、その波のスペクトル2273が起生してくる。
以上の現象によりシース管内のセメントミルクが充填不足の場合、その充填が30%なのか50%なのか70%なのかというような探知も可能となる。
図47は図17の測点1おける100%充填のシース管の場合の分析結果である。図44、図45の分析手順と一部を除いて同一である。
図44、図45ではt=80+10=90μ秒、t=112μ秒としたが図47の分析ではt=t=80μ秒、t=99μ秒としたところが異なっている。
j=1の時、2271位置にシース管内が空、50%充填の場合と同様73kHzのスペクトルが生じている。シース管反射波のf値は、空、充填不足、完全充填で変化しないことを示している。
jの値が大きくなると、順次スペクトル値が大きくなり、j=21のFAj=21(f)スペクトルの最大スペクトル値を示す位置が符号2274で示す位置になっている。{GAj=21(t)}波の波2301が図40における経路2243のシース管セメントミルクを透過し、その底部より反射する波の起生である。この波はf値とは違った振動数となる。
これは、重要な現象3,(ウ)の現象を忠実に示している。このような{FA(f)}npが得られた時、シース管内部が完全充填と判断する。
ところで、図44の空のシース管の分析結果、図45の50%グラウト充填シース管の分析結果は{TGC6(t)}n5の時系列フィルタで用いるtの初期値tをシース管たて波反射波の起生時刻tを用いて、下記数式48としたものであった。
Figure 2005148061
次に、なぜtを数式48により算定するのかという点、及びΔtをどのように特定するのかという点について説明する。
図48は、測点2の50%セメントミルク充填のシース管直上でのG(t)波(点線)より、t=t=80μ秒、Δt=25μ秒、Δta=200μ秒、n5=200として、GA(t)={TGC6(t)}n5・G(t)(実線)をG(t)波より切り出し、対応するスペクトルをFA(f)としてG(t)、GA(t)、FA(f)表示したものである。カーソル391にシース管反射のf値を確認できる。
一方、図49は、測点2の50%セメントミルク充填のG(t)波において、t1=80μ秒、t=80+10=90μ秒、△t=25μ秒、nc=20、数式43でTGC*(t)をTGC6(t)、nc=20として、GA(t) (j=1〜(nc+1))を作成し、数式44でFA(f)を求め、{GA(t)}、{GA21(t)}を各々の最大振幅を1.0に基準化して表示し、かつj=1〜21の{FA(f)}の中で最も大きいスペクトル値を1.0とする基準化を行い、比較表示したものである。
図49の分析結果では、t=t=80μ秒の場合の{GAj=1(t)}波(破線―図48の実線表示{GA(t)}波と同じ)に対応するスペクトル(j=1)のスペクトル値が最も小さく、jの値が増すごとにスペクトル値が大きくなり、j=21で最大値をとることを確認できる。
ここで注目すべき現象を示す。図48のG(t)波からのTGC6(t)=TGC6j=1(t)による切り出し波{GA(t)}(={GAj=1(t)})と、図49のTGC6j=21(t)による切り出し波{GAj=21(t)}とを比較すると、図48の{GA(t)}(={GAj=1(t)})波では390の大きな振幅のシース管からのたて波反射の起生が確認できる。一方、図49のTGC6j=21(t)で切り出した{GAj=21(t)}の波では、前記390のたて波反射以外に402に示す波の起生を確認できる。この402の波は、図41及び図42に示す2252のモード変換波1である。
値(図48では391カーソルの振動数)近傍では前記シース管からのたて波反射波とモード変換波では、振動数に変化が無いことを前述した。これより、このモード変換波1の成分が前記jの値が増すに従い、GA(t)波の中により多く含まれることになる。この現象が原因で図49のFA (f)のj=1〜21で最も大きいスペクトル値を1.0に基準化する比較表示で、391のf値でのスペクトル値がj=1で最小、j=21で最大となり、かつjの値が大きくなるに従い、スペクトル値が大きくなっていく。
更に、前記TGC6(t)(j=1〜21)の係数tの値を変化させることで、j=1〜(nc+1)でのFA(f)のスペクトル値の変化を図49の場合に対応して確認できる(図示せず)。
ここで、図45で示す分析例の如く、f値(2271)のスペクトル比較で、スペクトル値がj=1で最大値をとり、jの値が増すに従い小さくなるようにすれば、分析結果での判断(空、半充填)が容易となる。
図45のような比較図を得るには、前記t値を変化させて得るFA(f)のスペクトル値の変化において、{FAj=nc+1(t)}npのスペクトル値が最大となり、FA(t)npのスペクトル値が最小となるt値をTGC6(t)のtを時間軸後方へ移動することでサーチし、この時のtをΔtとし、t=t+Δtとした分析を行えばよい。
更に、前記tの前後でtを微小に変化させたFA(f)では、そのスペクトル値は変化しないという知見が、多くの分析例で得られている。この知見を利用すれば、前記Δtの特定がより容易になる。
図44、図45は前記分析処理によりΔt=10μ秒と特定し、t=t+10=90μ秒として得られたものである。なお、この△tをシース埋め込み深さd(mm)及びシース外径φ(mm)をパラメータとして、あらかじめ求めておいて分析における所定値としておけば、実際の充填度探査に有効である。第3実施形態(請求項6に対応)ではTGCX(t)をTGC6(t)として説明したが、TGC4(t)、TGC5(t)を用いてもよい。又は、このΔt値をシール間の埋め込み深さds(mm)、シース外径Φ(mm)、コンクリートの音速をパラメータとして求めておき、実際の充填度探査では相当するΔtr値を外部から指示するか、又は図1の解析装置のハードディスク25に保存された値を参照して決めればよい。
「請求項12の実施形態」
次に、本発明(請求項12)の第4実施形態について説明する。この第4実施形態は第3実施形態で用いた分析法を発展させた充填度の探知法である。
本実施形態の解析装置は、先ず、シース管の外径をφ、シース管内充填物の音速をVGとして、fDS=VG/(2・φ)を計算する。そして、加算平均波G(t)のフーリエ変換をF(f)とし、分析振動数の上限をfMAXとして振動数と共に強度が連続的に上昇する振動数フィルタA1(f)と、分析振動数の上限をfMAXとして振動数と共に強度が連続的に減少する振動数フィルタA2(f)とを使用し、n1及びn2を自然数として、FA(f)={A1(f)}n1・{A2(f)}n2・F(f)を計算する。そして、FA(f)スペクトルの中心振動数が前記fDSとなるように、n1、n2の値を調整し、得られたスペクトルFX(f)を逆フーリエ変換してGX(t)=∫(FX(f)・eiωt)dfを求める。このGX(t)を第3実施形態(請求項6)のG(t)に置き換えて、その後、第3実施形態の演算を行う。
図50はシース管表面から入力された超音波が、管内部のグラウト材内を重複反射する様子を示したものである。多くの実験計測によれば、グラウト材内を走る波422には、振動数V/(2φ)、(Vはグラウト材縦波音速)の成分が確かに存在する。かつ、前記加算平均波より、fDS=V/(2φ)の狭帯域成分波を抽出すると、図51の如き模式図を得る。図51(a)が、シース管内空又は充填不足の場合であり、図51(b)が、シース管内100%充填の場合である。図51の430の起生波は、コンクリート面に配した発信及び受信探触子間でコンクリート表面を伝達する表面波である。点線で示す431位置がシース管表面からのたて波反射波の理論的起生時刻tを示し、432位置が、グラウトを透過した超音波が管底部で反射する422の波の理論的受信時刻t+2φ/Vである。
シース管径は一般に50〜100mmである。仮に、径80mmのシース管を想定すれば、セメントミルク音速をV=4.5mm/μ秒として、前記fDS(Hz)は下記数式49よりfDS={4.5mm/μ秒}/(2×80(mm))}×10=30kHzとなる。
Figure 2005148061
このような振動数帯域では、前記430の表面波強度に比しシース管表面からの反射波強度は格段に小さくなり、かつ低周波故にその起生時刻tを特定するのが困難になる。
一方、時間軸後方432位置より生ずるシース管底部からの反射波は、数波の波となりその振幅が、前記のシース管表面からの反射波の振幅に比し格段に大きくなる。
これより図51の波形比較でも計測点直下のシース管の充填度を、(空及び充填不足)か(完全充填)かという分類で探知できる。
ところで、図51のfDS値を中心振動数とする狭帯域成分波に、第3実施形態で用いた分析法を適用すれば、より確実に、充填、充填不足又は空のいずれであるかを探知できる。
図52は実際のPC橋梁の配筋及びシース管配置状況を模擬して作成したコンクリートモデルである。
外形400×570×400mmのコンクリート塊に外径80mmのポリエチレン製シース管をピッチ120mm、埋め込み深さ150mmで3本配し、径25mm×2本と径16mm×1本の異形鉄筋を束ねたものをピッチ125mmでシース管の直行方向に埋め込み深さ150mmで3本配し、かつ径16mmの異形鉄筋をシース管と平行に埋め込み深さ90mmで図示する如く配している。鉄筋からの反射波が、探知妨害波として大きく影響する探知モデルといえる。
図52の計測で、No1の内部空シース管、No2の内部70%グラウト充填シース管、No3の内部100%グラウト充填シース管の充填度探知を考える。シース管直上コンクリート面に振動子径40mmの1対の発信及び受信探触子を中心間隔60mmで、かつ前記発信及び受信探触子の中心を結ぶ線分が、シース管配置方向と直交するように配した計測である。
発信探触子より300回超音波をコンクリート面より入力し受信した300個の受信波を加算平均し加算平均波G(t)を得た。
まず、図52のNo1の内部が空のシース管の充填度探査を説明する。No1における加算平均波(300回)をG(t)とし対応するフーリエスペクトルをF(f)とした時、径80mmのシース管(充填時)の前記fDS値は数式49でfDS=30kHzとなることを前述した。下記数式50を用い、n1=4、n2を1以上の整数として、数式50に示すFA(f)の中心振動数がfDS=30kHzになるよう自動コントロール又はオペレータ処理で設定し、フーリエの逆変換でGA(t)を下記数式51で求めた。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
(f)、A(f)は分析の上限振動数fMAX=2500kHzとする振動数フィルタであり、n2の具体的数値は300であった。そして、数式43に対応する下記数式52でGF(t)(j=1〜21)をΔta=100μ秒、△t=30μ秒、n5=200として求め、次に下記数式53でFF(j)(j=1〜21)を求めた。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
ここでTGC6(t)の設定用係数は、下記数式54及び数式55で与えられる。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
そして、d=150mm(シース管埋め込み深さ)、V=4500m/秒(セメントミルク音速)、φ=80mm(シース管径)、V=4500m/秒(コンクリート音速)より、t=66.7μ秒、t=102.2μ秒とした。またΔt=30μ秒であった。
この場合の分析結果(数式52)を示したものが図53の比較図である。
GF (t)、GF 21(t)をそれぞれその最大振幅を1.0に基準化して表示し、j=1〜21のFF(f)の夫々の最大スペクトル値をj=1〜21で比較し、この内の、最も大きいスペクトル値を1.0に基準化した絶対表示でFF (f)を比較している。スペクトル値はFF(f)が最大値を取り、jの値が増す毎にFF(f)のスペクトル値が小さくなっていく様子を確認できる。
一方、No2シース管(内部70%充填)の同一処理による分析結果を図54、図55に示す。
図54はt=66.7μ秒、t=86μ秒とした時のものである。図53の空の場合と良く似た比較図となっている。FF(f)のスペクトル値が最大値となり、jの値が増すと。FF(f)のスペクトル値が順次小さくなっている。tの値を図53の空のシース管の場合と等しくt=102.2μ秒とした分析が図55である。図54でjの値が増す毎に小さくなったスペクトル値は、tの値が大きくなることで増幅に転じ、かつ振動数が変化していく様子を確認できる。この現象は、前記実施例3で詳述した図46の2243の波の起生により生じたものである。
図56はNo3の内部が100%充填の場合の図53と全く同一の処理で得た比較図である。図53の空のシース管の場合と比較すると、FF(f)のスペクトル値の変化の様子が逆転している。すなわち、j=1の時のスペクトル値が最も小さく、jの値が増す毎にFF(f)のスペクトル値が増大する様子を確認できる。
以上シース管径φ、グラウト材の音速で決まる数式49のfDS値を中心振動数とする狭帯域成分波に数式50乃至54の分析処理を行えば、計測対象シース管の内部が完全充填か、充填不足か、又は空かの探知が可能となる。本第4実施形態においては、TGCX(t)関数は、TGC6(t)であるが、TGC4(t)又はTGC5(t)を使用しても良い。
「請求項13の実施形態」
次に、本発明(請求項13)の第5実施形態について説明する。前記第4実施形態で用いたシース管内充填度探知モデル(図52)のシース管はポリエチレン製であった。多くの実験計測によれば、鋼製シースとポリエチレン製シースでは、共振現象を起す振動数帯域が大きく異なる。
本実施形態は、所定の振動数fP1、fP2を用い、前記F(f)をfがfP1〜fP2の場合にF(f)=1.0、fがfP1未満、及びfP2を超える場合に、F(f)=0.0となる関数として定義し直し、このF(f)を逆フーリエ変換して加算平均波G1(t)を演算し、このG1(t)を第3実施形態(請求項6)に記載のG(t)に置き換えて第3実施形態(請求項6)の演算を行う。
第1実施形態及び第2実施形態の共振分析方法(図21乃至図38)は、35kHz〜60kHzの中心振動数帯でのものであった。これは、鋼製シースを使用したために、このような振動数帯にシース共振波が存在することより、充填度の探知が可能であったことによる。
図52のポリエチレン製シースの場合、分析例として示さないが、前記35〜60kHzの中心振動数帯の狭帯域成分波を用いた鋼製シースの第1実施形態及び第2実施形態の共振分析では、前記充填度の探知を行うことはできない。ポリエチレン製シースの共振波は、シースの物理的特性より、鋼製シースの場合に比してその減衰率が格段に大きい。この様なポリエチレン製シースの場合でも、第3実施形態で示した分析法に改良を加えることで、シース管内充填度の探知が可能となる。
図57乃至60は、それぞれ図52のNo1:空シース管、No2:70%充填シース、No3:完全充填シースの分析例である。分析手順はNo.1〜No.3の全てで同一である。
加算平均波G(t)は、対応するスペクトルをF(f)として下記数式56の如くになる。
Figure 2005148061
G(t)のフーリエの逆変換でF(f)等を求め、F(f)を全ての振動数で1.0に置き換えた後、fP1=1kHzのハイパスフィルタ、fP2=40kHzのローパスフィルタ処理を行ったものをFH,L(f)と定義し、下記数式57を演算し、数式43におけるTGC*(t)をTGC4(t)として、j=1〜(nc+1)毎にGA(t)を下記数式58を用いて算定した。ここでfP1及びfP2は外部から与えられる値又はあらかじめ解析装置に記憶された値である。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
FA(f)は下記数式59を用いて算定した。
Figure 2005148061
なお、TGC4(t)のtは、t=t〜tまで変化させ、
j=1でtΤ=t
j=2乃至ncでtΤ=t+(j−1)×(t−t)/(nc)
j=nc+1でtΤ=t=t+(nc+1−1)×(t−t)/(nc)
とした。
なお、図57乃至図59の分析では、t=300μ秒、t=600μ秒、nc=20とし、かつ前記F(f)を1.0に置き換えている(位相情報のみを解析で用いた。)。FA(f)の比較表示はnpを2として、j=1〜(nc+1)毎にFA(f)のスペクトルの最大値を1.0に基準化して、{FA(f)}np表示している。
図57の空のシースの分析結果によれば、最初493位置(17.5kHz)に大きく生じていたFAj=1(f)のスペクトル値がjの値が増す毎に小さくなり、491、492の位置に、jの値が大きくなる毎にスペクトル値が大きくなっていくスペクトルの起生を確認できる。結論から云えば、このスペクトル491、492がポリエチレン製シースの共振スペクトルであり、スペクトル493がシース管からの反射波の低周波(17.5kHz)成分である。
図58の70%充填シースの分析結果は、図57の空のシースの分析結果と類似している。最初503位置(18.2kHz)に大きく生じていたFAj=1(f)のスペクトル値がjの値が増す毎に小さくなり、位置501、502に、jの値が大きくなる毎にスペクトル値が大きくなっていくスペクトルの起生を確認できる。この501、502のスペクトルがポリエチレン製シースの共振スペクトルである。503のスペクトルがシース管からの反射波の成分(18.2kHz)である。
図59の100%充填シースの分析結果は、図57の空シース、図58の70%充填シースの分析結果と全く異なったものとなる。前記基準化比較によれば、最初513位置(20.4kHz)に大きく生じていたFAj=1(f)のスペクトル値は、jの値の変化があっても変化せず、かつ20.4kHz付近のスペクトル値はjの値が増しても変化しないか、又は徐々に漸減している。前記20.4kHzは、前記までの実施例で説明した低周波における反射波のスペクトルである。なお、図57、図58において、前記f値位置(493及び503)でj=1〜(nc+1)のFA(f)のスペクトル値を等しくして基準化したFA(f)を求めた後、FA(f)のスペクトル群の中で、最も大きいスペクトル値1.0とする再基準化を行えば、共振スペクトル491、492及び501、502の値が極端に大きくなる比較図を得ることができる(図示せず)。
このようなf値位置での前記基準化及び再基準化を図50の100%充填の比較図で行っても、スペクトル比較図に変化が生じないのは明白である。本第5実施形態においては、TGCX(t)関数は、TGC4(t)であるが、TGC5(t)又はTGC6(t)を使用しても良い。
「請求項14の実施形態」
更に、請求項14の実施形態について説明する。数式57のGH,L(t)を第1実施形態、第2実施形態で示した如く、数式28に準拠して、数式60で求めてもよい。
Figure 2005148061
n1、n2は1以上の整数であり、A(f)、A(f)は分析の上限振動数をfMAXとする前述した振動数フィルタである。なお、数式60におけるn1、n2の値の特定は、以下のようにすればよい。即ち、FHL(f)={A(f)}n1・{A(f)}n2・F(f)の中心振動数がFHL(f)スペクトルの視認の中で前記fP1、fP2の平均値{(fP1+fP2)/2}(Hz)となるように、n1、n2の値を外部から指示するか又は自動手処理で特定する。
以上、共振励起が低周波で生じ、かつ比較的減衰率の大きいポリエチレン製シース管の充填度探知の場合の共振分析法を示した。
「請求項7の実施形態」
次に、本発明(請求項7)の第6実施形態について説明する。前記第1乃至第5実施形態は、コンクリートに埋め込まれたシース管内部にグラウト材を充填し、このグラウト材が硬化した後、そのグラウト材の充填度又は充填状況が完全か不完全かを探知するものである。ところで、PC構造物新設時のシース管内部へのグラウト注入時、測定点直下のシース管の充填度の推移を、リアルタイムにモニタリングできれば、その効果は絶大である。本第6実施形態は、前記リアルタイムモニタリングを用いた探知法である。
即ち、本実施形態においては、コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されたシース管内にグラウト材を連続的に注入する際に、その注入の程度をリアルタイムに検査する。前記シース管の直上コンクリート面に所定間隔で超音波発信探触子及び超音波受信探触子を配置し、制御装置は、前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して発信させ、その都度コンクリート中から広帯域受信信号を前記受信探触子にて受信するように制御する。解析装置は前記複数個の広帯域受信信号を加算して加算平均波G(t)を作成する。この加算平均波の計測を、前記グラウト材の注入開始時点を1回目の計測時点として、所定間隔でnA回行う。これにより、nA個の加算平均波Gj(t)(j=1〜nA)を収録し、このGj(t)に、基準時刻tで所定の時系列関数TGCX(t)を乗じて、GAj(t)=TGCX(t)・Gj(t)波を求め、このGAj(t)をフーリエ変換によりGAj(t)波に対応するスペクトルFAj(f)を演算し、npを自然数として、FAj(f)のnp乗値{FAj(f)}npを求めてこれを表示させる。オペレータは、j=1〜nAにおける{FAj(f)}npの変化でシース管内グラウト材の充填度を探知する。つまり、任意の振動数fで{FA(t)}npのスペクトル値が小さくなったり又は大きくなったりする変化の中で、このスペクトル値が一定の値に収斂し、jの値が増しても変化しなくなったとき、シース管内にグラウト材が詰まってきたと判断する方法である。なお、前記TGCX(t)は、数式14を用いる場合がTGC1(t)であり、数式15を用いる場合はTGC4(t)であり、数式16を用いる場合はTGC5(t)であり、数式17を用いる場合はTGC6(t)である。
図52のシース埋め込みコンクリートモデルで、No.1の空シースの直上コンクリート面に共振振動数500kHzの振動子を内蔵した1対の発信探触子及び受信探触子を配置し、発信探触子内の振動子に30Vのステップ関数型電圧を印加する。No.1のシース管内には径15mmのPS撚線鋼棒を12本内蔵させ、管内部に充填物(グラフト材)を徐々に満たしながら、下記表2に示すように、総計15回の計測で、300回加算平均波G(t)を計測した。なお、表2は計測毎のシース管内充填物(グラブと材)充填度を示す。また、前記j=1乃至15のG(t)波の計算時に、前記発信探触子及び受信探触子の位置は固定した。なお、j=6,7,8,9,10は、鋼棒の周面の螺旋状突起の部分で、充填物が存在しない空隙が存在した。しかし、j=11乃至15の場合は、このような突起部の空隙は存在しなかった。なお、以上の実測値は、計測実験の容易性を考慮して、グラウト材の代わりに水を使用して計測したものである。
Figure 2005148061
図60は前記G(t)波と、下記数式61で示されるF(f)スペクトルとを、j=1乃至15で比較表示したものである。G(t)は同図右に、上段より順にj=1,2,…15で表示し、j=1乃至15のF(f)を重ね描きしている。
Figure 2005148061
同図によるG(t)及びF(f)のj=1乃至15の比較では、前記表2のシース管内水の充填度による相違を確認することができない。
一方、前記F(f)より高振動数帯域のスペクトルFA(f)を、下記数式62においてn1=0、n2=0、n3=14とし、A(f)をf=438kHzとする振動数フィルタとして求める。但し、数式62において、f>2fのとき、A(f)=0.0である。
Figure 2005148061
そして、f≧2×f以降のFA(f)を0.0とした後、下記数式63でGA(t)を求める。
Figure 2005148061
シース管埋め込み深さd=150mm及びコンクリートの音速=4.5mm/μ秒よりシース表面からの反射波の受信時刻tを、t=2×150/4.5=67μ秒とし、前記TGCX(t)にTGC6(t)(TGC4(t)又はTGC5(t)でもよい)を用いた分析例を以下に示す。t=t=67μ秒、△ta=100μ秒、△t=55μ秒とするTGC6(t)を用い、かつn5=200として、下記数式64でGB(t)を演算し、次に、FB(f)を下記数式65で演算した。数式64を用いてGB(t)を求めるとき、TGC6(t)の時刻関数を用いて説明したが、分析例としては示さないものの、TGC6(t)の代わりにTGC4(t)又はTGC5(t)を用いてもよい。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
前記数式64、65で演算したGB(t)及びFB(f)を用い、np=1としてGB np(t)及びFB np(f)比較表示したものが図61である。300kHz乃至510kHzの振動数帯でFB(f)を表示している。
さて、図60のF(f)の比較図では、j=1乃至15でF(f)が全く1つのスペクトルに重ね描きされていたが、図61のFB(f)の重ね描きでは、明らかに、表2の充填度毎に林立するスペクトルの強度が変化している。例えば、スペクトル531ではj=1(シース内水なし)の時、スペクトル値が最大値をとり、jの値が増す(水の充填度が増す)毎にスペクトル値が減少していく。水の充填度がj=11乃至15の完全100%で、スペクトル値がほぼ同一となっている様子を見ることができる。一方、スペクトル532では、スペクトル値の大小関係が逆転し、スペクトル値はj=1の時、最も小さく、jの値が増す毎に大きくなっている。
GB(t)波はシース管表面からの反射波及びその反射波の後方に生ずる管内の水へ透過し、内部の鋼棒撚線で乱反射する波、そして管内側を水を介して重複反射する波等々の重畳波をGA(t)波より数式64を用いて切り出したものと考えることができる。
とろこで、本分析では前記n1、n2、n3及びfの値の各々を適宜変化させながら外部から与えることで対処した。これ等与えられた値毎に、図61に相当する{FB(f)}npのjに対する比較図から得られます。n1、n2、n3及びfの値を適宜変化させる経緯の中で、図61の531に示すようにスペクトルの極大値がjの値が大きくなるに従って大きく変動してくる状況を確認できたわけです。図61のスペクトル比較図を得た時のこれ等の値がn1=0、n2=0、n3=14、f=438kHzだったわけです。なお、シース径φ、シース埋め込み深さd、コンクリート音速をパラメータとした本装置による分析で、あらかじめ、n1、n2、n3及びfの最適値を求めておき、これを装置のハードディスク(HD)などに記憶しておき、実際の探査では前記パラメータの組み合わせ毎に記憶されたn1、n2、n3及びf係数表より、該当係数表を選定し、この選定された係数n1、n2、n3及びfを用いて前記数式63の演算を行うことも可能です。
スペクトル531がシース表面からの反射波の1つのスペクトル成分であると考えれば、管表面に入力する超音波はシース内に水がない場合、全反射することから、j=1の場合でスペクトル値が最も大きくなり、水の充填度が増すに従い、超音波の一部がシース管内部に透過していくことにより、前記反射において、徐々にスペクトル値が小さくなっていくと考えられる。一方、スペクトル532を前記シース内部の鋼棒撚線で乱反射する波、そしてシース内部を水を介して重複反射する波の重畳波のスペクトルの1つと解せば、j=1でスペクトル値が最小値をとり、jの値が増す毎にスペクトル値が大きくなり、表2のj=6乃至15のシース内が水で満杯の場合でスペクトル値が一定値に収剣してくれる現象と理解できる。
「請求項15の実施形態」
以上の説明はTGC6(t)のtをシース縦波反射波の起生時刻に設定して行ったものであった。tを発信探触子からコンクリートへ縦波を入力した直後、自然発生する横波のシース表面からの反射波の起生時刻に設定して、前記数式62乃至数式65の演算を行っても、前記物理現象に伴う充填度の探知を行うことができる。
数式62でA(f)・A(f)をfMAX=2500kHzとする振動数フィルタ、n1=4、n2=60、n3=0として、FA(f)を求め、数式63でGA(t)を求め、シース表面からの前記横波反射の起生時刻thsを前記t=67μ秒と横波と縦波の音速比0.59を用いてths=t/0.59 114μ秒として、△ta=100μ秒、△t=10μ秒とするTGC6(t)を用い、かつn5=200として数式64でGB(t)を演算し、次にFB(f)を数式65で演算した結果をnp=4として、GBnp (t)、FBnp (f)で比較表示したものを図62に示す。
図62のスペクトル541が図61のシース表面縦波反射スペクトル531に対応するシース表面横波反射に起因するものである。この測定例の場合、より明解に前記物理特性により生ずる現象を示している。即ち、j=1でスペクトル値最大になり、jの値が増す毎に、スペクトル値が小さくなり、j=6乃至15でスペクトル値が概略一致する様子を確認できる。また、スペクトル542は図61のスペクトル532に対応するもので、そのスペクトル値の大小関係がスペクトル541の場合と逆転している。
「請求項22の実施形態」
ところで、図61、図62の分析は比較的高振動数で行ったものであった。次に、請求項22の実施形態について説明する。図62において、541のカーソルが示す振動数をfとし、グラウト開始時点の1回目の計測からnA回目の計測のいずれかの時点で、又はnA回目の計測の終了以降の時刻で、請求項19に記載のF(f)(j≦nA)を用い、分析振動数の上限をfmaxとする第1及び第2の振動数フィルタA(f)、A(f)と中心振動数をfとする第3の振動数フィルタA(f)を用い、n1,n2、n3を1以上の整数として
FX(f)=A n1(f)・A n2(f)・A n3(f)・F(f)
を計算し、FX(f)の中心振動数が前記fとなるように、n1、n2、n3の値をコントロールし、このFX(f)を数式62のFA(f)とし、数式63でGA(t)を数式64でGB(t)を、数式65でFB(t)を再計算すれば、図62の符号541で示すカーソルのスペクトル比較図のみを取り出すことができる。図61では300kHz〜510kHz、図62では300kHz前後のスペクトルを用いている。コンクリートの内部探知では、このような高振動数帯域の波を用いた分析は、外的環境(外乱)の影響を受け易く、誤計測を行う可能性が高い。次に、この場合に対処した分析例について説明する。
「請求項16の実施形態」
図63は請求項16の実施形態の分析結果の一例である。図63の分析方法が図61、図62の分析方法と相違する点は以下のとおりである。即ち、数式62の演算において、n1=n2=n3=0として、数式62のFA(f)をF(f)置き変え、数式63のGA(t)をG(f)に置き変え、TGC6(t)の係数のうち、△ta=100μ秒、△t=50μ秒、n5=200として、数式64,65で夫々GB(t)及びFB(f)を求める時、数式64の右辺のTGC6(t)において、前記シース管縦波反射波起生時刻t=67μ秒を最初のt値とし、このtを徐々に時間軸後方へ自動移動する都度、数式64、65でGB(t)及びFB(f)を演算し、GB (t)、FB (f)表示で、j=1乃至15のスペクトル形状を比較している。
前記tを67μ秒(t)から徐々に大きくしていく経緯の中で、図63に対応するスペクトルの起生の状況は徐々に高周波成分が減衰消滅していくことにより、低周波スペクトルのみが卓越してくる。そして、各スペクトルの最大スペクトル値がj=1乃至15のFB(f)で変化してくる。この変動が明解になったt=382μ秒で、数式64、65の演算を終了し、その時点でのGB (t)、FB (t)をj=1乃至15で比較表示したものが図63である。
スペクトル551では、j=1の時スペクトル値が最小となり、jの値が増す毎にスペクトル値が大きくなり、シースに水が満たされたj=6乃至15でスペクトル値が概略一致している。
また、スペクトル552では、jの値の変化に伴うスペクトル値の大小関係が逆転しているが、j=6乃至15でのスペクトル値はスペクトル551の場合と同様、概略一致している。
これにより、j=6以降の計測時でシース管内部に水が満たされていると判断する。前記j=1乃至15でのFB(f)スペクトルにおいて、スペクトル値がjの値の変化毎に変化し、シース内に水が満杯になった時、一定値に概略収斂する現象がシース管内にグラフトする経緯の中で生ずることを証明する。
シース管内部に水を注入しない時の図63に対応する分析結果を図64に示す。分析法及び用いた分析用係数は図63を得た場合とまったく同一である。水の注入がないことより、FB (f)スペクトルはtが67μ秒から382μ秒まで変化する間、全く一致するはずである。図示しないが、前記tの変化の都度得られるFB (f)はj=1乃至15でスペクトル形状もスペクトル値もまったく同一であった。
図64はtT=382μ秒の時のFB (f)スペクトルをj=1乃至15で比較表示したものである。完全に1つの同一形状のスペクトルとして重ね描きされている。以上より図63及び前記図61、図62のj=1乃至15でのスペクトル値の変化がシース内部への水の注入によるものと判定できる。以上の分析を、数式61でF(f)を全振動数帯に亘って1.0とした分析でも、同様の結果を得ることができる。
なお、各実施形態のシース管内部グラウト材はセメントミルクとは限らない。樹脂系材料等シース及びシース内PC鋼材に腐食等の悪影響を及ぼさない他の材料であっても構わない。
また、本分析法は共振現象が発生する他の探知対象(コンクリート内の鉄皮厚、鉄筋径、鉄筋と中空配管の区別等)にも、そのまま適用できる。
「請求項17の実施形態」
次に本発明(請求項17)の第7実施形態について説明する。本実施形態は、前記1〜6の実施形態の場合と異なり、複数のかぶりを概略同一とするシースで得る受信波G(t)(jはシース番号)の周波数分析結果を比較表示し、空シース及び充填シースの夫々で得る受信波で、受信波に含まれる振動数成分が異なるという物理現象を利用するものである。
図65の計測図を用いて本実施形態を具体的に説明する。図65は建設途上、径間150mmのPC橋スラブ(道路面)の一部を示す。厚さが例えば350mmのコンクリートスラブ53の内部に、橋軸方向に伸びる外径90mmのポリエチレン製シース管54が間隔125mmで埋め込み深さ125mmで多数埋め込まれて配置されている。また、直径19mmの異形鉄筋52は、スラブ表裏から、埋め込み深さ50mm位置に、井桁状に、ピッチ125mmで配置されている。1つの方向の鉄筋は橋軸方向(シース管長手方向)に平行であり、隣接するシース管54間に埋められている。また、横締めシース管55が図示するように配置されている。外径100mmの中に、径75mmで共振振動数500kHzの振動子を内蔵した発信探触子50と受信探触子51、図65の平面図に示すように、中心間距離aを500mmとしてシース直上に配置する。そして、No.1〜No.9のシース毎に500回の加算平均波G(t)(j=1〜9)を得る。この計測は、発信探触子50内の振動子に350ボルトのステップ関数型電圧を印加することで、発信探触子50より広帯域超音波を発信しているので、前記G(t)波は、広帯域受信波となる。
図66に図65の計測で得る受信波G(t)に含まれる波のうち、コンクリート面とシースの間で重複反射を繰り返す伝達波を示す。図66の重複反射波661は、発信探触子及び受信探触子直下の探知対象シース管54とコンクリート面とで伝達する波である。隣接シース管54とコンクリート面との間で伝達する波662もあるが、この波662は図示のような経路となり、重複反射現象を起こさない。
この重複反射現象を利用した超音波探知装置が請求項17である。図65のj=1〜9とした計測での広帯域受信波G(t)を図67に示す。図67のG(t)波に分析を加えることで、各シース(j=1〜9)内のグラウトの充填の有無を探査する。本分析法の正当性を確認するために、径間150mの実橋建設時に、あらかじめ、j=3,4,5,7,9を空シース管、j=1,2,6,8を充填済みシース管として前記G(t)波を取得しておく。G(t)の波から、図66に示す重複反射波661がより多く含まれる時刻帯で、時系列波GA(t)波をTGCX(t)を用いて切り出す。TGCX(t)は図9のTGC5(t)又は図10のTGC6(t)のいずれとしてもよい。
TGC6(t)を用いて説明する。TGC6(t)の係数をΔta=200μ秒、Δt=350μ秒とし、シース埋め込み深さd(125mm)、コンクリートの縦波音速(4.5mm/μ秒)、探触子間距離a(500mm)、振動子径Φ(75mm)として、他の係数tを下記数式66により求める。
Figure 2005148061
n5及びnpを外部から与えられる又は解析装置にあらかじめ記憶された1以上の整数として、下記数式67により、GA(t)を計算する。
Figure 2005148061
そして、下記数式68により対応するスペクトルFA(f)を計算する。
Figure 2005148061
そして、FA(f)をnp乗倍して得た{FA(f}npの中で、最も大きいスペクトル値を1.0とする基準化表示と、{GA(t)}npの中で最も大きい振幅値を1.0とする基準化表示とを同時に示したものが図68である。但し、n5=100、np=1として表示している。
図68の比較図によれば、内部に充填物のない空シースj=3,4,5,7,9のスペクトルがfD1=17.9kHz付近を起点として大きく立ち上がっている。充填されている他のシースでは、この位置にスペクトルが生じていないと明確に判断できる。
「請求項18の実施形態」
次に、請求項18の実施形態について説明する。前述の図68は空シースと判っているシースを含めての分析であった。実際の探査でも空シースを含めて比較分析すれば容易に空/充填の判断を行えることになる。
「請求項19の実施形態」
次に、請求項19について説明する。図68のfD1=17.9kHzは、図66に示す重複反射661の1次共振振動数である。この共振振動数f(Hz)はシース埋め込み深さd(mm)とコンクリート縦波音速(mm/μ秒)を使用して、下記数式69により算出することができる。
Figure 2005148061
=125mm、=4.5(mm/μ秒)を数式69に代入すると、f=18kHzとなり、図68のfD1=17.9kHzと合致していることを確認できる。これより、G(t)を得るシースの計測で空シースとあらかじめ判明しているシースがない場合でも、数式69のf振動数位置に大きなスペクトルの起生があるかないかを視認することで、充填の有無を判断できる。
「請求項20の実施形態」
次に、請求項20の実施形態について説明する。前述の如く、TGCX(t)を定義するt値は前記数式66で算出されるが、このt値は図66の符号663で示すコンクリート面とシース表面間の1回目の反射波である。反射波起生位置663近傍には隣接シース662からの反射波も含まれることになる。受信波に含まれる隣接シースからの反射波は前記重複反射の回数が増すに従い大きく低減していく。これにより、前記tを大きくしながら数式67でGA(t)波を切り出していくと、tが大きくなる経緯の中で、GA(t)波に含まれる隣接シースからの重複反射波が除去されていく。分析例として示さないが、tを時刻軸後方へ移動し、変動させる経緯の中で、図68のfD1付近に生ずる空シースからの反射波スペクトルを、より明確に特定可能となる。
「請求項21の実施形態」
次に、請求項21の実施形態について説明する。図68の比較表示において、fD1振動数位置に空シースの大きなスペクトル値のスペクトルが起生した時、このスペクトルを切り出し対応する時系列波を求めれば、この時系列波の比較表示でシース内の充填の有無を容易に確認できる。前記スペクトルの切り出しを図68に示すFA(f)(数式68で求めた)を用いて行われる。図6に示すA(f)フィルタ(但し、2f以上で0とする)を用いて、n3を外部から与える1以上の整数として、下記数式70でFB(f)を求める。また、下記数式71により、GB(t)を求める。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
npを外部から与える1以上の整数として、{GB(t)}npの中で最も大きい振幅が1.0となるように基準化して比較表示したのが図69(但し、n5=50、np=3)である。空シースj=3,4,5,7,9の時系列波が図66の前記重複反射波(661)の存在で生じたものである。振幅に差異があることを確認できる。この振幅の差異は、シース内充填度との相関で生じたものとは無関係である。コンクリートの内部探査では計測位置のコンクリートの性状のばらつきで超音波透過度が大きく変動する。これが原因となって生じたものである。これより、これらの起生波を夫々その最大振幅を1.0に基準化して比較表示すると、図70のようになる。位相差が全くなく同一の形状の波の出現を空シースの全てj=3,4,5,7,9で確認できる。
「請求項22の実施形態」
次に、本発明(請求項22)の第8実施形態について説明する。本実施形態は、第7実施形態(請求項17)の分析法を発展させ請求項23,24,25,26を従属項とするものである。分析は第7実施形態で得る広帯域受信波G(t)(j=1〜n、nは計測対象シースの数)を用いて行う。
探触子の中心間距離aを500mmとしたG(t)波を図67に示した。このG(t)を用いた分析である。図67のカーソル671よりG(t)波が微弱な振幅で出現し始めている。同図[時刻領域A]の間で、この微細な波が継続している。この時間領域Aの中にシース内が空か充填かを判断する情報が埋もれている。即ち、図66の経路663の縦波以外に、図71に示す特殊な経路の波712,713が含まれる。
図71において、振幅の大きい波710がコンクリート面とシース表面との間で重複反射する都度、シース表面より受信探触子へ指向する波712が経路の波である。縦波と横波の双方が存在するが、図67の[時刻領域A]に含まれるのは、縦波成分である。
次に、経路712の波が生ずる理由について説明する。図72はシース管54の形状を示したものである。コンクリートとシースとを確実に緊結するために、図示するような突起71がシース表面70に螺旋状に存在する。経路712の波は、これが原因で生じたものである。なお、シース内が空及び充填の場合の双方でこの経路712の波が生ずるが、シースが空の場合全反射し、シースが充填の場合、経路710の波は一部シース内に透過することより、空シースと充填シースとでは経路712の波の振幅比較において、前者が後者のそれに比し、相対的に格段に大きくなる。
一方、充填シースの場合、経路710の波は符号711のようになり、シース内の鋼棒を介する伝達波(縦波と横波の混合波)713が生じ、受信探触子714により指向する波を受信することになる。これより、図67のG(t)波の[時刻領域A]の中に、図71の波712,714が[時刻領域A]以外の時刻領域に比し、より多く含まれることになる。多くの同様の計測例で確認された知見の中に、波712と波714ではその卓越する振動数が異なること及び振幅比較において、波712の方が波714より大きくなる現象がある。このような現象を利用すると計測対象シースのいずれが充填か、空かを分析可能となる。
以下、実際の分析例を示す。図73は前記G(t)より、前記[時刻領域A]の波を図示するTGC5(t)を用いて切り出し、GA(t)波及び対応するスペクトルFA(f)を求め、夫々の{GA(t)}np波の最大振幅を1.0に基準化し、また夫々の{FA(f)}npの最大スペクトル値を1.0に基準化して示したものである。この切り出しで使用したTGC5(t)を定義する各係数Δta、tなどは、以下のようにして求めることができる。
「請求項23の実施形態」
具体的にはΔta=400μ秒、n5=500とし、シースの埋め込み深さd(125mm)、コンクリートの縦波音速(4.5mm/μ秒)、探触子の振動子径Φ(75mm)、発信探触子と受信探触子の中心間距離a(500mm)を下記数式72に代入し、t(μ秒)を求める。
Figure 2005148061
そして、下記数式73を使用して、GA(t)を求める。次いで、下記数式74を使用して、FA(f)を求める。
Figure 2005148061
Figure 2005148061
このFAj(f)から図73の比較図を求める。前記n5は1以上の整数とするものであるが、本分析では、n5=500を採用した。図73の前記基準化表示された{FA(f)}npによれば、空シースのj=3,4,5,7,9の中心振動数(平均36kHz)が概略一致している。また、充填シースのj=1,6,8の形状及びその中心振動数も概略一致している。但し、充填シース(j=2)のみのスペクトル形状及びその中心振動数が、他のそれ等と遊離している。j=2の充填シースの隣のj=1のシースは空シースである。このj=1の空シースの波712(図71)が、j=2の受信波に若干混在したことより生じたものである。なお、npは1以上の整数であり、図73ではnp=2とした。j=2のようなFA(f)スペクトル(最大値を1.0に基準化している)が得られたときには、以下の処理がなされる。
「請求項24の実施形態」
図74は前記TGC5(t)を定義する所定値tを前記数式72で算定された109.6μ秒から時間軸前方又は後方へ微小量変動させる経緯の中でt=120μ秒となったときの図73(t=109.6μ秒)に対応する{FA(f)}np、{GA(t)}npを夫々の最大スペクトル値及び最大振幅が1.0となるように基準化して比較表示したものが図74である。
図73では他のスペクトルと振動数及び形状が遊離していたj=2の充填シースのスペクトル{FAj=2(f)}npがj=1,6,8の充填シースのスペクトルと合致している様子を確認できる。
図示しないが前記tの値を変動させる経緯の中で、j=2の充填シースのスペクトル{FAj=2(f)}npの形状及び中心振動数は変化するが、他のシースのスペクトル形状及び中心振動数はほとんど変化しない。
ところで、前記tの変動を外部から与えられる又は解析装置にあらかじめ記憶されたΔt(μ秒)を使用し、前記tの変動を(t−Δt)〜(t+Δt)の間で自動的に又は外部からの指示で変化させ、図74に示すように{FA(f)}npスペクトルが2つの群に収斂したとき、tの変動を自動で又は外部からの指示で停止する。なお、npは1以上の整数であり、図74ではnp=2とした。
「請求項25の実施形態」
図75は、{FA(f)}np、{GA(t)}npの比較表示を{FA(f)}npのj=1〜n(計測シースの個数)の中で最も大きいスペクトル値を1.0に基準化して及び{GA(t)}npのj=1〜nの中で最も大きい振幅を1.0に基準化して、np=2として、比較表示したものである。{FA(f)}npの比較表示において、スペクトル値に差異はあるが、空シースのj=3,4,5,7,9のスペクトルの最大値位置を示す振動数が、概略等しく(平均振動数36kHz)なっている。
この平均振動数36kHzの振動数スペクトルは図71の伝達波712のスペクトルである。他の特記しないスペクトル値の比較的小さいスペクトルが伝達波714のスペクトルである。多くの同種の計測分析例によれば、波712と714の振幅及びスペクトル値は、波712の方が波714に比し大きくなる。この特性を利用して{FA(f)}npスペクトルのいずれが充填のシースのものか空シースのものかを容易に判断できる。
{FA(f)}npのj毎の最大スペクトル値をSとし、j=1〜nのS値の中で最も大きい値をSMAXとして、nsなる係数(1.0以上の実数)の値を徐々に大きくする経緯の中で、下記数式75を満足する{FA(f)}npを(SMAX/S){FA(f)}npと置き換えて、図75の比較表示を繰り返し行う経緯の中で得た比較図の1つを図76に示す。
Figure 2005148061
図75は数式75のnsが1.6となったときのものである。空シースj=3,4,5,7,9が平均振動数36kHzの1つの群スペクトルとして浮かび上がっている。nsをさらに大きくしていくと、ns=4.0のとき、充填シースj=1,2,6,8が他の1つの群スペクトルとして、図74に示すように浮かび上がる。これより、nsの増分の経緯の中で最初に浮かび上がる中心振動数とスペクトル形状を同一とする1つの群スペクトル{FA(f)}npを得たシース(j)の内部が空と判断し、更なるnsの増分で浮き上がってくる他の1つの群スペクトル{FA(f)}npを得たシース(j)の内部が充填であると判断すればよい。
「請求項26の実施形態」
請求項17,22の実施形態で使用した各シースの直上のコンクリート面計測で得た受信波G(t)は、前述しなかったが、図77に示すように受信探触子とコンクリート面の間に厚さ20mmで、150mm×150mmのアルミニウム製板を介在させて得たものである。図66のコンクリート面661とシース表面間の重複反射波及び図71の伝達波712又は714の図示は、シース軸に沿って描かれているが、低振動数超音波の場合、シース軸を中心として、図78に示すように広い範囲に拡散する。
図77、図78に示す超音波集積治具を使用すれば、探知対象シースからの前述の伝達波661,712,714が集積され、受信波に含まれる妨害波(探知対象以外の鉄筋、シース固定治具etc.からの反射波)が相対的に小さくなり、図68〜70、図73〜76のような比較図を得る分析を高精度に行うことができる。
なお、以上の説明は、第7、第8実施形態で必ず前記集積治具を用いねばならぬということではない。前記治具を用いなくとも、充分シースの充填の有無の探知は可能であるが、その場合は、鉄筋又はシース固定治具による妨害波が受信波に混在したとき、シース充填の有無の判断に計測者の技術的判断を要することになる。
第1実施形態(請求項1)、第2実施形態(請求項1)、第3実施形態(請求項6)、第4実施形態(請求項12)、第5実施形態(請求項13)、第6実施形態(請求項7)の説明では、前記集積治具を用いた具体例を示していないが、これらの実施形態においても、受信波に含まれる探知妨害波の悪影響を除去する上で、前述の治具の使用がシース内充填の有無を高精度に探知する上で大きな効果がある。
本発明の実施形態に係る超音波探知装置を示すブロック図である。 ステップ型電圧発生器の構成を示すブロック図である。 発信探触子の構成を示すブロック図である。 受信探触子の構成を示すブロック図である。 第1の振動数フィルタA(f)及び第2の振動数フィルタA(f)の特性を示す図である。 第3の振動数フィルタA(f)の特性を示す図である。 TGC1(t)のフィルタ特性を示す波形図である。 TGC4のフィルタ特性を示す波形図である。 TGC5のフィルタ特性を示す波形図である。 TGC6のフィルタ特性を示す波形図である。 シース管内のセメントミルク充填度の探知方法を示す模式図である。 (a)は反射波を示し、(b)はシース管共振波を示す波形図である。 (a)、(b)は夫々図12(a)、(b)のフィルタリング後の波形図である。 (a)、(b)は夫々図12(a)、(b)のフィルタリング後の波形図である。 反射波スペクトルと、シース管共振波スペクトルを示す図である。 (a)、(b)は最大スペクトルを1.0に基準化したときのスペクトル比較図である。 シース管充填度測定方法を示すコンクリートモデルの一例を示す。 セメントミルクが完全に充填されたシース管直上でのG(t)波及び対応するスペクトルF(f)を示す。 GA(t)波を示す図である。 GA(t)とFA(f)との関係を示す図である。 TGC1(t)・G(t)波を比較表示したものである。 図21のFA(f)、GA(t)及びGA21(t)を4乗表示したものである。 基準化スペクトルの比較図である。 スペクトルの比較図である。 スペクトルの比較図である。 FCnpj(f)の基準化スペクトルを示す図である。 FCnp (f)の中で最も大きいスペクトル値を1.0とする絶対表示スペクトルを比較表示した図である。 加算平均波G(t)にTGC6(t)を乗じてシール管表面からの縦波反射波を切り出したものである。 FA(f)及びGA(t)を示す波形図である。 FA6(f)、FA(f)スペクトル及びGA6(t)、GA(t)波を示す波形図である。 n2=4000とした時の分析結果を図31に示す FA(f)をFA(f)表示した図である。 共振スペクトル及び反射波スペクトルを示す図である。 {FB(f)}の基準化表示の比較図である。 G(t)波とスペクトルF(f)を示す図である。 np(t)及びFnp(f)を示す図である。 GAnp (t)及びFAnp (f)を示す図である。 GE(t)、FE(t)の比較図である。 GE(t)、FE(t)の比較図である。 (a)は完全充填、(b)は充填不足、(c)は空の場合のシール管反射波及びシール管径路波の起生状況を示す図である。 図40(a)のシール管内にセメントミルクが完全充填された場合の受信波の一般的な形状を示す図である。 図40(b)のセメントミルクが充填不足の場合の受信波の一般的形状を示す図である。 数式43の説明図である。 {FA(f)}np、{GA(t)}npを示す図である。 {FA(f)}npの比較図である。 図40(b)の2243径路の波の伝達状況を示す図である。 図17の側点3における分析結果を示す。 G(t)、GA(t)、FA(f)表示を示す。 TGC6(t)、TGC621(t)、FA(f)、GA(t)を示す図である。 シース管表面から入力された超音波が管内部のグラウト材内を重複反射する様子を示す図である。 (a)、(b)は加算平均波から狭帯域成分波を抽出した波形図である。 実際のPC橋梁の配筋及びシース管配置状況を模擬するコンクリートモデルである。 分析結果を示す波形図である。 同じく、分析結果を示す波形図である。 同じく、分析結果を示す波形図である。 分析結果を示す波形図である。 分析結果を示す波形図である。 分析結果を示す波形図である。 分析結果を示す波形図である。 (t)波と、F(f)スペクトルとを比較表示する図である。 GB(t)波と、FB(f)スペクトルとを比較表示する図である。 GBnp (t)波と、FBnp (f)スペクトルとを比較表示する図である。 分析結果を示す図である。 FB (f)スペクトルを示す図である。 (a)、(b)は建設途上のPCスラブの一部を示す夫々断面図及び平面図である。 図65の計測で得る受信波G(t)に含まれる波のうち、コンクリート面とシースの間で重複反射を繰り返す伝達波を示す。 図65のj=1〜9とした計測での広帯域受信波G(t)を示す。 FA(f)をnp乗倍して得た{FA(f}npの中で、最も大きいスペクトル値を1.0とする基準化表示と、{GA(t)}npの中で最も大きい振幅値を1.0とする基準化表示とを同時に示した図である。 npを外部から与える1以上の整数として、{GB(t)}npの中で最も大きい振幅が1.0となるように基準化して比較表示した図である。 各起生波を夫々その最大振幅を1.0に基準化して比較表示した図である。 (a)、(b)は振動波が伝達される様子を示す図である。 シースの形状を示す図である。 (t)より、[時刻領域A]の波を図示するTGC5(t)を用いて切り出し、GA(t)波及び対応するスペクトルFA(f)を求め、夫々の{GA(t)}np波の最大振幅を1.0に基準化し、また夫々の{FA(f)}npの最大スペクトル値を1.0に基準化して示す図である。 TGC5(t)を定義する所定値tを数式72で算定された109.6μ秒から時間軸前方又は後方へ微小量変動させt=120μ秒となったときの図73(t=109.6μ秒)に対応する{FA(f)}np、{GA(t)}npを夫々の最大スペクトル値及び最大振幅が1.0となるように基準化して比較表示した図である。 {FA(f)}np、{GA(t)}npの比較表示を{FA(f)}npのj=1〜n(計測シースの個数)の中で最も大きいスペクトル値を1.0に基準化し、{GA(t)}npのj=1〜nの中で最も大きい振幅を1.0に基準化して、np=2として、比較表示した図である。 図75の比較表示を繰り返し行う経緯の中で得た比較図の1つである。 超音波集積治具を示す図である。 超音波集積治具を示す図である。
符号の説明
4:発信探触子
5:受信探触子
11:解析装置
13:ステップ型電圧発生器
14,15:アンプ回路
16:フィルタ回路
17:アナログディジタル変換回路(ADC)
18:ゲートアレイ
19:CPU(中央演算装置)
22:ステップ電圧発生回路
23:電流供給回路
24:漸減型ハイパスフィルタ
25:ハードディスク(HD)
26:メモリ
28、29:振動子
30:被探知体
40、51:発信探触子
41、51:受信探触子
42、52:鉄筋
43:コンクリートブロック
44、54:シース管
53:コンクリートスラブ
55:横締めシース管

Claims (43)

  1. コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されると共にセメントミルクなどの充填物が注入されたシース管を共振分析により検査する超音波探知装置において、前記シース管の上方のコンクリート面に所定の間隔で配置される超音波発信探触子及び超音波受信探触子と、前記発信探触子及び受信探触子の超音波発信及び受信を制御する制御装置と、前記受信探触子で得る受信信号を解析する解析装置とを有し、前記制御装置は、前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度、コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子にて受信するように制御し、前記解析装置は、その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求め、基準時刻t以降の時刻で1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増する時系列関数TGC(t)をn5乗倍(n5は1以上の整数)したものを前記加算平均波G(t)に乗じてGA(t)={TGC(t)}n5・G(t)波を求める際に、tの始点t及び終点t(t<t)の間をn(nは1以上の整数)個に分割し、jを1以上の整数として表される(n+1)個のt(但し、t=t+{(t−t)/n}×(j−1)、j=1〜(n+1))の各々について前記GA(t)を算出し、これをGA(t)とし、このGA(t)をフーリエ変換してスペクトルFA(f)を求め、このFA(f)の各最大スペクトル値が1.0になるように基準化した後、nを自然数として{FA(f)}npを求めて、これを重ねて表示し、j=1〜(n+1)毎の{FA(f)}npのスペクトル群の内、j=1〜(n+1)の全てが重ね描きされるスペクトルを反射波スペクトルと判断し、jの値が増す毎に、スペクトル値が増幅してくるスペクトルが得られた場合、シース管内で共振波が生じていると判断し、シース管内の充填物が不足していることを把握することを特徴とする超音波探知装置。
  2. 前記解析装置は、前記t(μ秒)値、t(μ秒)値、n値、n5値、及びn値が外部から指示されるものであると共に、前記シース管の埋め込み深さをd(mm)、前記コンクリートの音速を(mm/μ秒)として、前記tの値を(2×d)/の式から算定することを特徴とする請求項1に記載の超音波探知装置。
  3. 分析振動数の上限をfMAXとする正弦関数A(f=0.0で0.0、f=fMAXで1.0)と、余弦関数A(f)(f=0.0で1.0、f=fMAXで0.0)を使用し、n及びnを外部から与えられる1以上の整数として、前記FA(f)(j=1〜(n+1))より、FB(f)={A(f)}n1・{A(f)}n2・FA(f)を算出し、GB(t)をフーリエ逆変換で、GB(t)=∫−∞ (FB(f)eiωt)dfで求め、前記FA(f)を前記FB(f)と置き換え、前記GA(t)を前記GB(f)と置き換えることを特徴とする請求項1に記載の超音波探知装置。
  4. 前記解析装置において、時系列関数TGCX(t)を定義する所定値の1つtを、外部から与え又は前記シース管の埋め込み深さをd(mm)、前記コンクリートの音速を(mm/μ秒)として、t=(2×d)/から算出し、前記加算平均波G(t)に所定値tで定義される時系列関数TGCX(t)を乗じてGX(t)=TGCX(t)・G(t)を作成し、GX(t)をフーリエ変換してFX(f)を求め、FX(f)スペクトルの強度が最大となる振動数をfとし、分析振動数の上限をfMAXとして振動数と共に強度が連続的に上昇する(最大値1.0)振動数フィルタA(f)と、分析振動数の上限をfMAXとして振動数と共に強度が連続的に減少する(最大値1.0)振動数フィルタA(f)と、f=fとして、fで1.0、その始点0及び終点2f以降で0となりf=0〜fの間を増加関数、f=f〜2fの間を減少関数とする振動数フィルタA(f)とを使用し、n1、n2、n3を外部から与えられる1以上の整数として、前記F(f)より前記fを中心振動数とする狭帯域スペクトルFY(f)={A(f)}n1・{A(f)}n2・{A(f)}n3・F(f)を作成し、これを逆フーリエ変換してGY(t)=∫−∞ (FY(f)・eiωt)dfを求め、このGY(t)を請求項1の加算平均波G(t)として請求項1に記載の演算を行うことを特徴とする請求項1に記載の超音波探知装置。
  5. 前記解析装置において、時系列関数TGCX(t)を定義する所定値の1つtを外部から与え、又は前記シース管の埋め込み深さをd(mm)、前記コンクリートの音速を(mm/μ秒)として、t=(2×d)/から計算し、前記加算平均波G(t)に前記所定値tで定義される時系列関数TGCX(t)を乗じてGX(t)=TGCX(t)・G(t)を作成し、GX(t)をフーリエ変換してFX(f)を求め、前記振動数フィルタA(f)と、前記振動数フィルタA(f)とを使用し、前記n1を2乃至4、n2を外部から与えられる1以上の整数とし、FY2(f)={A(f)}n1・{A(f)}n2・FX(f)を計算し、n2の値を増加させる毎に、前記FX(f)及びFY2(f)を比較表示し、FY2(f)スペクトルが最大値をとる振動数がFX(f)のスペクトル群のいずれかのスペクトルの振動数と合致するとき、この振動数をfDmと特定し、このfDmを前記f値とすることを特徴とする請求項4に記載の超音波探知装置。
  6. コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されると共にセメントミルクなどの充填物が注入されたシース管を共振分析により検査する超音波探知装置において、前記シース管の上方のコンクリート面に所定の間隔で配置される超音波発信探触子及び超音波受信探触子と、前記発信探触子及び受信探触子の超音波発信及び受信を制御する制御装置と、前記受信探触子で得る受信信号を解析する解析装置とを有し、前記制御装置は、前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度、コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子にて受信するように制御し、前記解析装置は、その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求め、基準時刻tで1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、t以降の時刻で1.0未満又は0(減少関数)の時系列関数TGCX(t)を前記加算平均波G(t)に乗じてGA(t)=TGCX(t)・G(t)波を求める際に、tの始点t及び終点t(t<t)の間をn(nは1以上の整数)個に分割し、jを1以上の整数として表される(n+1)個のt(但し、t=t+{(t−t)/n}×(j−1)、j=1〜(n+1))の各々について前記GA(t)を算出し、これをGA(t)とし、このGA(t)をフーリエ変換してスペクトルFA(f)を求め、このFA(f)の各最大スペクトル値を比較し、この内最も大きいスペクトル値が1.0になるように基準化した後、nを自然数として{FA(f)}npを求めて、これを重ねて表示し、j=1〜(n+1)毎の{FA(f)}npのスペクトルの変化の推移で、シース管内の充填度を探知することを特徴とする超音波探知装置。
  7. 音波(縦波)のコンクリート内に深さdで埋め込まれ管内に鋼棒が配置されたシース管(外径Φ)において、管内にグラウト材を連続的に注入する際に、その注入の精度をリアルタイムに検査する超音波装置において、前記シース管の上方のコンクリート面に所定間隔で配置される超音波発信探触子及び受信探触子と、前記発信探触子及び受信探触子の超音波発信及び受信を制御する制御装置と、前記受信探触子で得る受信信号を解析する解析装置とを有し、前記制御装置は、前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子により受信するように制御し、前記解析装置は、その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求め、この加算平均波の取得を、前記グラウト材の注入開始時点を1回目の取得時点として、外部から与えられる所定の時刻間隔で2回目以降の加算平均波G(t)(j=1〜n:nはそれまでに取得済みの加算平均波の数)を取得する毎に、下記第1工程及び第2工程の分析を繰り返し行う手段を有し、
    前記第1工程はシース管外径Φ、コンクリート音速、シース管埋め込み深さdの組み合わせ毎に整理されたn1、n2、n3、fの係数表より、前記Φ、dと合致する0を含む1以上の整数n1、n2、n3とf値(Hz)を選定し、又はn1、n2、n3、f値を外部から与えた後、分析振動数の上限をfMAX(fがfMAX以上のときF(f)=0とする)とし、f=0で0.0、f=fMAXで1.0となる増加関数A(f)と、f=0で1.0、f=fMAXで0.0となる減少関数A(f)と、f=0で0.0、f=fで1.0となる増加関数とf=fで1.0、f≧2×fで0.0となる減少関数との組合せ関数A(f)とを用いて、FA(f)={A(f)}n1・{A(f)}n2・{A(f)}n3・F(f)を算出し、GA(t)=∫−∞ (FA(f)・eiωt)dfを算出して、GA(t)を求めることであり、
    前記第2工程は、外部から与えられる0を含む実数であるΔt(μ秒)を用い、基準時刻tで1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、t〜t+Δtの間の時刻で1.0、t+Δt以降の時刻で1.0未満又は0.0(減少関数)である時系列関数TGCX(t)を用いて、GB(t)=TGCX(t)×GA(t)を算出し、更にこのGB(t)から、FB(f)=∫−∞ (GB(t)・e−iωt)dtを算出し、npを外部から与えられる1以上の整数として、FB(f)のnp乗値{FB(f)}npを求めて、これを表示させ、j=1〜nにおける{FB(f)}npの任意の極大値を示すスペクトル値がjの増大に伴い減少又は増大していく時点をグラウトが進行していく段階と判断し、前記スペクトル値の減少又は増大が、jが増大していっても停止する状況になったとき、シース管内が完全にグラウトされたと判断することであることを特徴とする超音波探知装置。
  8. 前記時系列関数TGCX(t)は、t=0の時刻で0、t=tで1.0となる増加関数と、t=tで1.0、t=2×t以降の時刻で0となる減少関数の組み合わせで得る時系列関数TGC4(t)のn5(n5は自然数)乗値{TGC4(t)}n5であり、前記n5はあらかじめ定められた所定値又は外部から与えられる値であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の超音波探知装置。
  9. 前記時系列関数TGCX(t)は、t=t−Δt5以前の時刻で0、t=tで1.0となる増加関数と、t=t+Δt5以降の時刻で0となる減少関数との組み合わせで得られる時系列関数TGC5(t)のn5(n5は自然数)乗値{TGC5(t)}n5であり、前記n5及びΔt5はあらかじめ定められた所定値又は外部から与えられる値であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の超音波探知装置。
  10. 前記時系列関数TGCX(t)は、t=t−Δta以前の時刻で0、t=tで1.0となる増加関数と、t=tとt=t+Δtの間を1.0とする関数と、t=t+Δtで1.0、t=t+Δt+Δta以降の時刻で0となる減少関数との組み合わせで得る時系列関数TGC6(t)のn5(n5は自然数)乗値{TGC6(t)}n5であり、前記n5、Δt及びΔtaはあらかじめ定められた所定値又は外部から与えられる値であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の超音波探知装置。
  11. 前記解析装置において、前記t(μ秒)、t(μ秒)値、n値、及びn値は外部から指示するか、又は前記シース管の埋め込み深さをd(mm)、シース外径をΦ(mm)、コンクリートの音速を(mm/μ秒)とし、Δtを前記d、Φ、に応じて決まる所定値として、前記tの値を(2×d)+Δtで算定し、残りのt(μ秒)値、n値、及びn値は外部から指示するものであることを特徴とする請求項6に記載の超音波探知装置。
  12. シース管の径をΦ(mm)、シース管内充填物の音速をVG(mm/μ秒)として、fDS={VG/(2・Φ)}×10(Hz)を計算し、前記加算平均波G(t)をフーリエ変換して得るスペクトルをF(f)とし、分析振動数の上限をfMAXとして振動数と共に強度が連続的に上昇する振動数フィルタA(f)(f=fMAXで1.0)と、分析振動数の上限をfMAXとして振動数と共に強度が連続的に減少する振動数フィルタA(f)(f=0で1.0)とを使用し、n1及びn2を自然数として、FX(f)={A(f)}n1・{A(f)}n2・F(f)を計算し、FX(f)スペクトルの中心振動数が前記fDSとなるようにして得られたスペクトルFX(f)を逆フーリエ変換してGX(t)=∫−∞ (FX(f)・eiωt)dfを求め、前記請求項6に記載のG(t)を前記GX(t)で置き換えて請求項6の演算を行うことを特徴とする請求項6に記載の超音波探知装置。
  13. 請求項6のG(t)波よりF(f)を、F(f)=∫−∞ (G(t)・eiωt)dtとして計算し、所定の振動数fP1(Hz)及びfP2(Hz)を外部から入力する値又はあらかじめ設定された値とし、前記F(f)スペクトルをfがfP1未満のとき、F(f)=0.0、fがfP1乃至fP2のとき、F(f)=1.0、fがfP2を超えるとき、F(f)=0.0とする関数として定義し直し、このF(f)を用いて、G(t)=∫−∞ (F(f)・eiωt)dfを演算し、請求項6に記載のG(t)をこのG(t)と置き換えることを特徴とする請求項6に記載の超音波探知装置。
  14. 請求項6のG(t)波よりF(f)を、F(f)=∫−∞ (G(t)・e−iωt)dtとして計算し、所定の振動数fP1(Hz)及びfP2(Hz)を外部から入力する値又はあらかじめ設定された値とし、前記F(f)スペクトルを全てのf値でF(f)=1.0となるスペクトルに置き換え、分析振動数の上限をfMAXとして、f=0で0.0、f=fMAXで1.0となる増加関数をA(f)とし、f=0で1.0、f=fMAX以降で0となる減少関数をA(f)とし、n1、n2を1以上の整数として、FH,L(f)=A n1(f)・A n2(f)・F(f)を演算する経緯の中で、FH,L(f)の中心振動数が1/2(fP1+fP2)Hzになるように、n1、n2の値を得、そのときのFH,L(f)を用いて、GH,L(t)=∫−∞ (FH,L(f)・eiωt)dfを計算し、前記請求項6に記載のG(t)を前記GH,L(t)で置き換えて請求項6の演算を行うことを特徴とする請求項6に記載の超音波探知装置。
  15. 前記シース管の埋め込み深さをd、コンクリートの音速(縦波)をとし、コンクリートの横波と縦波の音速比を0.59として、前記基準時刻tはt=2×d又はt=2×d/(0.59×)で求めたものであることを特徴とする請求項7に記載の超音波探知装置。
  16. 前記シース管の埋め込み深さをd(mm)、コンクリートの音速(縦波)を(mm/μ秒)とし、前記基準時刻t(μ秒)をt=2×dで計算される値とし、前記加算平均波G(t)を得る2回目(j=2)以降のいずれかの時点で、前記第1工程で得るFA(f)及びGA(t)を夫々F(f)及びG(t)関数に置き換え、前記tをtの時間より時間軸後方へ移動させて、新たなtに基づいて、請求項7の第1工程及び第2工程を繰り返すことを特徴とする請求項7に記載の超音波探知装置。
  17. コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されると共にセメントミルクなどの充填物が注入されたシース管を振動数分析により検査する超音波探知装置において、前記シース管の上方のコンクリート面に所定の間隔で配置される超音波発信探触子及び超音波受信探触子と、前記発信探触子及び受信探触子の超音波発信及び受信を制御する制御装置と、前記受信探触子で得る受信信号を解析する解析装置とを有し、前記制御装置は、前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度、コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子にて受信するように制御し、前記解析装置は、その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求める処理を探知対象とする埋め込み深さが等しい複数(n個)のシース毎にこのシースのコンクリート面への垂直投影線分上に、前記発信探触子と受信探触子をその中心間距離をa(mm)として配置し、加算平均波G(t)(j=1〜n)を取得する第1工程と、基準時刻t(μ秒)で1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、Δt(μ秒)を所定値とし、t〜t+Δtの間を1.0、t+Δt以降の時刻で1.0未満又は0(減少関数)とする時刻関数TGCX(t)を、n5乗倍し(n5は1以上の整数)、これに前記加算平均波G(t)を乗じて、GA(t)=(TGCX(t))n5・G(t)波を求めた後、前記GA(t)をフーリエ変換し、FA(f)をFA(f)=∫−∞ (GA(t)・eiωt)dtで計算し、npを自然数として{FA(f)}npを計算する第2工程と、{FA(f)}npの中で最も大きいスペクトル値を1.0とする基準化を行って{FA(f)}npを比較表示し、特定の振動数fD1位置に大きなスペクトル値のスペクトルが立ち上がる1つ又は複数のシース(j=k)がある場合、この1つ又は複数のG(t)の加算平均波を得たシースの内部が空又は充填不足と判断する第3工程とを有することを特徴とする超音波探知装置。
  18. 前記探知対象とする複数のシースの中に、空シース(j=k)と解っているシースを含めて、前記{FA(f)}npの比較表示が成されるとき、前記空シース(j=k)の{FA(f)}npにおいて、最大スペクトル値を与えるf値を前記fD1とすることを特徴とする請求項17に記載の超音波探知装置。
  19. コンクリート表面とシース表面との間の重複反射の共振振動数fを、シース埋め込み深さd(mm)とコンクリート音速(縦波)(mm/μ秒)から、f={10/(2d)}Hzとして求め、前記特定の振動数fD1をこのfの値として、請求項17の演算をすることを特徴とする請求項17に記載の超音波探知装置。
  20. シース埋め込み深さをd(mm)、コンクリート音速(縦波)を(mm/μ秒)、発信探触子と受信探触子の中心間距離をaとしたとき、前記tの初期値を
    ={2×√{d +(a/2)}/}μ秒とし、tの値を前記初期値の時刻より後方で変動させる都度、前記第2工程及び第3工程を繰り返し、外部からの指示で、前記tの値の変動を停止するようにしたことを特徴とする請求項17に記載の超音波探知装置。
  21. 前記fD1(Hz)位置に大きなスペクトル値のスペクトルが生じたとき、f=fD1として、f=0で0.0、f=fで1.0となる増加関数と、f=fで1.0、fが2f以上で0.0となる減少関数との組み合わせで得るA(f)フィルタと、前記FA(f)を用いて、n3を1以上の整数として、FB(f)={A(f)}n3・FA(f)を計算し、GB(t)=∫−∞ (FB(f)・eiωt)dfを計算し、npを外部から与える1以上の整数として{GB(t)}npを算出し、{GB(t)}npの中で最も大きい振幅を1.0として基準化し、比較表示するか、又はこの比較表示により、起生を確認できる{GB(t)}np波各々の最大振幅を夫々1.0に基準化して比較表示することを特徴とする請求項17に記載の超音波探知装置。
  22. コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されると共にセメントミルクなどの充填物が注入されたシース管を振動数分析により検査する超音波探知装置において、前記シース管の上方のコンクリート面に所定の間隔で配置される超音波発信探触子及び超音波受信探触子と、前記発信探触子及び受信探触子の超音波発信及び受信を制御する制御装置と、前記受信探触子で得る受信信号を解析する解析装置とを有し、前記制御装置は、前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度、コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子にて受信するように制御し、前記解析装置は、その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求める処理を探知対象とする埋め込み深さが等しい複数(n個)のシース毎にこのシースのコンクリート面への垂直投影線分上に、前記発信探触子と受信探触子をその中心間距離をa(mm)として配し、加算平均波G(t)(j=1〜n)を取得する第1工程と、基準時刻t(μ秒)で1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、Δtを所定値としてt〜(t+Δt)の間を1.0、t+Δt以降の時刻で1.0未満又は0(減少関数)とする時系列関数TGCX(t)を、前記加算平均波G(t)波に乗じて、GA(t)=TGCX(t)・G(t)波を求めた後、前記GA(t)をフーリエ変換し、FA(f)=∫−∞ (GA(t)・e−iωt)dtを演算し、npを自然数として{FA(f)}npを計算する第2工程とを有し、前記第2工程は、{FA(f)}npの比較表示をj毎に{FA(f)}npの最大スペクトル値を1.0に基準化して行う第1解析部と、{FA(f)}npの比較表示を{FA(f)}np個々の最大スペクトル値をSとし、S(j=1〜n)の中で最も大きい値をSMAXとしたとき、SMAXを1.0に基準化して行う第2解析部とを有することを特徴とする超音波探知装置。
  23. t=0(μ秒)で0.0、t=t(μ秒)で1.0となる増加関数とt=2t(μ秒)以降の時刻で0.0となる減少関数との組み合わせで得るTGC4(t)、又は外部から与えられるか又はあらかじめ解析装置に記憶されたΔta(μ秒)、Δt(μ秒)を用いて、t=t−Δta(μ秒)で0.0、t=t(μ秒)で1.0となる増加関数と、t=t〜t+Δt間で一定値1.0となる関数と、t=t+Δtで1.0、t=t+Δt+Δta以降の時刻で0.0となる減少関数との組み合わせで得るTGC5(t)(Δt=0の場合)又はTGC6(t)(Δt>0の場合)を用いて、前記TGCX(t)関数をn5(n5は自然数)乗倍して{TGC4(t)}n5、{TGC5(t)}n5又は{TGC6(t)}n5を求め、シースの埋め込み深さをd(mm)、コンクリートの縦波音速を(mm/μ秒)、発信探触子と受信探触子との前記中心間距離をaとして、t=2×√{d +(a/2)}/(μ秒)を計算し、前記tを上述の如く計算されたtの値で置き換えて、請求項22の演算をすることを特徴とする請求項22に記載の超音波探知装置。
  24. 前記第1解析部が、外部から与えられる又はあらかじめ解析装置に記憶されたΔt(μ秒)及び前記tを用いて、前記tの値を(t−Δt)〜(t+Δt)の範囲で変動させ、この変動の都度、前記第2工程を繰り返して得られる前記{FA(f)}npスペクトルが1つ又は2つのスペクトル群となり、前記1つ又は2つのスペクトル群に分類される{FA(f)}npスペクトルの夫々の最大値位置の振動数及びスペクトル形状が合致したとき、前記tの変動を停止することを特徴とする請求項23に記載の超音波探知装置。
  25. 前記第1解析部の{FA(f)}npの比較表示で前記{FA(f)}npスペクトルが2つのスペクトル群に分類されたとき、前記{FA(f)}npのj毎の最大スペクトル値をSとし、j=1〜nのS値の中で最も大きい値をSMAXとしてnsなる係数(1.0以上の実数)を用いてSj≧1/ns×SMAXとなる前記{FA(f)}npを{SMAX/S}・{FA(f)}npと置き換える演算を用いて、前記nsの値を外部からの指示で徐々に大きくしていく都度、前記{FA(f)}npを前記演算で得た{SMAX/S}・{FA(f)}npと置き換え、この置き換えの都度、前記第2解析部で得られる{FA(f)}npの比較表示において、前記nsの値が大きくなっていく経緯の中で最初に生じてくる1つのスペクトル群に含まれる{FA(f)}npを得たシース(j)において、その内部が空又は充填不足と判断し、nsの値の更なる増大の経緯の中で生じてくるもう1つの他のスペクトル群に含まれる{FA(f)}npを得たシース(j)においてその内部が充填されていると判断することを特徴とする請求項24に記載の超音波探知装置。
  26. 前記加算平均波G(t)の取得時、前記受信探触子の超音波受信面に、その受信面の面積より大きい面積を持つ厚さ一定の超音波透過板を、受信波集積治具として装着することを特徴とする請求項1,6,7,17又は22に記載の超音波探知装置。
  27. 前記受信波集積治具と前記受信探触子とは一体化された探触子であることを特徴とする請求項1,6,7,17又は22に記載の超音波探知装置。
  28. 音波(縦波)のコンクリート内に深さdで埋め込まれ管内に鋼棒が配置されたシース管(外径Φ)において、管内にグラウト材を連続的に注入する際に、その注入の精度をリアルタイムに検査する超音波探知方法において、超音波発信探触子及び受信探触子を前記シース管の上方のコンクリート面に所定間隔で配置し、前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子により受信するように制御し、その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求め、この加算平均波の取得を、前記グラウト材の注入開始時点を1回目の取得時点として、外部から与えられる所定の時刻間隔で2回目以降の加算平均波G(t)(j=1〜n:nはそれまでに取得済みの加算平均波の数)を取得する毎に、下記第1工程及び第2工程の分析を繰り返し行い、
    前記第1工程はシース管外径Φ、コンクリート音速、シース管埋め込み深さdの組み合わせ毎に整理されたn1、n2、n3、fの係数表より、前記Φ、dと合致する0を含む1以上の整数n1、n2、n3とf値(Hz)を選定し、又はn1、n2、n3、f値を外部から与えた後、分析振動数の上限をfMAX(fがfMAX以上のときF(f)=0とする)とし、f=0で0.0、f=fMAXで1.0となる増加関数A(f)と、f=0で1.0、f=fMAXで0.0となる減少関数A(f)と、f=0で0.0、f=fで1.0となる増加関数とf=fで1.0、f≧2×fで0.0となる減少関数との組合せ関数A(f)とを用いて、FA(f)={A(f)}n1・{A(f)}n2・{A(f)}n3・F(f)を算出し、GA(t)=∫−∞ (FA(f)・eiωt)dfを算出して、GA(t)を求めることであり、
    前記第2工程は、外部から与えられる0を含む実数であるΔt(μ秒)を用い、基準時刻tで1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、t〜t+Δtの間の時刻で1.0、t+Δt以降の時刻で1.0未満又は0.0(減少関数)である時系列関数TGCX(t)を用いて、GB(t)=TGCX(t)×GA(t)を算出し、更にこのGB(t)から、FB(f)=∫−∞ (GB(t)・e−iωt)dtを算出し、npを外部から与えられる1以上の整数として、FB(f)のnp乗値{FB(f)}npを求めて、これを表示させ、j=1〜nにおける{FB(f)}npの任意の極大値を示すスペクトル値がjの増大に伴い減少又は増大していく時点をグラウトが進行していく段階と判断し、前記スペクトル値の減少又は増大が、jが増大していっても停止する状況になったとき、シース管内が完全にグラウトされたと判断することであることを特徴とする超音波探知方法。
  29. 前記時系列関数TGCX(t)は、t=0の時刻で0、t=tで1.0となる増加関数と、t=tで1.0、t=2×t以降の時刻で0となる減少関数の組み合わせで得る時系列関数TGC4(t)のn5(n5は自然数)乗値{TGC4(t)}n5であり、前記n5はあらかじめ定められた所定値又は外部から与えられる値であることを特徴とする請求項28に記載の超音波探知方法。
  30. 前記時系列関数TGCX(t)は、t=t−Δt5以前の時刻で0、t=tで1.0となる増加関数と、t=t+Δt5以降の時刻で0となる減少関数との組み合わせで得られる時系列関数TGC5(t)のn5(n5は自然数)乗値{TGC5(t)}n5であり、前記n5及びΔt5はあらかじめ定められた所定値又は外部から与えられる値であることを特徴とする請求項28に記載の超音波探知方法。
  31. 前記時系列関数TGCX(t)は、t=t−Δta以前の時刻で0、t=tで1.0となる増加関数と、t=tとt=t+Δtの間を1.0とする関数と、t=t+Δtで1.0、t=t+Δt+Δta以降の時刻で0となる減少関数との組み合わせで得る時系列関数TGC6(t)のn5(n5は自然数)乗値{TGC6(t)}n5であり、前記n5、Δt及びΔtaはあらかじめ定められた所定値又は外部から与えられる値であることを特徴とする請求項28に記載の超音波探知方法。
  32. 前記シース管の埋め込み深さをd、コンクリートの音速(縦波)をとし、コンクリートの横波と縦波の音速比を0.59として、前記基準時刻tはt=2×d又はt=2×d/(0.59×)で求めたものであることを特徴とする請求項28に記載の超音波探知方法。
  33. 前記シース管の埋め込み深さをd(mm)、コンクリートの音速(縦波)を(mm/μ秒)とし、前記基準時刻t(μ秒)をt=2×dで計算される値とし、前記加算平均波G(t)を得る2回目(j=2)以降のいずれかの時点で、前記第1工程で得るFA(f)及びGA(t)を夫々F(f)及びG(t)関数に置き換え、前記tをtの時間より時間軸後方へ移動させて、新たなtに基づいて、請求項7の第1工程及び第2工程を繰り返すことを特徴とする請求項28に記載の超音波探知方法。
  34. コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されると共にセメントミルクなどの充填物が注入されたシース管を振動数分析により検査する超音波探知方法において、超音波発信探触子及び超音波受信探触子を、前記シース管の上方のコンクリート面に、探知対象とする埋め込み深さが等しい複数(n個)のシース毎に、このシースのコンクリート面への垂直投影線分上に、前記発信探触子と受信探触子の中心間距離をa(mm)として配置して超音波探知する方法であって、
    前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度、コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子にて受信するように制御し、
    その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求める処理を、
    加算平均波G(t)(j=1〜n)を取得する第1工程と、
    基準時刻t(μ秒)で1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、Δt(μ秒)を所定値とし、t〜t+Δtの間を1.0、t+Δt以降の時刻で1.0未満又は0(減少関数)とする時刻関数TGCX(t)を、n5乗倍し(n5は1以上の整数)、これに前記加算平均波G(t)を乗じて、GA(t)=(TGCX(t))n5・G(t)波を求めた後、前記GA(t)をフーリエ変換し、FA(f)をFA(f)=∫−∞ (GA(t)・eiωt)dtで計算し、npを自然数として{FA(f)}npを計算する第2工程と、
    {FA(f)}npの中で最も大きいスペクトル値を1.0とする基準化を行って{FA(f)}npを比較表示し、特定の振動数fD1位置に大きなスペクトル値のスペクトルが立ち上がる1つ又は複数のシース(j=k)がある場合、この1つ又は複数のG(t)の加算平均波を得たシースの内部が空又は充填不足と判断する第3工程とにより行うことを特徴とする超音波探知方法。
  35. 前記探知対象とする複数のシースの中に、空シース(j=k)と解っているシースを含めて、前記{FA(f)}npの比較表示が成されるとき、前記空シース(j=k)の{FA(f)}npにおいて、最大スペクトル値を与えるf値を前記fD1とすることを特徴とする請求項34に記載の超音波探知方法。
  36. コンクリート表面とシース表面との間の重複反射の共振振動数fを、シース埋め込み深さd(mm)とコンクリート音速(縦波)(mm/μ秒)から、f={10/(2d)}Hzとして求め、前記特定の振動数fD1をこのfの値として、請求項17の演算をすることを特徴とする請求項34に記載の超音波探知方法。
  37. シース埋め込み深さをd(mm)、コンクリート音速(縦波)を(mm/μ秒)、発信探触子と受信探触子の中心間距離をaとしたとき、前記tの初期値を
    ={2×√{d +(a/2)}/}μ秒とし、tの値を前記初期値の時刻より後方で変動させる都度、前記第2工程及び第3工程を繰り返し、外部からの指示で、前記tの値の変動を停止するようにしたことを特徴とする請求項34に記載の超音波探知方法。
  38. 前記fD1(Hz)位置に大きなスペクトル値のスペクトルが生じたとき、f=fD1として、f=0で0.0、f=fで1.0となる増加関数と、f=fで1.0、fが2f以上で0.0となる減少関数との組み合わせで得るA(f)フィルタと、前記FA(f)を用いて、n3を1以上の整数として、FB(f)={A(f)}n3・FA(f)を計算し、GB(t)=∫−∞ (FB(f)・eiωt)dfを計算し、npを外部から与える1以上の整数として{GB(t)}npを算出し、{GB(t)}npの中で最も大きい振幅を1.0として基準化し、比較表示するか、又はこの比較表示により、起生を確認できる{GB(t)}np波各々の最大振幅を夫々1.0に基準化して比較表示することを特徴とする請求項34に記載の超音波探知方法。
  39. コンクリート内に埋め込まれ管内に鋼棒が配置されると共にセメントミルクなどの充填物が注入されたシース管を振動数分析により検査する超音波探知方法において、超音波発信探触子及び超音波受信探触子を、前記シース管の上方のコンクリート面に、探知対象とする埋め込み深さが等しい複数(n個)のシース毎にこのシースのコンクリート面への垂直投影線分上に、前記発信探触子と受信探触子の中心間距離をa(mm)として配置して超音波探知する方法であって、
    前記発信探触子内の振動子にステップ関数型電圧を印加し、前記発信探触子から広帯域超音波を連続して複数回発信させ、その都度、コンクリート中からの広帯域受信信号を前記受信探触子にて受信するように制御し、
    その複数個の受信信号を加算して加算平均波G(t)を求める処理は、
    加算平均波G(t)(j=1〜n)を取得する第1工程と、
    基準時刻t(μ秒)で1.0、t以前の時刻で1.0未満で、この間時刻の増加と共に漸増し、Δtを所定値としてt〜(t+Δt)の間を1.0、t+Δt以降の時刻で1.0未満又は0(減少関数)とする時系列関数TGCX(t)を、前記加算平均波G(t)波に乗じて、GA(t)=TGCX(t)・G(t)波を求めた後、前記GA(t)をフーリエ変換し、FA(f)=∫−∞ (GA(t)・e−iωt)dtを演算し、npを自然数として{FA(f)}npを計算する第2工程とを有し、
    前記第2工程は、{FA(f)}npの比較表示をj毎に{FA(f)}npの最大スペクトル値を1.0に基準化して行う第1解析部と、{FA(f)}npの比較表示を{FA(f)}np個々の最大スペクトル値をSとし、S(j=1〜n)の中で最も大きい値をSMAXとしたとき、SMAXを1.0に基準化して行う第2解析部とにより行うことを特徴とする超音波探知方法。
  40. t=0(μ秒)で0.0、t=t(μ秒)で1.0となる増加関数とt=2t(μ秒)以降の時刻で0.0となる減少関数との組み合わせで得るTGC4(t)、又は外部から与えられるか又はあらかじめ解析装置に記憶されたΔta(μ秒)、Δt(μ秒)を用いて、t=t−Δta(μ秒)で0.0、t=t(μ秒)で1.0となる増加関数と、t=t〜t+Δt間で一定値1.0となる関数と、t=t+Δtで1.0、t=t+Δt+Δta以降の時刻で0.0となる減少関数との組み合わせで得るTGC5(t)(Δt=0の場合)又はTGC6(t)(Δt>0の場合)を用いて、前記TGCX(t)関数をn5(n5は自然数)乗倍して{TGC4(t)}n5、{TGC5(t)}n5又は{TGC6(t)}n5を求め、シースの埋め込み深さをd(mm)、コンクリートの縦波音速を(mm/μ秒)、発信探触子と受信探触子との前記中心間距離をaとして、t=2×√{d +(a/2)}/(μ秒)を計算し、前記tを上述の如く計算されたtの値で置き換えて、請求項22の演算をすることを特徴とする請求項39に記載の超音波探知方法。
  41. 前記第1解析部が、外部から与えられる又はあらかじめ解析装置に記憶されたΔt(μ秒)及び前記tを用いて、前記tの値を(t−Δt)〜(t+Δt)の範囲で変動させ、この変動の都度、前記第2工程を繰り返して得られる前記{FA(f)}npスペクトルが1つ又は2つのスペクトル群となり、前記1つ又は2つのスペクトル群に分類される{FA(f)}npスペクトルの夫々の最大値位置の振動数及びスペクトル形状が合致したとき、前記tの変動を停止することを特徴とする請求項39に記載の超音波探知方法。
  42. 前記第1解析部の{FA(f)}npの比較表示で前記{FA(f)}npスペクトルが2つのスペクトル群に分類されたとき、前記{FA(f)}npのj毎の最大スペクトル値をSとし、j=1〜nのS値の中で最も大きい値をSMAXとしてnsなる係数(1.0以上の実数)を用いてSj≧1/ns×SMAXとなる前記{FA(f)}npを{SMAX/S}・{FA(f)}npと置き換える演算を用いて、前記nsの値を外部からの指示で徐々に大きくしていく都度、前記{FA(f)}npを前記演算で得た{SMAX/S}・{FA(f)}npと置き換え、この置き換えの都度、前記第2解析部で得られる{FA(f)}npの比較表示において、前記nsの値が大きくなっていく経緯の中で最初に生じてくる1つのスペクトル群に含まれる{FA(f)}npを得たシース(j)において、その内部が空又は充填不足と判断し、nsの値の更なる増大の経緯の中で生じてくるもう1つの他のスペクトル群に含まれる{FA(f)}npを得たシース(j)においてその内部が充填されていると判断することを特徴とする請求項39に記載の超音波探知方法。
  43. 前記加算平均波G(t)の取得時、前記受信探触子の超音波受信面に、その受信面の面積より大きい面積を持つ厚さ一定の超音波透過板を、受信波集積治具として装着することを特徴とする請求項39に記載の超音波探知方法。
JP2004306269A 2003-10-20 2004-10-20 共振分析を使用した超音波探知装置及び超音波探知方法 Active JP4640771B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004306269A JP4640771B2 (ja) 2003-10-20 2004-10-20 共振分析を使用した超音波探知装置及び超音波探知方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003359774 2003-10-20
JP2004306269A JP4640771B2 (ja) 2003-10-20 2004-10-20 共振分析を使用した超音波探知装置及び超音波探知方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005148061A true JP2005148061A (ja) 2005-06-09
JP2005148061A5 JP2005148061A5 (ja) 2009-01-29
JP4640771B2 JP4640771B2 (ja) 2011-03-02

Family

ID=34703018

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004306269A Active JP4640771B2 (ja) 2003-10-20 2004-10-20 共振分析を使用した超音波探知装置及び超音波探知方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4640771B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008032474A (ja) * 2006-07-27 2008-02-14 Ntt-West Chugoku Corp 巨視的探査理論に基づいたコンクリート電柱地中部の広帯域超音波探査方法
JPWO2006054330A1 (ja) * 2004-11-16 2008-09-18 株式会社エッチアンドビーシステム 共振現象を利用した超音波探査方法およびその装置
JP4764921B2 (ja) * 2006-05-12 2011-09-07 株式会社エッチアンドビーシステム 共振現象を利用した超音波探査方法
WO2011125904A1 (ja) * 2010-03-31 2011-10-13 有限会社エッチアンドビーソリューション 反射波又は自励振動波卓越振動数を利用した超音波探査装置及び超音波探査方法
CN102590343A (zh) * 2012-02-23 2012-07-18 河海大学常州校区 波纹管孔道注浆密实度超声检查的装置及方法
EP3088884A1 (en) * 2015-04-28 2016-11-02 Uniper Technologies Limited Method and system for ultrasonically determining the condition of a building structure
JP2019039709A (ja) * 2017-08-23 2019-03-14 日本原燃株式会社 埋込金物の健全性診断方法
CN113295765A (zh) * 2021-05-14 2021-08-24 四川陆通检测科技有限公司 一种孔道压浆缺陷检测方法
JP2022075581A (ja) * 2020-11-04 2022-05-18 正行 廣瀬 閾値分析に基づく非破壊検査装置、及び非破壊検査方法
JP2022075582A (ja) * 2020-11-05 2022-05-18 正行 廣瀬 閾値分析に基づく非破壊検査装置、及び非破壊検査方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7216238B1 (ja) 2022-06-29 2023-01-31 オリエンタル白石株式会社 グラウト充填状況評価システム及びグラウト充填状況評価プログラム

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002093158A1 (fr) * 2001-05-11 2002-11-21 Masayuki Hirose Dispositif de detection ultrasonore et son procede d'utilisation
WO2003048758A1 (fr) * 2001-11-30 2003-06-12 Masayuki Hirose Procede et dispositif de detection par ultrasons

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002093158A1 (fr) * 2001-05-11 2002-11-21 Masayuki Hirose Dispositif de detection ultrasonore et son procede d'utilisation
WO2003048758A1 (fr) * 2001-11-30 2003-06-12 Masayuki Hirose Procede et dispositif de detection par ultrasons

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010061233, 原幹夫 他, "広帯域超音波探査法を用いたPCグラウトの充填度測定", 第12回プレストレストコンクリートの発展に関するシンポジウム論文集, 20030925, pp.61−64 *
JPN6010061234, 植松恵一 他, "超音波リアルタイム計測手法を用いたコンクリートの内部探知に関する研究", コンクリート工学年次論文集, 2002, Vol.24 No.2, pp.1575−1580 *

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2006054330A1 (ja) * 2004-11-16 2008-09-18 株式会社エッチアンドビーシステム 共振現象を利用した超音波探査方法およびその装置
JP4519852B2 (ja) * 2004-11-16 2010-08-04 株式会社エッチアンドビーシステム 共振現象を利用した超音波探査方法およびその装置
JP4764921B2 (ja) * 2006-05-12 2011-09-07 株式会社エッチアンドビーシステム 共振現象を利用した超音波探査方法
JP2008032474A (ja) * 2006-07-27 2008-02-14 Ntt-West Chugoku Corp 巨視的探査理論に基づいたコンクリート電柱地中部の広帯域超音波探査方法
WO2011125904A1 (ja) * 2010-03-31 2011-10-13 有限会社エッチアンドビーソリューション 反射波又は自励振動波卓越振動数を利用した超音波探査装置及び超音波探査方法
JP2011227072A (ja) * 2010-03-31 2011-11-10 H & B Solution Co Ltd 反射波又は自励振動波卓越振動数を利用した超音波探査装置及び超音波探査方法
CN102590343A (zh) * 2012-02-23 2012-07-18 河海大学常州校区 波纹管孔道注浆密实度超声检查的装置及方法
CN102590343B (zh) * 2012-02-23 2013-10-02 河海大学常州校区 波纹管孔道注浆密实度超声检查的装置及方法
EP3088884A1 (en) * 2015-04-28 2016-11-02 Uniper Technologies Limited Method and system for ultrasonically determining the condition of a building structure
JP2019039709A (ja) * 2017-08-23 2019-03-14 日本原燃株式会社 埋込金物の健全性診断方法
JP2022075581A (ja) * 2020-11-04 2022-05-18 正行 廣瀬 閾値分析に基づく非破壊検査装置、及び非破壊検査方法
JP7329026B2 (ja) 2020-11-04 2023-08-17 正行 廣瀬 閾値分析に基づく非破壊検査装置、及び非破壊検査方法
JP2022075582A (ja) * 2020-11-05 2022-05-18 正行 廣瀬 閾値分析に基づく非破壊検査装置、及び非破壊検査方法
JP7265602B2 (ja) 2020-11-05 2023-04-26 正行 廣瀬 閾値分析に基づく非破壊検査装置、及び非破壊検査方法
CN113295765A (zh) * 2021-05-14 2021-08-24 四川陆通检测科技有限公司 一种孔道压浆缺陷检测方法
CN113295765B (zh) * 2021-05-14 2024-04-26 四川陆通检测科技有限公司 一种孔道压浆缺陷检测方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4640771B2 (ja) 2011-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6962082B2 (en) Device and method for acoustic diagnosis and measurement by pulse electromagnetic force
US5965818A (en) Ultrasonic Lamb wave technique for measurement of pipe wall thickness at pipe supports
US5621172A (en) Method and apparatus for testing material strengths
JP5942059B1 (ja) 非破壊検査方法、及び非破壊検査装置
WO2011125904A1 (ja) 反射波又は自励振動波卓越振動数を利用した超音波探査装置及び超音波探査方法
AU726851B2 (en) Method for testing a prestressed concrete conduit
JP2005148061A (ja) 共振分析を使用した超音波探知装置及び超音波探知方法
CN112098512B (zh) 一种基于声波局部共振散射特性的灌浆套筒灌浆缺陷检测方法
JP4074959B2 (ja) パルス電磁力による音響診断・測定装置及びそれらの診断・測定方法
JP5500887B2 (ja) アンカボルトの形状探査方法およびその装置
JP2009047679A (ja) 超音波探査方法
JP4764921B2 (ja) 共振現象を利用した超音波探査方法
JP3198840U (ja) 支柱路面境界部調査システム
JP7265602B2 (ja) 閾値分析に基づく非破壊検査装置、及び非破壊検査方法
CA2485982A1 (en) Method and device for detecting changes or damages to pressure vessels while or after undergoing a hydraulic pressure test
JPWO2003048758A1 (ja) 超音波探知装置及びそれを使用した超音波探知方法
JPH08220074A (ja) 鉄筋コンクリート構造物のひび割れ深さの計測法及び装置
JP4074961B2 (ja) パルス電磁力による音響診断・測定装置、及びそれらの診断・測定方法
JP4074960B2 (ja) パルス電磁力による音響診断・測定装置、及びそれらの診断・測定方法
JP4074962B2 (ja) パルス電磁力による音響診断・測定装置、及びそれらの診断・測定方法
JPH0454447A (ja) 疲労損傷計測方法
Kharrat et al. Defect detection in pipes by torsional guided-waves: A tool of recognition and decision-making for the inspection of pipelines
JP2007139788A (ja) 超音波探知装置及びそれを使用した超音波探知方法
JP5612535B2 (ja) 敷設鋳鉄管の材質判定方法及び敷設鋳鉄管材質判定システム
JP7329026B2 (ja) 閾値分析に基づく非破壊検査装置、及び非破壊検査方法

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20041116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20041125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050121

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050222

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20070514

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070514

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071020

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071020

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080729

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080729

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101026

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101102

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101124

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101124

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4640771

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131210

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250